説明

発電機能付きの側溝装置、発電機能付きの集水桝装置、および、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置

【課題】 容易に設置することができる、発電機能付きの側溝装置を提供する。
【解決手段】 側溝装置4は、側溝1と、その側溝1の上方に開口する開口部1aを覆う側溝蓋2と、路上の通行物または通行人による側溝蓋2の振動を受けるように配備された振動発電機3とを備える。ここで、振動発電機3は、側溝蓋2における、側溝1の蓋掛かり部1cと対向する対向面2aに取り付けられる。そして、蓋掛かり部1cと対向面2aとの間には、側溝蓋2を上方に弾性的に付勢する弾性部材8が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動発電機を用いた、発電機能付きの側溝装置、発電機能付きの集水桝装置、および、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝回りの発電システムとして、例えば、側溝の水を利用したものがあった(特許文献1参照)。この発電システムは、側溝の水を、一旦貯水槽に溜めてから、水路に沿って降下させ、その降下する水で水車とともに発電機を回して電力を得るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−53557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の発電システムは、側溝に加えて貯留層や水路や水車等を用いていた。このため、この発電システムは、構造が複雑となり、容易に設置することができるものではなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、容易に設置することができる、発電機能付きの側溝装置、発電機能付きの集水桝装置、および、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る発電機能付きの側溝装置、発電機能付きの集水桝装置、および、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る発電機能付きの側溝装置は、上方に開口する開口部を有する側溝と、前記開口部を覆う側溝蓋と、路上の通行物または通行人による前記側溝蓋の振動を受けるように配備された振動発電機とを備える。これにより、路上の通行物(車両等)とか通行人が側溝蓋上を通過すると、その通過によって側溝蓋が振動し、その振動を受けて、振動発電機が発電する。このように、側溝蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの側溝装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの側溝装置を容易に設置することができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明に係る発電機能付きの側溝装置のように、請求項1に記載の側溝装置において、前記側溝と前記側溝蓋との間には、その側溝蓋を上方に弾性的に付勢する弾性部材が配備されてもよい。このように、側溝蓋を上方に付勢する弾性部材を設けることで、側溝蓋上を通行物とか通行人が通過した際に、その側溝蓋をより大きく振動させることができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明に係る発電機能付きの側溝装置のように、請求項1または2に記載の側溝装置において、前記側溝には、前記振動発電機によって発電された電気を送るための、孔または溝からなる配線通路が設けられてもよい。
【0009】
また、請求項4に記載の発明に係る発電機能付きの側溝装置のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の側溝装置において、前記振動発電機は、前記側溝蓋に取り付けられてもよい。
【0010】
また、請求項5に記載の発明に係る発電機能付きの側溝装置のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の側溝装置において、前記側溝蓋は、グレーチングからなってもよい。このように、側溝蓋を、コンクリート製の蓋よりも一般に軽いグレーチングとすることで、側溝蓋上を通行物とか通行人が通過した際に、その側溝蓋、つまりグレーチングを十分に振動させることができる。
【0011】
また、請求項6に記載の発明に係る発電機能付きの集水桝装置は、上方に開口する開口部を有する集水桝と、前記開口部を覆う桝蓋と、路上の通行物または通行人による前記桝蓋の振動を受けるように配備された振動発電機とを備える。これにより、路上の通行物(車両等)とか通行人が桝蓋上を通過すると、その通過によって桝蓋が振動し、その振動を受けて、振動発電機が発電する。このように、桝蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの集水桝装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの集水桝装置を容易に設置することができる。
【0012】
また、請求項7に記載の発明に係る側溝または集水枡用の発電機能付きの蓋装置は、上方に開口する開口部を有する側溝または集水枡の前記開口部を覆う蓋と、路上の通行物または通行人による前記蓋の振動を受けるようにその蓋に取り付けられた振動発電機とを備える。これにより、路上の通行物(車両等)とか通行人が蓋上を通過すると、その通過によって蓋が振動し、その振動を受けて、振動発電機が発電する。このように、蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの蓋装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの蓋装置を容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る発電機能付きの側溝装置によれば、側溝蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの側溝装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの側溝装置を容易に設置することができる。
【0014】
また、この発明に係る発電機能付きの集水桝装置によれば、桝蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの集水桝装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの集水桝装置を容易に設置することができる。
【0015】
また、この発明に係る側溝または集水枡用の発電機能付きの蓋装置によれば、蓋の振動を、振動発電機を介して電力に変換することで、この発電機能付きの蓋装置の構造が簡単となり、この発電機能付きの蓋装置を容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施の形態の、縦断面図である。
【図2】同じく、図1における要部拡大図である。
【図3】同じく、図1におけるA−A線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に係る発電機能付きの側溝装置、発電機能付きの集水桝装置、および、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図3は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、上方に開口する開口部1aを有する側溝である。2は、前記開口部1aを覆う側溝蓋である。3は、路上(道路上、通路上等)の通行物または通行人による前記側溝蓋2の振動を受けるように配備された振動発電機である。4は、発電機能付きの側溝装置であって、前記側溝1と前記側溝蓋2と前記振動発電機3とを備える。
【0019】
ここで、側溝1は、道路を横断するように配備されたり(つまり、横断側溝として用いられたり)、道路に沿って配備されたり、駐車場等に配備されたりする。この側溝1は、例えばU字側溝からなり、その側壁1b、1bの上部に、側溝蓋2が掛け渡される蓋掛かり部1c、1cが設けられている。図示実施の形態においては、この蓋掛かり部1cは、側壁1bの上面から一段下がって形成されて、蓋掛かり部1cの外側は、その蓋掛かり部1cよりも上方に延びる起立壁1dとなっている。
【0020】
詳細には、側溝1は、コンクリート製の側溝本体101と、側溝蓋2を受ける金属製の受枠102とから構成される。受枠102は、断面L字状に形成されて、その横に延びる横片1xの上面が、前記蓋掛かり部1cとなり、縦に延びる縦片1yの内側面が、前記起立壁1dの内面となる(図2参照)。また、この側溝1には、蓋掛かり部1cに、側溝蓋2を取り付ける取付具としてのボルト5の軸部5aが突出するようにして設けられている。
【0021】
また、側溝1には、振動発電機3によって発電された電気を送るための、孔または溝(図示実施の形態においては、孔)からなる配線通路1eが設けられている。この配線通路1eは、側溝1の長手方向に延びるように形成されており、内部には、振動発電機3に接続された配線材6が配設される。そして、この配線材6を通して、振動発電機3による電気が、例えば、道路とか駐車場等に付随した街灯等の電気設備やその他の電気設備に供給される。
【0022】
側溝蓋2は、側溝1の蓋掛かり部1c、1cと対向する対向面2a、2aを有し、これら対向面2a、2aの各々に、前記ボルト5の軸部5aが挿入される取付孔2b、2bが、上方に貫通するようにあけられている(図2参照)。図示実施の形態においては、側溝蓋2は、グレーチング201からなり、このグレーチング201は、両側下部に、下面が前記対向面2a、2aとなるベースプレート2c、2cを備えている。詳細には、グレーチング201は、ベアリングバー2d、2dとエンドバー2e、2eとツイストバー2f、2fを備えており、前記ベースプレート2c、2cが、ベアリングバー2d、2dを連ねるようにして、それらベアリングバー2d、2dの下面に溶接される。そして、このベースプレート2cの両端部分に、前記取付孔2b、2bが、上下に貫通するように設けられる。
【0023】
そこで、この側溝蓋2を側溝1に配置するにあたっては、側溝蓋2を、側溝1の蓋掛かり部1c、1cに掛け渡すとともに、側溝蓋2の取付孔2bに、ボルト5の軸部5aを挿入する。そして、取付孔2bから上方に突出するボルト5の軸部5aにナット7をねじ込む。こうして、側溝蓋2が側溝1に取り付けられるが、図示実施の形態においては、側溝1の蓋掛かり部1cと、側溝蓋2の対向面2aとの間において、ボルト5の軸部5aには、弾性部材8としてのコイルスプリング801が嵌められている(図2参照)。すなわち、側溝1と側溝蓋2との間には、その側溝蓋2を上方に弾性的に付勢する弾性部材8が配備されており、この弾性部材8によって、側溝蓋2は、側溝1(詳細には、蓋掛かり部1c)に対して浮き上がった状態で配置される。
【0024】
振動発電機3は、振動を受けて発電する装置であって、圧電式とか電磁誘導式とか静電式とかの振動発電機が知られている。この振動発電機3は、側溝蓋2に取り付けられ、これによって、側溝用の発電機能付きの蓋装置9が形成される。すなわち、この蓋装置9は、側溝1の前記開口部1aを覆う蓋としての側溝蓋2と、路上の通行物または通行人による側溝蓋2の振動を受けるようにその側溝蓋2に取り付けられた振動発電機3とを備える。なお、振動発電機3は、前記対向面2aに取り付けられている。そして、振動発電機3は、側溝蓋2上の通行物とか通行人により側溝蓋2が弾性部材8の付勢に抗して沈んだ際に、蓋掛かり部1cから反力を受ける。なお、図中符号2gは、側溝蓋2の沈み込みを制限するための補助材であり、これら補助材2g、2gにより、振動発電機3に過剰な負荷がかかることがない(図3参照)。図示実施の形態においては、補助材2gは、ベースプレート2cの両端部分においてその下面に溶接等により固定されている。
【0025】
次に、以上の構成からなる側溝装置4および蓋装置9の作用効果について説明する。この側溝装置4とか蓋装置9によると、路上の通行物(車両等)とか通行人が側溝蓋2上を通過すると、その通過によって側溝蓋2が振動し、その振動を受けて、振動発電機3が発電する。このように、側溝蓋2の振動を、振動発電機3を介して電力に変換することで、この発電機能付きの側溝装置4とか発電機機能付きの蓋装置9の構造が簡単となり、この発電機能付きの側溝装置4とか発電機能付きの蓋装置9を容易に設置することができる。
【0026】
また、側溝蓋2を上方に付勢する弾性部材8を設けることで、側溝蓋2上を通行物とか通行人が通過した際に、その側溝蓋2をより大きく振動させることができる。そして、この振動を振動発電機3が受けることで、より大きな電力を得ることができる。
【0027】
また、側溝蓋2を、コンクリート製の蓋ではなく、コンクリート製の蓋よりも一般に軽いグレーチング201とすることで、側溝蓋2上を通行物とか通行人が通過した際に、その側溝蓋2、つまりグレーチング201を十分に振動させることができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、側溝1は、U字側溝でなくとも、可変側溝とか暗渠型側溝であっても構わないし、また、プレキャスト側溝に限られず、現場打ちのコンクリート側溝であっても構わない。
【0029】
また、弾性部材8は、コイルスプリング801からならなくとも、弾性を有して、側溝蓋2を上方に弾性的に付勢するものであれば、どのようなものでもよい。また、この弾性部材8は、必要なければ、配備しなくともよい。
【0030】
また、側溝蓋2は、グレーチング201からならなくとも、コンクリート製の蓋からなってもよい。
【0031】
また、振動発電機3は、側溝蓋2に取り付けられなくとも、側溝蓋2の振動を受けることができるのであれば、側溝1に取り付けられてもよい。
【0032】
また、以上に示す側溝装置4とか蓋装置9は、側溝1を対象としたものであるが、この構造を、集水桝を対象として用いても構わない。すなわち、発電機能付きの集水桝装置は、上方に開口する開口部を有する集水桝と、前記開口部を覆う桝蓋と、路上の通行物または通行人による前記桝蓋の振動を受けるように配備された振動発電機とを備える。そして、集水枡用の発電機能付きの蓋装置は、集水枡の前記開口部を覆う蓋としての桝蓋と、路上の通行物または通行人による前記桝蓋の振動を受けるようにその桝蓋に取り付けられた振動発電機とを備える。そして、これら発電機能付きの集水桝装置や集水枡用の発電機能付きの蓋装置においても、桝蓋をグレーチングとしたり、弾性部材8や配線通路1eを設ける等により、上述の側溝装置4や蓋装置9と同様の構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 側溝
1a 開口部
1e 配線通路
2 側溝蓋(蓋)
201 グレーチング
3 振動発電機
4 側溝装置
8 弾性部材
9 蓋装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する開口部を有する側溝と、前記開口部を覆う側溝蓋と、路上の通行物または通行人による前記側溝蓋の振動を受けるように配備された振動発電機とを備える、発電機能付きの側溝装置。
【請求項2】
前記側溝と前記側溝蓋との間には、その側溝蓋を上方に弾性的に付勢する弾性部材が配備されている、請求項1に記載の発電機能付きの側溝装置。
【請求項3】
前記側溝には、前記振動発電機によって発電された電気を送るための、孔または溝からなる配線通路が設けられている、請求項1または2に記載の発電機能付きの側溝装置。
【請求項4】
前記振動発電機は、前記側溝蓋に取り付けられてなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電機能付きの側溝装置。
【請求項5】
前記側溝蓋は、グレーチングからなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発電機能付きの側溝装置。
【請求項6】
上方に開口する開口部を有する集水桝と、前記開口部を覆う桝蓋と、路上の通行物または通行人による前記桝蓋の振動を受けるように配備された振動発電機とを備える、発電機能付きの集水桝装置。
【請求項7】
上方に開口する開口部を有する側溝または集水枡の前記開口部を覆う蓋と、路上の通行物または通行人による前記蓋の振動を受けるようにその蓋に取り付けられた振動発電機とを備える、側溝または集水桝用の発電機能付きの蓋装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−42953(P2011−42953A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190974(P2009−190974)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(593159903)株式会社宝機材 (16)
【Fターム(参考)】