説明

発泡ウレタンの処理方法及びその処理装置

【課題】発泡ウレタンを高温高圧下で薬剤と反応させてモノマー化する際に、薬剤の注入を的確に行うことができる発泡ウレタンの処理方法及びその処理装置を提供する。
【解決手段】発泡ウレタンを供給用押出機11に投入し、該供給用押出機11内のスクリュー11sで発泡ウレタンを押し出しながら加圧すると共に発泡ウレタンを加熱し、供給用押出機11に接続した薬剤注入装置16から薬剤を高温高圧の発泡ウレタンに注入し、その後前記供給用押出機11から反応管12に流通させて発泡ウレタンを高温高圧場を利用してモノマー化するに際して、スクリュー11sに加えられているトルク値をもとに前記薬剤注入装置16を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電または自動車、建築物などに使用されている発泡ウレタンの廃棄物をリサイクル処理するための発泡ウレタンの処理方法に係り、特に、発泡ウレタンを薬剤を用いた分解反応により処理する発泡ウレタンの処理方法及びその処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が重要となる中で、廃棄物処理費用が年々高くなっている。発泡ウレタンなどの熱硬化性樹脂についても再生再利用の気運が高まっている。発泡ウレタンのリサイクル方法がいくつか提案されているが、その処理速度を向上させるために高温高圧下の化学反応を利用することが考えられる。
【0003】
一方、発泡ウレタンの廃棄物は密度が0.1以下で非常にかさ高く、化学処理する場合にも減容処理の方法が重要な課題である。特に断熱性を保つために、気泡が独立しており機械強度が高い。そのため気泡を破壊しながら減容する必要が有る。この問題を解決するために押出機を利用することが提案されている。
【0004】
しかし、かさ高く比重が軽いため押出機への材料の供給性が悪い、原料がかさ高いので反応時間を保持するために、反応容器を大きくすると反応の均一性を保つことが難しいという問題がある。
【0005】
このような状況の中で、二軸押出機を利用して、その中で化学反応を利用しながら分解微細化する方法(特許文献1)や加熱しながら圧縮する方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−20023号公報
【特許文献2】特開平11−138540号公報
【特許文献3】特開2007−204516号公報
【特許文献4】特開2005−330365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では二軸押出機を用いているために装置のコストが高くなる。また、反応時間が十分に保持できないという問題がある。
【0008】
この反応時間の問題を解決するために特許文献3では反応槽を押出機に取り付けて滞留時間を確保している。しかし、この方法は、押出機から連続的に反応槽に供給された原料が反応槽に保持される構造なので、反応槽からの生成物の排出は連続的ではない。そのため、反応槽に始めに供給された原料と最後に供給された原料の間には供給に要した時間に相当する反応時間の違いが生じる。そのため生成物が不均一になる。
【0009】
一方、架橋ポリエチレンを処理するための装置として特許文献4のように反応管を押出機に取り付ける装置が提案されている。
【0010】
特許文献4に示される装置であれば、反応管からの生成物を連続的に吐出できるので反応時間を均一にコントロールすることが可能である。この特許文献4で、押出機に高圧で液体やガスを注入する場合、始めに樹脂のみを押出機に供給して押出機内を充満させ、注入する液体やガスがホッパ側に漏れないようにする必要が有る。
【0011】
すなわち、1つ目の課題として、押出機への液体やガスの注入のタイミングを誤るとそれらがホッパ側へ漏れる問題が挙げられる。押出機は圧力容器なので材料がどこまで供給されたのかを確認することが困難であるという問題があった。
【0012】
さらに、装置の立ち上げの段階では十分な薬剤を注入されていないポリマーが反応管を通ることになる。その結果反応管から吐出される材料は未反応生成物を多く含むことになる。特許文献4では生成物も供給する原料もポリマーであることが想定されているので、粘度の変化は大きくない。しかし、ポリウレタンをモノマー化するような場合、生成物は常温で液体となり、場合によっては気体となる場合も考えられる。また反応管内では気体になっている。このような場合、注入する薬剤または反応が進んでできた生成物は押出機のホッパ側へ容易に逆流する。ポリマーからポリマーを得る場合は薬剤の逆流と同時にポリマーも逆流するため、押出機内でホッパ側へ逆流したポリマーは押出機で再び反応管側へ押し戻される結果、押出機内が充満して下流側の薬剤の逆流を防止することが可能であるが、生成物が常温で気体や液体の物質の場合は粘度が低いため一度逆流すると再び反応管側へ押し戻すことが難しく、その結果薬剤や生成物が定常的に逆流し続ける問題が発生する。
【0013】
さらにこの状態が続くとシリンダー壁面が薬剤や生成物によって濡れる結果、原料を供給することができなくなり、結果として反応管側へ材料が送れなくなる問題が発生する。
【0014】
すなわち、ポリマーのモノマー化に押出機を利用する場合、特許文献4では大きな問題とならなかった点が先に示した一つ目の課題として重要となる。
【0015】
さらに、装置立ち上げ時には薬剤を供給しない状態で押出機に投入した原料が始めに排出されることになり、反応が不十分な生成物が吐出される。加えて、装置停止の際にはシールの破壊によるホッパ側への原料の逆流を防止するために、薬剤の供給を止めてから原料または熱可塑性ポリマーなど反応管内を置換するための材料を供給しつづけて反応管内の薬剤を排出した後に装置を止める必要がある。そのため、装置停止時にも反応管の出口から、原料または薬剤の置換を目的とする生成物以外の物質が排出される。
【0016】
モノマーを得る装置においては、反応管から吐出されるモノマーが気体となっているため生成物の回収装置は密閉型となっている必要がある。したがって、上記のような目的とする物質以外のものを連続運転中に取除くことが困難である。また、同様の理由で検査のために運転途中で生成物をサンプリングすることも困難であった。
【0017】
したがって、2つ目の課題として連続的に密閉容器内に吐出される生成物を任意の時間帯において外に取り出す方法が挙げられる。さらに、上述のように密閉の生成物回収容器内に排出される物質の性状が変化するため、生成物回収容器内の圧力も変動し、安全に運転するための工夫が必要とされることが明らかになった。
【0018】
このような課題から、押出機を用いて連続的にモノマーを生成することが可能な方法が提案されているにもかかわらずリサイクルが困難であり、現在はほとんどが埋立てられている。しかし埋立コストや埋立地の容量の問題が生じており、廃棄物の削減は必須の課題である。
【0019】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、発泡ウレタンを高温高圧場で薬剤と反応させてモノマー化する際に、薬剤の注入を的確に行うことができる発泡ウレタンの処理方法及びその処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、該供給用押出機内のスクリューで発泡ウレタンを押し出しながら加圧すると共に発泡ウレタンを加熱し、供給用押出機に接続した薬剤注入装置から薬剤を高温高圧の発泡ウレタンに注入し、その後前記供給用押出機から反応管に流通させて発泡ウレタンを高温高圧場を利用してモノマー化するに際して、スクリューに加えられているトルク値をもとに前記薬剤注入装置を制御することを特徴とする発泡ウレタンの処理方法である。
【0021】
請求項2の発明は、発泡ウレタンを分解処理する前に、あらかじめ発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、前記供給用押出機に接続された前記薬剤注入装置の薬剤注入部に到達する時点の前記スクリューのトルク値を測定しておき、発泡ウレタンをモノマー化する際に、前記測定したトルク値以上になってから、前記薬剤注入装置よりあらかじめ加熱した薬剤を注入する請求項1記載の発泡ウレタンの処理方法である。
【0022】
請求項3の発明は、前記反応管でモノマー化された発泡ウレタンのモノマーを、圧力調整装置を通して減圧した後、生成物回収容器内に導入し、その生成物回収容器により圧力を調整しながら分解処理されたモノマーを回収する請求項1又は2記載の発泡ウレタンの処理方法である。
【0023】
請求項4の発明は、前記生成物回収容器内は、可動式の未分解生成物回収容器を備え、前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に導入される生成物を可動式の未分解生成物回収容器で選択的に回収して、十分反応していない生成物を採取する請求項3記載の発泡ウレタンの処理方法である。
【0024】
請求項5の発明は、前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に生成物を排出する配管には、サンプリング器具が設けられ、そのサンプリング器具で、前記圧力調整装置から排出される生成物を採取する請求項3記載の発泡ウレタンの処理方法である。
【0025】
請求項6の発明は、薬剤が、ジオールまたはヒドロキシル基を二つ以上持つポリオールであり、生成物として得られるモノマーがヒドロキシル基を二つ以上持つポリオールである請求項1記載の発泡ウレタンの処理方法である。
【0026】
請求項7の発明は、発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、該供給用押出機内のスクリューで発泡ウレタンを押し出しながら加圧すると共に発泡ウレタンを加熱し、供給用押出機に接続した薬剤注入装置から薬剤を高温高圧の発泡ウレタンに注入し、その後前記供給用押出機から反応管に流通させて発泡ウレタンを高温高圧場を利用してモノマー化する発泡ウレタンの処理装置において、前記スクリューを駆動するモータにトルクセンサを設け、そのトルクセンサのトルク値をもとに前記薬剤注入装置を制御することを特徴とする発泡ウレタンの処理装置である。
【0027】
請求項8の発明は、前記反応管の出口に圧力調整装置が接続され、その圧力調整装置に、生成物を冷却して回収する生成物回収容器が接続され、その生成物回収容器内に、十分反応していない生成物を採取する可動式の未分解生成物回収容器が設けられる請求項7記載の発泡ウレタンの処理装置である。
【0028】
請求項9の発明は、前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に生成物を排出する配管には、前記圧力調整装置から排出される生成物を採取するサンプリング器具が設けられる請求項7記載の発泡ウレタンの処理装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、家電または自動車や建築物などに使用されている発泡ポリウレタンの廃棄物を供給用押出機を用いて高温高圧雰囲気中で連続的に化学処理する際に、薬剤注入を的確に行うことで、薬剤の逆流を防止した連続的な処理が可能になるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示した生成物回収容器の詳細を示す図である。
【図3】本発明の実施例で得られた生成物の分子量分布の測定結果を示す図である。
【図4】本発明において、薬剤を注入するタイミングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0032】
先ず図1により発泡ウレタン処理装置を説明する。
【0033】
図1において、10は、発泡ウレタン供給フィーダで、その発泡ウレタン供給フィーダ10に供給用押出機11が接続され、その供給用押出機11の吐出口11dに反応管12が接続され、反応管12に、バルブやギアポンプなどからなる圧力調整装置13を介して生成物回収容器14が接続される。
【0034】
発泡ウレタン供給フィーダ10に投入される発泡ウレタンPは、家電または自動車や建築物など、断熱用に用いられている廃棄物としての発泡ポリウレタンで、粉砕して常温で加圧圧縮されたものなどからなる。
【0035】
発泡ウレタン供給フィーダ10は、スクリューフィーダ、テーブルフィーダ、サークルフィーダなどを用いれば良く、供給量が安定したものを選ぶ必要がある。供給量を測定して供給速度を自動調整するロスインウェイト方式の方がより好ましい。
【0036】
供給用押出機11は、図示のようにシリンダー11c内に単軸のスクリュー11sを設けて形成される。単軸押出機のほかにスクリューが二本の二軸押出機を始め多軸のものが市販されているが、本発明では、構造が単純で安価な単軸押出機とする。単軸押出機を有効活用してウレタンを加圧する方法としては特願2010−104900の方法と同じとした。
【0037】
供給用押出機11として、単軸押出機を用いた場合も単軸押出機へのポリウレタン供給に押出機からなる供給フィーダ10を用い、ホッパ11hと供給用押出機11の接合部にあたる供給用押出機11のシリンダー11cに設けられた開口部11aの50%以上を占める面積が供給する原料に覆われない条件で材料を供給することが好ましい。供給する材料が少ない場合、開口部11aに供給された材料はすぐにシリンダー11cの吐出方向に送られて無くなるので開口部11aは原料に覆われない。供給量を増加させると、開口部11aの吐出側が原料に覆われてくる。さらに供給量を増加させると原料が徐々に開口部11aの全体に広がっていく。ブリッジのしやすさは開口部11aに溜まった原料の重さに対して、開口部11aの壁面と原料の摩擦抵抗力が大きくなるほどブリッジしやすくなる。したがって、開口部11aが完全に原料でふさがれて開口部11aの壁面と原料の接触面積が広くない状態を保って運転することが好ましい。
【0038】
供給用押出機11として、単軸押出機でポリマーを押し出す際、一般にはフィーダが無くても材料を供給可能である。しかし、とくに発泡していて比重が軽く形状がバラバラでブリッジしやすい粉砕物などを供給する場合には上記のように供給フィーダ10を使用してシリンダー11cの開口部11aが完全に原料に満たされない状態にコントロールすることが有効である。
【0039】
この供給用押出機11の吐出口11dの近くには、すなわち、吐出口11dの上流側で、かつ発泡ウレタンPで押出し加圧され供給用押出機11内が原料でシールゾーンZcが形成されるより下流側に、ジオール等の薬剤を注入する薬剤注入部15が形成され、その薬剤注入部15に薬剤を加熱して供給する薬剤注入装置16が接続される。薬剤注入装置16は、薬剤タンク17と、薬剤タンク17と薬剤注入部15を結ぶ薬剤配管18と、薬剤配管18に接続され薬剤を加圧して供給する薬剤ポンプ19と、薬剤配管18内の薬剤を加熱するヒータ21とからなる。
【0040】
薬剤として用いるジオール(グリコール)は、エチレングリコールやジエチレングリコールを用いることが最も有効と考えられるがこれに限ったものではない。例えばジオールを含む多価アルコールを使用することも可能である。例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルカルビトール、トリエチレングリコール、エチルカルビトール、テトラエチレングリコール、ブチルカルビトールなど多官能なアルコール類を単独または二種類以上混合して用いることもできる。
【0041】
薬剤を加熱せずに室温で押出機に供給し、その後反応管の外部から加熱すると、生成物を得ることはできるが反応管内部の温度分布が発生する。すなわち常温で薬剤を押出機に供給した場合、押出機または反応管の中で材料を加熱することになる。このとき押出機や反応管の壁面から加熱することになるので温度分布が生じやすく、その結果反応生成物が均一にならない問題がある。このため、未反応の固形分が生成物に含まれる問題が発生するので薬剤をあらかじめ加熱しておくのが好ましく、あらかじめ加温した薬剤を注入することで拡散を促進するとともに、温度を均一にすることが可能となる。
【0042】
供給用押出機11は、そのスクリュー11sがモータ20で駆動される。モータ20に、トルクセンサ22が設けられ、トルクセンサ22の検出値で薬剤注入装置16の薬剤ポンプ19が制御されるようになっている。
【0043】
ポリウレタンの分子鎖骨格は150℃〜250℃において主鎖の運動が見られる。150℃以上にすることで押出機内でポリウレタンを圧縮することが可能である。一方、250℃よりも高温にするとウレタンがシリンダー表面で滑って強い力で材料を前に送ることができなくなり、結果として圧縮することができない問題がある。
【0044】
そこで、供給用押出機11から反応管12にいたるまでの装置構成において、供給ゾーンZaおよび加圧ゾーンZbの温度を、それぞれ100℃〜150℃および150℃〜250℃とし、反応管12内の反応ゾーンZdの温度および圧力を200℃〜300℃、圧力0.5MPa〜10MPa,反応時間5〜30分を維持することで、供給と加圧と分解反応が可能である。すなわち独立した温度調節ゾーンZa、Zb、Zdを3つ以上もっている必要がある。
【0045】
ここで、反応管12内での反応温度は200℃〜300℃とすることが好ましい。反応温度を200℃より低くした場合、生成物の分解が遅く、目的とするポリオールは得られるが、反応が十分進まないことにより、残った固形分の成分が混入するので反応温度は200℃以上が好ましい。また反応温度を300℃よりも高くすると生成物の分解が進みすぎてアミンが発生し、強い異臭が発生するので、反応温度は300℃以下が好ましい。
【0046】
供給用押出機11および反応管12は耐圧設計された容器である必要がある。
【0047】
ここで供給用押出機11の吐出口11dの温度は、原料(発泡ウレタン)の軟化点温度以上、かつ軟化点+100℃高温以下で、かつ押出機吐出口の温度をA(℃)、薬剤の注入温度B(℃)、反応温度をC(℃)、原料の吐出量をWa(g/min),薬剤の注入量をWb(g/min)としたとき、すべての状態で比熱が1の場合に薬剤混合前の温度A,Bと混合後の温度C’には次のような関係がある。
C'(Wa+Wb)=AWa+BWb
C'=(AWa+BWb)/(Wa+Wb) …(1)
【0048】
C’の温度を目的とする反応温度Cに対して、C-50<C'<C+50の範囲にあることが好ましい。このC-50<C'<C+50に(1)式を代入し、
C-50<(AWa+BWb)/(Wa+Wb)<C+50
(C-50)(Wa+Wb)<AWa+BWb<(C+50)(Wa+Wb) …(2)
(2)式の(C-50)(Wa+Wb)<AWa+BWbより、
(C-50)(Wa+Wb)−AWa<BWb
[(C-50)(Wa+Wb)−AWa]/Wb<B …(3)
(2)式のAWa+BWb<(C+50)(Wa+Wb)
BWb<(C+50)(Wa+Wb)−AWa
B<[(C+50)(Wa+Wb)−AWa]/Wb …(4)
(3)、(4)式からC’の温度を目的とする反応温度Cに対して、C-50<C'<C+50の範囲にコントロールするためには、薬剤の注入温度Bは以下の条件
[(C-50)(Wa+Wb)−AWa]/Wb<B <[(C+50)(Wa+Wb)−AWa]/Wb
を満たせばよい。
【0049】
より正確にはWa,Wbに代わって各物質の熱容量を勘案した値を用いた方が良い。すなわち
Wa'=Wa・Ca
Wb'=Wb・Cb
(Ca,Cbは各物質A,Bの熱容量)をWa,Wbに代わって用いる方がより好ましい。
【0050】
生成物回収容器14は、反応管12で高温・高圧場で発泡ウレタンと薬剤とが反応して分解したモノマーを冷却するために、外周に冷媒で冷却するジャケット24を備え、内部に固形分(不純物)Sを捕捉してモノマーをろ過するフィルタ25が設けられ、下部に排出弁26が設けられる。また生成物回収容器14には、背圧弁27を介してトラッパー28が接続され、さらに熱交換器29を介してタンク30が接続され、そのタンク30に排気管31が接続される。背圧弁27は、生成物回収容器14内の圧力を一定に保つと共に一定圧以上のときにガスをトラッパー28に排気する。トラッパー28では、ガス中の固形分等を除去し、ガス分を熱交換器29に流す。熱交換器29では、ガスを冷却して凝縮性ガスを液化してタンク30に送る。タンク30では液分が回収され、不凝縮性ガスが排気管31から排気されるようになっている。また、生成物回収容器14には、生成物回収容器14内の圧力が異常上昇したときにガスを排出する安全弁32が接続される。
【0051】
さて、反応管12に接続した圧力調整装置13と生成物回収容器14を接続する配管33には、サンプリング器具34が設けられ、生成物回収容器14内には、可動式の未分解生成物回収容器40が設けられる。これらはどちらか一方あるいはその両方の設備を取り付けることにより、装置の稼働開始時または停止時に生成する目的とする物質以外のものを生成物回収容器14から除去することができるものである。
【0052】
サンプリング器具34は、配管33に接続されたフォルダー35と、そのフォルダー35に設けられたボール弁36と、フォルダー35内に移動自在に設けられ、先端部が半割にされたサンプリング管37と、フォルダー35とサンプリング管37間をシールし、サンプリング後にサンプリング管37でサンプリングした生成物を取り出すべくフォルダー35の後端部35aを開放するためのフォルダ固定兼軸シール継手38とからなる。フォルダ固定兼軸シール継手38は、後端部35aを、配管33に接続したフォルダー基部35bに締め付けて固定するネジ式タイプなどで構成される。
【0053】
このサンプリング器具34は、ボール弁36を介して配管33の流路にサンプリング管37の半割りにした先端を差し込み、配管33から流下する生成物を直接サンプリング管37に採取する。この際、フォルダー35は、サンプリング管37を差し込んだ時に内圧が上がって、このサンプリング管37が飛び出さないようにその圧力を保持し、サンプリング後は、サンプリング管37をボール弁36より後方に移動したのち、ボール弁36を閉じ、その後、フォルダ固定兼軸シール継手38にて後端部35aを開放することでサンプリング管37で採取した目的外の生成物または、生成物サンプルを取り出すことができる。
【0054】
可動式の未分解生成物回収容器40は、L字に曲がったアーム41にて生成物回収容器14の頂板に取り付けられており、アーム41が頂板にOリング等のシール装置42で、密閉性を損なうことなく回転自在に取り付けられている。
【0055】
次に、図1、図2に示した発泡ウレタン処理装置を用いた発泡ウレタン処理方法を説明する。
【0056】
上述したように供給フィーダ10から発泡ウレタンPが供給用押出機11に供給され、スクリュー11sの回転で供給ゾーンZaから加圧ゾーンZbに加熱されながら押し出される。ここで、供給ゾーンZaでの温度は100℃〜150℃、加圧ゾーンZbでの温度は150℃〜250℃となり、加圧ゾーンZbの下流側で、発泡ウレタンによりシールゾーンZcが形成され、そのシールゾーンZcの下流側の薬剤注入部15から薬剤注入装置16によりジオールなどの薬剤が注入されて発泡ウレタンと共に吐出口11dから反応管12内に流通される。
【0057】
反応管12内の反応ゾーンZdでは、温度が200℃〜300℃、圧力が0.5MPa〜10MPa,反応時間(滞留時間)5〜30分に維持されて発泡ウレタンが薬剤と分解反応してモノマーが生成され、圧力調整装置13から配管33を通して生成物回収容器14に回収される。
【0058】
このとき、薬剤注入装置16のヒータ21を設けた薬剤配管18の最下流部(押出機側)の配管壁に温度計(図示せず)を設けるとともに、供給用押出機11のシリンダー11cの温度を測定する。また、供給用押出機11の吐出口11dの付近にシリンダー11cの内部の温度を測定するセンサーを設け、混合物が目的の反応温度Cに近い温度となっていることを確認することにより、上記範囲内での吐出口の温度Aおよび薬剤の注入温度Bの温度調整をコントロールする。
【0059】
一般に押出機でポリマーを加工する際には軟化点または融点+50℃〜+100℃の温度範囲で溶融成形する。発泡ウレタンの温度(吐出口の温度A)は、この経験的な設定範囲に準じることが好ましい。
【0060】
供給用押出機11で発泡ウレタンをスクリュー11sの回転で押し出し反応管12でモノマー化する場合、生成物としてのモノマーは常温で液体となり、場合によっては気体となる場合もあり、反応管12内ではほぼ気体となっている。この場合、薬剤注入部15から薬剤を注入しても、シールゾーンZcが確実に形成されていないと、薬剤が供給用押出機11を逆流してしまい発泡ウレタンを押出すことが困難となる。
【0061】
そこで、本発明においては、供給用押出機11で発泡ウレタンを押し出す際に、あらかじめ発泡ウレタンのみを押し出して発泡ウレタンが薬剤注入部15に達した時のトルク値をトルクセンサ22で測定しておき、反応押出時に材料の供給を開始した後にトルクが上昇し、上記のようにポリウレタンのみ押し出したときに測定した特定のトルク値以上になったとき、薬剤注入部15から薬剤を注入することにより薬剤の逆流を防止できるようにしたものである。
【0062】
これを、図4により説明すると、先ず押出開始時に、図4(a)に示すように、ホッパ11hからの発泡ウレタンが供給用押出機11内に取り込まれ、スクリュー11sの回転で、供給ゾーンZaに供給され、その供給ゾーンZaで加熱溶融されながら押し出され、図4(b)に示すように加圧ゾーンZbで発泡ウレタンが高温に加熱されると共に加圧され、その後、図4(c)に示すように溶融した発泡ウレタンでシールゾーンZcが形成される。この際、発泡ウレタンの供給量が一定である場合、スクリュー11sにかかるトルクは、発泡ウレタンが供給ゾーンZaから加圧ゾーンZbに押し出されて行く間に上昇し、シールゾーンZcが形成されるとほぼ一定の値となる。
【0063】
ただし、押出初期においては、反応管12内に発泡ウレタンが充満されていないので、反応管12内に発泡ウレタンを充満し、その後、薬剤注入部15を開放し、発泡ウレタンが薬剤注入部15に流入したときのトルク値を求めておけば、そのトルク値よりシールゾーンZcが形成されたことがわかり、その時点で薬剤を注入することで、逆流を防止できる。
【0064】
また供給用押出機11に投入される発泡ウレタンの量が変動し、スクリュー11sにかかるトルクが設定値より少なくなった場合には、薬剤の注入を停止することで、逆流を防止できる。
【0065】
また、課題に示したように、立ち上げ時には反応管12からは、反応が不十分な生成物が吐出されるため、まず圧力が上昇し、その後十分に反応した生成物が吐出されるため圧力が低下して一定値に達する。この時点から目的とする生成物が生成されるため、それまでは可動式の未分解生成物回収容器40を、アーム41にて配管33の直下に位置させ、反応が不十分な生成物を回収することで、未反応生成物などの混入を防止することができる。また十分に反応した生成物が吐出された後は、可動式の未分解生成物回収容器40を移動させて、目的とする生成物を生成物回収容器14に回収する。
【0066】
この際に、サンプリング器具34にて、生成物を直接サンプリングすることで生成物が未反応か十分反応しているかを的確に確認できる。
【0067】
ここで、本発明のモノマー化とは、ポリウレタンの化学原料に戻すことを言う。ポリウレタンの原料にはワックス状のものやオリゴマーを用いる場合も有り、ここでのモノマー化は必ずしもポリマーの繰り返し最小単位を表すモノマーに戻すことに限らず、ワックスやオリゴマーを得ることを含む。
【0068】
生成物回収容器14内に排出されたモノマーは、ジャケット24で冷却されて液化すると共にこれを保温し、フィルタ25を通し、排出弁26から次工程に最適な条件で排出される。
【0069】
このように処理装置の稼働開始時および停止時には反応管12の内部の条件が安定せず、完全に分解していない生成物が吐出され、生成物回収容器14の密閉性を犠牲にせずに完全に分解していない生成物を除くために生成物回収容器14内で動かすことができる可動式の未分解生成物回収容器40を設けることで、反応が十分に行われたモノマーを得ることが可能となる。
【0070】
またサンプリング器具34と可動式の未分解生成物回収容器40は、反応管12の内部の圧力を測定する圧力測定装置(図示せず)で得た測定値を基に制御されるようになっている。特に廃棄物を処理する場合は、供給物の性状にばらつきがあるので、運転中に生成物の状態をチェックする必要がある。そのため密閉された生成物回収容器14から密閉状態を維持したままサンプルを取り出す方法は有効である。
【実施例】
【0071】
次に実施例と比較例を説明する。
【0072】
(実施例1)
図1に示した処理装置で発泡ウレタンを処理した。
【0073】
発泡ウレタンは架橋構造を持つポリウレタンが用いられているので完全に溶融しない。しかし、スクリュー11sの推進力で加圧して押し出すことは可能である。供給用押出機11はシリンダー径20mm、L/D=25の押出機を用い、供給ゾーンZaおよび加圧ゾーンZbのシリンダー温度はそれぞれ160℃、170℃とした。
【0074】
原料として用いた発泡ウレタンは、断熱用に用いられている発泡ウレタンで、粉砕して常温で加圧圧縮されたものであるが、密度は0.1程度である。固化していないので簡単にくずれて粉末状になる。5mmのメッシュでふるいにかけて、ふるいを通過した発泡ウレタンを用いた。スケールアップでより大型の押出機を用いる場合は粉砕サイズを大きくすることが可能である。また、スクリュー11sの回転速度は60rpmとして実験を行った。
【0075】
供給用押出機11のホッパ11hへの発泡ウレタンPの供給はフィーダ10を用い、ホッパ部へは発泡ウレタンPを定量的に供給した。また、フィーダ10にはアジテータを取り付けて攪拌し、ポリウレタンの粉末がブリッジして供給用押出機11への供給が不安定になることを防止した。さらにフィーダ10から供給するポリウレタンの量は供給用押出機11の供給部におけるホッパ内で回転するスクリュー11sの表面を完全に覆わない範囲で供給した。ここでは2g/minのポリウレタンをホッパに供給した。
【0076】
このとき、薬剤注入部15の穴を開放した状態であらかじめポリウレタンのみを押し出し、押出を始めてからポリウレタンが穴から排出された時、すなわちポリウレタンが薬剤注入部15に達した時のトルク値をトルクセンサ22で求めた結果、2.0N・mであった。
【0077】
そこで、トルクセンサ22で、反応押出時に材料の供給時にトルクをモニタリングし、供給を開始した後にトルクが上昇してトルク値が2.0N・m以上になってから薬剤注入部15から薬剤を注入開始させるように薬剤ポンプ19を制御した。
【0078】
これにより、トルク値が2.0N・m以上となったときにはシールゾーンZcが形成され、薬剤を注入しても薬剤の逆流が生じないことが確かめられた。
【0079】
薬剤注入部15では、注入するノズルには内部で球が動く逆止弁(図示せず)を用いた。これはポリウレタンが逆流して薬剤(ジエチレングリコール)の薬剤配管18に詰まることを予防するためである。また、逆止弁の弁として動く球のストロークは短い方が反応が速く逆流を防げるので、本実験においては1mmとした。また、球から供給用押出機11のシリンダー11cの内面までの距離も短いほうが同様に逆止弁の反応が速い。逆止弁の動きが悪い場合には、トルクが十分にあがっていない段階でも薬剤が漏れ出る可能性がありその場合は材料が滑って原料が供給できなくなる可能性がある。球の位置ができるだけシリンダー11cの内面に近くなるように設計することにより、逆止弁の動きを俊敏にして逆流しにくい構造とすることができる。また、注入開始時には圧力調整装置13は閉じた状態とし、注入した液体や気体が気散しないように運転した。
【0080】
次に反応管12の内部の温度を260℃とした。反応管12の容積は100mlとした。すなわち、ポリウレタンとジエチレングリコール混合物の比重を1.0と仮定した場合に、反応条件における滞留時間が20〜30分程度となるようにした。このさらに下流側には圧力調整装置13としてバルブを設けた。バルブの出口温度は240℃とした。
【0081】
これは分解に用いるジエチレングリコールの沸点以下とすることにより、バルブ内で相転移が起こって流れが制御できなくなることを防止するためである。このバルブを開閉することにより反応管12の内部の圧力を1〜3MPaの範囲で制御した。
【0082】
さらに圧力調整装置13に配管33を介して接続した生成物回収容器14のジャケット24に冷媒を流すことにより生成物回収容器14内を冷却し、生成物の蒸気が発生しないようにした。ここでは0℃の冷媒を用いた。また、安全弁32は、生成物回収容器14内が1MPa以上に加圧されることがないようにした。
【0083】
この安全弁32により、特に可燃性のガスが排出されて生成物回収容器14内の圧力が高くなり爆発の危険性があるため、生成物回収容器14の耐圧よりも低い圧力に保つことが可能となる。
【0084】
また、安全弁32よりも低い圧力で作動する背圧弁27を取り付けその下流にトラッパー28と熱交換器29を接続することにより、生成物回収容器14で冷却しきれない溶媒を回収するようにした。
【0085】
さらに、生成物回収容器14内で図2の矢印に示す方向に動かせる可動式の未分解生成物回収容器40にて立ち上げ時に反応が十分進んでない生成物を回収し、またサンプリング器具34にて生成物サンプルを採取した。
【0086】
この可動式の未分解生成物回収容器40とサンプリング器具34の作動は、反応管12の内部の圧力を測定する圧力測定装置(図示せず)でその圧力をモニタして行った。
【0087】
すなわち、立ち上げ時は材料の充満が進むと共に圧力が上昇する。その後、化学反応が進んで材料の粘度が低下する結果、圧力も低下し、一定値に達する。圧力が一定に達する時点までに排出される目的外の生成物を、サンプリング器具34または可動式の未分解生成物回収容器40で回収することにより、運転が不安定な状態で吐出されるオーバーフローを分離した。このとき、圧力測定装置で得た測定値からサンプリング器具34または可動式の未分解生成物回収容器40をコントロールするようにした。
【0088】
反応管12内の圧力が一定になったのちは、可動式の未分解生成物回収容器40での回収をやめ、生成物を生成物回収容器14内に導入し、フィルタ25にて生成物から固形分の不純物Sを取除いた。またフィルタ25によるろ過を実施する場合には生成物回収容器14内の生成物の温度を70℃以上に加温するようにした。
【0089】
この装置を用いて得られた本発明の生成物の分子量分布を図3に示す。
【0090】
また比較として、オートクレーブにポリウレタン:ジエチレングリコール=1:1の割合で仕込んで260℃のジエチレングリコールの飽和蒸気圧中で10分間の処理を行って得られたバッチ処理のリサイクルポリオールとほぼ同じ分子量分布を持つことが分かった。バッチ処理リサイクルポリオールをバージンポリオールに10%加えたものを用いて発泡ポリウレタンを作製して得た発泡体は、熱伝導率や圧縮、曲げ機械特性についてバージン材料と同等の特性を示すことが分かっている。
【0091】
すなわち、高温高圧の薬剤でポリマーを連続的にリサイクル処理する装置として本発明は利用可能であることが分かった。
【0092】
(実施例2)
ポリウレタン粉末が非常にブリッジしやすく、ホッパとの接続部にあたる供給用押出機11の開口部11aの50%以上を覆った場合にはポリウレタン粉末の供給用押出機11への供給が安定せずに、供給用押出機11で押し出す樹脂量にバラツキが生じる結果、滞留時間にバラツキが生じ、生成物の特性がばらついたり、場合によっては材料の供給が足りずにシールが不完全になって薬剤や生成物がホッパに逆流する可能性がある。このときのスクリュー11sの回転数は50rpmとした。
【0093】
また、このとき用いた供給用押出機11のスクリュー形状は、流路断面積比Rと押出機のシリンダーの長さと直径の比であるL/Dとの関係において、Rが4でかつ断面積が変化するテーパー部を有する部分のL/Dが10であるものを用いた。このとき、スクリューの吐出側の流路断面積を狭くすることにより原料を圧縮することで、下流側に注入される薬剤をシールした。
【0094】
このテーパー部の温度の影響で圧縮時の圧力の安定性が大きく変化するので、130℃〜250℃の範囲が望ましい。ここではテーパー部および押出機出口の薬剤注入部における押出機のシリンダー温度を170℃とした。さらに、トルクセンサ22で検出されるトルク値が一定値以上(2.0 N・m以上)となったときに、スクリューの先端からL/D=1.5のホッパ側の部分に、あらかじめ300℃まで予熱したジエチレングリコール2g/minを注入した。この注入によって薬剤が逆流しないことが確かめられ、実施例1と同様に反応管12で反応が十分行われていることを確かめた。
【0095】
(比較例1)
実施例1と同様の装置、方法を用いて処理したが、比較例1の場合は、材料の供給を開始して、トルク値が上昇し、0.5N・mになった時点で薬剤注入部から薬剤の注入を開始した。この結果、薬剤がホッパ11h側に逆流して材料がすべり、圧力0.5MPa以上となった時点で反応管側へ材料を押し込むことができなかった。
【0096】
そこで、薬剤を注入する前に、薬剤注入部の穴を開放した状態で、あらかじめポリウレタンが薬剤注入部15に達した時のトルク値を求めたところ、2.0N・mであり、トルク値が0.5N・mの時点で薬剤を注入したため、逆流が生じたことがわかった。
【0097】
以上実施例と比較例を説明したが、本発明は実施例に限定されるではなく、例えば、実施例ではシリンダー径が20mmの押出機を用いているが、処理量を十分に確保するために、商用の実用装置では150mm程度の大型の押出機で100回転以下程度の運転条件で行う必要がある。この場合、トルク値に多少の変動はあるもののトルク値が2.0N・m以上になったときに薬剤を注入することで逆流を防止できる。
【符号の説明】
【0098】
11 供給用押出機
11s スクリュー
12 反応管
16 薬剤注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、該供給用押出機内のスクリューで発泡ウレタンを押し出しながら加圧すると共に発泡ウレタンを加熱し、供給用押出機に接続した薬剤注入装置から薬剤を高温高圧の発泡ウレタンに注入し、その後前記供給用押出機から反応管に流通させて発泡ウレタンを高温高圧場を利用してモノマー化するに際して、スクリューに加えられているトルク値をもとに前記薬剤注入装置を制御することを特徴とする発泡ウレタンの処理方法。
【請求項2】
発泡ウレタンを分解処理する前に、あらかじめ発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、前記供給用押出機に接続された前記薬剤注入装置の薬剤注入部に到達する時点の前記スクリューのトルク値を測定しておき、発泡ウレタンをモノマー化する際に、前記測定したトルク値以上になってから、前記薬剤注入装置よりあらかじめ加熱した薬剤を注入する請求項1記載の発泡ウレタンの処理方法。
【請求項3】
前記反応管でモノマー化された発泡ウレタンのモノマーを、圧力調整装置を通して減圧した後、生成物回収容器内に導入し、その生成物回収容器により圧力を調整しながら分解処理されたモノマーを回収する請求項1又は2記載の発泡ウレタンの処理方法。
【請求項4】
前記生成物回収容器内は、可動式の未分解生成物回収容器を備え、前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に導入される生成物を可動式の未分解生成物回収容器で選択的に回収して、十分反応していない生成物を採取する請求項3記載の発泡ウレタンの処理方法。
【請求項5】
前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に生成物を排出する配管には、サンプリング器具が設けられ、そのサンプリング器具で、前記圧力調整装置から排出される生成物を採取する請求項3記載の発泡ウレタンの処理方法。
【請求項6】
薬剤が、ジオールまたはヒドロキシル基を二つ以上持つポリオールであり、生成物として得られるモノマーがヒドロキシル基を二つ以上持つポリオールである請求項1記載の発泡ウレタンの処理方法。
【請求項7】
発泡ウレタンを供給用押出機に投入し、該供給用押出機内のスクリューで発泡ウレタンを押し出しながら加圧すると共に発泡ウレタンを加熱し、供給用押出機に接続した薬剤注入装置から薬剤を高温高圧の発泡ウレタンに注入し、その後前記供給用押出機から反応管に流通させて発泡ウレタンを高温高圧場を利用してモノマー化する発泡ウレタンの処理装置において、前記スクリューを駆動するモータにトルクセンサを設け、そのトルクセンサのトルク値をもとに前記薬剤注入装置を制御することを特徴とする発泡ウレタンの処理装置。
【請求項8】
前記反応管の出口に圧力調整装置が接続され、その圧力調整装置に、生成物を冷却して回収する生成物回収容器が接続され、その生成物回収容器内に、十分反応していない生成物を採取する可動式の未分解生成物回収容器が設けられる請求項7記載の発泡ウレタンの処理装置。
【請求項9】
前記圧力調整装置から前記生成物回収容器に生成物を排出する配管には、前記圧力調整装置から排出される生成物を採取するサンプリング器具が設けられる請求項7記載の発泡ウレタンの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−233031(P2012−233031A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100740(P2011−100740)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】