発泡樹脂成形ブロックと発泡成形機およびその運転方法並びに軽量盛土構造体
【課題】土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックにおいて、内部密度分布のバラツキを小さい値のものとする。
【解決手段】土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcである直方体形状の発泡樹脂成形ブロック10において、そのブロックの密度がα(kg/m3)であるときに、発泡樹脂成形ブロック10を縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.0x)α(kg/m3)の範囲内のものとする。
【解決手段】土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcである直方体形状の発泡樹脂成形ブロック10において、そのブロックの密度がα(kg/m3)であるときに、発泡樹脂成形ブロック10を縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.0x)α(kg/m3)の範囲内のものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックとその発泡成形機および該発泡成形機の運転方法に関する。また、その発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事、特に、軟弱地盤や地滑り地などで盛土を行うときの土木工事の一工法として、例えば発泡ポリスチレン(EPS : expanded polystyrene)ブロックのような、直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土材として用いる軽量盛土工法が知られている。この工法は、地盤改良にかかる経費の節減、工期の短縮、耐震性の向上などにおいて優れた効果を発揮する。図11は軽量盛土工法により施工された片盛土型軽量盛土構造体の一例であり、頂部に既存の道路1が作られている既存地山の斜面側にH形鋼2を立て込み、H形鋼2と支持地盤3との間に軽量盛土材としてEPSブロック4を積み上げて所定高さの軽量盛土層を形成する。その後、積み上げたEPSブロック4の上に所要の配筋5を施して所定厚さにコンクリートを打設してコンクリート床版6を構築し、支持地盤3に埋設固定したアンカー7の先端をコンクリート床版6に連結して安定化を向上させる。そして、コンクリート床版6の上に、通常の土木工事のように、路盤8、アスファルト舗装9などによる路層を形成する工程が行われる。コンクリート床版6に加えて中間コンクリート床版が設けられることもある。このような軽量盛土工法では、多数の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを左右方向および上下方向に配置して軽量盛土層を構築することとなるが、一般に、左右および上下方向に隣接する発泡樹脂成形ブロック同士を相互に連結して安定化させるために、特許文献1に記載されるような緊結具が用いられる。
【0003】
上記の土木工事で用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックは、通常、予備発泡した樹脂粒子を発泡成形機の成形品チャンバー内に発泡性樹脂粒子を予備発泡させた発泡粒子を充填し、続いて、成形品チャンバー内にその周囲に形成した蒸気チャンバーから蒸気を導入することで、成形品チャンバー内に充填された発泡粒子を発泡と共に相互に融着させることで成形される。
【0004】
成形された発泡樹脂成形ブロックは、発泡倍数や熱伝導率等がブロック全体としてできるだけ均一であることが望ましい。そのために、発泡成形型の成形品チャンバー内へ蒸気を供給する蒸気供給孔の開口率や開口面積を成形面ごとに調整するようにした発泡成形機が提案されており、その例が、特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献2では、発泡スチロールブロック成形体を形成するための成形金型において、成形品室(成形品チャンバー)を構成する熱板の蒸気供給孔の開口率を、熱板の中央部分では密に形成し、周縁部分では粗に形成するようにしている。また、特許文献3に記載の発泡樹脂成形ブロック製造用成形型では、6つの面に囲まれた直方体形状を有する発泡樹脂成形ブロックを製造するための成形型において、最大面積を有する正面成形面および背面成形面の蒸気孔開口面積の和が、他の4つの側面成形面の蒸気孔開口面積の和よりも少なく設定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16036号公報
【特許文献2】特開平8−20035号公報
【特許文献3】特許第4176460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように発泡成形機の成形品チャンバーへの蒸気供給孔の開口率や開口面積を成形面ごとに調整することで、発泡倍数や熱伝導率等がブロック全体においてほぼ均一化した発泡樹脂成形ブロックを発泡成形することが可能となっている。しかし、発泡成形機の形態が、成形品チャンバー内に充填されている予備発泡粒子に対して、周囲の成形面から蒸気を供与する形態である以上、成形品チャンバーの中心部に位置する予備発泡粒子と成形面に近接した部分に位置する予備発泡粒子とに、蒸気熱による等しい発泡条件を付与することは困難であり、発泡成形後の発泡樹脂成形ブロックにおいて、中心部での密度が高く(発泡倍数が小さく)、周壁面領域では比較して密度が小さく(発泡倍数が大きい)なるのを完全に回避することはできない。特に、従来の発泡成形機は、蒸気チャンバーごとに1つの蒸気吹き込み配管が接続している形態であり、蒸気チャンバー内に吹き込まれる蒸気の量や圧力を当該蒸気チャンバー内で調整することはできないので、前記した中心部と周壁面領域とで生じる密度差を解消するあるいは所定の範囲内のものとすることはきわめて困難である。
【0007】
また、成形される発泡樹脂成形ブロックの中心部と周壁面領域との密度差が、ユーザー側が希望する所定の範囲内のものである場合でも、同じ条件で多数個を継続して発泡成形するときに、その過程で成形面に形成した蒸気孔に部分的に詰まりが生じ、中心部と周壁面領域との密度差が所定の範囲を外れてしまうことも起こり得る。従来の発泡成形機ではそのような事態が生じていることを作業者が知見した時点で、成形作業を中断して、蒸気孔の清掃等を行うようにしており、作業の連続性の点でなお改善すべき点がある。
【0008】
さらに、中心部と周壁面領域とで規定以上の密度差のある直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを用いて特許文献1に記載されるような軽量盛土工法を行う場合、発泡樹脂成形ブロックの4周の壁面領域と上下面の中心領域とでは上載荷重による上下方向の変形量(沈下量)に差が出るのを回避できない。発泡樹脂成形ブロックを上下方向に多段に積み上げるときに、変形量の大きい4周の壁面領域が上下方向に連続するようにして積み上げると、上下面の中心領域と4周の壁面領域との間で沈降量に無視できない大きさの差が生じる恐れがある。それを回避するために、隣接する発泡樹脂成形ブロックの角部同士を特許文献1に記載されるように緊結具を打ち付けて安定化を図ること、また、例えば下段の発泡樹脂成形ブロックの上下面の中心領域に上段に位置する4個の発泡樹脂成形ブロックの角部が位置するようにして多段に積み上げることが必要とされており、軽量盛土工法において発泡樹脂成形ブロックの積み上げに多くの注意力を必要としている。
【0009】
本発明は、上記のような土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックが有している不都合を解消することを課題としており、より具体的には、1つの発泡樹脂成形ブロックにおいて内部密度分布のバラツキがきわめて小さい発泡樹脂成形ブロックを提供することを第1の課題とする。また、そのような発泡樹脂成形ブロックを発泡成形するための発泡成形機を提供することを第2の課題とする。さらに、前記した発泡成形機を用いて内部密度分布のバラツキがきわめて小さい発泡樹脂成形ブロックを連続的に成形するための発泡成形機の運転方法を提供することを第3の課題とする。また、上記の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体を提供することを第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による発泡樹脂成形ブロックは、土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、前記発泡樹脂成形ブロックを密度がα(kg/m3)であるときに、前記発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
上記の発泡樹脂成形ブロックは、an×bn×cn個に分割した各分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であり、ブロック内部での密度分布のバラツキはきわめて小さい。従って、この発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いたときに、上載荷重による上下方向の変形量(沈下量)は上下面の全領域においてほぼ均一となる。従って、軽量盛土として多段に積み上げるときに、上下に配置される発泡樹脂成形ブロックの配置位置に十分な注意を払わずに積み上げても、軽量盛土全体としての水平面方向での沈降量のバラツキは小さくなる。また、結果として積み重ねたときの姿勢は安定したものとなるので、特許文献1に記載したような緊結具を用いて隣接する発泡樹脂成形ブロック同士を緊結する作業を省略することも可能となる。そのために、軽量盛土工法としての施工がきわめて容易となる。
【0012】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、an、bn≧3、cn≧1としたのは、縦長さa方向×横長さbの面、すなわち施工時に載荷面となるのが普通であるブロックの一番広い面を少なくとも3等分×3等分の9分割することで、軽量盛土として実際に使用したときに支障が生じない程度で、偏りのない状態の内部密度の分布を入手できることによる。もちろん、an、bn、cnの値としてより大きな値を選択すれば、内部密度のバラツキが一層少ない発泡樹脂成形ブロックとなる。当該発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いる施工現場の環境に応じて、適宜のan、bn、cnの値を選択すればよい。なお、an、bn、cnの値は同じでもよく異なっていてもよい。しかし、施工現場において、最大面である縦長さa方向×横長さbの面を上載荷重の載荷面としない姿勢で用いられる場合もあり得るので、an、bn、cnの値が3以上の同じ値であることは、より好ましい態様となる。
【0013】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、密度βを(1±0.06)αの範囲としたのは、経験上、その範囲を超えるものは、軽量盛土として多段に積み上げたときに、上載荷重による変形のバラツキが無視できない大きさとなる恐れがあることによる。
【0014】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、好ましくは、前記αは、10(kg/m3)以上、40(kg/m3)以下である。経験上、αが10(kg/m3)未満の発泡樹脂成形ブロックは、土木工事における軽量盛土としては上載荷重に対する耐性が小さすぎて経時的にあるいは一時的な局所荷重により無視できない量の変形(沈下)を起こす可能性がある。また、αが40(kg/m3)を超える発泡樹脂成形ブロックは、土木工事における軽量盛土としては過重量であり、軽量盛土としても本来の機能を果たすことができない場合がある。
【0015】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、好ましくは、発泡樹脂成形ブロックの大きさは、縦長さaが1500mm以上、横長さbが700mm以上、高さcが300mm以上である。経験上、これよりも小さい寸法の発泡樹脂成形ブロックは、従来の発泡成形機で従来法により発泡成形した場合でも、土木工事において軽量盛土として用いたときに支障となる程度の内部密度のバラツキが生じる可能性は少ない。上記の値が臨界的な意味を持つ訳ではないが、本発明者らは、ほぼ縦長さaが1500mm、横長さbが700mm、高さcが300mmを超えるような大きさの発泡樹脂成形ブロックを従来の発泡成形機で従来法により発泡成形すると、土木工事において軽量盛土として用いたときに支障となる程度の内部密度のバラツキを持つ発泡樹脂成形ブロックが成形される場合があることを経験している。
【0016】
本発明による発泡樹脂成形ブロックは、押出発泡によるものでもよく、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡粒子を成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを備えた発泡成形機の成形品チャンバー内で型内発泡成形して得られた発泡樹脂成形ブロックであってもよい。樹脂としてはスチレン系樹脂が望ましいが、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂や、オレフィンとスチレン系樹脂の混合または共重合体のような樹脂であってもよい。
【0017】
本発明は、上記した発泡樹脂成形ブロックを型内発泡成形するのに用いる発泡成形機であって、少なくとも成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを有しており、前記蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに各蒸気吹き込み配管ごとに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えることを特徴とする発泡成形機をも開示する。
【0018】
本発明による発泡成形機では、1つの蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに蒸気吹き込み配管から供給される蒸気の蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段が備えられる。より好ましくは、複数個の蒸気吹き込み配管には、それぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段が備えられる。
【0019】
本発明による発泡成形機では、発泡成形時に、適切に調圧された蒸気の適量を蒸気チャンバー内の異なる場所から送り込むことができるようになり、密度分布にバラツキのない発泡樹脂成形ブロックを成形することが容易となる。特に、複数個の蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えるようにした発泡成形機では、発泡成形時に、1つの蒸気チャンバー内に条件の異なる2種あるいはそれ以上の蒸気を送り込むことができるようになり、結果として、成形品チャンバー内の異なった領域に温度あるいは圧力の異なる蒸気を供給することが可能となる。それにより、実際の成形品をan×bn×cn個の分割ブロックに分割し、それぞれの密度βを測定して、そのバラツキ具合をデータベースとして密度分布の傾向を把握し、かつ密度分布のバラツキを是正するように前記制御手段を適宜調整する操作を繰り返すことで、上記したan×bn×cn個の分割ブロックの密度βがすべて(1±0.06)αの範囲内である発泡樹脂成形ブロックを確実に成形できるようになる。制御手段による蒸気圧および蒸気流量を制御に加えて、前記した得られたデータベースをもとに、前記蒸気吹き込み配管の本数や取り付け位置、さらには成形品チャンバーの成形面に形成される蒸気孔の開口率や開口面積を調整することで、一層、内部密度のバラツキが小さい発泡樹脂成形ブロックを成形できるようになる。
【0020】
なお、本発明による発泡成形機において、1つの蒸気チャンバーに接続する2個以上の蒸気吹き込み配管から吹き込まれる蒸気同士が蒸気チャンバー内で混合しないように、蒸気チャンバー内に仕切り板を設けて、2個以上のブロックに区分けすることもできる。
【0021】
上記した発泡成形機を用い、上記のように前記制御手段を適宜調整する等の処理を行うことで、an×bn×cn個の分割ブロックの密度βがすべて(1±0.06)αの範囲内である発泡樹脂成形ブロックが成形されるようになる。しかし、同じ条件で多数個の発泡樹脂成形ブロックを連続して成形していると、成形品チャンバーの成形面に形成される蒸気孔に部分的な詰まりが生じるのは避けられないことであり、それにより成形品チャンバー内への蒸気の供給条件が変化して発泡樹脂成形ブロックの内部密度分布に変化が生じ、いくつかの分割ブロックの密度βが(1±0.06)αの範囲外となることが起こる。本発明は、その不都合が生じるのを回避することのできる、上記発泡成形機の運転方法をも開示する。
【0022】
すなわち、本発明による発泡成形機の運転方法は、本発明による発泡成形機を用いて土木工事において軽量盛土として用いられる縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる密度α(kg/m3)の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを連続的に製造するときの発泡成形機の運転方法であって、1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後にその中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを前記密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて蒸気チャンバーに吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始することを特徴とする。ここでも、an、bn、cnの値は、an、bn≧3、cn≧1の条件を満足することを条件に、同じでもよく異なっていてもよい。
【0023】
上記の運転方法を採用することにより、従前の成形結果を現在の形成にフィードバックすることが可能となり、内部密度分布にバラツキのない高品質の発泡樹脂成形ブロックをより容易にまたより確実に成形できるようになる。
【0024】
本発明は、さらに、上記した発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体も開示する。より具体的には、支持地盤の上に上記したいずれかの発泡樹脂成形ブロックの複数個が多段に積み上げて構成される軽量盛土と、該軽量盛土の上に、直接または盛土層を介して施工されている道路等である地上構造物とを少なくとも備えることを特徴とする軽量盛土構造体である。
【0025】
上記の軽量盛土構造体は、前記軽量盛土の一側面が垂直面とされている片盛土型の軽量盛土構造体であってもよく、前記軽量盛土の両側面が垂直面とされている両直盛土型の軽量盛土構造体であってもよい。さらに、前記軽量盛土の一側面または両側面は傾斜面とされている法面盛土型の軽量盛土構造体であってもよい。
【0026】
いずれの軽量盛土構造体においても、軽量盛土部分は本発明による発泡樹脂成形ブロックを段積みすることで形成されており、前記したように、軽量盛土として多段に積み上げるときに、上下に配置される発泡樹脂成形ブロックの配置位置に十分な注意を払わずに積み上げても、その上に施工した道路等である地上構造物側から上載荷重が掛かったときに軽量盛土全体としての水平面方向での沈降量はバラツキの小さいものとなり、不等沈下等のない安定した軽量盛土構造体が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、内部密度分布のバラツキがきわめて小さい、土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックが提供される。また、そのような発泡樹脂成形ブロックを発泡成形するための発泡成形機とその運転方法が提供される。さらに、上記発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体であって、施工が容易であり上載荷重による不等沈下等もない安定した軽量盛土構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による発泡樹脂成形ブロックの一例を説明するための図。
【図2】本発明による発泡成形機の一例を説明するための斜視図。
【図3】図2に示す発泡成形機を説明するための上面図と側面図。
【図4】本発明による発泡成形機の他の例を説明するための図3に相当する図。
【図5】本発明による発泡成形機のさらに他の例を説明するための図3に相当する図。
【図6】本発明による発泡成形機のさらに他の例を説明するための図3に相当する図。
【図7】本発明による発泡樹脂成形ブロックの有効性を実証するための実験に用いた発泡樹脂成形ブロックを示す図。
【図8】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体の一例を説明する図。
【図9】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体の他のを説明する図。
【図10】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体のさらに他の例を説明する図。
【図11】直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土材として用いる軽量盛土工法で施工された軽量盛土構造体の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。
図1は本発明による発泡樹脂成形ブロックの一例を説明するための図であり、図1(a)は発泡成形された状態のブロックを、図1(b)は多数個に分割した状態のブロックを示している。発泡樹脂成形ブロック10は、土木工事において軽量盛土として用いられるものであり、縦長さa、横長さb、高さcである直方体形状の発泡樹脂成形ブロックである。限定されないが、この例において、発泡樹脂成形ブロック10は、スチレン系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して得られたものである。前記の縦長さa、横長さb、高さcにも特に制限はないが、この例では、縦長さaは1000mm程度、横長さbは2000mm程度、高さcは500mm程度である。発泡樹脂成形ブロック10の全体としての密度(見かけ密度)αは、例えば20kg/m3である。
【0030】
なお、土木工事において軽量盛土として用いられる発泡樹脂成形ブロックは、表1に示すように、通常、密度により4段階にグレード分けされており、それに応じた許容圧縮強度も定められている。従って、図1に示す発泡樹脂成形ブロック10は、D−20と呼称されるものであり、50kN/m2の許容圧縮強度が求められる。
【0031】
【表1】
【0032】
前記したように、発泡樹脂成形品、特に型内発泡成形品では、成形品チャンバーに充填された予備発泡粒子に対する蒸気の供給状態の関係から、内部密度にバラツキが発生するのを避けられない。すなわち、中心部では密度が高く、表面部では比較して密度が小さくなるのを完全に回避することはできない。そのために、従来の成形法で発泡成形した場合、D−20と呼ばれる全体の見かけ密度が20kg/m3のブロックであっても、ブロックの内部密度を測定した場合、中心部が22kg/m3程度、表面部が18kg/m3程度となることが起こり得る。このような場合、許容圧縮強度が50kN/m2でぎりぎりに設計された場合、密度が18kg/m3の部分の圧縮強度は不足していることとなる。そのために、実際は強度の充分な部分が、強度が不足している部分の荷重を受け持っていることとなる。従って強度の十分な部分と強度が不足している部分の割合によっては、強度が充分ある部分にも負荷をかけることとなる。
【0033】
本発明による発泡樹脂成形ブロック10は、内部密度のバラツキ程度をごく小さいものとして、前記した荷重を一様に受け持つことが出来るようにしている。すなわち、本発明によれば、軽量盛土として使用するときに求められる設計上の許容圧縮強度が50kN/m2の場合、許容圧縮強度が50kN/m2であるD−20の製品を実際に使用しても、施工後に不等沈下等の問題が生じることのない発泡樹脂成形ブロック10が提供される。
【0034】
本発明による発泡樹脂成形ブロック10において、内部密度のバラツキ程度がごく小さいことは、次のようにして検証する。すなわち、後に説明する発泡成形機を用いて成形した多数個の発泡樹脂成形ブロックの群から、1つあるいは1つ以上の発泡樹脂成形ブロック10をサンプルとして抽出する。図1(a)に示す抽出した発泡樹脂成形ブロック10を、図1(b)に示すように、縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分して、an×bn×cn個の分割ブロック10pを得る。なお、図1に示す例では、anは5、bnは8、cnは5、であり、5×8×5=200(個)の分割ブロック10pに分割されている。そして、各分割ブロック10pは、240mm×450mm×180mmの直方体形状のブロックとなっている。
【0035】
なお、前記したように、an、bn、cnは、an、bn≧3、cn≧1の値であればよく、図示のもののようにそれらは異なる値であってもよく、同じ値(例えば、an、bn、cnはすべて3)であってもよい。
【0036】
そのようにして分割した各分割ブロック10pの密度βを測定し、その値を発泡樹脂成形ブロック10全体の密度αと比較する。そして、すべての分割ブロック10pの密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内である場合に、当該発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10とする。この例で、発泡樹脂成形ブロック10全体の密度αは20kg/m3であり、すべての分割ブロック10pの密度βが21.2〜18.8kg/m3の範囲内である場合には、本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10となる。
【0037】
200個の分割ブロック10pの中に、密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲を外れるものが含まれる場合には、当該発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲を外れたものとなる。
【0038】
発泡成形機を用いて発泡樹脂成形ブロックを連続的に成形する場合、成形サイクルを繰り返すごとに蒸気孔の部分的な詰まりが暫増していくのが通常であり、それにより、成形される発泡樹脂成形ブロックの内部密度の分布も次第に変化していく。当初は、本発明の条件を満たした発泡樹脂成形ブロック10が得られるように蒸気の供給バランスを設定していても、100個、200個と成形を反覆するにつれて、蒸気孔の詰まりに起因して蒸気の供給バランスが当初の設定条件から変化していき、ついには前記した本発明の条件を満たさない発泡樹脂成形ブロックが成形されるようになるのを避けられない。従って、一定個数成形した後に、最後の成形品をサンプリングし、それに対して上記のような分割と密度βの測定を行い、結果が発明の条件を満たしている場合には、そこまで成形した発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲内のものであると推定することができる。
【0039】
さらに、一定個数成形して最後の成形品をサンプリングし、それに対して上記のような分割と密度βの測定を行い、結果が発明の条件を満たしていない場合には、それ以前に成形したいくつかの発泡樹脂成形ブロックは本発明の範囲外のものであるので、範囲外の発泡樹脂成形ブロックを排除するとともに、成形機の蒸気孔の清掃を行い、初期の成形条件に戻し、再び発泡樹脂成形ブロックの成形を行う。
【0040】
なお、当該発泡成形機において、多数個の分割ブロック10pのうちのどの位置に位置する分割ブロック10pの密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲を外れたものとなりやすいか、その外れ程度がどの程度か、何個成形したときにそのような外れ現象が起こりやすいか、等のデータを蓄積しておき、そのデータから当該発泡成形機で成形される発泡樹脂成形ブロックでの密度分布の変化傾向を把握する。そして、それをベースとして、成形品チャンバー内への蒸気の供給条件を制御することで、本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10を発泡成形することができるようになる。
【0041】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロックを製造するのに適した発泡成形機とその運転方法を説明する。
【0042】
図2および図3は発泡成形機の一例を示す。この例において、発泡成形機A1は第1成形型20と第2成形型30とからなり、図2(a)は2つの型が開いた状態を、図2(b)は型が閉じた状態を示している。第1成形型20は成形品チャンバー21を有している。成形品チャンバー21は、多数の蒸気孔(不図示)を有する底熱板22と4つの側熱板23とで区画される直方体形状である。成形品チャンバー21の外側は、天板24と底板25と4つの側板26とで区画される蒸気チャンバー27とされている。
【0043】
成形品チャンバー21内には、図示しない供給装置から予備発泡粒子が充填される。また、蒸気チャンバー27内には、図示しない高温高圧蒸気の発生源から、調圧バルブ40を介して、調整された量の高温蒸気が供給される。図2、図3に示す発泡成形機A1において、調圧バルブ40より先の蒸気吹き込み配管は2つに分岐しており、2箇所から蒸気チャンバー27内に蒸気が供給される。蒸気チャンバー27内の各蒸気吹き込み配管に対向する位置には、分散板28がそれぞれ配置されており、蒸気チャンバー27内に供給された蒸気は、分散板28に衝突することで、底熱板22に沿った方向に分散する。省略することもできるが、蒸気チャンバー27内に、各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合しないように、2つの分散板28の間に、適宜の大きさの仕切り板29を設けることもできる。
【0044】
第2成形型30は、第1成形型20に形成された成形品チャンバー21を覆うことのできる大きさであり、多数の蒸気孔(不図示)を有する封鎖熱板31と、該封鎖熱板31の裏面側を覆うように形成された箱体32とで形成され、箱体32の内部が蒸気チャンバー33とされている。蒸気チャンバー33内にも、図示しない高温高圧蒸気の発生源から、調圧バルブ41を介して、調整された量の高温蒸気が供給される。第2成形型30においても、調圧バルブ41より先の蒸気吹き込み配管は2つに分岐しており、2箇所から蒸気チャンバー33内に蒸気が供給される。蒸気チャンバー33内の蒸気供給口に対向する位置にも、分散板34がそれぞれ配置されており、蒸気チャンバー33内に供給された蒸気は、分散板34に衝突することで、封鎖熱板31に沿った方向に分散する。省略することもできるが、蒸気チャンバー33内に、各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合しないように、2つの分散板34の間に、適宜の大きさの仕切り板35を設けることもできる。
【0045】
図示されないが、発泡成形機A1は、蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備える制御手段を備えており、調圧バルブ40、41を流れる蒸気流量の調整と、調圧バルブ40、41の開度の調整を行う。
【0046】
図4は、発泡成形機の他の例示しており、この発泡成形機A2は、調圧バルブ40、41の先において、蒸気吹き込み配管は4つに分岐しており、各蒸気吹き込み配管に対向する位置には、4つの分散板28、34が設けられている点で、図2および図3に示した発泡成形機A1と相違する。他の構成は発泡成形機A1と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図4では、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0047】
図5は、発泡成形機のさらに他の例示しており、この発泡成形機A3は、図示しない高温高圧蒸気の発生源からの蒸気供給管が4本あり、各蒸気供給管にそれぞれ調圧バルブ40a〜40d、41a〜41dが設けられている点で、図4に示した発泡成形機A2と相違する。他の構成は発泡成形機A2と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図5でも、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0048】
図示されないが、発泡成形機A3は、各蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備える制御手段を備えており、各調圧バルブ40a〜40d、および調圧バルブ41a〜41dを流れる蒸気流量の調整と、それらのバルブの開度の調整を行う。
【0049】
図6は、発泡成形機のさらに他の例示しており、この発泡成形機A4は、蒸気チャンバー27側の4つの蒸気吹き込み配管は各調圧バルブ40a〜40dの下流側でさらに3つに分岐して蒸気チャンバー27内に開口しており、また、蒸気チャンバー33側の4つの蒸気吹き込み配管も各調圧バルブ41a〜41dの下流側でさらに3つに分岐して蒸気チャンバー33内に開口している点で、図5に示した発泡成形機A3と相違している。他の構成は発泡成形機A3と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図6でも、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0050】
発泡成形機A1〜A4のいずれにおいても、発泡樹脂成形ブロック10の成形に当たっては、開いた状態にある第1成形型20の成形品チャンバー21内に所定の予備発泡粒子を所定量だけ充填し、型締めをした後に、双方の蒸気チャンバー27、33に所定条件の蒸気を供給して予備発泡粒子を発泡および融着させる。その後、型を開くことにより、所望の発泡樹脂成形ブロック10が得られる。この成形方法は従来のものと同じである。
【0051】
得られた発泡樹脂成形ブロック10を、前記図1に基づき説明したようにして複数個に分割し、多数個の分割ブロック10pを得る。そして、それぞれの密度を測定する。それにより、成形した発泡樹脂成形ブロック10の内部密度のバラツキに関する情報が得られる。得られた情報に基づき、そのバラツキができるだけ小さな値となるように、各蒸気吹き込み配管から双方の蒸気チャンバー27、33に供給される蒸気量と蒸気圧力とを、調圧バルブ40、41および、より上流側での蒸気流量等を適宜制御することで調整する。この手順を何回か繰り返すことにより、内部密度分布のバラツキが例えば±6%以下とされた発泡樹脂成形ブロック10を得ることができる。
【0052】
図示して例示した発泡成形機A1〜A4において、双方の蒸気チャンバー27、33への蒸気吹き込み配管の数が多いほど、より精緻に成形品チャンバー21内への蒸気吹き出し条件を制御することが可能となり、より内部密度分布のバラツキが小さい発泡樹脂成形ブロック10を得ることができる。発泡樹脂成形ブロック10に求められる内部密度分布の均一化程度と、発泡成形機およびその運転に係る経費とを勘案して、適宜の数の蒸気吹き込み配管を持つ発泡成形機A1〜A4を用いるようにすればよい。
【0053】
また、どのような発泡成形機であっても、時間とともに双方の蒸気チャンバー27、33に形成された蒸気孔の目詰まりが生じるのを避けることはできず、経時的に、蒸気供給条件が変化する。そのために、上記のようにして所望の蒸気供給条件を得て、所望の発泡樹脂成形ブロック10を成形していても、次第に初期条件から外れた発泡樹脂成形ブロック10が成形されるようになる。
【0054】
そのために、100個あるいは200個程度の1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後に、その中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロック、前記したように、縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを初期に設定した密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが前記密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて、各蒸気チャンバー27、33に吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始するような運転方法を採用することは、きわめて望ましいことである。
【0055】
その際に、各蒸気チャンバー27、33における各分散板28、34の間に仕切り板29、35を配置することにより、各蒸気チャンバー27、33において各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合するのを回避できるので、初期条件に一致した発泡樹脂成形ブロック10を得やすくなる。
【実施例】
【0056】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロックを実施例と比較例により説明する。図7は、実施例と比較例で用いた発泡樹脂成形ブロックを示す。密度αが19.7kg/m3である直方体形状の3つの発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zを用意した。なお、発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zの成形には、同じ発泡形成機を用い、蒸気チャンバー内に供給する蒸気の量と温度、圧力を調整することで、後記表2に示すように、内部密度分布のバラツキを異ならせた。
【0057】
具体的には、発泡樹脂成形ブロックXは、前記図2および図3に示した形態の発泡成形機であって仕切り板29を備えない発泡成形機を用い、成形条件は蒸気圧1kg/cm2、加熱時間20秒、金型温度120度で成形した。発泡樹脂成形ブロックYは、同じ発泡成形機を用い、成形条件は蒸気圧0.7kg/cm2、加熱時間35秒、金型温度115度で成形した。発泡樹脂成形ブロックZは、前記図6に示した形態の発泡成形機、すなわち全体の形状は発泡樹脂成形ブロックXを成形した発泡成形機と同じであるが、各蒸気吹き込み配管を、それぞれの調圧バルブ40a〜40d、41a〜41dの下流側でさらに3つに分岐させて蒸気チャンバー内に開口させた発泡成形機を用い、成形条件は、蒸気圧は、調圧バルブ40a,41aでは0.5kg/cm2、調圧バルブ40b,41bでは0.6kg/cm2、調圧バルブ40c,41cでは0.7kg/cm2、調圧バルブ40d,41dでは0.5kg/cm2、加熱時間40秒、金型温度115度で形成した。
【0058】
各発泡樹脂成形ブロックを一番広い面を9等分し、各分割ブロックに図7に示すようにA〜Iの番号を付した。すなわち、すべての発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zを、縦長さa方向で3等分、横長さb方向で3等分、高さc方向で1等分して9個の分割ブロックA〜Iを得た。そして、各分割ブロックの密度βを測定した。その結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】
(1)ブロックXでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの22.0kg/m3、最小密度はブロックCの18.5kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは+2.3kg/m3、すなわち10%である。
【0061】
(2)ブロックYでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの21.5kg/m3、最小密度はブロックA,Cの19.0kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは、+1.8kg/m3、すなわち9%である。
【0062】
(3)ブロックZでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの20.5kg/m3、最小密度は他のブロックの19.5kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは、+0.8kg/m3、すなわち4%である。
【0063】
よって、ブロックZは、分割ブロックA〜Iの密度βが、すべて、ブロックZの全体密度19.7(α)×(1±0.06)(kg/m3)の範囲内であり、ブロックZは、本発明の範囲内のものであって、実施例に相当する。
【0064】
[試験1]初期ひずみ量測定
次に、それぞれの分割ブロックに、我が国のEPS土木工法の基準書に則り、前記D−20(規格19.0kg/m3〜21.5kg/m3)の許容圧縮応力である50kN/m2の重しを載荷し、そのひずみ量(mm)を測定した。その結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
前記したように、ブロックXでは、最大で+2.3kg/m3(10%)の密度バラツキがあった。結果として、各分割ブロックで最大2.0mm程度ひずみ量の差が出たが、本発明品であるブロックZでは密度バラツキが最大で+0.8kg/m3(4%)と小さいことから、結果として、各分割ブロックでのひずみ量の差は1.0mm程度と小さくなっている。
【0067】
このことから、各分割ブロックの密度βと全体の密度αとの差のバラツキが小さくされている発泡樹脂成形ブロック(ブロックZ)は、比較してバラツキが大きいブロック(ブロックX,Y)と比較して、載荷面全体においてひずみ量の差が小さくなっていることがわかる。このことから、本発明による発泡樹脂成形ブロックの優位性が立証される。
【0068】
[試験2]クリープ変形量測定
試験1の各分割ブロックについて、さらに、重しを載荷したまま100日間放置して、長期クリープ変形量を測定した。その結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】
[考察]
ブロックXでは、各分割ブロックでの最大クリープ変形量は13.0mm、最小クリープ変形量は6.0mmであり、最大7mmの差ができたが、ブロックZでは、各分割ブロックでの最大クリープ変形量は9.0mm、最小クリープ変形量は7.0mmであり、2mm程度に収まっている。また、この差は平均しても、ブロックXとブロックZでは差が開いているのがわかる。
【0071】
このことからも、各分割ブロックの密度βと全体の密度αとの差のバラツキが小さくされている発泡樹脂成形ブロックは、比較してバラツキが大きいブロックと比較して、載荷面全体においてクリープ変形量の差および平均クリープ変形量の差が小さくなっていることがわかる。このことから、本発明による発泡樹脂成形ブロックの優位性が立証される。
【0072】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10を軽量盛土として用いた軽量盛土構造体のいくつかの例を説明する。
【0073】
第1の例は、図11に基づき説明した軽量盛土構造体であり、そこにおいてEPSブロック4として、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が用いられた構造である。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の一方の側面が垂直面であることから、片盛土型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0074】
第2の例は、図8に示す軽量盛土構造体であり、ここでは、支持地盤3の道路1の両側を規制する位置にH形鋼2、2が垂直に2列に立て込まれており、その間に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている。図示の例では、発泡樹脂成形ブロック10のうち、H形鋼2、2に近接した部位の発泡樹脂成形ブロック10sは他の発泡樹脂成形ブロック10よりも全体密度が高くされている。また、多段に積み上げた軽量盛土の適所にはコンクリート床版11が適数配置されており、軽量盛土の上には、コンクリート床版、路床、下層路盤、上層路盤、表層等からなる道路舗装体道路1が形成されている。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の両側面が垂直面であることから、両直盛土型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0075】
第3の例は、図9に示す軽量盛土構造体であり、両直盛土型軽量盛土構造体の他の例である。ここでは、地中に掘削した溝中にも本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている点、用いているすべての発泡樹脂成形ブロック10はほぼ等しい全体密度である点で、図8に示した両直盛土型軽量盛土構造体と異なっている。
【0076】
第4の例は、図10に示す軽量盛土構造体であり、支持地盤3の掘削部および地表面より上に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている。形成された軽量盛土層は道路の両側で傾斜面をなしており、軽量盛土層の地表部は保護土12で覆われている。そして、その保護土12の上に道路1が形成されている。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の両側面が斜面であることから、両法面型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0077】
なお、いずれの軽量盛土構造体においても、上載荷重が比較的小さく作用する部位には、本発明による発泡樹脂成形ブロック10ではなく、従来知られている発泡樹脂成形ブロックを用いることもできる。
【符号の説明】
【0078】
10…発泡樹脂成形ブロック、
10p…分割ブロック、
A1〜A4…発泡成形機、
20…第1成形型、
21…成形品チャンバー、
27…蒸気チャンバー、
30…第2成形型、
33…蒸気チャンバー、
28、34…分散板、
40、41…調圧弁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックとその発泡成形機および該発泡成形機の運転方法に関する。また、その発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事、特に、軟弱地盤や地滑り地などで盛土を行うときの土木工事の一工法として、例えば発泡ポリスチレン(EPS : expanded polystyrene)ブロックのような、直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土材として用いる軽量盛土工法が知られている。この工法は、地盤改良にかかる経費の節減、工期の短縮、耐震性の向上などにおいて優れた効果を発揮する。図11は軽量盛土工法により施工された片盛土型軽量盛土構造体の一例であり、頂部に既存の道路1が作られている既存地山の斜面側にH形鋼2を立て込み、H形鋼2と支持地盤3との間に軽量盛土材としてEPSブロック4を積み上げて所定高さの軽量盛土層を形成する。その後、積み上げたEPSブロック4の上に所要の配筋5を施して所定厚さにコンクリートを打設してコンクリート床版6を構築し、支持地盤3に埋設固定したアンカー7の先端をコンクリート床版6に連結して安定化を向上させる。そして、コンクリート床版6の上に、通常の土木工事のように、路盤8、アスファルト舗装9などによる路層を形成する工程が行われる。コンクリート床版6に加えて中間コンクリート床版が設けられることもある。このような軽量盛土工法では、多数の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを左右方向および上下方向に配置して軽量盛土層を構築することとなるが、一般に、左右および上下方向に隣接する発泡樹脂成形ブロック同士を相互に連結して安定化させるために、特許文献1に記載されるような緊結具が用いられる。
【0003】
上記の土木工事で用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックは、通常、予備発泡した樹脂粒子を発泡成形機の成形品チャンバー内に発泡性樹脂粒子を予備発泡させた発泡粒子を充填し、続いて、成形品チャンバー内にその周囲に形成した蒸気チャンバーから蒸気を導入することで、成形品チャンバー内に充填された発泡粒子を発泡と共に相互に融着させることで成形される。
【0004】
成形された発泡樹脂成形ブロックは、発泡倍数や熱伝導率等がブロック全体としてできるだけ均一であることが望ましい。そのために、発泡成形型の成形品チャンバー内へ蒸気を供給する蒸気供給孔の開口率や開口面積を成形面ごとに調整するようにした発泡成形機が提案されており、その例が、特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献2では、発泡スチロールブロック成形体を形成するための成形金型において、成形品室(成形品チャンバー)を構成する熱板の蒸気供給孔の開口率を、熱板の中央部分では密に形成し、周縁部分では粗に形成するようにしている。また、特許文献3に記載の発泡樹脂成形ブロック製造用成形型では、6つの面に囲まれた直方体形状を有する発泡樹脂成形ブロックを製造するための成形型において、最大面積を有する正面成形面および背面成形面の蒸気孔開口面積の和が、他の4つの側面成形面の蒸気孔開口面積の和よりも少なく設定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16036号公報
【特許文献2】特開平8−20035号公報
【特許文献3】特許第4176460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように発泡成形機の成形品チャンバーへの蒸気供給孔の開口率や開口面積を成形面ごとに調整することで、発泡倍数や熱伝導率等がブロック全体においてほぼ均一化した発泡樹脂成形ブロックを発泡成形することが可能となっている。しかし、発泡成形機の形態が、成形品チャンバー内に充填されている予備発泡粒子に対して、周囲の成形面から蒸気を供与する形態である以上、成形品チャンバーの中心部に位置する予備発泡粒子と成形面に近接した部分に位置する予備発泡粒子とに、蒸気熱による等しい発泡条件を付与することは困難であり、発泡成形後の発泡樹脂成形ブロックにおいて、中心部での密度が高く(発泡倍数が小さく)、周壁面領域では比較して密度が小さく(発泡倍数が大きい)なるのを完全に回避することはできない。特に、従来の発泡成形機は、蒸気チャンバーごとに1つの蒸気吹き込み配管が接続している形態であり、蒸気チャンバー内に吹き込まれる蒸気の量や圧力を当該蒸気チャンバー内で調整することはできないので、前記した中心部と周壁面領域とで生じる密度差を解消するあるいは所定の範囲内のものとすることはきわめて困難である。
【0007】
また、成形される発泡樹脂成形ブロックの中心部と周壁面領域との密度差が、ユーザー側が希望する所定の範囲内のものである場合でも、同じ条件で多数個を継続して発泡成形するときに、その過程で成形面に形成した蒸気孔に部分的に詰まりが生じ、中心部と周壁面領域との密度差が所定の範囲を外れてしまうことも起こり得る。従来の発泡成形機ではそのような事態が生じていることを作業者が知見した時点で、成形作業を中断して、蒸気孔の清掃等を行うようにしており、作業の連続性の点でなお改善すべき点がある。
【0008】
さらに、中心部と周壁面領域とで規定以上の密度差のある直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを用いて特許文献1に記載されるような軽量盛土工法を行う場合、発泡樹脂成形ブロックの4周の壁面領域と上下面の中心領域とでは上載荷重による上下方向の変形量(沈下量)に差が出るのを回避できない。発泡樹脂成形ブロックを上下方向に多段に積み上げるときに、変形量の大きい4周の壁面領域が上下方向に連続するようにして積み上げると、上下面の中心領域と4周の壁面領域との間で沈降量に無視できない大きさの差が生じる恐れがある。それを回避するために、隣接する発泡樹脂成形ブロックの角部同士を特許文献1に記載されるように緊結具を打ち付けて安定化を図ること、また、例えば下段の発泡樹脂成形ブロックの上下面の中心領域に上段に位置する4個の発泡樹脂成形ブロックの角部が位置するようにして多段に積み上げることが必要とされており、軽量盛土工法において発泡樹脂成形ブロックの積み上げに多くの注意力を必要としている。
【0009】
本発明は、上記のような土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックが有している不都合を解消することを課題としており、より具体的には、1つの発泡樹脂成形ブロックにおいて内部密度分布のバラツキがきわめて小さい発泡樹脂成形ブロックを提供することを第1の課題とする。また、そのような発泡樹脂成形ブロックを発泡成形するための発泡成形機を提供することを第2の課題とする。さらに、前記した発泡成形機を用いて内部密度分布のバラツキがきわめて小さい発泡樹脂成形ブロックを連続的に成形するための発泡成形機の運転方法を提供することを第3の課題とする。また、上記の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体を提供することを第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による発泡樹脂成形ブロックは、土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、前記発泡樹脂成形ブロックを密度がα(kg/m3)であるときに、前記発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
上記の発泡樹脂成形ブロックは、an×bn×cn個に分割した各分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であり、ブロック内部での密度分布のバラツキはきわめて小さい。従って、この発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いたときに、上載荷重による上下方向の変形量(沈下量)は上下面の全領域においてほぼ均一となる。従って、軽量盛土として多段に積み上げるときに、上下に配置される発泡樹脂成形ブロックの配置位置に十分な注意を払わずに積み上げても、軽量盛土全体としての水平面方向での沈降量のバラツキは小さくなる。また、結果として積み重ねたときの姿勢は安定したものとなるので、特許文献1に記載したような緊結具を用いて隣接する発泡樹脂成形ブロック同士を緊結する作業を省略することも可能となる。そのために、軽量盛土工法としての施工がきわめて容易となる。
【0012】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、an、bn≧3、cn≧1としたのは、縦長さa方向×横長さbの面、すなわち施工時に載荷面となるのが普通であるブロックの一番広い面を少なくとも3等分×3等分の9分割することで、軽量盛土として実際に使用したときに支障が生じない程度で、偏りのない状態の内部密度の分布を入手できることによる。もちろん、an、bn、cnの値としてより大きな値を選択すれば、内部密度のバラツキが一層少ない発泡樹脂成形ブロックとなる。当該発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いる施工現場の環境に応じて、適宜のan、bn、cnの値を選択すればよい。なお、an、bn、cnの値は同じでもよく異なっていてもよい。しかし、施工現場において、最大面である縦長さa方向×横長さbの面を上載荷重の載荷面としない姿勢で用いられる場合もあり得るので、an、bn、cnの値が3以上の同じ値であることは、より好ましい態様となる。
【0013】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、密度βを(1±0.06)αの範囲としたのは、経験上、その範囲を超えるものは、軽量盛土として多段に積み上げたときに、上載荷重による変形のバラツキが無視できない大きさとなる恐れがあることによる。
【0014】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、好ましくは、前記αは、10(kg/m3)以上、40(kg/m3)以下である。経験上、αが10(kg/m3)未満の発泡樹脂成形ブロックは、土木工事における軽量盛土としては上載荷重に対する耐性が小さすぎて経時的にあるいは一時的な局所荷重により無視できない量の変形(沈下)を起こす可能性がある。また、αが40(kg/m3)を超える発泡樹脂成形ブロックは、土木工事における軽量盛土としては過重量であり、軽量盛土としても本来の機能を果たすことができない場合がある。
【0015】
本発明による発泡樹脂成形ブロックにおいて、好ましくは、発泡樹脂成形ブロックの大きさは、縦長さaが1500mm以上、横長さbが700mm以上、高さcが300mm以上である。経験上、これよりも小さい寸法の発泡樹脂成形ブロックは、従来の発泡成形機で従来法により発泡成形した場合でも、土木工事において軽量盛土として用いたときに支障となる程度の内部密度のバラツキが生じる可能性は少ない。上記の値が臨界的な意味を持つ訳ではないが、本発明者らは、ほぼ縦長さaが1500mm、横長さbが700mm、高さcが300mmを超えるような大きさの発泡樹脂成形ブロックを従来の発泡成形機で従来法により発泡成形すると、土木工事において軽量盛土として用いたときに支障となる程度の内部密度のバラツキを持つ発泡樹脂成形ブロックが成形される場合があることを経験している。
【0016】
本発明による発泡樹脂成形ブロックは、押出発泡によるものでもよく、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡粒子を成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを備えた発泡成形機の成形品チャンバー内で型内発泡成形して得られた発泡樹脂成形ブロックであってもよい。樹脂としてはスチレン系樹脂が望ましいが、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂や、オレフィンとスチレン系樹脂の混合または共重合体のような樹脂であってもよい。
【0017】
本発明は、上記した発泡樹脂成形ブロックを型内発泡成形するのに用いる発泡成形機であって、少なくとも成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを有しており、前記蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに各蒸気吹き込み配管ごとに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えることを特徴とする発泡成形機をも開示する。
【0018】
本発明による発泡成形機では、1つの蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに蒸気吹き込み配管から供給される蒸気の蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段が備えられる。より好ましくは、複数個の蒸気吹き込み配管には、それぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段が備えられる。
【0019】
本発明による発泡成形機では、発泡成形時に、適切に調圧された蒸気の適量を蒸気チャンバー内の異なる場所から送り込むことができるようになり、密度分布にバラツキのない発泡樹脂成形ブロックを成形することが容易となる。特に、複数個の蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えるようにした発泡成形機では、発泡成形時に、1つの蒸気チャンバー内に条件の異なる2種あるいはそれ以上の蒸気を送り込むことができるようになり、結果として、成形品チャンバー内の異なった領域に温度あるいは圧力の異なる蒸気を供給することが可能となる。それにより、実際の成形品をan×bn×cn個の分割ブロックに分割し、それぞれの密度βを測定して、そのバラツキ具合をデータベースとして密度分布の傾向を把握し、かつ密度分布のバラツキを是正するように前記制御手段を適宜調整する操作を繰り返すことで、上記したan×bn×cn個の分割ブロックの密度βがすべて(1±0.06)αの範囲内である発泡樹脂成形ブロックを確実に成形できるようになる。制御手段による蒸気圧および蒸気流量を制御に加えて、前記した得られたデータベースをもとに、前記蒸気吹き込み配管の本数や取り付け位置、さらには成形品チャンバーの成形面に形成される蒸気孔の開口率や開口面積を調整することで、一層、内部密度のバラツキが小さい発泡樹脂成形ブロックを成形できるようになる。
【0020】
なお、本発明による発泡成形機において、1つの蒸気チャンバーに接続する2個以上の蒸気吹き込み配管から吹き込まれる蒸気同士が蒸気チャンバー内で混合しないように、蒸気チャンバー内に仕切り板を設けて、2個以上のブロックに区分けすることもできる。
【0021】
上記した発泡成形機を用い、上記のように前記制御手段を適宜調整する等の処理を行うことで、an×bn×cn個の分割ブロックの密度βがすべて(1±0.06)αの範囲内である発泡樹脂成形ブロックが成形されるようになる。しかし、同じ条件で多数個の発泡樹脂成形ブロックを連続して成形していると、成形品チャンバーの成形面に形成される蒸気孔に部分的な詰まりが生じるのは避けられないことであり、それにより成形品チャンバー内への蒸気の供給条件が変化して発泡樹脂成形ブロックの内部密度分布に変化が生じ、いくつかの分割ブロックの密度βが(1±0.06)αの範囲外となることが起こる。本発明は、その不都合が生じるのを回避することのできる、上記発泡成形機の運転方法をも開示する。
【0022】
すなわち、本発明による発泡成形機の運転方法は、本発明による発泡成形機を用いて土木工事において軽量盛土として用いられる縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる密度α(kg/m3)の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを連続的に製造するときの発泡成形機の運転方法であって、1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後にその中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを前記密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて蒸気チャンバーに吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始することを特徴とする。ここでも、an、bn、cnの値は、an、bn≧3、cn≧1の条件を満足することを条件に、同じでもよく異なっていてもよい。
【0023】
上記の運転方法を採用することにより、従前の成形結果を現在の形成にフィードバックすることが可能となり、内部密度分布にバラツキのない高品質の発泡樹脂成形ブロックをより容易にまたより確実に成形できるようになる。
【0024】
本発明は、さらに、上記した発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体も開示する。より具体的には、支持地盤の上に上記したいずれかの発泡樹脂成形ブロックの複数個が多段に積み上げて構成される軽量盛土と、該軽量盛土の上に、直接または盛土層を介して施工されている道路等である地上構造物とを少なくとも備えることを特徴とする軽量盛土構造体である。
【0025】
上記の軽量盛土構造体は、前記軽量盛土の一側面が垂直面とされている片盛土型の軽量盛土構造体であってもよく、前記軽量盛土の両側面が垂直面とされている両直盛土型の軽量盛土構造体であってもよい。さらに、前記軽量盛土の一側面または両側面は傾斜面とされている法面盛土型の軽量盛土構造体であってもよい。
【0026】
いずれの軽量盛土構造体においても、軽量盛土部分は本発明による発泡樹脂成形ブロックを段積みすることで形成されており、前記したように、軽量盛土として多段に積み上げるときに、上下に配置される発泡樹脂成形ブロックの配置位置に十分な注意を払わずに積み上げても、その上に施工した道路等である地上構造物側から上載荷重が掛かったときに軽量盛土全体としての水平面方向での沈降量はバラツキの小さいものとなり、不等沈下等のない安定した軽量盛土構造体が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、内部密度分布のバラツキがきわめて小さい、土木工事において軽量盛土として用いられる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックが提供される。また、そのような発泡樹脂成形ブロックを発泡成形するための発泡成形機とその運転方法が提供される。さらに、上記発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体であって、施工が容易であり上載荷重による不等沈下等もない安定した軽量盛土構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による発泡樹脂成形ブロックの一例を説明するための図。
【図2】本発明による発泡成形機の一例を説明するための斜視図。
【図3】図2に示す発泡成形機を説明するための上面図と側面図。
【図4】本発明による発泡成形機の他の例を説明するための図3に相当する図。
【図5】本発明による発泡成形機のさらに他の例を説明するための図3に相当する図。
【図6】本発明による発泡成形機のさらに他の例を説明するための図3に相当する図。
【図7】本発明による発泡樹脂成形ブロックの有効性を実証するための実験に用いた発泡樹脂成形ブロックを示す図。
【図8】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体の一例を説明する図。
【図9】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体の他のを説明する図。
【図10】本発明による発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土として用いた軽量盛土構造体のさらに他の例を説明する図。
【図11】直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを軽量盛土材として用いる軽量盛土工法で施工された軽量盛土構造体の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。
図1は本発明による発泡樹脂成形ブロックの一例を説明するための図であり、図1(a)は発泡成形された状態のブロックを、図1(b)は多数個に分割した状態のブロックを示している。発泡樹脂成形ブロック10は、土木工事において軽量盛土として用いられるものであり、縦長さa、横長さb、高さcである直方体形状の発泡樹脂成形ブロックである。限定されないが、この例において、発泡樹脂成形ブロック10は、スチレン系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して得られたものである。前記の縦長さa、横長さb、高さcにも特に制限はないが、この例では、縦長さaは1000mm程度、横長さbは2000mm程度、高さcは500mm程度である。発泡樹脂成形ブロック10の全体としての密度(見かけ密度)αは、例えば20kg/m3である。
【0030】
なお、土木工事において軽量盛土として用いられる発泡樹脂成形ブロックは、表1に示すように、通常、密度により4段階にグレード分けされており、それに応じた許容圧縮強度も定められている。従って、図1に示す発泡樹脂成形ブロック10は、D−20と呼称されるものであり、50kN/m2の許容圧縮強度が求められる。
【0031】
【表1】
【0032】
前記したように、発泡樹脂成形品、特に型内発泡成形品では、成形品チャンバーに充填された予備発泡粒子に対する蒸気の供給状態の関係から、内部密度にバラツキが発生するのを避けられない。すなわち、中心部では密度が高く、表面部では比較して密度が小さくなるのを完全に回避することはできない。そのために、従来の成形法で発泡成形した場合、D−20と呼ばれる全体の見かけ密度が20kg/m3のブロックであっても、ブロックの内部密度を測定した場合、中心部が22kg/m3程度、表面部が18kg/m3程度となることが起こり得る。このような場合、許容圧縮強度が50kN/m2でぎりぎりに設計された場合、密度が18kg/m3の部分の圧縮強度は不足していることとなる。そのために、実際は強度の充分な部分が、強度が不足している部分の荷重を受け持っていることとなる。従って強度の十分な部分と強度が不足している部分の割合によっては、強度が充分ある部分にも負荷をかけることとなる。
【0033】
本発明による発泡樹脂成形ブロック10は、内部密度のバラツキ程度をごく小さいものとして、前記した荷重を一様に受け持つことが出来るようにしている。すなわち、本発明によれば、軽量盛土として使用するときに求められる設計上の許容圧縮強度が50kN/m2の場合、許容圧縮強度が50kN/m2であるD−20の製品を実際に使用しても、施工後に不等沈下等の問題が生じることのない発泡樹脂成形ブロック10が提供される。
【0034】
本発明による発泡樹脂成形ブロック10において、内部密度のバラツキ程度がごく小さいことは、次のようにして検証する。すなわち、後に説明する発泡成形機を用いて成形した多数個の発泡樹脂成形ブロックの群から、1つあるいは1つ以上の発泡樹脂成形ブロック10をサンプルとして抽出する。図1(a)に示す抽出した発泡樹脂成形ブロック10を、図1(b)に示すように、縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分して、an×bn×cn個の分割ブロック10pを得る。なお、図1に示す例では、anは5、bnは8、cnは5、であり、5×8×5=200(個)の分割ブロック10pに分割されている。そして、各分割ブロック10pは、240mm×450mm×180mmの直方体形状のブロックとなっている。
【0035】
なお、前記したように、an、bn、cnは、an、bn≧3、cn≧1の値であればよく、図示のもののようにそれらは異なる値であってもよく、同じ値(例えば、an、bn、cnはすべて3)であってもよい。
【0036】
そのようにして分割した各分割ブロック10pの密度βを測定し、その値を発泡樹脂成形ブロック10全体の密度αと比較する。そして、すべての分割ブロック10pの密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内である場合に、当該発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10とする。この例で、発泡樹脂成形ブロック10全体の密度αは20kg/m3であり、すべての分割ブロック10pの密度βが21.2〜18.8kg/m3の範囲内である場合には、本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10となる。
【0037】
200個の分割ブロック10pの中に、密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲を外れるものが含まれる場合には、当該発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲を外れたものとなる。
【0038】
発泡成形機を用いて発泡樹脂成形ブロックを連続的に成形する場合、成形サイクルを繰り返すごとに蒸気孔の部分的な詰まりが暫増していくのが通常であり、それにより、成形される発泡樹脂成形ブロックの内部密度の分布も次第に変化していく。当初は、本発明の条件を満たした発泡樹脂成形ブロック10が得られるように蒸気の供給バランスを設定していても、100個、200個と成形を反覆するにつれて、蒸気孔の詰まりに起因して蒸気の供給バランスが当初の設定条件から変化していき、ついには前記した本発明の条件を満たさない発泡樹脂成形ブロックが成形されるようになるのを避けられない。従って、一定個数成形した後に、最後の成形品をサンプリングし、それに対して上記のような分割と密度βの測定を行い、結果が発明の条件を満たしている場合には、そこまで成形した発泡樹脂成形ブロック10は本発明の範囲内のものであると推定することができる。
【0039】
さらに、一定個数成形して最後の成形品をサンプリングし、それに対して上記のような分割と密度βの測定を行い、結果が発明の条件を満たしていない場合には、それ以前に成形したいくつかの発泡樹脂成形ブロックは本発明の範囲外のものであるので、範囲外の発泡樹脂成形ブロックを排除するとともに、成形機の蒸気孔の清掃を行い、初期の成形条件に戻し、再び発泡樹脂成形ブロックの成形を行う。
【0040】
なお、当該発泡成形機において、多数個の分割ブロック10pのうちのどの位置に位置する分割ブロック10pの密度βが(1±0.06)α(kg/m3)の範囲を外れたものとなりやすいか、その外れ程度がどの程度か、何個成形したときにそのような外れ現象が起こりやすいか、等のデータを蓄積しておき、そのデータから当該発泡成形機で成形される発泡樹脂成形ブロックでの密度分布の変化傾向を把握する。そして、それをベースとして、成形品チャンバー内への蒸気の供給条件を制御することで、本発明の範囲内の発泡樹脂成形ブロック10を発泡成形することができるようになる。
【0041】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロックを製造するのに適した発泡成形機とその運転方法を説明する。
【0042】
図2および図3は発泡成形機の一例を示す。この例において、発泡成形機A1は第1成形型20と第2成形型30とからなり、図2(a)は2つの型が開いた状態を、図2(b)は型が閉じた状態を示している。第1成形型20は成形品チャンバー21を有している。成形品チャンバー21は、多数の蒸気孔(不図示)を有する底熱板22と4つの側熱板23とで区画される直方体形状である。成形品チャンバー21の外側は、天板24と底板25と4つの側板26とで区画される蒸気チャンバー27とされている。
【0043】
成形品チャンバー21内には、図示しない供給装置から予備発泡粒子が充填される。また、蒸気チャンバー27内には、図示しない高温高圧蒸気の発生源から、調圧バルブ40を介して、調整された量の高温蒸気が供給される。図2、図3に示す発泡成形機A1において、調圧バルブ40より先の蒸気吹き込み配管は2つに分岐しており、2箇所から蒸気チャンバー27内に蒸気が供給される。蒸気チャンバー27内の各蒸気吹き込み配管に対向する位置には、分散板28がそれぞれ配置されており、蒸気チャンバー27内に供給された蒸気は、分散板28に衝突することで、底熱板22に沿った方向に分散する。省略することもできるが、蒸気チャンバー27内に、各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合しないように、2つの分散板28の間に、適宜の大きさの仕切り板29を設けることもできる。
【0044】
第2成形型30は、第1成形型20に形成された成形品チャンバー21を覆うことのできる大きさであり、多数の蒸気孔(不図示)を有する封鎖熱板31と、該封鎖熱板31の裏面側を覆うように形成された箱体32とで形成され、箱体32の内部が蒸気チャンバー33とされている。蒸気チャンバー33内にも、図示しない高温高圧蒸気の発生源から、調圧バルブ41を介して、調整された量の高温蒸気が供給される。第2成形型30においても、調圧バルブ41より先の蒸気吹き込み配管は2つに分岐しており、2箇所から蒸気チャンバー33内に蒸気が供給される。蒸気チャンバー33内の蒸気供給口に対向する位置にも、分散板34がそれぞれ配置されており、蒸気チャンバー33内に供給された蒸気は、分散板34に衝突することで、封鎖熱板31に沿った方向に分散する。省略することもできるが、蒸気チャンバー33内に、各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合しないように、2つの分散板34の間に、適宜の大きさの仕切り板35を設けることもできる。
【0045】
図示されないが、発泡成形機A1は、蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備える制御手段を備えており、調圧バルブ40、41を流れる蒸気流量の調整と、調圧バルブ40、41の開度の調整を行う。
【0046】
図4は、発泡成形機の他の例示しており、この発泡成形機A2は、調圧バルブ40、41の先において、蒸気吹き込み配管は4つに分岐しており、各蒸気吹き込み配管に対向する位置には、4つの分散板28、34が設けられている点で、図2および図3に示した発泡成形機A1と相違する。他の構成は発泡成形機A1と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図4では、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0047】
図5は、発泡成形機のさらに他の例示しており、この発泡成形機A3は、図示しない高温高圧蒸気の発生源からの蒸気供給管が4本あり、各蒸気供給管にそれぞれ調圧バルブ40a〜40d、41a〜41dが設けられている点で、図4に示した発泡成形機A2と相違する。他の構成は発泡成形機A2と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図5でも、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0048】
図示されないが、発泡成形機A3は、各蒸気吹き込み配管のそれぞれに蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備える制御手段を備えており、各調圧バルブ40a〜40d、および調圧バルブ41a〜41dを流れる蒸気流量の調整と、それらのバルブの開度の調整を行う。
【0049】
図6は、発泡成形機のさらに他の例示しており、この発泡成形機A4は、蒸気チャンバー27側の4つの蒸気吹き込み配管は各調圧バルブ40a〜40dの下流側でさらに3つに分岐して蒸気チャンバー27内に開口しており、また、蒸気チャンバー33側の4つの蒸気吹き込み配管も各調圧バルブ41a〜41dの下流側でさらに3つに分岐して蒸気チャンバー33内に開口している点で、図5に示した発泡成形機A3と相違している。他の構成は発泡成形機A3と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。なお、図6でも、各分散板28、34の間に必要に応じ設けられる仕切り板29、35は省略している。
【0050】
発泡成形機A1〜A4のいずれにおいても、発泡樹脂成形ブロック10の成形に当たっては、開いた状態にある第1成形型20の成形品チャンバー21内に所定の予備発泡粒子を所定量だけ充填し、型締めをした後に、双方の蒸気チャンバー27、33に所定条件の蒸気を供給して予備発泡粒子を発泡および融着させる。その後、型を開くことにより、所望の発泡樹脂成形ブロック10が得られる。この成形方法は従来のものと同じである。
【0051】
得られた発泡樹脂成形ブロック10を、前記図1に基づき説明したようにして複数個に分割し、多数個の分割ブロック10pを得る。そして、それぞれの密度を測定する。それにより、成形した発泡樹脂成形ブロック10の内部密度のバラツキに関する情報が得られる。得られた情報に基づき、そのバラツキができるだけ小さな値となるように、各蒸気吹き込み配管から双方の蒸気チャンバー27、33に供給される蒸気量と蒸気圧力とを、調圧バルブ40、41および、より上流側での蒸気流量等を適宜制御することで調整する。この手順を何回か繰り返すことにより、内部密度分布のバラツキが例えば±6%以下とされた発泡樹脂成形ブロック10を得ることができる。
【0052】
図示して例示した発泡成形機A1〜A4において、双方の蒸気チャンバー27、33への蒸気吹き込み配管の数が多いほど、より精緻に成形品チャンバー21内への蒸気吹き出し条件を制御することが可能となり、より内部密度分布のバラツキが小さい発泡樹脂成形ブロック10を得ることができる。発泡樹脂成形ブロック10に求められる内部密度分布の均一化程度と、発泡成形機およびその運転に係る経費とを勘案して、適宜の数の蒸気吹き込み配管を持つ発泡成形機A1〜A4を用いるようにすればよい。
【0053】
また、どのような発泡成形機であっても、時間とともに双方の蒸気チャンバー27、33に形成された蒸気孔の目詰まりが生じるのを避けることはできず、経時的に、蒸気供給条件が変化する。そのために、上記のようにして所望の蒸気供給条件を得て、所望の発泡樹脂成形ブロック10を成形していても、次第に初期条件から外れた発泡樹脂成形ブロック10が成形されるようになる。
【0054】
そのために、100個あるいは200個程度の1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後に、その中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロック、前記したように、縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを初期に設定した密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが前記密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて、各蒸気チャンバー27、33に吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始するような運転方法を採用することは、きわめて望ましいことである。
【0055】
その際に、各蒸気チャンバー27、33における各分散板28、34の間に仕切り板29、35を配置することにより、各蒸気チャンバー27、33において各蒸気吹き込み配管から供給される蒸気が混合するのを回避できるので、初期条件に一致した発泡樹脂成形ブロック10を得やすくなる。
【実施例】
【0056】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロックを実施例と比較例により説明する。図7は、実施例と比較例で用いた発泡樹脂成形ブロックを示す。密度αが19.7kg/m3である直方体形状の3つの発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zを用意した。なお、発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zの成形には、同じ発泡形成機を用い、蒸気チャンバー内に供給する蒸気の量と温度、圧力を調整することで、後記表2に示すように、内部密度分布のバラツキを異ならせた。
【0057】
具体的には、発泡樹脂成形ブロックXは、前記図2および図3に示した形態の発泡成形機であって仕切り板29を備えない発泡成形機を用い、成形条件は蒸気圧1kg/cm2、加熱時間20秒、金型温度120度で成形した。発泡樹脂成形ブロックYは、同じ発泡成形機を用い、成形条件は蒸気圧0.7kg/cm2、加熱時間35秒、金型温度115度で成形した。発泡樹脂成形ブロックZは、前記図6に示した形態の発泡成形機、すなわち全体の形状は発泡樹脂成形ブロックXを成形した発泡成形機と同じであるが、各蒸気吹き込み配管を、それぞれの調圧バルブ40a〜40d、41a〜41dの下流側でさらに3つに分岐させて蒸気チャンバー内に開口させた発泡成形機を用い、成形条件は、蒸気圧は、調圧バルブ40a,41aでは0.5kg/cm2、調圧バルブ40b,41bでは0.6kg/cm2、調圧バルブ40c,41cでは0.7kg/cm2、調圧バルブ40d,41dでは0.5kg/cm2、加熱時間40秒、金型温度115度で形成した。
【0058】
各発泡樹脂成形ブロックを一番広い面を9等分し、各分割ブロックに図7に示すようにA〜Iの番号を付した。すなわち、すべての発泡樹脂成形ブロックX、Y、Zを、縦長さa方向で3等分、横長さb方向で3等分、高さc方向で1等分して9個の分割ブロックA〜Iを得た。そして、各分割ブロックの密度βを測定した。その結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】
(1)ブロックXでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの22.0kg/m3、最小密度はブロックCの18.5kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは+2.3kg/m3、すなわち10%である。
【0061】
(2)ブロックYでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの21.5kg/m3、最小密度はブロックA,Cの19.0kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは、+1.8kg/m3、すなわち9%である。
【0062】
(3)ブロックZでの全分割ブロックの内、最大密度はブロックEの20.5kg/m3、最小密度は他のブロックの19.5kg/m3であり、全分割ブロックの内での全体密度19.7kg/m3からの最大バラツキは、+0.8kg/m3、すなわち4%である。
【0063】
よって、ブロックZは、分割ブロックA〜Iの密度βが、すべて、ブロックZの全体密度19.7(α)×(1±0.06)(kg/m3)の範囲内であり、ブロックZは、本発明の範囲内のものであって、実施例に相当する。
【0064】
[試験1]初期ひずみ量測定
次に、それぞれの分割ブロックに、我が国のEPS土木工法の基準書に則り、前記D−20(規格19.0kg/m3〜21.5kg/m3)の許容圧縮応力である50kN/m2の重しを載荷し、そのひずみ量(mm)を測定した。その結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
前記したように、ブロックXでは、最大で+2.3kg/m3(10%)の密度バラツキがあった。結果として、各分割ブロックで最大2.0mm程度ひずみ量の差が出たが、本発明品であるブロックZでは密度バラツキが最大で+0.8kg/m3(4%)と小さいことから、結果として、各分割ブロックでのひずみ量の差は1.0mm程度と小さくなっている。
【0067】
このことから、各分割ブロックの密度βと全体の密度αとの差のバラツキが小さくされている発泡樹脂成形ブロック(ブロックZ)は、比較してバラツキが大きいブロック(ブロックX,Y)と比較して、載荷面全体においてひずみ量の差が小さくなっていることがわかる。このことから、本発明による発泡樹脂成形ブロックの優位性が立証される。
【0068】
[試験2]クリープ変形量測定
試験1の各分割ブロックについて、さらに、重しを載荷したまま100日間放置して、長期クリープ変形量を測定した。その結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】
[考察]
ブロックXでは、各分割ブロックでの最大クリープ変形量は13.0mm、最小クリープ変形量は6.0mmであり、最大7mmの差ができたが、ブロックZでは、各分割ブロックでの最大クリープ変形量は9.0mm、最小クリープ変形量は7.0mmであり、2mm程度に収まっている。また、この差は平均しても、ブロックXとブロックZでは差が開いているのがわかる。
【0071】
このことからも、各分割ブロックの密度βと全体の密度αとの差のバラツキが小さくされている発泡樹脂成形ブロックは、比較してバラツキが大きいブロックと比較して、載荷面全体においてクリープ変形量の差および平均クリープ変形量の差が小さくなっていることがわかる。このことから、本発明による発泡樹脂成形ブロックの優位性が立証される。
【0072】
次に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10を軽量盛土として用いた軽量盛土構造体のいくつかの例を説明する。
【0073】
第1の例は、図11に基づき説明した軽量盛土構造体であり、そこにおいてEPSブロック4として、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が用いられた構造である。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の一方の側面が垂直面であることから、片盛土型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0074】
第2の例は、図8に示す軽量盛土構造体であり、ここでは、支持地盤3の道路1の両側を規制する位置にH形鋼2、2が垂直に2列に立て込まれており、その間に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている。図示の例では、発泡樹脂成形ブロック10のうち、H形鋼2、2に近接した部位の発泡樹脂成形ブロック10sは他の発泡樹脂成形ブロック10よりも全体密度が高くされている。また、多段に積み上げた軽量盛土の適所にはコンクリート床版11が適数配置されており、軽量盛土の上には、コンクリート床版、路床、下層路盤、上層路盤、表層等からなる道路舗装体道路1が形成されている。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の両側面が垂直面であることから、両直盛土型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0075】
第3の例は、図9に示す軽量盛土構造体であり、両直盛土型軽量盛土構造体の他の例である。ここでは、地中に掘削した溝中にも本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている点、用いているすべての発泡樹脂成形ブロック10はほぼ等しい全体密度である点で、図8に示した両直盛土型軽量盛土構造体と異なっている。
【0076】
第4の例は、図10に示す軽量盛土構造体であり、支持地盤3の掘削部および地表面より上に、本発明による発泡樹脂成形ブロック10が軽量盛土として多段に積み上げられている。形成された軽量盛土層は道路の両側で傾斜面をなしており、軽量盛土層の地表部は保護土12で覆われている。そして、その保護土12の上に道路1が形成されている。この構造の軽量盛土構造体は、軽量盛土の両側面が斜面であることから、両法面型軽量盛土構造体と呼ばれる。
【0077】
なお、いずれの軽量盛土構造体においても、上載荷重が比較的小さく作用する部位には、本発明による発泡樹脂成形ブロック10ではなく、従来知られている発泡樹脂成形ブロックを用いることもできる。
【符号の説明】
【0078】
10…発泡樹脂成形ブロック、
10p…分割ブロック、
A1〜A4…発泡成形機、
20…第1成形型、
21…成形品チャンバー、
27…蒸気チャンバー、
30…第2成形型、
33…蒸気チャンバー、
28、34…分散板、
40、41…調圧弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、
前記発泡樹脂成形ブロックの密度がα(kg/m3)であるときに、前記発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であることを特徴とする発泡樹脂成形ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、αが、10(kg/m3)以上、40(kg/m3)以下であることを特徴とする発泡樹脂成形ブロック。
【請求項3】
請求項1に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、縦長さaが1500mm以上、横長さbが600mm以上、高さcが300mm以上である発泡樹脂成形ブロック。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡粒子を成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを備えた発泡成形機の成形品チャンバー内で型内発泡成形して得られた発泡樹脂成形ブロック。
【請求項5】
請求項4に記載の発泡樹脂成形ブロックを型内発泡成形するのに用いる発泡成形機であって、前記発泡成形機は少なくとも成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを有しており、前記蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに蒸気吹き込み配管から供給される蒸気の蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えることを特徴とする発泡成形機。
【請求項6】
請求項5に記載の発泡成形機であって、前記蒸気チャンバーはそれぞれの蒸気吹き込み配管から蒸気が吹き込まれる領域を区画するための仕切り板を備えることを特徴とする発泡成形機。
【請求項7】
請求項5に記載の発泡成形機を用いて、土木工事において軽量盛土として用いられる縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる密度α(kg/m3)の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを連続的に製造するときの発泡成形機の運転方法であって、1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後にその中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを前記密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて蒸気チャンバーに吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始することを特徴とする発泡成形機の運転方法。
【請求項8】
支持地盤の上に請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡樹脂成形ブロックの複数個が多段に積み上げて構成される軽量盛土と、該軽量盛土の上に施工されている道路等である地上構造物とを少なくとも備えることを特徴とする軽量盛土構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の軽量盛土構造体であって、前記軽量盛土の一側面または両側面は垂直面とされていることを特徴とする軽量盛土構造体。
【請求項10】
請求項8に記載の軽量盛土構造体であって、前記軽量盛土の一側面または両側面は傾斜面とされていることを特徴とする軽量盛土構造体。
【請求項1】
土木工事において軽量盛土として用いられる、縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、
前記発泡樹脂成形ブロックの密度がα(kg/m3)であるときに、前記発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)して得られるan×bn×cn個の分割ブロックの密度βはすべて(1±0.06)α(kg/m3)の範囲内であることを特徴とする発泡樹脂成形ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、αが、10(kg/m3)以上、40(kg/m3)以下であることを特徴とする発泡樹脂成形ブロック。
【請求項3】
請求項1に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、縦長さaが1500mm以上、横長さbが600mm以上、高さcが300mm以上である発泡樹脂成形ブロック。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発泡樹脂成形ブロックであって、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡粒子を成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを備えた発泡成形機の成形品チャンバー内で型内発泡成形して得られた発泡樹脂成形ブロック。
【請求項5】
請求項4に記載の発泡樹脂成形ブロックを型内発泡成形するのに用いる発泡成形機であって、前記発泡成形機は少なくとも成形品チャンバーと蒸気チャンバーとを有しており、前記蒸気チャンバーには複数個の蒸気吹き込み配管が接続しており、さらに蒸気吹き込み配管から供給される蒸気の蒸気圧および蒸気流量を制御できる制御手段を備えることを特徴とする発泡成形機。
【請求項6】
請求項5に記載の発泡成形機であって、前記蒸気チャンバーはそれぞれの蒸気吹き込み配管から蒸気が吹き込まれる領域を区画するための仕切り板を備えることを特徴とする発泡成形機。
【請求項7】
請求項5に記載の発泡成形機を用いて、土木工事において軽量盛土として用いられる縦長さa、横長さb、高さcであって縦長さa×横長さbの面が最大面となる密度α(kg/m3)の直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを連続的に製造するときの発泡成形機の運転方法であって、1バッチ分の発泡樹脂成形ブロックを製造した後にその中から適宜の発泡樹脂成形ブロックをサンプリングし、サンプリングした発泡樹脂成形ブロックを縦長さa方向でan等分、横長さb方向でbn等分、高さc方向でcn等分(但し、an、bn≧3、cn≧1)し、得られるan×bn×cn個の分割ブロックについてそれぞれの密度β(kg/m3)を測定し、その密度βを前記密度α(kg/m3)と比較し、それぞれの密度βが密度αに近づくように、各蒸気吹き込み配管に備えた制御手段を用いて蒸気チャンバーに吹き込まれる蒸気圧および蒸気流量を調整し、しかる後、次のバッチの発泡樹脂成形ブロックの製造運転を開始することを特徴とする発泡成形機の運転方法。
【請求項8】
支持地盤の上に請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡樹脂成形ブロックの複数個が多段に積み上げて構成される軽量盛土と、該軽量盛土の上に施工されている道路等である地上構造物とを少なくとも備えることを特徴とする軽量盛土構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の軽量盛土構造体であって、前記軽量盛土の一側面または両側面は垂直面とされていることを特徴とする軽量盛土構造体。
【請求項10】
請求項8に記載の軽量盛土構造体であって、前記軽量盛土の一側面または両側面は傾斜面とされていることを特徴とする軽量盛土構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−153108(P2012−153108A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16598(P2011−16598)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(597163234)株式会社積水化成品茨城 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(597163234)株式会社積水化成品茨城 (4)
【Fターム(参考)】
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