説明

登攀機能を備えた振動式杭打抜機および登攀工程を有する振動式杭打方法。

【課題】 圧入式杭打抜機に比して格段に打設力(杭を地中に貫入させる能力)が大きい振動式杭打抜機であって、しかも圧入式杭打抜機と同程度に低空頭(頭上障害物の存在等によって作業空間の高さが制約されることに順応し得る特性)の杭打設技術を提供する。
【解決手段】 垂直に支持されている杭2を貫通せしめ、かつ、該杭の中心線上に重心を位置せしめた起振ユニット13の下方に、杭打抜用チャックユニット14が一体的に固着されている。前記起振ユニット13の上方に登攀ユニット15が設けられている。上記登攀ユニットは、前記の杭打抜用チャックユニットと別体に構成された自重支持チャック15aと昇降シリンダ15bとから成る。該昇降シリンダは、前記の起振ユニット13と自重支持チャック15aとの間に介装されて、これらの部材を連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打設地点の上方に障害物が有ったりして、作業に使用できる空間の高さが低い場合であっても、強力に杭を打設し得るように改良した振動式杭打抜機、及び杭打ち方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭打抜機に関しては多くの特性が評価の対象となり、地中への貫通力,安全性,耐久性,メンテナンス性,作動信頼性、等々、各種の面から検討される。
これらの多くの特性は互いに相関しているので単純ではないが、これらの比較検討の上に立って使用機種が選定される。
これらの特性との関連において、杭打抜作業現場の作業条件が優先的に検討され、この作業条件に適応し得る杭打抜機でなければ採用されることは有り得ない。
従って、杭打抜機メーカーの立場においては、予測される各種の作業条件に適応し得る杭打抜機を開発して需要を開拓しなければならない。
【0003】
重要な作業条件の一つに、頭上障害物の問題が有る。すなわち、例えば橋梁の下側に杭を打設する場合、作業に使用し得る空間の高さは橋梁の下面によって制限される。
従来例の杭打抜機における機種と空頭(使用し得る空間の高さ)との関係について次に説明する。
図2(A)は、圧入杭打抜機によって杭を打設している状態を描いた模式図である。
圧入杭打抜機3は、杭2を上下に貫通せしめて把持する構造の貫通形チャック5を備えている。
この貫通形チャック5を下方に押動すると、杭2が地面1に貫入せしめられる。
この圧入杭打抜機3は、頭上障害物(図外)の高さ寸法よりも長くない限り、長尺の杭を打設することができ、杭を引き抜くこともできる。なお、一般に、杭打機は杭打抜機と呼ばれている。実際に杭を抜かなくても、抜くことが可能であれば杭打抜機である。
【0004】
図2(B)は振動杭打抜機によって杭を打設している状態を描いた模式図である。
杭2の上端が、杭頂装着形チャック6で把持されている。
前記の貫通形チャック及び上記の杭頂装着形チャックは、機能を理解し易いように付けた呼び名であって、一般に普及している名称ではない。
最近の技術において、圧入式の杭打抜機は全部貫通形チャックを備えており、振動式杭打抜機は小数の例外を除いて全部杭頂装着形チャックを備えているのが実情である。
【0005】
前記の杭頂装着形チャック6は振動杭打抜機4の下端に固着されている。該振動杭打抜機4は、吊具7を介してクレーン8で吊持される。
こういう構造であるから、杭2の上端よりも上方に、杭頂装着形チャック6,振動杭打抜機4、吊具7,及びクレーン8(のワイヤ掛け部分)を収容し得る余裕空間を必要とする。従って、頭上障害物(図外)の高さ寸法に等しい長さの杭を打つことはできない。
【特許文献1】 特開平10−99781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2(A)に示した従来技術と図2(B)に示した従来技術とを比較して、次のように概説することができる。
貫通形チャックを備えた圧入杭打抜機は、頭上障害物に因る制約を受けにくいが、杭の打設力(地中へ貫入する能力)が比較的小さく、
杭頂装着形チャックを備えた振動杭打抜機は、杭の打設力が大きいけれども、頭上障害物によって制約され易い。
なお、杭を貫通せしめ得る構造の振動杭打抜機が特開平10−99781号公報に提案されているが、この公知発明は「起振機に杭を貫通せしめるための、偏心重錘及びその駆動部材の配置」に関する創作であって、該起振機をどのようにして杭に装着し、どのように作動させて杭を打設するかについて具体的に開示されてはいない。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、
圧入杭打抜機に比して格段に打設力の大きい振動杭打抜機であって、しかも頭上障害物による制約を受け難く、頭上障害物の高さ寸法と等しい長さ寸法の杭を打設し得る杭打抜機、及び杭打方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1に係る発明装置の構成は、起振ユニットと、杭打抜用チャックユニットと、登攀ユニットとを具備しており、
上記の起振ユニットは、環状もしくはコの字状をなしていて、杭の両側に偏心重錘から成る振動源が対称に配置されるとともに、
前記杭打抜用チャックユニットは、上記起振ユニットと一体的に連結されて、前記の杭を両側から挟持する構造であり、
前記の登攀ユニットは、前記起振ユニットに取り付けられた上下方向の昇降シリンダと、前記の杭を両側から挟持する自重支持チャックとを備えていて、該昇降シリンダが伸長すると前記杭打抜用チャックユニットと自重支持チャックとが相互に離間し、該昇降シリンダが収縮すると上記双方のチャックが相互に接近するようになっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明装置の構成は、前記請求項1の発明の構成要件に加えて、台車に搭載され、又は地面に載置されて水平方向の移動が可能であり、
かつ、杭の下端部を支持して、該杭を垂直姿勢に保つ杭支持具を、付属機器として備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明方法は、垂直姿勢の杭の中心線に重心を位置せしめて、複数個の偏心重錘から成る超振ユニットを配置するとともに、
杭の頂部以外の箇所を挟みつけ得る杭打抜用チャックユニットを、前記起振ユニットの下側へ一体的に固着し、
上記の杭打抜用チャックユニットと別体に、杭の頂部以外の箇所を挟みつけ得る自重支持チャックを構成して、前記起振ユニットから離間せしめて上方に配置するとともに、
前記起振ユニットと自重支持チャックとの間に、上下方向に伸縮する昇降シリンダを介装して連結し、
イ.杭打抜用チャックユニットで杭を挟みつけるとともに自重支持チャックの挟みつけを弛めた状態で、昇降シリンダを伸長させて、上記自重支持チャックを上昇させる準備工程と、
ロ.上昇した自重支持チャックで杭を挟みつけるとともに杭打抜用チャックユニットの挟みつけを弛めた状態で、昇降シリンダを収縮させて、杭打抜用チャックユニット及びこれに固着された起振ユニットを引き上げる登攀工程と。
ハ.引き上げられた位置で杭打抜用チャックユニットで杭を挟みつけるとともに起振ユニットの偏心重錘を回転させて、杭を地中に貫入させる打込工程と、を遂行することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明方法は、前記請求項3の構成要件に加えて、杭の打込みを始める際は、台車に搭載した支持具または地上に載置した保持具によって杭を垂直姿勢に保ち、
該杭の下端部が地中に貫入して自立可能になった後は、前記の支持具を退避させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記請求項1の発明装置を適用すれば、
登攀ユニットと杭打抜用チャックユニットとの協働によって、起振ユニットに連結された杭打抜用チャックユニットが、登攀シリンダの伸縮ストローク寸法ずつ杭に沿って上昇することができる。
この登攀作動によって、一体的に連結された起振ユニット及び杭打抜用チャックユニットが、杭に対して上昇し、
上記起振ユニットを作動させることにより、上昇した寸法だけ杭を地中に貫入させることができる。
上記の上昇寸法は登攀シリンダの伸縮ストローク寸法に等しいから、杭の長さに比して短いが、前記の登攀作動を繰り返すことによって、長尺の杭であっても上端まで、いわゆる尺取り虫式に到達することができ、杭のほぼ全長を地中に貫入させることができる。
上述の作動から明らかなように、本請求項1の発明装置によって杭を打設する際、杭よりも上方の空間を使用しないので、頭上障害物が存在しても干渉を受けない。すなわち、頭上障害物の高さ寸法に等しい長さ寸法の杭を打設することができる。
しかも、起振機によって杭に振動を与える振動式杭打ちが行なわれるので、杭を地中へ貫入させる能力が強大であり、比較的硬質の地盤に対しても高能率で杭を打設することができる。
【0013】
請求項2に係る発明装置を適用すると、
前述した請求項1の発明の効果が得られる上に、頭上障害物で妨げられることなく、打設すべき杭を打設地点まで安全かつ確実に搬送し、打設地点の地上で垂直に保持することができる。
これにより、請求項1の発明装置による杭打ち作業を安全かつ迅速に開始することができ、杭の打設工事が高能率で行なわれる。
【0014】
請求項3に係る発明方法を適用すると、
起振ユニットの重心を杭の中心線に一致させるので、該杭を垂直に保持することが容易であり、杭が倒れる虞れが無くて安全である。
そして、準備工程と登攀工程と打込工程とを順次に遂行することによって、杭の上部空間を使用することなく、強力な振動式の杭打ちが行なわれる。このため、頭上障害物が有っても、これに干渉しない限度まで長尺の杭を打設することができる。
【0015】
請求項4に係る発明方法を適用すると、
前記請求項3の発明の効果が得られる上に、頭上障害物によって妨げられることなく、打設すべき杭を打設地点まで、安全,迅速,かつ確実に搬送して、垂直に保持することができる。
これにより、請求項3に係る発明方法を、容易に円滑に開始することができ、杭の打設工事全体が高能率で遂行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明装置の構造については、図1を参照して後に詳しく述べるが、それに先立って、図3を参照しつつ本発明に係る杭打作業全体の流れを概説する。
この図3は、本発明の基本的な思想を説明するための概念図であって、実体的な実施例ではない。
この図においては、頭上障害物9の高さ寸法とほぼ同じで僅かに短かい長さを有する杭2を打設することを目指している。
台車10に杭支持具11を搭載し、この杭支持具11によって杭2を垂直姿勢に、かつ上下方向の摺動可能に支持する。
【0017】
杭2に沿って登攀(上昇動)することかできる振動杭打抜機12を想定する。その具体的な構成は図1を参照して後述するが、この概念図(図3)においては、登攀機構とチャック機構とを備えた振動杭打抜機を表している。
仮想線で描かれている円形のローラは、登攀機構のシンボルマークであって、実在の部材ではない。仮想線で描かれているチャック機構も同様である。
台車10に杭支持具11が搭載されている。
【0018】
前記の杭支持具11は、杭2を垂直姿勢に、かつ上下方向の摺動可能に支持している。
本図3(A)の状態では、登攀できる振動杭打抜機12が杭支持具11の上面に載せられた形で当接するとともに、チャック機構で杭2を把持しているので、該杭2は落下せずに保持されている。
前記の杭支持具11は、杭2を垂直に、かつ上下摺動可能に支持できれば良いのであるが、後に本図3(C)を参照して説明する操作を行なうため、杭2に対して水平方向に離脱可能な構造であることが望ましい。
すなわち、例えば単なる筒状でなく、縦割り筒状に構成すれば良い。台車10も同様に、杭から離れて退避可能な構造とする。
【0019】
図3(A)のように、杭支持具11に杭2を嵌め入れて支持したり、該杭2に対して登攀できる振動杭打抜機12を装着する作業は、頭上障害物9から離れた場所で行なう。
そして、図3(A)のように体勢を調えてから、図3(B)のように頭上障害物9の下方の杭打ち地点まで台車を移動させる。なお、この移動は、台車によらないで橇(そり)を利用しても良い。また、台車は装輪車であっても、装軌車(クローラ)であっても良い。
【0020】
(図3(B)参照)登攀できる振動杭打抜機12が杭支持具11に乗せられたときの上下方向の位置を支持レベル12Kと名付ける。
図1を参照して後に説明する登攀機構によって1ストローク登攀(上昇動)した位置を登攀レベル12Uと呼ぶ。
登攀レベル12Uで杭2をチャックした登攀できる杭打抜機12が、起振作動して杭2に上下方向の激しい振動を与えると、該杭2は仮想線で描いたように地中に貫入する。
【0021】
杭2の下端部付近が地中へ打ち込まれて、該杭2が自立し得るようになると、図3(C)のように支持具11を杭2から離脱させる。
その後、登攀と下降とを繰り返すことによって、杭2のほとんど全長を地中へ貫入させることができる。
杭2が地中へ打ち込まれた後に、該杭2の頂部が若干地上に突出していても、登攀できる振動杭打抜機12を取り外すことは容易に可能である。
【0022】
上述の登攀式杭打ち作業を行なうために必要な登攀機構を備えた振動杭打抜機の断面図を図1に示す。
本例の装置の特徴を概要的に述べると次のとおりである。
a.中央に杭を貫通せしめ得るようになっている。
b.起振ユニット13と、杭打抜用チャックユニット14と、登攀ユニット15とから成っている。
c.装置全体の重心が、杭2の中心線上に位置している。
図3(A)のように、杭2と登攀できる振動杭打抜機12とを台車に乗せて移動させる際の安全性を考えると、該振動杭打抜機の重心が杭の中心線上に無ければならないことを理解し得よう。
【0023】
起振ユニット13は、同期歯車13aに固着された固定偏心重錘13bと、上記と異なる同期歯車13a′に固着された可動偏心重錘13cとからなる起振機構の2組によって構成されている。
上記2組の起振機構は、杭2の中心線に関して対称に配置されている。これにより、起振ユニット13の重心が柱2の中心線上に位置している。
上記2組の起振機構(固定偏心重錘と可動偏心重錘との組合せ)を、杭の両側に配置し、該2組の起振機構を相互に連動させて制御する手段については、特開平10−99781号公報に開示された技術を適用することが推奨される。
【0024】
杭打抜用チャックユニット14は、シリンダ14aとピストン14bとチャック爪14cとから成り、杭2を両側から挟みつける。本例においては、杭の両側のチャック爪の両方を可動形のチャック爪としたが、片方を固定爪としても良い。
この杭打抜用チャックユニットは起振ユニット13の下方に固着されており、該起振ユニットで発生した振動を杭に伝える役目を受け持っている。
【0025】
登攀ユニット15は、自重支持チャック15aと昇降シリンダ15bとから成る。
自重支持チャックは、杭に対して振動を伝える役目を果たせなくても良く、杭に対して当該振動杭打抜機の自重を支持する役目を担っており、前記の杭打抜用チャックユニット14や起振ユニット13と別体に構成されている。
上記自重支持チャック15aは、杭2を両側から挟みつける構造であって、望ましくはその重心を杭2の中心線上に位置せしめる。ただし、本発明を実施する場合、どのような型式のチャックを適用しても良い。
【0026】
昇降シリンダ15bは、前記起振ユニット13と自重支持チャック15aとの間に介装され、両者を相互に押し退けたり引き寄せたりする。従って、該昇降シリンダは上下方向に配設される。
本例ではシリンダボトムを下に向け、ピストンロッドを上に向けているが、これに限られるものではない。
【0027】
図1に示した振動杭打抜機は、先に図3を参照して説明したように、杭に沿って登攀作動(上昇動)できなければならない。
次に、この図1の振動杭打抜機が登攀する作用について述べる。
この図1の状態から、自重支持チャック15aによる杭2の挟みつけを弛め、
昇降シリンダ15bを伸長させて自重支持チャック15aを持ち上げ、
持ち上げた位置で該自重支持チャック15aによって杭2を挟みつけ、
自重支持チャック15aにより杭2を挟みつけた状態で昇降シリンダ15bを収縮させると、駆動ユニット13、及び、これに固着された杭打抜用チャックユニット14が引き上げられる。
引き上げられた状態で杭打抜用チャックユニットで杭2を挟みつけると、この図1の状態よりも「起振ユニット13及び杭打抜用チャックユニットの結合体」が上昇する。
【0028】
この場合の上昇寸法は、昇降シリンダ15の伸縮ストロークに等しい。
上述の作動を1サイクルとして、これを繰り返すと、図1に示した振動杭打抜機は、いわゆる尺取り虫式に杭を登ってゆく。
1サイクル登攀して振動を発生させると、杭が上下に振動して地中に貫入する。この場合の貫入深さは振動杭打抜機が予め上昇した寸法に相当する。従って、昇降シリンダ15bの伸縮ストローク寸法に等しい。
【0029】
上記と異なる実施形態として、振動杭打抜機が2サイクル登攀してから振動を発生して杭を地中に貫入させても良く、nサイクル登攀して振動を発生しても良い。ただし、nは3以上の整数である。また、サイクルの途中で停止して振動を発生させて杭打ちすることもできる。これらの応用例は本発明の技術的範囲に属する。
ただし、振動杭打抜機を装着されている杭の支持状態の安定性を考慮すると、あまり高くまで登攀させないことが望ましい。
【0030】
既製杭の打設を圧入式と振動式とに大別すると、前記の実施形態は振動杭打に属する。
図1,図2,図3を参照して理解されるように本発明によると、
圧入式に比して格段に貫入力の大きい振動式であり、
かつ、圧入式と同程度に、頭上障害物による制約を受け難く、頭上障害物の高さ寸法とほぼ等しい長さ寸法の杭を打設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る登攀機能を備えた振動式杭打抜機の1実施形態を描いた断面図である。
【図2】杭の打設方式を説明するために示した模式図であって、(A)は圧入式を、(B)は振動式を、それぞれ描いてある。
【図3】本発明に係る登攀工程を有する振動杭打方法の模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1…地面
2…杭
3…圧入杭打抜機
4…振動杭打抜機
5…貫通形チャック
6…杭頂装着形チャック
7…吊具
8…クレーン
9…頭上障害物
10…台車
11…杭支持具
12…登攀できる振動杭打抜機
13…起振ユニット
13a,13a′…同期歯車
13b…固定偏心重錘
13c…可動偏心重錘
14…杭打抜用チャックユニット
14a…シリンダ
14b…ピストン
14c…チャック爪
15…登攀ユニット
15a…自重支持チャック
15b…昇降シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起振ユニットと、杭打抜用チャックユニットと、登攀ユニットとを具備しており、
上記の起振ユニットは、環状もしくはコの字状をなしていて、杭の両側に偏心重錘から成る振動源が対称に配置されるとともに、
前記杭打抜用チャックユニットは、上記起振ユニットと一体的に連結されて、前記の杭を両側から挟持する構造であり、
前記の登攀ユニットは、前記起振ユニットに取り付けられた上下方向の昇降シリンダと、前記の杭を両側から挟持する自重支持チャックとを備えていて、該昇降シリンダが伸長すると前記杭打抜用チャックユニットと自重支持チャックとが相互に離間し、該昇降シリンダが収縮すると上記双方のチャックが相互に接近するようになっていることを特徴とする、登攀機能を備えた振動式杭打抜機。
【請求項2】
台車に搭載され、又は地面に載置されて水平方向の移動が可能であり、
かつ、杭の下端部を支持して、該杭を垂直姿勢に保つ杭支持具を、付属機器として備えていることを特徴とする、請求項1に記載の登攀機能を備えた振動式杭打抜機。
【請求項3】
垂直姿勢の杭の中心線に重心を位置せしめて、複数個の偏心重錘から成る起振ユニットを配置するとともに、
杭の頂部以外の箇所を挟みつけ得る杭打抜用チャックユニットを、前記起振ユニットの下側へ一体的に固着し、
上記の杭打抜用チャックユニットと別体に、杭の頂部以外の箇所を挟みつけ得る自重支持チャックを構成して、前記超振ユニットから離間せしめて上方に配置するとともに、
前記起振ユニットと自重支持チャックとの間に、上下方向に伸縮する昇降シリンダを介装して連結し、
イ.杭打抜用チャックユニットで杭を挟みつけるとともに自重支持チャックの挟みつけを弛めた状態で、昇降シリンダを伸長させて、上記自重支持チャックを上昇させる準備工程と、
ロ.上昇した自重支持チャックで杭を挟みつけるとともに杭打抜用チャックユニットの挟みつけを弛めた状態で、昇降シリンダを収縮させて、杭打抜用チャックユニット及びこれに固着された起振ユニットを引き上げる登攀工程と。
ハ.引き上げられた位置で杭打抜用チャックユニットで杭を挟みつけるとともに起振ユニットの偏心重錘を回転させて、杭を地中に貫入させる打込工程と、を遂行することを特徴とする、登攀工程を有する振動式杭打方法。
【請求項4】
杭の打込みを始める際は、台車に搭載した支持具または地上に載置した保持具によって杭を垂直姿勢に保ち、
該杭の下端部が地中に貫入して自立可能になった後は、前記の支持具を退避させることを特徴とする、請求項3に記載の登攀工程を有する振動式杭打方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−250015(P2009−250015A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119242(P2008−119242)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(391002122)調和工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】