説明

発熱光源及びその製造方法

【課題】本発明は、発熱光源及びその製造方法に関し、特にカーボンナノチューブを利用した発熱光源及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の面発熱光源は、カーボンナノチューブ構造体と、所定の距離で分離し、それぞれ該カーボンナノチューブ構造体に設置された少なくとも二つの電極と、を備える。ここで、前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブを含む。前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブ構造体の表面に平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブは等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。本発明は面発熱光源の製造方法も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱光源及びその製造方法に関し、特にカーボンナノチューブを利用した発熱光源及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは1991年に発見された新しい一次元ナノ材料となるものである。カーボンナノチューブは高引張強さ及び高熱安定性を有し、また、異なる螺旋構造により、金属にも半導体にもなる。カーボンナノチューブは、理想的な一次元構造を有し、優れた力学機能、電気機能及び熱学機能などを有するので、材料科学、化学、物理などの科学領域、例えば、フィールドエミッタ(field emitter)を応用した平面ディスプレイ、単一電子デバイス、(single−electron device)、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope, AFM)のプローブ、熱センサー、光センサー、フィルターなどに広くに応用されている。
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術のカーボンナノチューブを利用した光源は、カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブ線を引き出して、該カーボンナノチューブ線の両端をそれぞれ二つの電極に電気的に接続させるものである。該二つの電極に電圧を印加すると、前記カーボンナノチューブ線が発光することができる。従来の金属線と比べると、カーボンナノチューブ線が光源として利用される場合、電力消費が低く、高温での安定性が向上するという優れた点がある。しかし、カーボンナノチューブ線は線光源としてだけ利用され、面光源としての利用が困難であるという課題がある。
【0004】
従来の面光源は、石英ガラス筺体と、少なくとも二本のタングステンフィラメント又は少なくとも一枚のタングステンシートと、支持リングと、密封部と、基板と、を備える。前記タングステンフィラメント/シートの両端はそれぞれ前記支持リングに接続されている。平面の光を放出させるために、少なくとも二本のタングステンフィラメントを利用した場合、前記タングステンフィラメントをそれぞれ平行に並列させる。前記支持リングは前記密封部に接続される。前記支持リング及び前記密封部を前記基板に設置し、密封のチャンバーを形成させる。前記タングステンフィラメント/シートの酸化反応を防止するために、前記密封のチャンバーに不活性ガスを注入させる。しかし、従来の面光源は次の課題がある。第一には、タングステンフィラメント/シートは灰色放射体であるので、それ自体の温度上昇が遅く、熱放出の効率が低い。第二に、熱放出又は光放出は不均一である。第三に、タングステンフィラメント/シートの加工工程は複雑であり、困難である。さらに、タングステンフィラメント/シートは不活性ガスの保護が無ければ作動しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は均一な熱放出及び光放出を実現できる面光源を提供する。さらに、本発明により、簡単に大寸法の面光源を製造することができる。
【0006】
本発明の面発熱光源は、カーボンナノチューブ構造体と、所定の距離で分離し、それぞれ該カーボンナノチューブ構造体に設置された少なくとも二つの電極と、を備える。ここで、前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブを含む。前記複数のカーボンナノチューブはそれぞれ前記カーボンナノチューブ構造体の表面に平行に配列されている。
【0007】
前記複数のカーボンナノチューブが等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【0008】
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。前記カーボンナノチューブフィルムは、自立構造を有する。
【0009】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【0010】
前記少なくとも二つの電極は、前記カーボンナノチューブ構造体の同じ表面又は対向する表面に設置されている。
【0011】
前記面発熱光源は、真空装置又は不活性ガスを充填した装置を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は前記装置の中に設置されている。
【0012】
本発明の面発熱光源の製造方法は、カーボンナノチューブアレイが成長された基板を提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイをプレスしてカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、前記カーボンナノチューブフィルムを含むカーボンナノチューブ構造体の同じ表面、又は対向する表面にそれぞれ第一電極及び第二電極を設置する。
【0013】
さらに、前記第二ステップにおいて、平面を有する押し器具を利用する場合、前記基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブを押す。ローラー形状を有する押し器具を利用する場合、所定の方向又は異なる複数の方向に沿って前記複数のカーボンナノチューブを押す。
【0014】
面発熱光源を利用する方法は、サンプルを提供する第一ステップと、前記サンプルに面発熱光源のカーボンナノチューブ構造体を設置する第二ステップと、第一電極及び第二電極の間に電圧を印加して前記物を加熱させる第三ステップと、を含む。
【0015】
前記サンプルの全部又は一部は、前記カーボンナノチューブ構造体と接触させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本発明の面発熱光源は次の優れた点がある。第一には、カーボンナノチューブは良好な導電性、熱安定性及び熱放射性を有するので、本発明の面発熱光源はカーボンナノチューブを利用することにより、熱放射を広い範囲に及ぼすことができる。第二には、本発明にカーボンナノチューブが均一に分布したカーボンナノチューブフィルムを利用するので、均一な熱放射及び光放射を形成することができる。第三に、カーボンナノチューブを利用する面発熱光源は、温度上昇及び熱交換が速いという特徴がある。また、本発明の面発熱光源の製造方法は簡単であり、実用に応じて異なるカーボンナノチューブ構造体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1及び図2を参照すると、本実施形態の面発熱光源10は、第一電極12と、第二電極14と、カーボンナノチューブ構造体16と、基板18と、を備える。前記第一電極12及び第二電極14は、所定の距離で分離され、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体16と電気的に接続されるように前記カーボンナノチューブ構造体16の表面に設置されている。
【0019】
前記カーボンナノチューブ構造体16は複数のカーボンナノチューブを含む。該複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ構造体16の表面に平行に配列されている。該複数のカーボンナノチューブは、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体16の表面に平行に配列し、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【0020】
前記カーボンナノチューブ構造体16は少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含むことができる。単一の前記カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブを含む。該複数のカーボンナノチューブは、それぞれ前記カーボンナノチューブフィルムの表面に平行に配列し、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記複数のカーボンナノチューブにおいて、隣接するカーボンナノチューブが分子間力で結合されるので、前記カーボンナノチューブ構造体16はシート状の自立構造を有する。前記カーボンナノチューブフィルムは良好な引張力を有し、任意の形状に形成されることができる。従って、前記カーボンナノチューブ構造体16は、平板型又は曲面に形成されることができる。本実施形態において、前記カーボンナノチューブ構造体16は平板型に形成されている。
【0021】
前記カーボンナノチューブ構造体16の寸法に制限がなく、実際の応用に応じてカーボンナノチューブ構造体16の寸法を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体16の厚さは1μm〜1mmにされることが好ましい。本実施形態において、前記カーボンナノチューブ構造体16は、長さが30cm、幅が30cm、厚さが50μmであるように設けられている。
【0022】
前記第一電極12及び前記第二電極14は前記カーボンナノチューブ構造体16の同じ表面に設置され、又はそれぞれ前記カーボンナノチューブ構造体16の対向する二つ表面に設置されることが好ましい。短絡を防止するために、前記第一電極12及び前記第二電極14は所定の距離で分離して設けられている。
【0023】
本実施形態において、カーボンナノチューブフィルム自体が接着性を有するので、前記第一電極12及び前記第二電極14を直接前記カーボンナノチューブ構造体16に接着させ、前記カーボンナノチューブ構造体16と電気的な接続を形成することができる。さらに、前記第一電極及び第二電極14を、それぞれ導電性接着剤で前記カーボンナノチューブ構造体に接着させることができる。前記導電性接着剤は銀ペーストであることが好ましい。勿論、前記第一電極12及び第二電極14と前記カーボンナノチューブ構造体16とを電気的に接続できる方法である限り、いずれもの方法も利用することができる。
【0024】
前記基板18は、セラミック、ガラス、樹脂、石英のいずれか一種である。本実施形態において、前記基板はセラミックからなり、その形状は実際の応用に応じて設けることができる。前記基板18は前記カーボンナノチューブ構造体16を支持するために設置されている。しかし、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体16は自立構造を有するので、前記基板18を設置しないこともできる。
【0025】
前記面発熱光源10を利用する場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に電圧を印加すると、前記面発熱光源10のカーボンナノチューブ構造体16は所定の波長を有する電磁波を放出することができる。前記カーボンナノチューブ構造体16が一定の表面積(長さ×幅)を有する場合、前記カーボンナノチューブ構造体16の厚さ及び前記電圧を変更することにより、前記面発熱光源10から、異なる波長を有する電磁波を放出させることができる。前記電圧が変化しない場合、前記カーボンナノチューブ構造体16から放出された電磁波は、前記カーボンナノチューブ構造体16の厚さに反比例している。即ち、前記カーボンナノチューブ構造体16が変化しない場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧が強くなるほど、前記面発熱光源10から放出された電磁波が短くなる。従って、容易に、前記面発熱光源10から可視光、熱放射及び赤外線放射を放出させることができる。
【0026】
カーボンナノチューブは良好な導電性、熱安定性及び高熱放射効率を有するので、前記面発熱光源10を安全に酸化ガス又は空気の雰囲気において利用することができる。前記第一電極12及び第二電極14の間に10〜30Vの電圧を印加する場合、前記面発熱光源10は電磁波を放射すると同時に、前記面発熱光源10の自身の温度を50℃〜500℃程度に上昇させることができる。
【0027】
本実施形態において、前記カーボンナノチューブ構造体16の面積は900cmである。前記カーボンナノチューブ構造体16の長さ及び幅はそれぞれ30cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体16の複数のカーボンナノチューブは該カーボンナノチューブ構造体16の表面に平行に配列されている。さらに、前記複数のカーボンナノチューブが、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【0028】
なお、前記面発熱光源10を、真空装置又は不活性ガスが充填された装置に設置する場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に80〜150Vの電圧を印加した後、前記面発熱光源10は、可視光(例えば、赤色光又は黄色光)、熱放射又は紫外線を放出する。
【0029】
前記面発熱光源10はヒーター、紫外線治療装置、電気ラジエータなどとして利用されることができる。さらに、前記面発熱光源10は、光源、ディスプレイなどの光学装置として利用されることができる。
【0030】
(実施形態2)
実施形態1と異なる点は、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体16は複数のカーボンナノチューブフィルムを含むことである。この場合、前記複数のカーボンナノチューブフィルム16は同じ又は異なる角度で重畳して設置されている。前記角度は0〜90°に設定されている。前記角度は0°である場合、前記カーボンナノチューブ構造体16のカーボンナノチューブは相互に平行に、同じ方向に沿って並列されている。
【0031】
(実施形態3)
図3を参照すると、前記面発熱光源10は次の工程により製造される。
【0032】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイが成長された基板を提供する。まず、カーボンナノチューブアレイ、特に、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を提供する。本実施形態において、化学気相堆積法(CVD)法により前記カーボンナノチューブアレイを成長させる。まず、基材を提供する。該基材は、P型又はN型のシリコン基材、又は表面に酸化物が形成されたシリコン基材が利用される。本実施形態において、厚さが4インチのシリコン基材を提供する。次に、前記基材の表面に触媒層を堆積させる。該触媒層としては、Fe、Co、Ni又はそれらの合金である。次に、前記触媒層が堆積された前記基材を、700〜900℃、空気の雰囲気において30〜90分間アニーリングする。最後に、前記基材を反応装置内に置いて、保護ガスを導入すると同時に前記基材を500〜700℃に加熱して、5〜30分間カーボンを含むガスを導入する。これにより、高さが200〜400μmの超配列カーボンナノチューブアレイが成長される。前記超配列カーボンナノチューブアレイは、相互に平行に基材に垂直に成長する複数のカーボンナノチューブからなる。前記の方法により、前記超配列カーボンナノチューブアレイに無定形炭素又は触媒剤である金属粒子などの不純物が残らず、純粋なカーボンナノチューブアレイが得られる。
【0033】
本実施形態において、前記カーボンを含むガスはアセチレンなどの炭化水素であり、保護ガスは窒素やアンモニアなどの不活性ガスである。勿論、前記カーボンナノチューブアレイは、アーク放電法又はレーザー蒸着法により得られることができる。
【0034】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイに所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、カーボンナノチューブフィルムを形成させる。
【0035】
前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、それぞれ該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行に、均一的に配列されている。前記カーボンナノチューブに圧力をかけるために、押し器具を利用する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、該押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイの押し方向により決められている。例えば、図4を参照すると、平面を有する押し器具を利用して、前記基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押す場合、等方的に配列されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。図5を参照すると、ローラー形状を有する押し器具を利用して所定の方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押す場合、前記複数のカーボンナノチューブは所定の方向に沿って前記カーボンナノチューブフィルムに分布する。ローラー形状を有する押し器具を利用して異なる複数の方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押す場合、前記複数のカーボンナノチューブは異なる複数の方向に沿って前記カーボンナノチューブフィルムに分布する。
【0036】
前記カーボンナノチューブアレイのカーボンナノチューブは押し器具からの圧力で倒れると同時に、前記基板から脱離することになる。前記カーボンナノチューブは分子間力でそれぞれ結合され、自立構造を有するカーボンナノチューブフィルムに形成されることができる。
【0037】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、該圧力は大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。
【0038】
さらに、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤で処理して加工することができる。前記有機溶剤は蒸発性溶剤であり、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン、クロロホルムのいずれか一種である。本実施形態において、前記有機溶剤はエタノールである。まず、前記カーボンナノチューブフィルムに前記有機溶剤を滴下して前記カーボンナノチューブフィルムを浸漬させる。前記有機溶剤の表面張力が原因で、有機溶剤で浸漬された複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブ束に収縮される。従って、前記カーボンナノチューブフィルムは、接着性が低くなり、機械強度及び強靭性が強くなるという優れた点がある。
【0039】
さらに、前記カーボンナノチューブフィルムを、もう一つのカーボンナノチューブアレイの上に重畳して、前記第二ステップを繰り返すことにより、複数のカーボンナノチューブフィルムを含むカーボンナノチューブ構造体16を形成することができる。前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で相互に接着されている。
【0040】
勿論、複数のカーボンナノチューブフィルムを重畳して、前記押し器具を利用して前記複数のカーボンナノチューブフィルムを押すことにより、カーボンナノチューブ構造体16を形成することができる。
【0041】
実際の応用に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体16は基板18に設置されることができる。前記基板18はセラミック、ガラス、樹脂、石英のいずれか一種である。本実施形態において、前記基板はセラミックからなり、その形状は実際の応用に応じて設けることができる。前記基板18は前記カーボンナノチューブ構造体16を支持するために設置されている。しかし、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体16は自立構造を有するので、前記基板18を設置せず、前記面発熱光源10に利用されることができる。
【0042】
第三ステップでは、第一電極12及び第二電極14を提供して、前記第一電極12及び前記第二電極14を所定の距離で分離して、前記カーボンナノチューブ構造体16に電気的に接続させるように前記カーボンナノチューブ構造体16の表面に設置する。
【0043】
前記第一電極12及び第二電極14は、銅、モリブデン又は黒鉛からなる。本実施形態において、前記第一電極12及び第二電極14は銅からなる。
【0044】
(実施形態4)
図6及び図7を参照すると、本実施形態の面発熱光源20を利用して、サンプル30を加熱する方法について詳しく説明する。本実施形態の面発熱光源20は第一電極22と、第二電極24と、カーボンナノチューブフィルム26と、を含む。さらに、前記第一電極24及び第二電極26は所定の距離で分離して、カーボンナノチューブ構造体26に電気接続されるように前記カーボンナノチューブ構造体26の表面に設置されている。
【0045】
前記カーボンナノチューブ構造体26の面積は900cmである。前記カーボンナノチューブ構造体26の長さ及び幅はそれぞれ30cmである。前記カーボンナノチューブ構造体26は複数のカーボンナノチューブを有する。前記複数のカーボンナノチューブは等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記第一電極22及び前記第二電極24の間に15Vの電圧を印加する場合、前記面発熱光源10自体の温度が300℃に達することができる。
【0046】
前記カーボンナノチューブ構造体26は自立構造を有するので、前記面発熱光源20に基板を設置することが必要ではない。前記カーボンナノチューブ構造体26は良好な引張力を有し、環状に形成されることができる。従って、サンプル30を加熱させる工程において、前記サンプル30の全身又は一部をカーボンナノチューブ構造体26に接続させることができる。
【0047】
前記面発熱光源20で前記サンプル30を加熱させる方法は、サンプル30を提供する第一ステップと、前記面発熱光源20のカーボンナノチューブ構造体26を前記サンプル30の表面に近接し又は貼るように設置する第二ステップと、第一電極22及び第二電極24の間に電圧を印加して前記サンプル30を加熱させる第三ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の面発熱光源の模式図である。
【図2】図1の線II−II’に沿って見た本発明の実施形態の面発熱光源の断面図である。
【図3】本発明の実施形態の面発熱光源の製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の面発熱光源の製造方法で製造されたカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。
【図5】本発明の実施形態の面発熱光源の製造方法で製造されたカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。
【図6】本発明の実施形態の面発熱光源を利用する状態を示す図である。
【図7】図6の線VII−VII’に沿って見た本発明の実施形態の面発熱光源を利用する状態の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 面発熱光源
12 第一電極
14 第二電極
16 カーボンナノチューブ構造体
18 基板
20 面発熱光源
22 第一電極
24 第二電極
26 カーボンナノチューブ構造体
30 サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ構造体と、
所定の距離で分離し、それぞれ該カーボンナノチューブ構造体に設置された少なくとも二つの電極と、を備え、
前記複数のカーボンナノチューブはそれぞれ前記カーボンナノチューブ構造体の表面に平行に配列されていることを特徴とする面発熱光源。
【請求項2】
前記複数のカーボンナノチューブが等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の面発熱光源。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブ構造体が少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含み、
前記カーボンナノチューブフィルムが、自立構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の面発熱光源。
【請求項4】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されていることを特徴とする、請求項3に記載の面発熱光源。
【請求項5】
前記少なくとも二つの電極は、前記カーボンナノチューブ構造体の同じ表面又は対向する表面に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の面発熱光源。
【請求項6】
前記面発熱光源は、真空装置又は不活性ガスを充填した装置を含み、
前記カーボンナノチューブ構造体は前記装置の中に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の面発熱光源。
【請求項7】
カーボンナノチューブアレイが成長された基板を提供する第一ステップと、
前記カーボンナノチューブアレイをプレスしてカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、
前記カーボンナノチューブフィルムを含むカーボンナノチューブ構造体の同じ表面、又は対向する表面にそれぞれ第一電極及び第二電極を設置する第三ステップと、
を含むことを特徴とする面発熱光源の製造方法。
【請求項8】
前記第二ステップにおいて、
平面を有する押し器具を利用する場合、前記基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブを押し、
ローラー形状を有する押し器具を利用する場合、所定の方向又は異なる複数の方向に沿って前記複数のカーボンナノチューブを押すことを特徴とする、請求項7に記載の面発熱光源の製造方法。
【請求項9】
サンプルを提供する第一ステップと、
前記サンプルに面発熱光源のカーボンナノチューブ構造体を設置する第二ステップと、
第一電極及び第二電極の間に電圧を印加して前記物を加熱させる第三ステップと、
を含むことを特徴とする面発熱光源を利用する方法。
【請求項10】
前記サンプルの全部又は一部を、前記カーボンナノチューブ構造体と接触させることを特徴とする、請求項9に記載の面発熱光源を利用する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−91239(P2009−91239A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262225(P2008−262225)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】