説明

発電プラント

【課題】熱交換における流動の不安定を解消でき、且つ熱効率を向上させることができる発電プラントを提供する。
【解決手段】原子炉2で発生した蒸気が高圧タービン3に供給され、高圧タービン3から排気された蒸気は湿分分離過熱器33で過熱されて低圧タービン5Bに供給される。低圧タービン5Bからの蒸気は復水器11で凝縮され、給水となって給水配管15を通して原子炉2に供給される。給水配管15には、直接接触式給水加熱器である低圧給水加熱器17D,17C,17B,17A及び高圧給水加熱器16B,16Aが、原子炉2に向ってこの順序に設置される。これらの直接接触式給水加熱器では、それぞれの容器内で、高圧タービン3等の主蒸気系から抽気された蒸気と給水配管15で導かれた給水が接触しながら熱交換を行う。各直接接触式給水加熱器の熱交換性能が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントに係り、特に、沸騰水型原子力発電プラントに適用するのに好適な発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子力発電プラントは、原子炉で発生した蒸気を、主蒸気配管を通して高圧タービン及び低圧タービンに供給し、これらのタービンを回転させて発電機を回して発電を行っている。低圧タービンから排気された蒸気は、復水器で凝縮されて水になる。この水は、給水として給水配管により原子炉に供給される。給水は、給水配管に設けられた給水ポンプによって昇圧され、給水配管に設けられた6基の給水加熱器(4基の低圧給水加熱器及び2基の高圧給水加熱器)によって加熱されて昇温される。
【0003】
沸騰水型原子力発電プラントでは、まず原子炉の熱出力を決定し、この熱出力で最高の熱効率が得られるように原子炉より下流での蒸気の流れ(主蒸気配管及びタービン等での蒸気の流れ)を最適化している。具体的には、低圧タービンから排気された蒸気を復水器で凝縮して水にした場合、熱サイクルの原理から通常の原子炉圧力では原子炉で発生した熱エネルギーの約2/3が復水器から外部に排出される。そこで、沸騰水型原子力発電プラントの熱効率を向上させるために、高圧タービン及び低圧タービンから蒸気の一部を抽気して高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器に供給し、これらの給水加熱器においてその抽気蒸気を用いて給水を加熱することが行われている。この場合、抽気された蒸気が保有している熱は、給水の加熱に用いられることよって、そのほとんどが回収され、沸騰水型原子力発電プラントの熱効率が向上する。
【0004】
一般に、原子炉で発生した蒸気のうち最終的に低圧タービンから復水器に排気される蒸気の量は約56%であり、残りの約44%の蒸気は抽気蒸気として給水の加熱に用いられる。給水配管に設置される6基の給水加熱器において、給水加熱器1基当たりに供給される抽気蒸気量は平均して原子炉で発生する蒸気の約7%程度である。
【0005】
沸騰水型原子力発電プラントでは、高圧タービンあるいは低圧タービンから抽気された蒸気を高圧あるいは低圧給水加熱器へ供給して、給水を加熱することが行われている(特開2005−299644号公報及び特開平7−189609号公報参照)。高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器は、一般的に、シェルチューブ式熱交換器であって、胴体(シェル)内に多数のU字型伝熱管を設置しており、伝熱管内を流れる給水と胴体内で伝熱管外を流れる抽気蒸気との熱交換により給水の温度を上昇させる。高圧タービンから抽気された蒸気が高圧給水加熱器に供給され、低圧タービンから抽気された蒸気が低圧給水加熱器に供給される。湿分分離過熱器は、湿分分離器、第1過熱器及び第2過熱器を有する。上流側の第1過熱器は、高圧タービンから抽気された蒸気を用いて、湿分分離器で湿分が除去された蒸気を過熱する。下流側の第2過熱器は、第1過熱器で過熱された蒸気を、高圧タービンより上流の主蒸気配管から抽気された蒸気を用いて過熱する。第2過熱器で過熱された蒸気が低圧タービンに供給される。給水加熱器を設置した沸騰水型原子力発電プラントでは、原子炉で発生した蒸気のうち最終的に低圧タービンから復水器に排出される蒸気の量は約56%である。沸騰水型原子力発電プラントの熱効率を向上させるために、給水加熱器を設置し、再生効率により性能が向上することは一般的によく知られている。
【0006】
他の原子力発電プラントである加圧水型原子力発電プラント、及び火力発電プラントに間接式給水加熱器を設置することによって、それぞれの発電プラントの熱効率を向上することができる。
【0007】
発電プラントを簡素化するために、従来の給水加熱器に替わり多段の蒸気インジェクタを適用した発電プラントの例が、T. Narabayashi, et al., Proc. of ICONE-3, pp.877-883, Kyoto, Japan, 1994に提案されている。この発電プラントでは、高圧タービンまたは低圧タービンから抽気した蒸気を、多段の蒸気インジェクタに供給している。各蒸気インジェクタでは、デフューザ形状の内部を給水が流れ、デフューザのスロート部に設置されたノズルから蒸気を高速で噴き出して外周部が円錐状になっている給水流の中心部を蒸気が流れ、気液界面で蒸気を凝縮しながら給水が加速されて次の段の蒸気インジェクタに向って流れる。また、この逆に、デフューザ形状の内部で中心部を給水が流れ、外周部から供給された蒸気を凝縮しながら給水が加速されることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−299644号公報
【特許文献2】特開平7−189609号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T. Narabayashi, et al., Proc. of ICONE-3, pp.877-883, Kyoto, Japan, 1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
T. Narabayashi, et al., Proc. of ICONE-3, pp.877-883, Kyoto, Japan, 1994に記載された多段の蒸気インジェクタの使用によって、以下の問題が生じる。蒸気が給水との気液界面の表面で凝縮されることにより、蒸気の凝縮に伴う体積変化が大きいために流動が不安定となる懸念がある。
【0011】
一般に、ランキンサイクルにおいては、高圧タービンで仕事をして排気された湿り蒸気を、湿分分離過熱器により過熱蒸気にし、この過熱蒸気を低圧タービンに供給している。湿分分離過熱器を用いた再熱サイクルの利用により、発電プラントの熱効率が向上する。また、高圧タービンから抽気された蒸気を高圧給水加熱器へ供給し、低圧タービンから抽気された蒸気を低圧給水加熱器へ供給する再生サイクルの適用により、発電プラントの熱効率を向上させることができる。その他に、発電プラントの熱効率を向上させるには、主蒸気圧力及び主蒸気温度を上昇させる、または、復水器内の真空度を高めることなどが考えられる。
【0012】
発明者らは、発電プラントにおけるこれら4つの熱効率の向上策のうち、発電プラントにおける大幅な機器の変更が少なく、熱効率及び電気出力の向上へ大きな効果があるものとして、主蒸気の有効利用にポイントを絞った。これは、再生サイクルによる熱効率向上である。そこで、再生サイクル向上のためには、高圧タービン及び低圧タービンのそれぞれから抽気される蒸気量の最適化、給水温度を上昇することによる主蒸気流量の増大、給水加熱器の高性能化による抽気蒸気の低減等が考えられる。
【0013】
これらの検討結果、発明者らは、抽気蒸気の流量を低減して高圧タービン及び低圧タービンを回転させるために使用される主蒸気の流量を増加させるには、給水加熱器を高性能化することが最良であるとの結論に至った。また、高圧タービン及び低圧タービンのそれぞれからの抽気蒸気を高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器へ供給することによって、復水器から海に放出される熱を低減することができ、蒸気発生装置(原子炉、蒸気発生器及びボイラ等)で発生した熱が発電プラント内で有効に活用されるため、沸騰水型原子力発電プラント等の発電プラントの熱効率が向上する。
【0014】
本発明の目的は、熱交換における流動の不安定を解消でき、且つ熱効率を向上させることができる発電プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、蒸気発生装置に接続された主蒸気配管に設けられた第1タービン及び第1タービンよりも圧力が低い第2タービン、第1タービンと第2タービンの間の主蒸気配管に設けられた湿分分離過熱装置、及び第2タービンから排気された蒸気を凝縮する復水器を備えた主蒸気系と、復水器と蒸気発生装置を連絡する給水配管と、給水配管に設置された複数の給水加熱器と、複数の給水加熱器に別々に接続され、第1タービンの第1段動翼よりも下流で前記主蒸気系に形成された複数の抽気位置に接続された複数の蒸気抽気管とを備え、
複数の給水加熱器のうち少なくとも1つの給水加熱器が、給水加熱器の容器内で、給水配管にて供給された給水と蒸気抽気管で導かれた蒸気を接触させる直接接触式給水加熱器であり、
直接接触式給水加熱器の容器内の給水を吸引する給水ポンプを、直接接触式給水加熱器の下流で給水配管に設けたことにある。
【0016】
容器内で給水と蒸気を接触させる直接接触式給水加熱器を設けているので、蒸気の保有する熱量を給水に伝えやすくなり、蒸気と給水の熱交換性能が向上する。このため、発電プラントの熱効率が向上する。また、容器内で給水と蒸気を接触させているので、給水の流動が不安定になることを避けることができる。
【0017】
好ましくは、容器に水位検出装置を設け、水位検出装置で計測された水位を入力し、容器内の給水の水位が設定水位に保持されるように、容器内の前記給水を吸引する給水ポンプを制御する制御装置を設けることが望ましい。水位検出装置及び制御装置を設けることによって、容器内の給水の水位を設定水位に保持することができ、蒸気発生装置に供給する給水が途絶えることを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱交換における流動の不安定を解消でき、且つ発電プラントの熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。
【図2】図1に示す給水加熱器である表面接触式給水加熱器の詳細構成図である。
【図3】図2のIII部の拡大図である。
【図4】従来の給水加熱器と図2に示す直接接触式給水加熱器との熱交換を示す説明図であり、(A)は従来の給水加熱器における熱交換を示す説明図、(B)は図2に示す直接接触式給水加熱器における熱交換を示す説明図である。
【図5】従来の給水加熱器と図2に示す直接接触式給水加熱器における給水加熱器の容積と熱交換性能の比較を示す説明図である。
【図6】表面接触式給水加熱器の他の実施例の詳細構成図である。
【図7】図6のVII部の拡大図である。
【図8】容積式給水加熱器の他の実施例の詳細構成図である。
【図9】図8のXI部の拡大図である。
【図10】本発明の他の実施例である実施例2の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。
【図11】本発明の他の実施例である実施例3の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。
【図12】本発明の他の実施例である実施例4の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。
【図13】本発明の他の実施例である実施例5の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。
【図14】本発明の他の実施例である実施例6の発電プラントである火力発電プラントの構成図である。
【図15】本発明の他の実施例である実施例7の発電プラントである加圧水型原子力発電プラントの構成図である。
【図16】本発明の他の実施例である実施例8の発電プラントである高速増殖炉原子力発電プラントの構成図である。
【図17】本発明の他の実施例である実施例9の発電プラントである火力発電プラントの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明者らは、発電プラントの熱効率及び電気出力の向上策について検討した結果、高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器を高性能にして、高圧タービン及び低圧タービンから抽気された蒸気流量が少なくても、給水温度を十分上昇させることができ、その分、高圧タービン及び低圧タービンでの仕事に寄与する主蒸気量を増加できれば良いとの結論に達した。すなわち、この蒸気量の増大によって高圧タービン及び低圧タービンに供給される蒸気量が増大し、それらのタービンにおける蒸気の仕事量が増大することになる。
【0021】
そこで、発明者らは、この点について検討した結果、伝熱管を介して熱交換する従来の間接式給水加熱器から伝熱管を有しない直接接触式給水加熱器に変更し、高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器をコンパクト化すればよいとの新たな知見を見出した。直接接触式給水加熱器への変更には、例えば、(1)低圧給水加熱器4基のみを直接接触式給水加熱器に変更する、(2)高圧給水加熱器2基のみを直接接触式給水加熱器に変更する、(3)低圧給水加熱器4基及び高圧給水加熱器2基の全てを直接接触式給水加熱器に変更する、(4)低圧給水加熱器4基及び高圧給水加熱器2基の全てを間接式給水加熱器のままで直接接触式給水加熱器を1基のみ追加する等、いくつかの方法がある。
【0022】
これにより、発電プラントの運転時において原子炉圧力容器から高圧タービン及び低圧タービンに供給する主蒸気の量が増加され、さらに高圧及び低圧タービンからの抽気蒸気流量が少なくなり、高効率な再生サイクルの発電プラントを実現することができる。この結果、発電プラントの熱効率及び電気出力の両者を向上させることができるのである。
【0023】
直接接触式給水加熱器として、表面接触式あるいは容積式直接接触式のいずれの熱交換器を用いてもよい。なお、直接接触式給水加熱器を適用した高圧給水加熱器及び低圧給水加熱器は、それぞれ伝熱管を有しない給水加熱装置である。
【0024】
上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の好適な一実施例である実施例1の発電プラントを、図1を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1である。
【0026】
沸騰水型原子力発電プラント1は、蒸気発生装置である原子炉2、高圧タービン3、低圧タービン5A,5B,5C、主蒸気配管6、復水器11、複数の給水加熱器、給水配管15、及び湿分分離過熱器33を備えている。複数の給水加熱器は、第1高圧給水加熱器16A、第2高圧給水加熱器16B、第3低圧給水加熱器(第1低圧給水加熱器)17A、第4低圧給水加熱器(第2低圧給水加熱器)17B、第5低圧給水加熱器(第3低圧給水加熱器)17C及び第6低圧給水加熱器(第4低圧給水加熱器)17Dである。これらの給水加熱器は、全て、直接接触式給水加熱器である表面接触式給水加熱器である。各低圧給水加熱器は、低圧タービンからの抽気蒸気が供給される給水加熱器である。各高圧給水加熱器は、高圧タービン、または高圧タービンの出口側の主蒸気配管6からの抽気蒸気が供給される給水加熱器である。
【0027】
高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B,5Cは、主蒸気配管6によって原子炉2に接続される。隔離弁7及び主蒸気調節弁8が、原子炉2と高圧タービン3の間に存在する主蒸気配管6に設置される。湿分分離過熱器33が、高圧タービン3と低圧タービン5A,5B及び5Cを接続している主蒸気配管6に設置される。湿分分離過熱器33は湿分分離器4及び過熱器34A,34Bを有する。上流から下流に向って、湿分分離器4、過熱器34A及び過熱器34Bがこの順番に配置されている。主蒸気調節弁8の上流で主蒸気配管6に接続された蒸気管38が過熱器34Bに接続される。高圧タービン3に接続された蒸気管42が過熱器34Aに接続される。
【0028】
高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B,5Cは、1つの回転軸10によって互いに連結され、さらに、発電機9にも連結される。本実施例は、1台の高圧タービン及び3台の低圧タービンを設けているが、発電プラントの種類によりこれらの台数を変えてもよい。
【0029】
本実施例は、主蒸気系及び給水系を有する。主蒸気系は、高圧タービン3、湿分分離過熱器33、低圧タービン5A,5B,5C、主蒸気配管6及び復水器11を有する。給水系は、給水配管15、第1高圧給水加熱器16A、第2高圧給水加熱器16B、第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C、第6低圧給水加熱器17D、復水ポンプ18及び給水ポンプ19を有する。
【0030】
復水器11は、低圧タービン5Bの下方に配置され、低圧タービン5Bに蒸気排気通路37によって接続されている。復水器11は内部に複数の伝熱管12を配置している。これらの伝熱管12は、海水供給管13A及び海水排出管13Bに接続される。海水循環ポンプ14が海水供給管13Aに設置される。海水供給管13A及び海水排出管13Bは海まで伸びている。
【0031】
給水配管15が復水器11と原子炉2を接続する。第1高圧給水加熱器16A、第2高圧給水加熱器16B、第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17Dは、原子炉2から復水器11に向ってこの順番で給水配管15に設置されている。復水ポンプ18が復水器11と第6低圧給水加熱器17Dの間で給水配管15に設けられる。給水ポンプ19Aが第5低圧給水加熱器17Cと第6低圧給水加熱器17Dの間で給水配管15に設けられ、給水ポンプ19Bが第4低圧給水加熱器17Bと第5低圧給水加熱器17Cの間で給水配管15に設けられる。給水ポンプ19Cが第3低圧給水加熱器17Aと第4低圧給水加熱器17Bの間で給水配管15に設けられ、給水ポンプ19Dが第2高圧給水加熱器16Bと第3低圧給水加熱器17Aの間で給水配管15に設けられる。給水ポンプ19Eが第1高圧給水加熱器16Aと第2高圧給水加熱器16Bの間で給水配管15に設けられ、給水ポンプ19Fが原子炉2と第1高圧給水加熱器16Aの間で給水配管15に設けられる。
【0032】
本実施例で用いられる第1高圧給水加熱器16A、第2高圧給水加熱器16B、第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17Dのそれぞれは、伝熱管を有するシェルチューブ式熱交換器を用いた従来の給水加熱器ではなく、伝熱管の無い直接接触式熱交換器である表面接触式給水加熱器を用いている。
【0033】
この表面接触式給水加熱器の一例を適用した第1高圧給水加熱器16Aを、図2を用いて具体的に説明する。第1高圧給水加熱器16Aは、多数の貫通孔を有する仕切り板(水室形成部材)29を密封された縦型の容器28内で上端部に配置し、仕切り板29を容器28の内面に取り付けている。水室30が容器28内で仕切り板29の上方に形成される。水溜め領域31が容器28内でその下端部に形成される。水位計77が容器28の下部に設置される。第1高圧給水加熱器16A以外の残りの全ての給水加熱器も、第1高圧給水加熱器16Aと同じ構成を有している。
【0034】
第1高圧給水加熱器16Aの容器28の底部に接続された給水配管15が原子炉2に接続される。第2高圧給水加熱器16Bの容器28の底部に接続された給水配管15が、第1高圧給水加熱器16Aの水室30に連絡されるように、第1高圧給水加熱器16Aの容器28に接続される。第2高圧給水加熱器16Bと第3低圧給水加熱器17Aの間に配置された給水配管15、第3低圧給水加熱器17Aと第4低圧給水加熱器17Bの間に配置された給水配管15、第4低圧給水加熱器17Bの第5低圧給水加熱器17Cの間に配置された給水配管15及び第5低圧給水加熱器17Cと第6低圧給水加熱器17Dの間に配置された給水配管15も、第1高圧給水加熱器16Aと第2高圧給水加熱器16Bの間に配置された給水配管15と同様に、上流に位置する給水加熱器の容器28の底部と、下流に位置する給水加熱器の容器28の、水室30の部分に接続される。第6低圧給水加熱器17Dと復水器11の間に配置された給水配管15は、第6低圧給水加熱器17Dの容器28内に形成された水室30に連絡される。
【0035】
高圧タービン3の抽気点で高圧タービン3に接続された抽気管20が第1高圧給水加熱器16Aに接続される。抽気管20は、高圧タービン3の第1段動翼よりも下流に位置した抽気点に設蔵される。抽気管20は、具体的には、図2に示すように、第1高圧給水加熱器16Aの容器28に接続され、仕切り板29と水溜め領域31の間で容器28内の領域に開口している。抽気管20のこの開口は、水溜め領域31の上端(水面)近くに配置することが好ましい。過熱器34Aに接続されたドレン配管35及び過熱器34Bに接続されたドレン配管39も、抽気管20と同様に、第1高圧給水加熱器16Aの容器28に接続される。ドレン配管35,39の容器28への接続位置は、水溜め領域31の上端より上方でこの上端付近に存在する。
【0036】
高圧タービン3と湿分分離過熱器33の間に存在する主蒸気配管6に接続された抽気管21が第2高圧給水加熱器16Bに接続される。抽気管21は、高圧タービン3の最終段の動翼より下流で高圧タービン3に接続してもよい。低圧タービン5Bの最上流の抽気点(低圧タービンの第1抽気点)で低圧タービン5Bに接続された抽気管22が第3低圧給水加熱器17Aに接続される。湿分分離器4に接続されたドレン配管26が第3低圧給水加熱器17Aに接続される。低圧タービン5Bの上流から2番目の抽気点(低圧タービンの第2抽気点)で低圧タービン5Bに接続された抽気管23が第4低圧給水加熱器17Bに接続される。低圧タービン5Bの上流から3番目の抽気点(低圧タービンの第3抽気点)で低圧タービン5Bに接続された抽気管24が第5低圧給水加熱器17Cに接続される。低圧タービン5Bの最下流の抽気点(低圧タービンの第4抽気点)で低圧タービン5Bに接続された抽気管25が第6低圧給水加熱器17Dに接続される。抽気管21,22、ドレン配管26及び抽気管23,24,25が、抽気管20と同様に、該当する給水加熱器の容器28に接続される。上記した低圧タービンの第1、第2、第3及び第4の各抽気点は、低圧タービン5Bに設けられた複数の静翼の異なる段数の位置で、低圧タービン5Bのタービンケーシング(図示せず)に設けられる。
【0037】
図1では、低圧タービン5Bが大きく低圧タービン5A,5Cが小さくなっているが、これらの低圧タービンの大きさは同じである。図示されていないが、低圧タービン5A及び5Cに対しても復水器11がそれぞれ設けられており、各復水器11にそれぞれ給水配管15が接続されている。低圧タービン5A,5B及び5Cに対応してそれぞれ設けられた合計3基の復水器11にそれぞれ別々に接続された給水配管15は、第2高圧給水加熱器16Bの上流に位置する合流点で合流して第2高圧給水加熱器16Bに接続される。その合流点よりも上流に配置された、低圧タービン5A,5B及び5Cごとに並列配置された3本の給水配管15のうち、低圧タービン5A及び5Cのそれぞれに対応して配置された各給水配管15にも、低圧給水加熱器である第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17D、及び復水ポンプ18が、この順序で下流から上流に向って設置されている。このため、低圧タービン5A及び5Cのそれぞれに対応して、第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17D、及び復水ポンプ18を設置した各給水配管15が、第2高圧給水加熱器16Bより上流に存在する上記の合流点よりも上流に配置されている。
【0038】
低圧タービン5A及び5Cには、低圧タービン5Bと同様に、第1、第2、第3及び第4の各抽気点が設けられる。低圧タービン5Aの第1、第2、第3及び第4の各抽気点には、低圧タービン5Bと同様に、抽気管22,23,24及び25が接続される。低圧タービン5Aに接続された抽気管22,23,24及び25は、低圧タービン5Bの場合と同様に、低圧タービン5Aに対応して設けられた第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17Dの各容器28に接続される。低圧タービン5Cの第1、第2、第3及び第4の各抽気点にも、低圧タービン5Bと同様に、抽気管22,23,24及び25が接続される。低圧タービン5Cに接続された抽気管22,23,24及び25は、低圧タービン5Bの場合と同様に、低圧タービン5Cに対応して設けられた第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17Dの各容器28に接続される。
【0039】
以下の説明において、第3低圧給水加熱器17A、第4低圧給水加熱器17B、第5低圧給水加熱器17C及び第6低圧給水加熱器17D、抽気管22,23,24及び25、及び第1、第2、第3及び第4の各抽気点は、特に断りが無ければ、低圧タービン5Bに対応して設けられたそれらを意味している。
【0040】
原子炉2内の炉心(図示せず)には、再循環ポンプ(図示せず)及びジェットポンプ(図示せず)によって冷却水が供給される。冷却水は炉心内に装荷された複数の燃料集合体(図示せず)に含まれた核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、冷却水の一部が蒸気になる。原子炉2で発生した蒸気は、主蒸気配管6を通って、高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B及び5Cにそれぞれ供給される。高圧タービン3から排出された蒸気は、途中で、湿分分離器4により湿分が除去され、過熱器34A,34Bによって過熱される。湿分分離器4により湿分が除去された蒸気の、過熱器34Aでの過熱は、高圧タービン3から抽気された蒸気を、蒸気管42を通して過熱器34Aに供給することによって行われる。過熱器34Aで過熱された蒸気は、高圧タービン3の上流で主蒸気配管6から抽気した、蒸気管42内を流れる蒸気よりも温度が高い蒸気を、蒸気管38を通して過熱器34Bに供給することによって行われる。過熱器34Bで過熱された蒸気の温度は過熱器34Aで過熱された蒸気の温度よりも高くなる。過熱器34Bから排気された蒸気は、低圧タービン5A,5B及び5Cにそれぞれ導かれる。
【0041】
湿分分離器4により除去された湿分は、ドレン水となってドレン配管26に排出されて第3低圧給水加熱器17Aに供給される。蒸気管42を通して過熱器34Aに供給された抽気蒸気は、過熱器34Aで、湿分分離器4で湿分を除去された蒸気を過熱することによって凝縮される。この蒸気の凝縮によって発生した飽和ドレン水は、ドレン配管35を通して第1高圧給水加熱器16Aに供給される。蒸気管38を通して過熱器34Bに供給された抽気蒸気は、過熱器34Bで、過熱器34Aで過熱された蒸気をさらに過熱することによって凝縮される。この蒸気の凝縮によって発生した飽和ドレン水は、ドレン配管39を通して第1高圧給水加熱器16Aに供給される。ドレン配管35,39内を流れるそれぞれのこの飽和ドレン水の温度は、抽気管20内を流れる抽気蒸気の温度と実質的にほぼ同じである。
【0042】
低圧タービン5A,5B及び5C内の圧力は、高圧タービン3内の圧力よりも低くなっている。高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B及び5Cは、蒸気によって駆動され、発電機9を回転させる。これにより、電力が発生する。低圧タービン5A,5B及び5Cから排気された蒸気は、各復水器11で凝縮されて水になる。すなわち、海水が、海水循環ポンプ14の駆動によって海水供給管13Aを通して各復水器11内の各伝熱管12内に供給される。低圧タービン5A,5B及び5Cから排気された蒸気は、それぞれに対応して別々に設けられた各復水器11内の伝熱管12内を流れる海水によって冷却されて凝縮される。蒸気の凝縮により、各伝熱管12内を流れる海水の温度が上昇する。各伝熱管12から排出された海水は、海水排出管13Bを通って海に放出される。
【0043】
各復水器11に別々に接続された各給水配管15に設けられた復水ポンプ18、及び給水ポンプ19A〜19Dがそれぞれ駆動されている。各復水器11で生成された凝縮水は、給水として、これらのポンプによって昇圧され、各給水配管15を通り、第3低圧給水加熱器17Aと第2高圧給水加熱器16Bの間で1本の給水配管15に合流して原子炉2に供給される。3本の給水配管15内を流れる給水は、各低圧タービンに対応してそれぞれ設けられた第6低圧給水加熱器17D、第5低圧給水加熱器17C、第4低圧給水加熱器17B及び第3低圧給水加熱器17Aによって順次加熱される。給水は、第3低圧給水加熱器17Aと第2高圧給水加熱器16Bの間に存在する、3本の給水配管15の合流点よりも下流における1本の給水配管15に設けられた第2高圧給水加熱器16B及び第1高圧給水加熱器16Aによってさらに加熱されて温度を上昇させ、設定温度になった状態で原子炉2に供給される。給水ポンプ19E,19Fも駆動している。
【0044】
給水は、第6低圧給水加熱器17Dにおいて、低圧タービン5Bの第4抽気点から抽気されて抽気管25を通して供給される抽気蒸気によって加熱される。第6低圧給水加熱器17Dで加熱された給水は、第5低圧給水加熱器17Cにおいて、低圧タービン5Bの第3抽気点から抽気されて抽気管24を通して供給される抽気蒸気によってさらに加熱される。第5低圧給水加熱器17Cで加熱された給水は、第4低圧給水加熱器17Bにおいて、低圧タービン5Bの第2抽気点から抽気されて抽気管23を通して供給される抽気蒸気によってさらに加熱される。第4低圧給水加熱器17Bで加熱された給水は、第3低圧給水加熱器17Aにおいて、低圧タービン5Bの第1抽気点から抽気されて抽気管22を通して供給される抽気蒸気、及び湿分分離器4から排出されてドレン配管26を通して供給される飽和ドレン水によってさらに加熱される。
【0045】
第3低圧給水加熱器17Aで加熱された給水は、第2高圧給水加熱器16Bにおいて、主蒸気配管6から抽気されて抽気管21を通して供給される抽気蒸気によって加熱される。第2高圧給水加熱器16Bで加熱された給水は、第1高圧給水加熱器16Aにおいて、高圧タービン3の抽気点から抽気されて抽気管20を通して供給される抽気蒸気、過熱器34Aから排出されてドレン配管35を通して供給される飽和ドレン水、及び過熱器34Bから排出されてドレン配管39を通して供給される飽和ドレン水によって加熱される。原子炉2に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器による加熱により、復水器11から出た給水の温度よりも約180℃上昇する。
【0046】
低圧タービン5A及び5Cのそれぞれに対応して設けられた第6低圧給水加熱器17D、第5低圧給水加熱器17C、第4低圧給水加熱器17B及び第3低圧給水加熱器17Aにおいても、上記した各抽気蒸気を用いてそれぞれの給水配管15内を流れる給水が加熱される。
【0047】
上記した各高圧給水加熱器及び各低圧給水加熱器における給水の加熱を、第1高圧給水加熱器16Aを例に取り、図2を用いて説明する。
【0048】
第1高圧給水加熱器16Aの容器28内に形成された水室30には、上流側で隣りに位置する第2高圧給水加熱器16Bの容器28内の水溜め領域31内の給水が、給水ポンプ19Eによって昇圧され、給水配管15を通して供給される。第1高圧給水加熱器16Aの水室30に供給された給水は、仕切り板29に設けられた多数の貫通孔を通り、容器28内を水溜め領域31に向って、ラミナーフロー27となって自由落下する。一方、抽気管20内を流れる抽気蒸気が、水溜め領域31の水面よりも上方で容器28内に供給され、容器28内を上昇する。
【0049】
給水及び抽気蒸気が供給された、第1高圧給水加熱器16Aの容器28内では、仕切り板29と水溜め領域31の間の領域において、給水と抽気蒸気の間で熱交換が行われる。この熱交換を、図3を用いて具体的に説明する。容器28内では、仕切り板29から自由落下する給水の複数のラミナーフロー(サブクール水)(給水流)27と抽気蒸気(飽和蒸気)の上昇流が互いに接触して抽気蒸気が保有する熱が落下する給水に伝えられ、給水が加熱されて給水の温度が上昇する。抽気蒸気は給水の加熱によって凝縮されて水になり、この凝縮水は給水と共に水溜め領域31に落下する。その凝縮水も、給水になり、原子炉2に供給される。
【0050】
以上に述べた第1高圧給水加熱器16A内での給水と抽気蒸気の熱交換は、第1高圧給水加熱器16A以外の全ての給水加熱器においても行われ、それぞれの給水加熱器で給水が加熱されて抽気蒸気が凝縮される。
【0051】
第1高圧給水加熱器16Aでは、抽気蒸気以外にドレン水がドレン配管35,39を通して容器28内にそれぞれ供給される。これらのドレン水が、この容器28内の水溜め領域31において落下した給水に混合され、水溜め領域31内の給水の温度をさらに上昇させる。ドレン配管35,39によって導かれたドレン水も、給水になって原子炉2に供給される。第3低圧給水加熱器17Aでも、ドレン配管26によって導かれたドレン水が、第3低圧給水加熱器17Aの容器28内の水溜め領域31に存在する給水に混合される。
【0052】
給水配管15に設けられた6段の給水加熱器では、それぞれの容器28内に水溜め領域31が形成される関係上、下流に設けられた給水ポンプで水溜め領域31内の給水を排出しなければならない。このため、給水ポンプの回転速度を水溜め領域31の水位に基づいて制御する必要がある。この給水ポンプの回転速度の制御を、給水ポンプ19Fを例にとって説明する。
【0053】
第1高圧給水加熱器16Aの容器28に設けられた水位計77が、水溜め領域31に存在する給水の水位を計測する。水位計77で計測された水位が、水位計77が接続された制御装置78に入力される。この制御装置78は、入力した水位計測値に基づいて、この水位計測値が設定水位になるように、給水ポンプ19Fの回転速度を制御する。このように給水ポンプ19Fの回転速度が制御されることによって、第1高圧給水加熱器16Aの容器28内の水溜め領域31における給水の水位が設定水位に保持される。このため、給水ポンプ19Fの回転速度が速くなりすぎて、給水ポンプ19Eによって第1高圧給水加熱器16Aに供給される給水の量以上に第1高圧給水加熱器16Aの水溜め領域31から給水が排出する事態を避けることができる。このような事態が生じた場合には、原子炉2への給水の供給が途絶えることになり、このような事態が発生することは避けなければならない。
【0054】
高圧給水加熱器16B及び低圧給水加熱器17A〜17Dのそれぞれの容器28にも水位計77が設けられており、これらの水位計77で計測された各水位が制御装置78に入力される。制御装置78は、入力した各水位計測値に基づいて、該当するそれぞれの給水加熱器の水溜め領域31に存在する給水を昇圧する各給水ポンプの回転速度を、該当する水溜め領域31に存在する給水の水位が設定水位になるように制御する。これによって、高圧給水加熱器16B及び低圧給水加熱器17A〜17Dから排出される給水が途絶えることを防止することができる。
【0055】
発明者らは、本実施例で用いた表面接触式給水加熱器である第1高圧給水加熱器16Aの熱交換特性を検討した。この検討結果を、図4及び図5を用いて以下に説明する。この検討においては、従来の伝熱管を用いた間接式給水加熱器の熱交換特性も併せて検討した。
【0056】
図4(A)は従来の間接式給水加熱器の熱交換を示し、図4(B)は第1高圧給水加熱器16Aの熱交換を示している。図4(A)の横軸は給水の流れ方向における位置X1を示している。具体的には、位置X1は間接式給水加熱器の伝熱管の入口端からの位置である。図4(B)の横軸は第1高圧給水加熱器16Aの軸方向における位置X2を示している。具体的には、位置X2は抽気管20と容器28の接続位置から上方に向った位置を示している。図4(A)及び図4(B)の縦軸は温度を示している。
【0057】
間接式給水加熱器(図4(A))では、熱交換する二流体の温度差を表すターミナル温度差TD及びドレーンクーラー温度差DCが両方とも大きな値である。これに対して、直接接触式給水加熱器である第1高圧給水加熱器16Aでは、ターミナル温度差TD及びドレーンクーラー温度差DCとも小さくなっている。これは、二流体が熱交換する際、熱を伝えるために熱抵抗となる要素(例えば、伝熱管)の有無の影響を受けている。間接式給水加熱器の熱抵抗回路網(図4(A)参照)は、伝熱管を有するために、3種類の熱抵抗(1/h、t/λ、1/h)から構成されるのに対して、第1高圧給水加熱器16Aの熱抵抗回路網(図4(B)参照)は1種類の熱抵抗(1/hdc)からなる。このため、第1高圧給水加熱器16Aにおける熱伝達率、すなわち、熱通過率が間接式給水加熱器よりも大きくなるので、第1高圧給水加熱器16Aにおけるターミナル温度差TD及びドレーンクーラー温度差DCがともに小さくなる。
【0058】
本実施例に用いられた第1高圧給水加熱器16Aと上記した間接式給水加熱器における容積と容積基準の熱通過率の関係を図5に示す。図5の横軸は給水加熱器の容積Vを示し、縦軸は容積基準の熱通過率Uvを示している。なお、説明を容易にするため、横軸及び縦軸ともに、従来例の間接式給水加熱器の条件を基準の1.0として標準化した。第1高圧給水加熱器16Aの直接接触式熱交換器の場合には、熱交換の関係式は(1)式のように表される。
【0059】
Q=Uv・V・ΔT=K・A・ΔT ……(1)
ここで、Qは交換熱量、Uvは容積基準の熱通過率、Vは給水加熱器の容積、ΔTは有効温度差、Kは面積基準の熱通過率、及びAは伝熱面積である。
【0060】
一般的な間接式給水加熱器では、面積基準の熱通過率Kを反映した(1)式の右辺の項で交換熱量Qを算出する。しかしながら、直接接触式給水加熱器では、伝熱面積が規定できないので、体積基準の熱通過率Uvを反映した(1)式の左辺の項で交換熱量Qを算出する。例えば、同じ交換熱量Qの場合、従来例でUv=1、V=1、ΔT=1とすると、本実施例で用いた直接接触式給水加熱器が高性能であるために、有効温度差ΔTが1/2になる。この結果、その直接接触式給水加熱器の容積Vも1/2になり、直接接触式給水加熱器の性能Uvが4倍になる。交換熱量Qが同じである場合に、従来の間接式給水加熱器と比較して、本実施例で用いた直接接触式給水加熱器(第1高圧給水加熱器16A)は容積を約1/2に低減できる上に、熱交換性能を約4倍に向上させることができる。
【0061】
以上に述べた第1高圧給水加熱器16Aにおける容積の約1/2への低減、及び熱交換性能の約4倍向上は、沸騰水型原子力発電プラント1における残りの5基の給水加熱器16B,17A〜17Dでも達成することができる。
【0062】
既設の沸騰水型原子力発電プラントでは、設置されている複数の間接式給水加熱器をなんら変更せずに、コンパクトで高性能な直接凝縮式給水加熱器を一基追設するだけで、原子炉2に供給される給水の温度を20℃程度上昇させることができる。
【0063】
本実施例の沸騰水型原子力発電プラント1では、給水配管15に設けられた6基の給水加熱器が、全て、直接凝縮式給水加熱器である表面接触式給水加熱器になっているので、最終段の第1高圧給水加熱器16Aから原子炉2に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器が、全て、間接式給水加熱器である場合と同じであるが、前者の熱交換性能は後者の熱交換性能の約4倍になる。本実施例は、6基の表面接触式給水加熱器を給水配管15に設けているので、給水配管15が設置されるタービン建屋をコンパクト化することができる。
【0064】
また、本実施例は、給水の水面が形成される容器28内で蒸気と給水を接触させて熱交換を行っているので、前述した蒸気インジェクタを用いた場合に生じる給水の流動が不安定になることを防止することができる。T. Narabayashi, et al., Proc. of ICONE-3, pp.877-883, Kyoto, Japan, 1994に記載されたように、蒸気インジェクタを用いた場合では、水と蒸気の接触する界面積が小さく、蒸気の凝縮現象に伴うハンマリングが発生し、流動が不安定になる。しかしながら、本実施例では、容器28内で蒸気と給水を接触させている、特に、仕切り板29から自由落下するラミナーフロー27が蒸気と接触するので、水と蒸気の接触する界面積が大きくなる。このため、本実施例では、蒸気が凝縮して水になる際の体積変化を十分に吸収する容積が容器28内に存在するので、蒸気の凝縮現象に伴うハンマリングが発生しなく給水の流動が安定になる。
【0065】
本実施例では、高圧タービン3及び低圧タービン5A、5B,5C等から抽気した抽気蒸気を、表面接触式給水加熱器である高圧給水加熱器16A,16B及び低圧給水加熱器17A〜17Dに供給してそれぞれの容器28内で給水と直接接触させて給水を加熱しているので、原子炉2で発生した蒸気の熱が回収されて原子炉2に供給される給水の温度を上昇させることができる。このため、沸騰水型原子力発電プラント1の熱効率が向上する。特に、容器28内で給水と蒸気を直接接触させるので、熱交換を行う両方の流体における温度差が小さくても、大きな交換熱量を確保することができる。
【0066】
このような本実施例では、全ての給水加熱器で給水と抽気蒸気を直接接触させて両方の流体間で熱交換を行うため、全ての給水加熱器における熱交換性能が高性能になる。このため、本実施例では、全ての給水加熱器が間接式給水加熱器である従来の沸騰水型原子力発電プラントのように、間接式給水加熱器に供給する抽気蒸気の流量を多くする必要が無く、少ない抽気蒸気でも給水温度を十分上昇させることができる。この結果、沸騰水型原子力発電プラント1では、原子炉の定格出力運転では、炉水と主蒸気のエンタルピ差が小さくなった分だけ、主蒸気流量が増加する。全ての給水加熱器が間接式給水加熱器である従来の沸騰水型原子力発電プラントに比べて、沸騰水型原子力発電プラント1では、高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B,5Cに供給される蒸気量が増加する。したがって、本実施例では、高圧タービン3及び各低圧タービンでの蒸気による仕事量が増大し、電気出力を向上させることができる。これは、沸騰水型原子力発電プラント1において、定格の原子炉出力をさらに増大させる出力向上運転を実質的に行っていることになる。
【0067】
本実施例は、表面接触式給水加熱器である高圧給水加熱器16A,16B及び低圧給水加熱器17A〜17Dを給水配管15に設置して、高圧タービン3あるいは低圧タービンからの抽気蒸気を給水に直接接触させて凝縮させる凝縮熱伝達により、抽気蒸気と給水の間で効率の良い熱交換を行うことができる。このため、少ないエネルギーで給水の温度を上昇することができる。各低圧タービンに供給される蒸気の温度が上昇して低圧タービン内での蒸気の膨張量が増大するので、低圧タービンでの蒸気による仕事量が増加する。これによっても、沸騰水型原子力発電プラント1の電気出力がさらに向上する。
【0068】
本実施例では、高圧タービン及び低圧タービンから抽気されて該当する表面接触式の給水加熱器に供給される抽気蒸気の流量が少なくて済むため、高圧タービン及び低圧タービンで仕事をする主蒸気流量が増加し、電気出力が向上する。さらに、蒸気発生装置である原子炉2で発生した熱を沸騰水型原子力発電プラント1内で有効に利用することができ、復水器11から海水排出管13Bを通して海に排出される温排水の熱量を低減することができる。したがって、再生サイクルの沸騰水型原子力発電プラント1における熱効率をさらに向上させることができる。
【0069】
本実施例は、給水の液面が内部に形成される容器28内で、落下する給水と蒸気を接触させて熱交換を行っているので、給水と蒸気の接触する界面積を大きくすることができ、蒸気の凝縮に対する体積変化を、余裕を持って許容することができる。このため、本実施例では、蒸気の凝縮現象に伴うハンマリングの発生等の流動不安定性を回避することができる。
【0070】
本実施例は、炉心に冷却水を供給するポンプとしてインターナルポンプを用いた改良型沸騰水型原子力発電プラント(ABWR発電プラント)にも適用することができる。後述の実施例2から実施例5も、ABWR発電プラントに適用することができる。
【0071】
本実施例において、全ての給水加熱器として、図2に示す表面接触式給水加熱器の替りに図6に示す表面接触式給水加熱器36を用いてもよい。この給水加熱器36は、容器28内にスプレイ装置44を配置した構成を有する。スプレイ装置44は、容器28に設置され、複数のスプレイノズル43が設けられた複数の散水パイプ41、これらの散水パイプ41を軸方向に間隔を置いて保持して散水パイプ41と連通する給水供給管40を備えている。給水供給管40は、容器28の頂部を貫通して容器28に取り付けられ、上流で隣に位置する他の給水加熱器(例えば、給水加熱器36が第1高圧給水加熱器16Aである場合には、第2高圧給水加熱器16B)に接続された給水配管15に接続される。抽気蒸気を導く抽気管(例えば、抽気管20)が、沸騰水型原子力発電プラント1の各給水加熱器と同様に、容器28に接続される。給水加熱器36も、容器28内の水溜め領域31における給水の水位を計測するために水位計77を設置している。
【0072】
給水供給管40に供給された給水は、それぞれの散水パイプ41内に導かれ、各スプレイノズル43から容器28内に噴射される。抽気された蒸気が、抽気管を通して容器28内に供給され、容器28内を上昇する。この蒸気は、容器28内で、スプレイノズル43から噴射されて下方に向って落下する給水と接触し、給水を加熱する(図7参照)。やがて、蒸気は、容器28内で噴射された給水により凝縮され、水になる。この凝縮水は原子炉2に供給される。水位計77で計測した水位を入力する制御装置78は、この水溜め領域31内の給水を昇圧する給水ポンプ(例えば、給水ポンプ19F)の回転速度を制御する。この制御により、給水加熱器36の水溜め領域31内の給水は、設定水位に保持される。
【0073】
給水加熱器36は、伝熱管を有しないので熱抵抗が小さく熱交換性能が向上する。これにより、熱交換量Qが同じである場合、給水加熱器36がコンパクトになる。
【0074】
沸騰水型原子力発電プラント1において、全ての給水加熱器として、図2に示す表面接触式給水加熱器の替りに図8に示す直接接触式給水加熱器の一種である容積式給水加熱器45を用いてもよい。この給水加熱器45は、容器28内に蒸気噴射装置46を配置した構成を有する。蒸気噴射装置46は、容器28に設置され、複数の蒸気噴出口が形成された複数のパイプ48、これらのパイプ48を軸方向に間隔を置いて保持してパイプ48と連通する蒸気供給管47を備えている。蒸気供給管47は、容器28の底部を貫通して容器28に取り付けられ、抽気蒸気を導く抽気管(例えば、抽気管20)に接続される。上流側で給水加熱器45の隣に位置する他の給水加熱器(例えば、給水加熱器45が第1高圧給水加熱器16Aである場合には、第2高圧給水加熱器16B)に接続された給水配管15が、容器28内に形成される水溜め領域31の上端部付近で容器28に接続される。給水加熱器45の容器28内の水溜め領域31から給水を排出する給水配管15が、容器28の底部付近に接続される。給水加熱器45も、容器28内の水溜め領域31における給水の水位を計測するために水位計77を設置している。
【0075】
上流側で給水加熱器45の隣に位置する他の給水加熱器の水溜め領域31に存在する給水が、この給水加熱器に接続された給水配管15を介して給水加熱器45内の水溜め領域31に供給される。抽気管によって給水加熱器45の蒸気供給管47内に導かれた蒸気は、各パイプ48に形成された複数の蒸気噴出口から水溜め領域31内に給水中に噴出される(図9参照)。容器28内では、上部から下部に向かって給水(サブクール水)が流れ、それらの蒸気噴出口から上方に向って噴出された蒸気が対向流で熱交換する。これにより、給水が加熱され、やがて蒸気が凝縮される。蒸気の凝縮水も給水となって原子炉2に供給される。
【0076】
水位計77で計測した水位を入力する制御装置78は、この水溜め領域31内の給水を昇圧する給水ポンプ(例えば、給水ポンプ19F)の回転速度を制御する。この制御により、給水加熱器45の水溜め領域31内の給水は、設定水位に保持される。
【0077】
給水加熱器36は、伝熱管を有しないので熱抵抗が小さく熱交換性能が向上する。これにより、熱交換量Qが同じである場合、給水加熱器36がコンパクトになる。
【0078】
本実施例の沸騰水型原子力発電プラント1では、伝熱管を有するシェルチューブ式熱交換器を用いた給水加熱器ではなく、給水加熱器として、以下に述べるいずれかの、伝熱管を設けていない直接接触式熱交換器、すなわち、容器28内で、上部から落下する給水(サブクール水)と上昇する蒸気を接触させ、この蒸気を凝縮させて熱交換する給水加熱器(例えば、第1高圧給水加熱器16A)、容器28内で上部から落下する給水(サブクール水)のスプレイ水滴と上昇する蒸気を直接接触させ、この蒸気を凝縮させて熱交換する給水加熱器36、及び容器28内の給水(サブクール水)中に蒸気を噴出させて給水と蒸気を直接接触させ、この蒸気を凝縮させて熱交換する給水加熱器45のいずれかの給水加熱器を用いることができる。
【実施例2】
【0079】
本発明の他の実施例である実施例2の発電プラントを、図10を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1Aである。
【0080】
沸騰水型原子力発電プラント1Aは、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において第1高圧給水加熱器16Aを第1高圧給水加熱器50Aに、第2高圧給水加熱器16Bを第2高圧給水加熱器50Bに替え、給水ポンプ19E、19Fを削除した構成を有する。沸騰水型原子力発電プラント1Aの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0081】
第1高圧給水加熱器50A及び第2高圧給水加熱器50Bは、複数の伝熱管を有する給水加熱器である。低圧給水加熱器17A〜17Dには図2に示された表面接触式給水加熱器を用いている。ドレン配管49が、第1高圧給水加熱器50A及び第2高圧給水加熱器50Bに接続され、さらに復水器11に接続される。第1高圧給水加熱器50A及び第2高圧給水加熱器50Bには、第3低圧給水加熱器17A内の給水を昇圧する給水ポンプ19Dにより給水が供給される。抽気管20で第1高圧給水加熱器50Aに供給されて給水を加熱することによって生成された蒸気の凝縮水(ドレン水)、及び抽気管21で第2高圧給水加熱器50Bに供給されて給水を加熱することによって生成された蒸気の凝縮水(ドレン水)が、ドレン配管49により復水器11に供給される。
【0082】
本実施例は、低圧給水加熱器17A〜17Dが表面接触式給水加熱器であるので、実施例1と同様に、低圧給水加熱器17A〜17Dのそれぞれの熱交換性能が向上する。このため、沸騰水型原子力発電プラント1Aの熱効率を向上させることができる。低圧給水加熱器17A〜17Dがコンパクトになる。低圧給水加熱器17A〜17Dでは、前述した蒸気インジェクタを用いた場合に生じる給水の流動不安定が生じない。
【0083】
本実施例によれば、実施例1で生じる各効果を得ることができる。しかしながら、第1高圧給水加熱器50A及び第2高圧給水加熱器50Bが複数の伝熱管を有する給水加熱器であるので、沸騰水型原子力発電プラント1Aの熱効率は実施例1のそれよりも低下する。本実施例は、給水ポンプ19E及び19Fが不要になるので、沸騰水型原子力発電プラント1よりも構成が単純化される。本実施例は、第1高圧給水加熱器50A及び第2高圧給水加熱器50Bに供給される抽気蒸気温度よりも低圧タービン5Bから抽気される抽気蒸気の温度が低いので、低圧タービン5Bから抽気される抽気蒸気が供給される、直接接触給水加熱器である低圧給水加熱器17A〜17Dでの熱交換性能を向上させることができる。すなわち、温度の低い、低圧タービン5Bから抽気された抽気蒸気が保有している熱エネルギーを、給水の加熱に有効に使用することができる。
【実施例3】
【0084】
本発明の他の実施例である実施例3の発電プラントを、図11を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1Bである。
【0085】
沸騰水型原子力発電プラント1Bは、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において低圧給水加熱器17A〜17Dを、複数の伝熱管を有する給水加熱器である低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dに替え、給水ポンプ19A〜19Cを削除した構成を有する。沸騰水型原子力発電プラント1Bの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0086】
第1高圧給水加熱器16A及び第2高圧給水加熱器16Bには図2に示された表面接触式給水加熱器を用いている。ドレン配管49が、低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dに接続され、さらに復水器11に接続される。沸騰水型原子力発電プラント1Bの運転中に、抽気管22で第3低圧給水加熱器51Aに供給されて給水を加熱して生成された蒸気の凝縮水、ドレン水配管26で第3低圧給水加熱器51Aに供給されたドレン水、抽気管23で第4低圧給水加熱器51Bに供給されて給水を加熱して生成された蒸気の凝縮水、抽気管24で第5低圧給水加熱器51Cに供給されて給水を加熱して生成された蒸気の凝縮水、及び抽気管25で第6低圧給水加熱器51Dに供給されて給水を加熱して生成された蒸気の凝縮水が、ドレン配管49により復水器11に供給される。
【0087】
本実施例は、第1高圧給水加熱器16A及び第2高圧給水加熱器16Bとして表面接触式給水加熱器を用いているので、実施例1と同様に、第1高圧給水加熱器16A及び第2高圧給水加熱器16Bのそれぞれにおける熱交換性能が向上する。このため、沸騰水型原子力発電プラント1Bの熱効率を向上させることができる。第1高圧給水加熱器16A及び第2高圧給水加熱器16Bがコンパクトになる。第1高圧給水加熱器16A及び第2高圧給水加熱器16Bでは、前述した蒸気インジェクタを用いた場合に生じる給水の流動不安定が生じない。
【0088】
沸騰水型原子力発電プラントの熱効率を向上させるため、2基の高圧給水加熱器は給水温度をそれぞれ約20〜30℃程度向上させる必要がある。しかし、伝熱管を有する給水加熱器を1基増設することは、タービン建屋のスペースとの関係で困難さを伴う。そこで、これらの2基の高圧給水加熱器16A,16Bを表面接触式給水加熱器にすることによって、コンパクトな上に熱交換性能の良い給水加熱システムを構成することができる。
【0089】
本実施例によれば、実施例1で生じる各効果を得ることができる。高圧タービン3での蒸気流量が増加することで高圧タービン及び低圧タービンによる仕事量が増大し、電気出力を向上させることができる。しかしながら、低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dが複数の伝熱管を有する給水加熱器であるので、沸騰水型原子力発電プラント1Bの熱効率は実施例1のそれよりも低下する。本実施例は、給水ポンプ19A〜19Cが不要になるので、沸騰水型原子力発電プラント1よりも構成が単純化される。
【実施例4】
【0090】
本発明の他の実施例である実施例4の発電プラントを、図12を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1Cである。
【0091】
沸騰水型原子力発電プラント1C、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において高圧給水加熱器16A、16Bを実施例2で用いた高圧給水加熱器50A、50Bに、低圧給水加熱器17A、17B、17C、17Dを実施例3で用いた低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dに替え、第1高圧給水加熱器50Aの下流で給水配管15に高圧給水加熱器16Cを1基設置した構成を有する。高圧給水加熱器16Cは、図2に示す表面接触式給水加熱器である。沸騰水型原子力発電プラント1Cの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0092】
高圧給水加熱器16Cは、図2に示すように、多数の貫通孔を有する仕切り板29を密封された縦型の容器28内で上端部に配置し、仕切り板29を容器28の内面に取り付けている。水室30が容器28内で仕切り板29の上方に形成され、水溜め領域31が容器28内でその下端部に形成される。水位計77が容器28の下部に設置されている。第1高圧給水加熱器16Aに接続された給水配管15が、高圧給水加熱器16Cの水室30に連絡される。高圧給水加熱器16Cの容器28内の水溜め領域31に連絡されて給水ポンプ19Fが設けられた給水配管15が原子炉2に接続される。高圧タービン3に接続された抽気管52が、図2に示す位置で容器28に接続される。高圧給水加熱器50A、50B、及び低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dのそれぞれに接続されたドレン配管49が、復水器11に接続される。
【0093】
復水器11内の給水は、低圧給水加熱器51D、51C、51B、51Aで順次加熱され、さらに、高圧給水加熱器50B,50Aで加熱されて、高圧給水加熱器16Cの容器28内の水室30に導かれる。この給水は、仕切り板29に形成された多数の貫通孔から落下する。これらの貫通孔から落下した給水流が、抽気管52によって導かれて容器28内を上昇する蒸気に直接接触して加熱される。やがて、蒸気は凝縮されて凝縮水になり、水溜め領域31に落下する。水溜め領域31内の給水が、給水ポンプ19Fで昇圧されて給水配管15により原子炉2に導かれる。制御装置78は、水位計77で計測した水位に基づいて給水ポンプ19Fの回転速度を制御し、水溜め領域31内の給水の水位を設定水位に保持する。
【0094】
高圧給水加熱器16Cを有する本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。高圧給水加熱器16Cは、伝熱管を有する高圧給水加熱器50A等よりもコンパクトであるので、タービン建屋内に容易に設置することができる。また、本実施例では、高圧タービン3での蒸気流量が増加するので、高圧タービン及び低圧タービンによる仕事量が増大し、電気出力を向上させることができる。本実施例は、給水ポンプ19A〜19Dが不要であるため、実施例1よりも構成が簡素化される。
【0095】
本実施例は、高圧給水加熱器16Cを設けるので、既設の沸騰水型原子力発電プラントの改造範囲が少なくて、より給水の加熱性能を高めることができる。
【実施例5】
【0096】
本発明の他の実施例である実施例5の発電プラントを、図13を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1Dである。
【0097】
沸騰水型原子力発電プラント1Dは、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において高圧給水加熱器16A、16Bを実施例2で用いた高圧給水加熱器50A、50Bに、低圧給水加熱器17A、17B、17C、17Dを実施例3で用いた低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dに替え、第3低圧給水加熱器51Aと第2高圧給水加熱器50Bの間で給水配管15に低圧給水加熱器17Eを1基設置した構成を有する。低圧給水加熱器17Eは、図2に示す表面接触式給水加熱器である。沸騰水型原子力発電プラント1Dの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0098】
低圧給水加熱器17Eは、図2に示すように、多数の貫通孔を有する仕切り板29を密封された容器28内で上端部に設置している。水位計77が容器28の下部に設置されている。第3低圧給水加熱器51Aに接続された給水配管15が、低圧給水加熱器17Eの容器28内の上端部に形成された水室30に連絡される。低圧給水加熱器17Eの容器28内の水溜め領域31に連絡された給水配管15が、高圧給水加熱器50B、50Aを介して原子炉2に接続される。過熱器34Bに接続されたドレン配管53が、図2に示す抽気管20の位置で容器28に接続される。高圧給水加熱器50A、50B、及び低圧給水加熱器51A、51B、51C、51Dのそれぞれに接続されたドレン配管49が、復水器11に接続される。低圧給水加熱器17Eに熱源である加熱媒体を供給する、容器28に接続された配管(例えば、ドレン配管49)は、過熱器24Bと低圧タービン5Bの間の主蒸気配管6、及び主蒸気配管6の低圧タービン5Bへの接続位置と抽気管22と低圧タービン5Bの接続位置との間の低圧タービン5Bの位置のいずれかに接続してもよい。
【0099】
復水器11内の給水は、低圧給水加熱器51D、51C、51B、51Aで順次加熱され、低圧給水加熱器17Eの容器28内の水室30に導かれる。この給水は、仕切り板29に形成された多数の貫通孔から落下する。ドレン配管53によって導かれた高温のドレン水が、容器28内の水溜め領域31に供給され、落下した給水と水溜め領域31内で混合される。この混合により給水が加熱される。温度が上昇した水溜め領域31内の給水が、給水ポンプ19Dの駆動により、第2高圧給水加熱器50B及び第1高圧給水加熱器50Aに導かれて順次加熱され、原子炉2に導かれる。制御装置78は、水位計77で計測した水位に基づいて給水ポンプ19Dの回転速度を制御し、水溜め領域31内の給水の水位を設定水位に保持する。
【0100】
低圧給水加熱器17Eを有する本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。低圧給水加熱器17Eは、伝熱管を有する高圧給水加熱器50A等よりもコンパクトであるので、タービン建屋内に容易に設置することができる。また、本実施例では、高圧タービン3での蒸気流量が増加するので、高圧タービン及び低圧タービンによる仕事量が増大し、電気出力を向上させることができる。本実施例は、給水ポンプ19A〜19C及び19Fが不要であるため、実施例1よりも構成が簡素化される。
【0101】
実施例2〜5で用いられる各用面接触式給水加熱器を、図6に示された給水加熱器36または図8に示された給水加熱器45に替えてもよい。
【実施例6】
【0102】
本発明の他の実施例である実施例6の発電プラントを、図14を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、火力発電プラント54である。
【0103】
火力発電プラント54は、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において原子炉1を蒸気発生装置であるボイラ55に替えた構成を有する。火力発電プラント54の他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0104】
本実施例では、ボイラで発生した蒸気が、高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B,5Cに供給される。復水器11からの給水は、実施例1と同様に、低圧給水加熱器17D,17C,17B,17A及び高圧給水加熱器16B,16Aで順次加熱されてボイラ55に供給される。ボイラ55に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器による加熱により、復水器11から出た給水の温度よりも上昇する。
【0105】
本実施例の火力発電プラント54も、沸騰水型原子力発電プラント1と同様に、高圧給水加熱器16A,16B及び低圧給水加熱器17A,17B,17C,17Dは、図2に示す表面接触式給水加熱器であるので、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0106】
実施例2から実施例5のそれぞれにおいて原子炉2をボイラ52に替え、実施例2から実施例5のそれぞれの沸騰水型原子力プラントを火力発電プラントに変更してもよい。
【実施例7】
【0107】
本発明の他の実施例である実施例7の発電プラントを、図15を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、原子力発電プラントの一種である加圧水型原子力発電プラント56である。
【0108】
加圧水型原子力発電プラント56は、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において原子炉2を原子炉2A及び原子炉2Aに閉ループの一次冷却系配管59で接続された蒸気発生器(蒸気発生装置)57に替えた構成を有する。循環ポンプ58が一次冷却系配管59に設けられる。加圧水型原子力発電プラント56の他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。
【0109】
加圧水型原子力発電プラント56では、蒸気発生器57が循環ループを形成する一次冷却系配管59によって原子炉2Aに接続される。主蒸気配管6が蒸気発生器57の蒸気排出部に接続され、給水配管15が蒸気発生器57の給水入口部に接続される。加圧水型原子力発電プラント56においても、給水配管15に設けられた高圧給水加熱器16A,16B及び低圧給水加熱器17A,17B,17C,17D(高圧給水加熱器16A及び低圧給水加熱器17C以外の給水加熱器は図示せず)は、実施例1と同様に、表面接触式給水加熱器である(図2参照)。加圧水型原子力発電プラント56において、高圧タービン3の下流で主蒸気配管6に設けた湿分分離過熱器33Aは湿分分離器4及び過熱器34A、34Bを有している。
【0110】
加圧水型原子力発電プラント56の運転時において、原子炉2Aの炉心に供給された冷却水が、炉心に装荷された複数の燃料集合体に含まれた核燃料物質の核分裂で発生した熱によって加熱されて高温の冷却水になる。この高温の冷却水が、循環ポンプ58の駆動によって一次冷却系配管59内を通って蒸気発生器57の胴体内に設置された複数の伝熱管(図示せず)内に供給される。この高温の冷却水は、蒸気発生器57の胴体内で伝熱管の外に供給される給水を加熱する。給水は、給水配管15から供給され、高温の冷却水による加熱によって蒸気になる。給水の加熱によって温度が低下した冷却水は、一次冷却系配管59を通って原子炉2Aに戻される。蒸気発生器57で発生した蒸気は、主蒸気配管6を通って高圧タービン3及び低圧タービン5A,5B,5Cに供給される。
【0111】
低圧タービン5Bから排気された蒸気が復水器11で凝縮して生成された水(給水)が、実施例1と同様に、低圧給水加熱器17D〜17A及び高圧給水加熱器16B,16Aで順次加熱され、蒸気発生器57に供給される。蒸気発生器57に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器による加熱により、復水器11から出た給水の温度よりも上昇する。
【0112】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0113】
実施例2から実施例5のそれぞれにおいて原子炉2を原子炉2A及び蒸気発生器57に替え、実施例2から実施例5のそれぞれの沸騰水型原子力プラントを加圧水型原子力発電プラントに変更してもよい。
【実施例8】
【0114】
本発明の他の実施例である実施例8の発電プラントを、図16を用いて説明する。本実施例の発電プラントは、原子力発電プラントの一種である高速増殖炉原子力発電プラント60である。
【0115】
高速増殖炉原子力発電プラント60は、高速増殖炉61、中間熱交換器62、一次循環ポンプ63、一次冷却系配管64、蒸気発生器(蒸気発生装置)65、二次循環ポンプ66、二次冷却系配管67、沸騰水型原子力発電プラント1で用いられる主蒸気系及び給水系を備えている。この主蒸気系は、図1に示された高圧タービン3、低圧タービン5A,5B及び5C、主蒸気配管6、湿分分離過熱器33及び復水器11を含んでいる。湿分分離過熱器33Aは、実施例7と同様に、湿分分離器4及び過熱器34A、さらに過熱器34B(図示せず)を有する。給水系は、図1に示された給水配管15、高圧給水加熱器16A及び16B、低圧給水加熱器17A〜17D、抽気管20〜25及びドレン配管26,35を含んでいる。図16では、沸騰水型原子力発電プラント1が有している主蒸気系及び給水系(図1参照)に設けられた、低圧タービン5A及び5C、第1高圧給水加熱器16A以外の高圧給水加熱器、第3低圧給水加熱器17C以外の低圧給水加熱器、各抽気管、及び各ドレン配管が、省略されている。
【0116】
一次冷却系配管64が、高速増殖炉61、中間熱交換器62、一次循環ポンプ63及び高速増殖炉61をこの順序に接続し、一次系冷却材(例えば、液体ナトリウム)が流れる一次冷却系の閉ループを形成する。二次冷却系配管67が、中間熱交換器62、蒸気発生器65、二次循環ポンプ66及び中間熱交換器62をこの順序に接続し、二次冷却系の閉ループを形成する。主蒸気配管6及び給水配管15は、蒸気発生器65に接続される。
【0117】
一次循環ポンプ63の駆動によって、高速増殖炉61内の炉心で加熱された一次系冷却材(例えば、液体ナトリウム)が、一次冷却系配管64を通って中間熱交換器62に導かれる。高温の一次系冷却材は、中間熱交換器62において、二次冷却系配管67から供給される二次系冷却材(例えば、液体ナトリウム)を加熱する。温度が低下した一次系冷却材が中間熱交換器62から一次冷却系配管64を通って高速増殖炉61に戻される。二次循環ポンプ66の駆動によって、中間熱交換器62で加熱された二次系冷却材が、二次冷却系配管67を通って蒸気発生器65に導かれる。給水配管15で供給された給水が、蒸気発生器65内で二次系冷却材によって加熱されて蒸気になる。
【0118】
蒸気発生器65で発生した蒸気は、沸騰水型原子力発電プラント1と同様に、主蒸気配管6を通って高圧タービン3、及び低圧タービン5A,5B及び5Cに供給される。低圧タービンから排気された蒸気は、復水器11で凝縮されて水になる。この水は、給水として、沸騰水型原子力発電プラント1と同様に、給水配管15を通り、蒸気発生器60に供給される。給水配管15内を流れる間に、給水は、実施例1と同様に、表面接触式給水加熱器である低圧給水加熱器17D〜17A及び高圧給水加熱器16B,16Aで順次加熱される。蒸気発生器65に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器による加熱により、復水器11から出た給水の温度よりも上昇する。
【0119】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0120】
実施例2から実施例5のそれぞれにおいて原子炉2を蒸気発生器65に替え、実施例2から実施例5のそれぞれの沸騰水型原子力プラントを高速増殖炉原子力発電プラントに変更してもよい。
【実施例9】
【0121】
本発明の他の実施例である実施例9の発電プラントを、図17を用いて説明する。本実施例の発電プラントは火力発電プラントである。本実施例は、具体的には、火力コンバインド発電プラント68である。
【0122】
火力コンバインド発電プラント68は、ガスタービン発電プラント及び蒸気発電プラントを備えている。ガスタービン発電プラントは、圧縮機70、ガスタービン71、燃焼器72及び発電機73を有する。圧縮機70、ガスタービン71及び発電機73は、一軸の回転軸にて連結されている。燃焼空気配管74が、圧縮機70の空気流入口に接続され、さらに、圧縮機70の空気排出口と燃焼器72を接続している。燃焼器72は、配管によりガスタービン71に接続される。蒸気発電プラントは、実施例1の沸騰水型原子力発電プラント1において原子炉2を蒸気発生器(蒸気発生装置)69に替えた構成を有する。主蒸気配管6及び給水配管15が、蒸気発生器69に接続される。ガスタービン71の排ガス吐出口に接続された排ガス配管76が蒸気発生器69に接続されている。
【0123】
燃焼空気配管74から供給される燃焼空気が、圧縮機70で圧縮されて燃焼器72内に供給される。燃料供給管75から燃焼器72内に供給される燃料が、燃焼器72内で燃焼される。発生した高温高圧の燃焼ガスが、ガスタービン71に供給されてガスタービン71を回転させる。発電機73も回転し、電力を発生する。ガスタービン71から排出された高温の排ガスは、排ガス配管76を通って蒸気発生器69に導かれ、給水配管15を通して蒸気発生器69に供給される給水を加熱する。この給水は、加熱されて蒸気になる。蒸気発生器69で発生した蒸気は、沸騰水型原子力発電プラント1と同様に、主蒸気配管6を通って高圧タービン3、及び低圧タービン5A,5B及び5Cに供給される。低圧タービンから排気された蒸気は、復水器11で凝縮されて水になる。この水は、給水として、沸騰水型原子力発電プラント1と同様に、給水配管15を通り、各給水加熱器によって順次加熱されて温度を上昇させ、設定温度になった状態で蒸気発生器69に供給される。蒸気発生器69に供給される給水の温度は、6基の給水加熱器による加熱により、復水器11から出た給水の温度よりも上昇する。
【0124】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0125】
実施例2から実施例5のそれぞれにおいて原子炉2をガスタービン71、燃焼器72及び蒸気発生器69に替え、実施例2から実施例5のそれぞれの沸騰水型原子力プラントを火力コンバインド発電プラントに変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、沸騰水型原子力発電プラント及び加圧水型原子力プラント等の原子力発電プラント、及び火力発電プラントのような発電プラントに適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1,1A,1B,1C,1D,1E…沸騰水型原子力発電プラント、2,2A…原子炉、3…高圧タービン、4…湿分分離器、5A,5B,5C…低圧タービン、6…主蒸気配管、11…復水器、15…給水配管、16A,50A…第1高圧給水加熱器、16B,50B…第2高圧給水加熱器、16C…高圧給水加熱器、17A,51A…第3低圧給水加熱器、17B,51B…第4圧給水加熱器、17C,51C…第5低圧給水加熱器、17D,51D…第6低圧給水加熱器、17E…低圧給水加熱器、19A〜19F…給水ポンプ、20〜25…抽気管、26,35,39…ドレン配管、28…容器、29…仕切り板、31…水溜め領域、33,33A…湿分分離過熱器、34A,34B…過熱器、36,45…給水加熱器、44…スプレイ装置、46…蒸気供給装置、55…ボイラ、57,65,69…蒸気発生器、61…高速増殖炉、71…ガスタービン、72…燃焼器、54…火力発電プラント、56…加圧水型原子力発電プラント、60…高速増殖炉原子力発電プラント、68…火力コンバインド発電プラント、77…水位計、78…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置に接続された主蒸気配管に設けられた第1タービン及び前記第1タービンよりも圧力が低い第2タービン、前記第1タービンと前記第2タービンの間の前記主蒸気配管に設けられた湿分分離過熱装置、及び前記第2タービンから排気された前記蒸気を凝縮する復水器を備えた主蒸気系と、前記復水器と前記蒸気発生装置を連絡する給水配管と、前記給水配管に設置された複数の給水加熱器と、前記複数の給水加熱器に別々に接続され、第1タービンの第1段動翼よりも下流で前記主蒸気系に形成された複数の抽気位置に接続された複数の蒸気抽気管とを備え、
前記複数の給水加熱器のうち少なくとも1つの前記給水加熱器が、前記給水加熱器の容器内で、前記給水配管にて供給された給水と前記蒸気抽気管で導かれた蒸気を接触させる直接接触式給水加熱器であり、
前記直接接触式給水加熱器の前記容器内の前記給水を吸引する給水ポンプを、前記直接接触式給水加熱器の下流で前記給水配管に設けたことを特徴とする発電プラント。
【請求項2】
前記複数の給水加熱器のうちで前記直接接触式給水加熱器以外の残りの前記給水加熱器が、伝熱管を有する間接式給水加熱器である請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
前記複数の蒸気抽気管が、前記第1タービンに接続された第1蒸気抽気管、及び前記第2タービンに接続された第2蒸気抽気管を含んでおり、
前記複数の給水加熱器が、前記第1蒸気抽気管に接続された第1給水加熱器、及び前記第2蒸気抽気管に接続された第2給水加熱器を含んでおり、
前記直接接触式給水加熱器が前記第1給水加熱器である請求項1または2に記載の発電プラント。
【請求項4】
前記複数の蒸気抽気管が、前記第1タービンに接続された第1蒸気抽気管、及び前記第2タービンに接続された第2蒸気抽気管を含んでおり、
前記複数の給水加熱器が、前記第1蒸気抽気管に接続された第1給水加熱器、及び前記第2蒸気抽気管に接続された第2給水加熱器を含んでおり、
前記直接接触式給水加熱器が前記第2給水加熱器である請求項1または2に記載の発電プラント。
【請求項5】
前記複数の蒸気抽気管が、前記第1タービンに接続された第1蒸気抽気管、及び前記第2タービンに接続された第2蒸気抽気管を含んでおり、
前記複数の給水加熱器が、前記第1蒸気抽気管に接続された第1給水加熱器、前記第2蒸気抽気管に接続された第2給水加熱器、及び前記第1給水加熱器よりも下流に配置されて他の前記第1蒸気抽気管に接続された第3給水加熱器を含んでおり、
前記直接接触式給水加熱器が前記第3給水加熱器である請求項1または2に記載の発電プラント。
【請求項6】
前記複数の蒸気抽気管が、前記第1タービンに接続された第1蒸気抽気管、及び前記第2タービンに接続された第2蒸気抽気管を含んでおり、
湿分分離過熱装置が湿分分離器及び過熱器を有し、
前記複数の給水加熱器が、前記第1蒸気抽気管に接続された第1給水加熱器、前記第2蒸気抽気管に接続された第2給水加熱器、及び前記過熱器に接続されたドレン配管、及びこのドレン配管が接続された前記過熱器と前記第2蒸気抽気管が接続された前記第2タービンの抽気位置の間に存在する蒸気経路に接続された第3蒸気抽気管のいずれかの配管に接続され、前記第1給水加熱器と前記第2給水加熱器の間に配置された第3給水加熱器を含んでおり、
前記直接接触式給水加熱器が前記第3給水加熱器である請求項1または2に記載の発電プラント。
【請求項7】
前記直接接触式給水加熱器が、前記容器内に複数の貫通孔を形成した水室形成部材を設け、上流で隣に位置する他の前記給水加熱器から排出される給水を導く前記給水配管が連絡される水室を、前記容器内で前記水室形成部材の上方に形成しており、前記容器内の下部に給水溜め領域を形成しており、
前記給水溜め領域から排出される給水を導く前記給水配管が前記給水溜め領域に連絡される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項8】
前記直接接触式給水加熱器が、上流で隣に位置する他の前記給水加熱器から排出される給水を導く前記給水配管が連絡されたスプレイ装置を、前記容器内に設け、前記容器内の下部に給水溜め領域を形成しており、
前記給水溜め領域から排出される給水を導く前記給水配管が前記給水溜め領域に連絡される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項9】
前記直接接触式給水加熱器が、前記蒸気抽気管に連絡された蒸気噴射装置を、前記容器内に設け、前記容器内の下部に給水溜め領域を形成しており、
前記給水溜め領域から排出される給水を導く前記給水配管が前記給水溜め領域に連絡される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項10】
前記容器に水位検出装置を設け、前記水位検出装置で計測された水位を入力し、前記容器内の給水の水位が設定水位に保持されるように、前記容器内の前記給水を吸引する前記給水ポンプを制御する制御装置を設けた請求項1ないし9のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項11】
前記発電プラントが原子力発電プラントまたは火力発電プラントである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−185165(P2011−185165A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51708(P2010−51708)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)