発熱体
【課題】
発熱体の構造を簡単にし、発熱体と電源供給の接続を容易にする。
【解決手段】
絶縁板3には、螺旋状に巻回したヒータ線2の位置決めするための複数の位置決め凹部10と、螺旋状に巻回したヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11とを有し、ヒータ線2は、複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、方向転換部11で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた複数の位置決め凹部11に巻回したものである。
発熱体の構造を簡単にし、発熱体と電源供給の接続を容易にする。
【解決手段】
絶縁板3には、螺旋状に巻回したヒータ線2の位置決めするための複数の位置決め凹部10と、螺旋状に巻回したヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11とを有し、ヒータ線2は、複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、方向転換部11で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた複数の位置決め凹部11に巻回したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風ヒータやドライヤーなどに用いられる発熱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱体には数多くの種類がある。
【0003】
一枚の絶縁板に一本のヒータ線を巻回した発熱体の例では、特許文献1に示すように、絶縁板に電線(ヒータ線)を巻き付けヒータ部(発熱体)を形成する時に、電線(ヒータ線)の両端の端末を、ヒータ部(発熱体)の同一の端面側から引き出すために、電線(ヒータ線)と電線(ヒータ線)の片方の端末のリード部を絶縁板で絶縁した防水型ヒータが提案されている。
【0004】
また、絶縁板に複数本のヒータ線を巻いて、ヒータ線を並列,直列に接続し、ワット数の切替えを行う例では、特許文献2に示すように、二枚の絶縁断熱板(絶縁板)を十字状に組合せて、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端を絶縁断熱板の後端縁に、そして先端を絶縁断熱板の先端縁に夫々対向せしめて止着し、強弱各電熱線を同時に使用するなどして温風温度を変えられるヘアードライヤーが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−273833号公報
【特許文献2】実開昭56−92386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に温風ヒータやドライヤーなどに使用される発熱体は、構造が簡素で容易に組み立てられ、電力の供給を受けるリード線の接続が容易で、品質も確実に確保できる発熱体が求められている。
【0007】
特許文献1記載の防水型ヒータは、長手方向の一方の端面側からヒータ部(発熱体)の両端の端末のリード部を引き出すために、ヒータ部(発熱体)は電線(ヒータ線)とリード部との間に絶縁板を介し、一方の端末のリード部を反対側の端面側へ誘導している。そのため絶縁板が多く必要になる。
【0008】
また、リード部をヒータ部(発熱体)の電線(ヒータ線)の表面を誘導するので、リード部の厚みが完成後のヒータ部(発熱体)表面に凸として現れ外観的な問題が発生する。
【0009】
さらに、誘導したリード部によって発生する凸部分に空気層が生じ、ヒータ部(発熱体)の熱伝導が不均衡になり電線が異常発熱を生じる問題がある。
【0010】
特許文献2記載のヘアードライヤーは、二枚の絶縁断熱板(絶縁板)を十字状に組合せて、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端を絶縁断熱板の後端縁、先端は絶縁断熱板の先端縁の両側部に夫々対向せしめて止着している。
【0011】
そのため、強弱各電熱線(ヒータ線)に電力を供給するのには、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端と先端にリード線を接続する必要がある。
【0012】
接続するリード線は絶縁断熱板(絶縁板)の先端縁まで引き回すので、リード線は強弱各電熱線(ヒータ線)が発生する熱に絶える耐熱性が必要となりリード線の単価UPの要因になる。また、リード線を組み込んだ電熱線内部を引き回す時の作業性も大変悪いものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、絶縁板には、螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したものである。
【0015】
また、前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、絶縁板には、螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したことで、簡単な構造でヒータ線の両端の端末部分を発熱体の同一側に備えることができるので、電力を供給するリード線を容易に接続することができる発熱体を提供できる。
【0017】
また、前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたことで、ヒータ線の位置決めを確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施例について説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施例の発熱体の正面図を示し、図2は図1の発熱体の絶縁板を示し、図3は図1の発熱体の説明図である。
【0020】
1は本発明の実施例の発熱体を示す。
【0021】
2はヒータ線で、材料はNi−Cr線やFe−Cr線等を素材とし、その形状は丸線や平線、またはコイル状に巻いたヒータ線を使用する。
【0022】
3は絶縁板で、ヒータ線2を巻回するため耐熱性と耐絶縁性と耐強度性に優れた材料からなるマイカを使用している。そして、絶縁板3は、短冊状の絶縁板で、対向する長辺の端部には、後述する端子4の固定位置を示す凹形状に形成した端子固定凹部8と、後述する丸端子6と端子4の両方をネジ7で絶縁板3に固定するための穴9を備え、長辺の辺に沿ってヒータ線2を螺旋状に巻回する位置決めするために凹形状に形成した位置決め凹部10と、端子固定凹部8の反対側の短辺には後述するヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11を位置決めするために凹形状に形成した転換部30を備えている。
【0023】
但し、絶縁板3の形状は短冊状に限定するものではない。
【0024】
4は端子で、ヒータ線2と接続し、絶縁板3に巻回したヒータ線2がほぐれるのを防止する役割と、ヒータ線2に電力の供給を受けるものである。その形状は、絶縁板3を挟んで固定できるようにU形状で、後述する電力を供給するリード線5の丸端子6と絶縁板3の穴9をネジ7を通して共締めをして固定できるように、丸端子6と接触する側はネジ7の径より大きな穴が開けられ、反対側はネジが締め付けられるようにネジ溝が切ってある。
【0025】
5はリード線で、発熱体1へ電力を供給できるように、先端には端子4と確実に接触して固定できるように丸端子6を備えている。
【0026】
7はネジで、リード線5の先端に付いている丸端子6と発熱体1の端子4を接続し固定するものである。
【0027】
11は方向転換部で、ヒータ線2を螺旋状に巻回し、途中で螺旋方向を逆方向に戻す場所である。実施例では螺旋方向を逆方向に戻す位置を固定できるように短冊状の絶縁板3の短辺部分に位置決め用の凹形状に形成した転換部30を備えている。
【0028】
10は位置決め用凹部で、ヒータ線2を螺旋状に巻回した時に、ヒータ線2同士が接触しないように巻回する位置を決めるものである。位置決め凹部10は、ヒータ線2を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11まで巻回するのに使用する位置決め凹部10を巻き進み用凹部10a1〜10a7と呼び、方向転換部11から巻進み時に間隔を空けた位置決め凹部10に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部10を巻き戻し用凹部10b1〜10b7と呼ぶ。
【0029】
次にヒータ線2を絶縁板3に螺旋状に巻回する方法について説明する。ヒータ線2の一方の端末を端子4aに接続し、端子4aを端子固定凹部8aに挟み込み固定する。そして、ヒータ線2を位置決め凹部10に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部10a1〜10a7に螺旋状に巻回した後、方向転換部11の転換部30に通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部10b1〜10b7に螺旋状に巻回する。最後にヒータ線2の巻き終わり側の端末を端子4bに接続し、端子4bを端子固定凹部8bに挟み込み固定してヒータ線2の巻回を終了する。
【0030】
具体的な巻回は、ヒータ線2を端子4aから絶縁板3の表面を這わし、巻き進み用凹部10a1を通して絶縁板3の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部10b7を空けて巻き進み用凹部10a2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部10a2から絶縁板3の表面を這わし、巻き戻し用凹部10b6を空けて巻き進み用凹部10a3を通して絶縁板3の裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部10a3〜10a7と巻回した後、方向転換部11の転換部30を通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けた位置決め凹部10の巻き戻し用凹部10b1,巻き戻し用凹部10b2〜10b7と順番に巻回する。
【0031】
リード線5の固定方向は、端子4を絶縁板3に挟んで固定する方向で自由に決められる。
【0032】
図4は、本発明の第2の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0033】
発熱体12と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体12の端子15bの位置が異なり、発熱体12の対向する1辺の端部に端子15を備えたものである。そのためヒータ線13の巻回数が半回転少ないものである。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0035】
発熱体60と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体60の端子63の位置が異なり、対向する長辺の一辺の略中央部に端子63を備え、対向する短辺の両方に方向転換部69を2ヶ所を備えたものである。
【0036】
絶縁板61にヒータ線62を螺旋状に巻回する時に、ヒータ線62の巻回する位置を決める位置決め凹部68について説明する。
【0037】
位置決め凹部68の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、前記と同様にヒータ線62を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部68に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部69jまで巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き進み用凹部68j1〜68j4と呼び、方向転換部69jから端子63がある位置まで巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部68に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き戻し用凹部68k1〜68k5と呼び、続けて、螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部68に間隔を空けて一方方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部69kまで巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き進み用凹部68m1〜68m5と呼び、方向転換部69kから端子63がある位置まで巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部68に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き戻し用凹部68n1〜68n5と呼ぶ。
【0038】
次にヒータ線62を絶縁板61に巻回する方法について説明する。ヒータ線62の一方の端末を端子63jに接続し、端子63jを端子固定凹部67jに挟み込み固定する。そして、ヒータ線62を位置決め凹部68に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部68j1〜68j4に螺旋状に巻回した後、方向転換部69jの転換部70jに通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部68k1〜68k5に螺旋状に巻回し、引き続き、巻き進み用凹部68m1〜68m5に螺旋状に巻回した後、方向転換部69kの転換部70kに通し、再び螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部68n1〜68n5に螺旋状に巻回する。最後にヒータ線の巻き終わりの端末を端子63kに接続し、端子63kを端子固定凹部67kに挟み込み固定してヒータ線62の巻回を終了する。
【0039】
具体的な巻回は、ヒータ線62を端子63jから絶縁板61の表面を這わし巻き進み用凹部68j1を通して絶縁板61の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部68k4を空けて巻き進み用凹部68j2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部68j2から絶縁板61の表面を這わし、巻き戻し用凹部68k3を空けて巻き進み用凹部68j3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部68j3,巻き進み用凹部68j4と巻回した後、方向転換部69jの転換部70jを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けてきた位置決め凹部68の巻き戻し用凹部68k1,巻き戻し用凹部68k2〜68k5と順番に巻回する。引き続き、巻き進み用凹部68m1を通して絶縁板61の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部68n5を空けて巻き進み用凹部68m2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部68m2から絶縁板61の表面を這わし、巻き戻し用凹部68n4を空けて巻き進み用凹部68m3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部68m4、巻き進み用凹部68m5と巻回した後、方向転換部69kの転換部70kを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けた位置決め凹部68の巻き戻し用凹部68n1,巻き戻し用凹部68n2〜68n5と巻回する。
【0040】
端子63の位置の移動は、ヒータ線62の左右の巻回比率を変えることで可能となる。
【0041】
図6は、本発明の第4の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0042】
発熱体22と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体22は独立したヒータ線を2本巻回したものであり、対向する長辺の双方の端部に端子26を備え、端子26の反対側の短辺に2ヶ所に方向転換部29を備えたものである。
【0043】
絶縁板25にヒータ線A23とヒータ線B24を夫々別々に螺旋状に巻回する時に、夫々のヒータ線A23,ヒータ線B24の巻回する位置を決める位置決め凹部28について説明する。
【0044】
位置決め凹部28は、2本のヒータ線を巻回するために夫々のヒータ線に対応して巻き進み用と巻き戻し用の凹部を備えている。ヒータ線A23用の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、ヒータ線B24の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部を空け、ヒータ線A23を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部28に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部29aまで巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き進み用凹部28c1〜28c5と呼び、方向転換部29aから巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部28に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き戻し用凹部28d1〜28d5と呼ぶ。次に、ヒータ線B24用の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、ヒータ線A23を巻回に使用した位置決め凹部28を除き、ヒータ線B24を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部28に間隔を空けて一方方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部29bまで巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き進み用凹部28e1〜28e5と呼び、方向転換部29bから巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部28に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き戻し用凹部28f1〜28f5と呼ぶ。
【0045】
次にヒータ線A23,ヒータ線B24を絶縁板25に螺旋状に巻回する方法について説明する。ヒータ線A23の一方の端末を端子26cに接続し、端子26cを端子固定凹部27cに挟み込み固定する。そして、ヒータ線A23を位置決め凹部28に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部28c1〜28c5に螺旋状に巻回した後、方向転換部29aの転換部45aに通し、螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部28d1〜28d5に螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子26dに接続し、端子26dを端子固定凹部27dに挟み込み固定してヒータ線A23の巻回を終了する。
【0046】
ヒータ線B24も同様に一方の端末を端子26eに接続し、端子26eを端子固定凹部27eに挟み込み固定する。そして、ヒータ線B24を位置決め凹部28に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部28e1〜28e5に螺旋状に巻回した後、方向転換部29bの転換部45bに通し、螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部28f1〜28f5に螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子26fに接続し、端子26fを端子固定凹部27fに挟み込み固定してヒータ線B24の巻回を終了する。
【0047】
具体的な巻回は、ヒータ線A23を端子26cから絶縁板25の表面を這わし、巻き進み用凹部28c1を通して絶縁板25の裏面に渡し、裏面を這わしてヒータ線B24を通す巻き戻し用凹部28f5とヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d5の2ヶ所を空けて巻き進み用凹部28c2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部28c2から絶縁板25の表面を這わし、ヒータ線B24を通す巻き進み用凹部28e1とヒータ線B24を通す巻き戻し用凹部28f4とヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d4の3ヶ所を空け巻き進み用凹部28c3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部28c4,巻き進み用凹部28c5と巻回した後、方向転換部29aの転換部45aを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていたヒータ線B24を通す巻き進み用凹部28e1〜28e5と、巻き戻し用凹部28f1〜28f5を空け、ヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d1,巻き戻し用凹部28d2〜28d5と順番に巻回し、ヒータ線A23の巻回の終わり側の端末を端子26dに接続し、端子26dを端子固定凹部27dに挟み込み固定してヒータ線A23の巻回を終了する。
【0048】
ヒータ線B24も同様に、ヒータ線B24を端子26eから絶縁板25の表面を這わし、巻き進み用凹部28e1を通して絶縁板25の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部28f5を空けて巻き進み用凹部28e2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部28e2から絶縁板25の表面を這わし、巻き戻し用凹部28f4を空けて巻き進み用凹部28e3を通して裏面に渡す。同様にして巻き進み用凹部28e3〜28e5と巻回した後、方向転換部29bの転換部45bを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていた巻き戻し用凹部28f1,巻き戻し用凹部28f2〜28f5と順番に巻回し、ヒータ線B24の巻き終わり側の端末を端子26fに接続し、端子26fを端子固定凹部27fに挟み込み固定してヒータ線B24の巻回を終了する。
【0049】
以上は絶縁板1枚にヒータ線1本を巻回した例と、ヒータ線2本を巻回した例を示したが、絶縁板を複数枚使用してヒータ線を立体的に巻回した例について次に説明する。
【0050】
図7は本発明の第5の実施例における発熱体の平面図、図8は本発明の第5の実施例における発熱体の正面図、図9は本発明の第5の実施例における発熱体の側面図であり、図10は本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Aの説明図で、図11は本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Bの説明図を示す。
【0051】
発熱体31と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体31は絶縁板を2枚使用して十字に組み、2枚の絶縁板間をヒータ線がまたがって立体的に巻回したものである。
【0052】
絶縁板A32の転換部50と反対側の短辺の中央より長手方向に沿ったスリットA33と絶縁板B34の短辺の中央より長手方向に沿ったスリットB35を備え、各スリット同士を挿入し十字に組みヒータ線36を巻回したものである。
【0053】
十字に組んだ絶縁板A32と絶縁板B34にヒータ線36を螺旋状に巻回する時に、ヒータ線36の巻回する位置を決める位置決め凹部42について説明する。
【0054】
位置決め凹部42の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、前記と同様にヒータ線36を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部42に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部43まで巻回するのに使用する位置決め凹部42を巻き進み用凹部42g1〜42g14と呼び、方向転換部43から巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部42に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部42を巻き戻し用凹部42h1〜42h14と呼ぶ。
【0055】
次にヒータ線36を十字に組んだ絶縁板A32,絶縁板B34に巻回する方法について説明する。ヒータ線36の一方の端末を端子37gに接続し、端子37gを端子固定凹部41gに挟み込み固定する。そして、ヒータ線36を十字に組んだ絶縁板の位置決め凹部42に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、絶縁板A32と絶縁板B34の位置決め凹部42を連ねるように、巻き進み用凹部42g1〜42g14に螺旋状に巻回した後、方向転換部43の転換部50に通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部42h1〜42h14と螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子37hに接続し、端子37hを端子固定凹部41hに挟み込み固定してヒータ線36の巻回を終了する。
【0056】
具体的な巻回は、ヒータ線36を端子37gから絶縁板B34の巻き進み用凹部42g1を通し、絶縁板A32の巻き進み用凹部42g2を通し、絶縁板B34の巻き戻し用凹部42h14を空けて巻き進み用凹部42g3を通し、絶縁板A32の巻き戻し用凹部42h13を空けて巻き進み用凹部42g4を通す。以後同様に巻き進み用凹部42g4〜42g14と巻回した後、方向転換部43の転換部50を通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていた巻き戻し用凹部42h1〜42h14と順番に巻回する。
【0057】
以上、本発明によれば、絶縁板3には、螺旋状に巻回したヒータ線2の位置決めするための複数の位置決め凹部10と、螺旋状に巻回したヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11とを有し、ヒータ線2は、複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、方向転換部11で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた複数の位置決め凹部10に巻回したことで、簡単な構造でヒータ線2の両端の端末部分を発熱体1の同一側に設けることができるので、電力を供給するリード線5を容易に接続することができる発熱体を提供できる。
【0058】
また、方向転換部11の位置決め用に絶縁板3に転換部30を設けたことで、ヒータ線2の位置決めを確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例における発熱体の正面図。
【図2】本発明の第1の実施例における発熱体の絶縁板の説明図。
【図3】本発明の第1の実施例における発熱体の説明図。
【図4】本発明の第2の実施例における発熱体の正面図。
【図5】本発明の第3の実施例における発熱体の正面図。
【図6】本発明の第4の実施例における発熱体の正面図。
【図7】本発明の第5の実施例における発熱体の平面図。
【図8】本発明の第5の実施例における発熱体の正面図。
【図9】本発明の第5の実施例における発熱体の側面図。
【図10】本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Aの説明図。
【図11】本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Bの説明図。
【符号の説明】
【0060】
1 発熱体
2 ヒータ線
3 絶縁板
10 位置決め凹部
11 方向転換部
30 転換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風ヒータやドライヤーなどに用いられる発熱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱体には数多くの種類がある。
【0003】
一枚の絶縁板に一本のヒータ線を巻回した発熱体の例では、特許文献1に示すように、絶縁板に電線(ヒータ線)を巻き付けヒータ部(発熱体)を形成する時に、電線(ヒータ線)の両端の端末を、ヒータ部(発熱体)の同一の端面側から引き出すために、電線(ヒータ線)と電線(ヒータ線)の片方の端末のリード部を絶縁板で絶縁した防水型ヒータが提案されている。
【0004】
また、絶縁板に複数本のヒータ線を巻いて、ヒータ線を並列,直列に接続し、ワット数の切替えを行う例では、特許文献2に示すように、二枚の絶縁断熱板(絶縁板)を十字状に組合せて、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端を絶縁断熱板の後端縁に、そして先端を絶縁断熱板の先端縁に夫々対向せしめて止着し、強弱各電熱線を同時に使用するなどして温風温度を変えられるヘアードライヤーが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−273833号公報
【特許文献2】実開昭56−92386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に温風ヒータやドライヤーなどに使用される発熱体は、構造が簡素で容易に組み立てられ、電力の供給を受けるリード線の接続が容易で、品質も確実に確保できる発熱体が求められている。
【0007】
特許文献1記載の防水型ヒータは、長手方向の一方の端面側からヒータ部(発熱体)の両端の端末のリード部を引き出すために、ヒータ部(発熱体)は電線(ヒータ線)とリード部との間に絶縁板を介し、一方の端末のリード部を反対側の端面側へ誘導している。そのため絶縁板が多く必要になる。
【0008】
また、リード部をヒータ部(発熱体)の電線(ヒータ線)の表面を誘導するので、リード部の厚みが完成後のヒータ部(発熱体)表面に凸として現れ外観的な問題が発生する。
【0009】
さらに、誘導したリード部によって発生する凸部分に空気層が生じ、ヒータ部(発熱体)の熱伝導が不均衡になり電線が異常発熱を生じる問題がある。
【0010】
特許文献2記載のヘアードライヤーは、二枚の絶縁断熱板(絶縁板)を十字状に組合せて、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端を絶縁断熱板の後端縁、先端は絶縁断熱板の先端縁の両側部に夫々対向せしめて止着している。
【0011】
そのため、強弱各電熱線(ヒータ線)に電力を供給するのには、強弱各電熱線(ヒータ線)の基端と先端にリード線を接続する必要がある。
【0012】
接続するリード線は絶縁断熱板(絶縁板)の先端縁まで引き回すので、リード線は強弱各電熱線(ヒータ線)が発生する熱に絶える耐熱性が必要となりリード線の単価UPの要因になる。また、リード線を組み込んだ電熱線内部を引き回す時の作業性も大変悪いものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、絶縁板には、螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したものである。
【0015】
また、前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、絶縁板には、螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したことで、簡単な構造でヒータ線の両端の端末部分を発熱体の同一側に備えることができるので、電力を供給するリード線を容易に接続することができる発熱体を提供できる。
【0017】
また、前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたことで、ヒータ線の位置決めを確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施例について説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施例の発熱体の正面図を示し、図2は図1の発熱体の絶縁板を示し、図3は図1の発熱体の説明図である。
【0020】
1は本発明の実施例の発熱体を示す。
【0021】
2はヒータ線で、材料はNi−Cr線やFe−Cr線等を素材とし、その形状は丸線や平線、またはコイル状に巻いたヒータ線を使用する。
【0022】
3は絶縁板で、ヒータ線2を巻回するため耐熱性と耐絶縁性と耐強度性に優れた材料からなるマイカを使用している。そして、絶縁板3は、短冊状の絶縁板で、対向する長辺の端部には、後述する端子4の固定位置を示す凹形状に形成した端子固定凹部8と、後述する丸端子6と端子4の両方をネジ7で絶縁板3に固定するための穴9を備え、長辺の辺に沿ってヒータ線2を螺旋状に巻回する位置決めするために凹形状に形成した位置決め凹部10と、端子固定凹部8の反対側の短辺には後述するヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11を位置決めするために凹形状に形成した転換部30を備えている。
【0023】
但し、絶縁板3の形状は短冊状に限定するものではない。
【0024】
4は端子で、ヒータ線2と接続し、絶縁板3に巻回したヒータ線2がほぐれるのを防止する役割と、ヒータ線2に電力の供給を受けるものである。その形状は、絶縁板3を挟んで固定できるようにU形状で、後述する電力を供給するリード線5の丸端子6と絶縁板3の穴9をネジ7を通して共締めをして固定できるように、丸端子6と接触する側はネジ7の径より大きな穴が開けられ、反対側はネジが締め付けられるようにネジ溝が切ってある。
【0025】
5はリード線で、発熱体1へ電力を供給できるように、先端には端子4と確実に接触して固定できるように丸端子6を備えている。
【0026】
7はネジで、リード線5の先端に付いている丸端子6と発熱体1の端子4を接続し固定するものである。
【0027】
11は方向転換部で、ヒータ線2を螺旋状に巻回し、途中で螺旋方向を逆方向に戻す場所である。実施例では螺旋方向を逆方向に戻す位置を固定できるように短冊状の絶縁板3の短辺部分に位置決め用の凹形状に形成した転換部30を備えている。
【0028】
10は位置決め用凹部で、ヒータ線2を螺旋状に巻回した時に、ヒータ線2同士が接触しないように巻回する位置を決めるものである。位置決め凹部10は、ヒータ線2を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11まで巻回するのに使用する位置決め凹部10を巻き進み用凹部10a1〜10a7と呼び、方向転換部11から巻進み時に間隔を空けた位置決め凹部10に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部10を巻き戻し用凹部10b1〜10b7と呼ぶ。
【0029】
次にヒータ線2を絶縁板3に螺旋状に巻回する方法について説明する。ヒータ線2の一方の端末を端子4aに接続し、端子4aを端子固定凹部8aに挟み込み固定する。そして、ヒータ線2を位置決め凹部10に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部10a1〜10a7に螺旋状に巻回した後、方向転換部11の転換部30に通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部10b1〜10b7に螺旋状に巻回する。最後にヒータ線2の巻き終わり側の端末を端子4bに接続し、端子4bを端子固定凹部8bに挟み込み固定してヒータ線2の巻回を終了する。
【0030】
具体的な巻回は、ヒータ線2を端子4aから絶縁板3の表面を這わし、巻き進み用凹部10a1を通して絶縁板3の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部10b7を空けて巻き進み用凹部10a2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部10a2から絶縁板3の表面を這わし、巻き戻し用凹部10b6を空けて巻き進み用凹部10a3を通して絶縁板3の裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部10a3〜10a7と巻回した後、方向転換部11の転換部30を通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けた位置決め凹部10の巻き戻し用凹部10b1,巻き戻し用凹部10b2〜10b7と順番に巻回する。
【0031】
リード線5の固定方向は、端子4を絶縁板3に挟んで固定する方向で自由に決められる。
【0032】
図4は、本発明の第2の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0033】
発熱体12と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体12の端子15bの位置が異なり、発熱体12の対向する1辺の端部に端子15を備えたものである。そのためヒータ線13の巻回数が半回転少ないものである。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0035】
発熱体60と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体60の端子63の位置が異なり、対向する長辺の一辺の略中央部に端子63を備え、対向する短辺の両方に方向転換部69を2ヶ所を備えたものである。
【0036】
絶縁板61にヒータ線62を螺旋状に巻回する時に、ヒータ線62の巻回する位置を決める位置決め凹部68について説明する。
【0037】
位置決め凹部68の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、前記と同様にヒータ線62を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部68に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部69jまで巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き進み用凹部68j1〜68j4と呼び、方向転換部69jから端子63がある位置まで巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部68に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き戻し用凹部68k1〜68k5と呼び、続けて、螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部68に間隔を空けて一方方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部69kまで巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き進み用凹部68m1〜68m5と呼び、方向転換部69kから端子63がある位置まで巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部68に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部68を巻き戻し用凹部68n1〜68n5と呼ぶ。
【0038】
次にヒータ線62を絶縁板61に巻回する方法について説明する。ヒータ線62の一方の端末を端子63jに接続し、端子63jを端子固定凹部67jに挟み込み固定する。そして、ヒータ線62を位置決め凹部68に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部68j1〜68j4に螺旋状に巻回した後、方向転換部69jの転換部70jに通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部68k1〜68k5に螺旋状に巻回し、引き続き、巻き進み用凹部68m1〜68m5に螺旋状に巻回した後、方向転換部69kの転換部70kに通し、再び螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部68n1〜68n5に螺旋状に巻回する。最後にヒータ線の巻き終わりの端末を端子63kに接続し、端子63kを端子固定凹部67kに挟み込み固定してヒータ線62の巻回を終了する。
【0039】
具体的な巻回は、ヒータ線62を端子63jから絶縁板61の表面を這わし巻き進み用凹部68j1を通して絶縁板61の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部68k4を空けて巻き進み用凹部68j2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部68j2から絶縁板61の表面を這わし、巻き戻し用凹部68k3を空けて巻き進み用凹部68j3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部68j3,巻き進み用凹部68j4と巻回した後、方向転換部69jの転換部70jを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けてきた位置決め凹部68の巻き戻し用凹部68k1,巻き戻し用凹部68k2〜68k5と順番に巻回する。引き続き、巻き進み用凹部68m1を通して絶縁板61の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部68n5を空けて巻き進み用凹部68m2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部68m2から絶縁板61の表面を這わし、巻き戻し用凹部68n4を空けて巻き進み用凹部68m3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部68m4、巻き進み用凹部68m5と巻回した後、方向転換部69kの転換部70kを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けた位置決め凹部68の巻き戻し用凹部68n1,巻き戻し用凹部68n2〜68n5と巻回する。
【0040】
端子63の位置の移動は、ヒータ線62の左右の巻回比率を変えることで可能となる。
【0041】
図6は、本発明の第4の実施例における発熱体の正面図を示す。
【0042】
発熱体22と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体22は独立したヒータ線を2本巻回したものであり、対向する長辺の双方の端部に端子26を備え、端子26の反対側の短辺に2ヶ所に方向転換部29を備えたものである。
【0043】
絶縁板25にヒータ線A23とヒータ線B24を夫々別々に螺旋状に巻回する時に、夫々のヒータ線A23,ヒータ線B24の巻回する位置を決める位置決め凹部28について説明する。
【0044】
位置決め凹部28は、2本のヒータ線を巻回するために夫々のヒータ線に対応して巻き進み用と巻き戻し用の凹部を備えている。ヒータ線A23用の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、ヒータ線B24の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部を空け、ヒータ線A23を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部28に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部29aまで巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き進み用凹部28c1〜28c5と呼び、方向転換部29aから巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部28に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き戻し用凹部28d1〜28d5と呼ぶ。次に、ヒータ線B24用の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、ヒータ線A23を巻回に使用した位置決め凹部28を除き、ヒータ線B24を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部28に間隔を空けて一方方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部29bまで巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き進み用凹部28e1〜28e5と呼び、方向転換部29bから巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部28に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部28を巻き戻し用凹部28f1〜28f5と呼ぶ。
【0045】
次にヒータ線A23,ヒータ線B24を絶縁板25に螺旋状に巻回する方法について説明する。ヒータ線A23の一方の端末を端子26cに接続し、端子26cを端子固定凹部27cに挟み込み固定する。そして、ヒータ線A23を位置決め凹部28に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部28c1〜28c5に螺旋状に巻回した後、方向転換部29aの転換部45aに通し、螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部28d1〜28d5に螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子26dに接続し、端子26dを端子固定凹部27dに挟み込み固定してヒータ線A23の巻回を終了する。
【0046】
ヒータ線B24も同様に一方の端末を端子26eに接続し、端子26eを端子固定凹部27eに挟み込み固定する。そして、ヒータ線B24を位置決め凹部28に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、巻き進み用凹部28e1〜28e5に螺旋状に巻回した後、方向転換部29bの転換部45bに通し、螺旋方向を逆方向に戻し巻き戻し用凹部28f1〜28f5に螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子26fに接続し、端子26fを端子固定凹部27fに挟み込み固定してヒータ線B24の巻回を終了する。
【0047】
具体的な巻回は、ヒータ線A23を端子26cから絶縁板25の表面を這わし、巻き進み用凹部28c1を通して絶縁板25の裏面に渡し、裏面を這わしてヒータ線B24を通す巻き戻し用凹部28f5とヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d5の2ヶ所を空けて巻き進み用凹部28c2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部28c2から絶縁板25の表面を這わし、ヒータ線B24を通す巻き進み用凹部28e1とヒータ線B24を通す巻き戻し用凹部28f4とヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d4の3ヶ所を空け巻き進み用凹部28c3を通して裏面に渡す。同様に巻き進み用凹部28c4,巻き進み用凹部28c5と巻回した後、方向転換部29aの転換部45aを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていたヒータ線B24を通す巻き進み用凹部28e1〜28e5と、巻き戻し用凹部28f1〜28f5を空け、ヒータ線A23を通す巻き戻し用凹部28d1,巻き戻し用凹部28d2〜28d5と順番に巻回し、ヒータ線A23の巻回の終わり側の端末を端子26dに接続し、端子26dを端子固定凹部27dに挟み込み固定してヒータ線A23の巻回を終了する。
【0048】
ヒータ線B24も同様に、ヒータ線B24を端子26eから絶縁板25の表面を這わし、巻き進み用凹部28e1を通して絶縁板25の裏面に渡し、裏面を這わして巻き戻し用凹部28f5を空けて巻き進み用凹部28e2を通して表面に戻る。次に、巻き進み用凹部28e2から絶縁板25の表面を這わし、巻き戻し用凹部28f4を空けて巻き進み用凹部28e3を通して裏面に渡す。同様にして巻き進み用凹部28e3〜28e5と巻回した後、方向転換部29bの転換部45bを通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていた巻き戻し用凹部28f1,巻き戻し用凹部28f2〜28f5と順番に巻回し、ヒータ線B24の巻き終わり側の端末を端子26fに接続し、端子26fを端子固定凹部27fに挟み込み固定してヒータ線B24の巻回を終了する。
【0049】
以上は絶縁板1枚にヒータ線1本を巻回した例と、ヒータ線2本を巻回した例を示したが、絶縁板を複数枚使用してヒータ線を立体的に巻回した例について次に説明する。
【0050】
図7は本発明の第5の実施例における発熱体の平面図、図8は本発明の第5の実施例における発熱体の正面図、図9は本発明の第5の実施例における発熱体の側面図であり、図10は本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Aの説明図で、図11は本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Bの説明図を示す。
【0051】
発熱体31と第1の実施例の発熱体1との違いは、発熱体31は絶縁板を2枚使用して十字に組み、2枚の絶縁板間をヒータ線がまたがって立体的に巻回したものである。
【0052】
絶縁板A32の転換部50と反対側の短辺の中央より長手方向に沿ったスリットA33と絶縁板B34の短辺の中央より長手方向に沿ったスリットB35を備え、各スリット同士を挿入し十字に組みヒータ線36を巻回したものである。
【0053】
十字に組んだ絶縁板A32と絶縁板B34にヒータ線36を螺旋状に巻回する時に、ヒータ線36の巻回する位置を決める位置決め凹部42について説明する。
【0054】
位置決め凹部42の巻き進み用凹部と巻き戻し用凹部については、前記と同様にヒータ線36を螺旋状に巻回する時に複数の位置決め凹部42に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部43まで巻回するのに使用する位置決め凹部42を巻き進み用凹部42g1〜42g14と呼び、方向転換部43から巻き進み時に間隔を空けた位置決め凹部42に螺旋方向を逆方向に戻し螺旋状に巻回するのに使用する位置決め凹部42を巻き戻し用凹部42h1〜42h14と呼ぶ。
【0055】
次にヒータ線36を十字に組んだ絶縁板A32,絶縁板B34に巻回する方法について説明する。ヒータ線36の一方の端末を端子37gに接続し、端子37gを端子固定凹部41gに挟み込み固定する。そして、ヒータ線36を十字に組んだ絶縁板の位置決め凹部42に交差することなく螺旋状に巻回する。その巻く順番は、絶縁板A32と絶縁板B34の位置決め凹部42を連ねるように、巻き進み用凹部42g1〜42g14に螺旋状に巻回した後、方向転換部43の転換部50に通し、螺旋方向を逆方向に戻して巻き戻し用凹部42h1〜42h14と螺旋状に巻回し、ヒータ線の巻き終わり側の端末を端子37hに接続し、端子37hを端子固定凹部41hに挟み込み固定してヒータ線36の巻回を終了する。
【0056】
具体的な巻回は、ヒータ線36を端子37gから絶縁板B34の巻き進み用凹部42g1を通し、絶縁板A32の巻き進み用凹部42g2を通し、絶縁板B34の巻き戻し用凹部42h14を空けて巻き進み用凹部42g3を通し、絶縁板A32の巻き戻し用凹部42h13を空けて巻き進み用凹部42g4を通す。以後同様に巻き進み用凹部42g4〜42g14と巻回した後、方向転換部43の転換部50を通し、螺旋方向を逆方向に戻し、巻き進んできた時に空けていた巻き戻し用凹部42h1〜42h14と順番に巻回する。
【0057】
以上、本発明によれば、絶縁板3には、螺旋状に巻回したヒータ線2の位置決めするための複数の位置決め凹部10と、螺旋状に巻回したヒータ線2の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部11とを有し、ヒータ線2は、複数の位置決め凹部10に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、方向転換部11で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた複数の位置決め凹部10に巻回したことで、簡単な構造でヒータ線2の両端の端末部分を発熱体1の同一側に設けることができるので、電力を供給するリード線5を容易に接続することができる発熱体を提供できる。
【0058】
また、方向転換部11の位置決め用に絶縁板3に転換部30を設けたことで、ヒータ線2の位置決めを確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例における発熱体の正面図。
【図2】本発明の第1の実施例における発熱体の絶縁板の説明図。
【図3】本発明の第1の実施例における発熱体の説明図。
【図4】本発明の第2の実施例における発熱体の正面図。
【図5】本発明の第3の実施例における発熱体の正面図。
【図6】本発明の第4の実施例における発熱体の正面図。
【図7】本発明の第5の実施例における発熱体の平面図。
【図8】本発明の第5の実施例における発熱体の正面図。
【図9】本発明の第5の実施例における発熱体の側面図。
【図10】本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Aの説明図。
【図11】本発明の第5の実施例における発熱体の絶縁板Bの説明図。
【符号の説明】
【0060】
1 発熱体
2 ヒータ線
3 絶縁板
10 位置決め凹部
11 方向転換部
30 転換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータ線を巻くための絶縁板と、前記絶縁板に螺旋状に巻回したヒータ線とを有する発熱体において、前記絶縁板には、前記螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたことを特徴とする請求項1記載の発熱体。
【請求項1】
ヒータ線を巻くための絶縁板と、前記絶縁板に螺旋状に巻回したヒータ線とを有する発熱体において、前記絶縁板には、前記螺旋状に巻回したヒータ線の位置決めするための複数の位置決め凹部と、前記螺旋状に巻回したヒータ線の螺旋方向を逆方向に戻す方向転換部とを有し、前記ヒータ線は、前記複数の位置決め凹部に間隔を空けて一方向に螺旋状に巻回し、前記方向転換部で、螺旋方向が逆方向に戻されるとともに間隔を空けられた前記複数の位置決め凹部に巻回したことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記方向転換部の位置決め用に前記絶縁板に転換部を備えたことを特徴とする請求項1記載の発熱体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−9763(P2009−9763A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168357(P2007−168357)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]