説明

発塵防止方法

【課題】溶銑上のスラグをスラグドラッガーなどの機械除去装置にて除滓した後に発生してしまう発塵を出来る限り防止する。
【解決手段】本発明に係る発塵防止方法は、溶銑鍋2内の溶銑1に浮かぶスラグ5を溶銑鍋2から除滓することによって露出した溶銑面に、粒径が3〜5mm以下の石灰粉体を80〜130kg/分で且つ10〜20Nm3/分の不活性ガスと共に吹き付ける。吹きつけ時には、石灰粉体と不活性ガスとの固体比を4〜13kgとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑鍋に装入された溶銑の湯面からの発塵を効果的に防止する発塵防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、脱珪処理、脱硫処理、脱りん処理などの処理を行った溶銑を処理容器から取鍋などの搬送容器に移し替えたりしたときは、発塵が発生することが知られている。製鋼工場内において発塵の発生は問題になることがあることから、発塵を防止する様々な技術が開発されてきている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1には、脱燐処理或いは脱珪処理を施した後の溶銑を輸送するための溶銑輸送容器に、溶銑の転炉脱炭精錬において生成した転炉脱炭スラグ、または、転炉から出鋼される溶鋼を収容する取鍋から発生した取鍋スラグをカバースラグとして添加し、発塵を防止する溶銑輸送容器からの発塵防止方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、溶鉄収納容器から取鍋への溶銑移し替えに際し、次工程で使用される予定の造滓剤を、溶銑1トン当たり0.5kg/t以上カバースラグとして溶銑受け入れに先立って取鍋へ投入しておくことを特徴とする溶銑移し替え時の発塵防止方法が開示されている。
特許文献3には、それぞれ転炉形式の脱燐炉と脱炭炉とを使用し、脱燐炉での精錬により得られた脱燐溶銑を脱炭炉に注銑して脱炭精錬するに当たり、脱燐炉から溶銑を一旦取鍋に出湯する際、ケイ砂、生石灰及びアルミニウムを取鍋内に投入し塩基度0.5〜1.5の低融点スラグを形成させることを特徴とする溶銑出湯中の発煙防止方法が開示されている。
【0004】
特許文献4には、溶銑を予備処理した後、この予備処理溶銑にアルミニウム含有物質を添加し、鉄成分と大気との反応を抑制して発塵を防止することを特徴とする予備処理溶銑の発塵防止方法が開示されている。
このように特許文献1〜4では、溶銑にスラグや石灰を投入することによって発塵を防止している。なお、発塵を防止する技術ではないが、溶銑に石灰など投入する技術として特許文献5〜9に示す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−241561号公報
【特許文献2】特開昭63−047322号公報
【特許文献3】特公平04−031003号公報
【特許文献4】特開昭61−228422号公報
【特許文献5】特公昭51−000060号公報
【特許文献6】特開2005−179690号公報
【特許文献7】特開2003−105423号公報
【特許文献8】特開2008−063647号公報
【特許文献9】特開平08−060226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜4では、溶銑内にスラグや石灰等を投入することによって発塵を防止するものであるが、これは溶銑を取鍋などの容器に移し替えるときの技術であり、スラグを除滓した後に発生する発塵を防止するような技術ではない。即ち、発塵を防止する技術と言えども、溶銑を容器に移すときに発生する発塵と、溶銑に浮かぶスラグを排滓したときに発生する発塵とは、発塵する環境(状況)が異なるため、特許文献1〜4の技術を用いたとしても、溶銑上に浮かぶスラグを除滓時に発生する発塵を防止することは難しいのが実情である。
【0007】
また、特許文献5〜9は発塵を防止するときと同様に石灰等を溶銑に投入する技術であるが、これらの技術は、精錬時に石灰等を溶銑に投入する技術であって発塵を防止するために石灰を投入するものとは基本的な技術が異なる。
したがって、特許文献1〜9を用いたとしてもスラグを除滓した後に発生する発塵を防止することができないのが実情である。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、溶銑上のスラグを除滓した後に発生する発塵を確実に防止することができる発塵防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的手段は、溶銑鍋内の溶銑に浮かぶスラグを前記溶銑鍋から除滓することによって露出した溶銑面に、粒径が3〜5mmの石灰粉体を80〜130kg/分で且つ10〜20Nm3/分の不活性ガスと共に吹き付けると共に、石灰粉体と不活性ガスとの固体比を4〜13kg/Nm3とすることによって、溶銑面からの発塵を防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶銑上のスラグを除滓した後に発生する発塵を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】除滓ステーションでスラグを排滓する図である。
【図2】スラグを除滓する手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発塵防止方法について説明する。
製鋼工場では、高炉から出銑した溶銑を溶銑鍋に装入し、この溶銑に対して脱珪処理、脱硫処理、脱りん処理などの処理が行われる。これらの処理では、溶銑鍋内に装入した溶銑に石灰等の精錬剤を添加するためスラグが生成する。各処理で生成したスラグは、次の工程において反応効率を低下させる虞があるため、次の処理前に取り除くスラグ排滓処理を行うことがある。
【0013】
図1には、転炉精錬前の溶銑に対してスラグ排滓処理を実施している様子を模式的に示したものが示されている。
この図に示すように、スラグ排滓処理を行うにあたっては、まず、例えば、混銑車にて脱りん処理を行った溶銑1を溶銑鍋2に払い出し、当該溶銑1が装入された溶銑鍋2をクレーン3(移動手段)などで吊り上げて除滓ステーションSに移動させる。除滓ステーションSでは、溶銑鍋2を吊り上げて停止させた状態で当該溶銑鍋2を傾動させ、傾動させた状態で除滓ステーションSに設置されたスラグドラッガーなどの機械装置4を用いてスラグ5を除去する。
【0014】
詳しくは、スラグドラッガー4は、除滓方向に移動可能な掻き出し部4aを備えており、掻き出し部4を排滓方向に移動させることによって溶銑1上に浮かぶスラグ5を奥側から手前側に移動させ、溶銑鍋2の開口部7からスラグ5を外部へ掻き出す。外部に掻き出されたスラグ5は、溶銑鍋2の下方手前側に設置された排滓容器8(スラグパン)に排滓される。
【0015】
ここで、溶銑1に浮かぶスラグ5をスラグドラッガー4にて掻き出したとき、溶銑1の溶銑面が露出して大気に触れることになり、溶銑1中に含まれる炭素と大気中の酸素とが反応してCOガスが発生する。このCOガスが、溶銑1が酸化されて生成された酸化鉄などのダストを巻き上げるために、溶銑面から大量の茶煙乃至は白煙が発生することとなる。これらの煙は多くのダストを含むものとなっている。即ち、スラグドラッガー4にてスラグ5を除滓しようとすると、溶銑1が一時的に裸湯(浴面が露出する)になるため、その結果、COガスが発生し発塵が発生することになる。
【0016】
このように、スラグドラッガー4にてスラグ5を除滓したときに発生した発塵は集塵フード9によって回収される。この集塵フード9は、溶銑鍋2を吊り上げて停止させる停止位置(排滓停止位置)の上方に設置されており、この集塵フード9によってスラグ5の除滓中での発塵を回収することができる。
スラグドラッガー4によるスラグ5の除滓が終了すると、溶銑鍋2の傾動状態は解除され(斜めに向けていた溶銑鍋2を垂直にして元の状態に戻す)、溶銑鍋2はクレーン3によって除滓ステーションSから別の場所、例えば、脱炭処理を行う転炉に運搬されることになる。なお、この実施形態では、上述したように、混銑車にて脱りん処理を行ったときに発生した脱りん処理時のスラグ5を除滓ステーションSにて除滓しているが、スラグ5の除滓は、脱りん処理後に限らず、脱珪処理後、脱硫処理後などの処理の後に行ってもよく、除滓するスラグ5の種類や前後の処理は限定されない。
【0017】
さて、スラグ5の除滓が終了して、溶銑鍋2が除滓ステーションSから別の場所に移動させると、溶銑鍋2は集塵フード9の設置エリアから外れるため、溶銑1から発生した発塵は上方へ立ち上ることになる。スラグ5の除滓時に発生した発塵は集塵フード9から回収されるものの、スラグ5の除滓中のみならず、スラグ5の除滓終了後も発塵が発生すると、ダストを含んだ煙が建屋(転炉建屋)の上部に付着したり建屋外部に漏洩したりし問題となることから、本発明では、発塵の発生を防止することを主眼としている。
【0018】
以下、本発明の発塵防止方法について詳しく説明する。
上述したように、スラグを溶銑鍋から除滓することによって溶銑面が露出すると、溶銑1中に含まれる炭素と大気中の酸素とが反応してCOガスが発生し発塵が発生するが、溶銑中に含まれるSi濃度がSi>0.08質量%でありSiが多い状況であると、溶銑面が露出したとしても溶銑中の炭素よりも先に珪素(Si)と大気中の酸素とが反応する。そのため、COガスが発生しにくく発塵は発生しない。本発明では、まず、スラグ5を排滓するときの溶銑に含まれるSi濃度は、発塵が発生し易い条件である溶銑中の[Si]が0.08質量%以下(Si≦0.08質量%)とし、当該溶銑上に浮かぶスラグを除去することを前提としている。
【0019】
本発明では、溶銑の湯面からの発塵を効果的に防止するために、まず、スラグ5を除去する際に露出した溶銑面に発塵防止材として石灰粉体を散布する(吹き付ける)こととしている。露出した溶銑面に石灰粉体を吹き付けると、溶銑面上に石灰粉体が広がり、露出していた溶銑面が石灰粉体によって覆われるため、溶銑と大気とが触れにくくなる。その結果、溶銑中の炭素と大気の酸素との反応が起こらないようになり、発塵を防止することができる。なお、発塵防止材として様々なものが考えられるが、石灰はスラグ5除滓後の次工程において必要なものであり、次工程での処理を阻害するものではない。逆に、次工程における石灰の投入をこの時点で行うことができ、生産効率を上げることができる。
【0020】
具体的には、集塵フードを設置した部分に石灰粉体を不活性ガスと共に吹き付ける吹付ノズル10を設け、この吹付ノズル10によって露出した溶銑面に、石灰粉体(石灰の粒体)が混合された不活性ガスを吹き付けることとしている。
詳しくは、粒径が3〜5mmの石灰粉体を80〜130kg/分で且つ10〜20Nm3/分の不活性ガスと共に露出した溶銑面に吹き付け、溶銑面の全体を石灰粉体で覆う。
【0021】
石灰粉体の粒径が3mm未満であると、石灰粉体が小さ過ぎるため、不活性ガスと共に溶銑面に向けて石灰粉体を吹き付けたとしても、熱気などによる上昇流により飛ばされて、石灰粉体が溶銑面に到達しない。一方、石灰粉体の粒径が5mmを超えると、上昇流によって飛ばされにくくなり、溶銑面に到達し易くなるものの、大きすぎるために溶銑面の全体に広がり難く、十分に発塵を防止することは難しくなる。
【0022】
このようなことから溶銑面に吹き付ける石灰粉体の粒径は3〜5mmであることが必要である。
一方、石灰粉体の吹き付け量が80kg/分未満であると、石灰粉体を吹き付けたとしても、その量が少なすぎるために溶銑面上に一様に広がり難く、石灰粉体が溶銑面上に一様に広がるために非常に長い時間が掛かることになる。一方、石灰粉体の吹き付け量が130kg/分よりも多いと、集中的に一挙に溶銑面に石灰粉体が散布されて、石灰粉体が溶銑面に叩き込まれる状態(叩き込み状態)となる。叩き込み状態になると、石灰粉体が一様に広がらず、石灰粉体によって溶銑面を覆えずに発塵が発生してしまう虞がある。
【0023】
このようなことから石灰粉体の吹き付け量は、80〜130kg/分であることが必要である。
さて、石灰粉体を不活性ガスと共に吹き付けることによって、石灰粉体を溶銑面上に一様に散布することができることが期待できる。しかしながら、不活性ガスの量が10Nm3/分未満であると、不活性ガスを吹き付けた効果が低下してしまうため、石灰粉体が溶銑面上に一様に広がり難い。一方、不活性ガスの量が20Nm3/分を超えると、吹き込む不活性ガスの量が多すぎるため、石灰粉体が多すぎる場合と同様に叩き込み状態になってしまう。その結果、不活性ガスと共に吹き付けた石灰粉体が一様に広がらず、石灰粉体によって溶銑面を覆えずに発塵が発生してしまう虞がある。
【0024】
このようなことから不活性ガスの吹き付け量は、10〜20Nm3/分であることが必要である。
さて、上述したように、石灰粉体の粒径、石灰粉体の吹き付け量及び不活性ガスの吹き付け量を規定することによって発塵を防止することができると期待できる。しかしながら、石灰粉体と不活性ガスとの吹きつけのバランスも重要であると考えられる。石灰粉体の吹き付け量(石灰粉体の吹き付け速度)から不活性ガスの吹き付け量(不活性ガスの吹き付け速度)を割った値を固体比としたとき、この固体比を4〜13kg/Nm3としている。
【0025】
固体比が4kg/Nm3未満であると、不活性ガスの吹き付け速度に比べて石灰粉体の吹き付け速度が少ない状態であり、不活性ガスで石灰粉体を吹き上げるような状態となる。言い換えれば、固体比が4kg/Nm3未満であると、石灰粉体の吹き付けが悪くなり、石灰粉体によって一様に溶銑面を広げることが難しくなる。一方、固体比が13kg/Nm3を超えると、石灰粉体が溶銑面に叩き込む叩き込み状態(溶銑面内にめり込む状態)となり、逆に発塵が発生する虞がある。
【0026】
このようなことから固体比は4〜13kg/Nm3であることが必要である。
以上述べた本願発明に係る搬送容器に装入された溶銑からの発塵を防止する方法を用いることで、溶銑上のスラグ5を除滓した後に発生する発塵を確実に防止することができる。
【実施例】
【0027】
次ぎに、本願発明に係る発塵防止方法を用いた実施例について説明する。
表1〜6は、本発明の発塵防止方法で発塵の防止を行った実施例と、本発明の発塵防止方法で発塵の防止を行わなかった比較例とをまとめたものである。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
【表6】

【0034】
まず、実施例と比較例との実施条件について説明する。
スラグの除滓する際に使用した溶銑鍋の容量は最大で270tonの溶銑を貯留するものである。溶銑中の[Si]は0.08質量%以下とした。不活性ガスは、窒素ガスとした。なお、不活性ガスは窒素ガスに限定されず、例えば、Arガスであってもその他のガスであってもよい。石灰粉体は、CaO≧90質量%、MgO≦0.8質量%、SiO2≦0.5質量%を含有するものであって、成分を満たすものであればどのようなものでもよく、例えば、転炉の脱炭精錬で発生した転炉スラグでもよい。石灰粉体の粒度は、JIS Z8801(試験用ふるい)に示されている篩を用いることにより決定した。
【0035】
実施例においては、図2のステップ1(S1)に示すように、除滓ステーションSに溶銑鍋2を移動させ、集塵フード9の下側(直下)で溶銑鍋2を傾動させる。溶銑鍋2の傾動は、溶銑鍋2の溶銑1が外部へ流れない程度であって、例えば、垂線からの傾動角が45度以下である。
その後、S2及びS3に示すように、スラグドラッガー4にてスラグ5を除滓すると共に、溶銑面に石灰粉体を不活性ガスと共に溶銑面上に満遍なく吹き付ける。そして、S4に示すように、スラグ5が十分に除滓されていることを目視にて確認し、さらに、石灰粉体にて溶銑面を覆い且つ発塵がおさまっていることを目視で確認した後、石灰粉体及び不活性ガスの吹き付けを停止する。
【0036】
S5及びS6に示すように、集塵フード9の下側で溶銑鍋2を垂直状態(傾動を停止して元の状態に戻す)にした後、クレーン3にて集塵フード9の直下にある溶銑鍋2を、集塵フード9外へ移動させて、溶銑鍋2を転炉へ向けて移動させる。なお、比較例においては、S4において発塵がおさまっていることを確認せずに、スラグ5の除滓が終了したら次に進むこととしている。
【0037】
実施例及び比較例では、スラグ5の除滓後、溶銑鍋2を集塵フード9外へ移動させたとき、溶銑鍋2から発塵が発生していない状態(発塵がおさまっている状態)を発塵「無」しとし、発塵が発生している状態を発塵「有」とした。また、スラグ5の除去後に溶銑面を見たときに溶銑が石灰粉体に覆われておらず、溶銑が露出している状態を「裸湯有」とし、溶銑が覆われていて露出していない状態を「裸湯無」とした。
【0038】
比較例では、石灰粉体の粒度が3mm未満であったり、5mmを超えている場合は、発塵が生じた(表中、評価「有」)。比較例では、不活性ガスの吹きつけ量(吹きつけ速度)が10Nm3/分未満であったり、20Nm3/分を超えている場合は、発塵が生じた(表中、評価「有」)。また、比較例では、石灰粉体の吹きつけ量(吹きつけ速度)が80kg/分未満であったり、130kg/分を超えている場合は、発塵が生じた(表中、評価「有」)。さらに、石灰粉体と不活性ガスとの固体比が4kg/Nm3未満であったり、13kg/Nm3を超えている場合は、発塵が生じた(表中、評価「有」)。
【0039】
即ち、比較例に示すように、石灰粉体の粒度、不活性ガスの吹きつけ量(吹きつけ速度)、石灰粉体の吹きつけ量(吹きつけ速度)、固体比のいずれか1つでも本発明の規定する範囲から外れている場合は、発塵が生じた。
一方、実施例では、石灰粉体の粒度は3〜5mmであり、不活性ガスの吹きつけ量は10〜20Nm3/分であり、石灰粉体の吹きつけ量は80kg/分〜130kg/分であり、固体比は4〜13kg/Nm3であるため、発塵が発生することはなかった(表中、評価「無」)。
【0040】
以上、本発明によれば、溶銑上のスラグ5を除滓した後に発生する発塵を確実に防止することができる。例えば、少なくとも除滓ステーションSから転炉までの溶銑鍋2の移動ルート上が建屋で覆われている場合、建屋内に発塵が立ち上ることを防止することができ、建屋外部に発塵が漏洩することもない。さらには、非常に少ない石灰の量で溶銑面を一様に覆うことができて溶銑からの発塵を確実に防止できる。例えば、溶銑1t当り0.3kg以下の量で覆うこともでき、100%発塵を防止することができる。
【0041】
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0042】
1 溶銑
2 溶銑鍋
3 クレーン
4 スラグドラッガー
4a 掻き出し部
5 スラグ
7 開口部
8 排滓容器8
9 集塵フード
10 吹付ノズル
S 除滓ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶銑鍋内の溶銑に浮かぶスラグを前記溶銑鍋から除滓することによって露出した溶銑面に、粒径が3〜5mmの石灰粉体を80〜130kg/分で且つ10〜20Nm3/分の不活性ガスと共に吹き付けると共に、石灰粉体と不活性ガスとの固体比を4〜13kg/Nm3とすることによって、溶銑面からの発塵を防止することを特徴とする発塵防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−229478(P2012−229478A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99448(P2011−99448)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】