説明

発熱体ユニット

【課題】 本発明は、大きな衝撃に対して強く、ガラス管の破損や発熱部の断線がおこりにくい発熱体ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る発熱体ユニットは、発熱体のガラス管の端部に少なくとも一部が弾性体からなる取付部を有する発熱体ホルダーを設けて、取付けられた筐体に転倒等で大きい衝撃が発生した場合、発熱体ホルダーの弾性により発熱体へ伝わる衝撃を吸収し、ガラス管の破損や発熱素子の断線を発生し難く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス管内部に発熱部を収納し、筐体等に取付けるための取付部を有する発熱体ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁物としてガラス管を使用した従来の発熱体ユニットは、細長いガラス管の内部に発熱部である発熱素子を収納して封止した発熱体と、この発熱体を筐体に固定するための発熱体ホルダーとにより構成されている。発熱体において、ガラス管内部にはアルゴンガスが封入されており、発熱素子の両端はモリブデン箔等を介してガラス管の外部に導出するリード線に接続されている。発熱体ホルダーは、金属製やセラミック製の剛体で構成されており、ガラス管の両端に形成された封止部分に固着されている。このように従来の発熱体ユニットはガラス管で構成された発熱体を金属製やセラミック製の剛体である発熱体ホルダーにより筐体にビス止め等により強固に固定されていた。
【特許文献1】特開2004−163103号公報
【特許文献2】特開2001−349660号公報
【特許文献3】特許第3389429号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発熱体ユニットの構成では、取付けられた筐体の転倒等により大きな衝撃が当該発熱体ユニットに加えられた場合、発熱体ホルダーが金属製等の剛体で構成されているため、筐体から発熱体ホルダーへ、そしてガラス管から発熱素子へと大きな振動が伝播する。この結果、ガラス管が破損するおそれがあり、特にガラス管の両端部分にある封止部分が破損したり、ガラス管内部の発熱素子が断線するという発熱体ユニットとして致命的な問題が有していた。したがって、従来の発熱体ユニットにおいては、大きな衝撃を受けた場合にガラス管の破損や発熱素子の断線の発生を極力抑えることが重要な課題であった。
【0004】
本発明は、従来の発熱体ユニットにおける課題を解決するものであり、衝撃に対して強い構成を有し、ガラス管の破損や発熱部である発熱素子の断線が生じ難い信頼性の高い発熱体ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、前記の目的を達成するために、発熱部を収納したガラス管、及び
前記ガラス管の端部を保持する発熱体ホルダー、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体ホルダーが、前記ガラス管の端部を保持する保持部と、
前記保持部に突設され、固定部材に固着するための孔を有する衝撃吸収材で形成された取付部と、を有する。このように構成された本発明の発熱体ユニットは、衝撃に対して強い構成を有し、ガラス管の破損や発熱素子の断線が生じ難い構成となる。
【0006】
本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットは、第1の観点の構成における前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の導出方向に前記取付部が前記保持部から突出するよう設けてもよい。
【0007】
本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットは、第1の観点の構成における前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の導出方向と直交する方向に前記取付部が前記保持部から突出するよう設けられてもよい。
【0008】
本発明に係る第4の観点の発熱体ユニットは、第1の観点乃至第3の観点のいずれかの構成における前記発熱体ホルダーにおいて、前記保持部と前記取付部が衝撃吸収材で一体成形してもよい。
【0009】
本発明に係る第5の観点の発熱体ユニットは、第1の観点乃至第3の観点のいずれかの構成における前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の端部を保持する保持部に前記ガラス管を表出する放熱用の孔を形成してもよい。
【0010】
本発明に係る第6の観点の発熱体ユニットは、第1の観点乃至第3の観点のいずれかの構成において、前記取付部が固定される固定部材と前記ガラス管とを機構的に直接接続する支持部材をさらに具備するよう構成してもよい。
【0011】
本発明に係る第7の観点の発熱体ユニットは、発熱部を収納したガラス管と、前記発熱部の両端部に設けられ、前記ガラス管の少なくとも一端からガラス管外に導出される電力供給用のリード線とを有する発熱体と、
前記発熱体を筐体に取付けるための発熱体ホルダーと、を具備し、
前記リード線が配置された前記ガラス管の少なくとも一端に前記発熱体ホルダーを配置するとともに、前記発熱体ホルダーの少なくとも一部を弾性体で構成している。このように構成された本発明の発熱体ユニットは、取付けられた筐体において転倒等により大きな衝撃が発生した場合、発熱体ホルダーの弾性力により発熱体へ伝わる衝撃が吸収され、ガラス管の破損や発熱部である発熱素子の断線が発生し難い信頼性の高い構成となる。
【0012】
本発明に係る第8の観点の発熱体ユニットは、発熱部を収納したガラス管と、前記発熱部の両端部に設けられ、前記ガラス管の両端からガラス管外に導出される電力供給用のリード線とを有する発熱体と、
前記発熱体を固定部材である筐体に取付けるための発熱体ホルダーと、を具備し、
前記リード線が配置された前記ガラス管の少なくとも一端に前記発熱体ホルダーを配置するとともに、前記発熱体ホルダーの少なくとも一部を弾性体で構成している。
このように構成された本発明の発熱体ユニットは、取付けられた筐体において転倒等により大きな衝撃が発生した場合、両端の発熱体ホルダーの弾性力により発熱体へ伝わる衝撃が吸収され、ガラス管の破損や発熱部である発熱素子の断線が発生し難い構成となる。
【0013】
本発明に係る第9の観点の発熱体ユニットは、第7の観点又は第8の観点の構成において、前記発熱体と筐体との間に所定の空間を有して取付けるよう構成してもよい。
【0014】
本発明に係る第10の観点の発熱体ユニットは、第7の観点又は第8の観点の構成において、前記ガラス管の少なくとも一端が開口するとともに、前記発熱体ホルダーに前記開口からの熱を外方に直接あるいは間接的に放出するための導通孔を設けてもよい。
【0015】
本発明に係る第11の観点の発熱体ユニットは、第7の観点又は第8の観点の構成において、前記ガラス管内に不活性ガスが封入されて、前記ガラス管の端部が封止された構成でもよい。
【0016】
本発明に係る第12の観点の発熱体ユニットは、第7の観点乃至第11の観点のいずれか一つの観点の構成において、前記発熱体ホルダーの筐体への取付位置が、前記ガラス管の端部側面より外側に設けてもよい。
【0017】
本発明に係る第13の観点の発熱体ユニットは、第7の観点乃至第11の観点のいずれか一つの観点の構成において、前記発熱体ホルダーの筐体への取付位置が、前記ガラス管の端部より外側に設けてもよい。
【0018】
本発明に係る第14の観点の発熱体ユニットは、第7の観点乃至第11の観点のいずれか一つの観点の構成において、前記発熱体ホルダーが前記発熱体のための放熱用開口部を有するよう構成してもよい。
【0019】
本発明に係る第15の観点の発熱体ユニットは、第7の観点乃至第14の観点のいずれか一つの観点の構成における前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管を保持するための保持部を金属、磁器又は樹脂成型体で構成し、筐体に取付けるための取付部を弾性体で構成してもよい。
【0020】
本発明に係る第16の観点の発熱体ユニットは、第7の観点乃至第15の観点のいずれか一つの観点の構成において、前記発熱体ホルダーは弾性を有する成型体と、前記成型体に一体又は別体の金属製支持体で構成してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、衝撃に対して強い構成を有し、ガラス管等の絶縁物の破損や発熱部の断線が生じ難い信頼性の高い発熱体ユニットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る発熱体ユニットの好適な実施例を添付の図面を参照しつつ説明する。
【0023】
《実施例1》
図1及び図2を用いて、本発明に係る実施例1の発熱体ユニットについて説明する。 図1は本発明に係る実施例1の発熱体ユニットの構成を示す図であり、図1の(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 図2は本発明に係る実施例1の発熱体ユニットを筐体へ取付けた状態を示す図であり、図2の(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0024】
実施例1の発熱体ユニットは、細長いガラス管1の内部にコイル状の発熱部である発熱素子2を収納して封止した発熱体9と、この発熱体9を固定部材である筐体に固定するための発熱体ホルダー10とにより構成されている。図1に示すように、実施例1の発熱体ユニットにおいて、発熱体9におけるガラス管1の内部に配設された発熱素子2は、モリブデン箔3、外部導入線4、及び金属カシメ部5を介してリード線6に接続されている。ガラス管1の両端は溶着されて封止部8が形成され、ガラス管1の内部にはアルゴンガス7が封入されている。
【0025】
発熱体9の両端に配設された発熱体ホルダー10は、シリコンゴム製の取付部11と、ガラス管1の封止部8を保持する保持部12とで構成されている。取付部11は、保持部12に固定されており、ガラス管1の両側端面より外側に配置されている。取付部11には2つの取付け孔13が形成されており、2つの取付け孔13の中心を結ぶ線の方向がガラス管1の導出方向に直交する方向となっている。なお、実施例1の発熱体ユニットは、発熱体9の両端部分に同じ構成の取付部11及び保持部12を有する発熱体ホルダー10が設けられているが、図1の(a)及び(b)に示す発熱体ユニットおいては、右端部分にある取付部11及び保持部12を2点鎖線で示す。
【0026】
図2は実施例1の発熱体ユニットを筐体14に取り付けるときの状態を示す拡大図である。実施例1の発熱体ユニットにおいては、取付部11の取付け孔13を利用して、ビスにより固定するビス止め、又は突起に取付け孔13を係合させる引掛け止め、又は取付部11を2つの部材により両側から挟む挟み込止めにより筐体14に取付けられる。
図1及び図2に示すように、実施例1の発熱体ユニットにおいては、発熱体ホルダー10の保持部12にはそのほぼ中央部分に放熱孔15が形成されている。この放熱孔15が形成されている位置は、封止部8に対向する位置、すなわち直上及び直下の位置となっている。
【0027】
以上のように、本発明に係る実施例1の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー10の取付部11は、衝撃吸収力が大きな弾性体であるシリコンゴムにより形成されており、この取付部11にのみ筐体14が固定されているため、転倒等により生じた衝撃は筐体14から取付部11に伝搬するが発熱体9には伝わり難く構成されている。すなわち、筐体14が受けた衝撃は、取付部11の上下左右前後等の各種方向への振動により衝撃が吸収され、ガラス管1の破損や発熱素子2の断線を防止することができる。
【0028】
また、実施例1の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー10には放熱孔15が形成されているため、放熱孔15からの熱発散により発熱体ホルダー10の温度上昇を低減させることができると共に発熱体ホルダー10の熱劣化を防止することができる。
さらに、実施例1の発熱体ユニットにおいては、発熱体9を筐体14に対して空間を有して取付けることにより、発熱体9と筐体14とを接続する発熱体ホルダー10は衝撃による振動の自由度が増し、衝撃吸収の効果が増大する。さらに、このように構成された発熱体ホルダー10は、筐体14からの伝導熱による影響が軽減され、熱劣化を防止することができる。
【0029】
次に、実施例1の発熱体ユニットと比較例である発熱体ユニットにより耐衝撃性の水平落下試験を行なった。ここで用いた比較例の発熱体ユニットは、剛体である金属製の発熱体ホルダーがガラス管を保持する構成である。
【0030】
図3は比較例の発熱体ユニットの構成を示す図であり、図3の(a)は発熱体209を示す平面図であり、(b)は発熱体209に金属製の発熱体ホルダー212を取付けた発熱体ユニットを示す平面図である。図3に示すように、ガラス管201に挿入された発熱素子202は、モリブデン箔203、外部導入線204、金属カシメ部205を介してリード線206に接続されている。ガラス管1の内部にはアルゴンガス207が封入されている。発熱体209の両端は剛体である金属製の発熱体ホルダー212に固定されている。比較例の発熱体ユニットは、発熱体ホルダー212に形成された取付け孔213をビス止めすることにより筐体に取付けられる。
【0031】
耐衝撃性の水平落下試験においては、落下高さを徐々に高くして、発熱体ユニットにおけるガラス管の破損、発熱素子の断線の発生状況を確認した。 また、それぞれの高さにおける落下衝撃力G値を測定した。この水平落下試験において用いたサンプルには、実施例1及び比較例共に、比較的衝撃に弱いとされているカーボン素材を発熱素子として使用した同じ発熱体を用い、発熱体ホルダーのみを変更した。
【0032】
図4は耐衝撃性の水平落下試験において用いた実験装置の構成を示す正面図である。図4において、符号24は水平落下試験において用いた実施例1及び比較例の試験サンプルである。図5は耐衝撃性の落下試験における試験結果を表している。
【0033】
図4に示すように、試験サンプル24は取付台22上のホルダー支持台25に固定されている。取付台22はベース20上に立設された2本の支柱21を軸としてスライドベアリング23により上下に移動するよう構成されている。このように構成された取付台22は、両サイドのスライドベアリング23により摺動して自由落下する。取付台22上の試験サンプル24は、指定の高さより自由落下させ、ガラス管の破損、及び発熱素子の断線を確認した。
【0034】
図5に示すように、比較例である金属製の発熱体ホルダーを有する発熱体ユニットにおいては、高さ35cm(150G)から高い位置で発熱素子が断線し、高さ50cm(180G)から発熱素子の断線及びガラス管の破損が発生した。一方、本発明の実施例1の発熱体ユニットでは55cm(190G)にて発熱素子が断線したのみであった。これより、実施例1の発熱体ユニットは衝撃によるガラス管の破損及び発熱素子の断線に対して優れた特性を有することが確認された。
【0035】
なお、実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダー10は、取付部11をシリコンゴムで形成した例で説明したが、発熱体ホルダー10の全体を一体化したシリコンゴム成型品としてもよい。さらに、発熱体ホルダー10の材質はシリコンゴム製として説明したが一部又は全体をフッ素系、ウレタン系、エチレンプロピレン系、アクリル系、ニトリル系、ブチル系、ポリエチレン系、エピクロルヒドリン系、スチレン系、ポリマーアロイ系、アミド系のいずれかの材質を用いた成型体としてもよい。
【0036】
また、実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダー10の保持部12は、ステンレス、鉄、アルミ、銅、黄銅などの金属又はアルミナ系、シリカ系、ジルコニア系、コージライト系などの磁器又はフェノール、不飽和ポリエステル、ポリアミド、メラミン、フッ素、エポキシなどの樹脂による成型体としてもよい。
また、実施例1の発熱体ユニットにおける発熱部である発熱素子2は、カーボン系、セラミック系の成型抵抗体で構成してもよく、タングステン、モリブデンなどの金属線で構成してもよい。
また、実施例1の発熱体ユニットにおけるガラス管1は、直管形状のもので説明したが、丸形、U形、弓形、コ形などに加熱変形させたものでもよい。
さらに、実施例1の発熱体ユニットにおけるガラス管1に封入されるガスは、アルゴンガス7で説明したが、窒素ガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの不活性ガスでもよい。
【0037】
《実施例2》
以下、本発明に係る実施例2の発熱体ユニットについて図6を用いて説明する。
図6は実施例2の発熱体ユニットを筐体へ取付けた状態を示す拡大図であり、図6の(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0038】
図6に示す実施例2の発熱体ユニットは、前述の図1及び図2に示した実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダーの構成を変更したものであり、その他の構成は同じである。したがって、実施例2の発熱体ユニットの説明において、同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施例1の説明を適用する。なお、実施例2の発熱体ユニットの両端部分には、同じ構成の発熱体ホルダー30が設けられているため、図6の拡大図においては一方の発熱体ホルダー30の近傍を示している。
図6において、発熱体9を保持し、固定部材である筐体34に固定するための発熱体ホルダー30は、シリコンゴム製の取付部31と、発熱体9のガラス管1の封止部を保持する保持部32により構成されている。取付部31はガラス管1の両端部分における側面より外側に配置されており、取付部31に形成された取付け孔33を利用してビス止め又は引掛け止め又は挟み込み止めにて筐体34へ取付けられる。
【0039】
以上のように、実施例2の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー30の取付部31は保持部32の側面から突設されている。すなわち、取付部31は保持部32に対して発熱体9の導出方向と直交する方向に突設されている。したがって、実施例2の発熱体ユニットにおいては、前述の実施例1の発熱体ユニットの構成に比べて、取付部31の取付位置幅、すなわち取付け孔33の間隔を大きくすることが可能となる。この結果、筐体34が転倒等により生じた上下方向の衝撃を、実施例1の発熱体ユニットの構成に比べてよりスムーズに振動吸収することが可能となり、ガラス管1の破損や発熱素子2の断線を防止することができる。
【0040】
さらに、実施例2の発熱体ユニットにおいては、発熱体9を筐体34に対して空間を有して取付けることにより、発熱体9と筐体34とを接続する発熱体ホルダー30は衝撃による振動の自由度が増し、衝撃吸収の効果が増大している。さらに、このように構成された発熱体ホルダー30は、筐体34からの伝導熱による影響が軽減され、熱劣化を防止することができる。
実施例2の発熱体ユニット構成では、前述の実施例1において説明した耐衝撃性の水平落下試験において、65cm(210G)にて発熱素子2が断線し、それより低い位置においては異常がなかった。
【0041】
《実施例3》
以下、本発明に係る実施例3の発熱体ユニットについて図7及び図8を用いて説明する。
図7は実施例3の発熱体ユニットの構成を示す図であり、図7の(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図8は実施例3の発熱体ユニットを筐体へ取付けた状態を示す拡大図であり、図8の(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0042】
実施例3の発熱体ユニットは、細長いガラス管40の内部にコイル状の発熱部である発熱素子41を収納した発熱体45と、この発熱体45を筐体51に固定するための発熱体ホルダー46とにより構成されている。図6に示すように、実施例3の発熱体ユニットにおいて、発熱体45におけるガラス管40の内部に配設された発熱素子41は、貫通孔42を通って、金属カシメ部43を介してリード線44に接続されている。なお、実施例3の発熱体ユニットは、発熱体45の両端部分に同じ構成の発熱体ホルダー46が設けられているが、図7の(a)及び(b)において、発熱体45の右端部分にある取付部47及び保持部48を有する発熱体ホルダー46は2点鎖線で示す。
【0043】
発熱体45の両端に配設された発熱体ホルダー46は、シリコンゴム製の取付部47と、ガラス管40の端部を保持する保持部48で構成されている。取付部47は、保持部48に固定されており、ガラス管40の両側端面より外側に配置されている。取付部47には2つの取付け孔50が形成されており、2つの取付け孔50の中心を結ぶ線の方向がガラス管40の導出方向に直交する方向となっている。
【0044】
図7に示すように、ガラス管40の端部を保持する保持部48にはガラス管40の貫通孔42より流れ出た高温の熱を外部へ排出する導通孔49が形成されている。ガラス管40の両側端面より外側に配置されているシリコンゴム製の取付部47は、取付け孔50を利用してビス止め又は引掛け止め又は挟み込み止めにて筐体51へ取付けられる。
【0045】
以上のように構成された実施例3の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー46の取付部47が衝撃を吸収する弾性体であるシリコンゴムにより形成されているため、筐体の転倒等により生じた衝撃を上下左右前後の各種振動を吸収して発熱体45に伝播しないように構成されている。この結果、実施例3の発熱体ユニットにおいては、ガラス管40の破損や発熱素子41の断線を防止することが可能となる。
【0046】
なお、実施例3の発熱体ユニットにおいては、発熱体ホルダー46の取付部47をシリコンゴム製として構成した例で説明したが、本発明においては発熱体ホルダー46の全体をシリコンゴム成型品として一体成形としてもよい。
また、実施例3の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダー46の材質は、シリコンゴム製で説明したが、一部又は全体をフッ素系、ウレタン系、エチレンプロピレン系、アクリル系、ニトリル系、ブチル系、ポリエチレン系、エピクロルヒドリン系、スチレン系、ポリマーアロイ系、アミド系いずれかの材質による成型体としてもよい。
【0047】
さらに、実施例3の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダー46の保持部48は、ステンレス、鉄、アルミ、銅、黄銅などの金属又はアルミナ系、シリカ系、ジルコニア系、コージライト系などの磁器又はフェノール、不飽和ポリエステル、ポリアミド、メラミン、フッ素、エポキシなどの樹脂による成型体としてもよい。
また、実施例3の発熱体ユニットにおいて、発熱素子41はセラミック系の成型抵抗体で構成したが、FeCrAl系、NiCr系の金属線などの熱源で構成することもできる。
さらに、実施例3の発熱体ユニットにおいて、発熱体45のガラス管40は直管形状で説明したが、丸形、U形、弓形、コ形などに加熱変形させたものでもよい。
【0048】
《実施例4》
以下、本発明に係る実施例4の発熱体ユニットについて図9を用いて説明する。
図9は実施例4の発熱体ユニットの構成を示す図である。図9において、(a)は発熱体ユニットにおける発熱体70を示す平面図であり、(b)は発熱体70に発熱体ホルダー71を取付けた発熱体ユニットを示す平面図であり、(c)は実施例4の発熱体ユニットの側面図である。
【0049】
図9に示すように、実施例4の発熱体ユニットにおける発熱体70のガラス管60は、片端のみが封止される片端封止型である。このガラス管60内に挿入され配設される発熱素子61の両端は、それぞれが第1の内部導入線62又は第2の内部導入線63に接続されている。第1の内部導入線62及び第2の内部導入線63のそれぞれは、モリブ箔64、外部導入線65、及び金属カシメ部66を介してリード線67に接続されている。ガラス管60の内部にアルゴンガス68が封入されて片端封止部69を形成し、発熱体70が形成されている。この発熱体70の片端封止部69を覆うように配設された発熱体ホルダー71は、シリコンゴム製の取付部72とガラス管60の片端封止部69を保持する保持部73で構成されている。取付部72は、取付け孔74を有しており、ガラス管60の端部の側面、すなわち片端封止部69より外側に配置されている。片端封止部69を保持する保持部73には、片端封止部69と対向する位置、すなわち直上と直下の位置に放熱孔75が形成されている。
【0050】
以上のように、実施例4の発熱体ユニットにおいては、発熱体ホルダー71の取付部72をシリコンゴム製とすることにより、当該発熱体ユニットを取付けた筐体が受けた衝撃は、発熱体ホルダー71において吸収され、発熱体70に伝わるのが防止されている。実施例4の発熱体ユニットの構成においては、筐体に生じた衝撃が弾性体である取付部72において上下左右前後の方向の各種振動により吸収されて、ガラス管60の破損や発熱素子61の断線を防止することが可能となる。 また、放熱孔75は発熱体ホルダー71の温度上昇を低減させると共に熱劣化を防ぐことができる。
【0051】
なお、実施例4の発熱体ユニットにおいては、発熱体ホルダー71の取付部72をシリコンゴム製として説明したが、発熱体ホルダー71の全体を一体化したシリコンゴム成型品としてもよい。
また、実施例4の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー71の材質はシリコンゴム製としたが、一部又は全体をフッ素系、ウレタン系、エチレンプロピレン系、アクリル系、ニトリル系、ブチル系、ポリエチレン系、エピクロルヒドリン系、スチレン系、ポリマーアロイ系、アミド系のいずれかの材質の成型体としてもよい。
【0052】
さらに、発熱体ホルダー71の保持部73はステンレス、鉄、アルミ、銅、黄銅などの金属又はアルミナ系、シリカ系、ジルコニア系、コージライト系などの磁器又はフェノール、不飽和ポリエステル、ポリアミド、メラミン、フッ素、エポキシなどの樹脂による成型体としてもよい。
また、実施例4の発熱部61はカーボン系、セラミック系の成型抵抗体で説明したが、タングステン、モリブデン系などの金属線で構成してもよい。
また、実施例4の封入ガスはアルゴンガス68としたが、窒素ガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの不活性ガスでもよい。
【0053】
《実施例5》
以下、本発明に係る実施例5の発熱体ユニットについて図10を用いて説明する。
図10は実施例5の発熱体ユニットの構成を示す図である。図10において、(a)は発熱体ユニットを示す平面図であり、(b)は発熱体ユニットを示す側面図であり、(c)は発熱体ユニットの裏面図である。実施例5の発熱体ユニットの説明において、同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施例1の説明を適用する。なお、実施例5の発熱体ユニットの両端部分には、同じ構成の発熱体ホルダー100が設けられているため、図10においては一方の発熱体ホルダー100の近傍のみを示している。
【0054】
図10に示すように、実施例5の発熱体ユニットにおいて、発熱体9の両端に配設された発熱体ホルダー100は、ガラス管1の両端にある封止部を保持する保持部101と、筐体へ取付けるための取付部102と、金属板製の支持体104とで構成されている。金属板製の支持体104は、一方の端部がガラス管1の封止部近傍を挟み込み、他方の端部に取付け孔104aが形成されている。この取付け孔104aは、取付部102に形成された取付け孔103と同じ形状を有して、取付部102と支持体104が重なるように配置される。
実施例5の発熱体ユニットにおいては、取付部102に形成された取付け孔103を利用して、支持体104の取付け孔104aと共にビス止め又は引掛け止め又は挟み込み止めにて筐体へ取付けられる。
【0055】
以上のように、実施例5の発熱体ユニットにおいて、発熱体ホルダー100の取付部102をシリコンゴム製とすることにより、転倒等により筐体が受けた衝撃は、上下左右前後方向の各種振動により吸収され、ガラス管1の破損や発熱素子の断線を防止することができる。 また、金属板製の支持体104は衝撃による取付部102の振動吸収に影響が出ないよう軽薄な金属材料で構成されている。 この支持体104は取付部102が熱により劣化したとき、取付けられた筐体から発熱体ユニットが脱落するのを防止するものである。
【0056】
なお、実施例5の発熱体ホルダー100の支持体104は金属板製としたが、金属製の丸棒としてもよい。また支持体104は保持部101及び取付部102に、インサート成型により樹脂形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の発熱体ユニットは、衝撃に強く、ガラス管の破損や発熱素子の断線が発生し難い構造を有しており、転倒等の衝撃を受けやすい機器の熱源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る実施例1の発熱体ユニットの構成を示す図
【図2】本発明に係る実施例1の発熱体ユニットを筐体へ取付けた状態を示す拡大図
【図3】比較例としての発熱体ユニットの構成を示す図
【図4】本発明に係る実施例1の発熱体ユニットと比較例との耐衝撃性の水平落下試験装置を示す正面図
【図5】本発明に係る実施例1の発熱体ユニットと比較例の水平落下試験結果を示す表
【図6】本発明に係る実施例2の発熱体ユニットを筐体へ取付けた状態を示す図
【図7】本発明に係る実施例3の発熱体ユニットの構成を示す図
【図8】本発明に係る実施例3の発熱体ユニットの構成を示す拡大図
【図9】本発明に係る実施例4の発熱体ユニットの構成を示す図
【図10】本発明に係る実施例5の発熱体ユニットにおける発熱体ホルダーの構成を示す図
【符号の説明】
【0059】
1 ガラス管
2 発熱素子
3 モリブ箔
4 外部導入線
5 金属カシメ部
6 リード線
7 アルゴンガス
8 封止部
9 発熱体
10 発熱体ホルダー
11 取付部
12 保持部
13 取付け孔
14 筐体
15 放熱孔
20 ベース
21 支柱
22 取付け台
23 スライドベアリング
24 試験サンプル
25 ホルダー支持台
30 発熱体ホルダー
31 取付部
32 保持部
33 取付け孔
34 筐体
40 ガラス管
41 発熱素子
42 貫通孔
43 金属カシメ部
44 リード線
45 発熱体
46 発熱体ホルダー
47 取付部
48 保持部
49 導通孔
50 取付け孔
51 筐体
60 ガラス管
61 発熱素子
62 第1の内部導入線
63 第2の内部導入線
64 モリブデン箔
65 外部導入線
66 金属カシメ部
67 リード線
68 アルゴンガス
69 片端封止部
70 発熱体
71 発熱体ホルダー
72 取付部
73 保持部
74 取付け孔
75 放熱孔
100 発熱体ホルダー
101 保持部
102 取付部
103 取付け孔
104 支持体
201 ガラス管201
202 発熱素子
203 モリブデン箔
204 外部導入線204
205 金属カシメ部
206 リード線206
207 アルゴンガス
209 発熱体
212 発熱体ホルダー
213 取付け孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部を収納したガラス管、及び
前記ガラス管の端部を保持する発熱体ホルダー、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体ホルダーが、前記ガラス管の端部を保持する保持部と、
前記保持部に突設され、固定部材に固着するための孔を有する衝撃吸収材で形成された取付部と、を有する発熱体ユニット。
【請求項2】
前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の導出方向に前記取付部が前記保持部から突出するよう設けられた請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項3】
前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の導出方向と直交する方向に前記取付部が前記保持部から突出するよう設けられた請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項4】
前記発熱体ホルダーにおいて、前記保持部と前記取付部が衝撃吸収材で一体成形された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項5】
前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管の端部を保持する保持部に前記ガラス管を表出する放熱用の孔が形成された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項6】
前記取付部が固定される固定部材と前記ガラス管とを機構的に直接接続する支持部材をさらに具備する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項7】
発熱部を収納したガラス管と、前記発熱部の両端部に設けられ、前記ガラス管の少なくとも一端からガラス管外に導出される電力供給用のリード線とを有する発熱体と、
前記発熱体を筐体に取付けるための発熱体ホルダーと、を具備する発熱体ユニットにおいて、
前記リード線が配置された前記ガラス管の少なくとも一端に前記発熱体ホルダーを配置するとともに、前記発熱体ホルダーの少なくとも一部を弾性体で構成した発熱体ユニット。
【請求項8】
発熱部を収納したガラス管と、前記発熱部の両端部に設けられ、前記ガラス管の両端からガラス管外に導出される電力供給用のリード線とを有する発熱体と、
前記発熱体を固定部材である筐体に取付けるための発熱体ホルダーと、を具備する発熱体ユニットにおいて、
前記リード線が配置された前記ガラス管の少なくとも一端に前記発熱体ホルダーを配置するとともに、前記発熱体ホルダーの少なくとも一部を弾性体で構成した発熱体ユニット。
【請求項9】
前記発熱体と筐体との間に所定の空間を有して取付けるよう構成された請求項7又は8に記載の発熱体ユニット。
【請求項10】
前記ガラス管の少なくとも一端が開口するとともに、前記発熱体ホルダーに前記開口からの熱を外方に直接あるいは間接的に放出するための導通孔を設けた請求項7又は8に記載の発熱体ユニット。
【請求項11】
前記ガラス管内に不活性ガスが封入されており、前記ガラス管の端部が封止されている請求項7又は8に記載の発熱体ユニット。
【請求項12】
前記発熱体ホルダーの筐体への取付位置が、前記ガラス管の端部側面より外側に設けた請求項7乃至11のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項13】
前記発熱体ホルダーの筐体への取付位置が、前記ガラス管の端部より外側に設けた請求項7乃至11のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項14】
前記発熱体ホルダーが前記発熱体のための放熱用開口部を有する請求項7乃至11のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項15】
前記発熱体ホルダーにおいて、前記ガラス管を保持するための保持部が金属、磁器又は樹脂成型体で構成され、筐体に取付けるための取付部が弾性体で構成された請求項7乃至14のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項16】
前記発熱体ホルダーは弾性を有する成型体と、前記成型体に一体又は別体の金属製支持体で構成された請求項7乃至15のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−302672(P2006−302672A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122998(P2005−122998)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】