説明

発電制御システム、発電制御プログラムおよび電子機器

【課題】エネルギー収支を考慮した発電を行うことの可能な発電制御システムおよび発電制御プログラムならびにそのような発電制御システムを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】発電制御システムは、変動予測部と、収支計算部と、切替タイミング計算部とを備えている。変動予測部は、過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測するようになっている。収支計算部は、変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算するようになっている。切替タイミング計算部は、収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、小型の電子機器に好適な発電制御システムおよび発電制御プログラムに関する。また、本技術は、上記の発電制御システムを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の電子機器に発電システムを内蔵し、電池交換なしに動作するものが実現されている(例えば、特許文献1参照)。そのような電子機器では、発電システムで発生した電力を二次電池にいったん充電する機能が設けられており、発電が行われていないときには二次電池から放電される電力で電子機器が駆動される。また、上記の発電システムと同様の機能を持った小型の発電装置との接続が可能な小型の電子機器も実現されている。そのような電子機器では、上記の発電装置を電子機器に接続し、内蔵の二次電池を充電したり、電子機器を直接、動作させたりすることが可能である。
【0003】
そのため、上記の電子機器では、コンセントや交換用の電池の無い環境下でも、電子機器を長時間動作させることが可能である。従って、震災などの非常時を考慮すると、今後、多くの小型の電子機器において、発電システムが内蔵されたり、小型の発電装置との接続が可能なシステムが内蔵されたりすると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−346336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の発電システムにおいて、ある時点での発電効率を上昇させる制御は存在するものの、基本的にはリアルタイムでその時点の発電量ないしは他のセンサ情報から得られた外界情報が制御に用いられる。そのため、制御に利用する電力が大きな場合や、発電に際して初期にアシスト(電力供給)の必要な場合には、発電システムが正常に機能しないことが想定される。また、制御に利用する電力がそれほど大きくない場合や、発電に際して初期にアシストが必要ない場合であっても、発電量の低調な期間が長期に渡って継続したときには、過放電を避けるために二次電池からの電力供給が停止してしまう可能性がある。このように、従来の発電システムでは、エネルギー収支を考慮した発電がなされていないという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー収支を考慮した発電を行うことの可能な発電制御システムおよび発電制御プログラムならびにそのような発電制御システムを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の発電制御システムは、以下の3つの構成要素を備えている。
(A1)過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測部
(A2)変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算部
(A3)収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算部
【0008】
本技術による発電制御プログラムは、以下の3つのステップをコンピュータに実行させるものである。
(B1)過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測ステップ
(B2)変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算ステップ
(B3)収支計算ステップで計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算ステップ
【0009】
本技術の電子機器は、発電を行う発電部と、発電部で発電された電気エネルギーを蓄積し、その蓄積電力量、電力またはそれに対応する電圧を出力する電源部と、負荷を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、発電部、電源部または駆動制御部を制御する発電制御部とを備えている。この電子機器に含まれる発電制御部は、上記の(A1)〜(A3)の構成要素を有している。
【0010】
本技術の発電制御システム、発電制御プログラムおよび電子機器では、変動ログと、新たに取得した変動パターンとに基づいて導出された変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支が計算される。そして、そのエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングが計算される。
【発明の効果】
【0011】
本技術の発電制御システム、発電制御プログラムおよび電子機器によれば、変動ログと、新たに取得した変動パターンとに基づいて導出された変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算し、そのエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようにしたので、エネルギー収支を考慮した発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本技術による一実施の形態に係る発電制御システムの機能ブロック図である。
【図2】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の一例を表す図である。
【図3】図2のアシストモードの一例を表す図である。
【図4】図3(A)のモードAについて説明するための模式図である。
【図5】図3(B)のモードBについて説明するための模式図である。
【図6】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第1変形例を表す図である。
【図7】図6のチューニングモードの一例を表す図である。
【図8】図7の各モードについて説明するための模式図である。
【図9】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第2変形例を表す図である。
【図10】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第3変形例を表す図である。
【図11】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第4変形例を表す図である。
【図12】図10、図11のチューニングモードの一例を表す図である。
【図13】図10、図11のチューニングモードの他の例を表す図である。
【図14】図11のチューニングモードのその他の例を表す図である。
【図15】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第5変形例を表す図である。
【図16】図1の発電制御システムにおけるモードの種類の第6変形例を表す図である。
【図17】図15、図16のチューニングモードの一例を表す図である。
【図18】図16のチューニングモードの他の例を表す図である。
【図19】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの一例を表す図である。
【図20】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第1変形例を表す図である。
【図21】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第2変形例を表す図である。
【図22】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第3変形例を表す図である。
【図23】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第4変形例を表す図である。
【図24】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第5変形例を表す図である。
【図25】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第6変形例を表す図である。
【図26】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第7変形例を表す図である。
【図27】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第8変形例を表す図である。
【図28】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第9変形例を表す図である。
【図29】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第10変形例を表す図である。
【図30】図1の切替タイミング予測部の機能ブロックの第11変形例を表す図である。
【図31】図19の切替タイミング予測部の手順の一例を表す図である。
【図32】図20の切替タイミング予測部の手順の一例を表す図である。
【図33】図21の切替タイミング予測部の手順の一例を表す図である。
【図34】図26の切替タイミング予測部の手順の一例を表す図である。
【図35】図27の切替タイミング予測部の手順の一例を表す図である。
【図36】応用例に係る電子機器の機能ブロックの一例を表す図である。
【図37】図36の電源部の機能ブロックの一例を表す図である。
【図38】図36の電源部の機能ブロックの一変形例を表す図である。
【図39】図36の電子機器の機能ブロックの第1変形例を表す図である。
【図40】図36の電子機器の機能ブロックの第2変形例を表す図である。
【図41】図36の電子機器の機能ブロックの第3変形例を表す図である。
【図42】図36の制御部の機能ブロックの一変形例を表す図である。
【図43】応用例に係る電子機器の機能ブロックの他の例を表す図である。
【図44】図43の電源部の機能ブロックの一例を表す図である。
【図45】図43の電源部の機能ブロックの一変形例を表す図である。
【図46】図43の電子機器の機能ブロックの第1変形例を表す図である。
【図47】図43の電子機器の機能ブロックの第2変形例を表す図である。
【図48】図43の電子機器の機能ブロックの第3変形例を表す図である。
【図49】応用例に係る電子機器の機能ブロックのその他の例を表す図である。
【図50】図49の電子機器の機能ブロックの第1変形例を表す図である。
【図51】図49の電子機器の機能ブロックの第2変形例を表す図である。
【図52】図49の電子機器の機能ブロックの第3変形例を表す図である。
【図53】図2のアシストモードの一変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.応用例
【0014】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る発電制御システム100の機能ブロックの一例を表したものである。発電制御システム100は、小型の電子機器に好適なシステムであり、例えば、切替タイミング予測部110と、モード制御部120とを備えている。ここで、小型の電子機器としては、例えば、携帯型音楽プレーヤ(例えばウォークマン(登録商標))や、携帯型ゲーム装置(例えばPSP(登録商標))、携帯型通信装置、小型パーソナルコンピュータ、電子書籍、時計などが挙げられる。
【0015】
切替タイミング予測部110は、エネルギー収支が正となるように、または、エネルギー収支が増大するように、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを予測するものである。なお、切替タイミング予測部110については、後に詳述するものとする。モード制御部120は、切替タイミング予測部110で予測された切り替えタイミングで種々のモードの切り替えを実行するものである。
【0016】
(モードについて)
ここで、種々のモードは、例えば、図2に示したように、発電モード、アシストモードおよびスリープモードの合計3種のモードで構成されている。発電モードは、発電システムで発電を行い、発電システムで発電された電気エネルギーを蓄電システムに蓄積するモードである。スリープモードは、負荷の駆動を停止するモードであり、発電システムでの発電を行わず、蓄電システムからの負荷への電力供給も行わないモードである。アシストモードは、発電システムへのアシスト、または発電制御システム100が搭載された電子機器の利用者(以下、単に「利用者」と称する。)へのアシストを行うモードである。具体的には、図3(A)(B)に示したように、アシストモードは、蓄電システムから発電システムにエネルギー供給を行うモードA、または、発電量が多くなるような音楽再生を行うモードBである。
【0017】
例えば、発電システムが、磁石ないしはコイルが中心球として設けられ、さらに中心球の外郭にコイルが設けられた電磁誘導発電機である場合に、モードAは、中心球がある回転数以上となるように、蓄電システムから外郭のコイルに電力を供給するモードとなっている。また、モードBは、例えば、アップテンポの曲を再生したり、曲の再生速度を速めたり、再生曲調を明るく元気の出る曲調に変えたりするモードとなっている。なお、音楽の曲調と人の行動とは互いに相関があることが知られており、曲調を上で例示したように変えることにより、発電システムにおける発電量を増やすことが可能である。
【0018】
モードAが発電に際して初期にアシストの必要なモードである場合に、例えば、図4(A)に示したように、発電モードとモードAの2種類のモードで切り換えが実行されているときには、エネルギー収支が負となる可能性がある。一方で、例えば、図4(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、予測に基づいて、モードAの期間を短く設定し、モードAの期間を短くした分だけ、電力消費の少ないスリープモードを割り当てることにより、エネルギー収支が正となる可能性を高めている。
【0019】
また、モードAが発電に際してアシストの必要なモードである場合に、例えば、図5(A)に示したように、モードAの実行期間が長期に渡っているときには、エネルギー収支が負となる可能性がある。一方で、例えば、図5(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、予測に基づいて、モードBを実行し、利用者に、無意識に発電を行わせ、首尾よく発電モードに移行させることにより、エネルギー収支が正となる可能性を高めている。
【0020】
なお、種々のモードは、上記の3種のモードに限られるものではなく、例えば、図6に示したように、発電モード、チューニングモードおよびスリープモードの合計3種のモードで構成されていてもよい。ここで、チューニングモードは、発電量が多くなるように発電システムを調整するモードであり、例えば、発電システムにおける基幹部品の調整を行い、これにより発電効率を高めるモードである。例えば、発電システムが上述の電磁誘導発電機で構成されており、中心球の振動周波数に応じた周波数の交流電圧を発生させるようになっている場合、チューニングモードは、例えば、図7(A)に示したように、発電システムの振動周波数に応じた共振周波数となるように回路定数の調整を行うモードとなっている。また、例えば、発電システムが上述の電磁誘導発電機で構成されており、中心球の振動周波数に応じた周波数の交流電圧を発生させるようになっている場合、チューニングモードは、例えば、図7(B)に示したように、振動方向に応じた向きとなるように発電システムの向きの調整を行うモードとなっている。また、例えば、発電システムがフォトダイオードで構成されており、発電効率が光または電磁波の入射角依存性を持っている場合、チューニングモードは、例えば、図7(C)に示したように、光または電磁波の入射方向に応じた向きとなるように発電システムの向きの調整を行うモードとなっている。また、例えば、発電システムがRF−IDタグで構成されており、発電効率が電磁波の周波数に依存する場合、チューニングモードは、例えば、図7(D)に示したように、入射した電磁波の周波数に応じた共振周波数となるように回路定数の調整を行うモードとなっている。
【0021】
例えば、図8(A)に示したように、発電モードの最中に、発電量が減少する事態が生じた場合、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。なお、発電量が減少する事態としては、例えば、光または電磁波の入射方向が当初とは異なる方向となったり、利用者の動作が変化したために、発電システムの振動周波数も変化したなどの事態が挙げられる。一方で、例えば、図8(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、チューニングモードを実行し、発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。
【0022】
また、種々のモードは、例えば、図9に示したように、発電モード、アシストモード、チューニングモードおよびスリープモードの合計4種のモードで構成されていてもよい。また、種々のモードは、例えば、図10に示したように、発電モード、アシストモードおよびスリープモードの合計3種のモードで構成されるとともに、発電モードおよびアシストモードにおいて、さらにチューニングモードを含んでいてもよい。なお、図10において、ノーマルモードとは、発電モードまたはアシストモードにおいてチューニングモードを含んでいないモードを指している。また、種々のモードは、例えば、図11に示したように、発電モード、アシストモードおよびスリープモードの合計3種のモードで構成されるとともに、各モードにおいて、さらにチューニングモードを含んでいてもよい。
【0023】
例えば、図12(A)に示したように、発電モードの最中に、発電量が減少する事態が生じた場合、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。一方で、例えば、図12(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、発電モードの最中にチューニングモードを実行し、発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。また、例えば、アシストモードの最中に、次回の発電モードにおいて発電量が減少する事態が生じた場合、図13(A)に示したように、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。一方で、例えば、図13(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、アシストモードの最中にチューニングモードを実行し、次回の発電モードにおいて発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。また、例えば、スリープモードの最中に、次回の発電モードにおいて発電量が減少する事態が生じた場合、図14(A)に示したように、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。一方で、例えば、図14(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、スリープモードの最中にチューニングモードを実行し、次回の発電モードにおいて発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。
【0024】
また、種々のモードは、例えば、図15に示したように、発電モードおよびスリープモードの合計2種のモードで構成されるとともに、発電モードにおいて、さらにチューニングモードを含んでいてもよい。また、種々のモードは、例えば、図16に示したように、発電モードおよびスリープモードの合計2種のモードで構成されるとともに、各モードにおいて、さらにチューニングモードを含んでいてもよい。
【0025】
例えば、図17(A)に示したように、発電モードの最中に、発電量が減少する事態が生じた場合、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。一方で、例えば、図17(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、発電モードの最中にチューニングモードを実行し、発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。また、例えば、スリープモードの最中に、次回の発電モードにおいて発電量が減少する事態が生じた場合、図18(A)に示したように、エネルギー収支が小さくなる可能性がある。一方で、例えば、図18(B)に示したように、切替タイミング予測部110が、発電量が減少する事態を予測して、スリープモードの最中にチューニングモードを実行し、次回の発電モードにおいて発電量の減少をなくしたり、最小限にとどめたりすることにより、エネルギー収支が増える可能性を高めている。
【0026】
(切替タイミング予測部110について)
次に、切替タイミング予測部110について説明する。切替タイミング予測部110は、例えば、図19に示したように、物理量検知部111、変動パターン認識部112、変動予測部113、収支計算部114、切替タイミング計算部115およびデータベース116を有している。
【0027】
物理量検知部111は、物理量を検知するものである。ここで、物理量は、例えば、発電システムの発電量(電力量)を時間微分することにより得られる瞬時発電電力もしくは運動量、または、その運動量を時間微分することにより得られる加速度である。なお、発電制御システム100が搭載された電子機器に、センサとしてジャイロ機構が設けられている場合には、上記の物理量が、ジャイロ機構の出力(加速度)、または、ジャイロ機構の出力を積分することにより得られた運動量であってもよい。また、発電制御システム100が搭載された電子機器に、センサとして温度計が設けられている場合には、上記の物理量は、温度計で得られた温度であってもよい。また、発電制御システム100が搭載された電子機器に、センサとしてフォトダイオードが設けられている場合には、上記の物理量は、フォトダイオードで得られた光量または電磁波の強度となっていてもよい。また、発電制御システム100が搭載された電子機器に、センサとしてRF−IDタグが設けられている場合には、RF−IDタグの出力(アンテナ出力)となっていてもよい。
【0028】
変動パターン認識部112は、物理量検知部111で検知された物理量から、変動パターンを認識するものである。変動パターン認識部112は、例えば、検知された物理量から、変動パターンとして、利用者の行動パターンを認識するようになっている。なお、変動パターン認識部112は、検知された物理量から、変動パターンとして、当該発電制御システム100の搭載された移動体の移動パターンを認識するようになっていてもよい。また、変動パターン認識部112は、検知された物理量から、変動パターンとして、当該発電制御システム100の周囲環境の変動パターンを認識するようになっていてもよい。
【0029】
ここで、利用者の行動パターンとは、例えば、日常の出勤日の行動パターン、出張の際の行動パターン、土日の休暇の際の行動パターンなどを指している。日常の出勤日の行動パターンとしては、例えば、朝6時に起き、朝7時から8時30分まで電車に乗り、お昼の1時間を除く夕方5時30分までデスクワークをし、夕方5時30分から夜の7時まで電車に乗り、夜の7時に自宅に戻り、夜の11時に就寝するという行動パターンがあり得る。また、移動体の移動パターンとは、例えば、当該発電制御システム100の搭載された移動体の日常の移動パターン、出張の際の移動パターン、土日の休暇の際の移動パターンなどを指している。また、周囲環境の変動パターンとは、例えば、当該発電制御システム100の周囲の温度の変動パターンや、当該発電制御システム100の周囲の光または電磁波の入射方向の変動パターン、または、当該発電制御システム100の周囲の電磁波の周波数の変動パターンなどを指している。
【0030】
利用者の行動パターンや移動体の移動パターンを認識する方法としては、例えば、特開2006−340903、WO06−001129、特開2006−345269、特許4507992、特開2006−345270、特許第4289326、特開2008−3655、特開2009−118513、特開2010−134802、特開2010−198595、特願2011−069840などに記載の方法を用いることが可能である。
【0031】
変動予測部113は、過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログ116Aと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測するものである。変動ログ116Aは、図19に示したように、データベース116に保存されている。変動予測部113は、例えば、新たに取得した変動パターンの特徴と、データベース116の変動ログ116Aに含まれる各変動パターンの特徴とを対比するようになっている。変動予測部113は、例えば、その比較を行った結果、新たに取得した変動パターンの特徴が、変動ログ116Aに含まれるある変動パターンの特徴の一部と類似していると判断した場合は、その変動パターンを利用して、今後の変動を予測するようになっている。また、変動予測部113は、例えば、その比較を行った結果、新たに取得した変動パターンの特徴と同一または類似する変動パターンを変動ログ116Aの中から発見しなかった場合は、次に、変動パターン認識部112から入力される変動パターンを利用して、上述の比較を再度、行うようになっている。
【0032】
収支計算部114は、変動予測部113で得られた変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算するものである。エネルギー収支は、利用者または発電制御システム100があらかじめ設定した算定期間における発電量と放電量とのエネルギー収支である。エネルギー収支の算定期間は、例えば、朝の6時から翌朝の6時までの一日間となっている。なお、データベース116に保存された変動ログ116Aにおいて、発電制御システム100を含む電子機器が充電される期間が記録されている場合には、エネルギー収支の期間は、その充電期間を除いた期間となっていてもよい。
【0033】
切替タイミング計算部115は、収支計算部114で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するものである。切替タイミング計算部115は、収支計算部114で計算された、上記の算定期間中のエネルギー収支を上回るエネルギー収支となるように、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっている。切替タイミング計算部115は、上記の算定期間中にエネルギー収支が正となるように、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっていることが好ましい。データベース116は、例えば、上記のエネルギー収支の計算に必要な基礎情報を有していてもよい。基礎情報としては、例えば、種々のモードの単位時間当たりの発電量もしくは電力消費量が挙げられる。
【0034】
切替タイミング予測部110は、変動予測部113での予測を補完するために、あるいは必要十分な物理量検出に検出分解能(サンプリング周期・分解能など)を抑制し、制御システムにおける消費エネルギーを削減するため、あるいは両方の目的により、例えば、図20に示したように、所定のタイミングで(例えば、一定タイミングごとに)物理量の検知を物理量検知部111に指示する検知タイミング設定部117を備えていてもよい。また、切替タイミング予測部110は、変動予測部113での予測を補完するために、例えば、図21に示したように、切替タイミング計算部115で得られた切り替えタイミングに基づいたタイミングで物理量の検知を物理量検知部111に指示する検知タイミング設定部118を備えていてもよい。
【0035】
検知タイミング設定部118について処理の順番は図21に記載の順番に限らない。すなわち、図22に示したように、切替タイミング予測部110は、変動予測部113の予測を反映したタイミングで物理量の検知を行うようになっていてもよい。また、図23,図24に示したように、切替タイミング予測部110は、変動パターン認識部112で認識された変動パターンや、収支計算部114で計算された収支を反映したタイミングで物理量の検知を行うようになっていてもよい。また、図25に示したように、切替タイミング予測部110は、外部からのトリガー入力を物理量の検知タイミングの設定に反映させるようになっていてもよい。
【0036】
前述の例では、物理量検知部111を制御する検知タイミング設定部118が設けられていたが、変動予測、エネルギー収支予測、切替タイミング計算などのプロセスにおいて、同様の設定部が設けられていてもよい。すなわち、例えば、切替タイミング予測部110は、例えば、図26に示したように、変動予測部113で得られた変動予測に基づいたタイミングで変動予測部113に処理の実行を指示する実行タイミング設定部119を備えていてもよい。また、切替タイミング予測部110は、例えば、図27に示したように、収支計算部114で得られた結果に基づいたタイミングで変動予測部113に処理の実行を指示する実行タイミング設定部119を備えていてもよい。また、切替タイミング予測部110は、例えば、図28に示したように、切替タイミング計算部115で得られた結果に基づいたタイミングで変動予測部113に処理の実行を指示する実行タイミング設定部119を備えていてもよい。また、図29に示したように、切替タイミング予測部110は、外部からのトリガー入力を、変動予測部113の実行タイミングの設定に反映させるようになっていてもよい。
【0037】
なお、実行タイミング設定部119は、変動予測、エネルギー収支予測、切替タイミング計算などのいずれのプロセスの実行タイミングの設定に用いることが可能である。また、実行タイミング設定部119への入力は、前述の検知タイミングや実行タイミングの設定に準じて、いずれのプロセスの処理後のデータであってもよい。例えば、図30に示したように、切替タイミング予測部110は、切替タイミング計算部115で得られた結果に基づいたタイミングで収支計算部114に処理の実行を指示する実行タイミング設定部119を備えていてもよい。
【0038】
[動作]
次に、図31を参照して、本実施の形態の発電制御システム100の動作の一例について説明する。本実施の形態の発電制御システム100では、まず、物理量が検知されたのち(S101)、検知された物理量から、変動パターンが認識される(S102)。次に、過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログ116Aと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動が予測される(S103)。続いて、上記の変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支が計算され(S104)、そのエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングが計算される(S105)。そして、最後に、予測された切り替えタイミングで種々のモードの切り替えが実行される(S106)。
【0039】
なお、図20〜図25に示したような検知タイミング設定部117または検知タイミング設定部118が設けられている場合には、これらで設定された所定のタイミングで、変動予測部113での予測が補完される。例えば、図32、図33に示したように、過去に得られた変動予測と、新たに得られた変動予測とを対比して、予測に変化があるか否かが判定される(S107)。その後、予測された切り替えタイミングに基づいて、検知タイミングが再設定され(S108)、その再設定されたタイミングで物理量が検知される(S101)。また、図26〜図29に示したような実行タイミング設定部119が設けられている場合には、実行タイミング設定部119で設定された所定のタイミングで、変動予測部113での予測が補完される。例えば、図34、図35に示したように、過去に得られた変動予測と、新たに得られた変動予測とを対比して、予測に変化があるか否かが判定される(S107)。その後、新たに得られた変動予測、または新たに得られた変動予測を利用して再計算したエネルギー収支に基づいて、実行タイミングが再設定され(S109)、その再設定されたタイミングで変動予測が行われる(S103)。
【0040】
[効果]
本実施の形態では、変動ログ116Aと、新たに取得した変動パターンとに基づいて導出された変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支が計算される。そして、そのエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングが計算される。これにより、エネルギー収支を考慮した発電を行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態では、モードBを実施する際に、利用者に発電を強要している訳ではなく、利用者が音楽に乗って自発的に発電をするようにしているので、ユーザに作業感を与えずに発電量を増やすことができる。
【0042】
<2.応用例>
[応用例1]
以下、上記実施の形態で説明した発電制御システム100の応用例について説明する。図36は、発電制御システム100の一応用例を示したものである。発電制御システム100は、発電システムおよび蓄電システムを備えた電子機器1に対して応用することが可能となっている。
【0043】
電子機器1は、例えば、図36に示したように、発電部10、電源部20、制御部30、駆動部40および負荷50を備えている。発電部10は、発電を行うものである。発電の種類としては、例えば、電磁誘導発電、逆磁歪発電、静電発電、圧電発電、熱電発電、熱電子発電、熱機関を利用した発電、太陽光発電、室内光発電、レクテナなどの電磁波発電、または、酸素反応を利用した発電が挙げられる。
【0044】
駆動部40は、制御部30による制御によって負荷50を駆動するものである。負荷50は、駆動部40によって駆動されるものである。負荷50の種類は電子機器1の種類によって異なっている。電子機器1が、携帯型音楽プレーヤである場合には、負荷50は、例えば、HDDであったり、スピーカであったり、液晶パネルであったりする。電子機器1が、時計である場合には、負荷50は、例えば、指針である。
【0045】
電源部20は、発電部10で発電された電気エネルギーを蓄積し、その蓄積電圧またはそれに対応する電圧を出力するものである。発電部10が交流電力を出力するようになっている場合には、電源部20は、例えば、図37(A)に示したように、交流電力を整流する整流回路21と、整流された直流電力を蓄電する蓄電部22と、蓄電部22で蓄電された電力を昇圧ないしは降圧する昇降圧回路23と、蓄電部22の昇降圧回路23とは別個の出力のオンオフを選択する選択回路24と、選択回路24から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ25とを有している。なお、例えば、図37(B)に示したように、必要に応じて、昇降圧回路23が省略されていてもよい。また、発電部10が直流電力を出力するようになっている場合には、例えば、図38(A),(B)に示したように、整流回路21およびインバータ25が省略されていてもよい。
【0046】
制御部30は、本応用例では、電源部20を制御するものである。制御部30は、例えば、図39に示したように、駆動部40を制御する駆動制御回路31と、電源部20を制御する発電制御回路32と、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aを保存するデータベース33を有している。制御部30は、発電制御回路32において、発電部10の出力を、上述の物理量として検知し、検知した物理量から変動パターンを認識し、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測するようになっている。制御部30は、さらに、発電制御回路32において、変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算し、それにより得られたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっている。制御部30は、さらに、発電制御回路32において、計算により得られた切り替えタイミングに従って種々のモードの切り替えを実行するようになっている。制御部30は、例えば、アシストモード(モードA)を実施する際には、モードAの実施を指示する信号(オン信号)を発電制御回路32から選択回路24に出力するようになっている。制御部30は、例えば、発電モードを実施する際には、モードAの実施を停止する信号(オフ信号)を発電制御回路32から選択回路24に出力するようになっている。制御部30は、例えば、スリープモードを実施する際には、駆動部40の駆動を停止する信号を発電制御回路32から駆動制御回路31に出力するようになっている。駆動制御回路31は、発電制御回路32から駆動部40の駆動を停止する信号を受信すると、駆動部40の駆動を停止する信号を駆動部40に出力するようになっている。
【0047】
なお、制御部30は、例えば、図40に示したように、蓄電部22の出力、または昇降圧回路23の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。また、制御部30は、例えば、図41に示したように、センサ部60の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。センサ部60は、例えば、ジャイロ機構、温度計、フォトダイオード、RF−IDタグなどで構成されている。なお、センサ部60がジャイロ機構で構成されている場合には、上記の物理量が、ジャイロ機構の出力(加速度)、または、ジャイロ機構の出力を積分することにより得られた運動量となる。また、センサ部60が温度計で構成されている場合には、上記の物理量が、温度計で得られた温度となる。また、センサ部60がフォトダイオードで構成されている場合には、上記の物理量が、フォトダイオードで得られた光量または電磁波の強度となる。また、センサ部60がRF−IDタグで構成されている場合には、上記の物理量が、RF−IDタグの出力(アンテナ出力)となる。
【0048】
また、制御部30は、図39〜図41に示したような回路で構成されていてもよいし、例えば、図42に示したように、図39〜図41に示した回路と同一の機能を有する発光制御プログラム32Bが演算回路32Aにロードされたものであってもよい。
【0049】
また、制御部30は、変動予測を補完するために、例えば、所定のタイミングで(例えば、一定タイミングごとに)物理量の検知を発電制御回路32において行ってもよい。また、制御部30は、変動予測を補完するために、例えば、導出した切り替えタイミングに基づいたタイミングで物理量の検知を発電制御回路32において行ってもよい。
【0050】
[応用例2]
図43は、発電制御システム100の他の応用例を示したものである。発電制御システム100は、発電システムおよび蓄電システムを備えた電子機器2に対して応用することが可能となっている。
【0051】
電子機器2は、例えば、発電部10、電源部70、制御部80、駆動部40および負荷50を備えている。電源部70は、発電部10で発電された電気エネルギーを蓄積し、その蓄積電圧またはそれに対応する電圧を出力するものである。発電部10が交流電力を出力するようになっている場合には、電源部70は、例えば、図44(A)に示したように、整流回路21と、蓄電部22と、昇降圧回路23とを有している。つまり、電源部70は、電源部20のような、発電部10をモータとして駆動する回路を有していない。なお、例えば、図44(B)に示したように、必要に応じて、昇降圧回路23が省略されていてもよい。また、発電部10が直流電力を出力するようになっている場合には、例えば、図45(A),(B)に示したように、整流回路21が省略されていてもよい。
【0052】
制御部80は、本応用例では、発電部10を制御するものである。制御部80は、例えば、図46に示したように、駆動制御回路31と、発電部10を制御する発電制御回路81と、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aを保存するデータベース33を有している。制御部80は、発電制御回路81において、発電部10の出力を、上述の物理量として検知し、検知した物理量から変動パターンを認識し、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測するようになっている。制御部80は、さらに、発電制御回路81において、変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算し、それにより得られたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっている。制御部80は、さらに、発電制御回路81において、計算により得られた切り替えタイミングに従って種々のモードの切り替えを実行するようになっている。制御部80は、例えば、チューニングモードを実施する際には、チューニングモードの実施を指示する信号を発電制御回路81から発電部10に出力するようになっている。制御部80は、例えば、発電モードを実施する際には、特段、何も行わないようになっている。制御部80は、例えば、スリープモードを実施する際には、駆動部40の駆動を停止する信号を発電制御回路81から駆動制御回路31に出力するようになっている。駆動制御回路31は、発電制御回路81から駆動部40の駆動を停止する信号を受信すると、駆動部40の駆動を停止する信号を駆動部40に出力するようになっている。
【0053】
なお、制御部80は、例えば、図47に示したように、蓄電部22の出力、または昇降圧回路23の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。また、制御部80は、例えば、図48に示したように、センサ部60の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。
【0054】
[応用例3]
図49は、発電制御システム100のその他の応用例を示したものである。発電制御システム100は、発電システムおよび蓄電システムを備えた電子機器3に対して応用することが可能となっている。
【0055】
電子機器3は、例えば、図49に示したように、発電部10、電源部70、制御部90、駆動部40および負荷50を備えている。制御部90は、本応用例では、駆動部40を制御するものである。制御部90は、例えば、図50に示したように、駆動部40を制御する駆動制御回路91と、駆動制御回路91を介して駆動部40を制御する発電制御回路92と、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aを保存するデータベース33を有している。制御部90は、発電制御回路92において、発電部10の出力を、上述の物理量として検知し、検知した物理量から変動パターンを認識し、変動ログ116Aに対応する変動ログ33Aと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測するようになっている。制御部90は、さらに、発電制御回路92において、変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算し、それにより得られたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算するようになっている。制御部90は、さらに、発電制御回路92において、計算により得られた切り替えタイミングに従って種々のモードの切り替えを実行するようになっている。制御部90は、例えば、アシストモード(モードB)を実施する際には、モードBの実施を指示する信号(オン信号)を発電制御回路92から駆動制御回路91に出力するようになっている。駆動制御回路91は、発電制御回路92からモードBの実施を指示する信号(オン信号)を受信すると、モードBの実施を指示する信号を駆動部40に出力するようになっている。制御部90は、例えば、発電モードを実施する際には、特段、何も行わないようになっている。制御部90は、例えば、スリープモードを実施する際には、駆動部40の駆動を停止する信号を発電制御回路92から駆動制御回路91に出力するようになっている。駆動制御回路91は、発電制御回路92から駆動部40の駆動を停止する信号を受信すると、駆動部40の駆動を停止する信号を駆動部40に出力するようになっている。
【0056】
なお、制御部90は、例えば、図51に示したように、蓄電部22の出力、または昇降圧回路23の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。また、制御部90は、例えば、図52に示したように、センサ部60の出力を、上述の物理量として検知するようになっていてもよい。
【0057】
以上、実施の形態および応用例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施の形態等では、アシストモードは、図3(A)または図3(B)に記載のモードとなっていたが、例えば、図53(A)に示したように、眠りを誘うような音楽再生を行うモードであってもよい。また、アシストモードは、例えば、図53(B)に示したように、ユーザの気持ちに共感した音楽再生を行うモードであってもよい。ユーザの気持ちに共感した音楽再生とは、例えば、利用者が落ち込んだ気持ちになっている場合に、その気持ちを癒やす音楽を再生することを指している。
【0059】
発電制御回路32,81,92(または発電制御プログラム32Bがロードされた演算回路32A)が、利用者がそろそろ眠る時間帯になっていることを検知した場合には、利用者の眠りを誘うような音楽の再生の指示を駆動制御回路31,91に出力するようになっている。駆動制御回路31,91は、発電制御回路32,81,92(または発電制御プログラム32Bがロードされた演算回路32A)から、利用者の眠りを誘うような音楽の再生を指示する信号を受信すると、そのような音楽のデータを駆動部40に出力するようになっている。
【0060】
発電制御回路32,81,92(または発電制御プログラム32Bがロードされた演算回路32A)が、利用者が落ち込んだ気持ちになっていることを検知した場合には、その気持ちを癒やす音楽の再生の指示を駆動制御回路31,91に出力するようになっている。駆動制御回路31,91は、発電制御回路32,81,92(または発電制御プログラム32Bがロードされた演算回路32A)から利用者の気持ちを癒やす音楽の再生を指示する信号を受信すると、そのような音楽のデータを駆動部40に出力するようになっている。
【0061】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測部と、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算部と、
前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算部と
を備えた
発電制御システム。
(2)
物理量を検知する物理量検知部と、
検知された物理量から、前記変動パターンを認識する変動パターン認識部と
をさらに備えた
(1)に記載の発電制御システム。
(3)
前記変動パターン認識部は、検知された物理量から、前記変動パターンとして、当該発電制御システムの利用者の行動パターン、当該発電制御システムの搭載された移動体の移動パターン、または当該発電制御システムの周囲環境の変動パターンを認識する
(2)に記載の発電制御システム。
(4)
前記切替タイミング計算部は、前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を上回るエネルギー収支となるように前記切り替えタイミングを計算する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(5)
前記変動ログを保存するデータベースをさらに備えた
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(6)
物理量を検知するタイミングを設定する検知タイミング設定部をさらに備えた
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(7)
前記種々のモードは、発電モードと、蓄電システムから発電システムにエネルギー供給を行うアシストモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(8)
前記種々のモードは、発電モードと、発電量が多くなるような音楽再生を行うアシストモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(9)
前記種々のモードは、発電モードと、発電量が多くなるように発電システムを調整するチューニングモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(10)
前記種々のモードは、発電モードと、蓄電システムから発電システムにエネルギー供給を行うアシストモードと、発電量が多くなるように発電システムを調整するチューニングモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の発電制御システム。
(11)
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測ステップと、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算ステップと、
前記収支計算ステップで計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算ステップと
をコンピュータに実行させる
発電制御プログラム。
(12)
物理量を検知する物理量検知ステップと、
検知された物理量から、前記変動パターンを認識する変動パターン認識ステップと
をさらに含む
(11)に記載の発電制御プログラム。
(13)
前記変動パターン認識ステップにおいて、検知された物理量から、前記変動パターンとして、当該発電制御システムの利用者の行動パターン、当該発電制御システムの搭載された移動体の移動パターン、または当該発電制御システムの周囲環境の変動パターンを認識する
(12)に記載の発電制御プログラム。
(14)
前記切替タイミング計算ステップにおいて、前記収支計算ステップで計算されたエネルギー収支を上回るエネルギー収支となるように前記切り替えタイミングを計算する
(11)ないし(13)のいずれか1つに記載の発電制御プログラム。
(15)
物理量を検知するタイミングを設定する検知タイミング設定ステップをさらに含む
(11)ないし(14)のいずれか1つに記載の発電制御プログラム。
(16)
発電を行う発電部と、
前記発電部で発電された電気エネルギーを蓄積し、その蓄積電圧またはそれに対応する電圧を出力する電源部と、
負荷を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記発電部、前記電源部または前記駆動制御部を制御する発電制御部と
を備え、
前記発電制御部は、
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測部と、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算部と、
前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算部と、
前記切替タイミング計算部で形成された切り替えタイミングに従って種々のモードの切り替えを実行するモード制御部と
を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0062】
1,2,3…電子機器、10…発電部、20,70…電源部、21…整流回路、22…蓄電部、23…昇降圧回路、24…選択回路、25…インバータ、30,80,90…制御部、31,91…駆動制御回路、32,81,92…発電制御回路、32A…演算部、32B…発電制御プログラム、33…データベース、33A…変動ログ、40…駆動部、50…負荷、60…センサ部、100…発電制御システム、110…切替タイミング予測部、111…物理量検知部、112…変動パターン認識部、113…変動予測部、114…収支計算部、115…切替タイミング計算部、116…データベース、116A…変動ログ、117,118…検知タイミング設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測部と、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算部と、
前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算部と
を備えた
発電制御システム。
【請求項2】
物理量を検知する物理量検知部と、
検知された物理量から、前記変動パターンを認識する変動パターン認識部と
をさらに備えた
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項3】
前記変動パターン認識部は、検知された物理量から、前記変動パターンとして、当該発電制御システムの利用者の行動パターン、当該発電制御システムの搭載された移動体の移動パターン、または当該発電制御システムの周囲環境の変動パターンを認識する
請求項2に記載の発電制御システム。
【請求項4】
前記切替タイミング計算部は、前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を上回るエネルギー収支となるように前記切り替えタイミングを計算する
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項5】
前記変動ログを保存するデータベースをさらに備えた
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項6】
物理量を検知するタイミングを設定する検知タイミング設定部をさらに備えた
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項7】
前記種々のモードは、発電モードと、蓄電システムから発電システムにエネルギー供給を行うアシストモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項8】
前記種々のモードは、発電モードと、発電量が多くなるような音楽再生を行うアシストモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項9】
前記種々のモードは、発電モードと、発電量が多くなるように発電システムを調整するチューニングモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項10】
前記種々のモードは、発電モードと、蓄電システムから発電システムにエネルギー供給を行うアシストモードと、発電量が多くなるように発電システムを調整するチューニングモードと、負荷の駆動を停止するスリープモードとを含む
請求項1に記載の発電制御システム。
【請求項11】
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測ステップと、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算ステップと、
前記収支計算ステップで計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算ステップと
をコンピュータに実行させる
発電制御プログラム。
【請求項12】
物理量を検知する物理量検知ステップと、
検知された物理量から、前記変動パターンを認識する変動パターン認識ステップと
をさらに含む
請求項11に記載の発電制御プログラム。
【請求項13】
前記変動パターン認識ステップにおいて、検知された物理量から、前記変動パターンとして、当該発電制御システムの利用者の行動パターン、当該発電制御システムの搭載された移動体の移動パターン、または当該発電制御システムの周囲環境の変動パターンを認識する
請求項12に記載の発電制御プログラム。
【請求項14】
前記切替タイミング計算ステップにおいて、前記収支計算ステップで計算されたエネルギー収支を上回るエネルギー収支となるように前記切り替えタイミングを計算する
請求項11に記載の発電制御プログラム。
【請求項15】
物理量を検知するタイミングを設定する検知タイミング設定ステップをさらに含む
請求項11に記載の発電制御プログラム。
【請求項16】
発電を行う発電部と、
前記発電部で発電された電気エネルギーを蓄積し、その蓄積電圧またはそれに対応する電圧を出力する電源部と、
負荷を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記発電部、前記電源部または前記駆動制御部を制御する発電制御部と
を備え、
前記発電制御部は、
過去の物理量から得られた複数種類の変動パターンを含む変動ログと、新たに取得した物理量から得られた変動パターンとに基づいて今後の変動を予測する変動予測部と、
前記変動予測部における変動予測を利用して、発電量と放電量とのエネルギー収支を計算する収支計算部と、
前記収支計算部で計算されたエネルギー収支を利用して、発電および放電に関する種々のモードの切り替えタイミングを計算する切替タイミング計算部と、
前記切替タイミング計算部で形成された切り替えタイミングに従って種々のモードの切り替えを実行するモード制御部と
を有する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2013−99059(P2013−99059A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238214(P2011−238214)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】