説明

発電システム

【課題】COや有害なガスを発生させないで発電することができる発電システムを提供すること。
【解決手段】植物を粉体にした植物性粉塵を供給させて粉塵爆発させる燃焼筒と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、前記燃焼筒内に供給した前記植物性粉塵と前記圧縮空気との混合物に着火させることで前記粉塵爆発を実施する着火手段と、前記粉塵爆発の爆風により駆動するタービンと、該タービンの駆動により発電する発電装置と、を備えたことを特徴とする発電システムである。このように、爆発を生じやすい粉塵爆発を利用することで、その爆発のエネルギーにより発電させることができ、爆発を生じさせる粉塵を容易に得ることができ、爆発時に化石燃料等を要しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性粉塵に加圧空気を混合して着火して粉塵爆発を生じさせ、その粉塵爆発のエネルギーを利用して発電装置で発電する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、東日本大震災での原子力発電事故の影響により、原子力発電に代わる発電システムが注目されている。原子力発電に代わる発電システムとして、例えば、太陽光発電、火力発電又は風力発電が注目されている。また、前記火力発電や風力発電の外に、廃棄物を燃焼させて発電する発電システムが開示されている(例えば特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−210233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、火力発電には燃焼のための燃料が必要であり、海外の輸入に頼る等の燃料の調達、または燃料コストの高騰等の問題を有していた。また、太陽光発電では太陽が出ないと発電しにくい問題を有していた。さらに、風力発電では一定の風がないと安定した電力の供給ができない問題を有していた。また、前記廃棄物を燃焼させる発電システム(前記特許文献1に記載の発明)では、燃焼時にその廃棄物に含まれる有害物質やCOを排出させる問題を有していた。
【0005】
通常、粉塵爆発は、粉塵と空気の混合物に着火させれば、簡単に爆発を起こす現象である。そこで、本願発明者は、この粉塵爆発で生じる爆発を利用して、塵霧の空気及び粉塵の比率や混合率を制御することで簡単に発電できることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、COや有害なガスを発生させないで発電することができる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、植物を粉体にした植物性粉塵を爆発させる燃焼筒と、前記燃焼筒に前記植物性粉塵を供給する粉塵供給手段と、前記燃焼筒に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、前記粉塵供給手段により前記燃焼筒に供給された前記植物性粉塵、及び前記圧縮空気供給手段により制御燃焼筒に供給された前記圧縮空気の混合物に着火させることで粉塵爆発を生じさせる着火手段と、前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発の爆風により駆動するタービンと、前記タービンの駆動により発電する発電装置と、を備えた発電システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記燃焼筒内に配設され、前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発による不完全燃焼成分を燃焼させるアフターバーナと、前記燃焼筒内を周回するように配され、前記アフターバーナによる前記不完全燃焼成分の燃焼により生じた熱を受けて温水となる水を送水するヒートパイプと、前記ヒートパイプから供給された温水を蒸気と水に分離する気水分離器と、前記気水分離器により生じた蒸気により駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動により発電する第2の発電装置と、をさらに備えた請求項1に記載の発電システムである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発により生じた熱を受けて温水となる水を循環させる温水循環パイプをさらに備えた請求項1または請求項2に記載の発電システムである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記温水循環パイプの一部を収容し、上端及び下端が開口し、上側に向かって先細りの筒体と、前記筒体内における前記温水循環パイプの上方にて前記筒体の内周面に沿って配設され、前記筒体の筒軸方向を中心軸方向とする螺旋状の整流板と、前記筒体内に設けられ、前記筒体内で前記温水循環パイプおよび前記整流板により生じた上昇旋回気流により回転するブレードと、前記ブレードの回転により発電する第3の発電装置と、をさらに備えた請求項1または請求項2に記載の発電システムである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記燃焼筒を複数備え、複数の前記燃焼筒全てによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第1の爆発制御と、複数の前記燃焼筒のうち一部の前記燃焼筒のみによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第2の爆発制御とを選択的に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電システムである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記第2の爆発制御における複数の前記燃焼筒のうち粉塵爆発を行わない前記燃焼筒における粉塵爆発の停止は、前記粉塵供給手段による前記燃焼筒への粉塵の供給を停止することにより行う、請求項5に記載の発電システムである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記燃焼筒を上部が開口した配設穴内に複数個設置し、各燃焼筒と配設穴内との間に免震部材を配設すると共に、燃焼筒間にも免震部材を配設したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発電システムである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記配設穴に加圧式冷却水を充填させたことを特徴とする請求項7に記載の発電システムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、爆発を生じやすい粉塵爆発を利用することで、その爆発のエネルギーにより発電させることができる。また、爆発を生じる粉塵は容易に得ることができ、爆発時に化石燃料等を必要としない。しかも、植物性粉塵を使用するので、自然に存在するものを利用するので原料の調達が容易である。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、燃焼筒内での爆発での不完全燃焼成分をアフターバーナで燃焼させ、その燃焼により生じた熱によってヒートパイプに流れる水を温水にして気水分離器に伝達する。そして、ヒートパイプから供給された温水を気水分離器で水と蒸気に分離し、分離した蒸気を蒸気タービンに供給することで、蒸気タービンを駆動しその駆動エネルギーにより発電装置にて発電することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、燃焼筒内で粉塵爆発させることにより、その爆発時の熱を利用して水を温水にすることができる。そして、その温水を温水循環パイプを通してビニールハウスに供給することで、ビニールハウス内での温室栽培が可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、筒体の下部から大気を取り込んだときに温水循環パイプにより大気が熱せられて上昇気流が発生する。その上昇気流を螺旋状の整流板で螺旋状(渦巻き状)に上昇させて、ブレードを回転させることができる。そして、そのブレードを回転させることで発電装置において発電することができる。温水循環パイプを例えばビニールハウス等に配置することで、温水循環パイプを流れる温水から放熱する熱を暖房等に利用することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、必要とする発電量に応じて燃焼筒内で粉塵爆発させることができる。例えば、昼間に比べて必要とされる発電量が少ない夜間は複数の燃焼筒のうちの一部の燃焼筒のみで粉塵爆発を行う第2の爆発制御を行うこと等により、省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、粉塵の供給を停止することにより粉塵爆発の停止を容易に行うことができる
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、燃焼筒と収納プールとの間に例えば免震積層ゴム又は免震油圧ダンパーを設けているので、爆発時の振動や衝撃や音を軽減すると共に、地震に対する免震構造とすることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、燃焼筒の周りに加圧式冷却水を循環させれば地震又は爆発時の燃焼筒の衝撃や振動や音を吸収することができる。また、加圧式冷却水により燃焼筒内を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電システムの全体構成を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る発電システムの各燃焼筒の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る発電システムの水の循環の構成を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る発電システムの時間と爆発エネルギーとの関係を説明するグラフである。
【図5】本発明の一実施形態に係る発電システムの筒体に配設した整流板を説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る発電システムの配設穴に設置した燃焼筒の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る発電システムの全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明における発電システム10は、粉塵を投入する粉塵供給手段22と、複数の加圧室13と、所定圧力内で粉塵爆発をさせる燃焼筒12と、着火により粉塵爆発を発生させる着火手段17と、粉塵爆発の爆風を受けて回転エネルギーに変換する風車体11と、風車体11を回転力により発電する発電装置14とにより構成されている。
【0026】
粉塵供給手段22は、植物性粉塵を投入する装置である。植物性粉塵は、例えば、麦藁、稲藁、雑草等の植物を細かく粉体にし、これらを単独で又は混在させたものである。植物性粉塵を使用するのは、有毒なガス等を発生しにくいからである。また、粉塵爆発時にCO2を発生するが、カーボンニュートラルにより植物が吸収する。
【0027】
粉塵の粒径は細かいほど爆発時のガスに近い状態になり、粉塵と空気の混合物に着火させれば容易に爆発させることができる。粉塵と空気の混合量を調節することにより、爆発の大きさを変化させることができる。また、粒径の異なる粉塵を混在させることにより、粉塵投入時に一つの塊になるのを防止すると共に、爆発性を高めることができる。
【0028】
また、本発明における発電システム10は、粉塵供給手段22とは別に加圧した空気を送りこむためのコンプレッサ21を配設している。コンプレッサ21は、燃焼筒12に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段として機能する。コンプレッサ21により加圧した空気は燃焼筒12に対する粉塵の投入と同時に燃焼室12に投入される。
【0029】
図2に示すように、加圧室13は密閉された複数個の部屋を有し、各加圧室13a、13bは所定圧力で加圧されている。各加圧室13a、13bの圧力は、燃焼筒12に近い部屋ほど圧力を高めている。また、加圧室13a、13b間には一方向にしか開かない開閉弁32を配設している。本実施形態では、加圧室13a、13b、コンプレッサ21、粉塵供給手段22を燃焼筒12別に設けている。
【0030】
着火手段17は、所定時間で火花を発生させるものである。火花は、例えば点火プラグにより発生させるものである。着火するタイミングは制御プログラムにより制御されている。
【0031】
燃焼筒12は、所定圧力に加圧された容器内において粉塵爆発を起こすためのものである。燃焼筒12は、例えば、中空で釣鐘状に形成されている。燃焼筒12は粉塵爆発時でも破壊や損傷が生じないように充分な強度を有する。
【0032】
風車体11は、燃焼筒12内で粉塵の爆発の爆風を受けて回転エネルギーを発生させるものである。風車体11は、主として爆発を受ける羽根と回転軸とにより構成され、燃焼筒12の上端部に配設されている。
【0033】
発電装置14は、前記風車体11のタービン回転軸19に連結されており、風車体11の回転軸の回転エネルギーを受けて発電するものである。なお、風車体11のタービン回転軸19から増速手段25を介して発電装置14に連結するようにしてもよい。
【0034】
また、燃焼筒12は、爆発した燃焼分を排気する排気ダクト18を配設している。排気ダクト18は円筒状に形成されており、爆発後の排気ガスを排出する。
【0035】
さらに、その排気ダクト18の中途部には、アフターバーナ16を配設している。アフターバーナ16は、前記粉塵爆発時の不完全燃焼を完全に燃焼させるためのものある。このように、アフターバーナ16は、燃焼筒12内に配設され、燃焼筒12内で生じた粉塵爆発による不完全燃焼成分を燃焼させる。
【0036】
さらに、排気ダクト18の内壁に沿ってヒートパイプ20を配設している。ヒートパイプ20は、燃焼筒12内を周回するように配され、アフターバーナ16による不完全燃焼成分の燃焼により生じた熱を受けて温水となる水を送水する。ヒートパイプ20は熱伝導性を有する素材で形成されている。ヒートパイプ20の一端は水タンク28内まで延設されており、他端は気水分離器15まで延設されている。気水分離器15は、ヒートパイプ20から供給された温水を蒸気と水に分離する。ヒートパイプ20上には、水タンク28から水を汲みあげるためのポンプ26が配設されている。
【0037】
さらに、風車体11の回転エネルギーを気水分離器15に投入し、気水分離器15で水と蒸気とに分離して、分離した蒸気を蒸気タービン27の駆動に利用し、水はポンプ26で水タンク28に供給できるようにすることもできる。
【0038】
蒸気タービン27は、気水分離器15により生じた蒸気により駆動する。蒸気タービン27は、前記メインの風車体11に比べて駆動能力が小さいが、複数台配置することで発電量を増やすことが可能である。蒸気タービン27のタービン軸部19aは、前記風車体11のタービン回転軸19と同軸でも、別体のタービン軸でもよい。
【0039】
以上のようにして構成された発電システム10は、以下の方法により発電する。まず、粉塵を準備し、粉塵供給手段22に供給する。次いで、加圧室13にコンプレッサ21により圧縮空気を充填する。
【0040】
粉塵と加圧空気を第1の加圧室13aに供給した後、第1の開閉弁32を開き、これらを第2の加圧室13bに供給する。次いで、第2の開閉弁33を開いた後、粉塵と加圧空気を燃焼筒12内に供給する。この後、第3の開閉弁34と第2の開閉弁33を閉じる。
【0041】
そして、燃焼筒12内にて粉塵爆発させる。すなわち、着火手段17で火花を発生させ、粉塵と加圧空気の混合物に引火させることで、燃焼筒12内で炎を出しながら粉塵爆発させる。
【0042】
爆発時には所定設定圧力を超えるため、第3の開閉弁のみが開放自在としている。第3の開閉弁の開放後、燃焼筒12内が負圧になる。この後、第3の開閉弁を閉じ、次の爆発を起こす粉塵を第1の開閉弁32や第2の開閉弁33を開いて粉塵供給手段22から投入する。
【0043】
このように、爆発により爆風を発生させることができ、その爆風で風車体11の回転軸を駆動させる。また、風車体11の回転軸を駆動させることで、この風車体11の回転軸の回転エネルギーを利用して発電装置14において発電する。
【0044】
また、粉塵爆発により風車体11を回転させるが、始動時では風車体11の回転軸を駆動しにくい。粉塵爆発の爆風で風車体11の回転軸を回転させようとすると、風車体11の本体やタービン回転軸19を損傷させるおそれが生じる。そこで、初期動作時には、スタータモータ23を駆動して、フライホイル24を回転させ、風車体11の駆動軸を回転させることができる。
【0045】
図4は、時間とタービン回転数の関係を示すグラフである。T1まではスタータモータによる風車体11の回転数が増加していることを示し、T2からは粉塵爆発により風車体11の回転数が増加していることを示している。
【0046】
なお、爆発は燃焼筒12別に爆発させてもよく、例えば、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順序で行うことができる。このように、本実施形態の発電システム10では、4個の燃焼筒12全てによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第1の爆発制御が行われる。このような第1の爆発制御を行うことで、爆発時に生じるタービンの回転軸への負荷を均等にすることで連続運転が可能になる。
【0047】
また、発電システム10においては、複数の燃焼筒12を備える構成において、爆発制御として、複数の燃焼筒12のうち一部の燃焼筒12のみによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第2の爆発制御を行うこともできる。例えば、昼間の電力需要が高まる時間帯には、前記第1気筒〜第4気筒全部で粉塵爆発を発生させて発電する。これに対して、夜間の電量需要が低い時間帯では、4つの燃焼筒の中央部分を基準として線対称位置にある燃焼筒、例えば、第1気筒と第4気筒のみ(又は第2気筒と第3気筒のみ)について粉塵爆発を連続で実施し、その他の第2気筒と第3気筒のみ(又は第1気筒と第4気筒のみ)を停止させることで発電量を調整することができる。
【0048】
また、本実施形態の発電システム10においては、第2の爆発制御における複数の燃焼筒12のうち粉塵爆発を行わない燃焼筒12における粉塵爆発の停止は、粉塵供給手段22による燃焼筒12への粉塵の供給を停止することにより行われる。これにより、燃焼筒12における粉塵爆発の停止を容易に行うことができる。ただし、燃焼筒12において粉塵爆発を停止させる方法は、粉塵の供給を停止することに限定されず、例えば燃焼室12に対する圧縮空気の停止や、着火手段17による着火の停止等により行ってもよい。このように、発電システム10においては、上述のような第1の爆発制御と第2の爆発制御とが選択的に行われる。こうした爆発制御は、発電システム10が備える制御部により行われる。
【0049】
既存の主たる発電の方法で現在の原子力発電、火力発電、水力発電の方法では、必要な時に必要電力の量を供給することが困難である。これに対して、本実施形態における発電システムではこの課題を解決することができる。
【0050】
次に、水を温水に変換して蒸気タービン27を駆動させる発電システム10について説明する。図3に示すように、ヒートパイプ20は、前記アフターバーナ16で燃焼させた熱でポンプ26から汲み上げた水を温水にして、温水を気水分離器15に供給するようにしている。すなわち、水タンク28内の水をポンプ26で汲み上げ、その汲み上げた水をヒートパイプ20に投入する。
【0051】
そして、燃焼筒12内での爆発での不完全燃焼分をアフターバーナ16で燃焼させ、その燃焼した熱をヒートパイプ20に流れる水を温水にして気水分離器15まで伝達させ、この温水を気水分離器15で水と蒸気に分離する。
【0052】
分離した蒸気を蒸気タービン27に供給することで、その蒸気タービン27を駆動し、その駆動エネルギーにより発電装置14にて発電することができる。また、蒸気タービン27では、より蒸気を発生しやすくするために沸点が低い触媒を用いることができる。
【0053】
さらに、蒸気とは別に分離した水は、ポンプ26まで戻すことで、その水を新たなヒートパイプ20に供給するための水として循環させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、燃焼筒12外部に水を循環させている。例えば、燃焼筒12を水槽35に浸すことで、その水槽35に水を循環させるようにしておく。なお、燃焼筒12は熱伝導性を有する素材で形成しておく。このように構成することで、燃焼筒12から熱を発生させることができ、その燃焼筒12の外部で水を温水にすることができる。
【0055】
さらに、水槽35の水は、ヒートパイプ20用の水タンク28にも供給可能とする。これは、前記ヒートパイプ20に循環させる水を温水にしたとき、または、温水を一部蒸気にしたときに、水タンク28に戻される水が減少するため、その減少分を水槽35から供給できるようにしている。
【0056】
本実施形態における発電システム10によれば、燃焼筒12内で生じた粉塵爆発による熱によって得られた温水をビニールハウス36に供給し、ビニールハウス36において温室栽培が可能となる。このようにして、粉塵爆発のエネルギーを利用してビニールハウス36の温室栽培の燃料の代わりとして機能させることができる。
【0057】
さらに、図5に示すように、筒体44をその上端に向かって長細く形成し、上端及び下端は開放状態とする。また、筒体44の上端側の内壁部に整流板30を配設する。整流板30において、その中央部分には空間が形成され、筒体44の内周壁面には螺旋状に板材が配設されている。そして、整流板30の上方に風力発電用のブレード31(プロペラ)を垂直軸回りに回転自在に配設することで発電装置14を駆動する。
【0058】
このように、筒体44の下端に開口より大気を取り込みながら筒体44に配設したヒートパイプ20の熱により整流板30を介して上昇気流を渦巻状に発生させることができ、その上昇気流を利用して筒体44の上端側に設けた風力発電用のブレード31を回転させて発電することができる。また、上昇気流は年間を通して天候に左右されずに発生させることができるので、一定の出力で安定して発電することができる。
【0059】
図6は、本願発明の発電システム10の別の発電構成を示すものである。すなわち、図6に示すように、地面から所定深さを有する大きな穴を形成し、その穴の内壁部分にコンクリートを打設して、上部が開口した大きな配設穴40を設置し、その配設穴40中に所定間隔を有して4つの燃焼筒12を配設している。
【0060】
また、燃焼筒12と配設穴40底面部との間に免震部材である免震積層ゴム41を配設している。また、各燃焼筒12間若しくは配設穴40の壁面と両端側の燃焼筒12との間に免震部材である免震ダンパー42を配設している。このように、免震積層ゴム41と免震ダンパー42を設けているので、爆発時の振動及び衝撃を軽減すると共に、地震に対する免震構造とすることができる。
【0061】
また、燃焼筒12の周囲に水槽43を設け、その水槽43内を水で充填して蓋部を設け、加圧弁46で調整することで水槽43内が加圧式冷却水で満たすようにしている。この加圧式冷却水により、燃焼筒12内を冷却することができると共に、地震又は爆発時の爆音、衝撃及び振動を吸収することができる。
【0062】
図7は、本実施形態における発電システム10の全体構造を示す説明図である。図7に示すように、本実施形態では、3つの発電装置14を有する。すなわち、第1は粉塵爆発を直接的に利用した第1の発電装置14、第2に気水分離器15を利用した第2の発電装置14、第3に筒体44内で生じる上昇気流を利用した第3の発電装置14を有する。
【0063】
また、図7に示すように、燃焼筒12を配設した水槽43内には加圧式冷却水が充填されている。そして、水が高温になって冷却水が膨張し、水槽43内の水が所定圧力以上になった場合には、ラジエータのプレッシャーバルブのような開放バルブ(図示せず)によりビニールハウス36等に高温水を逃がすようにしてもよい。
【0064】
さらに、図7に示すように、ビニールハウス36内にてフィン付き配管47を通して水を冷却し、その冷却水を燃焼筒が配設されている水槽43に戻すようにしてもよい。ヒートパイプ20を通して供給する温水も筒体44内においてフィン付き配管47又は蓄熱層を通して水を冷却し、その冷却水を水槽43に戻すようにしてもよい。本実施形態では、ビニールハウス36内および筒体44内に配されるフィン付き配管47が、燃焼筒12内で生じた粉塵爆発により生じた熱を受けて温水となる水を循環させる温水循環パイプとして機能する。
【0065】
すなわち、筒体44は、温水循環パイプとしてのフィン付き配管47の一部を収容し、上端及び下端が開口し、上側に向かって先細りの部材である。また、整流板30は、筒体44内におけるフィン付き配管47の上方にて筒体44の内周面に沿って配設され、筒体44の筒軸方向を中心軸方向とする螺旋状の板状部材である。また、ブレード31は、筒体44内に設けられ、筒体44内でフィン付き配管47および整流板31により生じた上昇旋回気流により回転する。そして、発電システム10は、ブレード31の回転により発電する発電装置14を備える。
【0066】
以上の結果、発電システム10は、爆発を生じやすい粉塵爆発を利用することで、その爆発のエネルギーにより発電させることができる。また、爆発を生じる粉塵は容易に得ることができ、爆発時に化石燃料等を必要としない。
【符号の説明】
【0067】
17 着火手段
20 ヒートパイプ
21 コンプレッサ(圧縮空気供給手段)
22 粉塵供給手段
27 蒸気タービン
30 整流板
31 ブレード
41 免震部材
44 筒体
47 フィン付き配管(温水循環パイプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を粉体にした植物性粉塵を爆発させる燃焼筒と、
前記燃焼筒に前記植物性粉塵を供給する粉塵供給手段と、
前記燃焼筒に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、
前記粉塵供給手段により前記燃焼筒に供給された前記植物性粉塵、及び前記圧縮空気供給手段により制御燃焼筒に供給された前記圧縮空気の混合物に着火させることで粉塵爆発を生じさせる着火手段と、
前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発の爆風により駆動するタービンと、
前記タービンの駆動により発電する発電装置と、を備えた発電システム。
【請求項2】
前記燃焼筒内に配設され、前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発による不完全燃焼成分を燃焼させるアフターバーナと、
前記燃焼筒内を周回するように配され、前記アフターバーナによる前記不完全燃焼成分の燃焼により生じた熱を受けて温水となる水を送水するヒートパイプと、
前記ヒートパイプから供給された温水を蒸気と水に分離する気水分離器と、
前記気水分離器により生じた蒸気により駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの駆動により発電する第2の発電装置と、をさらに備えた請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記燃焼筒内で生じた粉塵爆発により生じた熱を受けて温水となる水を循環させる温水循環パイプをさらに備えた請求項1または請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記温水循環パイプの一部を収容し、上端及び下端が開口し、上側に向かって先細りの筒体と、
前記筒体内における前記温水循環パイプの上方にて前記筒体の内周面に沿って配設され、前記筒体の筒軸方向を中心軸方向とする螺旋状の整流板と、
前記筒体内に設けられ、前記筒体内で前記温水循環パイプおよび前記整流板により生じた上昇旋回気流により回転するブレードと、
前記ブレードの回転により発電する第3の発電装置と、をさらに備えた請求項1または請求項2に記載の発電システム。
【請求項5】
前記燃焼筒を複数備え、
複数の前記燃焼筒全てによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第1の爆発制御と、複数の前記燃焼筒のうち一部の前記燃焼筒のみによる粉塵爆発を所定順序で連続的に生じさせる第2の爆発制御とを選択的に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第2の爆発制御における複数の前記燃焼筒のうち粉塵爆発を行わない前記燃焼筒における粉塵爆発の停止は、前記粉塵供給手段による前記燃焼筒への粉塵の供給を停止することにより行う、請求項5に記載の発電システム。
【請求項7】
前記燃焼筒を上部が開口した配設穴内に複数個設置し、各燃焼筒と配設穴との間に免震部材を配設すると共に、燃焼筒間にも免震部材を配設したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項8】
前記配設穴に加圧式冷却水を充填させたことを特徴とする請求項7に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−11381(P2013−11381A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143613(P2011−143613)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【特許番号】特許第4938903号(P4938903)
【特許公報発行日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(503224264)
【Fターム(参考)】