説明

発電システムのアーク検出および防止

【課題】光起電力パネルと、DC電力線で光起電力パネルに接続可能な負荷と、を備えたシステムにおける、アーク検出のための方法を提供する。
【解決手段】負荷に供給される電力を測定して、負荷に供給される電力の第1の測定結果を提示する。光起電力パネルによって生成される電力も測定され、光起電力パネルによって生成される電力の第2の測定結果が提示される。第1の測定結果は第2の測定結果と比較され、電力測定結果差が提示される。閾値より大きい電力測定結果差の場合には、更に、警報状態がセットされ、第2の測定結果は、DC電力線を通じて調節および発信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散発電システム、特に、太陽光発電システムのアーク検出および防止に関する。
【背景技術】
【0002】
分散太陽光発電システムは、建築物の屋根に一般的に取り付けられる1つ以上の光起電力パネルを組み込む。光起電力パネルに接続されるインバータは、通常、建築物内に配置される。直流(DC)電力が、光起電力パネルから出力される。インバータは、直流電力を、交流(AC)電力に変換する。
【0003】
アーク放電は、電力供給システムおよび電子装置に有害作用を与える可能性がある。アーキングは、スイッチ、回路ブレーカ、リレー接点、ヒューズおよび劣等なケーブル端末で生じる場合がある。回路のスイッチが切られたとき、または、接続不良がコネクタで生じたときに、アーク放電はコネクタの接点全体で発生する場合がある。アーク放電は、継続したプラズマ放電を生み出す気体の電気絶縁破壊であり、通常不伝導性である空気などの媒体を通過する電流が原因である。切断の始めは、2つの接点間の分離距離は、非常に小さい。結果として、接点間の空隙全体の電圧は、ミリメートル当たりボルト単位の、非常に大きな電場を生み出す。この大きな電場が、2つの切断面の間に、電気アークの点弧を引き起こす。回路がアークを持続するのに十分な電流および電圧を有する場合、アークは、導体の溶断、絶縁部の破壊および火災などの、装置に対する損害を引き起こす可能性がある。
【0004】
交流(AC)電源方式のゼロ交差は、アークを再点弧させない。直流式は、DC電源方式においてはゼロ交差が存在しないため、AC方式よりアーキングを起こしやすい。
【0005】
背景技術による回路10aの、直列のアーキング106を示した図1aを参照する。図1aにおいて、直流(DC)電源102は、電力線104aと104bの間に電力を提供する。電力線104bは、グランド電位で示される。負荷100は、電力線104bを電力線104aに接続する。直列のアーキングは、例えば、電力線104a、104b、もしくは、負荷100または電源102の内部といった回路10aの任意の部分で生じることがあり得る。直列のアーキングの例106の原因となる、ポイントCとポイントAの間の電力線104aの切断または劣等な接続が図示される。一般に、直列アーク106が検出可能な場合、電源102または負荷100に位置する回路ブレーカ(図示せず)は、連続的な直列のアーキング106を妨げるために切断することができる。
【0006】
背景技術による回路10bの、並列または短絡のアーキング108を示した図1bを参照する。回路10bにおいて、直流(DC)電源102は、電力線104aと104bの間に電力を提供する。負荷100は、電力線104aおよび104bを接続する。並列のアーキングは回路10bの多くの部分で生じることがあり得、例としては電源102の正電極と電源102のグランド/シャーシ間のアーキングが挙げられ、電力供給ケーブル104a/bが二心ケーブルである場合、アーキングは二心間に、または、負荷100の陽端子104aとグランド104b間に生じることがあり得る。並列のアーキング108は、電力線104bのポイントDと、電力線104aのポイントCの高電位間に、示されるように生じることがあり得る。
【0007】
アークノイズは、パワースペクトル密度が周波数スペクトル全体にわたってほぼ等しい、ホワイトノイズに近い。加えて、アークノイズ信号の振幅は、ガウス確率密度関数に非常に近い。根二乗平均(RMS)アークノイズ電圧信号(V)は、式Eq.1によって導かれる。
【0008】
【数1】

【0009】
K=ボルツマン定数=1.38×10―23ジュール毎ケルビン
T=ケルビンによる温度
B=ノイズ電圧(V)が測定されるヘルツ(Hz)によるバンド幅
R=抵抗器/回路/負荷の抵抗(オーム)
【発明の概要】
【0010】
本発明では、光起電力パネルと、DC電力線で光起電力パネルに接続可能な負荷と、を備えたシステムにおける、アーク検出のための方法が提供される。本方法は、負荷に供給される電力を測定して、負荷に供給される電力の第1の測定結果を提示する。光起電力パネルによって生成される電力も測定され、光起電力パネルによって生成される電力の第2の測定結果が提示される。第1の測定結果は第2の測定結果と比較され、電力測定結果差が提示される。閾値より大きい電力測定結果差の場合には、更に、警報状態がセットされることになる。第2の測定値は、DC電力線を通じて調節および発信されるのが好ましい。
【0011】
本発明では、システムにおけるアーク検出のためのデバイスが提供され、このシステムは、光起電力パネル、およびDC電力線で光起電力パネルに接続可能な負荷を備える。本デバイスは、光起電力パネルによって生成される電力を測定するために調整された電子モジュール、および、負荷に供給される電力を測定するために調整された中央制御装置を備える。機構は、光起電力パネルの電気出力を、前記負荷に供給される電力と比較する。
【0012】
本発明では、光起電力パネルの光起電性の列と、DC電力線で光起電性の列に接続可能な負荷と、を備えたシステムにおけるアーク検出のための方法が提供される。アーク検出のための方法は、負荷のノイズ電圧を測定し、負荷のノイズ電圧の第1の測定結果を提示する。光起電性の列の光起電力パネルのノイズ電圧も測定され、光起電力パネルのノイズ電圧の第2の測定結果が提示される。第1の測定結果は、第2の測定結果と比較されるのが好ましく、それによりノイズ電圧結果差が提示される。閾値より大きいノイズ電圧結果差の場合には、警報状態がセットされることになる。警報状態がセットされた場合には、光起電性の列の接続は切断されることになる。第2の測定結果は、DC電力線を通じて調節および発信されるのが好ましい。
【0013】
本発明では、相互接続された光起電力パネルの光起電性の列と、DC電力線で光起電性の列に接続可能な負荷と、を備えたシステムにおけるアーク検出のための方法が提供される。アーク検出のための方法は、負荷に供給される電力を測定し、負荷の電力の第1の測定結果を提示する。光起電性の列によって生成される電力も測定され、光起電性の列の電力の第2の測定結果が提示される。第1の測定結果は第2の測定結果と比較され、第1の電力結果差が提示されることになる。
【0014】
光起電性の列の電力の測定は、一般的に、それぞれの光起電力パネルの電気出力を測定する命令を送信することを伴う。続いて、それぞれの光起電力パネルの電力値が、発信および受信されることになる。それぞれの光起電力パネルの電力値は加算され、第2の測定結果が与えられることになる。第2の測定結果は、その後、続いて、DC電力線を通じて調節および発信されることになる。
【0015】
負荷のインピーダンスが、予定値に従って変更されてもよい。光起電性の列の電力は続いて再び測定され、光起電性の列の電力の第3の測定結果が提示される。次に、負荷の電力が測定され、負荷の電力の第4の測定結果が提示される。第3の測定値は第4の測定値と比較され、第2の電力結果差を提示することになる。第1の電力結果差は、第2の電力結果差と比較され、全体の電力結果差が提示されることになる。全体の電力結果差が閾値より大きい場合には、警報状態がセットされることになる。警報状態がセットされた場合には、光起電性の列の接続は切断されることになる。第3の測定結果は、DC電力線を通じて調節および発信されるのが好ましい。
【0016】
光起電性の列の電力を測定することは、一般的に、それぞれの光起電力パネルの電力を測定する命令を送信することを伴う。続いて、それぞれの光起電力パネルの電力値が、発信および受信されることになる。それぞれの光起電力パネルの電力値は加算され、第3の測定結果が与えられることになる。第3の測定結果は、その後、続いて、DC電力線を通じて調節および発信されることになる。
【0017】
列の電力を測定する命令は、列のパネルのうちの1枚に接続されたマスタモジュールに送信されてもよい。列の他のパネルにそれぞれ接続されたスレイブモジュールは、電力を測定するように命令される。電力測定結果は、スレイブモジュールからマスタモジュールへ発信される。電力測定結果は、マスタモジュールに受信され、中央制御装置に発信される列の電力結果を提示するために、マスタモジュールで合計される。
【0018】
添付の図面を参照し、例示のみを目的として、本発明を本明細書で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】背景技術による直列のアーキングを示した回路を示す図である。
【図1B】背景技術による並列または短絡のアーキングについての、図1aと同じ回路を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるアーク検出機能を備えた発電システムを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による方法を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態による発電回路を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態による方法を示す図である。
【図5C】図5bで示された方法の段階を示す図であり、より詳細には、この段階により、本発明の一実施形態による列の電力が測定される。
【図5D】本発明の他の実施形態による、直列のアーク検出のための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態をここで詳細に説明する。実施形態の例は添付の図面に図示され、図面内の同じ参照番号は全体にわたって同じ要素を示す。実施形態は、図を参照して本発明を説明するために、以下に記述される。
【0021】
ここで、本発明の一実施形態によるアーク検出機能を備えた発電システム201を示す図2を参照する。光起電力パネル200は、モジュール202の入力に接続されるのが好ましい。複数のパネル200および複数のモジュール202は、一般的に、直列の列を形成するように、共に接続される。直列の列は、モジュール202の出力を直列に接続することによって形成される。複数の直列の列は、負荷250と並列に接続されるのが好ましい。負荷250は、直流(DC)から交流(AC)に変換するインバータ、または、DCからDCに変換するコンバータであるのが好ましい。電子モジュール202は、一般的に、パネル200が生み出す電圧および電流を測定する。したがって、モジュール202は、パネル200の電気出力を示すことが可能である。制御装置204は、負荷250に取り付けられる。制御装置204は、また、直列の列に負荷250を接続しているDC電力線上の電力線通信を経て、または、無線の接続によって、モジュール202に動作可能に取り付けられる。制御装置204は、センサ206を介して負荷250が受ける電力を測定するのが好ましい。それぞれのパネル200は、グランドに接続してもよいシャーシを有する。直列のアーキング106の例は、2枚のパネル200の間に示される。並列のアーキング108の例は、パネル200の正端子とパネル200のグランドの間に示される。
【0022】
次に、本発明の一実施形態による方法301を示す図3を参照する。方法301は、直列および/または並列のアーキングを検出するための方法である。中央制御装置204は、負荷250が受ける電力を測定する(段階300)。モジュール202は、パネル200の電力を測定する(段階302)。モジュール202は、無線または電力線通信を介して制御装置204に、パネル200の測定された電力を示すデータを発信するのが好ましい。制御装置204は、パネル200で発生した電力と負荷250で受ける電力間の差を算出する(段階304)。段階304で算出される差が、予め決められた基準に従って、パネル200で発生した電力が負荷250で受ける電力より大きいことを示す場合(段階306)、起こりうるアーキングの警報状態がセットされることになる(段階308)。それ以外の場合、アーク検出は、段階300を再開する。
【0023】
次に、本発明の一実施形態による方法401を示す図4を参照する。方法401は、直列および/または並列のアーキングを検出するための方法である。中央制御装置204は、負荷250の根二乗平均(RMS)ノイズ電圧を測定する(段階400)。モジュール202は、パネル200の根二乗平均(RMS)ノイズ電圧を測定する(段階402)。モジュール202は、測定されたパネル200のRMSノイズ電圧を示したデータを、無線または電力線通信を介して、制御装置204に発信するのが好ましい。
【0024】
制御装置は、パネル200で測定されたノイズ電圧と負荷250で測定されたノイズ電圧間の差を算出することによって、通常、パネル200のノイズ電圧を、負荷250のノイズ電圧と比較する(段階404)。段階404で算出される差が、予め決められた基準に従って、パネル200で測定されたノイズ電圧が負荷250で測定されたノイズ電圧より大きいことを示す場合(段階406)、起こりうるアーキングの警報状態がセットされることになる(段階408)。
【0025】
また、比較(段階404)は、以前に、例えば発電システム201の取り付けの直後に、制御装置204のメモリに記憶されたパネル200および負荷250のRMSノイズ電圧レベルとの比較を伴ってもよい。パネル200および負荷250の以前に記憶されたRMSノイズ電圧レベルは、制御装置204のメモリに記憶されたルックアップテーブルの形をとるのが好ましい。ルックアップテーブルは、例えば、様々な時刻、曜日または時期における、パネル200および負荷250のRMSノイズ電圧レベルを有し、パネル200および負荷250の現在測定されたRMSノイズ電圧レベルと比較することができる。
【0026】
測定されたパネル200RMSノイズ電圧データと測定された負荷250RMSノイズ電圧データの比較が、RMSノイズ電圧差の一定の閾値を超える場合(段階406)、起こりうるアーキングの警報状態がセットされ(段階408)、それ以外の場合には、アーク検出は、段階400を再開する。
【0027】
次に、本発明の一実施形態による発電回路501aを示す図5aを参照する。発電回路501aは、モジュール202の入力に接続されたパネル200の出力を有する。パネル200の出力は、したがって、モジュール202にDC電源入力(PIN)を提供する。モジュール202は、降圧回路、ブースト回路または降圧−ブースト回路といった、直流(DC)−DC変換パワーコンバータを含みうる。モジュール202の出力電圧は、Vのラベルが付けられる。
【0028】
モジュール202の出力およびモジュール202aは、直列の列520を形成するために、直列に接続される。2つの列520は、並列に接続されて示される。1つの列520には、列520で直列に生じているアーク電圧(V)の状態が、示される。負荷250は、DC−交流(AC)インバータであるのが好ましい。中央制御装置204は、負荷250に取り付けられる。制御装置204は、負荷250全体の電圧(V)と、電流センサ206を介して負荷250の電流を、任意に測定する。電流センサ206は、制御装置204に、および、電力線接続で負荷250に取り付けられる。
【0029】
第1の場合では、パネル200上の日射量に応じて、いくらかのモジュール202が、定められた出力電圧(V)を提供するために入力電力を変換するように作動することになり、そして、モジュール202の出力する電力は、列520の電流の流れに左右される。列520の電流の流れはパネル200の照射のレベルに関連し、すなわち、照射が多いほど、列520の電流が多くなり、モジュール202の出力する電力はより大きくなる。第2の場合では、モジュール202が、出力電力と同じになるように入力電力を変換するために作動することになる。例えば、モジュール202の入力が200ワットである場合、モジュール202は、出力を200ワットにしようと努める。しかしながら、モジュール202は列520に直列に接続されるので、列520の電流の流れはキルヒホッフの法則によって同じになる。列520の電流の流れが同じであることは、モジュール202の出力電力がモジュール202の入力電力と同じであることを確立するために、モジュールの出力電圧(V)が変化することを意味する。したがって、列520の電流が増加するにつれてモジュール202の出力電圧(V)が減少するか、または、列520の電流が減少するにつれてモジュール202の出力電圧(V)が最大値に増加する。モジュール202の出力電圧(V)が最大値まで増加するとき、第2の場合は、出力電圧(V)が事実上固定されるという点で、第1の場合と同様になる。
【0030】
列520のモジュール202は、マスタとして構成されるモジュールの1台202aと、スレイブとして構成される他のモジュール202との間で、マスタ/スレイブ関係を有してもよい。
【0031】
電流が列520の全体にわたって同じであるため、マスタモジュールは、一般的に、列520の電流を測定するように構成される。列の全電力が決定できるように、モジュール202は、自身の出力電圧Vを任意に測定する。スレイブモジュール202の出力電圧が、測定され、例えば、モジュール202aから制御装置204への1回の遠隔測定が列の出力される電力を通信するのに十分であるように、マスタユニット202aへ、無線または電力線通信によって通信されてもよい。列520のマスタモジュール202aは、スレイブモジュール202の制御のために、他のスレイブモジュール202と通信してもよい。マスタモジュール202aは、一般的に、スレイブモジュール202へと伝達される制御装置204からの『キープアライブ』信号を受信する。無線または電力線通信によって通信される、制御装置204から送られる『キープアライブ』信号は、在または不在とすることができる。『キープアライブ』信号の存在は、モジュール202のおよび/またはマスタモジュール202aを介した、継続した動作を引き起こすことになる。『キープアライブ』信号の不在は、モジュール202のおよび/またはマスタモジュール202aを介した、動作の中止を引き起こすことになる(すなわち、電流が、列520に流れるのを中止する)。それぞれの列520に対応している異なる周波数を各々有した複数の『キープアライブ』信号を利用して、他の列520が電力を生成し続ける間に、アーキングの事例がある特定の列520の電力の生成を中止させてもよい。
【0032】
続いて、本発明の一実施形態による方法503を示す図5bを更に参照する。段階500において、列520の電力が測定される。段階502において、負荷250の電力が、中央制御装置204およびセンサ206を使用して、測定される。測定された負荷の電力および測定された列の電力が、段階504において、比較される。段階500、502および504は、図5aに関する方程式Eq.2によって数学的に示される。
【0033】
【数2】

【0034】
[I]=電流Iの関数としてのアーク電圧。
=負荷250の電力。
ΣPIN=モジュール202の出力電力がモジュール202の入力電力(PIN)と同じであることを確立するためにモジュールの出力電圧(V)が変化するようにモジュール202が作動するときのモジュール202の電気出力。
ΣV=固定された電圧出力(V)に関するモジュール202の電気出力、および/または、モジュール202の出力電圧(V)が最大出力電圧レベルの値に増加するように列520の電流が十分に減少したときの(可変の出力電圧Vに関する)モジュール202の電気出力。どの場合でも、最大出力電圧レベルの値(V)および固定された電圧出力(Vi)が、発電回路501aで同じになるように予め設定される。
【0035】
列520の列の電力と負荷250に供給される電力(V×I)の間の比較は、差を示すために、負荷250に供給される電力(V×I)から列520の電力の合計(ΣPIN+ΣV)を減算することによって、達成される。差が予め定義された閾値より小さい場合(段階506)には、列520(段階500)および負荷250(段階502)の入手可能な電力の測定が再開される。決定ブロック506において、差が以前に定められた閾値より大きい場合には、警報状態がセットされることになり、直列アークの状況が生じている可能性がある。直列アーキングの状態は、一般的に、制御装置204からモジュール202へ、中断するための『キープアライブ』信号を発信させ、そして、モジュール202を停止させる。モジュール202の停止は、列520の直列アーキングを止める好ましい方法である。
【0036】
次に、本発明の一実施形態による、列502の電力を測定するための(図5bに示した)方法の段階500をより詳細に示した図5cを参照する。一般的に、中央制御装置204は、マスタモジュール202aに電力線通信を介して命令を送信する(段階550)。マスタモジュール202aは、列502の電力、並びに、モジュール202aの出力電力および入力電力を各々供給するマスタモジュール202aの出力電圧および/またはマスタモジュール202aの入力電圧および電流を、測定する。マスタモジュールは、列502のスレイブモジュール202に、モジュール202の出力電力および入力電力を各々供給する、出力電圧および列502の電流ならびに/またはモジュール202の入力電圧および電流を測定するように命令する(段階552)。スレイブモジュール202は、続いて、段階552で測定した入出力電力をマスタモジュール202aに発信する(段階554)。マスタモジュール202aは、段階554で送信された電力測定値を受信する(段階556)。マスタモジュール202aは、続いて、式Eq.2に従って、マスタモジュール202aが獲得した電力測定値と、受信した電力測定値を合計する(段階558)。式Eq.2によれば、ΣPIN=モジュール202の出力電力がモジュール202の入力電力(PIN)と同じであることを確立するためにモジュールの出力電圧(V)が変化するようにモジュール202が作動するときのモジュール202の電気出力であり、ΣV=固定された電圧出力(V)に関するモジュール202の電気出力、および/または、モジュール202の出力電圧(V)が最大出力電圧レベルの値に増加するように列520の電流が十分に減少したときの(可変の出力電圧Vに関する)モジュール202の電気出力である。どの場合でも、最大出力電圧レベルの値(V)および固定された電圧出力(V)が、発電回路501aで同じになるように予め設定される。段階558で合計された電力測定値は、続いて、マスタモジュール202aによって中央制御装置204に発信される(段階560)。
【0037】
次に、本発明の別の実施形態による、直列のアーク検出のための方法505を示す図5dを参照する。第1の電力結果差508が、ここで電流I1とラベルを付けられる負荷電流I、および、(図5aに示すような)負荷250全体の電圧Vを伴って、回路501aにおいて発生する。第1の電力結果差508は、(図5cに示される)方法503の実行の結果として、図5aおよび式Eq.3(下記)を参照して、提示される。
【0038】
【数3】

【0039】
[I]=電流Iの関数としてのアーク電圧。
=負荷250の電力。
ΣPIN=モジュール202の出力電力がモジュール202の入力電力(PIN)と同じであることを確立するためにモジュールの出力電圧(V)が変化するようにモジュール202が作動するときのモジュール202の電気出力。
ΣV=固定された電圧出力(V)に関するモジュール202の電気出力、および/または、モジュール202の出力電圧(V)が最大出力電圧レベルの値に増加するように列520の電流が十分に減少したときの(可変の出力電圧Vに関する)モジュール202の電気出力。どの場合でも、最大出力電圧レベルの値(V)および固定された電圧出力(V)が、発電回路501aで同じになるように予め設定される。
【0040】
負荷250のインピーダンスは、中央制御装置204の制御によって、任意に調節される(段階510)。一般的に、負荷250がインバータである場合、制御装置204は、インバータの制御パラメータの変化によって、負荷250の入力インピーダンスを調節する。負荷250の入力インピーダンスの変更は、オームの法則によって、負荷250の入力電圧を変更させる。回路501aに示されるような負荷250全体の電圧(V)は、したがって、負荷250の入力インピーダンスの調節の結果として、量ΔVを変化させられる。負荷250全体の電圧はここではV+ΔVであり、負荷250の電流(I)はここではIである。
【0041】
第2の電力結果差522は、ここでは、段階510で実行された、負荷250の調節された入力インピーダンスに対する(図5cにおいて示される)方法503の再実行の結果として、提示される。第2の電力結果差522は、式Eq.4によって数学的に示される。
【0042】
【数4】

【0043】
[I]=電流Iの関数としてのアーク電圧。
(V+ΔV)I=負荷250に供給された電力。
ΣPIN=モジュール202の出力電力がモジュール202の入力電力(PIN)と同じであることを確立するためにモジュールの出力電圧(V)が変化するようにモジュール202が作動するときのモジュール202の電気出力。
ΣV=固定された電圧出力(V)に関するモジュール202の電気出力、および/または、モジュール202の出力電圧(V)が最大出力電圧レベルの値に増加するように列520の電流が十分に減少したときの(可変の出力電圧Vに関する)モジュール202の電気出力。どの場合でも、最大出力電圧レベルの値(V)および固定された電圧出力(V)が、発電回路501aで同じになるように予め設定される。
【0044】
第1の電力結果差508は、好ましくは制御装置204を用いて、第2の電力結果差522と比較され(段階524)、差を提示するために第1の電力結果差508を第2の電力結果差522から減算する。差は、式Eq.3を式Eq.4から減算した結果である式Eq.5によって表される。
【0045】
【数5】

【0046】
回路501aのためのそれぞれのモジュール202の合計された出力電力(PIN)は、したがって、消去される。
【0047】
式Eq.5は、式Eq.6に示されるようなアーク係数αを得るために式Eq.5上でモジュロ演算機能を実行することによって、制御装置204により再調整される。
【0048】
【数6】

【0049】
このうち、アーク係数αは、Eq.7で示される。
【0050】
【数7】

【0051】
式Eq.7で示されるアーク係数αのゼロ以外の値は、警報状態をセットさせ(段階528)、それ以外の場合は、別の第1の電力結果差508を提示させる(段階503)。直列アーキングの状態は、一般的に、『キープアライブ』信号を制御装置204によって解除させ、モジュール202を停止させる。モジュール202の停止は、列520の直列アーキングを止める好ましい方法である。
【0052】
「an arc voltage and/or arc current」、「a load」というように、冠詞「a」、「an」が本明細書において使用されるが、「1つ以上の」の意味を有し、つまり「1つ以上のアーク電圧および/またはアーク電流」または「1つ以上の負荷」の意味となる。
【0053】
限定された数の実施形態に関して本発明が説明されたが、本発明の多くの変更、修正およびその他の応用がなされてもよいことはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力パネルと、DC電力線で前記光起電力パネルに接続可能な負荷と、を備えたシステムにおける、アーク検出のための方法であって、
前記負荷に供給される電力を測定し、前記負荷に供給される前記電力の第1の測定結果を提示することと、
前記光起電力パネルによって生成される電力を測定し、前記光起電力パネルによって生成される電力の第2の測定結果を提示することと、
前記第1の測定結果を前記第2の測定結果と比較し、電力測定結果差を提示することと、
前記電力測定結果差が閾値より大きい場合には、警報状態をセットすることと、
を含むアーク検出のための方法。
【請求項2】
前記第2の計測結果が前記DC電力線を通じて調節および送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光起電力パネルと、DC電力線で前記光起電力パネルに接続可能な負荷と、を備えたシステムにおけるアーク検出のために構成されたデバイスであって、
前記光起電力パネルの電気出力を測定するように調整された電子モジュールと、
前記負荷に供給される電力を測定するように調整された制御装置と、
前記光起電力パネルの前記電気出力を前記負荷に供給される前記電力と比較するための機構と、を備え、前記機構は、前記光起電力パネルの前記電気出力が前記負荷に供給される前記電力より大きい場合、アーキングを検出するように操作可能である、デバイス。
【請求項4】
光起電力パネルの光起電性の列と、DC電力線で前記光起電性の列に接続可能な負荷と、を備えたシステムにおける、アーク検出のための方法であって、
前記負荷のノイズ電圧を測定し、前記負荷の前記ノイズ電圧の第1の測定結果を提示することと、
前記光起電性の列の前記光起電力パネルのノイズ電圧を測定し、前記光起電力パネルの前記ノイズ電圧の第2の測定結果を提示することと、
前記第1の測定値を前記第2の測定値と比較し、ノイズ電圧結果差を提示することと、
前記ノイズ電圧結果差が閾値より大きい場合には、警報状態をセットすることと、
を含むアーク検出のための方法。
【請求項5】
前記警報状態がセットされた場合に、前記光起電性の列の接続を切断すること、を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の測定結果が前記DC電力線を通じて調節および発信される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
相互接続された光起電力パネルの光起電性の列と、DC電力線で前記光起電性の列に接続可能な負荷と、を備えたシステムにおける、アーク検出のための方法であって、
前記負荷に供給される電力を測定し、前記負荷の前記電力の第1の測定結果を提示することと、
前記光起電性の列の電力を測定し、前記光起電性の列の前記電力の第2の測定結果を提示することと、
前記第1の測定値を前記第2の測定値と比較して、第1の電力結果差を提示することと、前記光起電性の列の電力が負荷に供給される電力より大きい場合には、予め定められた基準に従って警報状態をセットすることと、
を含むアーク検出のための方法。

【請求項8】
前記光起電性の列の前記電力を前記測定することが、
それぞれの光起電力パネルの前記電力を測定する命令を送信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を発信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を受信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を合計し、前記第2の測定結果を与えることと、
前記DC電力線を通じて前記第2の測定結果を調節および発信することと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
規定値に従って前記負荷のインピーダンスを変更することと、
前記光起電性の列の前記電力を測定し、前記光起電性の列の前記電力の第3の測定結果を提示することと、
前記負荷の前記電力を測定し、前記負荷の前記電力の第4の測定結果を提示することと、
前記第3の測定値を前記第4の測定値と比較し、第2の電力結果差を提示することと、
前記第1の電力結果差を前記第2の電力結果差と比較し、全体の電力結果差を提示することと、
前記全体の電力結果差が閾値より大きい場合には、警報状態をセットすることと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記光起電性の列の前記電力を前記測定することが、
前記列のそれぞれの光起電力パネルの前記電力を測定する命令を送信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を発信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を受信することと、
それぞれの光起電力パネルの前記電力値を合計し、前記第3の測定結果を与えることと、
前記DC電力線を通じて前記第3の測定結果を調節および発信することと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記警報状態がセットされた場合に、前記光起電性の列の接続を切断すること、を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第3の測定結果が前記DC電力線を通じて調節および発信される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記列のパネルの1枚に接続されたマスタモジュールに命令を送信することと、
前記列の他のパネルにそれぞれ接続されたスレイブモジュールに電力を測定するように命令することと、
前記スレイブモジュールから前記マスタモジュールへ電力測定結果を発信することと、
前記マスタモジュールが前記電力測定結果を受信することと、
前記マスタモジュールが、列の電力結果を提示するために、前記列の前記パネルの電力測定結果を合計することと、
制御装置に前記列の電力結果を発信することと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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