説明

皮膚の色を美白するための組成物

ヘテロ置換された、飽和または不飽和の脂肪族酸の少なくとも1つを有する美白用添加剤および美白用組成物が記載される。組成物は、局所適用に適し、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸またはその両方を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白用添加剤ならびにこれを含む組成物を対象とする。より特定すれば、本発明は、ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸、またはこれらの混合物を含む美白用添加剤を含む化粧用組成物を対象とする。この美白用添加剤は、使用すると、湿潤効果が得られる化粧用組成物をもたらす。さらに、このような脂肪族酸には、局所適用すると美白効果があるということが、予想外にも発見された。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者は、皮膚の特性に関心を持っている。例えば、消費者は皮膚の色素沈着の程度、そばかすおよび/または加齢によるシミに関心を持っている。その他の消費者は、日光に曝されることによって引き起こされる皮膚の黒ずみを低減したいと望んでいる。消費者のニーズを満たすために、皮膚の特性を向上させる製品の開発に多くの試みがなされてきた。こうして開発された製品には、低い有効性、望ましくない副作用またはその両方を有する傾向が多い。さらに、このような製品は高価になる可能性があるので、低所得の消費者の選択肢にはならないことが多い。
【0003】
新しい美白用添加剤を含む化粧用組成物の開発に対する関心が高まっている。本発明は、新しい美白用添加剤を含む化粧用組成物を対象とする。本発明の化粧用組成物は、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸などの化合物またはその両方を、美白用添加物として含むことが好ましい。本発明の化粧用組成物は、この化粧用組成物で処理したMelanoDerm(商標)培地と、新たに発見された本発明の美白用添加剤を含む組成物に曝していないMelanoDerm培養物とを比較すると、メラニン含有量を少なくとも8%低く(好ましくは少なくとも約11%低く)減少させる。
追加情報
化粧用スキンケア組成物を作製するための試みが開示されている。US6875425には、4−置換レソルシノール誘導体化合物を含む美白剤が記載されている。
【0004】
皮膚処理用組成物を作製するためのその他の試みが開示されている。US7250158およびUS7247294には、美白剤で処理する方法が記載されている。
【0005】
皮膚を処理するためのさらに他の試みが開示されている。US5998423には、多環窒素複素環を含む組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6875425号明細書
【特許文献2】米国特許第7250158号明細書
【特許文献3】米国特許第7247294号明細書
【特許文献4】米国特許第5998423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のどの追加情報も、ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはこれらの混合物を美白用添加物として含む美白用組成物を記載していない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
第1の態様において、本発明は、ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはその両方を含む、美白用添加剤を対象とする。
【0009】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の美白用添加剤を含む美白剤を含む、美白用の化粧用組成物を対象とする。
【0010】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様の化粧用組成物で美白する方法を対象とする。
【0011】
本発明の全てのその他の態様は、以下の詳細な説明および実施例を検討すれば、より容易に明らかになる。
【0012】
本明細書で使用するメラニン含有量の減少とは、本発明の美白用添加剤を含む組成物で処理せず3週間経過した2つのMatTek MelanoDerm培養物と、本発明の美白用添加剤を含む組成物で処理して3週間経過した2つのMatTek MelanoDerm培養物とを比較した場合のメラニン含有量の減少を意味し、ここで処理とは:
(a)6ウェル組織培養皿内にMelanoDerm培養物を配置し、組織培養皿から約0.3cmに設定するステップと、
(b)MelanoDerm培養物を、本発明の美白用添加剤を有する0.1および5マイクロモルの組成物に曝すステップであり、この組成物は美白用添加剤の10ミリモルの溶液およびDulbecco’s Modified Eagle Mediaで希釈されている担体(例えばジメチルスルホキシド)から調製されるものであるステップと
(c)MelanoDermからのメラニンの抽出により平均メラニン含有量(マイクログラムで示す)を得ることによって、処理済みの培養物と未処理の培養物とを比較し、Hach分光光度計などの市販の分光光度計を使用して、吸光度読み取り値を490nm(OD490)で得るステップと
を意味する。
【0013】
本明細書で使用する化粧用組成物とは、哺乳類、特にヒトの皮膚に局所適用するための組成物を含めることを意味する。このような組成物は、一般に、洗い流さないもの(leave−on)または洗い流すもの(rinse off)として分類されてよく、コンディショナーまたはトニック、口紅、着色化粧品および一般の局所用組成物を含めることを意味し、何らかの方法で、最低限でもケラチン生成細胞に対するメラニンの影響を低減させる。本明細書で使用する美白およびホワイトニングとは、同じことを意味することを意味し、皮膚を直接美白すること、ならびに加齢によるシミおよびそばかすなどの皮膚上のシミを美白することを含める。Dulbecco’s Modified Eagle Mediaとは、MatTek Corporationから販売され、MEL30010BBLLMMとして商業的に認められている製品によって提供される使用説明書に従って処理され、使用される、栄養溶液を意味する。美白用添加剤とは、美白用添加剤は、美白用添加剤を含む、美白用添加剤から本質的になる、または美白用添加剤からなることができる物理的だが特に生物学的なホワイトニング(即ち、メラニン生成の低減)をもたらすのに適した構成成分を意味する。MelanoDermとは、多層の、高度に分化したヒト表皮のモデルを形成するように培養されている、通常の、ヒト由来の表皮ケラチン生成細胞およびメラニン細胞を有する製品を意味し、これらの全ては、MatTek Corporationによって市販品として生産されている。本明細書で使用する不飽和とは、sp混成されていない少なくとも1つの結合を有することを意味する。本明細書で使用する、含むとは、それから本質的になる、およびそれからなることを含めることを意味する。
【0014】
本発明の化粧用組成物は、液体、ローション、クリーム、セラム、ジェル、固形石鹸または化粧水の形態とすること、またはフェイスマスクもしくはパッチを通して適用することができる。本発明の組成物は、皮膚が、顔、首、胸、背中、腕、手、脚の皮膚および頭皮を含めることを意味する場合、最低でも皮膚を美白するものである。本明細書で特定される全ての範囲は、例えば、その範囲に対して明白な言及がなければ、その中に包含される全ての範囲を暗に含めることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用できる美白用添加剤に対する唯一の制限は、この美白用添加剤が、ヒトに対して使用するのに適した局所用組成物中に使用されてよいことである。好ましい添加剤は、ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはこれらの混合物である。
【0016】
最も好ましい実施形態において、本発明で用いられる美白用添加剤は、以下の式:
【0017】
【化1】

を有する化合物、またはこれらの混合物を含み、
式中、各Rは、独立に、水素、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アリールアルキルまたはアミンであり、但し、少なくとも1つのR基はヘテロ原子を含み;各Rは、独立に、水素、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アリールアルキルまたはアミンであり;nは7から19の整数であり;sおよびeは、それぞれ独立に、s+e≧6になる0から8の整数であり;qは6から11の整数であり;各rは、独立に、0から1の整数であり、但しxが1のとき、各rは1ではなく;xは0から1の整数であり、但し少なくとも1つのrが1のとき、xは0であり;各tは、独立に、1から7の整数である。
【0018】
本発明での使用に適した好ましい化合物(単独でまたは混合物として)は、式IまたはIIで表される、アリューリット酸;フロイオノール酸;9,10,13−トリヒドロキシ−11−オクタデセン酸;9,13−ジヒドロキシ−12−エトキシ−10−オクタデセン酸;9−ヒドロキシ−10,12−オクタデカジエン酸;4,14−ジヒドロキシ−オクタデカン酸;12−ヒドロキシステアリン酸(12−ヒドロキシオクタデカン酸);レスクエロール酸;リシネライジン酸;アンブレットール酸、およびリシノール酸(12−ヒドロキシ−9−シス−オクタデカン酸)である。本発明での使用に適したその他の好ましい化合物として、式IIIで表される、β−ジモルフェコール酸;デンシポール酸;8−メトキシ−13−ヒドロキシ−9、11−オクタデカジエン酸;7−オキソ−オクタデカン酸;9−オキソ−オクタデカン酸;12−オキソ−オクタデカン酸および10−オキソ−14−メチル−ペンタデカン酸が挙げられる。さらに、式I−IIIで表される、任意の誘導体(エステル誘導体など)および/または酸の塩、とりわけこれらのMg塩、Na塩および/またはCa塩を含めることは、本発明の範囲内である。このような化合物は、Vertellus Specialties Inc.Welch、Home&Clark Co.Inc.ならびにCroda Chemicalsなどの供給業者から市販されている。
【0019】
本発明の化粧用組成物は、典型的に、化粧用組成物の総重量に対して、その中に包含される全ての範囲を含めて、0.001から15重量%、好ましくは0.1から12%、最も好ましくは1から10重量%の美白用添加剤を含む。
【0020】
美白用添加剤が、ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはこれらの混合物から本質的になるおよびこれからなることは本発明の範囲内であるが、多くの場合に望ましい実施形態においては、本発明の美白用添加剤は、美白用添加剤の総重量に対して、その中に包含される全ての範囲を含めて、0.2から95重量%、好ましくは10から85重量%、最も好ましくは30から65重量%のヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはこれらの混合物を含む。
【0021】
さらに別の望ましい実施形態において、本発明の化粧用組成物は、化粧用組成物の総重量に対して、その中に包含される全ての範囲を含めて、2から9重量%、好ましくは3から8重量%、最も好ましくは3から6重量%のヘテロ置換された、飽和または不飽和の脂肪族酸、またはこれらの混合物を含む。
【0022】
組み合わせて使用すると、ヘテロ置換された、飽和または不飽和の脂肪族酸と、ヘテロ置換された、飽和の脂肪族酸の重量比は、その中に包含される全ての比を含めて、5:95から95:5、好ましくは20:80から80:20、最も好ましくは40:60から60:40である。
【0023】
本明細書に記載する美白剤、および任意のその他の、任意選択だがしばしば好ましい美白用添加剤に対して、希釈剤、分散剤および/または担体として作用する、商業的に許容される従来のビヒクルを使用できることは、周知のはずである。したがって、本発明で使用するのに適した、化粧品として許容されるビヒクルは、水性、無水またはエマルションとすることができ、ここで、油中水性または水中油性エマルション剤が一般に好ましい。水の使用が望ましい場合、水は、典型的に、化粧用組成物のバランスを取り、好ましくは、その中に包含される全ての範囲を含めて、化粧用組成物の重量で5から99%、最も好ましくは40から80%を構成する。
【0024】
水に加えて、本発明の組成物の範囲内の担体として作用する、または担体の助けとなる有機溶媒を、任意選択で含めてもよい。本発明での使用に適した有機溶媒のタイプの例示的で非限定的な例として、例えばエチルおよびイソプロピルアルコール、これらの混合物などが挙げられる。
【0025】
使用に適したその他の任意選択の添加剤として、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、これらの混合物などのエステル油が挙げられる。典型的に、このようなエステル油は、本発明の化粧用組成物を乳化する助けとなり、有効量を使用して、安定性、最も好ましくは油中水性エマルション剤が得られることが多い。
【0026】
皮膚軟化剤は、所望の場合、本発明の化粧用組成物の範囲の担体として使用されてもよい。1−ヘキサデカノール(即ち、セチルアルコール)およびフェノキシエタノールなどのアルコールは、シリコーン油および合成エステルとして一般に分類される皮膚軟化剤として、望ましいことが多い。使用に適したシリコーン油として、3から9個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環状または直鎖のポリジメチルシロキサンが挙げられる。本明細書に記載する発明化粧用組成物において、皮膚軟化剤材料として有用な不揮発性シリコーン油として、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書で有用な、本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとして、例えばポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0027】
任意選択で使用できるエステル皮膚軟化剤は以下の通りである:
(1)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。これらの例として、ネオペンタン酸イソアラキジル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイルが挙げられる。
(2)エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテル−エステル。
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪エステル、エトキシ化グリセリルモノ−ステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、満足できる多価アルコールエステルである。
(4)蜜蝋、鯨蝋、ステアリン酸ステアリルおよびベヘン酸アラキジルなどのワックスエステル。
(5)ステロールエステル、その中で例としてはコレステロール脂肪酸エステルである。
【0028】
皮膚軟化剤を使用すると、典型的に、その中に包含される全ての範囲を含めて、化粧用組成物の重量で0.1から50%を構成する。
【0029】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸も、本発明の組成物の範囲内の化粧品として許容される担体として含めることができる。このような脂肪酸の例示的な例として、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸,イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸またはエルカ酸およびこれらの混合物が挙げられる。皮膚浸透を高めると考えられるジメチルスルホキシドなどの化合物も、任意選択の担体として使用してよい。
【0030】
多価アルコールタイプの湿潤剤も、本発明の化粧用組成物で用いることができる。湿潤剤は、皮膚軟化剤の有効性を増加させることを助け、鱗屑を減少させ、積層鱗屑の除去を刺激して、皮膚感触を向上させる。典型的な多価アルコールとして、グリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオールおよびこれらの誘導体が挙げられ、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびこれらの混合物が含まれる。最良の結果を得るためには、湿潤剤は、好ましくはプロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。湿潤剤の量は、化粧用組成物の総重量に対して、その中に包含される全ての範囲を含めて、化粧用組成物の重量で0.2から25%のいずれかの範囲、好ましくは0.5から15%の範囲とすることができる。
【0031】
増粘剤も、本発明の化粧用組成物で化粧品として許容される担体の一部として利用できる。典型的な増粘剤として、架橋アクリレート(例えばCarbopol 982)、疎水的に修飾されたアクリレート(例えばCarbopol 1382)、セルロース誘導体および天然ゴムが挙げられる。セルロース誘導体の中で有用なのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースである。本発明に適した天然ゴムとして、グアー、キサンタン、菌核、カラギーナン、ペクチンおよびこれらのゴムの組合せが挙げられる。増粘剤の量は、重量で0.0から5%、通常0.001から1%、最適には0.01から0.5%の範囲とすることができる。
【0032】
まとめると、水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、湿潤剤および/または増粘剤は、重量で1から99.9%、好ましくは80から99%の量で化粧品として許容される担体を構成する。
【0033】
界面活性剤も、本発明の化粧用組成物中に存在してよい。界面活性剤の総濃度は、組成物の重量で、0から40%、好ましくは0から20%、最適には0から5%の範囲である。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性活性剤からなる群から選択され得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性基1モル当たり2から100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10−C20の脂肪アルコールまたは酸の疎水性基を有する界面活性剤;2から20モルのアルキレンオキシドと縮合したC−C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノおよびジC−C20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);およびポリオキシエチレンソルビタンならびにこれらの組合せである。アルキルポリグリコシドおよび糖脂肪アミド(例えばメチルグルコンアミド)も、適した非イオン性界面活性剤である。
【0034】
好ましいアニオン性界面活性剤として、石鹸、硫酸およびスルホン酸アルキルエーテル、硫酸およびスルホン酸アルキル、アルキルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸アルキルおよびジアルキル、C−C20アシルイソチオネート、アシルグルタミン酸、C−C20アルキルエステルホスフェートおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0035】
香料が、本発明の化粧用組成物で使用されてもよい。使用できる例示的で非限定的な香料の種類の例として、Bauer,K.,ら、Common Fragrance and Flavor Materials、VCH Publishers(1990)に記載されているものなどのテルペンおよびテルペン誘導体を含む香料が挙げられる。
【0036】
本発明で使用できる例示的だが非限定的な芳香剤の種類の例として、ミルセン、ジヒドロミレノール(dihydromyrenol)、シトラル、タゲトン、シス−ゲラン酸、シトロネル酸、またはシス−ゲラン酸ニトリル、これらの混合物などが挙げられる。
【0037】
好ましくは、本発明の化粧用組成物で用いられる芳香剤の量は、0.0%から10%、より好ましくは0.00001%から5wt%、最も好ましくは0.0001%から2%の範囲である。
【0038】
様々なタイプの任意選択の追加の活性成分が、本発明の化粧用組成物で使用され得る。活性剤は、皮膚軟化剤以外および組成物の物性を向上させるにすぎない成分以外の肌に有益な作用剤として定義される。この分類には限らないが、一般的な例として、タルクおよびシリカ、ならびにα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、過酸化物、亜鉛塩および日焼け止めが挙げられる。
【0039】
β−ヒドロキシ酸として、例えばサリチル酸が挙げられる。ジンクピリチオンは、本発明の化粧用組成物で有用な亜鉛塩の例である。
【0040】
日焼け止めとして、紫外線を遮断するために一般的に用いられるこれらの材料が挙げられる。例示的な化合物は、PABA、ケイ皮酸およびサリチル酸の誘導体である。例えば、アボベンゾフェノン(Parsol 1789(登録商標))、メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られている)を使用することができる。メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、それぞれParsol MCXおよびBenzophenone−eの商標で市販されている。組成物中で用いられる日焼け止めの正確な量は、日光のUV放射から所望の保護度によって変更することができる。太陽光線を反射または拡散する添加剤を用いてもよい。これらの添加剤として、酸化亜鉛および二酸化チタンなどの酸化物が挙げられる。
【0041】
多くの化粧用組成物、とりわけ水を含有する化粧用組成物は、潜在的に有害な微生物の成長から保護されるべきである。トリクロサンなどの抗微生物化合物、および保存剤は、典型的に必要である。適した保存剤として、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸エステル塩および様々な第四級アンモニウム化合物が挙げられる。本発明の特に好ましい保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールである。保存剤は、本組成物の重量で0.1%から2%の範囲の量で通常用いられる。
【0042】
本発明の化粧用組成物と共に使用できるさらなるその他の任意選択の成分は、二酸(例えば、マロン酸およびセバシン酸)、ビタミンE、ナイアシンアミドおよびビタミンCなどのビタミンおよびその誘導体などの抗酸化剤、レソルシノールおよびその誘導体(例えば、フェルラ酸、バニリン酸などでエステル化されたもの)レチノイン酸、レチナール、レチノールおよびレチニルエステルを含めたレチノイド、共役リノール酸、ペトロセリン酸およびこれらの混合物、ならびに皺の低減、美白、抗にきび効果および皮脂の影響の低減でよく知られている任意のその他の従来の成分が挙げられる。
【0043】
本発明の化粧用組成物は、ヒトの皮膚への局所適用のための製品として、とりわけ少なくとも皮膚の美白のための製品として主に使用することが意図される。したがって、本発明者は、記載した脂肪族酸が優れた美白性能を有し、これによりこの脂肪族酸は、美白またはホワイトニングが望まれる皮膚領域に局所適用される化粧用局所組成物中に、美白用添加剤として用いることができることを発見した。その他の利点として、皮膚の湿潤性、皮膚上の皮脂の影響の減少および皮膚の皺の低減が挙げられる。本発明の化粧用組成物は、その中に包含される全ての範囲を含めて、30℃から45℃の融点を有することが多い。特に好ましい実施形態において、本発明の化粧用組成物は、その中に包含される全ての範囲を含めて、4.5から7.5のpHを有する。
【0044】
本発明の化粧用組成物を作製する場合、特別な順序なしに、通常70から80℃の温度で、および大気圧下で、所望の成分が混合される。
【0045】
本発明の組成物用のパッケージは、パッチ、瓶、チューブ、ロールボールアプリケーター、噴霧駆動式エアロゾル装置、搾り出し容器または蓋付きジャーとすることができる。
【0046】
以下の実施例は、本発明の理解を例示および容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定することは意図しない。
【実施例】
【0047】
市販のヒト皮膚等価物(MelanoDerm(商標)、MatTekから)を、ヘテロ置換された、飽和または不飽和の脂肪族酸の、メラニン形成に対する影響を試験するために入手した。0.1から5マイクロモルの最終濃度を有する溶液を、10ミリモルのジメチルスルホキシドの原液から調製し、MelanoDerm培養物の培地に、3週の間で10回添加した。市販のDulbecco’s Modified Eagles基本培地からなる培地を調製し、製造者の使用説明書に記載の方法で処理した。MelanoDermの長期保持のために、基本培地に塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)およびαメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)を補充し、メラニン細胞成長およびメラニン形成を刺激した。各処理条件を2度繰り返し、3つのセットを、各処理に対してだけでなく対照(脂肪族酸で処理していない培養物)に対しても作製した。培養物を37℃の温度で保持し、添加期間中は、加湿した5%COインキュベーターでインキュベートしたが、添加中は取り出した。
【0048】
3週間後、MelanoDerm培養物を取り出し、60℃のオーブンで16時間(終夜)、250マイクロリットルのSolvable reagent(GNE9100、Packard)の入った遠心分離管で可溶化した。可溶化に続いて、試料の入った遠心分離管を12,000gで5分間回転させた。200マイクロリットルの上清を取り出し、96ウェルプレートに配置した。分光光度計を使用して、上清の吸光度を490nmで測定した。合成メラニンを使用する標準曲線を平行に設定して、マイクログラムで、試料のメラニンの定量を行った。結果を以下に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
この結果は、MelanoDerm培養物に関するものであるが、本発明の脂肪族酸を有する化粧用組成物が予想外に美白をもたらすことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ置換された、飽和もしくは不飽和の脂肪族酸またはこれらの混合物を含む、美白用添加剤。
【請求項2】
脂肪族酸が、
【化1】

またはこれらの混合物であり、
式中、各Rは、独立に、水素、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アリールアルキルまたはアミンであり、但し、少なくとも1つのR基はヘテロ原子を含み;各Rは、独立に、水素、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アリールアルキルまたはアミンであり;nは7から19の整数であり;sおよびeは、それぞれ独立に、s+e≧6になる0から8の整数であり;qは6から11の整数であり;各rは、独立に、0から1の整数であり、但しxが1のとき、各rは1ではなく;xは0から1の整数であり、但し少なくとも1つのrが1のとき、xは0であり;各tは、独立に、1から7の整数である、
請求項1に記載の美白用添加剤。
【請求項3】
ヘテロ置換された飽和の脂肪族酸が、アリューリット酸;フロイオノール酸、9,10,13−トリヒドロキシ−11−オクタデセン酸;9,13−ジヒドロキシ−12−エトキシ−10−オクタデセン酸;9−ヒドロキシ−10,12−オクタデカジエン酸;4,14−ジヒドロキシ−オクタデカン酸;12−ヒドロキシステアリン酸;およびこれらの混合物からなる群から選択され、ヘテロ置換された不飽和の脂肪族酸が、レスクエロール酸;リシネライジン酸;アンブレットール酸;リシノール酸;β−ジモルフェコール酸;デンシポール酸;8−メトキシ−13−ヒドロキシ−9,11−オクタデカジエン酸;7−オキソ−オクタデカン酸;9−オキソ−オクタデカン酸;12−オキソオクタデカン酸;10−オキソ−14−メチル−ペンタデカン酸;およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の美白用添加剤。
【請求項4】
10:90から90:10の重量比で、ヘテロ置換された飽和の脂肪族酸、およびヘテロ置換された不飽和の脂肪族酸を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の美白用添加剤。
【請求項5】
ヘテロ置換された飽和の脂肪族酸、ヘテロ置換された不飽和の脂肪族酸、またはその両方から本質的になる、請求項1から3のいずれか一項に記載の美白用添加剤。
【請求項6】
a.請求項1から5のいずれか一項に記載の美白用添加剤と
b.化粧品担体と
を含む、化粧用組成物。
【請求項7】
α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ酸、日焼け止めまたはこれらの混合物をさらに含む、請求項6に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
ビタミンをさらに含む、請求項6または請求項7に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
ビタミンがナイアシンアミドである、請求項8に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
共役リノール酸、ペトロセリン酸またはその両方をさらに含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
抗酸化剤をさらに含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
式I、IIおよび/またはIIIで表される脂肪族酸の塩または誘導体が使用される、請求項2に従属する場合の請求項6から11のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
a.皮膚を、請求項6から12のいずれか一項に記載の組成物に接触させるステップと
b.メラニン生成を抑制するステップと
を含む、皮膚の色を美白するための方法。

【公表番号】特表2011−524393(P2011−524393A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513979(P2011−513979)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056886
【国際公開番号】WO2009/153169
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】