説明

皮膚外用剤

【課題】製剤の着色を抑制した皮膚外用剤の提供。
【解決手段】アセチルヒアルロン酸またはその塩、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有することによって、皮膚外用剤の着色を抑制することができる。このため、アセチルヒアルロン酸またはその塩の作用をその配合量に応じて有効に発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルヒアルロン酸またはその塩、および平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有し、製剤を安定化できる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸はグルクロン酸とN‐アセチルグルコサミンからなるムコ多糖類であって、生体内では細胞間・線維間を埋める接合物質として真皮に多量に存在し、表皮にも存在が確認されている物質で、高い保水性と粘弾性を有している(非特許文献1:fragrance journal No.2,30(1990))ため、保湿剤などとして皮膚外用剤に広く用いられている。また、極限粘度法による分子量100万以上の高分子ヒアルロン酸と分子量10万以下の低分子ヒアルロン酸と多価アルコールとエデト酸塩によって、製剤の粘度低下を抑制し優れた官能特性を有することが知られている(特許文献1:登録2666210公報)。
さらに、アセチルヒアルロン酸はヒアルロン酸の高い曳糸性などの欠点を改善しつつ、優れた皮膚柔軟化効果を発揮し得ることが知られている(特許文献2:登録3557044公報)が、アセチルヒアルロン酸について着色(特に加熱条件下)に関する報告はなされていない。
一方、GPC分析による分子量が1万以下の低分子ヒアルロン酸は、血管新生作用の増強(特許文献3:特開平11-292758号公報)、細胞死抑制剤、細胞障害抑制剤、及び細胞・組織保護剤(特許文献4:国際公開第2002/004471号パンフレット)などが知られているが、アセチルヒアルロン酸の着色に対する効果については知られていない。
このように、アセチルヒアルロン酸の着色に対しては全く検討されていないため、改善が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、アセチルヒアルロン酸またはその塩を含有し、着色を抑制する事のできる皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、アセチルヒアルロン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤に、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を併用することで、皮膚外用剤の着色が抑制されることを見いだした。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)に示す皮膚外用剤である。
(1)アセチルヒアルロン酸またはその塩、および平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤。
(2)さらに、多価アルコール、グリコールエーテル、水溶性増粘剤、およびキレート剤からなる群から選択される1種または2種以上を含有する(1)記載の皮膚外用剤。
(3)さらに、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、抗酸化成分、老化防止成分および保湿成分からなる群から選択される1種または2種以上を含有する(1)または(2)記載の皮膚外用剤。
また、本発明は以下の(4)に示す皮膚外用剤の着色抑制方法をも包含する。
(4)平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩による、アセチルヒアルロン酸またはその塩の着色抑制方法。
なお、本明細書中、特に言及しない限り、%は重量%を意味するものとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有することで、アセチルヒアルロン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤の着色を抑制することができる。このため、長期間にわたってアセチルヒアルロン酸またはその塩の作用をその配合量に応じて有効に発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、アセチルヒアルロン酸またはその塩、および平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤である。
【0008】
本発明の皮膚外用剤において、アセチルヒアルロン酸とはヒアルロン酸がアセチル化したものであり、好ましくはヒアルロン酸の水酸基がアセチル化したものである。ヒアルロン酸は構成単位(2糖)あたり4個の水酸基を有しており、アセチルヒアルロン酸としては、アセチル基の置換数が2〜4のものが好ましい。
また本発明の皮膚外用剤には、アセチルヒアルロン酸の薬学的、生理学的に許容される塩を用いることもでき、このような塩としては、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等を挙げることができ、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。
【0009】
また、アセチルヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量は特に制限されないが、ヒアルロン酸換算で、1〜100万程度のものが好ましい。
本発明の皮膚外用剤で用いるアセチルヒアルロン酸またはその塩は、公知の方法、例えば粉末状ヒアルロン酸を無水酢酸溶媒に懸濁しさらに濃硫酸を加えて反応させる方法、で製造したものや、化粧品等において皮膚外用剤に通常使用されているアセチルヒアルロン酸またはその塩の市販品を利用することができる。
【0010】
本発明の皮膚外用剤において、アセチルヒアルロン酸またはその塩の配合量は、アセチルヒアルロン酸またはその塩の総量として、皮膚外用剤全重量に対して0.0001〜10重量%であり、かかる範囲内において皮膚外用剤の用途に応じて適宜選択することができる。本発明の効果から鑑みて、好ましくは0.0002〜6重量%、特に好ましくは0.0005〜5重量%の範囲である。
【0011】
本発明の皮膚外用剤において、平均分子量25万以下のヒアルロン酸とは、サイズ排除クロマトグラフィーによる数平均分子量25万以下のヒアルロン酸を指す。数平均分子量は極限粘度による補正を行う。サイズ排除クロマトグラフィーの測定条件は以下のように規定する。
カラム…TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm
カラム温度…40℃付近の一定温度
検出器…示差屈折率計
移動相…0.2mol/L NaCl
流量…0.3mL/min
注入量…100μL
【0012】
本発明の皮膚外用剤において、平均分子量25万以下のヒアルロン酸は、薬学的、生理学的に許容される塩を用いることもでき、このような塩としては、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等を挙げることができ、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。
【0013】
本発明の皮膚外用剤において、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩の平均分子量は、25万以下であれば特に制限されないが、通常1千〜20万であればよく、好ましくは2千〜10万、さらに好ましくは3千〜5万である。特に分子量が1万以下のものは、ヒアルロン酸オリゴ糖やオリゴヒアルロン酸とも呼ばれている。
【0014】
本発明の皮膚外用剤で用いる平均分子量25万以下のヒアルロン酸は、公知の方法、例えば、酵素的(ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼなど)または酸加水分解的(DMSOおよび塩酸など)に部分分解し、必要に応じて直線濃度勾配を有する塩化ナトリウム溶液や酢酸緩衝液を用いてゲルろ過カラムまたはイオン交換カラムにより溶出させ、各種平均分子量の低分子ヒアルロン酸を分取することで製造したものや、化粧品等において皮膚外用剤に通常使用されている平均分子量25万以下のヒアルロン酸の市販品を利用することができる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤において、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩の配合量は、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩の総量として、皮膚外用剤全重量に対して0.0001〜10重量%であり、かかる範囲内において皮膚外用剤の用途に応じて適宜選択することができる。本発明の効果から鑑みて、好ましくは0.0002〜6重量%、特に好ましくは0.0005〜5重量%の範囲である。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を増強または補足する目的で、多価アルコール、グリコールエーテル、水溶性増粘剤、およびキレート剤を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として従来から使用され、また将来使用されるものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。
【0017】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,2−ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコールである。
【0018】
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられ、好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0019】
これらの多価アルコールまたはグリコールエーテルは、1種又は2種以上を組み合わせて使用でき、多価アルコールおよびグリコールエーテルの合計量として、皮膚外用剤全体に対して0.01〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%であればよいが、本発明の効果を奏すれば特に制限されない。
【0020】
水溶性増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、ベントナイトなどが挙げられ、好ましくはカルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
これらの水溶性増粘剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用でき、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、水溶性増粘剤の合計量として、皮膚外用剤全体に対して通常0.0003〜20重量%であり、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%であれば良い。
【0021】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA−2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸などが挙げられ、好ましくは、エデト酸、エデト酸ナトリウム、エデト酸カリウム、フィチン酸である。
これらのキレート剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用でき、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、キレート剤の合計量として、皮膚外用剤全体に対して通常0.0003〜20重量%であり、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%であれば良い。
【0022】
本発明の皮膚外用剤には、他の有用な作用を付加するため美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。好ましくは美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、抗酸化成分、老化防止成分または保湿成分の1種または2種以上の成分である。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として従来から使用され、また将来使用されるものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。
【0023】
例えば、美白成分としては、ハイドロキノン、アルブチンなどのキノン類;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;カモミラET;グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸;アスコルビン酸、テトライソパルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、リン酸L−アスコルビルマグネシウムなどのビタミンC又はその誘導体等が挙げられる。このうち、好ましいものとしては、ハイドロキノン、アルブチン、エラグ酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸、テトライソパルミチン酸アスコルビルを挙げることができる。これらの美白成分は1種または2種以上を用いてもよい。
【0024】
上記美白成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜20重量%であり、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%であれば良い。
【0025】
抗炎症成分としては、アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸又はその誘導体等が挙げられる。好ましくはアラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、グアイアズレン、メントール、インドメタシン、サリチル酸である。
【0026】
上記抗炎症成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜10重量%であり、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0027】
抗菌成分としては、エタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、アクリノール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、サリチル酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、感光素101号、感光素201号等が挙げられる。好ましくは、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、感光素101号、感光素201号が挙げられる。さらに好ましくは、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオールである。
【0028】
上記抗菌成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0029】
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類:レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール、α−トコフェリルレチノエート、δ−トコフェリルレチノエート等)、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類:タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などが挙げられる。好ましくは、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類:レチノール、α−トコフェリルレチノエート、δ−トコフェリルレチノエート、パントテン酸類などのビタミン類である。
【0030】
上記細胞賦活化成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0031】
抗酸化成分としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリンなどが挙げられる。好ましくは、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フラボノイドである。
【0032】
抗酸化成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜5重量%である。
【0033】
老化防止成分としては、カイネチン、パンガミン酸、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。好ましくは、カイネチンである。
【0034】
上記老化防止成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0035】
保湿成分としては、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンなどのアミノ酸及びその誘導体;コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン等のペプチド;ソルビトールなどの糖アルコール;レシチン、水素添加レシチン等のリン脂質;ヘパリン、コンドロイチン等のムコ多糖;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分のほか、ポリグルタミン酸などがあげられる。好ましいものは、アラニン、セリン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、コラーゲン、コラーゲンペプチド、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、水素添加レシチン、ヘパリン、コンドロイチン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸である。
【0036】
保湿成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜5重量%を挙げることができる。
【0037】
本発明の皮膚外用剤は、上記各成分に加えて、さらに界面活性剤、可溶化成分、油脂類、糖類または経皮吸収促進成分を配合することもできる。
【0038】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと言う)−オクチルドデシルアルコールやPOE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE−分岐アルキルエーテル;POE−オレイルアルコールエーテルやPOE−セチルアルコールエーテル等のPOE−アルキルエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート及びソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノイソステアレート、及びPOE−ソルビタンモノラウレート等のPOE−ソルビタンエステル;グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;POE−グリセリンモノオレエート、POE−グリセリンモノステアレート、及びPOE−グリセリンモノミリステート等のPOE−グリセリン脂肪酸エステル;POE−ジヒドロコレステロールエステル、POE−硬化ヒマシ油、及びPOE−硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POE−オクチルフェニルエーテル等のPOE−アルキルアリールエーテル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;POE−モノステアリルグリセリルエーテル、POE−モノミリスチルグリセリルエーテル等のPOE−グリセリンアルキルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種非イオン界面活性剤:あるいはレシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤等を例示することができる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0039】
界面活性剤を用いる場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤中に0.01〜30重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができる。本発明の皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点からは、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲を挙げることができる。
【0040】
油脂類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油脂;大豆油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヒマワリ油、パーム油、アマ油、シソ油、シア油、サル油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、及びアボガド油等の植物油脂;ミンク油、卵黄油、牛脂、乳脂、及び豚脂等の動物油脂;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステルやエーテル類;シリコーン油等が挙げられる。これらの油脂類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0041】
これらの油脂類を使用する場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤中に0.01〜70重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができるが、本発明の皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点から、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の範囲を挙げることができる。
【0042】
糖類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボース、フルクトース、リブロース、リキソースなど)、二糖類(例えば、蔗糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなど)、オリゴ糖類(例えば、ラクツロース、ラフィノース、プルランなど)、高分子糖類[例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケラタン又はそれらの塩(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などの薬学上又は生理的に許容される塩など)など]、及び糖アルコール類(例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロースなど)その他、キシロース、イノシトール、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ、黒砂糖抽出物等が挙げられる。これらの糖類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0043】
本発明の皮膚外用剤には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、アミノ酸、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、pH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に配合することができる。
【0044】
本発明の皮膚外用剤は、上記アセチルヒアルロン酸またはその塩、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩、並びに必要に応じて各成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。中でも好ましくは、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、エアゾール状、スプレー状であり、特に好ましくは液状、乳液状、クリーム状である。
【0045】
本発明の皮膚外用剤は、通常pH1〜8の液性を備えていればよいが、製剤の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感の良さという観点から、好ましくはpH2〜7、より好ましくはpH2〜6の酸性領域であることが望ましい。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品または外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用される基礎化粧料、洗浄料、美白剤が好ましく、基礎化粧料、美白剤が特に好ましい。
【0047】
また本発明は、アセチルヒアルロン酸またはその塩の着色抑制方法をも包含する。本発明の方法において、アセチルヒアルロン酸またはその塩の着色抑制は、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を併用することによって達成できる。
本発明の方法において、アセチルヒアルロン酸またはその塩、平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩やこれらの含有量などについては、前記皮膚外用剤で用いたものと同様である。さらに本方法にて得られた物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を実施例及び試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
【0049】
平均分子量25万以下のヒアルロン酸ナトリウムの製造
分子量100万のヒアルロン酸ナトリウムを、酸性条件下加熱還流を行って加水分解し、Sephadex G−10(ファルマシア社製;φ3x124)で脱塩した後、凍結乾燥した。凍結乾燥品について、以下の測定条件下でサイズ排除クロマトグラフィー法を用いて数平均分子量を算出した。
検出器…示差屈折率計
カラム…TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm
カラム温度…40℃付近の一定温度
移動相…0.2mol/L NaCl
流量…0.3mL/min
注入量…100μL
得られたヒアルロン酸ナトリウムのうち、サイズ排除クロマトグラフィーによる数平均分子量(極限粘度による補正後)が20万、5万、4千のヒアルロン酸ナトリウムについて下記試験および製剤に供した。
【0050】
試験例1 アセチルヒアルロン酸の安定化評価
表1、2に記載の処方(重量%)に従って、アセチルヒアルロン酸、各種平均分子量25万以下のヒアルロン酸、水を混合し溶解させて、試験液を調製した。調製直後の試験液はいずれも無色透明であった。これを分光測色計CM-3500d(MINOLTA製)を用いて、国際照明委員会(CIE)のL*a*b表色系を用いて測定した。同様にして、60℃の恒温槽にて24時間および4日間保管した試験液を測定し、調製直後の試験液を基準としてΔEを算出した。また、目視で試験液の色を判定した。
結果を表1、2に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
本発明の実施例1〜3全てにおいて、24時間後ではΔEの値が小さく、目視でもわずかに着色しているかどうかが確認される程度であり、4日後でも薄黄色程度であった。一方、平均分子量25万以下のヒアルロン酸ナトリウムを含有しない比較例1では、24時間後にΔEの値が1を超え薄黄色に着色しており、4日後では褐色にまで達していた。また比較例2の平均分子量4千のヒアルロン酸ナトリウムは、24時間後、4日後ともに同程度の着色であった。
【0053】
【表2】

【0054】
比較例1、3および実施例4から、低分子のヒアルロン酸ナトリウムをかなり減量しても着色抑制効果があることがわかった。さらに、実施例5、6、比較例4、5から、平均分子量が高めのヒアルロン酸ナトリウムを少量配合することでも着色抑制効果が確認された。一方比較例6では、分子量の大きいヒアルロン酸を用いているが、より着色を増強してしまうことがわかった。また、平均分子量5万の低分子ヒアルロン酸ナトリウムにおいても、1%添加することで着色を微黄色に抑制することができた。
このように、本発明の皮膚外用剤は、アセチルヒアルロン酸の熱による着色を平均分子量25万以下のヒアルロン酸が抑制し安定化できるという、予想外の効果があることがわかった。
【0055】
以下に製剤実施例を挙げる。
【0056】
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチルヒアルロン酸またはその塩、および平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
さらに、多価アルコール、グリコールエーテル、水溶性増粘剤、およびキレート剤からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
平均分子量25万以下のヒアルロン酸またはその塩による、アセチルヒアルロン酸またはその塩の着色抑制方法。

【公開番号】特開2007−77101(P2007−77101A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269294(P2005−269294)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】