説明

白金担持光触媒材料を塗布した造花およびそれを用いた空気清浄方法

【目的】 白金担持光触媒材料を使って造花を作ることで、造花を設置する空間を華やかに彩る効果に加え、さらに設置場所の空気中の有機化合物を分解し除去させる事を可能とした造花およびそれを用いた空気清浄方法を提案するものである。
【構成】 白金担持光触媒材料3を対象とする造花1の基体表面に塗布することで、太陽光などのあたる昼間などに補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用により白金の表面に覆われた物質を酸化させて触媒毒を取り払って、主触媒である白金は吸着分解能を回復させて、昼間など十分な光エネルギーがある間は光触媒反応を行う補助触媒である二酸化チタンと主触媒である白金を併用させて効果を発揮し、十分な光エネルギーがない夜間などは主触媒である白金のみで吸着分解効果を維持する造花1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、白金担持光触媒材料を使って造花を作ることで、造花を設置する空間を華やかに彩る効果に加え、さらに設置場所の空気中の有機化合物を分解し除去させる事を可能とした造花およびそれを用いた空気清浄方法を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に光触媒物質を用いた造花は多く見られるが、その多くは夜間にその効果は期待できず効率も著しく低い場合が多い。
【0003】
光触媒物質に白金を担持させることにより、光の無いときは白金で有機化合物を吸着させ、太陽光などのあたる昼間は光触媒により白金の表面に覆われた物質を酸化させて触媒毒を取り払い、触媒毒がなくなった白金は吸着分解能を回復させることで、従来よりも高い空気中の有機化合物分解効果を持つ白金光触媒を用いた造花やそれを用いた空気清浄方法の提案は存在していない。
光触媒物質と蓄光物質を利用した造花については以下のような文献が存在している。
【特許文献1】 特開2006−37305号公報
【発明の開示】

【本発明が解決しようとする課題】
【0004】
白金担持光触媒材料の効果を最大限に活かし、また様々な素材にそれを織り込み、かつ見た目も損なわずにより活き活きとした造花を実現し、その設置場所の空気清浄をも行うことを課題としているものである。
特許文献1に記載の技術は蓄光物質上の汚れを光触媒物質により除去しようというもので、必ずしも夜間中に光触媒作用を行おうというものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記チタンに担持された関係にあり、「白金担持光触媒」という)を利用することで、定期的に十分な光エネルギーを与えることができる環境にあれば昼夜を問わず光触媒効果が持続することを見出し、これを造花に応用することで室内の装飾性を高めると同時に有効な空気清浄効果を実現することを見出したものであり、より具体的には以下の如くである。
【0006】
(1)白金を主触媒とし、光触媒物質である二酸化チタンを補助触媒とする技術的思想に基づいて、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して基体に塗布し、白金と二酸化チタンを混合した白金担持光触媒材料を対象とする造花の基体表面に塗布するものであり、該二酸化チタンの含有量に対して0.05〜50%とする白金は光の有無にかかわらず常温で有機化合物を吸着する性質を有するので、夜間中でも該吸着の際に空気中の有機化合物を吸着・分解することができ、単にこのまま放置すると数時間で分解された物質で白金表面が覆われてしまい触媒毒となり吸着・分解をしなくなるので、太陽光などのあたる昼間などに補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用により白金の表面に覆われた物質を酸化させて触媒毒を取り払うことによって、主触媒である白金は吸着分解能を回復させて、昼間など十分な光エネルギーがある間は光触媒反応を行う補助触媒である二酸化チタンと主触媒である白金を併用させて効果を発揮し、十分な光エネルギーがない夜間などは主触媒である白金のみで吸着分解効果を維持することを特徴とする白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0007】
(2)定期的に光を当てることで補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用を引き起こし、それによって主触媒である白金の有機化合物分解除去能力を復活し常時維持させることを特徴とする前記(1)項に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0008】
(3)紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に一定量の白金担持光触媒を塗布したり混合させることを特徴とする前記(1)項に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0009】
(4)居室空間体積1立方メートルあたりに対して紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に塗布面積0.08平方メートル以上として白金担持光触媒材料を塗布したり混合させることで、空気中の有機化合物を有効に分解し除去させることが常時効果的に維持できることを特徴とする前記(2)項に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0010】
(5)あたかも実際の生花のように光を定期的に当てることで光触媒効果がよみがえるという機能蘇生効果を生み出し、呼吸する造花という擬似効果を出すことによって実際の生花を超えるように空気を清浄化し、匂いをとる事や輝きや光沢を増すなどの生気が表れるという訴求効果を生み出すことができることを特徴とする前記(2)項又は(4)項に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0011】
(6)空気中の有機化合物を分解し除去させる光触媒効果を高くするため、空気接触表面積が多くなるような3次元構造を造花に持たせることを特徴とする前記(1)項又は(3)項に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0012】
(7)ガラスのはめ込まれていない額の場合には額の中の表面に、ガラスがはめ込まれている額の場合にはガラス表面に白金担持光触媒を用いた造花を収容することにより、壁等に対して着脱自在な可動性を高めることにより最も適した採光場所に移動させ易くし、加えて壁にかけられるため場所をとらないといった利点を高めたことを特徴とする前記(2)項、(4)項、(5)項の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0013】
(8)造花本体の一部に可動性を持たせることにより、光源の方向に光触媒を塗布した造花の基体表面を有効に向けさせることで最大限の採光効率を達成させることを特徴とする前記(2)項、(4)項、(5)項、(7)項の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0014】
(9)白金担持光触媒材料を表面に塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花をあしらったランプカバーを照明器具に取付けることを特徴とする前記(1)項、(3)項、(6)項の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0015】
(10)白金担持光触媒材料を塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花レリーフや造花デコレーションで覆われた壁紙を利用することを特徴とする前記(2)項、(4)項、(5)項、(7)項、(8)項の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【0016】
(11)造花をあしらって不織布で作った自動車内に置くためのティッシュボックスカバーの表面に、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して塗布し、白金触媒と光触媒効果を有効に利用して車内の臭いや有害物質を除去させることを特徴とする前記(1)、(3)、(6)、(9)の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0017】
(12)立体的表現である造花が押し花や花の刺繍の形状を利用したものであることを特徴とする前記(1)、(3)、(6)、(9)の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【0018】
(13)花粉症の症状緩和用などに使用するマスクの表面に半立体的形状で造花をあしらってマスク表面で花粉などの有害物質を除去することを特徴とする前記(1)、(3)、(6)、(9)、(11)、(12)の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【発明の効果】
【0019】
(a)白金を主触媒とし、光触媒物質である二酸化チタンを補助触媒とする技術的思想に基づいて、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して基体に塗布し、白金と二酸化チタンを混合した白金担持光触媒材料を対象とする造花の基体表面に塗布するものであり、該二酸化チタンの含有量に対して0.05〜50%とする白金は光の有無にかかわらず常温で有機化合物を吸着する性質を有するので、夜間中でも該吸着の際に空気中の有機化合物を吸着・分解することができ、単にこのまま放置すると数時間で分解された物質で白金表面が覆われてしまい触媒毒となり吸着・分解をしなくなるので、太陽光などのあたる昼間などに補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用により白金の表面に覆われた物質を酸化させて触媒毒を取り払うことによって、主触媒である白金は吸着分解能を回復させて、昼間など十分な光エネルギーがある間は光触媒反応を行う補助触媒である二酸化チタンと主触媒である白金を併用させて効果を発揮し、十分な光エネルギーがない夜間などは主触媒である白金のみで吸着分解効果を維持することにより、昼夜を問わず働く空気清浄機能を持った造花が実現することになる。
【0020】
ここで、白金を主触媒とし二酸化チタンを補助触媒とする技術思想とは、空気中の有機化合物を吸着・分解する触媒作用として主要な働きをするのが白金であり副次的な働きをするのが光触媒物質としての二酸化チタンであることを意味している。白金が二酸化チタンよりも量的に多いことを意味するものではないが、従来のように二酸化チタンのみの光触媒作用に注目して空気清浄機能を実現しようとして極少量の白金をも添加していた例と比べると、遥かに多くの量の白金を使用しているのが本発明である。
【0021】
「白金」自体にも空気中の有機化合物を旺盛に吸着・分解する触媒機能があることは従来から知られているところであるが、その表面が吸着・分解物質により覆われてしまうとそれ以上の空気清浄機能は期待できなくなってしまう。したがって、白金表面を覆った吸着・分解物質(触媒毒)を少なくとも定期的に取り除く配慮がないと「白金」そのものに実効的な空気清浄機能を担わせることはできなかったのである。
【0022】
本発明は二酸化チタンの光触媒作用によって白金表面の触媒毒(吸着・分解物質)を取り除き、十分な光エネルギーのない夜間等でも白金触媒による空気清浄機能を実効的に維持させようとするものである。
【0023】
また、本発明における「造花」とは、主として植物の形態を模した立体的且つ人工的な観賞用インテリア物品であり、所謂「花」のみではなく「観葉植物」などの形態を利用したものも含まれるものである。
【0024】
(b)定期的に光を当てることで補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用を引き起こし、それによって主触媒である白金の有機化合物分解除去能力を復活し常時維持させることにより、空気中の有機化合物を旺盛に分解・除去する白金表面の触媒毒を有効に取り除いて昼夜を問わない空気清浄機能を実現することができるようになる。
【0025】
(c)紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に一定量の白金担持光触媒を塗布したり混合させることにより、無駄なく適切な量の白金担持光触媒物質を活用することが可能になる。
【0026】
(d)居室空間体積1立方メートルあたりに対して紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に塗布面積0.08平方メートル以上として白金担持光触媒材料を塗布したり混合させることで、空気中の有機化合物を有効に分解し除去させることが常時効果的に維持できることにより、本発明を応用した最適な条件設定を行うことができるようになる。
【0027】
(e)あたかも実際の生花のように光を定期的に当てることで光触媒効果がよみがえるという機能蘇生効果を生み出し、呼吸する造花という擬似効果を出すことによって実際の生花を超えるように空気を清浄化し、匂いをとる事や輝きや光沢を増すなどの生気が表れるという訴求効果を生み出すことができることにより、命の無い「造花」でありながら定期的に光を当てることを要求することによる擬似的生命効果を感じることができるようになり、また、本発明の白金担持光触媒物質自体の性質に基づく匂い取り効果や光沢性向上によって従来に造花にはない魅力が実現されるようになった。
【0028】
(f)空気中の有機化合物を分解し除去させる光触媒効果が高くするため、空気接触表面積が多くなるような3次元構造を造花に持たせることにより、壁やガラス板といった2次元素材に応用するよりも一層効果的な空気清浄機能が実現するようになる。
すなわち、造花のような立体的構造物表面は平面素材よりも同等のスペースにおける空気接触表面積を多く取ることができ、従って照射される光エネルギーを無駄なく活用して空気中の有機化合物を分解・除去することが可能になるのである。
【0029】
(g)ガラスのはめ込まれていない額の場合には額の中の表面に、ガラスがはめ込まれている額の場合にはガラス表面に白金担持光触媒を用いた造花を収容することにより、壁等に対して着脱自在な可動性を高めることにより、最も適した採光場所に移動させ易くし、加えて壁にかけられるため場所をとらないといった利点を高めたことにより、より効率的な空気清浄機能を有する本発明の応用製品を簡便に移動できるものとして利用することが可能となり、例えば昼間十分な光エネルギーを照射した本発明品を普段は光が殆んど当たらない場所に設置しても一定期間は十分な空気清浄化機能が発揮できるようになるのである。
【0030】
(h)造花本体の一部に可動性を持たせることにより、光源の方向に光触媒を塗布した造花の基体表面を有効に向けさせることで最大限の採光効率を達成させることにより、所与の採光条件下において、常時効率的な空気清浄機能を実現させることができるようになる。
【0031】
(i)白金担持光触媒材料を表面に塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花をあしらったランプカバーを照明器具に取付けることにより、光源である照明器具の光エネルギーを有効活用して空気清浄化機能を実現することが可能になる。
【0032】
(j)白金担持光触媒材料を塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花レリーフや造花デコレーションで覆われた壁紙を利用することにより、各種素材を利用した造花作品を壁紙に利用しながら適正な空気清浄化機能が実現することになる。
【0033】
(k)造花をあしらって不織布で作った自動車内に置くためのティッシュボックスカバーの表面に、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して塗布し、白金触媒と光触媒効果を有効に利用して車内の臭いや有害物質を除去させることにより、自動車中に差し込む日差しの紫外線を有効活用して車中の空気を清浄化し、しかもその効果が夜間などでも継続するようにできる。
【0034】
(l)立体的表現である造花が押し花や花の刺繍の形状を利用したものであることにより、自由な形状構成の造花を利用した製品展開が可能になる。
【0035】
(m)花粉症の症状緩和用などに使用するマスクの表面に、たとえば、刺繍のような半立体的形状で造花をあしらってマスク表面で花粉などの有害物質を除去することにより、空気中の有害物質を適切に除去して利用者の健康を維持・増進させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
上記してきたような本発明の具体的な実施形態の若干例を、添付図面等を利用しながら以下説明する。
本発明の技術的本質とするところは、従来は窓ガラスや壁などのように平面的な対象物の表面に塗布して使用されることが殆んどであった空気清浄作用を発揮する光触媒物質を複雑な三次元的構造物である「造花」の基体表面に塗布して、それによりかえって従来手法よりも光触媒作用による室内空気の清浄化をより効率的なものとすることにある。
【0037】
すなわち、十分な光エネルギーの存在が想定できるのであれば、窓ガラス等のように平面的な対象物の表面にのみ光触媒物質を塗布するのではなく、立体的構造物の方がその表面積が大きくなるのでその表面に光触媒物質を塗布する方が一層効率的であることを見出し、このことを一般的な室内インテリア条件の下で有効活用するには立体的構造物として「造花」を利用することが好ましいことに思い至ったのである。
【0038】
つまり、自然界の植物が十分な日光の照射条件が存在する場合に、その光合成を効率的に行うために日差しの方に向けて葉を幾重にも重ねて茂らせるのと同様に、十分な光エネルギーを期待できる条件下では三次元的構造物の表面を利用してより広い表面積に光触媒物質を塗布することがその機能発揮の上で望ましいことになるのである。
【0039】
したがって、本発明による「造花」は、例えば、晴れた日には数時間以上の陽射しが差し込む部屋の採光用窓ガラスの窓際に設置しなければならない、などというような使用条件を満たさないと所望の機能発揮が難しいことになる。また、室内の所定設置箇所において有効に機能させるという使用条件の観点から、該条件を満たす場合に十分な陽射しを受けると想定される箇所に重点的に光触媒物質を塗布することが望ましく、明らかに日陰になるような箇所にまで塗布することは必要ない。
【0040】
特に、本発明においては白金担持光触媒物質を利用するのであり、これは一般的な光触媒物質におけるよりも遥かに多くの高価な白金を添加したものであるから、コストの面からも非効率的な箇所に塗布することを避ける必要性が高いものとなっている。
【0041】
さらに、本発明を利用して実効的な室内の空気清浄を図るのであれば、本発明による「造花」を置くのは所定広さの部屋までに限られるといった意味の使用条件もきちんと管理されなければならない。能力を超えた広さの部屋の空気清浄化が行われることはないのである。
【0042】
しかしながら、上記のような使用条件を満たすようにされるのならば、ある室内の採光窓ガラス一面に塗布された光触媒物質と同等の空気清浄化作用を相当にコンパクトなサイズの本発明による「造花」で実現させることが可能である。
【0043】
本発明の「造花」は、人工的なものでありながらその空気清浄化機能を十分に発揮させるためには上記したような使用条件を満足させる必要があり、その意味で生きている草花と同様な世話をしなければならないが、かえってそこに擬似的生命を世話するという「癒し」的な効果をユーザーに感じさせることができるものである。
また、近時光触媒物質を利用した造花商品が販売されるようになって来ているが、本発明におけるような使用条件を考慮せずに空気清浄が行われると言っても、ほとんどその効果は少ないものと考えられる。
【0044】
本発明による「造花」は必ずしも自然の草花と同様な形状とされる必要はない。比較的小さなスペースで大きな表面積を得て効率的な光触媒効果を達成することを目的とするものであるから、半立体的形状や浮き彫り的形状であっても完全に平面的な窓ガラスや壁と比べれば効果的になるのである。
【0045】
図1は、本発明による造花1を採光用窓のカーテン2の表面にあしらった場合の若干例を示している。
すなわち、不織布製のカーテン2の表面に押し花や浮き彫りといったように、半立体的表現によってその表面積を大きくした造花1を1つまたは複数個取付け、その表面に白金担持光触媒物質3を塗布することで、室内に差し込む日光などの光エネルギーを十分に活用した効率的な光触媒作用を行い室内の空気を清浄化するものである。
【0046】
前記したように本発明では、主触媒である白金自体の有機化合物分解除去機能を活用して、光エネルギーのない夜間などでも室内の空気清浄を有効に継続することができる。このような夜間での空気清浄作用を継続して行わせるためには、日中に3時間程度の十分な日差しを本発明の造花1に照射するように配慮するべきである。
【0047】
ここでのカーテン2は、造花1を適切に取付けられるものであれば良いのであるから、図示のように、一般的な布地製でもブラインド式のものであっても構わない。また、夜間にはカーテン2を閉めておくことが多いことからすると、窓ガラスに光触媒物質を塗布していてもカーテン越しには有効に空気清浄作用を発揮し難いので、夜間においても旺盛な空気清浄化作用を実現する本発明においては、カーテン2表面の造花1に白金担持光触媒物質3を塗布しておくことの有効性は大きい。
【0048】
図2は、室内の好みの箇所に取付けて飾る額縁4を利用して造花1を活用する場合の若干例を示したものである。十分な表面積を持った造花1の表面に白金担持光触媒物質3を塗布して好ましい空気清浄化機能を果たさせるために、造花1は立体的または半立体的な表現として作成され、通常は額縁4のガラスを外した状態で額縁4自体を花器として利用するものとして収容される。ガラスを付けた状態で造花1を収容する場合には、室内側のガラス表面に白金担持光触媒物質3を塗布しておく必要がある。
【0049】
額縁4の場合には壁に付けたフックなどを利用して着脱自在なものであるから、必ずしも室内の日当たりの良い場所に常時置かれている必要はない。十分な光エネルギーのある日中に日当たりの良い場所に数時間程度置いていた額縁4をその後日差しの届かない場所の壁にかけておくものとしても、その後の夜間も含めて24時間程度の空気清浄化作用は期待できるのである。
もちろん、さらに継続的な空気清浄化機能を維持させるためには改めて数時間程度の意光エネルギー照射を与えて主触媒である白金の有機化合物分解除去機能を回復する必要があるが、日当たりの良い壁などに本発明の額縁4をかけておく場合にはこのような配慮を考える必要はない。
【0050】
図3は、自動車室内などに置くティッシュボックスカバー5の表面に半立体的表現による本発明の造花1をあしらったものの1例を示している。不織布製などによるティッシュボックスカバー5自体の表面にも白金担持光触媒3を塗布してよいが、半立体的表現による造花1の表面にも塗布することで、さらに大きな表面積全体に対して白金担持光触媒3を塗布することができ、十分な光エネルギーが想定される自動車内においてより効率的な光触媒作用による空気清浄化が実現するのである。
【0051】
さらに、図4は花粉症対策用のごときマスク6の表面側に半立体的形状の造花1をあしらう場合について示している。マスク表面において白金担持光触媒3を塗布できる表面積がより大きくなるので、花粉等の有害物質の分解除去能力も高まることが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明してきたような本発明によるときは、白金を主触媒としに酸化チタンを副触媒として機能する白金担持光触媒物質を利用しての昼夜を問わない室内の空気清浄化作用を、窓ガラスや壁に塗布する場合よりも一層効率的に実現することが可能となり、しかも適切なデザインを施した造花とすることで室内装飾のためのインテリア機能も同時に果たすことが明らかであり、環境浄化意識の高まっている昨今のユーザーに強く訴求する利点を持った製品となる可能性を有しているので、本発明は産業上の利用可能性において優れた発明であると理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】 本発明による造花を採光用窓のカーテンの表面にあしらった場合の若干例を示している。
【図2】 室内の好みの箇所に取付けて飾る額縁を利用して造花を活用する場合の若干例を示したものである。
【図3】 自動車室内などに置くティッシュボックスカバーの表面に半立体的表現による本発明の造花をあしらったものの1例を示している。
【図4】 花粉症対策用マスクなどの表面に白金担持光触媒を塗布した場合の1例を示した図面である。
【符号の説明】
【0054】
1 本発明の造花
2 カーテン
3 白金担持光触媒物質
4 額縁
5 ティッシュボックスカバー
6 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金を主触媒とし、光触媒物質である二酸化チタンを補助触媒とする技術的思想に基づいて、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して基体に塗布し、白金と二酸化チタンを混合した白金担持光触媒材料を対象とする造花の基体表面に塗布するものであり、該二酸化チタンの含有量に対して0.05〜50%とする白金は光の有無にかかわらず常温で有機化合物を吸着する性質を有するので、夜間中でも該吸着の際に空気中の有機化合物を吸着・分解することができ、単にこのまま放置すると数時間で分解された物質で白金表面が覆われてしまい触媒毒となり吸着・分解をしなくなるので、太陽光などのあたる昼間などに補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用により白金の表面に覆われた物質を酸化させて触媒毒を取り払うことによって、主触媒である白金は吸着分解能を回復させて、昼間など十分な光エネルギーがある間は光触媒反応を行う補助触媒である二酸化チタンと主触媒である白金を併用させて効果を発揮し、十分な光エネルギーがない夜間などは主触媒である白金のみで吸着分解効果を維持することを特徴とする白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項2】
定期的に光を当てることで補助触媒である二酸化チタンの光触媒作用を引き起こし、それによって主触媒である白金の有機化合物分解除去能力を復活し常時維持させることを特徴とする請求項1に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【請求項3】
紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に一定量の白金担持光触媒を塗布したり混合させることを特徴とする請求項1に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項4】
居室空間体積1立方メートルあたりに対して紙や布、不織布、蝋(ロウ)などの造花のベースとなる素材に塗布面積0.08平方メートル以上として白金担持光触媒材料を塗布したり混合させることで、空気中の有機化合物を有効に分解し除去させることが常時効果的に維持できることを特徴とする請求項2に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【請求項5】
あたかも実際の生花のように光を定期的に当てることで光触媒効果がよみがえるという機能蘇生効果を生み出し、呼吸する造花という擬似効果を出すことによって実際の生花を超えるように空気を清浄化し、匂いをとる事や輝きや光沢を増すなどの生気が表れるという訴求効果を生み出すことができることを特徴とする請求項2又は4に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【請求項6】
空気中の有機化合物を分解し除去させる光触媒効果が高くするため、空気接触表面積が多くなるような3次元構造を造花に持たせることを特徴とする請求項1又は3に記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項7】
ガラスのはめ込まれていない額の場合には額の中の表面に、ガラスがはめ込まれている額の場合にはガラス表面に白金担持光触媒を用いた造花を収容することにより、壁等に対して着脱自在な可動性を高めることにより、最も適した採光場所に移動させ易くし、加えて壁にかけられるため場所をとらないといった利点を高めたことを特徴とする請求項2、4、5の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【請求項8】
造花本体の一部に可動性を持たせることにより、光源の方向に光触媒を塗布した造花の基体表面を有効に向けさせることで最大限の採光効率を達成させることを特徴とする請求項2、4、5、7の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花による空気清浄方法。
【請求項9】
白金担持光触媒材料を表面に塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花をあしらったランプカバーを照明器具に取付けることを特徴とする請求項1、3、6の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項10】
白金担持光触媒材料を塗布したり混合したりした造花のベースとなる素材である不織布や紙、布、蝋、樹脂、ガラス、陶器、木材、金属、革、鉱物などで作られた造花レリーフや造花デコレーションで覆われた壁紙を利用することを特徴とする請求項2、4、5、7、8の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花に夜空気清浄方法。
【請求項11】
造花をあしらって不織布で作った自動車内に置くためのティッシュボックスカバーの表面に、シリカとエチルアルコールを溶剤としたバインダー混合液を先に塗布して半乾きの状態で、白金と二酸化チタンを混合して塗布し、白金触媒と光触媒効果を有効に利用して車内の臭いや有害物質を除去させることを特徴とする請求項1、3、6、9の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項12】
立体的表現である造花が押し花や花の刺繍の形状を利用したものであることを特徴とする請求項1、3、6、9、11の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。
【請求項13】
花粉症の症状緩和用などに使用するマスクの表面に半立体的形状で造花をあしらってマスク表面で花粉などの有害物質を除去することを特徴とする請求項1、3、6、9、11、12の何れか1つに記載の白金担持光触媒材料を表面に塗布した造花。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−38322(P2008−38322A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239523(P2006−239523)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(301045920)株式会社ゼンワールド (2)
【出願人】(506298910)株式会社エピ (1)
【Fターム(参考)】