説明

発熱体

【課題】発熱部材とその発熱部材を取り囲むチューブとの間の接触が防止できる構造の発熱体を提供する。
【解決手段】本発明の発熱体は、チューブと、該チューブ内に配置される発熱部材と、前記チューブの長さ方向に横切って配置され、前記チューブと前記発熱部材との間を離隔させる支持部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体に関し、さらに詳細には、所定エネルギーを熱エネルギーに転換させて発熱できる発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発熱体は、発熱部であるフィラメントと、該フィラメントが挿入される石英管と、前記フィラメントを外部電源と連結する連結部などで構成され、電気エネルギーを熱エネルギーに転換させて発熱するものである。
【0003】
詳細に、前記石英管の中央部には、炭素からなるフィラメントが封入され、前記フィラメントは、前記連結部などにより外部電源と連結される。そして、前記石英管の内部は、真空又はハロゲンガスなどの不活性気体により充填され、前記炭素フィラメントが高温に発熱する際に、その酸化現象が抑制されることによって、前記発熱体の寿命が長くなる。
【0004】
一方、前記炭素フィラメントは、螺旋状、板状、直線状などの形状をなす。そして、前記炭素フィラメントと電極との連結は、単にクリップが用いられる方式と、引張り力を維持させるためのスプリングが採用された方式などがある。上記のような方式により、前記炭素フィラメントは、前記石英管と接触されなくなり、前記石英管の内部に配置される。
【0005】
前記石英管は、略800℃以上で溶けるか、又は破損されるため、発熱中の炭素フィラメントと石英管とが接触すれば、前記石英管が損傷されて、前記発熱体の寿命が極めて短くなる。したがって、上記のように、クリップ又はスプリングを用いて、前記炭素フィラメントと前記石英管との接触を防止する。
【0006】
しかしながら、従来の発熱体は、炭素フィラメントがその外部の力により引張られて、前記石英管との接触が防止される構造をなす。上記のような構造では、前記炭素フィラメントが高温に発熱する際に、前記炭素フィラメントは、その熱膨張係数に応じて膨脹される。すると、前記炭素フィラメントが伸びて、前記石英管と物理的に接触するようになり、前記石英管の損傷により、発熱体の寿命が短くなるという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の発熱体は、炭素フィラメントがその外部の力により引張られて、前記石英管との接触が防止される構造をなす。上記のような構造では、前記炭素フィラメントが高温に発熱する際に、前記炭素フィラメントは、その熱膨張係数に応じて膨脹される。すると、前記炭素フィラメントが伸びて、前記石英管と物理的に接触するようになり、前記石英管の損傷により、発熱体の寿命が短くなるという短所がある。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発熱部材とその発熱部材を取り囲むチューブとの間の接触が防止できる構造の発熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明に係る発熱体によれば、チューブと、該チューブ内に配置される発熱部材と、前記チューブの長さ方向に横切って配置され、前記チューブと前記発熱部材との間を離隔させる支持部材とを備える。
【0010】
また、本発明の他の側面に係る発熱体によれば、チューブと、該チューブ内に配置される発熱部材と、前記チューブと前記発熱部材との間が離隔されるように、前記発熱部材の長さ方向に前記発熱部材を支持する支持部材とを備える。
【0011】
また、本発明のさらに他の側面に係る発熱体によれば、チューブと、該チューブ内に配置される発熱部材と、前記チューブを横切って配置され、前記チューブと前記発熱部材との間を離隔させる支持部材と、前記チューブの末端部に形成され、前記支持部材の末端部が固定される封止部とを備える。
【0012】
本発明に係る発熱体によれば、支持部材が備えられ、該支持部材により発熱部材が支持され得る。したがって、発熱の際に、発熱部材が熱膨張により伸びても、支持部材により支持されることにより、発熱部材がチューブと接触されるという現象が防止できる。それにより、発熱部材とチューブの損傷が防止され、発熱体の寿命が長くなるという効果がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発熱体によれば、支持部材が備えられて、前記支持部材により発熱部材が支持され得る。したがって、発熱時に、発熱部材が熱膨張により伸びても、支持部材により支持されることにより、発熱部材がチューブと接触される現象が防止できる。したがって、発熱部材とチューブの損傷が防止されるので、発熱体の寿命が長くなるという効果がある。
【0014】
また、前記発熱体によれば、支持部材が複数個が備えられ、発熱部材に対する支持力が増大されることができる。したがって、発熱時に、発熱部材に対して信頼性のあるように支持できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る発熱体を示す斜視図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る発熱体100は、内部物品を収容する収容空間を形成し、その内部物品を保護するチューブ110と、前記チューブ110内に配置されて発熱できる発熱部材200とを備える。
【0016】
前記発熱体100は、前記発熱部材200が前記チューブ110に接触されないように支持するリード棒(lead rod)150と、該リード棒150と前記発熱部材200とを連結する連結部160とを備える。また、前記発熱体100は、前記リード棒150の他方と連結され、外部電源と前記発熱部材200とを通電させる金属片140と、該金属片140を外部から絶縁させる絶縁部130とを備える。また、前記発熱体100は、前記金属片140と、前記絶縁部130と、前記チューブ110とを取り囲み、かつこれを支持する封止部120とを備える。
【0017】
また、前記発熱体100は、前記発熱部材200が発熱時の熱膨張により前記チューブ110と接触することを防止する支持部材300を備える。本実施の形態において、前記支持部材300は、複数個が備えられ、そういう支持部材300を第1の支持部材310と、第2の支持部材320により画定する。前記支持部材300については後述する。
【0018】
前記チューブ110は、前記発熱部材200などの物品が内部に収容される部分であり、そういう収容空間の形成と共に、前記物品を保護する機能を果たす。前記発熱体100は、数百℃の温度に発熱することから、前記チューブ110は、所定の剛性と耐熱性を有する物質からならなければならない。例えば、前記チューブ110は、石英管(quartz tube)であり得る。そして、前記チューブ110は、それ自体が密閉されて、前記発熱部材200を外部と隔離させる。上記のように構成されることによって、前記チューブ110の内部には、発熱による前記発熱部材200の消耗を減少させることが可能な不活性気体などを充填させることができる。
【0019】
前記発熱部材200は、通電された電気エネルギーにより発熱する部分である。このような発熱部材200は、炭素、タングステン、ニッケル/クロムベース合金のうち、少なくとも1つの系の物質からなることができる。
【0020】
前記連結部160は、複数個が備えられ、前記発熱部材200の両末端部とそれぞれ連結されることによって、前記発熱部材200を前記リード棒150と連結させる。すると、前記発熱部材200は引張られて、前記チューブ110と接触されていない状態を維持でき、外部電源と連結されて発熱できる。
【0021】
前記リード棒150は、前記連結部160により前記発熱部材200と連結されて、前記発熱部材200を引張らせた状態を維持する。すると、前記発熱部材200は、発熱の際にも前記チューブ100と接触されず、安定して発熱できる。そして、前記リード棒150の一部は、前記チューブ110の外部まで伸びる。上記のように構成されれば、それ自体がが密閉された前記チューブ110の密閉状態が維持され、かつ、その内部に配置された前記発熱部材200と外部電源とが連結され得る。
【0022】
前記金属片140は、外部電源と連通する部分である。そして、前記金属片140は、前記チューブ110の外部に伸びた前記リード棒150の末端部と連結され、前記外部電源の電気エネルギーを前記リード棒150を介して前記発熱部材200に伝達する。すると、前記発熱部材200は、前記電気エネルギーを伝達されて発熱するようになる。
【0023】
前記絶縁部130は、前記金属片140のうち、外部に露出された部分を絶縁させて、前記金属片140から漏電が発生することを防止する。そして、前記絶縁部130は、前記発熱体100が締結される物品に信頼性のあるように結合できるように、前記物品の所定部分に嵌め込み得る形状をなす。
【0024】
前記封止部120は、前記チューブ110の外部に伸びた前記リード棒150の末端部及び前記金属片140の連結部を外部から保護する。そして、前記封止部120は、前記絶縁部130及び前記チューブ110と1つのアセンブリー(assembly)を構成し、前記発熱体100が所定の形状を維持するように支持する。
【0025】
図2は、図1に示すI−I´断面図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る発熱体100には、チューブ110と、該チューブ110内に配置された発熱部材200と、該発熱部材200と順次連結された連結部160と、リード棒150と、金属片140とが配置される。前記金属片140は、絶縁部130により絶縁され、前記絶縁部130及び前記チューブ110は、封止部120により取り囲まれ、所定形状をなすように支持される。
【0026】
本実施の形態において、前記発熱部材200は、所定回数で巻かれた形状をなし、前記支持部材300は、そういう前記発熱部材200の長さ方向に横切って配置される。そして、前記支持部材300は、前記発熱部材200の内部に挿入される。また、前記支持部材300は、前記発熱部材200の長さ方向に前記発熱部材200と全体的に対面される。
【0027】
上記のように構成されると、前記支持部材300が前記発熱部材200をその長さ方向に対して全体的に支持する。したがって、前記発熱部材200が発熱する際に、熱膨張により伸びても、前記支持部材300と接触されて、それにより支持される。したがって、発熱時に、前記発熱部材200が前記チューブ110と接触されることが防止できる。
【0028】
また、前記支持部材300には、複数個の第1の支持部材310及び第2の支持部材320が設けられる。上記のように設けられた第1の支持部材310及び前記第2の支持部材320は、前記発熱部材200の中心部に対して互いに対称の形状をなす。上記のように構成されれば、前記発熱部材200が発熱時に熱膨脹されても、前記第1の支持部材310及び/又は前記第2の支持部材320により支持され得る。したがって、熱膨張により前記発熱部材200がいずれの方向に伸びても、複数個で備えられた前記支持部材300により、信頼性のあるように支持され得る。したがって、発熱時に、前記発熱部材200が前記チューブ110と接触されることが、さらに信頼性のあるように防止できる。
【0029】
ここで、2つの支持部材が設けられた実施の形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記支持部材300は、前記発熱部材200が信頼性のあるように支持され得るように、さらに多くの個数になることができることは勿論である。
【0030】
図3は、図2に示すA部分に対する拡大図である。
同図に示すように、前記支持部材300と前記発熱部材200は、全体的に所定間隔で離隔されるように配置される。上記のように配置されれば、前記発熱部材200により前記支持部材300に加えられる弾性力による前記支持部材300の変形が防止できる。前記のような弾性力により前記支持部材300が変形されれば、前記支持部材300による前記発熱部材200の支持力が減少され得るが、上記のように構成することにより、そういう支持力の減少が防止できる。前記発熱部材200が発熱時に伸びて前記支持部材300と接触されても、そういう状態では、前記発熱部材200の弾性力が減少された状態であるため、前記支持部材300の変形は、極僅かであり、前記発熱部材200に対した支持機能が信頼性のあるように行われることができる。
【0031】
図4は、図2に示されたB部分に対する拡大図である。
同図に示すように、前記支持部材300と前記金属片140との間は、所定距離d1で離隔されるように配置される。すると、前記支持部材300と前記金属片140は、接触されなくなるので、その間は絶縁され得る。したがって、外部電源から印加され、前記金属片140により前記発熱部材200に通電される電気エネルギーの漏電を遮断できる。
【0032】
また、前記支持部材300の末端部は、前記チューブ110を貫通して、前記封止部120に固定される。前記支持部材300の末端部が前記封止部120に固定されることにより、前記支持部材300は、所定の支持力を有するようになり、前記発熱部材200を信頼性のあるように支持できる。
【0033】
ここで、前記支持部材300が前記チューブ110の貫通部とも固定され得る。すると、前記支持部材300の支持力がさらに強化され、前記発熱部材200をさらに信頼性のあるように支持できる。
【0034】
また、前記支持部材300と前記チューブ110との間は、密閉することが好ましい。すると、前記チューブ110内に封入できる不活性ガスなどが漏れるのが防止できる。このような前記チューブ110内のガス漏れがさらに信頼性のあるように防止できるように、前記支持部材300と前記封止部120との間も密閉することが好ましい。
【0035】
図5は、図1に示すII−II´断面図である。
同図に示すように、上述のように、前記発熱部材200は、所定回数で円状に巻かれた形状をなし、前記支持部材300は、その内部に挿入された形状をなす。そして、前記支持部材300は、前記発熱部材200と所定距離d2で離隔された形状をなす。
【0036】
上記のように構成されれば、前記発熱部材200の漏電が防止され、かつ前記支持部材300による前記発熱部材200の信頼性のある支持が可能となる。
【0037】
以下では、本発明の他の実施の形態に係る発熱体について説明する。本実施の形態を説明するにおいて、上述の本発明の一実施の形態についた説明と重複する説明は省略する。
【0038】
図6は、本発明の他の実施の形態に係る発熱体を示す斜視図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る発熱体100は、チューブ110と、前記チューブ110内に配置された発熱部材201とを備える。前記発熱部材201は、連結部160によりリード棒150と連結され、前記リード棒150により支持される。前記発熱部材201の一方は、外部電源との通電のために、金属片140と連結され、絶縁部130により取り囲まれて絶縁される。前記金属片140、前記絶縁部130及び前記チューブ110は、封止部120により取り囲まれて、それにより支持される。また、前記発熱部材201は、支持部材300により発熱時に熱膨脹され、前記チューブ110との接触が防止される。
【0039】
本実施の形態において、前記発熱部材201は、織物状をなす。そして、前記支持部材300は、前記発熱部材201の長さ方向に前記発熱部材201と結合されて、前記発熱部材201を支持する。これについては後述する。
【0040】
図7は、図6に示すIII −III ´断面図である。
同図に示すように、前記発熱部材201は、織物状をなし、その断面は、所定長さの棒状をなす。このような形状の発熱部材201に、第1の支持部材310及び第2の支持部材320が結合される。詳細に、前記第1の支持部材310及び前記第2の支持部材320は、互いに所定間隔で離隔され、前記発熱部材201の内部に挿入された形状をなす。
【0041】
上記のように構成されれば、前記発熱部材201が発熱する際に、熱膨張により伸びても、前記支持部材300により支持され得る。したがって、発熱時に、前記発熱部材201が前記チューブ110と接触されることが防止できる。
【0042】
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であり、このような置換、変更などは、特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発熱体を示す斜視図である。
【図2】図1に示すI−I´断面図である。
【図3】図2に示すA部分に対する拡大図である。
【図4】図2に示すB部分に対する拡大図である。
【図5】図1に示すII−II´断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る発熱体を示す斜視図である。
【図7】図6に示すIII −III ´断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブと、
前記チューブ内に配置される発熱部材と、
前記チューブの長さ方向に横切って配置され、前記チューブと前記発熱部材との間を離隔させる支持部材と
を備えることを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記支持部材が、前記チューブの両末端部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記支持部材が、前記発熱部材の長さ方向に前記発熱部材を支持することを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項4】
前記支持部材が、前記発熱部材の長さ方向に前記発熱部材の内部に挿入されたことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項5】
前記支持部材が、前記発熱部材と所定間隔で離隔されることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項6】
前記支持部材と前記チューブとの間は、密閉されたことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項7】
前記発熱部材が、所定回数で巻かれた形状をなし、
前記支持部材が、前記発熱部材の長さ方向に前記発熱部材と全体的に対面し、かつ前記発熱部材を支持することを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項8】
前記発熱部材が、織物状をなし、
前記支持部材が、前記発熱部材の長さ方向に前記発熱部材と結合されて、前記発熱部材を支持することを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項9】
前記発熱体が、前記発熱部材を外部電源に連結させる金属片をさらに含み、前記支持部材と前記金属片との間は、絶縁されたことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項10】
前記発熱体が、前記チューブの末端部に形成され、前記支持部材の末端部が固定される封止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項11】
前記支持部材の末端部と前記封止部との間が、密閉されることを特徴とする請求項10に記載の発熱体。
【請求項12】
前記支持部材が、前記チューブを貫通して配置されることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項13】
前記支持部材が、前記チューブの貫通部分に固定されることを特徴とする請求項12に記載の発熱体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−27123(P2007−27123A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194800(P2006−194800)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】