説明

白髪改善用組成物及び白髪改善方法

【課題】白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができると共に、低コスト且つ簡便に使用することができる白髪改善用組成物及び白髪改善方法の提供。
【解決手段】東南アジア原産の柑橘類の一種であるマクルート果実(学術名:シトラス・ヒストリックスDC、ミカン科(Citrus hystrix DC Rutaceae)、和名:コブミカン)から得られる抽出物や複数個に分割されたマクルート果実の切断面を頭部や顎部などの発毛部位に直接塗布する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白髪改善用組成物及び白髪改善方法に関し、特に、頭部や顎部に発生する白髪に用いられる白髪改善用組成物及び白髪改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱毛を抑制したり白髪を本来の髪色に戻したい(褐色化或いは黒色化)といった要望から、育毛剤や発毛剤、あるいは白髪改善剤などの毛髪用組成物の開発が盛んに進められている。このような毛髪用組成物のうち、白髪改善剤の開発を行う際には、白髪の発生メカニズムを解明することが重要であり、そのメカニズム解明のための研究が行われている。
【0003】
白髪は主として色素細胞によって生成されたメラニン色素が毛髪内に取り込まれなくなることによって発生することが明らかとなっているが、その発生原因については数多くの諸説が存在し、未だ根本的な原因が解明されていない。そしてこれまで、白髪を黒髪化する作用を有する白髪改善剤については、種々の天然材料からの抽出物によって当該作用が見込めることが開示されているものの(特許文献1)、未だ効果的な白髪改善剤が殆どないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−031056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、毛髪と人が受けるストレスとの関係は深く、人が様々な社会環境からストレスを受ける可能性があることに照らせば、効果的に白髪を本来の髪色に戻すことに加え、低コスト且つ簡便に使用することができる白髪改善用組成物の登場が切望されている。
【0006】
本発明の目的は、白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができると共に、低コスト且つ簡便に使用することができる白髪改善用組成物及び白髪改善方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る白髪改善用組成物は、マクルート果実から得られる抽出物を含有することを特徴とする。
好ましくは、前記抽出物を頭部又は顎部の発毛部位に直接塗布する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る白髪改善方法は、マクルート果実の切断面を頭部又は顎部の発毛部位に所定回数擦り付けることにより、前記発毛部位における白髪を本来の髪色に戻すことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記マクルート果実をボイル処理し、前記ボイル処理されたマクルート果実の切断面を頭部又は顎部の発毛部位に所定回数擦り付けることにより、前記発毛部位における白髪を本来の髪色に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、白髪改善用組成物は、マクルート果実から得られる抽出物を含有するので、当該抽出物が発毛部位に塗布されると、該発毛部位における白髪が当該抽出物によって褐色化或いは黒色化される。したがって、白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができると共に、低コスト且つ簡便に使用することができる。
【0011】
また、本発明によれば、マクルート果実の切断面を頭部又は顎部の発毛部位に所定回数擦り付けるので、当該発毛部位における白髪が褐色化或いは黒色化される。したがって、白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができると共に、低コスト且つ簡便に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る白髪改善用組成物及び白髪改善方法を用いて実験を行った実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、画期的な白髪改善用組成物及び白髪改善方法を発見した。すなわち、数多く存在する柑橘類果実の中からマクルート果実を選定し、該マクルート果実から得られる抽出物を頭部に塗布すると白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができることを見出した。また、安価なマクルート果実を直接使用することによって低コストで白髪を本来の髪色に戻すことができ、加えて複雑な処理・加工等を必要とせずに簡便に使用できることを見出した。
【0014】
本願発明は、上記研究結果に基づいてなされたものである。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明に使用されるマクルート果実(Makroot Fruit)(学術名:シトラス・ヒストリックスDC、ミカン科(Citrus hystrix DC Rutaceae)、和名:コブミカン)は、マクルート(Makrut)、カフィアライム(Kalfir lime, kiffer lime, liman purut)などの名前で知られており(以下、単に「マクルート」という)、インドネシア、マレーシア等の東南アジア原産の柑橘類の一種であり、歴史的に漢方薬、料理の香辛料、浴用等々に広く使われてきた天然材料である。
【0016】
本発明者は、上記従来のマクルートの用途における作用とは全く異なる作用を発見した。すなわちマクルートから得られる抽出物を頭部や顎部などの発毛部位に塗布すると、白髪が褐色化或いは黒色化し、本来の色の毛髪が生えてくることを発見したのである。使用方法としては、例えば、安価で入手することができるマクルートを所望の大きさとなるように複数個に分割し、分割されたマクルートの切断面を頭部や顎部などの発毛部位に所定回数擦り付けるといった、極めて簡便な方法が採用される。この方法によれば、マクルートの果汁が発毛部位における白髪に作用して、白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができると共に、低コスト且つ簡便に使用することができる。
【0017】
具体的には、使用期間を約4週間、使用回数を2,3回/週とし、マクルートの切断面を頭部や顎部などの発毛部位に擦り付け、マクルートの果汁を発毛部位に直接塗布する。これにより、発毛部位における白髪をより効果的に本来の髪色に戻すことができる。
【0018】
ここで、従来の白髪改善剤では、最終製品の完成に至るまで煩雑な加工・処理が必要とされる割には白髪改善の著しい効果を得るには至っていない。また、最終製品に少なからず化学成分を含んでいるため、使用者によっては頭皮に刺激を感じたり、炎症や湿疹などの副作用等が生じるという弊害がある。
【0019】
この弊害を除去すべく、本実施の形態では、マクルートの果肉や果皮から得られる抽出物を白髪改善用組成物として使用し、エタノール等の有機溶媒で抽出することなく、発毛部位に直接塗布する。これにより、煩雑な加工・処理を一切必要とせず、極めて簡便な方法にて白髪を本来の髪色に戻すことができる。また、使用者が刺激を感じたり副作用で苦しむことがなく、アレルギー体質の人や病人が安心して使用することができる。
【0020】
他の方法としては、フレッシュなマクルートを所定時間ボイル処理し、ボイル処理後のマクルートを頭部や顎部などの発毛部位に擦り付ける方法が採用される。マクルートにボイル処理を施しても白髪に作用する成分への影響は小さいため、ボイル処理後のマクルートから抽出された液体を頭部や顎部に塗布すれば、白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができる。これにより、マクルートを長時間保存することができ、使用者が所望のタイミングあるいは所望の場所で白髪を本来の髪色に戻すことが可能となる。
【0021】
さらに、ボイル処理後のマクルートの果皮を剥き取って、果皮内面を頭部や顎部などの発毛部位に擦り付ければ、白髪を更に効果的に本来の髪色に戻すことができる。マクルートをボイル処理すると、白髪に作用する成分が果実の中心部から果皮近傍に移行すると考えられるからである。
【0022】
また、好ましくは、マクルートから得られる抽出物を発毛部位に直接塗布する以外に、当該抽出物を水で希釈した希釈液を発毛部位に塗布する。白髪が発毛している部位の面積が大きい場合には、マクルートから得られる抽出物を多量に塗布するため、べとつきが生じたりして使用感が良くない場合がある。このような場合に、マクルートから得られる抽出物の希釈液を塗布することにより、さっぱりとした使用感を得ることができる。なお、上記水の代わりに、化学成分を含まない液体でマクルートから得られる抽出物を希釈してもよい。これにより、上記同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を説明する。
本来の髪色が褐色或いは黒色である男女11人を対象者として、マクルートの使用期間を約4週間、使用回数を1〜5回/週とし、マクルートから得られる抽出物を、白髪を含む頭髪の発毛部位に直接塗布した。そして、各対象者について、(1)当該発毛部位における白髪が褐色或いは黒色に変化したか否か、(2)当該発毛部位において抜け毛が減少したか否かを観察した。また、他の観察・調査項目として、(3)当該発毛部位におけるフケの防止の有無、(4)当該発毛部位におけるかゆみの防止の有無を観察・調査した。上記(1)〜(4)までの観察・調査結果を図1に示す。
【0024】
図1において、11人のうち6人の対象者が、白髪が褐色化(或いは黒色化)したと回答し(実施例1,2,5,7,8,11)、6人の対象者が、抜け毛が減少したと回答し(実施例2,4〜7,10)、また、フケがなくなったと回答したのが6人だった(実施例1,2,3〜5,9)。また、発毛部位におけるかゆみがなくなったと回答したのが8人であり(実施例2〜5,8〜11)、11人の対象者の全てにおいて炎症や湿疹などの副作用は一切発生しなかった。また、毛髪が直毛になったと回答したのが1人(実施例2)、毛髪にハリ・コシが出たと回答したのが1人だった(実施例3)。
【0025】
この結果から、マクルートを直接頭皮に擦り付け、マクルートの果汁を発毛部位に塗布することにより、当該発毛部位における白髪を効果的に本来の髪色に戻すことができることが分かった。また、安価なマクルートを使用することによって低コストで白髪を本来の髪色に戻すことができ、加えて複雑な処理・加工等を必要とせずに簡便に使用できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクルート果実から得られる抽出物を含有することを特徴とする白髪改善用組成物。
【請求項2】
前記抽出物を頭部又は顎部の発毛部位に直接塗布することを特徴とする請求項1記載の白髪改善用組成物。
【請求項3】
マクルート果実の切断面を頭部又は顎部の発毛部位に所定回数擦り付けることにより、前記発毛部位における白髪を本来の髪色に戻すことを特徴とする白髪改善方法。
【請求項4】
前記マクルート果実をボイル処理し、前記ボイル処理されたマクルート果実の切断面を頭部又は顎部の発毛部位に所定回数擦り付けることにより、前記発毛部位における白髪を本来の髪色に戻すことを特徴とする請求項1記載の白髪改善方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−102020(P2012−102020A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249037(P2010−249037)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(510294999)有限会社アルコトレード・トラスト (1)
【Fターム(参考)】