説明

皮膚および創傷における使用のための組成物

本発明は、皮膚および創傷における使用のための組成物であって、バイオフィルムを選択的に染色することができる光触媒を含み、創傷中のバイオフィルムの診断および治療時の使用のための組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌に関連した感染症の診断および治療のための組成物であって、皮膚、創傷、切り傷、擦り傷、または火傷に適用することができる組成物に関する。より具体的には、本発明は、創傷および皮膚の炎症、ならびに創傷治癒の遅延を回避すると同時に、有効な抗菌活性を提供することができる組成物に関する。本発明のさらなる具体例は、細菌に関連する感染症の診断および治療における使用のためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の過剰使用およびそれに付随する細菌抵抗性の増加は、創傷感染の治療時の抗生物質の有効性に影響を与える。それゆえ、抗生物質に代わる物質が所望されている。
【0003】
局所的な抗菌物質およびそれらを含有する製剤は、長年、皮膚および創傷の感染症の機会を最小限に抑えるために重要な役割を果たしていると認識されている。消毒剤は、生きている組織での使用に対して安全であり得る非選択性の化学薬剤である。ヨウ素分子、銀イオン、ならびに次亜塩素酸ナトリウムおよび二酸化塩素のような酸化剤は、広範囲の微生物に対して有効性を有する消毒剤として認識されている。しかしながら、かかる薬剤に基づいて創傷に適用するための有効な抗菌組成物を調製するためにはいくつかの障壁が存在する。1つの問題は、これらの消毒剤が、目的とする抗菌標的以外の創傷中で見出される有機物と反応しやすいことである。このことは、有効であるために消毒剤が高いレベルで治療組成物中に含まれることを要し、細胞毒性、過敏反応、皮膚の染色および全身的作用のような長期間の使用に伴って望ましくない副作用を引き起こしうることを意味する。
【0004】
創傷は、しばしば、様々な微生物によりコロニーが形成され、そのうちのいずれかが感染症を引き起こしうる。バイオフィルム環境内で生存している微生物集団は、創傷治癒の遅延および感染症の原因であると考えられている。バイオフィルムは、細菌が一旦表面に接着した際にそれらから産生される細胞外マトリックスからなり、このことは、微生物を免疫細胞および抗菌剤から保護することを助長する。抗菌剤(例えば、抗生物質および消毒剤)の有効性が細胞外バイオフィルムマトリックスにより損なわれるため、バイオフィルムを破壊し、その中の微生物を露出させる戦略は、抗菌剤の活性レベルを増加させ、それにより有効な組成物を調製するのに必要とされる薬剤の濃度を減少させるために有用であり得る。
【0005】
歯において歯垢の形で見出されるようなバイオフィルムは、それらの厚さ、色およびそれらが形成される生息環境の特徴により、しばしば肉眼で見ることが容易である。慢性もしくは急性創傷のバイオフィルムの可視化は、創傷中に存在する色および創傷の内容物のため、簡単にはいかない。慢性および急性創傷は、細菌および潜在的なバイオフィルムに加えて、死んだ組織もしくは失活した組織(かさぶた)、滲出物、膿、血液、薬物、包帯構成物を含有するため、大抵複雑である。このように、肉眼により創傷のバイオフィルムを見ることが難しいことから、創傷におけるバイオフィルムの存在を診断することは困難であろう。それゆえ、例えば、創傷のバイオフィルムを選択的に染色して、それらを視覚化することができる組成物により、バイオフィルムの診断を補助する方法が必要とされている。
【0006】
光線力学的療法(PDT)は、腫瘍細胞を選択的に破壊する一方で、健常な細胞を残存する、癌治療で用いられる治療形態の1つである(非特許文献1)。色素光線感受物質または光触媒は、典型的に、標的細胞に適用され、続いて適当な波長の光で照射されて、光触媒を活性化する。次いで、活性化された光触媒は、エネルギーを周辺の分子に移行して、活性なラジカルおよび一重項酸素のような反応性酸素種を生成し、細胞死を引き起こす。近年では、この原理を採用して、細菌を死滅させ(非特許文献2)、バイオフィルムを破壊している(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Dougherty T. J., Gomer C. J., Henderson B. W., Jori G., Kessel D., Korbelik M., Moan J. & Peng Q. (1998). Photodynamic Therapy. J. Natl. Cancer Inst. 90, 889−905
【非特許文献2】Wainwright M. (1998). Photodynamic antimicrobial chemotherapy (PACT). J. Antimicrob. Chemother. 42, 13−28
【非特許文献3】Wainwright M., Phoenix D. A., Nickson P. B. & Morton G. (2002). The Use of New Methylene Blue in Pseudomonas aeruginosa Biofilm Destruction. Biofouling, 18, 247−249
【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、我々は、バイオフィルムを明確にする(disclose)光触媒を含む組成物の使用により、創傷におけるバイオフィルムを選択的に染色することができることを見出した。バイオフィルムの存在が発見された場合、続いて、光触媒は、照射されて活性化されて、一重項酸素およびラジカルの形成を触媒し、バイオフィルム細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊することができる。
【0009】
それゆえ、本発明の第1の態様は、バイオフィルムを選択的に染色することができる光触媒を含む皮膚および創傷における使用に適当な組成物であって、創傷におけるバイオフィルムの診断および治療時の使用のための組成物を提供する。
【0010】
選択的に染色することは、光触媒が、宿主組織ではなくバイオフィルムに選択的に結合することを意味する。これにより、光触媒は、単に、バイオフィルムを明確にすることによりバイオフィルムを診断するためか、またはバイオフィルムを診断し、次いで破壊するために用いることができる。光触媒は、細胞外のバイオフィルムマトリックス分子に結合し、ならびに創傷組織ではなくバイオフィルム細菌細胞に結合し、および/または取り込まれている。好ましくは、バイオフィルムの光触媒による染色は、それを明確にして肉眼で見えるようにすることにより、バイオフィルムを診断する。いくつかの光触媒については、染色されたバイオフィルムは、例えば、光源を用いた照射により、蛍光を生じさせることができる。蛍光は、染色されたバイオフィルムをより可視化することができる。光源は、光触媒が光子の形態で光エネルギーを吸収するような適当な波長光を放射するために選択されて、光触媒を活性化し、蛍光を生じさせる。蛍光観察は、非蛍光性波長を取り除く適当な光学フィルターを用いて、例えば、光学フィルターを備えた眼鏡の形態で向上させてもよい。
【0011】
本発明の第1の態様による組成物は、バイオフィルムを選択的に染色することができる1つまたはそれ以上の光触媒を含む。光触媒は、光触媒エネルギーの移行により、一重項酸素を生成することができる。光触媒は、好ましくは、バイオフィルム細菌を死滅させ、細胞外バイオフィルムマトリックス構造を破壊する光依存性毒性レベルを生じるが、宿主細胞に有害な影響を与えない。好ましくは、光触媒は、可視領域の光を吸収する水溶性色素であり、検出のために十分な蛍光を生じることができ、一重項酸素を生成することができる。適当な光触媒は、アゾ染料(コンゴーレッド、ビスマルクブラウン、アルラレッド)、クロリン系(ベンゾポルフィリン誘導体、ポルフィン系、メソ−テトラポルフィン、クロリンe6)、クロロフィル類(クロロフィル、バクテリオクロロフィル、プロトクロロフィル)、クマリン系(チオクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、ケリン、ソラレン)、金属フタロシアニン(アルミニウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン)、金属ポルフィリン(亜鉛ポルフィラジン)、ナフタロシアニン(亜鉛ナフタロシアニン)、ペリレンキノン(ヒペリシン、ヒポクレリン、カルホスチンC)、フェナジン(ニュートラルレッド)、フェノチアジニウム(メチレンブルー、トルイジンブルーO)、フェノキサジニウム(ブリリアントクレシルブルー)、フェオホルビド(フェオホルビドナトリウム)、フェオフィチン(バクテリオフェオフィチン)、ポルフィセン(テトラ−n−プロピル−ポルフィセン)、ポルフィリン(ヘマトポルフィリン、フォトフリン(登録商標)、プロトポルフィリン、5−アミノレブリン酸)、プルプリン(オクタエチルプルプリン)、テトラピロール(ジヒドロテトラピロール、トリヒドロ−テトラピロール)、チオフェン(ターチオフェン、ビチオフェン)、トリアリールメタン(パテントブルー、ブリリアントブルー、ファストグリーン)、および最も好ましくは、キサンテン(エオシン、エリスロシン、ローズベンガル)であり得る。最も好ましくは、光触媒は、フェノチアジニウムまたはキサンテンである。
【0012】
好ましくは、光触媒は、可視領域、より好ましくは、400から700nm(白色光)、さらにより好ましくは、510から570nm(青−緑色光)で最大限に吸収し(例えば、ローズベンガルは550nmで最大限に吸収し、エリスロシンは526nmで最大限に吸収する)、このことは、広範囲の光源が本発明の組成物で使用され、または本発明のキットに含まれることを適当にする。
【0013】
好ましくは、光触媒は、検出のために十分な蛍光を生じる。
【0014】
本発明の組成物における使用に適当な光触媒は、最も好ましくは、(検出のために十分に)許容可能な蛍光、例えば0.01より高い蛍光を用いて、高量子収率(または相対効率)、例えば0.2より高い三重項を形成し、および一重項酸素を生成するものから選択される。それゆえ、最も好ましくは、エオシン(蛍光0.20〜0.63;一重項酸素0.37〜0.60)、エリスロシン(蛍光0.02〜0.08;一重項酸素0.62〜0.69)またはローズベンガル(蛍光0.018〜0.08;一重項酸素0.75〜0.86)のようなキサンテンである。ローズベンガルは、4,5,6,7−テトラクロロ−3’,6’−ジヒドロキシ−2’,4’,5’,7’−テトラヨード−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−3−オンである。
【0015】
光触媒は、好ましくは、0.0001重量%から1重量%、より好ましくは、0.0025重量%から0.025重量%、さらにより好ましくは、0.0025重量%から0.01重量%のレベルで組成物に含まれる。
【0016】
本発明の組成物は、組織に軽く結合している形態であってもよく、短期間で容易に洗い流されて、染色されたバイオフィルムの可視化に役立つものであってもよい。粘稠性の液体、例えば、ゲルは、創傷に流れ込んで創傷床と密な接触を形成するという有利な点を付与する。好ましくは、ゲルは、水平ではなく、または水平となっていない体の部位における創傷から流れ出ないほど十分に高い粘稠性を有する。好ましくは、ゲルは、100,000から800,000cP、より好ましくは、300,000から500,000cPの範囲の粘稠性を有する。
【0017】
組成物はまた、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体;ガム;グリセロール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリンまたはポリデキストロースのような糖/アルコール誘導体;ゼラチン、ペクチン、キトサンまたはアルギン酸エステルのような天然ポリマー;カーボポール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールまたはポロキサマーのような合成ポリマーなどの粘稠剤(viscosifier)を含んでもよい。好ましくは、組成物は、1から5重量%の粘稠剤を含み、最も好ましくは、HECを含む。
【0018】
本発明の組成物はまた、プロピレングリコール(PG)、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、ソルビトール、トリエタノールアミン、シクロメチコン、乳酸アンモニウムまたはグリセロールエステルのような保湿剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、5重量%から15重量%の保湿剤を含み、最も好ましくは、PGを含む。
【0019】
本発明の組成物はまた、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、デフェラシロクス、デフェリプロン、デフェロキサミン、デフェラゾキサン(deferazoxane)、エチレングリコール四酢酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸またはクエン酸三ナトリウムのような金属キレート剤を、0.1から2.0重量%で含んでもよく、あるいは、界面活性剤、特に、ジアルキルジメチル塩化アンモニウムもしくは塩化アルキルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムまたはアルキルトリメチル塩化アンモニウムなどの陽イオン第4級アンモニウム界面活性剤のような、光触媒剤のバイオフィルムへの浸透を補助する薬剤を、0.1重量%から1.0重量%のレベルで含んでもよい。
【0020】
好ましくは、本発明の組成物は、5から7の範囲、最も好ましくは、5.5付近のpHを有する。
【0021】
好ましくは、本発明の組成物は、ゲルの形態であり、HECのような粘稠剤、PGのような保湿剤、EDTAのような金属キレート剤、DDACのような界面活性剤および水を含み、特に、2.0w/v%のヒドロキシエチルセルロース、10.0w/v%のプロピレングリコール、0.5%のEDTA、0.1%のDDACおよび約87v/v%の滅菌蒸留水を含む。あるいは、本発明の組成物は、シリンジ、サチェット、スプレー、エアロゾルまたはブラシから創傷に適用される溶液またはゲルシートの形態であり得る。
【0022】
本発明のゲル組成物を調製するために、光触媒は、保存溶液から加えられて、必要とされる光触媒濃度のゲルが生成される(0.0001%から1%).
【0023】
本発明の組成物は、臨床感染の徴候(炎症、悪臭、滲出、低酸素など)を示し、感染のリスクを有し、瘡蓋もしくはバイオフィルムが存在している可能性があり、または一般に難治性である創傷において主に用いられる。本組成物はまた、バイオフィルムを検出し、減少させるために、また治療計画および直接的な将来の治療の有効性をモニターするために、包帯の交換時に用いられ得る。
【0024】
本発明のさらなる態様は、創傷におけるバイオフィルムの診断および治療時の使用のための部品(part)のキットであって、
バイオフィルムを選択的に染色する光触媒を含む組成物;ならびに
蛍光に対して光触媒を活性化して、バイオフィルムを診断することができ、細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊する光依存性毒性を生成することができる光源:
を含むキットに関する。
【0025】
光源は、光触媒の吸収特性に相当する光波長を放射するために選択され得る。光は、必要なエネルギー量が標的に受容される程度に標的からの距離および照明期間が十分であり、適当な波長で十分なパワー(power)のものでなければならない。これらのパラメーターは、標的からの一定距離において以下の式で結び付けられている:

エネルギー量(J/cm)=パワー(W/cm)×時間(秒)

すなわち、光源のパワーを増加させることにより、必要とされるエネルギー量に要する照射時間を短くするか、または一定時間でサンプルにより受容されるエネルギーを増加させることができる。
【0026】
より好ましくは、光源は、2つのモード;「露出(reveal)」または「診断」モード(光波長は光触媒に蛍光を生じさせる)を有し、次に、好ましくは「活性化」または「浄化(cleanse)」モードの高次パワー設定を有する(光波長は、光触媒を活性化させ、エネルギーを周辺分子に移行させ、ラジカルおよび一重項酸素などの反応性酸素種を生成して、細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊する)。離散波長バンドが「露出」または「診断」モードで用いることができる。好ましくは、照射段階(Absmaxまでであるが、照射波長にあまり重複することのない領域)と次の蛍光観察段階(最も大きな発光領域)との間に重複がないことである。「活性化」または「浄化」モードに関して、波長は、使用時に光触媒に対して最も高い吸収領域と一致すべきである。波長バンドは、図7および8において、ローズベンガルに関して示されている。光源は、好ましくは、光波長をフィルターすることができる光学システムを有するものであって、2つのモードで操作することができ、第1のモードは、光源が光触媒の吸収最大値(Absmax)より300nmから10nm低い領域の光波長を生じるのみで、バイオフィルムを診断することができるものであり、第2のモードは、光触媒のAbsmaxより75nm高く、75nm低いバンドの領域の光波長を生じるのみで、バイオフィルムを治療することができるものである。より好ましくは、診断モードにおいて、光源は、Absmaxより50nmから10nm低い範囲の光波長を生じるのみであり、最も好ましくは、Absmaxより30nmから10nm低い範囲の光波長を生じるのみである。より好ましくは、治療または浄化モードにおいて、光源は、Absmaxのいずれかの側に40nmの光波長を生じるのみである。
【0027】
光源は、Schott Glass BG3またはBG25のような「ショートパス」フィルターを通過するタングステン、ハロゲンまたはパルスキセノンランプのような白色の光源であってもよい。好ましくは、光源は、Lumileds Lighting LLC社製のLuxeon,タイプLXHL−NB96または97などの青色発光ダイオードのようなフィルターまたは減衰を必要としない狭スペクトル源である。光源は、複数の用途があってもよく、あるいは完全に使い捨てのものであってもよい。
【0028】
好ましくは、キットは、治療モードにおける光源による照射前、または浄化もしくは治療またはそれらの両方の後の照射後に、創傷を洗い流すための創傷洗浄溶液をさらに含む。
【0029】
好ましくは、キットは、バイオフィルムを診断する際に使用するための診断用眼鏡をさらに含み、前記眼鏡は、光触媒のAbsmaxより低い全ての光の波長を取り除くフィルターを含むものである。これにより、使用者がバイオフィルムに存在する光触媒の蛍光を視覚化するのに役に立つ。より好ましくは、眼鏡のフィルターは、光触媒の蛍光発光スペクトルに一致する光波長を伝達する時に有効である。眼鏡は、複数の用途があってもよく、あるいは完全に使い捨てであってもよい。眼鏡のフィルターは、例えば、Schott glass OG550、Hoya OG560またはUvex Laservision p1008である。
【0030】
キットに存在する組成物には、バイオフィルムを診断するために用いられる第1の光触媒およびバイオフィルムを治療するために用いられる第2の光触媒が含まれていてもよい。例えば、診断に用いられる光触媒は、エリスロシンまたはローズベンガルのようなキサンテンであってもよく、治療に用いられる光触媒は、メチレンブルーまたはトルイジンブルーのようなフェノチアジニウムであってもよい。それゆえ、光源の「露出」または「診断」モードは、ローズベンガルのような光触媒に特異的であってもよく、光源の「活性化」または「浄化」モードは、メチレンブルーのような第2の光触媒に特異的であってもよい。
【0031】
典型的な治療の一例において、本発明による組成物は、組成物を厚く均一な層、例えば、0.1から0.5cmの厚さにするように、創傷全体または所望される部位に適用される。本組成物は、0.5から15分間、より好ましくは、1から5分間置いておかれる。いずれかの照射前に、ゲルは、置いておかれるか、またはより好ましくは、過剰なゲルが、滅菌水、生理食塩水、もしくは適当な創傷洗浄溶液を用いて創傷から洗い流される。
【0032】
次いで、創傷は、選択的に染色されたバイオフィルムの存在について観察される。これは肉眼でなされてもよく、あるいは、創傷は、0から20cmの範囲の距離で光源を用いて照射されてもよい。
【0033】
好ましくは、光源は10cmの距離である。光源は、光触媒の最大吸収波長(Absmax)より300nmから10nm低い領域の波長を放射するために選択される。これは、染色されたバイオフィルムにおける光触媒に蛍光を生じさせる。好ましくは、使用者は、診断用眼鏡を装着して、創傷を観察する。眼鏡は、光触媒のAbsmaxより低い光の波長を排除し、いずれかの蛍光が極めて明確に見えるようにする光フィルターシステムを備える。
【0034】
蛍光が観察される場合、バイオフィルムが創傷中に存在し、適宜、使用者は、治療または「浄化」が細菌を死滅させ、バイオフィルムを破壊するために必要であることを決定してもよい。バイオフィルムの創傷を浄化するために、創傷は、10秒から5分の間に光触媒のAbsmaxより75nm低く、75nm高いバンドの強度の光を有する光源で、10cm近辺の距離から照射される。次いで、創傷は、適宜、洗浄溶液で洗い流されて、死んだ細菌および破壊されたバイオフィルムが取り除かれてもよい。次いで、創傷は包帯を巻くことができる。
【0035】
典型的に、治療はその後の包帯の交換時に行われ、バイオフィルムの減少をモニターするべきである。創傷は再度、肉眼で、または「露出」または「診断」モードの光源で、バイオフィルムの存在および減少についてさらに観察されてもよい。創傷がバイオフィルムで広く、および/または大きく侵されている場合、さらなる一連のゲル適用および浄化治療が有益であり得る。次いで、創傷は、適当な主要なおよび補助的な包帯で巻かれてもよい。
【0036】
以下は、図面および表の簡単な説明である:
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】P.aeruginosaバイオフィルムのローズベンガル光触媒治療を示す。
【図2】S.aureusバイオフィルムのローズベンガル光触媒治療を示す。
【図3】EDTAを含有するローズベンガルゲルを用いるP.aeruginosaバイオフィルムの光触媒治療を示す。
【図4】光触媒ゲル製剤化を最適化するためのアッセイ設定および結果を示す。
【図5】光触媒ゲル製剤化をさらに最適化するためのアッセイ設定および結果を示す。
【図6】ローズベンガルの吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【図7】光源のための好ましい照射および観察波長ならびに「露出」または「診断」モードのための眼鏡を示す。
【図8】「活性化」または「浄化」モードに必要とされる光の好ましい発光波長を示す。
【0038】
以下の実施例は本発明の例示である。
【実施例1】
【0039】
実施例1
インビトロ創傷バイオフィルムモデルを用いる細菌性バイオフィルムの光触媒治療
50%のミューラー−ヒントンブロス:50%のウシ胎児血清中の1x10個のP.aeruginosaまたはS.aureus細胞を、ガンマ照射し、滅菌した豚バラ断片中に作成した14mmの孔に撒種し、37℃で48時間インキュベートした。治療前に、バイオフィルムを含有する断片を、滅菌した鉗子で100ml体積の0.85%の生理食塩水中に浸すことにより一度洗い流して、軽く付着している細胞を取り除いた。P.aeruginosaの場合、バイオフィルムは、接種の中央部位から孔を通って、皮膚まで広がっているように見えた。バイオフィルムはまた、色素ピオシアニンの産生により、部分的に青−緑色で着色した。対照的に、S.aureusバイオフィルムは、より近い観察でしかわからず、孔の外側に広がっているようには見えず、着色していなかった。次いで、小片を、滅菌蒸留水中の25μMまたは125μMのローズベンガル溶液に15分間置いた。取り出した後、バイオフィルムが、小片の縁や側面のように、コロニーを形成しなかった滅菌した肉および皮膚片と比較して、ローズベンガルにより選択的に染色されたことは明らかであった。染色された小片を、120または600秒照射用のBioptron Compact III光源(ローズベンガルによる最大吸収領域で約4.8または24J/cm、550nm)下で5cmのところに置いた。PCT後、(PCTがバイオフィルム構造において効果を有するかどうか調べるために)サンプルを、(a)連続希釈を調製し、無菌的に採取し、消化させることにより寒天上で生存カウンティングを行うか;または(b)0.01%のTween−80を含有する限界復活希釈液(MRD)で治療後洗浄工程を行い、続いて(a)と同様に調製した。
【0040】
25μMのRBのPCT後、治療後洗浄工程により、P.aeruginosaの顕著な減少が生じ、バイオフィルムの除去により2log10まで上昇した(図1、バー2および3を比較)。純粋なP.aeruginosaバイオフィルム細菌細胞の死滅に関して、RBの増加および5倍の光量により、顕著な減少が生じ、明確な用量反応を示した(図1、バー2および4)。
【0041】
治療後洗浄工程を、S.aureusバイオフィルムの治療においても行った。用量反応関係を見ると、より高い用量のRBおよび光が3log10を超えるまでのバイオフィルム細胞を減少させたが、より低い用量と比較すると、これは統計学的に顕著ではなかった(図2、バー2および3を比較)。
【0042】
誘発バイオフィルムモデルを用いて、感染した創傷で共通して見出された2種類の細菌、P.aeruginosaおよびS.aureusのバイオフィルムが、滅菌した肉および皮膚のコロニーを形成していない部位を超えて選択的に染色され得ることを立証した。続いて、染色されたバイオフィルムは、バイオフィルムの破壊および生存数の減少により示されるように用量依存的に、低用量の光触媒および光を用いるRBのPCTに対して極めて感受性が高いことが示された。
【実施例2】
【0043】
実施例2
発色分光法(colorimetric spectroscopy)により測定されるバイオフィルムによる光触媒の取り込み
この方法は、染色されたサンプルの発色強度を測定することによって、バイオフィルムによる大量の光触媒の取り込みを測定することを目的とした。
【0044】
P.aeruginosaのバイオフィルムを、一定膜厚フィルム培養槽(Constant-Depth Film Fermenter)(CDFF)中で5日間培養した。簡単に説明すると、バイオフィルムを、回転鋼ターンテーブルの縁付近で15個のパン(pans)の埋め込み部分に形成させ、その上から接種菌または滅菌培地を除々に滴下させた。ターンテーブルが回転するとスクレーパーバーがパン上に接種菌または培地を分散し、バイオフィルムを一定の膜厚に保った。各パンは、直径4mmの5個の取り外し可能なプラグを含み、300μmの深さに埋め込んだ。得られたバイオフィルムは、外観および微生物学的組成(microbiological composition)の点で再現でき、CDFFから滅菌器具を用いて試料採取用ポート(sampling port)により回収できた。もう一つ別に、バイオフィルムを含有するパンを、CDFFから回収し、生理食塩水中のローズベンガルの125μM溶液への10分間の浸水により染色するか、または単に滅菌した生理食塩水で同時間洗い流した。次いで、バイオフィルムのパンを、スペクトロアイ発光分光光度計の下に直接置いた。試料読み取り台を、染色されたバイオフィルムと正確に同じ大きさにした(直径5mm)。緑−赤色のシフト値を、スペクトロアイにより自動で3回測定した。すなわち、RBを多く取り込むほど、赤色への変換がより大きくなる。スペクトロアイを用いたRBの標準曲線も調製し(染色されていないバイオフィルムにより呈される緑−赤色シフトに合わせた)(R=0.98)、用いてインキュベーション10分後のバイオフィルム内に含まれるRBの濃度を調べた。
【表1】

【0045】
125μMのRB溶液中でのインキュベーション10分後に、コントロールバイオフィルムの緑−赤色の値を差し引いた標準曲線との比較により調べると、バイオフィルムは125μMのRBの平均濃度を含有することがわかった。このことは、バイオフィルムがRB色素を効率的に取り込むこと(平均取り込み量が用いたRBの濃度と同一であった)を示す。
【0046】
これらの知見は、バイオフィルムのインキュベーションが、溶液からのRBの最適な取り込みのために最大でわずか10分間のみを必要とすることを示す。バイオフィルム透過薬剤の取り込みは、この取り込み工程を高め得るか、または早め得る。
【実施例3】
【0047】
実施例3
特定の光源を用いた光触媒ゲルへのEDTA取り込みによる光触媒治療の向上
P.aeruginosaのバイオフィルムを、実施例2で詳しく述べたようにCDFF中で5日間培養した。光触媒ゲルを、2w/v%のヒドロキシエチルセルロース、10w/v%のプロピレングリコールおよび精製水をゲル基剤として用いて調製した。1つのゲルに、滅菌水中にローズベンガルの1mM量を加えて、RBゲルを含有する125μMのRBを得た。もう一方のゲルに、同じ体積を2w/v%のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と一緒に加えて、RB−EDTA−ゲルを得た。光触媒治療を、どちらかのゲルを用いた15分の暗室でのインキュベーション、過剰なゲルを除去するための滅菌生理食塩水での洗浄工程、10cmの距離からの2分間の光、続いて処理後の洗浄を、バイオフィルムサンプルに適用した。用いた光源は、シアン色発光ダイオード(LED)であるLuxeon,タイプLXHL−NE96(Lumileds Lighting LLC)であった。未処理のコントロールのみを洗浄工程に付した。図3は、RBゲルおよびシアン色LEDを用いたPCTがP.aeruginosaバイオフィルムの4の対数(log)の死滅数を生じ、前記の最適でない光源を用いて見られた2〜3の対数の死滅数より有意に多いものであることを示す。RB−EDTA−ゲルを用いたPCTは、RBゲルのPCTと比較して、さらに1.5の対数までバイオフィルム細胞死滅数を増加させた。EDTAによる光触媒効果のこの増強は、バイオフィルム構造からの金属イオンのキレート効果、グラム陰性細菌細胞膜における効果、またはこれらの両方によるものであり得、これらは(染色する)バイオフィルムおよびバイオフィルム細胞による光触媒の取り込みの増加を生じ得る。
【実施例4】
【0048】
実施例4
青色光およびバイオフィルム診断用眼鏡を用いて染色したバイオフィルムの可視化
P.aeruginosaまたはS.aureusの終夜の定常期培養物を、ミューラー−ヒントンブロスとウシ胎児血清の50:50溶液で30分の1に希釈した。ステーキ肉の小片、約1cmx4cmx4cmを、滅菌したメスおよびハサミを用いて解凍した肉から調製した。小片を無菌的に分析用グレードのエタノールに浸し、5秒間混合することにより滅菌し、続いて滅菌した生理食塩水中で5秒間洗い、次いで滅菌した15cm直径のペトリ皿に置いた。サンプルを、滅菌した柔らかいワイプスでやさしくたたいて乾燥させた。各々の肉サンプルの中心に、10μl体積のP.aeruginosaまたはS.aureus懸濁液を加え、次いでペトリ蓋皿をパラフィルムで覆った。皿を37℃で終夜インキュベートしてバイオフィルムを形成させた。
【0049】
P.aeruginosaバイオフィルムの3つのサンプルを含む皿を用いて、バイオフィルムを染色するRBゲルの能力を調べた。赤茶色の肉色に対して、肉眼でバイオフィルムを観察できたが、それらはすぐに分からなかった。3つのバイオフィルム含有小片のうちの1つが処理した小片となるようにランダムに割り当てた。肉片全体を覆うために、125μM体積のRB−EDTA−ゲルを肉片に加えた。15分後、ゲルを、滅菌した生理食塩水のシリンジおよびパスツールピペットを用いてできる限り効率的に洗い流した。
【0050】
次に、3つの小片を、まず、青色LED(Luxeon,タイプLXHL−NE96,Lumileds Lighting LLC)下で、続いてバイオフィルム診断用眼鏡(Uvex Laservision P100)を用いて青色光の下で、観察した。室内照明による青色光の下では、3つ全ての肉片で同様に暗くなった;すなわち、いずれかの小片におけるバイオフィルムの存在を示さないか、または染色された可視部位が全く存在しなかった。診断用眼鏡を装着すると、使用者は、染色されたバイオフィルムを含有する小片と染色されていない小片とを即座に区別することができた。染色されていない小片は、蛍光部位を全く示さず、バイオフィルムの存在がわかっていた光のみがそれらの存在を示した。これは、染色されたバイオフィルムを含有する小片とは極めて対照的である。それゆえ、診断用眼鏡は、蛍光を発する染色されたバイオフィルムの可視化を可能にした。バイオフィルムを含有する部位は、明るいオレンジ色として見ることができ、染色されなかった周囲の組織から極めてはっきり区別できた。蛍光の強度により、存在するバイオフィルムの形および厚さを区別することができた。
【実施例5】
【0051】
実施例5
最小バイオフィルム形成阻止濃度(MBEC)法を用いる光触媒抗バイオフィルム送達ビヒクル製剤
カルガリーバイオフィルム装置としてカルガリー大学によって以前に開発されたMBEC法を用いて(Ceri H., Olson M. E., Stremick C., Read R. R., Morck D. & Buret A. (1999). The Calgary Biofilm Device: New Technology for Rapid Determination of Antibiotic Susceptibilities of Bacterial Biofilms. J. Clin. Microbiol. 37, 1771-1776)、滅菌水中の光触媒、金属キレート剤および界面活性剤の様々な組み合わせを、シアン色LEDランプからの適当な照射によりP.aeruginosaバイオフィルムの形成を阻止する能力についてテストした。
【0052】
図4は、EDTAが、P.aeruginosaのバイオフィルムに対して濃度依存的にRBおよび光の作用を増強することを示す(A〜D1〜9をA〜D10〜11と比較した)。これは、P.aeruginosaのバイオフィルム構造およびグラム陰性外膜に由来する金属をキレートするEDTAによるものであって、EDTAが取り込み、それによりRBの光触媒作用を高めたからであろう。それゆえ、RBとEDTAとの明確な相乗効果を示した。また、図4はまた、DDACもバイオフィルムに対して濃度依存的にRBおよび光の作用を増強することを示す。図5は、3つ全ての薬剤が、P.aeruginosaに対して相乗的に作用することを示す。
【実施例6】
【0053】
実施例6
「診断」および「浄化」モードに必要とされる好ましい波長の例
ローズベンガルの吸収および蛍光発光スペクトル(図6)を用いて、本発明に必要とされる好ましい光波長を図示した。図7は、離散波長バンドを「露出」または「診断」モードで用いることができることを示す。好ましくは、照射段階(Absmaxまでであるが、発光波長に顕著に重複しない領域)とその後の蛍光観察(最も大きい発光領域)との間に重複がないことである。図8は、「活性化」または「浄化」モードについて、波長が最も大きい吸収領域に一致すべきことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚および創傷における使用のための組成物であって、バイオフィルムを選択的に染色することができる光触媒を含み、創傷中のバイオフィルムの診断および治療時の使用のための組成物。
【請求項2】
前記光触媒が、創傷または皮膚よりもバイオフィルムに結合することにより、バイオフィルムを選択的に染色することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光触媒が、バイオフィルムを選択的に染色し、好ましくは肉眼で明確にすることにより、バイオフィルムを診断することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記光触媒が、蛍光を生じさせる波長を含む光で照射されると、バイオフィルムを選択的に染色し、明確にすることにより、バイオフィルムを診断することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記光触媒が、細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊する光依存性毒性を生成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記光触媒が、400から700nmの波長光を吸収することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、アゾ染料(コンゴーレッド、ビルマルクブラウン、アルラレッド)、クロリン系(ベンゾポルフィリン誘導体、ポルフィン系、メソ−テトラポルフィン、クロリンe6)、クロロフィル類(クロロフィル、バクテリオクロロフィル、プロトクロロフィル)、クマリン系(チオクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、ケリン、ソラレン)、金属フタロシアニン(アルミニウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン)、金属ポルフィリン(亜鉛ポルフィラジン)、ナフタロシアニン(亜鉛ナフタロシアニン)、ペリレンキノン(ヒペリシン、ヒポクレリン、カルホスチンC)、フェナジン(ニュートラルレッド)、フェノチアジニウム(メチレンブルー、トルイジンブルーO)、フェノキサジニウム(ブリリアントクレシルブルー)、フェオホルビド(フェオホルビドナトリウム)、フェオフィチン(バクテリオフェオフィチン)、ポルフィセン(テトラ−n−プロピル−ポルフィセン)、ポルフィリン(ヘマトポルフィリン、フォトフリン(登録商標)、プロトポルフィリン、5−アミノレブリン酸)、プルプリン(オクタエチルプルプリン)、テトラピロール(ジヒドロテトラピロール、トリヒドロ−テトラピロール)、チオフェン(ターチオフェン、ビチオフェン)、トリアリールメタン(パテントブルー、ブリリアントブルー、ファストグリーン)およびキサンテン(エオシン、エリスロシン、ローズベンガル)の群から選択される1つまたはそれ以上の光触媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記光触媒が、エオシン、エリスロシンまたはローズベンガルのようなキサンテンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、ゲルであり、粘稠剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、保湿剤を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、バイオフィルム破壊剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、0.0001重量%から1重量%、より好ましくは、0.0025重量%から0.025重量%の1つまたはそれ以上の光触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
創傷中のバイオフィルムの診断および/または治療における使用のための部品のキットであって:
バイオフィルムを選択的に染色する光触媒を含む組成物;および
蛍光に対して光触媒を活性化して、前記バイオフィルムを明確にすることができ、次いで細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊する光依存性毒性を生成することができる光源
を含むキット。
【請求項15】
前記光源が、2つのモードで操作することができ、第1のモードは、光源が光触媒のAbsmaxより300nmから10nm低い領域で光波長を生じて、前記バイオフィルムを診断できるものであり、第2のモードは、光源が光触媒のAbsmaxより75nm高く、75nm低いバンドの領域で光波長を生じて、前記バイオフィルムを治療できるものであることを特徴とする、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
創傷洗浄溶液をさらに含む、請求項14または15に記載のキット。
【請求項17】
バイオフィルムの診断時に使用するための診断用眼鏡であって、該眼鏡が作用して光触媒のAbsmaxより低い全ての波長を取り除くものである診断用眼鏡をさらに含むことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載のキット。
【請求項18】
前記組成物が、バイオフィルムを診断するために用いられる第1の光触媒およびバイオフィルムを治療するために用いられる第2の光触媒を含むことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載のキット。
【請求項19】
バイオフィルム感染症の診断および治療のための皮膚および創傷における使用であって、バイオフィルムを選択的に染色する組成物の製造における光触媒の使用。
【請求項20】
(a)バイオフィルムを選択的に染色する光触媒を含む組成物を創傷に適用し;
(b)染色されたバイオフィルムの存在について、肉眼で、または染色されたバイオフィルムに蛍光を生じさせる光源で、創傷を調べ;次いで
(c)光触媒に、バイオフィルム細菌を死滅させ、バイオフィルム構造を破壊する光依存性毒性を生成させる光源を用いて、創傷を照射する
工程を特徴とする創傷の治療方法。
【請求項21】
創傷におけるバイオフィルムの存在を診断する方法であって、
(a)バイオフィルムを選択的に染色する光触媒を含む組成物を創傷に適用し;
(b)染色されたバイオフィルムの存在について、肉眼で、または染色されたバイオフィルムに蛍光を生じさせる光源を用いて、創傷を調べる
工程を特徴とする方法。
【請求項22】
染色されたバイオフィルムの蛍光が、診断用眼鏡で検出されることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−512857(P2012−512857A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541581(P2011−541581)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002912
【国際公開番号】WO2010/070292
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(509146126)コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
【Fターム(参考)】