発電装置
【課題】使用に伴う発電効率の低下が起こりにくく、小型化に寄与しうる発電装置の提供。
【解決手段】発電装置2は、回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部4と、上記回転が可能なように上記本体部4を支持する支持部6と、上記本体部4の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機8とを備えている。上記本体部4が流路形成体を有している。この流路形成体の内面14が、流路12を形成している。上記流路形成体の内面14が、上記流路12を流れる液体の衝突によって上記本体部4の上記回転を生じさせるトルク発生面T1を有している。好ましくは、上記流路形成体が管状体10である。好ましくは、上記内面14がこの管状体10の内面である。好ましくは、上記流路形成体の上記内面14において、上記トルク発生面T1とそれ以外の部分とが段差なく連続している。
【解決手段】発電装置2は、回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部4と、上記回転が可能なように上記本体部4を支持する支持部6と、上記本体部4の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機8とを備えている。上記本体部4が流路形成体を有している。この流路形成体の内面14が、流路12を形成している。上記流路形成体の内面14が、上記流路12を流れる液体の衝突によって上記本体部4の上記回転を生じさせるトルク発生面T1を有している。好ましくは、上記流路形成体が管状体10である。好ましくは、上記内面14がこの管状体10の内面である。好ましくは、上記流路形成体の上記内面14において、上記トルク発生面T1とそれ以外の部分とが段差なく連続している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。詳細には、本発明は、液体の流れを利用する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の流れを利用する発電装置が知られている。特開2005−113893号公報は、円筒内に装着した螺旋状板に水力等を通す発電装置を開示する。特開平8−237997号公報は、一時貯留槽から放水された排水により回転可能な水車を設けた排水利用発電装置を開示する。特公昭63−4025号公報は、配管系を流れる流体のエネルギーから電気エネルギーを発生する発電装置を開示する。この発電装置は、タービン外側リムに取り付けた複数の翼を持つタービンを有している。
【0003】
特開2011−74808号公報は、円筒本体の内側に取り付けられた螺旋状板を有する傾斜型水力発電装置を開示する。特開2006−152711号公報は、排水管の内周面に沿って流れる排水に衝突する翼と、この翼に排水が衝突することにより回動するように構成されたタービンとを有する排水管構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−113893号公報
【特許文献2】特開平8−237997号公報
【特許文献3】特公昭63−4025号公報
【特許文献4】特開2011−74808号公報
【特許文献5】特開2006−152711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献では、翼、螺旋状板等が用いられており、構造が複雑である。この場合、翼等の部分に、異物、汚れ、藻等が付着しやすい。更に、翼部材と他部材との接合部分にも、異物、汚れ、藻等が付着しやすい。これらの付着物は、液体の流れを不良とし、発電効率を低下させる。更に、上記の複雑な構造は、小型化への障害となる。また、これらの複雑な構造は、発電装置の製造コストを上昇させる。
【0006】
本発明の目的は、使用に伴う発電効率の低下が起こりにくく、小型化に寄与しうる発電装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発電装置は、回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部と、上記回転が可能なように上記本体部を支持する支持部と、上記本体部の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機とを備えている。上記本体部は流路形成体を有している。この流路形成体の内面が、流路を形成している。上記流路形成体の内面が、上記流路を流れる液体の衝突によって上記本体部の上記回転を生じさせるトルク発生面を有している。
【0008】
好ましくは、上記流路形成体は管状体である。好ましくは、上記内面がこの管状体の内面である。
【0009】
好ましくは、上記流路形成体の上記内面において、上記トルク発生面とそれ以外の部分とが段差なく連続している。
【0010】
好ましくは、上記トルク発生面が、上記回転軸R1に対して傾斜した傾斜面を有している。
【0011】
好ましくは、上記流路の中心軸線Z1が曲がっている。
【0012】
好ましくは、上記回転軸R1が上記トルク発生面に交わっている。
【0013】
本願では、上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面が存在する位置での上記内面の断面線Lx1が定義される。このとき、好ましくは、回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx1が、一本の無端の線のみからなる。
【0014】
本願では、上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面の断面線Lx2が定義される。このとき、好ましくは、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2が、曲率半径が5mm以上の線のみからなる。
【0015】
好ましくは、上記本体部が管状体を有している。好ましくは、上記発電機が、上記本体部の上記回転軸R1と交わる位置に配置されている。好ましくは、上記発電機の上記配置が可能となるように、上記管状体が曲げられている。
【0016】
好ましくは、上記支持部が、筐体と、この筐体に取り付けられた軸受とを有している。好ましくは、上記軸受は、上記回転が可能なように上記本体部を支持している。好ましくは、上記筐体は、上記回転を阻害しない状態で上記本体部を覆っている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る発電装置では、使用に伴う発電効率の低下が起こりにくい。更にこの発電装置は、小型化に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る発電装置の一部断面斜視図である。
【図2】図2は、図1の発電装置の断面図である。
【図3】図3は、図2の一部が拡大された断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態で用いられている本体部の斜視図である。
【図5】図5は、図3の円A内の拡大図である。
【図6】図6は、図5の実施形態の第1変形例である。
【図7】図7は、図5の実施形態の第2変形例である。
【図8】図8は、トルク発生面の角度βを説明するための図である。
【図9】図9(a)は、図2のF9−F9線に沿った断面図である。図9(b)は、図9(a)から断面線Lx1(断面線Lx)を抽出した図である。図9(c)は、断面線Lx2の変形例を示す。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図13】図13は、補助部材の一例が記載された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0020】
なお本願において、本体部の回転軸がR1とされ、発電機の回転軸がG1とされる。
【0021】
図1は、本発明に係る発電装置2の断面が示された斜視図であり、図2は発電装置2の断面図である。図3は、図2の一部拡大図である。発電装置2は、本体部4、支持部6及び発電機8を有している。
【0022】
図4は、本体部4の斜視図である。本体部4は、流路形成体としての管状体10を有している。管状体10は、流路12を形成している。液体は流路12を流れる。液体は重力によって流れる。管状体10は、外面13と内面14とを有する。管状体10の外面13は、流路形成体の外面の一例である。外面13は、流路形成体の外面の一例である。内面14に、トルク発生面T1が設けられている。なお、流路形成体は、流路を有していれば良く、管状体に限定されない。流路形成体の外形は限定されない。
【0023】
内面14の内側は、空洞である。内面14の内側には、タービン、翼状部材、螺旋状部材等は存在しない。
【0024】
更に本体部4は、円盤体15を有する(図4参照)。円盤体15は、環状部16と、内側円筒部17とを有する。環状部16は、外周面18を有する。外周面18は、支持部6によって回転可能に支持されている。円盤体15は、管状体10と一体である。
【0025】
また、発電装置2は、中心管状部19を有する。中心管状部19は、本体部4の回転軸R1に沿って配置されている。中心管状部19は、本体部4の管状体10を貫通している。管状体10には、中心管状部19を通すための中空部21が設けられている。回転中の本体部4は中心管状部19に接触しない。
【0026】
管状体10(流路形成体)は、入口側の開口k1と、出口側の開口k2とを有する。開口k1は真円形である。開口k2は真円形である。回転軸R1は、開口k1の中心点を通る。回転軸R1は、開口k2の中心点を通る。
【0027】
更に、管状体10は、流入部20、排出部22及び中間部24を有する。流入部20は円筒である。流入部20の内面の中心軸線は、本体部4の回転軸R1に一致している。流入部20の内面の断面形状は真円である。排出部22は円筒である。排出部22の内面の中心軸線は、本体部4の回転軸R1に一致している。排出部22の内面の断面形状は真円である。中間部24は、流入部20と排出部22との間の部分である。
【0028】
図2には、内面14の中心軸線Z1が示されている。この中心軸線Z1は、内面14の断面線Lxの図心の集合である。この断面線Lxを求めるときの断面は、回転軸R1に対して垂直な平面とされる。図2が示すように、中心軸線Z1は曲がっている。
【0029】
流入部20において、中心軸線Z1は回転軸R1に一致している。排出部22において、中心軸線Z1は回転軸R1に一致している。一方、中間部24において、中心軸線Z1は回転軸R1とは一致していない。即ち中間部24において、中心軸線Z1は回転軸R1からズレている。
【0030】
流入側の外部配管35を通ってきた液体は、流入部20から流路12に流れ込む。この液体は、流入部20から中間部24へと流れ、排出部22に至る。この液体は、排出部22から、流路12の外部に排出される。排出された液体は、補助配管36を通過して、排出側の外部配管(図示省略)に流れ込む。外部配管35は、例えば、一戸建て住宅又は集合住宅に設置された排水管である。典型的な外部配管35の材質は、塩化ビニル樹脂又はABS樹脂であり、より一般的には塩化ビニル樹脂である。
【0031】
支持部6は、筐体25と軸受26とを有する。筐体25は、全体として略円筒状を呈する。筐体25は、発電装置2を覆っている。筐体25の内部には、回転する本体部4に接触しないための空間が設けられている。筐体25は、本体部4の回転を阻害しない。
【0032】
筐体25は、本体27と上蓋28とを有する。上蓋28は、円盤部29、円筒部30及び上側開口部31を有する。円盤部29は、筐体25の上面を構成している。上側開口部31は、円盤部29の中央に設けられている。上側開口部31は円筒状である。上側開口部31は上側に突出している。上側開口部31は、流入側の外部配管35に接続されている。この接続には、接着剤による接着が用いられている。
【0033】
筐体25の本体27は、底面部32,円筒部33及び下側開口部34を有する。下側開口部34は円筒状である。下側開口部34は下方に突出している。下側開口部34は、底面部32の中央に配置されている。下側開口部34は、補助配管36を介して、外部配管35に接続されている。下側開口部34と補助配管36との接続には、接着剤による接着が用いられている。補助配管36は、外部配管35へと液体を流通させるとともに、発電機8の配線38を通すために設けられている。配線38は、発電装置2の外部に至っているのが好ましい。この場合、他の電気機器や蓄電池等との接続が容易とされうる。なお図2では配線38の記載が省略されている。
【0034】
軸受26は、筐体25の内周面に設けられている。より詳細には、軸受26は、円筒部33の内周面に設けられている。軸受26は、外輪40と、内輪42と、転動体44とを有する。外輪40は、筐体25の内面に固定されている。内輪42は、本体部4の外面に固定されている。より詳細には、内輪42は、前述した外周面18に固定されている。転動体44は、外輪40の軌道面と内輪42の軌道面との間に配置されている。本実施形態では、軸受26として、ころ軸受が例示されている。
【0035】
前述した通り、上側開口部31及び下側開口部34において、筐体25は外部配管35に接合されている。この接合によって、筐体25は、外部配管35に固定されている。この筐体25と本体部4との間に軸受26が介在している。このように、支持部6としての軸受26及び筐体25が、本体部4を回転可能に支持している。
【0036】
本体部4は、外部配管35に接触していない。回転中において、本体部4は外部配管35に接触しない。また本体部4は、補助配管36に接触していない。これらの非接触により、回転抵抗が抑制され、発電効率が向上している。なお、後述するように、本体部4の回転が確保される限り、本体部4が外部配管35又は補助配管36に接触していてもよい。
【0037】
発電機8は、永久磁石50とコイル52とを有する。永久磁石50は、半円筒形状のN極体と、半円筒形状のS極体とを有する。永久磁石50は、本体部4に固定されている。より詳細には、永久磁石50は、内側円筒部17の内周面に固定されている。コイル52は、中心管状部19の外周面に固定されている。コイル52は、中心管状部19によって支持されている。
【0038】
このコイル52は、中心管状部19に対して着脱可能である。コイル52はネジ機構によって中心管状部19に取り付けられる。このネジ機構は、施行現場での作業を容易としうる。なお、コイル52を内側円筒部17の内周面に固定し、永久磁石50を中心管状部19の外周面に固定することも可能である。
【0039】
中心管状部19は、補助配管36の内部に設けられた内部管54に固定されている。内部管54は、中心管状部19と接着されているセンター部56と、このセンター部56と外部とを連結する連結部58とを有する。配線38(図1参照)は、中心管状部19及び内部管54を通って外部に至る。配線38は、電気機器、蓄電池等に接続されうる。
【0040】
永久磁石50は、本体部4と共に回転する。一方、コイル52は回転しない。本体部4の回転に伴い、永久磁石50とコイル52との間で相対回転が生じる。この相対回転により、電気が発生する。この電気は、電気機器、蓄電池等に供給されうる。
【0041】
筐体25は、位置決め用の突出部70を有している。この突出部70は、円筒部33の内面に設けられている。この突出部70は、軸受26を下方から支持している。突出部70により、軸受26の位置決めが精度良く達成される。更に、前述の通り、筐体25の上蓋28は、円筒部30を有している。この円筒部30の下端72は、軸受26に当接している。この当接によって、軸受26が精度よく位置決めされる。軸受26は、突出部70と円筒部30とによって上下から挟まれている。よって軸受26は精度よく位置決めされている。円筒部30に代えて、筐体25とは別体のスペーサーが用いられても良い。
【0042】
前述した通り、内面14は、トルク発生面T1を有している。トルク発生面T1は、流路12を流れる液体の衝突によってトルクを発生しうる。このトルクは、本体部4の回転軸R1回りのトルクである。このトルクは、回転軸R1の周方向に沿った力である。このトルクは、本体部4を回転させうる。この回転の中心軸は、回転軸R1である。この回転軸R1は、軸受26の回転軸と一致している。
【0043】
流路12を流れる液体は、おおよそ、中心軸線Z1に略沿って流れる。よって好ましくは、トルク発生面T1は、中心軸線Z1に沿って流れる液体の衝突によって、回転軸R1回りのトルクを生じうる。トルク発生面T1は、内面14の中心軸線Z1に対して傾斜している。トルク発生面T1は、流路12を流れる液体が衝突しうるように配向している。トルク発生面T1は、下流側にいくほど回転軸R1に近づく部分を有している。
【0044】
本実施形態では、回転軸R1が鉛直方向に一致している。この場合、好ましくは、トルク発生面T1は、鉛直方向に沿って流れる液体の衝突によって、回転軸R1回りのトルクを生じうる。この場合、重力によって鉛直方向に流れる液体の運動エネルギーが効率良く電気エネルギーに変換されうる。
【0045】
本実施形態において、トルク発生面T1は平面である。トルク発生面T1の形状は限定されない。トルク発生面T1は平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0046】
内面14は、翼状の突出物を有さない。内面14は、凹凸を有さない。内面14は、突起を有さない。内面14において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは段差なく連続している。流路12のあらゆる位置において、内面14の断面線Lx(前述)は、凸部を有さない。流路12のあらゆる位置において、内面14の断面線Lx(前述)は、凹部を有さない。内面14は比較的単純な形状であるため、液体の流れを妨げにくい。よって、液体の運動エネルギーが有効に活用され、発電効率が向上しうる。更に、内面14には、異物の付着及び藻の発生が起こりにくい。よって流路12における良好な流れが維持されやすく、発電効率が低下しにくい。更に、メンテナンスが容易である。また、構造が単純とされうるため、発電装置2の小型化に寄与しうる。小型の発電装置は、一戸建て住宅、集合住宅、工場等において、小規模発電を可能とする。
【0047】
トルク発生面T1には凹部は存在しない。トルク発生面T1には凸部は存在しない。トルク発生面T1は、その全体が滑らかに連続した面である。よってトルク発生面T1において、異物の付着及び藻の発生は起こりにくい。
【0048】
トルク発生面T1には、重力の存在下において液体が溜まるような部分は存在しない。よってトルク発生面T1において、異物の付着及び藻の発生は起こりにくい。
【0049】
本実施形態では、トルク発生面T1は、回転軸R1に対して傾斜した傾斜面である。この傾斜面は、上記トルクを発生しうるように傾斜している。トルク発生面T1と発生するトルクとの関係について、詳細は後述される。
【0050】
本実施形態では、トルク発生面T1は、管状体10の曲がりを利用して形成されている。トルク発生面T1は、中心軸線Z1の曲がりの外側に位置しているため、多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすい。また、この曲がりは、液体に遠心力を付与しうる。中心軸線Z1に沿って流れる液体に作用する遠心力がCFとされるとき、トルク発生面T1は、この遠心力CFが作用しうる位置に設けられている。この遠心力CFにより、液体がトルク発生面T1に与える力が増大しうる。これらは、発電効率の向上に寄与しうる。
【0051】
多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点から、流入部20の中心軸線がトルク発生面T1と交わるのが好ましい。多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点からは、回転軸R1がトルク発生面T1と交わるのが好ましい。
【0052】
多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点から、入口側の開口k1の上側に光源を設けて、この光源からの光を開口k1の全体に照射したとき、この光源からの直接光の少なくとも一部はトルク発生面T1に当たるのが好ましい。この直接光の方向は、流入部20の中心軸線に沿った方向である。また、この直接光の方向は、回転軸R1に沿った方向である。開口k1を通過した直接光のうち、トルク発生面T1に当たる直接光の割合Rxは、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。この割合Rxは100%であってもよい。なお、ここで「直接光」としたのは、内面14等によって反射した光を含まない趣旨である。
【0053】
流路(中心軸線Z1)の曲がりは、トルク発生面T1への液体の衝突率を高めつつ、流路の断面積を広げるのに寄与している。即ち、流路の曲がりに起因して、液体が衝突しやすいトルク発生面T1が設けられつつ、流路が過度に狭くならない。流路の断面積が確保されているため、液体の流れが円滑となる。よって、液体の運動エネルギーが損なわれにくく、発電効率が向上しうる。この観点から、流路の断面積変化率Cxは、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、0%が最も好ましい。この変化率Cxは次の式によって計算されうる。
Cx(%)=[(Dmax−Dmin)/Dmax]×100
ただし、Dmaxは、流路全体における断面積の最大値であり、Dminは、流路全体における断面積の最小値である。流路の断面積は、中心軸線Z1に垂直な平面による断面において測定される。
【0054】
本実施形態では、発電機8は、回転軸R1と交わる位置に配置されている。更に本実施形態では、発電機8の回転軸G1が、回転軸R1と一致している。よって、トルク発生面T1において発生したトルクが効率よく発電機8に伝達されうる。
【0055】
このような発電機8の配置が可能となるように、管状体10(流路形成体)は曲げられている。よって発電機8を発電装置2の中央部に配置することができる。この配置は、発電装置2の小型化、発電装置2の外観の向上及び発電機8の保護に寄与しうる。更にこの管状体10(流路形成体)の曲がりにより、トルク発生面T1に衝突する液体が増加しうる。よって発電効率が向上しうる。
【0056】
本実施形態では、筐体25及び軸受26によって本体部4が回転可能に支持されている。筐体25は、本体部4の回転を阻害しない。筐体25は、本体部4及び発電機8を保護しうる。筐体25は、回転する本体部4と人体等との衝突を防止しうる。筐体25は、発電装置2の外観を良好とし、発電装置2の商品価値を高めうる。
【0057】
図5は、図3において符号Aで示された2点鎖線の円内の拡大図である。本体部4の回転抵抗を小さくする観点から、本体部4(管状体10)は外部配管35から離れている。即ち本体部4(管状体10)と外部配管35とは互いに非接触である。図5において符号D1で示されているのは、本体部4(管状体10)と外部配管35との離間距離である。臭気が洩れるのを抑制する観点からは、離間距離D1は狭いのが好ましい。ただし、離間距離D1が狭すぎると、発電装置2の製造時及び施工時における要求精度が過度に高くなり、コストが向上しうる。これらの観点を考慮して、適切な離間距離D1が設定されうる。
【0058】
図5において符号D2で示されるのは、本体部4と外部配管35(又は補助配管36)とのオーバーラップ長さである。臭気の洩れを抑制する観点からは、長さD2は長い方が好ましい。ただし長さD2が過大である場合、発電装置2の小型化が阻害されうる。また、偏心誤差を考慮すると、長さD2が過大である場合、非接触を確保するために離間距離D1を増やす必要が生じることがある。これらの点を考慮して、長さD2は適切に設定されるもので、長さD2の下限は5mm以上、更に10mm以上、特に20mm以上がよく、また長さD2の上限については100mm以下、更に50mm以下、特に30mm以下とするのがよい。
【0059】
臭気の洩れを抑制する観点から、図5の実施形態に変えて、図6又は図7に示される変形例が採用されてもよい。
【0060】
図6は、第1変形例を示す。この実施形態では、外部配管35(又は補助配管36)の外周面に第1凹凸体80が設けられる。更に、本体部4(管状体10の内周面)に第2凹凸体82が設けられる。第1凹凸体80は、1以上(好ましくは2以上)の凸と、1以上(好ましくは2以上)の凹とを有する。第2凹凸体82は、1以上(好ましくは2以上)の凸と、1以上(好ましくは2以上)の凹とを有する。第1凹凸体80の凹部に第2凹凸体82の凸部が入り込んでいる。第1凹凸体80の凸部が第2凹凸体82の凹部に入り込んでいる。これら第1凹凸体80と第2凹凸体82との噛み合いによって、細く且つ入り組んだ隙間が形成されている。よって、臭気の洩れが効果的に抑制されうる。また、本体部4の回転中に、第1凹凸体80と第2凹凸体82とは接触しない。よって本体部4の回転抵抗は抑制されている。好ましくは、第1凹凸体80及び第2凹凸体82は、ゴムのような変形しやすい材質とされる。この変形により、凹凸を噛み合わせた上記構成が容易に形成されうる。この図6のような構成は、ラビリンスシールと称されることがある。
【0061】
図7は、第2変形例を示す。この実施形態では、磁性流体シール84が用いられている。この磁性流体シール84は、第1の磁極片86、第2の磁極片88、磁石90及び磁性流体92を有する。磁極片86及び磁極片88は金属製のリングである。好ましくは、磁極片86及び磁極片88の材質は、透磁率の高い金属である。磁石90には、プラスチック磁石又はゴム磁石が好適に用いられ得る。磁場回路の磁場により、磁性流体92はOリングの形態で保持される。この磁性流体シール84により、回転抵抗を抑えつつ、シーリングが達成されうる。なお、磁場回路の形成の観点から、外部配管35が非磁性体である場合、磁性体94を外部配管35に配置するのが好ましい。
【0062】
なお、図6及び図7のようなシール機構は、本体部4の上流側の隙間のみならず、本体部4の下流側の隙間(補助配管36と本体部4との隙間)にも当然に用いられ得る。
【0063】
[トルク発生面T1の角度α]
図3において両矢印αで示されているのは、回転軸R1に対するトルク発生面T1の傾斜角度である。この角度αは、回転軸R1を含む仮想平面H1による断面において測定される。より詳細には次の通りである。この角度αの定義では、上記回転軸R1を含む仮想平面H1が考慮される。この仮想平面H1は多数存在するが、トルク発生面T1上の一つの点P1を通る仮想平面H1は一つに決まる。更に、この角度αの定義では、上記仮想平面H1を断面とする上記トルク発生面T1の断面線L1が考慮される。上記点P1における上記角度αは、上記点P1を通る上記断面線L1と上記回転軸R1との成す角度である。トルク発生面T1が曲面である場合、上記断面線L1は、上記点P1における接線とされうる。この角度αは、トルク発生面T1上の各点のそれぞれにおいて定まる。
【0064】
流体から受ける力を増大させ、発生するトルクを大きくする観点から、角度αは、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が更に好ましい。この角度αが過大である場合、流路において詰まりが発生しやすい。また、この角度αが過大である場合、発生するトルクがかえって小さくなる。これらの観点から、この角度αは、60度以下が好ましく、45度以下がより好ましく、35度以下が更に好ましい。上記実施形態では、角度αは35度とされている。
【0065】
[トルク発生面T1の角度β]
図8は、角度βを説明するための図である。図8では、トルク発生面T1が破線ハッチングで示されている。この角度βの定義では、上記回転軸R1を中心軸とし且つトルク発生面T1上の点P1を含む仮想円筒面C1が考慮される。この仮想円筒面C1の半径rは、上記点P1の位置によって変化する。この半径rは、回転軸R1と点P1との距離に等しい。更に、この角度βの定義では、上記仮想円筒面C1の周方向S1、及び、上記仮想円筒面C1を断面とする上記トルク発生面T1の断面線L2が考慮される。上記角度βは、上記周方向S1と上記断面線L2との成す角度である。この角度βは、仮想円筒面C1を展開して平面C2とした上で測定される。この平面C2においては、上記周方向S1は直線となる。この平面C2において断面線L2が曲線である場合、角度βは、上記点P1における接線に基づき測定される。この角度βは、プロペラ等における迎え角に相当しうる。この角度βは、トルク発生面T1上の各点のそれぞれにおいて定まる。
【0066】
発生するトルクを大きくする観点から、角度βは、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が更に好ましい。この角度βが過大である場合、流路において詰まりが発生しやすい。また、この角度βが過大である場合、流路の形状又は本体部の形状が複雑となり、製造コストが増加しやすい。これらの観点から、この角度βは、45度以下が好ましく、35度以下がより好ましく、30度以下が更に好ましい。
【0067】
発電効率の観点から、上記角度αの好ましい範囲は、以下に定義される点P(M)において充足されているのが好ましい。更に、発電効率の観点から、上記角度βの好ましい範囲は、以下に定義される点P(M)において充足されているのが好ましい。特に、トルク発生面T1が平面で構成されている場合に、これらの点P(M)に関する規定は有効である。
【0068】
上記点P(M)の定義は次の通りである。この点P(M)を定義するために、点M、仮想平面H1(M)及び断面線L1(M)が定義される。点Mは、上記中心軸線Z1上の点のうち、回転軸R1からの距離が最大である点である。仮想平面H1(M)は、この点Mを通る上記仮想平面H1である。断面線L1(M)は、仮想平面H1(M)とトルク発生面T1との交線である。このとき、点P(M)は、断面線L1(M)の、回転軸R1方向における中点である。
【0069】
上記の通り、上記角度α及び角度βは、トルク発生面T1上のあらゆる点P1のそれぞれにおいて決定されうる。この点に鑑み、発電効率の観点から、次の(A)が好ましく、(B)がより好ましい。
【0070】
(A)トルク発生面T1の全体における角度αの平均値がα1とされるとき、この平均値α1が、角度αに関する前述の好ましい数値範囲を満たす。更に、トルク発生面T1の全体における角度βの平均値がβ1とされるとき、この平均値β1が、角度βに関する前述の好ましい数値範囲を満たす。
【0071】
(B)トルク発生面T1上のあらゆる点P1において、角度αが、前述の好ましい数値範囲を満たす。更に、トルク発生面T1上のあらゆる点P1において、角度βが、前述の好ましい数値範囲を満たす。
【0072】
図9(a)は、図2のF9−F9線に沿った断面図である。この断面図では、回転軸R1は一つの点で示される。ここでは、トルク発生面T1により生ずるトルクが考察される。流体とトルク発生面T1との間の摩擦力は比較的小さいと考えられる。この摩擦力を考慮しない場合、液体の衝突によってトルク発生面T1上の点P1に作用する力F(ベクトル)の方向は、トルク発生面T1に対して垂直である(図9(a)参照)。この力Fは、力Fxと力Fyとに分解されうる。力Fxは、回転軸R1と点P1とを通る直線に沿った方向の力である。力Fyは、この力Fxに対して垂直な方向の力である。この力Fyが、回転軸R1回りのトルクである。即ちこの力Fyが、本体部4の回転の原動力である。
【0073】
図9(a)に示されたトルク発生面T1は、第1領域E1、第2領域E2及び第3領域E3に分割されうる。第1領域E1と第2領域E2とを区画する線は、回転軸R1を通り且つトルク発生面T1に対して垂直な直線である。また、第1領域E1の幅と第2領域E2の幅とは等しい。ここでは、一定の上記力Fがトルク発生面T1の全体に作用すると仮定する。この場合、第1領域E1において生ずる力Fyと、第2領域E2において生ずる力Fyとは互いに打ち消し合う。そうすると、力Fyとしては、第3領域E3から生ずるものだけが残される。第3領域E3で生ずる力Fyは、図9(a)において反時計回りの回転モーメントを生じる。この回転モーメント(トルク)が、本体部4の回転に寄与する。
【0074】
この図9(a)で示されるように、トルク発生面T1の各地点から生ずるトルクが互いに打ち消し合う場合がある。この打ち消し合いが生ずる場合、発電効率が低下しうる。発電効率を高める観点から、以下に定義される一方向トルク占有率(%)が、60%以上であるのが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、100%が特に好ましい。この一方向トルク占有率は、[(X/Y)×100]によって算出される。分母Yは、トルク発生面T1の総面積である。一方、分子Xは、次のように算出される。トルク発生面T1に対して垂直で且つ大きさが一定である力Fをトルク発生面T1の全域に作用させた場合、第1の回転方向(例えば、時計回り)へのトルクを生ずる領域Exと、第2の回転方向(例えば、反時計回り)へのトルクを生ずる領域Eyとが決定されうる。これら領域Ex及び領域Eyのうち、広いほうの領域の面積が、上記分子Xとされる。もちろん、トルク発生面T1が曲面である場合、各地点P1の法線方向が、上記力Fの方向である。
【0075】
ここで、流路形成体の外面13及び内面14の断面形状について説明する。回転軸R1に対して垂直な平面Phは、回転軸R1方向の各位置のそれぞれにおいて定まりうる。よってこの平面Phは無数に定義されうる。この平面Phによる流路形成体の断面Svを考える。図9(a)は、この断面Svの一例である。この断面Svにより、流路形成体の内面14の断面線Lxと、流路形成体の外面13の断面線Lyとが定まる(図9(a)参照)。図9(b)は、断面線Lx(且つ、後述の断面線Lx1)を示す。本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、一本の無端の線のみによって構成されている(図9(b)参照)。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、凹部を有さない。このような内面形状により、異物の付着や藻の発生が効果的に抑制される。よって、発電効率が効果的に維持されうる。
【0076】
トルク発生面T1が存在する範囲の上記断面Svが、断面Sv1とされる。図9(a)は、断面Sv1の一例である。この断面Sv1により、流路形成体の内面14の断面線Lx1と、流路形成体の外面13の断面線Ly1とが定まる。断面線Lx1は、トルク発生面T1の断面線Lx2を含む。 図9(b)は、断面線Lx1でもある。
【0077】
本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、一本の無端の線のみによって構成されている(図9(b)参照)。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、凹部を有さない。このような内面形状により、異物の付着や藻の発生が効果的に抑制される。よって、発電効率が効果的に維持されうる。
【0078】
本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、一本の無端の線のみによって構成されている。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、凹部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、断面線Lx1の相似形である。このような外面形状により、流路形成体の肉厚が最小限とされうる。これは、本体部の軽量化に寄与しうる。本体部の軽量化は、発電効率の向上に寄与しうる。
【0079】
上記断面線Lx1のうち、トルク発生面T1の断面線がLx2とされる(図9(a)及び図9(b)参照)。この断面線Lx2は、断面線Lx1の一部である。発電効率及びその維持の観点から、この断面線Lx2は、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、滑らかに連続している線のみで構成されているのが好ましい。
【0080】
発電効率及びその維持の観点から、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、凸部を有さないのが好ましい。この好ましい形態は、断面線Lx2の全体が凸形状となっている形態を排除していない。
【0081】
発電効率及びその維持の観点から、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、凹部を有さないのが好ましい。この好ましい形態は、断面線Lx2の全体が凹形状となっている形態を排除していない。
【0082】
この断面線Lx2は、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、曲率半径が5mm以上の線のみからなるのが好ましく、曲率半径が10mm以上の線のみからなるのがより好ましく、曲率半径が20mm以上の線のみからなるのが更に好ましい。もちろん、断面線Lx2においてこの曲率半径が変化していてもよい。また、この曲率半径は無限大であってもよい。トルク発生面T1が平面である場合、断面線Lx2は直線であり(図9(b)参照)、この曲率半径は無限大である。このような断面線Lx2の形状により、トルク発生面T1への異物の付着や藻の発生が効果的に抑制され、発電効率が維持されやすい。
【0083】
また、発電効率の観点から、断面線Lx2は、以下の(X)又は(Y)であるのが好ましい。
(X)直線
(Y)断面線Lx2の両端を結んだ直線がLQとされるとき、断面線Lx2は、直線LQよりも内側に突出しない凹形状である。図9(c)は、この凹形状の一例を示す。この凹形状の曲率は、一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0084】
図9(c)において符号D3で示されるのは、断面線Lx2上の点と直線LQとの距離(最短距離)である。上記(Y)の場合、発電効率の観点から、距離D3の最大値は、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mmが特に好ましい。
【0085】
本体部及び流路形成体の製造方法は限定されない。この製造方法として、鋳造、ダイカスト、鍛造、射出成形等が例示される。本体部及び流路形成体は、一体成形された複数の部材が接合されていてもよい。流路形成体が管状体である場合、この管状体は、成形されたパイプ状部材を塑性加工(曲げ加工等)することで作成されてもよい。本体部及び流路形成体の材質として、金属及び樹脂が例示される。樹脂として、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂及びCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が例示される。金属として、鋼及びアルミニウム合金が例示される。鋼として、ステンレス鋼及び一般構造用鋼が例示される。発電効率を高めるには、非回転状態の本体部4が回転し始めるのに最小限必要なトルクを小さくすることが有効である。この観点からは、本体部4の軽量化が重要である。この軽量化を考慮して、本体部4の材質が選択されてもよい。
【0086】
図10は、第2実施形態に係る発電装置96の断面図である。この発電装置96は、第2のトルク発生面T1が追加された他は、前述された発電装置2と同じである。上側に位置する第1のトルク発生面T1と、下側に位置する第2のトルク発生面T1とは、中心軸線Z1の曲がりの外側に位置する。よって、いずれのトルク発生面T1にも、流体が衝突しやすい。また、いずれのトルク発生面T1にも、上記遠心力CFが作用しうる。流路を流れる液体の衝突によって、これら第1及び第2のトルク発生面T1は、同じ回転方向のトルクを生じうる。つまり、流路を流れる液体の衝突によって、複数のトルク発生面T1から、同一の回転方向のトルクが生じうるように、トルク発生面T1の配向が設定されている。同一の回転方向のトルクを生じうる複数のトルク発生面T1によって、発電効率が更に向上しうる。
【0087】
図11は、第3実施形態に係る発電装置100の断面図である。発電装置100は、本体部102、軸受104、接合体106及び発電機108を有している。本体部102は、流路形成体である。この本体部102は、全体として略円筒状であるが、その内面110に凸部112を有している。軸受104は、接合体106と本体部102との間に配置されている。なお図11では、軸受104が簡略的に示されている。
【0088】
本実施形態では、発電機108は複数である。複数の発電機108は、本体部102の周囲に配置されている。発電機108は、本体114と回転子116とを有する。回転子116は、滑り防止部材118を介して、本体部102に当接している。本体114には、図示されない永久磁石とコイルとが内蔵されている。本体部102が回転軸R1回りに回転すると、回転子116が回転軸G1回りに回転する。この回転は、回転子116と部材118との間に作用する摩擦力に起因する。摩擦力に代えて、歯車機構のような機械的回転伝達機構が採用されてもよい。回転子116が回転すると、上記永久磁石と上記コイルとが相対回転する。この相対回転により電気が発生する。本実施形態では、発電機108の回転軸G1は、回転軸R1と一致していない。回転軸G1と回転軸R1とは平行である。
【0089】
接合体106は、円筒部120と突出部122とを有する。円筒部120の内周面は、外部配管35に固定されている。この固定の方法は、接着剤による接着である。突出部122はフランジ状である。この突出部122に発電機108が固定されている。これらの発電機108は、回転軸R1回りに回転可能な状態で本体部102を支持する役割をも果たしている。つまり発電機108は、上記支持部の役割をも果たしうる。この観点からは、複数の発電機108は、回転軸R1の周方向において等間隔で配置されるのが好ましい。
【0090】
内面110には、複数のトルク発生面T1が設けられている。凸部112における上側の面がトルク発生面T1である。第1のトルク発生面T1と第2のトルク発生面T1との間で、上下方向位置が相違する。この相違により、内面110の断面面積が狭くなりにくいので、円滑な流れが維持されやすい。また、第1のトルク発生面T1と第2のトルク発生面T1とは、同じ回転方向のトルクを発生しうる。即ち、複数のトルク発生面T1の全てが、同じ回転方向のトルクを発生しうる。よって、発電効率が向上しうる。
【0091】
この発電装置100では、筐体が不要とされうる。この構成は発電装置100の小型化に寄与しうる。この発電装置100では、本体部102が軽量化されうる。この軽量化により、本体部102を回転させるのに最低限必要なトルクを下げることが可能である。よって、発電効率が向上しうる。この構成は軸受の小型化に寄与しうる。軸受の小型化は製造コストを低下させうる。
【0092】
本体部104の内面は、翼状の突出物を有さない。本体部104の内面において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは段差なく連続している。本体部104の内面において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは滑らかに連続している。流路のあらゆる位置において、本体部104の内面の断面線Lx(前述)は、凹部を有さない。本体部104の内面では、異物の付着及び藻の発生が起こりにくい。よって良好な流れが維持されやすく、発電効率が低下しにくい。更に、メンテナンスが容易である。
【0093】
図12は、第4実施形態に係る発電装置124の断面図である。内面14に案内面126が設けられている他は、発電装置124は、前述の発電装置2と同様である。案内面126は、トルク発生面T1の下端TLよりも上側に設けられている。案内面126は、トルク発生面T1の上端THと下端TLとに基づいて決定される中間位置TMよりも上側に設けられている。この案内面126は、傾斜面である。この案内面126は、下方にいくほど回転軸R1に近づくように傾斜している。この案内面126は、下方にいくほどトルク発生面T1に近づくように傾斜している。この案内面126は、回転軸R1と平行な内面と比較して、トルク発生面T1に衝突する液体の量又は圧力を増加させうる(図12の2点鎖線矢印参照)。案内面126は、周方向の全体に設けられても良いし、周方向の一部に設けられても良い。また、案内面126は、周方向の複数位置に設けられても良い。
【0094】
図12の実施形態とは異なるが、案内面126は、トルク発生面T1の上端THよりも上側に設けられていてもよい。
【0095】
上記仮想平面H1による断面において、内面14の断面線は2本である。即ち内面14の断面線は、第1断面線14a及び第2断面線14bである(図12参照)。第1断面線14a又は第2断面線14bの一方がトルク発生面T1の断面線を含み、他方が案内面126の断面線を含むのが好ましい。図12の実施形態では、第1断面線14aが案内面126の断面線を含み、第2断面線14bがトルク発生面T1の断面線を含んでいる。このような構成により、案内面126によって案内された液体がトルク発生面T1に衝突しやすくなり、発電効率が向上しうる。発電効率の観点から、前述の仮想平面H1(M)が、トルク発生面T1と交わり且つ案内面126と交わるのが更に好ましい。
【0096】
本発明の発電装置は、更に補助部材を備えていても良い。図13は、この補助部材の一例を示す。この図13の実施形態では、前述した発電装置2に加えて、補助部材130が設けられている。この補助部材130は、外部配管35に取り付けられている。補助部材130は、流体をトルク発生面T1に案内しうる案内面132を有する。本実施形態では、この案内面132は、傾斜面である。この案内面132は、下方にいくほど回転軸R1に近づくように傾斜している。この案内面132は円錐凹面である。この案内面132は、周方向の全体に設けられている。この補助部材130は、単純な円筒形の外部配管35と比較して、トルク発生面T1に衝突する液体の量又は圧力を増加させうる(図13の2点鎖線矢印を参照)。補助部材130は、周方向の全体に設けられても良いし、周方向の一部に設けられても良い。発電効率を更に高める観点から、補助部材130は、周方向の全体に設けられるのがより好ましい。この補助部材130は、発電効率を向上させうる。
【0097】
図12及び図13の実施形態は、発電効率を向上させうる。また、図12及び図13の実施形態は、発電効率を高めるための設計を容易としうる。よって、発電装置の小型化及び製造コストの低減に寄与しうる。
【0098】
[回転軸R1の方向]
回転軸R1は、鉛直方向であってもよいし、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。流体の重力エネルギーを効率良く回転エネルギーに変換する観点から、回転軸R1の方向は、鉛直方向に対して±20度以内であるのが好ましく、±10度以内であるのがより好ましい。
【0099】
[液体]
上記流路を流れる液体として、上水、下水その他の排水、雨水等が挙げられる。排水として、家庭排水及び工場排水が例示される。家庭排水として、一戸建て住宅からの排水、集合住宅(マンション等)からの排水が例示される。水以外の液体も用いられうる。
【0100】
液体は、清浄な上水でもよいし、下水等の排水でもよい。本発明では、異物、汚れ、藻等が付着しにくく、発電効率が維持されやすい。この観点から、本発明の発電装置は、これら異物等が付着しやすい環境で用いられるのが好ましい。この観点から、上記液体は、下水等の排水であるのが好ましい。また、前述の通り、この発電装置では、藻が発生しにくい。この観点から、この発電装置2は、藻が発生しやすい環境で使用されるのも好ましい。よって、この発電装置は、太陽光の当たる環境でも好適に用いられ得る。
【0101】
液体には、異物が混合していてもよい。この異物として、油、食物片、髪の毛、水アカ、鉄錆び等が例示される。これらの異物は、従来の発電装置においては、翼等に付着しやすい。この付着は、発電効率を低下させる。本発明の発電装置では、これらの異物は、上記トルク発生面に付着しにくい。よって、使用による発電効率の低下が抑制される。また、これらの異物がトルク発生面に衝突することで、発生するトルクが増大しうる。よって、異物を含む液体は、発電効率の向上に寄与しうる。
【0102】
[発電装置の設置場所]
本発明の発電装置は、流路を流れる液体を取り込める場所に設置される。この場所として、給水管、排水管、ホース、蛇口等が挙げられる。排水管として、戸建て住宅や集合住宅における生活排水の排水管、下水管、雨樋に接続された排水管等が挙げられる。本発明の発電装置は、小型化が可能なため、一戸建て住宅や集合住宅の排水管に好適に取り付けられ得る。また、この発電装置は、自然環境中で生じる液体の流れを利用することもできる。即ちこの発電装置は、河川、湖沼、滝、海等にも設置されうる。この発電装置は、例えばダム、排水溝等に設置されてもよい。
【0103】
本発明の発電装置は、液体(例えば水)を放出する装置に設置されてもよく、例えば、散水用のホース又はスプリンクラーに設置されてもよい。
【0104】
本発明の発電装置は、電気を必要とする給水装置と共に用いられても良い。この場合、発電装置によって得られた電気が、給水装置に供給されうる。この給水装置として、自動灌水タイマーを備えた灌水装置が例示される。乾電池式の灌水タイマーが市販されているが、本発明の発電装置により、乾電池が不要とされうる。
【0105】
本発明の発電装置は、更に蓄電池を備えていても良い。発電された電気が、蓄電池に蓄えられても良い。この蓄電池は、発電装置の内部に設けられてもよし、発電装置の外部に設けられても良い。
【0106】
[軸受]
上記軸受は限定されず、公知の軸受が用いられうる。上記軸受として、転がり軸受、すべり軸受、磁気軸受及び流体軸受が例示される。転がり軸受として、玉軸受、ころ軸受及び針軸受が例示される。ころ軸受として、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受等が挙げられる。汎用性及びコストの観点からは、転がり軸受が好ましく、玉軸受及びころ軸受がより好ましい。
【0107】
軸受の材質として、金属及び樹脂が例示される。この金属として、鋼が例示される。この鋼として、ステンレス鋼及び一般構造用鋼が例示される。耐久性とコストとを考慮すると、金属製の軸受が好ましい。
【0108】
[軸受の配置]
軸受の配置は、前述された発電装置2に記載された形態に限定されない。例えば、図11に示す実施形態のように軸受が配置されてもよい。
【0109】
[発電機]
発電機は限定されず、公知の発電機が用いられうる。一般的な発電機は、永久磁石と導線とを有し、これら永久磁石又は導線が回転する。電磁誘導の法則により、この回転エネルギーが電気エネルギーに変換される。発電機は、直流発電機であってもよいし、交流発電機であってもよい。
【0110】
発電機の磁石の材質として、ネオジウムコバルトが好ましく用いられ得る。ネオジウムコバルトは磁力が強いため、発電効率を向上させうる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明された発電装置は、液体の流れを利用できる場所において用いられうる。
【符号の説明】
【0112】
2・・・発電装置
4・・・本体部
6・・・支持部
8・・・発電機
10・・・管状体
12・・・流路
13・・・流路形成体の外面(管状体の外面)
14・・・流路形成体の内面(管状体の内面)
25・・・筐体
26・・・軸受
35・・・外部配管
36・・・補助配管
T1・・・トルク発生面
R1・・・本体部の回転軸
G1・・・発電機の回転軸
Z1・・・内面の中心軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。詳細には、本発明は、液体の流れを利用する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の流れを利用する発電装置が知られている。特開2005−113893号公報は、円筒内に装着した螺旋状板に水力等を通す発電装置を開示する。特開平8−237997号公報は、一時貯留槽から放水された排水により回転可能な水車を設けた排水利用発電装置を開示する。特公昭63−4025号公報は、配管系を流れる流体のエネルギーから電気エネルギーを発生する発電装置を開示する。この発電装置は、タービン外側リムに取り付けた複数の翼を持つタービンを有している。
【0003】
特開2011−74808号公報は、円筒本体の内側に取り付けられた螺旋状板を有する傾斜型水力発電装置を開示する。特開2006−152711号公報は、排水管の内周面に沿って流れる排水に衝突する翼と、この翼に排水が衝突することにより回動するように構成されたタービンとを有する排水管構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−113893号公報
【特許文献2】特開平8−237997号公報
【特許文献3】特公昭63−4025号公報
【特許文献4】特開2011−74808号公報
【特許文献5】特開2006−152711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献では、翼、螺旋状板等が用いられており、構造が複雑である。この場合、翼等の部分に、異物、汚れ、藻等が付着しやすい。更に、翼部材と他部材との接合部分にも、異物、汚れ、藻等が付着しやすい。これらの付着物は、液体の流れを不良とし、発電効率を低下させる。更に、上記の複雑な構造は、小型化への障害となる。また、これらの複雑な構造は、発電装置の製造コストを上昇させる。
【0006】
本発明の目的は、使用に伴う発電効率の低下が起こりにくく、小型化に寄与しうる発電装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発電装置は、回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部と、上記回転が可能なように上記本体部を支持する支持部と、上記本体部の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機とを備えている。上記本体部は流路形成体を有している。この流路形成体の内面が、流路を形成している。上記流路形成体の内面が、上記流路を流れる液体の衝突によって上記本体部の上記回転を生じさせるトルク発生面を有している。
【0008】
好ましくは、上記流路形成体は管状体である。好ましくは、上記内面がこの管状体の内面である。
【0009】
好ましくは、上記流路形成体の上記内面において、上記トルク発生面とそれ以外の部分とが段差なく連続している。
【0010】
好ましくは、上記トルク発生面が、上記回転軸R1に対して傾斜した傾斜面を有している。
【0011】
好ましくは、上記流路の中心軸線Z1が曲がっている。
【0012】
好ましくは、上記回転軸R1が上記トルク発生面に交わっている。
【0013】
本願では、上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面が存在する位置での上記内面の断面線Lx1が定義される。このとき、好ましくは、回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx1が、一本の無端の線のみからなる。
【0014】
本願では、上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面の断面線Lx2が定義される。このとき、好ましくは、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2が、曲率半径が5mm以上の線のみからなる。
【0015】
好ましくは、上記本体部が管状体を有している。好ましくは、上記発電機が、上記本体部の上記回転軸R1と交わる位置に配置されている。好ましくは、上記発電機の上記配置が可能となるように、上記管状体が曲げられている。
【0016】
好ましくは、上記支持部が、筐体と、この筐体に取り付けられた軸受とを有している。好ましくは、上記軸受は、上記回転が可能なように上記本体部を支持している。好ましくは、上記筐体は、上記回転を阻害しない状態で上記本体部を覆っている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る発電装置では、使用に伴う発電効率の低下が起こりにくい。更にこの発電装置は、小型化に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る発電装置の一部断面斜視図である。
【図2】図2は、図1の発電装置の断面図である。
【図3】図3は、図2の一部が拡大された断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態で用いられている本体部の斜視図である。
【図5】図5は、図3の円A内の拡大図である。
【図6】図6は、図5の実施形態の第1変形例である。
【図7】図7は、図5の実施形態の第2変形例である。
【図8】図8は、トルク発生面の角度βを説明するための図である。
【図9】図9(a)は、図2のF9−F9線に沿った断面図である。図9(b)は、図9(a)から断面線Lx1(断面線Lx)を抽出した図である。図9(c)は、断面線Lx2の変形例を示す。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態に係る発電装置の断面図である。
【図13】図13は、補助部材の一例が記載された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0020】
なお本願において、本体部の回転軸がR1とされ、発電機の回転軸がG1とされる。
【0021】
図1は、本発明に係る発電装置2の断面が示された斜視図であり、図2は発電装置2の断面図である。図3は、図2の一部拡大図である。発電装置2は、本体部4、支持部6及び発電機8を有している。
【0022】
図4は、本体部4の斜視図である。本体部4は、流路形成体としての管状体10を有している。管状体10は、流路12を形成している。液体は流路12を流れる。液体は重力によって流れる。管状体10は、外面13と内面14とを有する。管状体10の外面13は、流路形成体の外面の一例である。外面13は、流路形成体の外面の一例である。内面14に、トルク発生面T1が設けられている。なお、流路形成体は、流路を有していれば良く、管状体に限定されない。流路形成体の外形は限定されない。
【0023】
内面14の内側は、空洞である。内面14の内側には、タービン、翼状部材、螺旋状部材等は存在しない。
【0024】
更に本体部4は、円盤体15を有する(図4参照)。円盤体15は、環状部16と、内側円筒部17とを有する。環状部16は、外周面18を有する。外周面18は、支持部6によって回転可能に支持されている。円盤体15は、管状体10と一体である。
【0025】
また、発電装置2は、中心管状部19を有する。中心管状部19は、本体部4の回転軸R1に沿って配置されている。中心管状部19は、本体部4の管状体10を貫通している。管状体10には、中心管状部19を通すための中空部21が設けられている。回転中の本体部4は中心管状部19に接触しない。
【0026】
管状体10(流路形成体)は、入口側の開口k1と、出口側の開口k2とを有する。開口k1は真円形である。開口k2は真円形である。回転軸R1は、開口k1の中心点を通る。回転軸R1は、開口k2の中心点を通る。
【0027】
更に、管状体10は、流入部20、排出部22及び中間部24を有する。流入部20は円筒である。流入部20の内面の中心軸線は、本体部4の回転軸R1に一致している。流入部20の内面の断面形状は真円である。排出部22は円筒である。排出部22の内面の中心軸線は、本体部4の回転軸R1に一致している。排出部22の内面の断面形状は真円である。中間部24は、流入部20と排出部22との間の部分である。
【0028】
図2には、内面14の中心軸線Z1が示されている。この中心軸線Z1は、内面14の断面線Lxの図心の集合である。この断面線Lxを求めるときの断面は、回転軸R1に対して垂直な平面とされる。図2が示すように、中心軸線Z1は曲がっている。
【0029】
流入部20において、中心軸線Z1は回転軸R1に一致している。排出部22において、中心軸線Z1は回転軸R1に一致している。一方、中間部24において、中心軸線Z1は回転軸R1とは一致していない。即ち中間部24において、中心軸線Z1は回転軸R1からズレている。
【0030】
流入側の外部配管35を通ってきた液体は、流入部20から流路12に流れ込む。この液体は、流入部20から中間部24へと流れ、排出部22に至る。この液体は、排出部22から、流路12の外部に排出される。排出された液体は、補助配管36を通過して、排出側の外部配管(図示省略)に流れ込む。外部配管35は、例えば、一戸建て住宅又は集合住宅に設置された排水管である。典型的な外部配管35の材質は、塩化ビニル樹脂又はABS樹脂であり、より一般的には塩化ビニル樹脂である。
【0031】
支持部6は、筐体25と軸受26とを有する。筐体25は、全体として略円筒状を呈する。筐体25は、発電装置2を覆っている。筐体25の内部には、回転する本体部4に接触しないための空間が設けられている。筐体25は、本体部4の回転を阻害しない。
【0032】
筐体25は、本体27と上蓋28とを有する。上蓋28は、円盤部29、円筒部30及び上側開口部31を有する。円盤部29は、筐体25の上面を構成している。上側開口部31は、円盤部29の中央に設けられている。上側開口部31は円筒状である。上側開口部31は上側に突出している。上側開口部31は、流入側の外部配管35に接続されている。この接続には、接着剤による接着が用いられている。
【0033】
筐体25の本体27は、底面部32,円筒部33及び下側開口部34を有する。下側開口部34は円筒状である。下側開口部34は下方に突出している。下側開口部34は、底面部32の中央に配置されている。下側開口部34は、補助配管36を介して、外部配管35に接続されている。下側開口部34と補助配管36との接続には、接着剤による接着が用いられている。補助配管36は、外部配管35へと液体を流通させるとともに、発電機8の配線38を通すために設けられている。配線38は、発電装置2の外部に至っているのが好ましい。この場合、他の電気機器や蓄電池等との接続が容易とされうる。なお図2では配線38の記載が省略されている。
【0034】
軸受26は、筐体25の内周面に設けられている。より詳細には、軸受26は、円筒部33の内周面に設けられている。軸受26は、外輪40と、内輪42と、転動体44とを有する。外輪40は、筐体25の内面に固定されている。内輪42は、本体部4の外面に固定されている。より詳細には、内輪42は、前述した外周面18に固定されている。転動体44は、外輪40の軌道面と内輪42の軌道面との間に配置されている。本実施形態では、軸受26として、ころ軸受が例示されている。
【0035】
前述した通り、上側開口部31及び下側開口部34において、筐体25は外部配管35に接合されている。この接合によって、筐体25は、外部配管35に固定されている。この筐体25と本体部4との間に軸受26が介在している。このように、支持部6としての軸受26及び筐体25が、本体部4を回転可能に支持している。
【0036】
本体部4は、外部配管35に接触していない。回転中において、本体部4は外部配管35に接触しない。また本体部4は、補助配管36に接触していない。これらの非接触により、回転抵抗が抑制され、発電効率が向上している。なお、後述するように、本体部4の回転が確保される限り、本体部4が外部配管35又は補助配管36に接触していてもよい。
【0037】
発電機8は、永久磁石50とコイル52とを有する。永久磁石50は、半円筒形状のN極体と、半円筒形状のS極体とを有する。永久磁石50は、本体部4に固定されている。より詳細には、永久磁石50は、内側円筒部17の内周面に固定されている。コイル52は、中心管状部19の外周面に固定されている。コイル52は、中心管状部19によって支持されている。
【0038】
このコイル52は、中心管状部19に対して着脱可能である。コイル52はネジ機構によって中心管状部19に取り付けられる。このネジ機構は、施行現場での作業を容易としうる。なお、コイル52を内側円筒部17の内周面に固定し、永久磁石50を中心管状部19の外周面に固定することも可能である。
【0039】
中心管状部19は、補助配管36の内部に設けられた内部管54に固定されている。内部管54は、中心管状部19と接着されているセンター部56と、このセンター部56と外部とを連結する連結部58とを有する。配線38(図1参照)は、中心管状部19及び内部管54を通って外部に至る。配線38は、電気機器、蓄電池等に接続されうる。
【0040】
永久磁石50は、本体部4と共に回転する。一方、コイル52は回転しない。本体部4の回転に伴い、永久磁石50とコイル52との間で相対回転が生じる。この相対回転により、電気が発生する。この電気は、電気機器、蓄電池等に供給されうる。
【0041】
筐体25は、位置決め用の突出部70を有している。この突出部70は、円筒部33の内面に設けられている。この突出部70は、軸受26を下方から支持している。突出部70により、軸受26の位置決めが精度良く達成される。更に、前述の通り、筐体25の上蓋28は、円筒部30を有している。この円筒部30の下端72は、軸受26に当接している。この当接によって、軸受26が精度よく位置決めされる。軸受26は、突出部70と円筒部30とによって上下から挟まれている。よって軸受26は精度よく位置決めされている。円筒部30に代えて、筐体25とは別体のスペーサーが用いられても良い。
【0042】
前述した通り、内面14は、トルク発生面T1を有している。トルク発生面T1は、流路12を流れる液体の衝突によってトルクを発生しうる。このトルクは、本体部4の回転軸R1回りのトルクである。このトルクは、回転軸R1の周方向に沿った力である。このトルクは、本体部4を回転させうる。この回転の中心軸は、回転軸R1である。この回転軸R1は、軸受26の回転軸と一致している。
【0043】
流路12を流れる液体は、おおよそ、中心軸線Z1に略沿って流れる。よって好ましくは、トルク発生面T1は、中心軸線Z1に沿って流れる液体の衝突によって、回転軸R1回りのトルクを生じうる。トルク発生面T1は、内面14の中心軸線Z1に対して傾斜している。トルク発生面T1は、流路12を流れる液体が衝突しうるように配向している。トルク発生面T1は、下流側にいくほど回転軸R1に近づく部分を有している。
【0044】
本実施形態では、回転軸R1が鉛直方向に一致している。この場合、好ましくは、トルク発生面T1は、鉛直方向に沿って流れる液体の衝突によって、回転軸R1回りのトルクを生じうる。この場合、重力によって鉛直方向に流れる液体の運動エネルギーが効率良く電気エネルギーに変換されうる。
【0045】
本実施形態において、トルク発生面T1は平面である。トルク発生面T1の形状は限定されない。トルク発生面T1は平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0046】
内面14は、翼状の突出物を有さない。内面14は、凹凸を有さない。内面14は、突起を有さない。内面14において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは段差なく連続している。流路12のあらゆる位置において、内面14の断面線Lx(前述)は、凸部を有さない。流路12のあらゆる位置において、内面14の断面線Lx(前述)は、凹部を有さない。内面14は比較的単純な形状であるため、液体の流れを妨げにくい。よって、液体の運動エネルギーが有効に活用され、発電効率が向上しうる。更に、内面14には、異物の付着及び藻の発生が起こりにくい。よって流路12における良好な流れが維持されやすく、発電効率が低下しにくい。更に、メンテナンスが容易である。また、構造が単純とされうるため、発電装置2の小型化に寄与しうる。小型の発電装置は、一戸建て住宅、集合住宅、工場等において、小規模発電を可能とする。
【0047】
トルク発生面T1には凹部は存在しない。トルク発生面T1には凸部は存在しない。トルク発生面T1は、その全体が滑らかに連続した面である。よってトルク発生面T1において、異物の付着及び藻の発生は起こりにくい。
【0048】
トルク発生面T1には、重力の存在下において液体が溜まるような部分は存在しない。よってトルク発生面T1において、異物の付着及び藻の発生は起こりにくい。
【0049】
本実施形態では、トルク発生面T1は、回転軸R1に対して傾斜した傾斜面である。この傾斜面は、上記トルクを発生しうるように傾斜している。トルク発生面T1と発生するトルクとの関係について、詳細は後述される。
【0050】
本実施形態では、トルク発生面T1は、管状体10の曲がりを利用して形成されている。トルク発生面T1は、中心軸線Z1の曲がりの外側に位置しているため、多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすい。また、この曲がりは、液体に遠心力を付与しうる。中心軸線Z1に沿って流れる液体に作用する遠心力がCFとされるとき、トルク発生面T1は、この遠心力CFが作用しうる位置に設けられている。この遠心力CFにより、液体がトルク発生面T1に与える力が増大しうる。これらは、発電効率の向上に寄与しうる。
【0051】
多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点から、流入部20の中心軸線がトルク発生面T1と交わるのが好ましい。多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点からは、回転軸R1がトルク発生面T1と交わるのが好ましい。
【0052】
多くの液体がトルク発生面T1に衝突しやすいとの観点から、入口側の開口k1の上側に光源を設けて、この光源からの光を開口k1の全体に照射したとき、この光源からの直接光の少なくとも一部はトルク発生面T1に当たるのが好ましい。この直接光の方向は、流入部20の中心軸線に沿った方向である。また、この直接光の方向は、回転軸R1に沿った方向である。開口k1を通過した直接光のうち、トルク発生面T1に当たる直接光の割合Rxは、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。この割合Rxは100%であってもよい。なお、ここで「直接光」としたのは、内面14等によって反射した光を含まない趣旨である。
【0053】
流路(中心軸線Z1)の曲がりは、トルク発生面T1への液体の衝突率を高めつつ、流路の断面積を広げるのに寄与している。即ち、流路の曲がりに起因して、液体が衝突しやすいトルク発生面T1が設けられつつ、流路が過度に狭くならない。流路の断面積が確保されているため、液体の流れが円滑となる。よって、液体の運動エネルギーが損なわれにくく、発電効率が向上しうる。この観点から、流路の断面積変化率Cxは、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、0%が最も好ましい。この変化率Cxは次の式によって計算されうる。
Cx(%)=[(Dmax−Dmin)/Dmax]×100
ただし、Dmaxは、流路全体における断面積の最大値であり、Dminは、流路全体における断面積の最小値である。流路の断面積は、中心軸線Z1に垂直な平面による断面において測定される。
【0054】
本実施形態では、発電機8は、回転軸R1と交わる位置に配置されている。更に本実施形態では、発電機8の回転軸G1が、回転軸R1と一致している。よって、トルク発生面T1において発生したトルクが効率よく発電機8に伝達されうる。
【0055】
このような発電機8の配置が可能となるように、管状体10(流路形成体)は曲げられている。よって発電機8を発電装置2の中央部に配置することができる。この配置は、発電装置2の小型化、発電装置2の外観の向上及び発電機8の保護に寄与しうる。更にこの管状体10(流路形成体)の曲がりにより、トルク発生面T1に衝突する液体が増加しうる。よって発電効率が向上しうる。
【0056】
本実施形態では、筐体25及び軸受26によって本体部4が回転可能に支持されている。筐体25は、本体部4の回転を阻害しない。筐体25は、本体部4及び発電機8を保護しうる。筐体25は、回転する本体部4と人体等との衝突を防止しうる。筐体25は、発電装置2の外観を良好とし、発電装置2の商品価値を高めうる。
【0057】
図5は、図3において符号Aで示された2点鎖線の円内の拡大図である。本体部4の回転抵抗を小さくする観点から、本体部4(管状体10)は外部配管35から離れている。即ち本体部4(管状体10)と外部配管35とは互いに非接触である。図5において符号D1で示されているのは、本体部4(管状体10)と外部配管35との離間距離である。臭気が洩れるのを抑制する観点からは、離間距離D1は狭いのが好ましい。ただし、離間距離D1が狭すぎると、発電装置2の製造時及び施工時における要求精度が過度に高くなり、コストが向上しうる。これらの観点を考慮して、適切な離間距離D1が設定されうる。
【0058】
図5において符号D2で示されるのは、本体部4と外部配管35(又は補助配管36)とのオーバーラップ長さである。臭気の洩れを抑制する観点からは、長さD2は長い方が好ましい。ただし長さD2が過大である場合、発電装置2の小型化が阻害されうる。また、偏心誤差を考慮すると、長さD2が過大である場合、非接触を確保するために離間距離D1を増やす必要が生じることがある。これらの点を考慮して、長さD2は適切に設定されるもので、長さD2の下限は5mm以上、更に10mm以上、特に20mm以上がよく、また長さD2の上限については100mm以下、更に50mm以下、特に30mm以下とするのがよい。
【0059】
臭気の洩れを抑制する観点から、図5の実施形態に変えて、図6又は図7に示される変形例が採用されてもよい。
【0060】
図6は、第1変形例を示す。この実施形態では、外部配管35(又は補助配管36)の外周面に第1凹凸体80が設けられる。更に、本体部4(管状体10の内周面)に第2凹凸体82が設けられる。第1凹凸体80は、1以上(好ましくは2以上)の凸と、1以上(好ましくは2以上)の凹とを有する。第2凹凸体82は、1以上(好ましくは2以上)の凸と、1以上(好ましくは2以上)の凹とを有する。第1凹凸体80の凹部に第2凹凸体82の凸部が入り込んでいる。第1凹凸体80の凸部が第2凹凸体82の凹部に入り込んでいる。これら第1凹凸体80と第2凹凸体82との噛み合いによって、細く且つ入り組んだ隙間が形成されている。よって、臭気の洩れが効果的に抑制されうる。また、本体部4の回転中に、第1凹凸体80と第2凹凸体82とは接触しない。よって本体部4の回転抵抗は抑制されている。好ましくは、第1凹凸体80及び第2凹凸体82は、ゴムのような変形しやすい材質とされる。この変形により、凹凸を噛み合わせた上記構成が容易に形成されうる。この図6のような構成は、ラビリンスシールと称されることがある。
【0061】
図7は、第2変形例を示す。この実施形態では、磁性流体シール84が用いられている。この磁性流体シール84は、第1の磁極片86、第2の磁極片88、磁石90及び磁性流体92を有する。磁極片86及び磁極片88は金属製のリングである。好ましくは、磁極片86及び磁極片88の材質は、透磁率の高い金属である。磁石90には、プラスチック磁石又はゴム磁石が好適に用いられ得る。磁場回路の磁場により、磁性流体92はOリングの形態で保持される。この磁性流体シール84により、回転抵抗を抑えつつ、シーリングが達成されうる。なお、磁場回路の形成の観点から、外部配管35が非磁性体である場合、磁性体94を外部配管35に配置するのが好ましい。
【0062】
なお、図6及び図7のようなシール機構は、本体部4の上流側の隙間のみならず、本体部4の下流側の隙間(補助配管36と本体部4との隙間)にも当然に用いられ得る。
【0063】
[トルク発生面T1の角度α]
図3において両矢印αで示されているのは、回転軸R1に対するトルク発生面T1の傾斜角度である。この角度αは、回転軸R1を含む仮想平面H1による断面において測定される。より詳細には次の通りである。この角度αの定義では、上記回転軸R1を含む仮想平面H1が考慮される。この仮想平面H1は多数存在するが、トルク発生面T1上の一つの点P1を通る仮想平面H1は一つに決まる。更に、この角度αの定義では、上記仮想平面H1を断面とする上記トルク発生面T1の断面線L1が考慮される。上記点P1における上記角度αは、上記点P1を通る上記断面線L1と上記回転軸R1との成す角度である。トルク発生面T1が曲面である場合、上記断面線L1は、上記点P1における接線とされうる。この角度αは、トルク発生面T1上の各点のそれぞれにおいて定まる。
【0064】
流体から受ける力を増大させ、発生するトルクを大きくする観点から、角度αは、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が更に好ましい。この角度αが過大である場合、流路において詰まりが発生しやすい。また、この角度αが過大である場合、発生するトルクがかえって小さくなる。これらの観点から、この角度αは、60度以下が好ましく、45度以下がより好ましく、35度以下が更に好ましい。上記実施形態では、角度αは35度とされている。
【0065】
[トルク発生面T1の角度β]
図8は、角度βを説明するための図である。図8では、トルク発生面T1が破線ハッチングで示されている。この角度βの定義では、上記回転軸R1を中心軸とし且つトルク発生面T1上の点P1を含む仮想円筒面C1が考慮される。この仮想円筒面C1の半径rは、上記点P1の位置によって変化する。この半径rは、回転軸R1と点P1との距離に等しい。更に、この角度βの定義では、上記仮想円筒面C1の周方向S1、及び、上記仮想円筒面C1を断面とする上記トルク発生面T1の断面線L2が考慮される。上記角度βは、上記周方向S1と上記断面線L2との成す角度である。この角度βは、仮想円筒面C1を展開して平面C2とした上で測定される。この平面C2においては、上記周方向S1は直線となる。この平面C2において断面線L2が曲線である場合、角度βは、上記点P1における接線に基づき測定される。この角度βは、プロペラ等における迎え角に相当しうる。この角度βは、トルク発生面T1上の各点のそれぞれにおいて定まる。
【0066】
発生するトルクを大きくする観点から、角度βは、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が更に好ましい。この角度βが過大である場合、流路において詰まりが発生しやすい。また、この角度βが過大である場合、流路の形状又は本体部の形状が複雑となり、製造コストが増加しやすい。これらの観点から、この角度βは、45度以下が好ましく、35度以下がより好ましく、30度以下が更に好ましい。
【0067】
発電効率の観点から、上記角度αの好ましい範囲は、以下に定義される点P(M)において充足されているのが好ましい。更に、発電効率の観点から、上記角度βの好ましい範囲は、以下に定義される点P(M)において充足されているのが好ましい。特に、トルク発生面T1が平面で構成されている場合に、これらの点P(M)に関する規定は有効である。
【0068】
上記点P(M)の定義は次の通りである。この点P(M)を定義するために、点M、仮想平面H1(M)及び断面線L1(M)が定義される。点Mは、上記中心軸線Z1上の点のうち、回転軸R1からの距離が最大である点である。仮想平面H1(M)は、この点Mを通る上記仮想平面H1である。断面線L1(M)は、仮想平面H1(M)とトルク発生面T1との交線である。このとき、点P(M)は、断面線L1(M)の、回転軸R1方向における中点である。
【0069】
上記の通り、上記角度α及び角度βは、トルク発生面T1上のあらゆる点P1のそれぞれにおいて決定されうる。この点に鑑み、発電効率の観点から、次の(A)が好ましく、(B)がより好ましい。
【0070】
(A)トルク発生面T1の全体における角度αの平均値がα1とされるとき、この平均値α1が、角度αに関する前述の好ましい数値範囲を満たす。更に、トルク発生面T1の全体における角度βの平均値がβ1とされるとき、この平均値β1が、角度βに関する前述の好ましい数値範囲を満たす。
【0071】
(B)トルク発生面T1上のあらゆる点P1において、角度αが、前述の好ましい数値範囲を満たす。更に、トルク発生面T1上のあらゆる点P1において、角度βが、前述の好ましい数値範囲を満たす。
【0072】
図9(a)は、図2のF9−F9線に沿った断面図である。この断面図では、回転軸R1は一つの点で示される。ここでは、トルク発生面T1により生ずるトルクが考察される。流体とトルク発生面T1との間の摩擦力は比較的小さいと考えられる。この摩擦力を考慮しない場合、液体の衝突によってトルク発生面T1上の点P1に作用する力F(ベクトル)の方向は、トルク発生面T1に対して垂直である(図9(a)参照)。この力Fは、力Fxと力Fyとに分解されうる。力Fxは、回転軸R1と点P1とを通る直線に沿った方向の力である。力Fyは、この力Fxに対して垂直な方向の力である。この力Fyが、回転軸R1回りのトルクである。即ちこの力Fyが、本体部4の回転の原動力である。
【0073】
図9(a)に示されたトルク発生面T1は、第1領域E1、第2領域E2及び第3領域E3に分割されうる。第1領域E1と第2領域E2とを区画する線は、回転軸R1を通り且つトルク発生面T1に対して垂直な直線である。また、第1領域E1の幅と第2領域E2の幅とは等しい。ここでは、一定の上記力Fがトルク発生面T1の全体に作用すると仮定する。この場合、第1領域E1において生ずる力Fyと、第2領域E2において生ずる力Fyとは互いに打ち消し合う。そうすると、力Fyとしては、第3領域E3から生ずるものだけが残される。第3領域E3で生ずる力Fyは、図9(a)において反時計回りの回転モーメントを生じる。この回転モーメント(トルク)が、本体部4の回転に寄与する。
【0074】
この図9(a)で示されるように、トルク発生面T1の各地点から生ずるトルクが互いに打ち消し合う場合がある。この打ち消し合いが生ずる場合、発電効率が低下しうる。発電効率を高める観点から、以下に定義される一方向トルク占有率(%)が、60%以上であるのが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、100%が特に好ましい。この一方向トルク占有率は、[(X/Y)×100]によって算出される。分母Yは、トルク発生面T1の総面積である。一方、分子Xは、次のように算出される。トルク発生面T1に対して垂直で且つ大きさが一定である力Fをトルク発生面T1の全域に作用させた場合、第1の回転方向(例えば、時計回り)へのトルクを生ずる領域Exと、第2の回転方向(例えば、反時計回り)へのトルクを生ずる領域Eyとが決定されうる。これら領域Ex及び領域Eyのうち、広いほうの領域の面積が、上記分子Xとされる。もちろん、トルク発生面T1が曲面である場合、各地点P1の法線方向が、上記力Fの方向である。
【0075】
ここで、流路形成体の外面13及び内面14の断面形状について説明する。回転軸R1に対して垂直な平面Phは、回転軸R1方向の各位置のそれぞれにおいて定まりうる。よってこの平面Phは無数に定義されうる。この平面Phによる流路形成体の断面Svを考える。図9(a)は、この断面Svの一例である。この断面Svにより、流路形成体の内面14の断面線Lxと、流路形成体の外面13の断面線Lyとが定まる(図9(a)参照)。図9(b)は、断面線Lx(且つ、後述の断面線Lx1)を示す。本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、一本の無端の線のみによって構成されている(図9(b)参照)。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lxは、凹部を有さない。このような内面形状により、異物の付着や藻の発生が効果的に抑制される。よって、発電効率が効果的に維持されうる。
【0076】
トルク発生面T1が存在する範囲の上記断面Svが、断面Sv1とされる。図9(a)は、断面Sv1の一例である。この断面Sv1により、流路形成体の内面14の断面線Lx1と、流路形成体の外面13の断面線Ly1とが定まる。断面線Lx1は、トルク発生面T1の断面線Lx2を含む。 図9(b)は、断面線Lx1でもある。
【0077】
本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、一本の無端の線のみによって構成されている(図9(b)参照)。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Lx1は、凹部を有さない。このような内面形状により、異物の付着や藻の発生が効果的に抑制される。よって、発電効率が効果的に維持されうる。
【0078】
本実施形態では、回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、一本の無端の線のみによって構成されている。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、凸部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、凹部を有さない。回転軸R1方向のあらゆる位置において、断面線Ly1は、断面線Lx1の相似形である。このような外面形状により、流路形成体の肉厚が最小限とされうる。これは、本体部の軽量化に寄与しうる。本体部の軽量化は、発電効率の向上に寄与しうる。
【0079】
上記断面線Lx1のうち、トルク発生面T1の断面線がLx2とされる(図9(a)及び図9(b)参照)。この断面線Lx2は、断面線Lx1の一部である。発電効率及びその維持の観点から、この断面線Lx2は、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、滑らかに連続している線のみで構成されているのが好ましい。
【0080】
発電効率及びその維持の観点から、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、凸部を有さないのが好ましい。この好ましい形態は、断面線Lx2の全体が凸形状となっている形態を排除していない。
【0081】
発電効率及びその維持の観点から、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、凹部を有さないのが好ましい。この好ましい形態は、断面線Lx2の全体が凹形状となっている形態を排除していない。
【0082】
この断面線Lx2は、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、曲率半径が5mm以上の線のみからなるのが好ましく、曲率半径が10mm以上の線のみからなるのがより好ましく、曲率半径が20mm以上の線のみからなるのが更に好ましい。もちろん、断面線Lx2においてこの曲率半径が変化していてもよい。また、この曲率半径は無限大であってもよい。トルク発生面T1が平面である場合、断面線Lx2は直線であり(図9(b)参照)、この曲率半径は無限大である。このような断面線Lx2の形状により、トルク発生面T1への異物の付着や藻の発生が効果的に抑制され、発電効率が維持されやすい。
【0083】
また、発電効率の観点から、断面線Lx2は、以下の(X)又は(Y)であるのが好ましい。
(X)直線
(Y)断面線Lx2の両端を結んだ直線がLQとされるとき、断面線Lx2は、直線LQよりも内側に突出しない凹形状である。図9(c)は、この凹形状の一例を示す。この凹形状の曲率は、一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0084】
図9(c)において符号D3で示されるのは、断面線Lx2上の点と直線LQとの距離(最短距離)である。上記(Y)の場合、発電効率の観点から、距離D3の最大値は、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mmが特に好ましい。
【0085】
本体部及び流路形成体の製造方法は限定されない。この製造方法として、鋳造、ダイカスト、鍛造、射出成形等が例示される。本体部及び流路形成体は、一体成形された複数の部材が接合されていてもよい。流路形成体が管状体である場合、この管状体は、成形されたパイプ状部材を塑性加工(曲げ加工等)することで作成されてもよい。本体部及び流路形成体の材質として、金属及び樹脂が例示される。樹脂として、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂及びCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が例示される。金属として、鋼及びアルミニウム合金が例示される。鋼として、ステンレス鋼及び一般構造用鋼が例示される。発電効率を高めるには、非回転状態の本体部4が回転し始めるのに最小限必要なトルクを小さくすることが有効である。この観点からは、本体部4の軽量化が重要である。この軽量化を考慮して、本体部4の材質が選択されてもよい。
【0086】
図10は、第2実施形態に係る発電装置96の断面図である。この発電装置96は、第2のトルク発生面T1が追加された他は、前述された発電装置2と同じである。上側に位置する第1のトルク発生面T1と、下側に位置する第2のトルク発生面T1とは、中心軸線Z1の曲がりの外側に位置する。よって、いずれのトルク発生面T1にも、流体が衝突しやすい。また、いずれのトルク発生面T1にも、上記遠心力CFが作用しうる。流路を流れる液体の衝突によって、これら第1及び第2のトルク発生面T1は、同じ回転方向のトルクを生じうる。つまり、流路を流れる液体の衝突によって、複数のトルク発生面T1から、同一の回転方向のトルクが生じうるように、トルク発生面T1の配向が設定されている。同一の回転方向のトルクを生じうる複数のトルク発生面T1によって、発電効率が更に向上しうる。
【0087】
図11は、第3実施形態に係る発電装置100の断面図である。発電装置100は、本体部102、軸受104、接合体106及び発電機108を有している。本体部102は、流路形成体である。この本体部102は、全体として略円筒状であるが、その内面110に凸部112を有している。軸受104は、接合体106と本体部102との間に配置されている。なお図11では、軸受104が簡略的に示されている。
【0088】
本実施形態では、発電機108は複数である。複数の発電機108は、本体部102の周囲に配置されている。発電機108は、本体114と回転子116とを有する。回転子116は、滑り防止部材118を介して、本体部102に当接している。本体114には、図示されない永久磁石とコイルとが内蔵されている。本体部102が回転軸R1回りに回転すると、回転子116が回転軸G1回りに回転する。この回転は、回転子116と部材118との間に作用する摩擦力に起因する。摩擦力に代えて、歯車機構のような機械的回転伝達機構が採用されてもよい。回転子116が回転すると、上記永久磁石と上記コイルとが相対回転する。この相対回転により電気が発生する。本実施形態では、発電機108の回転軸G1は、回転軸R1と一致していない。回転軸G1と回転軸R1とは平行である。
【0089】
接合体106は、円筒部120と突出部122とを有する。円筒部120の内周面は、外部配管35に固定されている。この固定の方法は、接着剤による接着である。突出部122はフランジ状である。この突出部122に発電機108が固定されている。これらの発電機108は、回転軸R1回りに回転可能な状態で本体部102を支持する役割をも果たしている。つまり発電機108は、上記支持部の役割をも果たしうる。この観点からは、複数の発電機108は、回転軸R1の周方向において等間隔で配置されるのが好ましい。
【0090】
内面110には、複数のトルク発生面T1が設けられている。凸部112における上側の面がトルク発生面T1である。第1のトルク発生面T1と第2のトルク発生面T1との間で、上下方向位置が相違する。この相違により、内面110の断面面積が狭くなりにくいので、円滑な流れが維持されやすい。また、第1のトルク発生面T1と第2のトルク発生面T1とは、同じ回転方向のトルクを発生しうる。即ち、複数のトルク発生面T1の全てが、同じ回転方向のトルクを発生しうる。よって、発電効率が向上しうる。
【0091】
この発電装置100では、筐体が不要とされうる。この構成は発電装置100の小型化に寄与しうる。この発電装置100では、本体部102が軽量化されうる。この軽量化により、本体部102を回転させるのに最低限必要なトルクを下げることが可能である。よって、発電効率が向上しうる。この構成は軸受の小型化に寄与しうる。軸受の小型化は製造コストを低下させうる。
【0092】
本体部104の内面は、翼状の突出物を有さない。本体部104の内面において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは段差なく連続している。本体部104の内面において、トルク発生面T1とそれ以外の部分とは滑らかに連続している。流路のあらゆる位置において、本体部104の内面の断面線Lx(前述)は、凹部を有さない。本体部104の内面では、異物の付着及び藻の発生が起こりにくい。よって良好な流れが維持されやすく、発電効率が低下しにくい。更に、メンテナンスが容易である。
【0093】
図12は、第4実施形態に係る発電装置124の断面図である。内面14に案内面126が設けられている他は、発電装置124は、前述の発電装置2と同様である。案内面126は、トルク発生面T1の下端TLよりも上側に設けられている。案内面126は、トルク発生面T1の上端THと下端TLとに基づいて決定される中間位置TMよりも上側に設けられている。この案内面126は、傾斜面である。この案内面126は、下方にいくほど回転軸R1に近づくように傾斜している。この案内面126は、下方にいくほどトルク発生面T1に近づくように傾斜している。この案内面126は、回転軸R1と平行な内面と比較して、トルク発生面T1に衝突する液体の量又は圧力を増加させうる(図12の2点鎖線矢印参照)。案内面126は、周方向の全体に設けられても良いし、周方向の一部に設けられても良い。また、案内面126は、周方向の複数位置に設けられても良い。
【0094】
図12の実施形態とは異なるが、案内面126は、トルク発生面T1の上端THよりも上側に設けられていてもよい。
【0095】
上記仮想平面H1による断面において、内面14の断面線は2本である。即ち内面14の断面線は、第1断面線14a及び第2断面線14bである(図12参照)。第1断面線14a又は第2断面線14bの一方がトルク発生面T1の断面線を含み、他方が案内面126の断面線を含むのが好ましい。図12の実施形態では、第1断面線14aが案内面126の断面線を含み、第2断面線14bがトルク発生面T1の断面線を含んでいる。このような構成により、案内面126によって案内された液体がトルク発生面T1に衝突しやすくなり、発電効率が向上しうる。発電効率の観点から、前述の仮想平面H1(M)が、トルク発生面T1と交わり且つ案内面126と交わるのが更に好ましい。
【0096】
本発明の発電装置は、更に補助部材を備えていても良い。図13は、この補助部材の一例を示す。この図13の実施形態では、前述した発電装置2に加えて、補助部材130が設けられている。この補助部材130は、外部配管35に取り付けられている。補助部材130は、流体をトルク発生面T1に案内しうる案内面132を有する。本実施形態では、この案内面132は、傾斜面である。この案内面132は、下方にいくほど回転軸R1に近づくように傾斜している。この案内面132は円錐凹面である。この案内面132は、周方向の全体に設けられている。この補助部材130は、単純な円筒形の外部配管35と比較して、トルク発生面T1に衝突する液体の量又は圧力を増加させうる(図13の2点鎖線矢印を参照)。補助部材130は、周方向の全体に設けられても良いし、周方向の一部に設けられても良い。発電効率を更に高める観点から、補助部材130は、周方向の全体に設けられるのがより好ましい。この補助部材130は、発電効率を向上させうる。
【0097】
図12及び図13の実施形態は、発電効率を向上させうる。また、図12及び図13の実施形態は、発電効率を高めるための設計を容易としうる。よって、発電装置の小型化及び製造コストの低減に寄与しうる。
【0098】
[回転軸R1の方向]
回転軸R1は、鉛直方向であってもよいし、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。流体の重力エネルギーを効率良く回転エネルギーに変換する観点から、回転軸R1の方向は、鉛直方向に対して±20度以内であるのが好ましく、±10度以内であるのがより好ましい。
【0099】
[液体]
上記流路を流れる液体として、上水、下水その他の排水、雨水等が挙げられる。排水として、家庭排水及び工場排水が例示される。家庭排水として、一戸建て住宅からの排水、集合住宅(マンション等)からの排水が例示される。水以外の液体も用いられうる。
【0100】
液体は、清浄な上水でもよいし、下水等の排水でもよい。本発明では、異物、汚れ、藻等が付着しにくく、発電効率が維持されやすい。この観点から、本発明の発電装置は、これら異物等が付着しやすい環境で用いられるのが好ましい。この観点から、上記液体は、下水等の排水であるのが好ましい。また、前述の通り、この発電装置では、藻が発生しにくい。この観点から、この発電装置2は、藻が発生しやすい環境で使用されるのも好ましい。よって、この発電装置は、太陽光の当たる環境でも好適に用いられ得る。
【0101】
液体には、異物が混合していてもよい。この異物として、油、食物片、髪の毛、水アカ、鉄錆び等が例示される。これらの異物は、従来の発電装置においては、翼等に付着しやすい。この付着は、発電効率を低下させる。本発明の発電装置では、これらの異物は、上記トルク発生面に付着しにくい。よって、使用による発電効率の低下が抑制される。また、これらの異物がトルク発生面に衝突することで、発生するトルクが増大しうる。よって、異物を含む液体は、発電効率の向上に寄与しうる。
【0102】
[発電装置の設置場所]
本発明の発電装置は、流路を流れる液体を取り込める場所に設置される。この場所として、給水管、排水管、ホース、蛇口等が挙げられる。排水管として、戸建て住宅や集合住宅における生活排水の排水管、下水管、雨樋に接続された排水管等が挙げられる。本発明の発電装置は、小型化が可能なため、一戸建て住宅や集合住宅の排水管に好適に取り付けられ得る。また、この発電装置は、自然環境中で生じる液体の流れを利用することもできる。即ちこの発電装置は、河川、湖沼、滝、海等にも設置されうる。この発電装置は、例えばダム、排水溝等に設置されてもよい。
【0103】
本発明の発電装置は、液体(例えば水)を放出する装置に設置されてもよく、例えば、散水用のホース又はスプリンクラーに設置されてもよい。
【0104】
本発明の発電装置は、電気を必要とする給水装置と共に用いられても良い。この場合、発電装置によって得られた電気が、給水装置に供給されうる。この給水装置として、自動灌水タイマーを備えた灌水装置が例示される。乾電池式の灌水タイマーが市販されているが、本発明の発電装置により、乾電池が不要とされうる。
【0105】
本発明の発電装置は、更に蓄電池を備えていても良い。発電された電気が、蓄電池に蓄えられても良い。この蓄電池は、発電装置の内部に設けられてもよし、発電装置の外部に設けられても良い。
【0106】
[軸受]
上記軸受は限定されず、公知の軸受が用いられうる。上記軸受として、転がり軸受、すべり軸受、磁気軸受及び流体軸受が例示される。転がり軸受として、玉軸受、ころ軸受及び針軸受が例示される。ころ軸受として、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受等が挙げられる。汎用性及びコストの観点からは、転がり軸受が好ましく、玉軸受及びころ軸受がより好ましい。
【0107】
軸受の材質として、金属及び樹脂が例示される。この金属として、鋼が例示される。この鋼として、ステンレス鋼及び一般構造用鋼が例示される。耐久性とコストとを考慮すると、金属製の軸受が好ましい。
【0108】
[軸受の配置]
軸受の配置は、前述された発電装置2に記載された形態に限定されない。例えば、図11に示す実施形態のように軸受が配置されてもよい。
【0109】
[発電機]
発電機は限定されず、公知の発電機が用いられうる。一般的な発電機は、永久磁石と導線とを有し、これら永久磁石又は導線が回転する。電磁誘導の法則により、この回転エネルギーが電気エネルギーに変換される。発電機は、直流発電機であってもよいし、交流発電機であってもよい。
【0110】
発電機の磁石の材質として、ネオジウムコバルトが好ましく用いられ得る。ネオジウムコバルトは磁力が強いため、発電効率を向上させうる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明された発電装置は、液体の流れを利用できる場所において用いられうる。
【符号の説明】
【0112】
2・・・発電装置
4・・・本体部
6・・・支持部
8・・・発電機
10・・・管状体
12・・・流路
13・・・流路形成体の外面(管状体の外面)
14・・・流路形成体の内面(管状体の内面)
25・・・筐体
26・・・軸受
35・・・外部配管
36・・・補助配管
T1・・・トルク発生面
R1・・・本体部の回転軸
G1・・・発電機の回転軸
Z1・・・内面の中心軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部と、
上記回転が可能なように上記本体部を支持する支持部と、
上記本体部の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機とを備え、
上記本体部が流路形成体を有しており、
この流路形成体の内面が、流路を形成しており、
上記流路形成体の内面が、上記流路を流れる液体の衝突によって上記本体部の上記回転を生じさせるトルク発生面を有している発電装置。
【請求項2】
上記流路形成体が管状体であり、上記内面がこの管状体の内面である請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
上記流路形成体の上記内面において、上記トルク発生面とそれ以外の部分とが段差なく連続している請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
上記トルク発生面が、上記回転軸R1に対して傾斜した傾斜面を有している請求項1から3のいずれかに記載の発電装置。
【請求項5】
上記流路の中心軸線Z1が曲がっている請求項1から4のいずれかに記載の発電装置。
【請求項6】
上記回転軸R1が上記トルク発生面に交わっている請求項1から5のいずれかに記載の発電装置。
【請求項7】
上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面が存在する位置での上記内面の断面線Lx1が定義されるとき、回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx1は、一本の無端の線のみからなる請求項1から6のいずれかに記載の発電装置。
【請求項8】
上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面の断面線Lx2が定義されるとき、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、曲率半径が5mm以上の線のみからなる請求項1に記載の発電装置。
【請求項9】
上記本体部が管状体を有しており、
上記発電機が、上記本体部の上記回転軸R1と交わる位置に配置されており、
上記発電機の上記配置が可能となるように、上記管状体が曲げられている請求項1から8のいずれかに記載の発電装置
【請求項10】
上記支持部が、筐体と、この筐体に取り付けられた軸受とを有しており、
上記軸受が、上記回転が可能なように上記本体部を支持しており、
上記筐体が、上記回転を阻害しない状態で上記本体部を覆っている請求項1から9のいずれかに記載の発電装置。
【請求項1】
回転軸R1を中心とした回転が可能な本体部と、
上記回転が可能なように上記本体部を支持する支持部と、
上記本体部の回転エネルギーを電気エネルギーに変換しうる発電機とを備え、
上記本体部が流路形成体を有しており、
この流路形成体の内面が、流路を形成しており、
上記流路形成体の内面が、上記流路を流れる液体の衝突によって上記本体部の上記回転を生じさせるトルク発生面を有している発電装置。
【請求項2】
上記流路形成体が管状体であり、上記内面がこの管状体の内面である請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
上記流路形成体の上記内面において、上記トルク発生面とそれ以外の部分とが段差なく連続している請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
上記トルク発生面が、上記回転軸R1に対して傾斜した傾斜面を有している請求項1から3のいずれかに記載の発電装置。
【請求項5】
上記流路の中心軸線Z1が曲がっている請求項1から4のいずれかに記載の発電装置。
【請求項6】
上記回転軸R1が上記トルク発生面に交わっている請求項1から5のいずれかに記載の発電装置。
【請求項7】
上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面が存在する位置での上記内面の断面線Lx1が定義されるとき、回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx1は、一本の無端の線のみからなる請求項1から6のいずれかに記載の発電装置。
【請求項8】
上記回転軸R1に垂直な平面Phによる断面によって、上記トルク発生面の断面線Lx2が定義されるとき、上記回転軸R1方向のあらゆる位置において、この断面線Lx2は、曲率半径が5mm以上の線のみからなる請求項1に記載の発電装置。
【請求項9】
上記本体部が管状体を有しており、
上記発電機が、上記本体部の上記回転軸R1と交わる位置に配置されており、
上記発電機の上記配置が可能となるように、上記管状体が曲げられている請求項1から8のいずれかに記載の発電装置
【請求項10】
上記支持部が、筐体と、この筐体に取り付けられた軸受とを有しており、
上記軸受が、上記回転が可能なように上記本体部を支持しており、
上記筐体が、上記回転を阻害しない状態で上記本体部を覆っている請求項1から9のいずれかに記載の発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−7273(P2013−7273A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138554(P2011−138554)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
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