説明

発光量を補正可能な光センサ、それを用いた紙葉類識別装置及びその補正方法

【課題】光センサにおいて、精度の高い補正処理を容易に実行できる技術を提供する。
【解決手段】紙葉類識別装置100の検出部200は、光センサとして第1と第2の発光素子210、220と、第1と第2の受光素子230,240を備えている。光センサの発光量の基準信号値を補正するための処理を実行するために、第1と第2の発光素子210,220からの透過光L1t,L2tをそれぞれ第2と第1の受光素子240,230に受光させる。また、第1と第2の発光素子210,220からの反射光L1r,L2rをそれぞれ第2と第1の反射基準板RS2,RS1に反射させて第1と第2の受光素子230,240に受光させる。第1と第2の受光素子230,240のそれぞれの透過光及び反射光についての受光信号値に応じて第1と第2の発光素子210,220の発光量のレベルを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出対象物に向かって光を発する発光素子と検出対象物からの光を受光する受光素子とを備える光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光センサには、発光素子と2種類の受光素子とを備えるものがある。発光素子は、第1と第2の受光素子の間に配置された検出対象に向かって光を照射し、第1の受光素子は検出対象からの反射光を受光し、第2の受光素子は検出対象からの透過光を受光する(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−53357号公報
【0004】
一般に、光センサの精度は、発光素子の発光量や受光素子の受光効率(発光素子の発光量に対する受光素子の受光量の比率)に影響される。そのため、検出対象の検出を行う前に、予めこれらの補正処理を行うことが好ましい。しかし、上述したような第1と第2の受光素子を備える光センサの場合には、検出対象が配置されていない状態では、第1の受光素子に発光素子からの反射光を受光させることができなかった。そのため、第1の受光素子の受光効率と第2の受光素子の受光効率とを同時に検出することができず、正確な補正処理がなされていない場合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光センサにおいて、精度の高い補正処理を容易に実行できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、光を照射することによって検出対象物を検出する光センサであって、前記検出対象物に向かって光を発する第1の発光素子を含む発光部と、前記検出対象物からの光を受ける第1と第2の受光素子を含む受光部と、前記発光部からの光を反射する反射面と、前記発光部の発光量の補正を実行する補正部とを備え、前記第1と第2の受光素子はそれぞれ、前記検出対象物が配置される検出対象物配置領域を挟んだ反対側の位置に配置されており、前記反射面は、前記第1の発光素子と前記検出対象物配置領域を挟んで反対側の位置に配置されており、前記検出対象物配置領域に前記被検出対象物が配置された第1の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物によって反射された第1の反射光を受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物を透過した第1の透過光を受光し、前記検出対象物配置領域に前記検出対象物が配置されていない第2の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第1の較正用反射光を受光するとともに、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物配置領域を透過した第1の較正用透過光を受光し、前記補正部は、前記第2の状態で前記第1と第2の受光素子が受光した光量に応じて、前記第1の状態において前記発光素子が発する発光量を設定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1と第2の受光素子の反射光及び透過光のそれぞれについての受光効率に応じて発光量の補正を行うことができる。従って、光センサの発光量についてより精度の高い補正処理を行うことができる。
【0008】
前記発光部は、さらに、第2の発光素子を含み、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、前記検出対象物配置領域を挟んだ反対側の位置に設けられており、前記第1の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の反射光と、前記第2の発光素子からの光が前記検出対象物を透過した第2の透過光のいずれかを受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の透過光と、前記第2の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第2の反射光を受光のいずれかを受光し、前記第2の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子から前記第1の較正用反射光と、前記第2の発光素子からの光が前記検出対象物配置領域を透過した第2の較正用透過光のいずれかを受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の較正用透過光と、前記第2の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第2の較正用反射光のいずれかを受光するものとしても良い。
【0009】
この構成によれば、検出対象の対向する両面から光による検出を行う光センサにおいて、精度の高い発光量補正を行うことができる。
【0010】
前記第1と第2の受光素子の間に、前記第1と第2の受光素子の光軸のそれぞれと等しい角度で交わる仮想的無限平面を考えたときに、前記第1と第2の受光素子の光軸と前記仮想的無限平面とのなす角度が、前記発光素子の光軸と前記仮想的無限平面とのなす角度より大きいものとしても良い。
【0011】
この構成によれば、受光素子の反射面からの反射光の受光量を増加させることができ、発光量補正処理の精度を向上することができる。また、第1と第2の受光素子と発光素子との間の距離を短くすることができ、光センサを小型化することができる。
【0012】
前記第1と第2の発光素子及び前記第1と第2の受光素子が、それぞれN個(N>2)ずつ前記検出対象物の走査方向と交わる方向に並列に配置されており、これによって、前記第1と第2の発光素子及び前記第1と第2の受光素子をそれぞれ1つずつ有するN組の素子群が構成されており、前記補正部は、前記N組の素子群のそれぞれについて個別に前記発光量の補正を実行するものとしても良い。
【0013】
この構成によれば、複数組の光センサによって構成されるラインセンサにおける発光量の補正処理の精度を向上することができる。
【0014】
本発明の一形態による装置は、上述の光センサと、前記光センサからの検出情報を受け取る識別部とを備え、前記光センサは、前記紙葉類を前記検出対象物として検出し、前記識別部は、前記検出情報を基に前記紙葉類を識別するものとしても良い。
【0015】
この構成によれば、精度の高い発光量の補正処理を実行可能な紙葉類識別装置を構成することができる。
【0016】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、光センサの発光量の補正方法およびその方法を実行する光センサ、その光センサを用いた各種識別装置等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての光センサを備えた紙葉類識別装置の構成を示すブロック図である。この紙葉類識別装置100(「紙幣識別装置100」とも呼ぶ)は、紙幣の種別及び真偽を識別・判別するためのものである。紙葉類識別装置100は、検出部200と、主制御部300とを備える。検出部200は、2つの発光素子210,220と、2つの受光素子230,240と、紙幣搬送部250とを備えている。
【0018】
第1と第2の発光素子210,220のそれぞれは、紙幣搬送部250を挟んで鏡面対称な位置に配置されている。第1と第2の受光素子230,240も同様に鏡面対称な位置に配置されている。また、第1の発光素子210の発光端211と第2の受光素子240の受光端241とが互いにほぼ向かい合うように配置され、第2の発光素子220の発光端221と第1の受光素子230の受光端231とが互いにほぼ向かい合うように配置されている。
【0019】
第1と第2の発光素子210,220はそれぞれ、第1と第2の発光制御部215,225の指示に従って発光する。第1と第2の発光制御部215,225は、主制御部300からの発光命令に従って、第1と第2の発光素子210,220を発光させる。第1と第2の発光素子210,220の発光量も主制御部300からの指示に従って調整される。一方、第1と第2の受光素子230,240はそれぞれ、検出した光量に応じた受光信号を第1と第2の受光出力変換部235,245へと出力する。第1と第2の受光出力変換部235,245はそれぞれ、受け取った受光信号をA/D変換することによって受光データLD1,LD2を生成し、主制御部300へと送信する。
【0020】
紙幣搬送部250は、識別対象(検出対象)である紙幣BLを図中の矢印PD方向へと搬送するためのものである。紙幣搬送部250は、紙幣BLが挿入される側に2つのローラ251,252を備えている。また、紙幣搬送部250は、紙幣BLの排出側にも同様に、2つのローラ253,254を備えている。挿入側の2つのローラ251,252は紙幣BLを挟持しつつ、互いに逆方向の回転をすることによって紙幣BLを矢印PDの方向へ搬送する。排出側の2つのローラ253,254も同様である。紙幣搬送部250は、紙幣BLが挿入されたことを検出すると稼働する。この構成によって、第1と第2の発光素子210,220が照射する光によって紙幣BLを搬送方向PDへと走査することが可能である。
【0021】
主制御部300は、中央処理装置(CPU)310と、随時書き込みが可能な記憶部であるメモリ320と、工場出荷時の初期値データなどが記憶される不揮発性記憶部330とを備えている。メモリ320には、紙幣BLを識別するための処理(紙幣識別処理)を実行するための紙幣識別モジュール321と、第1と第2の発光素子210,220の発光量を補正するための処理(発光量補正処理)を実行するための発光量補正モジュール322とが格納されている。紙幣識別処理及び発光量補正処理についてはそれぞれ後述する。不揮発性記憶部330には、紙幣識別処理に用いられるデータである紙幣識別用データIDと、発光量補正処理や他の補正処理に用いられるデータを含む補正処理実行用データEDとが格納されている。それぞれのデータについても後述する。
【0022】
図2(A)、(B)は、第1と第2の発光素子210,220及び第1と第2の受光素子230,240が光センサとして機能している状態を説明するための模式図である。図2(A)、(B)は、検出部200の第1と第2の発光素子210,220と、第1と第2の受光素子230,240と、紙幣BLのみを模式的に図示しており、他の構成要素の図示は省略されている。
【0023】
図2(A)は、第1と第2の発光素子210,220のそれぞれが透過光L1t,L2tを発光している状態を示している。第1の発光素子210から照射される第1の透過光L1tは、紙幣BLを透過して第2の受光素子240が受光する。第2の発光素子220から照射される第2の透過光L2tは、紙幣BLを透過して第1の受光素子230が受光する。即ち、第1の発光素子210と第2の受光素子240とは、第1の透過光L1tによって紙幣BLを検出可能な、第1の透過センサSt1として機能する。同様に、第2の発光素子220と第1の受光素子230とは、第2の透過光L2tによって紙幣BLを検出可能な、第2の透過センサSt2として機能する。なお、実際には、2つの発光素子210,220は同時に発光せず、所定の順序に従って1つずつ発光する。この点は図2(B)も同様である。
【0024】
図2(B)は、第1と第2の発光素子210,220のそれぞれが反射光L1r,L2rを発光している状態を示している。第1の発光素子210から照射される第1の反射光L1rは、紙幣BLによって反射されて第1の受光素子230が受光する。第2の発光素子220から照射される第2の反射光L2rは、紙幣BLによって反射されて第2の受光素子240が受光する。即ち、第1の発光素子210と第1の受光素子230とは、第1の反射光L1rによって紙幣BLを検出可能な第1の反射センサSr1として機能する。同様に、第2の発光素子220と第2の受光素子240とは、第2の反射光L2rによって紙幣BLを検出可能な、第2の反射センサSr2として機能する。
【0025】
図3は、紙葉類識別装置100の検出部200の内部構成を示す概略断面図である。検出部200は、図1で説明した各構成要素を筐体400の内部に備えている。具体的には、第1と第2の発光素子210,220及び第1と第2の受光素子230,240はそれぞれ、筐体400の略円筒形の空洞である4つの素子配置部410,420,430,440に固定して配置される。筐体400には、4つの素子配置部410,420,430,440のそれぞれが連結する略十字形状の空間450が設けられている。紙幣搬送部250の紙幣挿入側の2つのローラ251,252と、紙幣排出側の2つのローラ253,254とは、空間450を挟むように配置されている。即ち、紙幣BLは、空間450において第1と第2の発光素子210,220からの光によって照射されつつ矢印PDの方向へと搬送される。以後、この空間450を「紙幣検査部450」と呼ぶ。
【0026】
紙幣検査450は、搬送されている紙幣BLの表面に対して平行な角度を有する2つの壁面451,452を有している。第1の壁面451は、第1の発光素子210が配置される第1の素子配置部410と、第1の受光素子230が配置される第3の素子配置部430との間に設けられている。第2の壁面452は、第2の発光素子220が配置される第2の素子配置部420と、第2の受光素子240が配置される第4の素子配置部440との間に設けられている。第1と第2の壁面451,452にはそれぞれ、光を良好に反射する第1と第2の反射基準板RS1,RS2が設けられている。この第1と第2の反射基準板RS1,RS2の機能は後述する。
【0027】
紙幣検査450には、さらに、搬送される紙幣BLを両面から支持するための2枚のガラス板261,262が設けられている。また、第1と第2の受光素子230,240がそれぞれ配置される素子配置部430,440には、第1と第2の受光素子230,240の受光端231,241側に集光レンズ263,264が設けられている。この集光レンズ263,264は、紙幣検査450からの光を第1と第2の受光素子230,240のそれぞれの受光端231,241へと誘導する。従って、集光レンズ263,264によって第1と第2の受光素子230,240の受光効率を向上させることができる。
【0028】
なお、検出部200の筐体400は、外光を遮蔽するとともに、第1と第2の発光素子210,220からの光が不要な反射を生じないように吸収することが好ましい。筐体400は、例えば、その内壁を黒色の樹脂として構成することができる。これによって、検出部200の光センサとしての精度を向上させることができる。
【0029】
図4(A)は、4つの素子210〜240の配置構成を、さらに具体的に説明するための模式図である。図4(A)は、説明の便宜のために、図3に示した構成要素のうち、4つの素子210〜240と、それぞれの配置部410〜440及び紙幣検査450のみを示しており、他の構成要素は図示が省略されている。図4(A)には、各素子210〜240の光の照射方向又は受光方向である光軸OA1〜OA4を示してある。
【0030】
図に示すように、この紙葉類識別装置100の検出部200では、互いに向き合う第1の発光素子210と第2の受光素子240のそれぞれの光軸OA1,OA4は一致していない。同様に、第2の発光素子220と第1の受光素子230のそれぞれの光軸OA2,OA4は一致していない。ここで、第1の発光素子210及び第1の受光素子230と、第2の発光素子220及び第2の受光素子240との中間に存在する仮想的無限平面Sを想定する。すると、2つの光軸OA1,OA2と仮想的無限平面Sとがなす角度θ1は、2つの光軸OA3,OA4と仮想的無限平面Sとがなす角度θ2より小さくなるように配置されている。
【0031】
図4(B)は、4つの素子210〜240の他の配置構成例を示す模式図であり、光軸OA1と光軸OA4及び光軸OA2と光軸OA3のそれぞれが一致している点以外は、図4(A)と同じである。図4(B)に示すように各素子210〜240を配置することも可能であるが、図4(A)に示すように各素子210〜240を配置することによって、検出部200の紙幣搬送方向PDへの奥行きを短縮することができ、検出部200を小型化することが可能である。また、図4(A)に示す配置構成によれば、後述する発光量補正処理において、第1と第2の受光素子230,240が反射基準板RS1,RS2からの反射光の受光量を増大させることができる。従って、図4(A)のように光軸が一致しない構成であることが好ましい。
【0032】
図5(A)、(B)及び図6(A)、(B)はそれぞれ、検出部200が紙幣識別処理を実行しているときの状態を示す概略図である。図5(A)、(B)及び図6(A)、(B)はそれぞれ、4つの素子210〜240の間における光の経路が図示されている点以外は、図3とほぼ同じである。
【0033】
図5(A)は、第1の発光素子210と第2の受光素子240とが第1の透過センサSt1として機能している状態を示しており、図5(B)は、第1の発光素子210と第1の受光素子230とが第1の反射センサSr1として機能している状態を示している。同様に、図6(A)は、第2の発光素子220と第1の受光素子230とが第2の透過センサSt2として機能している状態を示しており、図6(B)は、第2の発光素子220と第2の受光素子240とが第2の反射センサSr2として機能している状態を示している。図5(A)、(B)及び図6(A)、(B)に示す透過光L1t,L2tの光路及び反射光L1r,L2rの光路は、図2(A)、(B)で説明したものと同様のものである。なお、第1の透過光L1t及び第1の反射光L1rはそれぞれ、集光レンズ263,264によって第1と第2の受光素子230,240の受光端231,241へと誘導されている。
【0034】
紙幣識別処理は、主制御部300のメモリに格納された紙幣識別モジュール321(図1)によって実行される。紙幣識別モジュール321は、紙幣BLが紙幣搬送部250に挿入されると、紙幣搬送部250の4つのローラ251,252,253,254を回転させて紙幣を矢印PDの方向へと搬送する。同時に、紙幣識別モジュール321は、紙幣BLが検出部200の外部に排出されるまで、4つの素子210〜240をそれぞれ、第1の透過センサSt1、第1の反射センサSr1、第2の透過センサSt2、第2の反射センサSr2として一定周期で順に機能させていく。即ち、紙幣識別工程において、検出部200は、図5(A)、(B)、図6(A)、(B)の状態を一定周期で繰り返す。
【0035】
すると、図1に示すように、第1と第2の受光出力変換部235,245から主制御部300に受光データLD1,LD2が送信される。これまでの説明からも理解できるように、第1の受光データLD1は、第1の反射センサSr1による受光データと第2の透過センサSt2による受光データとが交互に組み合わされた受光データとなる。同様に、第2の受光データLD2は、第1の透過センサSt1による受光データと第2の反射センサSr2による受光データとが交互に組み合わされた受光データとなる。
【0036】
紙幣識別モジュール321は、受光データLD1,LD2と不揮発性記憶部330に格納されている紙幣識別用データID(図1)とを照合(パターンマッチング)することによって紙幣の種別や真偽を識別する。即ち、紙幣識別用データIDには、受光データLD1,LD2に対応する識別基準となる紙幣データが含まれている。
【0037】
ところで、第1と第2の発光素子210,220のそれぞれの発光量は、素子の経年劣化などによって低下する場合がある。また、第1と第2の受光素子230,240の受光効率も同様に、素子の経年劣化や光路上に存在する塵芥や部材の損傷などによって低下する可能性がある。これらの発光量や受光効率などの低下は、紙幣識別装置100の識別精度の低下の原因となる。そこで、この紙葉類識別装置100では、第1と第2の発光素子210,220の発光量を補正する発光量補正処理を実行することによって、第1と第2の受光素子230,240の受光信号を一定のレベルに保持して識別精度の低下を抑制する。
【0038】
図7は、主制御部300の発光量補正モジュール322(図1)が実行する第1の発光素子210の発光量補正処理の処理工程を示すフローチャートである。発光量補正モジュール322は、第1工程として、不揮発性記憶部330に格納されている補正処理実行用データEDを発光量補正処理に用いるために読み込む(ステップS10)。
【0039】
図8は、補正処理実行用データEDに含まれているデータの構成を示す説明図である。補正処理実行用データEDには、発光量補正処理に用いられるデータである発光量補正処理用データEDLと、シェーディング補正などの処理において基準となるデータとして用いられる反射センサ基準出力値EDSとを含んでいる。なお、補正処理実行用データEDは、他のデータを有しているものとしても良い。
【0040】
発光量補正処理用データEDLは、基準発光信号値データEDLiと、基準受光信号値データEDLrとを含んでいる。基準発光信号値データEDLiは、第1と第2の発光素子210,220がそれぞれ第1と第2の透過光L1t,L2t及び第1と第2の反射光L1r,L2rを照射するときに、発光素子に供給される駆動信号(発光信号)のレベルを示す発光信号値i1t,i2t,i1r,i2rを含むデータである。基準受光信号値基準データEDLrは、この発光量補正処理おいて上述した4種のセンサSt1,St2,Sr1,Sr2が機能する際に、第1と第2の受光素子230,240が出力する受光信号レベルの基準値(目標値)である基準受光信号値r1t,r2t,r1r,r2rを含むデータである。
【0041】
図9は、第2工程(図7;ステップS20)における検出部200を示す概略図である。図9は、紙幣搬送部250に紙幣BLがない点以外は、図5(A)とほぼ同じである。この第2工程では、紙幣搬送部250に検出対象が配置されていない状態において、第1の発光素子210と第2の受光素子240とは、第1の透過センサSt1として機能して受光データを出力する。このとき、第1の透過センサSt1の出力値が基準受光信号値データEDLrの基準受光信号値r1tに達するように、第1の発光素子210に供給する発光信号のレベルを変動させる。このときの変化分を基準発光信号値データEDLiの基準発光信号値i1tを基に変化量Δi1tとして得る。
【0042】
次に、第3工程(図7;ステップS30)において、第1の透過光L1tの基準発光信号値i1tと補正後の発光信号値(i1t+Δi1t)との比を第1の透過光変動率Cf1tとして算出する(式(1))。
cf1t=i1t/(i1t+Δi1t)……(1)
【0043】
図10は、第4工程(図7;ステップS40)における検出部200を示す概略図である。図10は、第1の透過光L1tに換えて第1の反射光L1rが示されている点以外は、図9とほぼ同じである。上述したように、第1の反射センサSr1として機能するとき、第1の受光素子230は、紙幣搬送部250の紙幣BLからの反射光を受光するが、この発光量補正処理においては、紙幣搬送部250には、光を反射する媒体が配置されていない。しかし、検出部200の紙幣検査450の壁面451,452にはそれぞれ第1と第2の反射基準板RS1,RS2が配置されている。加えて、第1の発光素子210は指向性が広く、第1の発光素子210の発光光の照射範囲Lsは図中の破線で示す範囲となる。従って、図中の矢印に示すように第1の反射光L1rを第2の反射基準板RS2に反射させて第1の受光素子230に受光させることが可能である。このようにして、この第4工程では、紙幣搬送部250に検出対象が配置されていない状態において、第1の発光素子210と第1の受光素子230とが、第1の反射センサSr1として機能して受光データを出力する。この構成において、この第4工程では、第2工程と同様に、第1の反射センサSr1の出力値が基準受光信号値データEDLrの基準受光信号値r1rに達するように、第1の発光素子210に供給する発光信号のレベルを変動させる。
【0044】
次に、第5工程(図7;ステップS50)において、発光量補正モジュール322は、第3工程(図9(B))と同様に、式(2)に示すように、第1の発光素子210の第1の反射光L1rの発光信号値の変化量Δi1rを用いて、第1の反射光変動率cf1rを算出する。
cf1r=i1r/(i1r+Δi1r)……(2)
【0045】
これまでの説明からも理解できるように、本実施例の構成において反射基準板RS1,RS2は、発光量補正処理において反射光の基準値を決定するための基準媒体として機能する。反射基準板RS1,RS2としては、経年劣化による退色傾向の低い部材で構成することが好ましい。
【0046】
次に、発光量補正モジュール322は、第6工程(図7;ステップS60)として、第3工程及び第5工程で算出した2つの変動率cf1t,cf1rの平均値CFを算出する。
CF=(cf1t+cf1r)/2……(3)
【0047】
第7工程(ステップS70)では、第1の透過光L1t及び第1の反射光L1rのそれぞれについて、最終的な補正後の発光レベルである補正後発光信号値I1t,I1rを算出する。具体的には、発光信号値の変化量Δi1t,Δi1rに対して第6工程で得た変動率の平均値CFを乗算して初期の発光信号値i1t,i1rと加算することによって、補正後発光信号値I1t,I1rを得る。
1t=i1t+Δi1t×CF……(4a)
1r=i1r+Δi1r×CF……(4b)
第8工程(ステップS80)において、第1の発光素子210の発光レベルを補正後発光信号値I1t,I1rに設定する。
【0048】
発光量補正モジュール322は、第2の発光素子220についても同様に発光量補正処理を実行するが、説明は省略する。なお、この補正処理は、紙葉類識別装置100の起動時に毎回実行されるものとしても良いし、紙幣が紙幣搬送部250に配置されていない状態の任意のタイミングで実行されるものとしても良い。
【0049】
このように変動率の平均値CFを発光量の補正量に反映することによって、透過光の発光量と反射光の発光量のいずれか一方のみが過剰に増加されてしまうような補正を抑制できる。例えば、第1の反射光L1rの光路上(図9(A))にのみ塵芥や部材の損傷などの障壁が存在することによって、第1の受光素子230の受光量が減少してしまうような場合を想定する。すると、第7工程(図6のステップS70)が実行されなければ、第1の発光素子210から照射される第1の反射光L1rの発光量のみが第1の透過光L1tの発光量に比較して大きく増加してしまう可能性がある。このような補正が行われると、第1の発光素子210に対する負荷が増大し好ましくない。即ち、本実施例の構成によれば、より適正な補正処理を実行することができる。
【0050】
ここで、図8で説明した補正処理実行用データEDの取得工程について説明する。図11は、補正処理実行用データEDの取得工程を説明するためのフローチャートである。なお、この補正処理実行用データEDの取得及び不揮発性記憶部330への保存は紙葉類識別装置100の製造時において行われる。
【0051】
第1工程として、第1の透過センサSt1の発光量を調整する(ステップS110)。具体的には、紙幣搬送部250に検出対象が配置されていない状態で、第1の発光素子210に第1の透過光L1tを発光させ、第2の受光素子240の受光信号値のレベルが基準範囲(目標値)となるように、その発光信号値のレベルを調整する。その後、第2工程として、調整後の第1の発光素子210の発光信号値及び第2の受光素子240の受光信号値を不揮発性記憶部330に記憶させる(ステップS120)。即ち、この工程において、発光量補正処理用データEDLのうち、基準発光信号値データEDLiの透過光基準発光信号値i1t及び基準受光信号値データEDLrの透過光基準受光信号値r1tが取得できる(図8)。
【0052】
第3工程では、紙幣搬送部250に紙幣のような薄板状の基準媒体を配置する(ステップS130)。この基準媒体には、透過光の基準信号値を決定するキャリブレーションのための基準となる黒色や白色、グレースケール、カラーバランスなどが表示されている。第4工程として、この状態で、第1の発光素子210に第1の反射光L1rを発光させ、第1の受光素子230の受光信号値のレベルが基準範囲となるように、その発光信号値のレベルを調整する(ステップS140)。第5工程において、このときの調整後の第1の発光素子の発光信号値及び第1の受光素子230の受光信号値を反射センサ基準出力値EDS(図8)として不揮発性記憶部330に記憶する(ステップS150)。
【0053】
この後、第6工程として基準媒体を紙幣搬送部250から取り除く(ステップS160)。次に、第7工程として、基準媒体などの検出対象が紙幣搬送部250に配置されていない状態で、第1の発光素子210に第1の反射光L1rを、前工程において設定された発光信号値で発光させるとともに、第1の受光素子230に受光させる(ステップS170)。なお、このとき第1の受光素子230が受光する光は、第2の反射基準板RS2からの光である。第8工程では、第7工程における第1の発光素子210の発光信号値と第1の受光素子230の受光信号値を不揮発性記憶部330に記憶する(ステップS180)。即ち、この工程において、発光量補正処理用データEDLのうち、基準発光信号値データEDLiの反射光基準発光信号値i1r及び基準受光信号値データEDLrの反射光基準受光信号値r1rが取得できる(図8)。
【0054】
なお、第2の発光素子についての発光量補正処理用データEDL(2つの発光量i2t,i2r、2つの基準受光量r2t,r2r)及び反射センサ基準出力値EDSも同様の工程によって取得するが、説明は省略する。
【0055】
このように、本実施例の構成によれば、紙葉類識別装置100の使用時における各素子の発光量補正処理を、基準媒体を用いることなく実行することが可能である。また、第1と第2の受光素子230,240の受光効率の差を考慮した第1と第2の発光素子210,220の発光量補正が可能である。
【0056】
B.第2実施例:
図12は本発明の第2実施例としての紙葉類識別装置100の第1と第2の発光素子210,220の発光量補正処理の工程を示すフローチャートである。なお、第2実施例の紙葉類識別装置100の構成は、不揮発性記憶部330に記憶されているデータ(後述)以外は、第1実施例で説明したものと同じである(図1)。
【0057】
図13は、不揮発性記憶部330に記憶されている補正処理実行用データEDの構成を説明するための説明図である。発光量補正処理の第1工程では、発光量補正モジュール322は、この補正処理実行用データEDを発光量補正処理に用いるために読み込む(ステップS10)。
【0058】
補正処理実行用データEDは、補正用発光信号値EDiと、初期受光率データEDKと、基準受光信号値データEDRとを含んでいる。補正用発光信号値EDiは、発光量補正処理において第1と第2の発光素子210,220に発光させる際に供給される発光レベルを指示する発光信号値i1,i2が含まれている。初期受光率データEDKには、紙葉類識別装置100の工場出荷時における初期値である第1と第2の受光素子230,240の受光効率K1,K2を含んでいる。基準受光信号値データEDRには、第1と第2の発光素子210,220が補正用発光信号値i1,i2を受けて発光したときに第1と第2の受光素子230,240のそれぞれが受光すべき反射光又は透過光の受光信号値の基準値R1t,R1r,R2t,R2rを含んでいる。なお、補正処理実行用データEDは、他のデータを有しているものとしても良い。
【0059】
図14は、第2工程(図12;ステップS220)における検出部200を示す概略図である。図14は、第1の発光素子210からの透過光L1t及び反射光L1r及び発光光の照射範囲を示す破線Ls以外は、図9とほぼ同じである。この第2工程では、第1の発光素子210が、補正用発光信号値i1を供給されて発光する。また、第1の受光素子230が基準反射板RS2によって反射した第1の反射光L1rを受光し、第2の受光素子240が、第1の透過光L1tを同時に受光する。このときの第1と第2の受光素子230,240が出力する実際の受光信号値をそれぞれr1t,r1rとする。
【0060】
このとき、受光効率が発光信号値と受光信号値との比であることから、次の連立方程式(5a),(5b)を得ることができる。
1t=C1(i1+Δi1)(K1+ΔK1)……(5a)
1r=C2(i1+Δi1)(K2+ΔK2)……(5b)
ここで、変数Δi1は、第1の発光素子210の発光量レベルの変動差分を示す。即ち、変数Δ1iの値が大きくなるほど、第1の発光素子210が補正用発光信号値i1を供給されて発光したときの発光量が低下していることを示す。また、変数ΔK1,ΔK2はそれぞれ、第1と第2の受光素子230,240の受光効率の変動差分である。即ち、変数ΔK1,ΔK2の値が大きいほど第1と第2の受光素子230,240の受光効率が低下していることを示している。なお、定数C1,C2は、センサごとの個体差等によって生じる固有の初期定数であり、紙葉類識別装置100の製造時において得られる値である。
【0061】
図15は、第3工程(図12;ステップS230)における検出部200を示す概略図である。図15は、第1の発光素子210の照射光の光路に代えて、第2の発光素子220の照射光の光路が示されている点以外は、図14とほぼ同じである。この第2工程では、第2の発光素子220に補正用発光信号値i2で発光させる点以外は、第1工程と同様である。なお、このときの第1と第2の受光素子230,240が出力する実際の受光信号値をそれぞれr2t,r2rとする。
【0062】
このとき、連立方程式(5c),(5d)を、上述した連立方程式(5a),(5b)と同様に得ることができる。
2t=C3(i2+Δi2)(K1+ΔK1)……(5c)
2r=C4(i2+Δi2)(K2+ΔK2)……(5d)
ここで、変数Δi2は、第2の発光素子220の発光量レベルの変動差分を示す。変数Δi2は、第2の発光素子220の発光量の変動差分である。また、定数C3,C4は、上述したした定数C1,C2と同様のものである。
【0063】
第4工程(図12;ステップS240)では、上記第1と第2の工程で得られた連立方程式(5a)〜(5d)を解くことによって、4つの変数Δi1,Δi2,ΔK1,ΔK2を算出する。さらに、この第4工程では、算出した4つの値Δi1,Δi2,ΔK1,ΔK2を利用することによって第1と第2の発光素子210,220の発光信号値のそれぞれの補正量ΔI1,ΔI2を求める。具体的には、第1と第2の受光素子230,240のそれぞれの反射光及び透過光の受光信号基準値R1t,R1r,R2t,R2r(図13)を用いて、連立方程式(5a)〜(5d)と同様に連立方程式(6a)〜(6d)を得る。
1t=C1(i1+Δi1+ΔI1)(K1+ΔK1)……(6a)
1r=C2(i1+Δi1+ΔI1)(K2+ΔK2)……(6b)
2t=C3(i2+Δi2+ΔI2)(K1+ΔK1)……(6c)
2r=C4(i2+Δi2+ΔI2)(K2+ΔK2)……(6d)
この連立方程式(6a)〜(6d)を解くことによって補正量ΔI1,ΔI2を算出することができる。第4工程(図12;ステップS240)では、算出した補正量ΔI1,ΔI2を反映して第1と第2の発光素子210,220の紙幣検出工程における発光量を設定する。
【0064】
このように本実施例の発光量補正処理を行えば、第1と第2の受光素子230,240のそれぞれの受光効率の変動を反映した第1と第2の発光素子の補正量を同時に求めることが可能である。
【0065】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0066】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、発光量補正モジュール322の機能の一部を第1と第2の発光制御部215,225が実行するようにすることもできる。
【0067】
C1.変形例1:
上記実施例において紙葉類識別装置100は、紙幣BLを識別するためのものとして構成されていたが、他の紙葉類を識別するために用いられるものとしても良い。
【0068】
C2.変形例2:
上記実施例において、紙幣検査450の2つの壁面451,452には2つの反射基準板RS1,RS2が配置されていたが(図3)、2つの基準板RS1,RS2は省略されていても良い。ただし、紙幣搬送部250に光を反射する媒体が配置されていない状態で、第1と第2の発光素子210,220からの反射光をそれぞれ、第1と第2の受光素子230,240が受光できるように反射面を有していればよい。
【0069】
また、反射基準板RS1,RS2は、発光量補正処理において第1と第2の受光素子230,240の反射光の受光量が向上するように反射角度を調整するように設けられていても良い。あるいは、第1と第2の発光素子210,220をアクチュエータなどによって角度調整可能なように配置して、発光量補正処理の反射光発光時には、第1と第2の受光素子230,240の受光量が増加するように角度調整するものとしても良い。
【0070】
C3.変形例3:
上記実施例において、光センサは、2つの発光素子210,220を備えていたが、いずれか一方の発光素子のみを有するものとしても良い。即ち、1つの発光素子に対して反射光及び透過光をそれぞれ受光する2つの受光素子によって光センサが構成されるものとしても良い。
【0071】
C4.変形例4:
上記実施例において、光センサは、1組の4つの素子210〜240によって構成されていたが、この1組の光センサをさらに複数組並べることによってラインセンサが構成されるものとしても良い。具体的には、4つの素子210〜240によって構成される1組の光センサをN組(N>2)だけ、紙幣BLの搬送方向(紙幣BLの走査方向)と交わる方向に並列に配置してラインセンサを構成する。このラインセンサは、各組の光センサごとに出力された受光信号値を受光データとして出力する。また、このラインセンサでは、上記実施例で説明した発光量補正処理が、各組の光センサごとに行われる。即ち、検出部200において上記実施例の発光量補正処理がN回繰り返される。
【0072】
C5.変形例5:
上記実施例において、発光量補正処理として他の処理が実行されるものとしても良い。また、発光量補正処理において第1と第2の受光素子230,240のいずれか一方のみの受光効率の著しい低下を検出した場合に、受光効率の低下している素子を特定して劣化の警告をするものとしても良い。具体的には、例えば、第1の受光素子230の受光効率に対して第2の受光素子240の受光効率が50%であったとき、第2の受光素子240の劣化を警告するものとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】紙葉類識別装置の構成を示すブロック図。
【図2】透過光センサ及び反射光センサの機能を説明するための模式図。
【図3】検出部の構成を示す概略図。
【図4】受光素子及び発光素子の配置構成を説明するための模式図。
【図5】紙幣識別工程における検出部を説明するための概略図。
【図6】紙幣識別工程における検出部を説明するための概略図。
【図7】発光量補正処理の処理工程を示すフローチャート。
【図8】補正処理実行用データの構成を説明するための説明図。
【図9】発光量補正処理を説明するための説明図。
【図10】発光量補正処理を説明するための説明図。
【図11】光センサ補正処理実行用データの取得工程を示すフローチャート。
【図12】第2実施例における発光量補正処理の処理工程を示すフローチャート。
【図13】第2実施例における補正処理実行用データの構成を説明するための説明図。
【図14】第2実施例における発光量補正処理を説明するための説明図。
【図15】第2実施例における発光量補正処理を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0074】
100…紙葉類識別装置
200…検出部
210…第1の発光素子
211,221…発光端
215…第1の発光制御部
220…第2の発光素子
225…第2の発光制御部
230…第1の受光素子
231,241…受光端
235…第1の受光出力変換部
240…第2の受光素子
245…第2の受光出力変換部
250…紙幣搬送部
251,252,253,254…ローラ
261,262…ガラス板
263,264…集光レンズ
300…主制御部
320…メモリ
321…紙幣識別モジュール
322…発光量補正モジュール
330…不揮発性記憶部
400…筐体
410,420,430,440…素子配置部
450…紙幣検査部
451,452…第1と第2の壁面
BL…紙幣
ED…補正処理実行用データ
EDK…初期受光率データ
EDL…発光量補正処理用データ
EDLi…素子発光信号値データ
EDLr…素子基準受光信号値データ
EDR…基準受光信号値データ
EDi…補正用発光信号値
ID…紙幣識別用データ
L1r…第1の反射光
L1t…第1の透過光
L2r…第2の反射光
L2t…第2の透過光
LD1…第1の受光データ
LD2…第2の受光データ
Ls…照射範囲
OA1〜OA4…光軸
S…仮想的無限平面
PD…紙幣搬送方向
RS1,RS2…反射基準板
Sr1,Sr2…第1と第2の反射センサ
St1,St2…第1と第2の透過センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射することによって検出対象物を検出する光センサであって、
前記検出対象物に向かって光を発する第1の発光素子を含む発光部と、
前記検出対象物からの光を受ける第1と第2の受光素子を含む受光部と、
前記発光部からの光を反射する反射面と、
前記発光部の発光量の補正を実行する補正部と、
を備え、
前記第1と第2の受光素子はそれぞれ、前記検出対象物が配置される検出対象物配置領域を挟んだ反対側の位置に配置されており、
前記反射面は、前記第1の発光素子と前記検出対象物配置領域を挟んで反対側の位置に配置されており、
前記検出対象物配置領域に前記被検出対象物が配置された第1の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物によって反射された第1の反射光を受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物を透過した第1の透過光を受光し、
前記検出対象物配置領域に前記検出対象物が配置されていない第2の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第1の較正用反射光を受光するとともに、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの光が前記検出対象物配置領域を透過した第1の較正用透過光を受光し、
前記補正部は、前記第2の状態で前記第1と第2の受光素子が受光した光量に応じて、前記第1の状態において前記発光素子が発する発光量を設定する、光センサ。
【請求項2】
請求項1記載の光センサであって、
前記発光部は、さらに、第2の発光素子を含み、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、前記検出対象物配置領域を挟んだ反対側の位置に設けられており、
前記第1の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の反射光と、前記第2の発光素子からの光が前記検出対象物を透過した第2の透過光のいずれかを受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の透過光と、前記第2の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第2の反射光を受光のいずれかを受光し、
前記第2の状態において、前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子から前記第1の較正用反射光と、前記第2の発光素子からの光が前記検出対象物配置領域を透過した第2の較正用透過光のいずれかを受光し、前記第2の受光素子は、前記第1の発光素子からの前記第1の較正用透過光と、前記第2の発光素子からの光が前記反射面によって反射された第2の較正用反射光のいずれかを受光する、光センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の光センサであって、
前記第1と第2の受光素子の間に、前記第1と第2の受光素子の光軸のそれぞれと等しい角度で交わる仮想的無限平面を考えたときに、前記第1と第2の受光素子の光軸と前記仮想的無限平面とのなす角度が、前記発光素子の光軸と前記仮想的無限平面とのなす角度より大きい、光センサ。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれかに記載の光センサであって、
前記第1と第2の発光素子及び前記第1と第2の受光素子が、それぞれN個(N>2)ずつ前記検出対象物の走査方向と交わる方向に並列に配置されており、これによって、前記第1と第2の発光素子及び前記第1と第2の受光素子をそれぞれ1つずつ有するN組の素子群が構成されており、前記補正部は、前記N組の素子群のそれぞれについて個別に前記発光量の補正を実行する、光センサ。
【請求項5】
紙葉類を識別するための紙葉類識別装置であって、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光センサと、
前記光センサからの検出情報を受け取る識別部と、
を備え、
前記光センサは、前記紙葉類を前記検出対象物として検出し、
前記識別部は、前記検出情報を基に前記紙葉類を識別する、紙葉類識別装置。
【請求項6】
検出対象物が配置される検出対象物配置領域に向かって光を発する発光素子と、前記検出対象物からの光を受光する受光素子とを備える光センサにおいて、前記発光素子の発光量を補正する補正方法であって、
前記受光素子は、第1と第2の受光素子を含み、
前記第1と第2の受光素子はそれぞれ、前記検出対象物配置領域を挟んで対向する位置に配置されており、
(a)前記検出対象物配置領域に光を反射する媒体が配置されていない状態において、前記発光素子が発した光を反射面で反射させた反射光を前記第1の受光素子に受光させるとともに、前記発光素子が発した光を反射されることなく前記検出対象物配置領域を透過させた透過光を前記第2の受光素子に受光させる工程と、
(b)前記第1と第2の受光素子が受光した前記反射光と前記透過光の光量に応じて、前記発光素子の発光量を設定する工程と、
を備える、補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−2830(P2009−2830A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164878(P2007−164878)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】