説明

発泡用ABS樹脂組成物および発泡成形体

【課題】 各種の発泡成形法において発泡倍率が容易に上げられ、且つ製品表面に高級感があり、低線膨張係数を与える発泡用ABS系樹脂組成物および発泡成形体を提供する。
【解決手段】 アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(a)及びポリエチレン系樹脂(b)からなり、220℃、巻取り速度10m/分で測定した溶融張力(MS220)が50〜150mNの範囲内である発泡用ABS樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡用ABS系樹脂組成物および該組成物を用いた発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部材や家電部品または住宅内装部材として、樹脂製の発泡成形体が多く用いられている。使用される樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(以下、ABS樹脂と記す。)などのスチレン系樹脂などが挙げられている。
【0003】
そして、スチレン系樹脂の中でもポリスチレンは、発泡成形が容易であることが知られている。また、ABS樹脂は、ポリスチレンに比べ、機械的強度、特に衝撃強度が優れているおり、その低発泡体(発泡倍率1.3〜2.5倍程度)は、線膨張係数も比較的小さく、自動車部材、家電部品や住宅内装部材として使用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭57−48380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、家電製品のユニバーサルデザイン化、自動車の燃費向上のための軽量化を目的として、ABS樹脂製品の高発泡成形による軽量化の要求が強まってきている。ところが、一般的なABS樹脂は溶融張力が小さく、高発泡成形した場合に、発泡剤のガス圧が溶融樹脂膜を破壊するため、粗大な気泡となることから、均一な気泡構造の発泡体を得ることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、各種の発泡成形法において発泡倍率が容易に上げられ、且つ製品表面に高級感があり、低線膨張係数を与える発泡用ABS系樹脂組成物および発泡成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ABS樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる特定のABS樹脂組成物が、発泡成形性に優れるABS樹脂組成物となりうることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明は、ABS樹脂(a)及びポリエチレン系樹脂(b)からなり、220℃、巻取り速度10m/分で測定した溶融張力(MS220)が50〜150mNの範囲内であることを特徴とする発泡用ABS樹脂組成物に関するものである。
【0009】
以下に本発明に関し詳細に説明する。
【0010】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物は、ABS樹脂(a)及びポリエチレン系樹脂(b)からなるABS樹脂組成物であり、220℃、巻取り速度10m/分で測定した溶融張力(MS220)が50〜150mNの範囲内であるものである。そして、本発明の発泡用ABS樹脂組成物においては、該溶融張力(MS220)が50〜150mNの範囲内となることから、均一な発泡セル構造と高発泡倍率を有する発泡成形体を提供できる発泡用ABS樹脂組成物となるものである。ここで、溶融張力(MS220)が50mN未満のものである場合、得られるABS樹脂組成物を発泡成形に供しても発泡ガスを充分に保持できないために、均一な気泡構造を有する発泡成形体を得ることができない。一方、溶融張力(MS220)が150mNを越えるものである場合、得られるABS樹脂組成物を発泡成形に供しても気泡が充分成長せず、発泡倍率が低い成形体しか得られない。
【0011】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を構成するABS樹脂(a)としては、ABS樹脂の範疇に属するものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能であり、一般に市販されているものでもよい。該ABS樹脂としては、例えば、ブタジエンラテックスにアクリロニトリルとスチレンとをグラフトしたタイプやアクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であるニトリルゴム(NBR)にアクリロニトリルとスチレンとの共重合体をブレンドしたタイプなどが例示される。ABS樹脂(a)を構成する3つのモノマーの組成比に特に制限はなく、特に高発泡倍率を有する発泡成形体を得ることが可能となる発泡用ABS樹脂組成物となることから、200〜220℃の温度範囲で樹脂溶融粘度が好ましくは100〜100000ポイズの範囲、特に好ましくは1000〜20000ポイズの範囲にあるように組成比を調整したものが好ましく用いられる。
【0012】
該ABS樹脂(a)としては、製造可能な範囲内で、必要に応じて他の熱可塑性樹脂を添加したABS樹脂であってもよく、該熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0013】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂(b)は、ポリエチレン系樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えばエチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレン、エチレンから導かれる繰り返し単位と炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン−α−オレフィン共重合体等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性に優れる発泡用ABS樹脂組成物となることからエチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン単独重合体、またはエチレンから導かれる繰り返し単位と炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン−α−オレフィン共重合体であることが好ましい。ここで、炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とは、単量体である炭素数3〜8のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位であり、炭素数3〜8のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これら炭素数3〜8のα−オレフィンの少なくとも2種類を併用していてもよい。
【0014】
そして、該ポリエチレン系樹脂(b)としては、特に耐熱性、高発泡倍率を有する発泡成形体が得られる発泡用ABS樹脂組成物となることから、(A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が920kg/m以上960kg/m以下であり、(B)160℃で測定した溶融張力(MS160)が50〜150mNの範囲内である、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、さらに、発泡成形体を得る際の発泡成形性に優れ、機械的強度、色調に優れる発泡成形体の得られる発泡用ABS樹脂組成物となることから、(C)190℃で、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(以下、MFRと記す。)が1g/10分以上20g/10分以下であり、(D)160℃で測定した溶融張力(以下、MS160と記す。)とMFRの関係が下記式(1)を満足し、好ましくは下記式(4)を満足するものであり、
MS160>90−130×log(MFR) (1)
MS160>110−130×log(MFR) (4)
(E)190℃で測定した溶融張力(以下、MS190と記す。)とMS160の関係が下記式(2)を満足し、好ましくは下記式(5)を満足するものであり、
MS160/MS190<1.8 (2)
MS160/MS190<1.7 (5)
(F)流動の活性化エネルギー(kJ/mol)(以下、Eと記す。)と密度との関係が、下記式(3)を満足し、好ましくは下記式(6)を満足するポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
【0015】
125−0.105d<E<88−0.0550d (3)
127−0.107d<E<88−0.060d (6)
ポリエチレン系樹脂(b)としては、ABS樹脂に配合した際の溶融張力の向上効果に特に優れる溶融張力向上剤となることから、さらに(G)重量平均分子量/数平均分子量(以下、M/Mと記す。)が3以上10以下であることが好ましく、より4以上8以下であるポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
【0016】
なお、本発明における末端ビニル数の測定法としては、ポリエチレン系樹脂を熱プレスした後、氷冷して調製したフィルムをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により4000cm−1〜400cm−1の範囲で測定し、下式により算出した。
1000炭素原子当たりの末端ビニル数(個/1000C)=a×A/L/d
(式中、aは吸光光度係数、Aは末端ビニルに帰属される909cm−1の吸光度、Lはフィルムの厚み、dは密度を示す。なお、aは、H−NMR測定より、1000炭素原子当たりの末端ビニル数を確認したサンプルを用いて作成した検量線から求めた。H−NMR測定は、NMR測定装置(日本電子社製、商品名GSX400)を用い、重水素化ベンゼンとo−ジクロロベンゼンの混合溶媒中、130℃において実施した。1000炭素原子当たりの末端ビニル数は、メチレンに帰属されるピークと末端ビニルに帰属されるピークの積分比から算出した。各ピークは、テトラメチルシランを基準(0ppm)として、化学シフトが1.3ppmのピークをメチレン、4.8〜5.0ppmのピークを末端ビニルと帰属した。)
また、本発明におけるMS160は、長さが8mm,直径が2.095mmであるダイスを用い、流入角90°で、せん断速度10.8s−1、延伸比47、測定温度160℃の条件下で測定した値であり、最大延伸比が47未満の場合は、破断しない最高の延伸比で測定した値をMS160とした。また、本発明におけるMS190は測定温度が190℃以外はMS160と同条件で測定した。
【0017】
本発明におけるEは、160℃〜230℃の温度範囲における動的粘弾性測定を行い、得られるシフトファクターをアレニウス式に代入することにより求めることができる。
【0018】
本発明におけるM/Mは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリエチレン換算値である重量平均分子量(M)と数平均分子量(M)を測定することにより算出することが可能である。
【0019】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂(b)は、ポリエチレン系樹脂の製造方法として知られている、例えば高圧重合法、チグラー・ナッタ触媒、クロム系触媒、メタロセン触媒等の重合触媒による低圧重合法等の方法により得られたものであってもよく、特に好ましくは上記(A)〜(B)、更に(C)〜(G)、(H)を満足するポリエチレン系樹脂の製造方法としては、例えば後述する本願実施例の製造条件そのもの、あるいは条件因子の微調整によって任意に作り分けることが可能である。
【0020】
具体的には、例えば、特開2004−346304号公報、特開2005−248013号公報、特開2006−321991号公報、特開2007−169341号公報、特開2008−50278号公報に記載の重合触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
【0021】
より具体的には、例えばメタロセン化合物として、2つの置換または非置換シクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビス(置換または非置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(a)と記す。)と、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(b)と記す。)を用いたメタロセン触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
【0022】
成分(a)の具体例としては、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム、ジクロライド1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ブタン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、シス−2−ブテン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
【0023】
成分(b)の具体例としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
【0024】
また、成分(a)に対する成分(b)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
【0025】
そして、成分(a)と成分(b)を用いたメタロセン触媒としては、例えば成分(a)と成分(b)と有機アルミニウム化合物(以下、成分(c)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)とアルミノオキサン(以下、成分(d)と記す。)からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)とプロトン酸塩(以下、成分(e)と記す。)、ルイス酸塩(以下、成分(f)と記す。)または金属塩(以下、成分(g)と記す。)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;、成分(a)と成分(b)と成分(d)と無機酸化物(以下、成分(h)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と成分(h)と成分(e)、成分(f)、成分(g)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)と粘土鉱物(以下、成分(i)と記す。)と成分(c)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と有機化合物で処理された粘土鉱物(以下、成分(j)と記す。)からなる触媒を例示することができ、好ましくは成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒を用いることができる。
【0026】
ここで、成分(i)および成分(j)として用いることが可能な粘土鉱物としては、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子を挙げることができ、粘土鉱物の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成しており、層の中に種々の大きさの負電荷を有することが挙げられる。この点で、シリカやアルミナのような三次元構造を持つ金属酸化物と大きく異なる。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式当たりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.25から0.6)、バーミキュライト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.6から0.9)、雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ1)、脆雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の粘土鉱物が含まれるが、スメクタイト群に属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、上記粘土鉱物は複数混合して用いることもできる。
【0027】
成分(j)における有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することをいう。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩を例示することができる。
【0028】
成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒は、有機溶媒中、成分(a)と成分(b)と成分(j)を接触させることによって得ることが可能であり、成分(a)と成分(j)の接触生成物に成分(b)を添加する方法;成分(b)と成分(j)の接触生成物に成分(a)を添加する方法;成分(a)と成分(b)の接触生成物に成分(j)を添加する方法;成分(j)に成分(a)と成分(b)の接触生成物を添加する方法を例示することができる。
【0029】
接触溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、1,4−ジオキサン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを例示することができる。
【0030】
接触温度については、0〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
【0031】
各成分の使用量は、成分(j)1gあたり成分(a)が、0.0001〜100mmol、好ましくは0.001〜10mmolである。
【0032】
このようにして調製された成分(a)と成分(b)と成分(j)の接触生成物は、洗浄せずに用いても良く、また洗浄した後に用いても良い。また、成分(a)または成分(b)がジハロゲン体の時、さらに成分(c)を添加することが好ましい。また、成分(j)、重合溶媒およびオレフィン中の不純物を除去することを目的に成分(c)を添加することができる。
【0033】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンである場合、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0034】
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン系共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0035】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物は、特に高発泡性に優れたABS樹脂組成物となることからABS樹脂(a)99〜50重量%及びポリエチレン系樹脂(b)1〜50重量%からなることが好ましい。
【0036】
また、本発明の発泡用ABS樹脂組成物には、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、必要に応じて、さらに安定剤、滑剤、難燃剤、分散剤、充填剤、架橋剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、着色剤などを含有していてもよい。
【0037】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物の製造方法としては、通常の樹脂組成物とする際の方法を用いることができ、例えば溶融・混合方法として、押出混練、ロール混練など公知の方法を挙げることができ、該方法で溶融混練することにより得ることができる。
【0038】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物は、各種の発泡成形、たとえば、発泡ブロー成形用、押出発泡成形用、異型押出発泡成形用、射出発泡成形用として優れた特性を有する組成物となり、その中でも特に押出発泡成形として適したものとなる。
【0039】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を発泡する際の発泡剤としては、特に制限はなく、熱分解型発泡性化合物としては、例えば分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)など公知の熱分解型発泡性化合物;二酸化炭素、ブタン、プロパン等のガス、等が挙げられる。
【0040】
また、本発明の発泡用ABS樹脂組成物は、上記発泡剤を含んだ発泡性ABS樹脂組成物とすることも可能である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の発泡用ABS樹脂組成物を使用することで、各種の発泡成形法において発泡倍率が容易に上げられ、且つ製品表面に高級感があり、低線膨張係数を与える発泡用ABS系樹脂組成物および発泡成形体を提供することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
〜分子量および分子量分布の測定〜
ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)および重量平均分子量と数平均分子量の比(M/M)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MおよびMは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
【0044】
〜密度の測定〜
ポリエチレン系樹脂の密度(d)は、JIS K6760(1995)に準拠して密度勾配管法で測定した。
【0045】
〜流動の活性化エネルギーの算出〜
ポリエチレン系樹脂(b)の流動の活性化エネルギー(E)は、円板−円板レオメーター((株)アントンパール製、商品名:MCR−300)を用い、150℃、170℃、190℃の各温度で角速度0.1〜100rad/sの範囲のせん断貯蔵弾性率G’、せん断損失弾性率G”を求め、基準温度150℃での横軸のシフトファクターを求め、アレニウス型の式により計算した。
【0046】
〜溶融張力の測定〜
ポリエチレン系樹脂および発泡性ABS樹脂組成物(発泡剤を添加しない状態で測定)の溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mm、流入角が90°のダイスを装着し測定した。MS160は、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とした。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とした。また、温度を190℃に設定し同様の方法で測定した荷重(mN)をMS190、温度を220℃に設定し同様の方法で測定した荷重(mN)をMS220とした。
【0047】
溶融張力(MS160、MS190)および流動の活性化エネルギー(E)測定に用いたポリエチレン系樹脂(b)は、予め耐熱安定剤としてイルガノックス1010TM((株)チバスペシャリティケミカルズ製)1,500ppm、イルガフォス168TM((株)チバスペシャリティケミカルズ製)1,500ppmを添加したものを、インターナルミキサー((株)東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
【0048】
〜発泡倍率〜
発泡性ABS樹脂組成物を使用して成形された押出発泡体から、直径5cm×長さ10cmの円筒状の発泡体を切り出し、重量W2(g)を測定し、JIS K6767に準拠して、次式で見掛密度を算出する。
【0049】
見掛密度(g/cm)=W2/(2.5×2.5×π×10)
発泡倍率は、この見掛密度より、次式で求めた。
【0050】
発泡倍率=1/見掛密度
〜発泡体形状および気泡形状〜
発泡用ABS樹脂組成物を使用して成形された押出発泡体の外観、および断面における気泡の状態を目視にて評価した。
【0051】
円滑な表面の、発泡体形状独立気泡…○、凸凹の発泡体形状、連続気泡…×、
〜発泡体引裂き強さ〜
発泡用ABS樹脂組成物を使用して成形された押出発泡体を手で引裂いた際に、容易に引裂けない発泡成形体を○、容易に引裂ける発泡成形体を×とした。
【0052】
〜加熱収縮率〜
発泡用ABS樹脂組成物を使用して成形された押出発泡体から15mm×15mmの正方形サンプルを切り出し、その中心に各辺に平行となる各々長さ10mmの直交した標線を書き、このサンプルを120℃の熱風循環オーブンに入れ、1時間加熱後、取出し、室温になるまで自然冷却した。この加熱処理サンプルの各標線長さを測定し、平均値をLa(mm)とし、下記の式に従って加熱収縮率を算出した。耐熱性については、厚さ方向の加熱収縮率5%未満のものを合格とした。
【0053】
加熱収縮率(%)=[(10−La)/10]×100
冷却温度は30℃とした。
【0054】
製造例1
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN−メチルジオレイルアミン585g(1.1mol:ライオン株式会社製・商品名:アーミンM2O)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄み液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径10.5μmの変性ヘクトライトを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20.0mmol)、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド2.33g(3.53mmol)およびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、ヘキサンで触媒固体を2回洗浄し、ヘキサンを添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを33.0kg/時、ブテン−1を1.0kg/時、水素を19NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]で調製した触媒スラリーを連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を85℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てポリエチレン系樹脂粉末を得た。ポリエチレン系樹脂粉末を200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでポリエチレン系樹脂ペレットを得た。得られたポリエチレン系樹脂ペレットの密度は950kg/m、MFRは4.0g/10分であった。
【0055】
製造例2
製造例1[ポリエチレン系樹脂の製造]において、水素供給量を19NL/時から12NL/時に変えたこと以外は、製造例1と同様に行った。得られたポリエチレン系樹脂の密度は950kg/m、MFRは2.0g/10分であった。
【0056】
製造例3
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチル−オクタデシルアミン330g(1.1mol:ライオン株式会社製・商品名:アーミンDM18D)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1.0kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水5Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径10.5μmの変性ヘクトライトを得た。
[マクロモノマー合成触媒の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20.0mmol)およびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、ヘキサンで触媒固体を2回洗浄し、ヘキサンを添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[マクロモノマーの合成]
内容積370Lの重合器に、ヘキサンを80kg/時で、エチレンを33kg/時で、ブテン−1を0.6kg/時で、トリイソブチルアルミニウムを液中の濃度が0.19mmol/kgヘキサンとなるように連続的に供給しながら、上記[マクロモノマー合成触媒の調製]で調製したマクロモノマー合成触媒を、マクロマー合成量が30kg/時になるように連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。重合器から連続的に抜き出したマクロモノマースラリーは、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、内容積540Lの2段目の重合器に移送した。重合器から抜き出したマクロモノマーのMn=9,200であり、Mw/Mn=2.5であった。また、マクロモノマーの末端構造を解析したところ、1,000炭素当りの末端ビニル数は0.37個であった。
[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]
ヘキサン21.2リットルに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2.0mol)およびジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド670g(1.0mol)を添加し、室温で1時間攪拌することによって触媒溶液を調製した。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
前記[マクロモノマーの合成]で合成したマクロモノマーが移送された内容積540Lの2段目の重合器に、エチレンを2.5kg/時で、水素を10NL/時で連続的に供給しながら、前記[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]で調製した触媒溶液を、ポリエチレン系樹脂の製造量が32kg/時になるように連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られたポリエチレン系樹脂を含むスラリーを重合器から連続的に抜き出し、未反応の水素、エチレンを除去した後、分離、乾燥の工程を経てポリエチレン系樹脂粉末を得た。ポリエチレン系樹脂粉末を200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでポリエチレン系樹脂ペレットを得た。得られたポリエチレン系樹脂ペレットの密度は950kg/m、MFRは6.0g/10分であった。
【0057】
実施例1
[発泡用ABS樹脂組成物の製造]
製造例1で得られたポリエチレン系樹脂と市販のABSペレット(商品名(グレード):#130、MFR=17g/10分(条件220℃−98N)、テクノポリマー製)20:80(重量%)の比率でドライブレンドして、これをプラコー社製50mm径単軸押出機にて溶融混合した。バレルの温度はC1;180℃、C2;200℃、C3;220℃、ダイヘッド;220℃とした。
[発泡用ABS樹脂組成物を使用して成形された押出発泡体の製造]
発泡用ABS樹脂組成物100重量部に対し、発泡剤として重曹とクエン酸からなる化学発泡剤を1.0重量部の割合でブレンドした。そして、200℃に設定した単軸押出機(スクリュー径50mmφ、L/D=28、中央機械製)の押出設備を用い、発泡用ABS樹脂組成物を10kg/時で供給し、棒状の発泡成形体を成形した。
【0058】
上記製造法にて作成した発泡用ABS樹脂組成物の発泡成形体について、発泡倍率、発泡体形状、気泡形状、引裂き強さ、および加熱収縮率を評価した。得られた発泡用ABS樹脂組成物の物性および発泡体の評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例2
実施例1において、ポリエチレン系樹脂の配合割合を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0060】
実施例3
実施例1において、ポリエチレン系樹脂を製造例2で得られた樹脂に変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0061】
実施例4
実施例1において、ポリエチレン系樹脂を製造例3で得られた樹脂に変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0062】
実施例5
実施例1において、ポリエチレン系樹脂を市販の高圧法により製造された低密度ポリエチレン(LDPE)(商品名:ペトロセン203、東ソー製、MFR=8g/10分、密度=919kg/m)に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
【0063】
比較例1
実施例1において、ポリエチレン系樹脂を市販のメタロセン触媒で製造された直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:ユメリット4540F、宇部興産製、MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m)に変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0064】
結果を表1に示す。
【0065】
比較例2
実施例1において、ポリエチレン系樹脂の添加量を0.9重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0066】
結果を表1に示す。
【0067】
実施例6
実施例1において、ポリエチレン系樹脂の添加量を52重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0068】
結果を表1に示す。
【0069】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0070】
発泡倍率が容易に上げられ、且つ製品表面に高級感があり、低線膨張係数を与える発泡用ABS系樹脂組成物および発泡成形体を提供することで、自動車部材や家電部品または住宅内装部材として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(以下、ABS樹脂と記す。)(a)及びポリエチレン系樹脂(b)からなり、220℃、巻取り速度10m/分で測定した溶融張力(MS220)が50〜150mNの範囲内であることを特徴とする発泡用ABS樹脂組成物。
【請求項2】
ABS樹脂(a)99〜50重量%及びポリエチレン系樹脂(b)1〜50重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の発泡用ABS樹脂組成物。
【請求項3】
ポリエチレン系樹脂(b)が、下記(A)及び(B)を満足するポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡用ABS樹脂組成物。
(A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が920kg/m以上960kg/m以下である。
(B)160℃で測定した溶融張力(MS160)が50〜150mNの範囲内である。
【請求項4】
ポリエチレン系樹脂(b)が、さらに下記(H)を満足するポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の発泡用ABS樹脂組成物。
(G)重量平均分子量/数平均分子量(M/M)が3以上10以下である。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発泡用ABS樹脂組成物からなることを特徴とする発泡成形体。

【公開番号】特開2011−162731(P2011−162731A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29830(P2010−29830)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】