説明

皮膚外用剤

【課題】7以下のpHで安定な、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する製剤を提供すること。
【解決手段】アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを含有し、pHが7以下である、皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、4−ビフェニル酢酸等のアリール酢酸系の非ステロイド系抗炎症成分を含有する皮膚外用剤が知られている。例えば、フェニル酢酸誘導体型消炎鎮痛剤、水溶性有機アミン及び低級アルコール等を含有し、pHが7.0〜9.0である消炎鎮痛ゲル軟膏剤(特許文献1)、4−ビフェニル酢酸、アルカリ及び水溶性有機アミンを含み、pHが6〜7である消炎鎮痛用貼付剤(特許文献2)、フェニル酢酸誘導体及びメントール類を含有する消炎鎮痛剤(特許文献3)、及び、非ステロイド系抗炎症剤と清涼化剤を含有する皮膚外用剤(特許文献4)、等が知られている。
【特許文献1】特開昭59−222409号公報
【特許文献2】特開昭64−85913号公報
【特許文献3】特開2003−286161号公報
【特許文献4】特開平11−199522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
4−ビフェニル酢酸等のアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、pH7以下の酸性条件では水、プロピレングリコール等のアルキレングリコール類、及びエタノール等のアルコール類、等の溶媒に対する溶解性が低く、該化合物を含有する酸性溶液(pH4〜6.5)を調製した場合、時間経過とともに、溶液からの該化合物の析出が観察される。そのため、当該化合物を含有する製剤は通例、特許文献1のように、アルカリ性領域のpH(7〜9程度)を有する薬剤として提供されている。しかしながら、ヒトの皮膚は弱酸性(pH4.5〜6.5)であるため、それより高いpHを有する製剤を皮膚に適用した場合、かゆみや発赤等を生じるおそれがある。
【0004】
特許文献2には、4−ビフェニル酢酸を含有するpHが6〜7の貼付剤が記載されているが、当該貼付剤を調製する際には、一度、4−ビフェニル酢酸溶液のpHをアルカリ性領域にしなければならないなど、調製が非常に煩雑であった。また、特許文献3には、4−ビフェニル酢酸を含有する弱酸性のローション剤(処方例2)及びエアゾール剤(処方例5)が記載されているが、その剤の安定性に問題があった。
【0005】
そのため、4−ビフェニル酢酸等のアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有した、7以下のpHで安定な製剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する製剤を開発するにあたり鋭意研究を重ねた結果、溶媒としてアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを併用することにより、pH7以下でも化合物の析出が抑制された安定な製剤が得られること見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
1.アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを含有し、pHが7以下である、皮膚外用剤、
2.アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物100質量部に対して、ポリアルキレングリコールが500質量部以上である、前記1に記載の皮膚外用剤、
3.前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、4−ビフェニル酢酸である、前記1または2に記載の皮膚外用剤、
4.液剤またはゲル剤である、前記1〜3のいずれか一つに記載の皮膚外用剤、
5.塗布用である、前記1〜4のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、容易に調製することができ、そしてpH7以下でも化合物の析出が抑制された安定な、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する皮膚外用剤を提供することができる。本発明により、ヒトの皮膚のpHに近いpHを有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを必須成分として含有し、7以下のpHを有する皮膚外用剤である。そして、本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分のほか、他の薬効成分及び添加剤(保湿剤、色素、香料、界面活性剤及び酸化防止剤等)を必要に応じて含有することができる。
【0010】
本発明で用いることができるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、消炎鎮痛作用を奏する化合物であれば特に制限はないが、例えば、インドメタシン等のインドール酢酸系、ジクロフェナク、イブフェナク、アルクフェナク、メチアジン酸、アンフェナク及び4−ビフェニル酢酸等のフェニル酢酸系、スリンダクなどのインデニル酢酸系、トルメチン等のピロール酢酸系、及び、ナブメトンなどのナフチル酢酸系等が挙げられる。
【0011】
また、本発明では前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の薬学的に許容される塩を使用することもできる。薬学的に許容される塩としては、例えば、前記化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。なお、本明細書において、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物及びその薬学的に許容される塩を、「アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物」、と称することがある。本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の1種のみを使用でき、また、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。好ましいアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、本発明の皮膚外用剤として安定性により優れる点から4−ビフェニル酢酸である。
【0012】
本発明の皮膚外用剤におけるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の含有量は、ヒトの皮膚に適用した場合に消炎鎮痛作用を奏する量である限り、特に制限はなく、皮膚外用剤の剤型及び使用目的等に応じて、適宜、選択することができる。本発明の皮膚外用剤に占めるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の量としては、例えば、0.1〜20質量%、または0.5〜15質量%、または1〜10質量%である。
【0013】
本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールに溶解されている。本発明で用いることができるアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールの種類及びその量は、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を溶解することができる限り、特に制限はない。
【0014】
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール及びへキシレングリコール等が挙げられる。これらは1種のみを使用でき、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を良好に溶解するという点から、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールが好ましい。
【0015】
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコール等が挙げられる。これらは1種のみを使用でき、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を良好に溶解するという点から、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量(重合度)には特に制限はないが、例えば、分子量が150〜3000、または150〜1000、または150〜500のポリアルキレングリコールを用いることができる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物100質量部に対して、ポリアルキレングリコールが500質量部以上、または500〜3000質量部、または1000〜3000質量部である。また、本発明の皮膚外用剤では、皮膚外用剤100質量%において、ポリアルキレングリコールが20質量%以上、または20〜60質量%、または30〜60質量%である。
【0017】
本発明の皮膚外用剤では、ポリアルキレングリコール100質量部に対して、アルキレングリコールを、例えば、10〜350質量部、または25〜100質量部の割合で用いることができる。
【0018】
本発明では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を溶解する溶媒としてアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを用いることによって、7以下のpHにおいてもアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の析出が抑制された安定な皮膚外用剤となっている。
【0019】
本発明の皮膚外用剤のpHとしては7以下であれば特に制限はない。本発明の皮膚外用剤のpHは、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の含有割合及び任意の添加物等にも依存するが、例えば、pHは3〜7であり、または4〜6.5である。ヒトの皮膚のpHを考慮すると、pHは4.5〜6.5であることが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤に酸または塩基を添加して、外用剤のpHを調整することもできる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分を含有していれば、その剤型は特に制限されず、例えば、液剤(ローション剤及び乳剤等)、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ゲル剤及びエアゾール剤等の形態とすることができる。本発明の効果を顕著に奏することから、好ましい剤型はゲル剤または液剤である。
【0021】
本発明の皮膚外用剤を液剤として調製する場合、通常の液剤の調製方法により調製することができる。例えば、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物をアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールに添加し、必要に応じて加熱し、溶解することによって調製することができる。また、調製の際、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物に加え、他の薬効成分、添加剤(保湿剤、色素、香料、界面活性剤及び酸化防止剤等)及び他の溶媒等を任意に用いることができる。
【0022】
他の薬効成分としては、例えば、ノナン酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン及びカプサンチン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ及びトウガラシ末などのトウガラシ由来物質等の血行促進剤、リモネン、テルピノレン、メンタン及びテルピネンなどのp−メンタン、及びそれから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物等のテルペン系炭化水素化合物、l−メントール、イソプレゴール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、1−(2−ヒドロキジフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロキシピリミジン−2−オン、エチルメンタンカルボキサミド、p−メンタン−3,8−ジオール、3,8−ジヒドロキシ−p−メンタン−3−9−ジオール及びトリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等のメントール類縁化合物等の清涼感等を付与する清涼化剤、塩酸プロカイン及びリドカインなどの局所麻酔剤、ペニシリン類、セファロスポリン類、アミノグリコシド類及びマクロライド類などの抗生物質、グリセオフルビン及びアンホテリシンBなどの抗真菌剤、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ピロキシカム及びサリチル酸メチルなどのアリール酢酸系以外の非ステロイド系鎮痛消炎剤、ヒドロコルチゾン及びブレドニゾロンなどのステロイド系消炎剤、クロルフェニラミン及びオキサトミドなどの抗アレルギー・抗ヒスタミン剤、クロニジン及びカプトプリルなどの抗高血圧剤、ニトログリセリン及び硝酸イソソルビットなどの冠血管拡張剤、ニフェジピン及びニカルジピンなどのカルシウム拮抗剤、ピンドロール及びプロプラノールなどのβブロッカー、デオフィリン及びハイドロサイアザイドなどの降圧利尿剤、塩酸ドパミン及びジキタリスなどの強心剤、バルプロ酸ナトリウム及びフェニトインなどの抗てんかん剤、スコポラミンなどの抗めまい剤、ハロペリドールなどの抗精神病剤、塩酸フルラゼパム及びフェノバルビタールなどの睡眠調整剤、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC及びブレオマイシンなどの抗悪性腫瘍剤、エストラジオール及びインスリンなどのホルモン剤、及び、ビタミンEなどのビタミン類等を挙げることができる。
【0023】
他の添加剤としては、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及び乳酸ナトリウムなどの保湿剤、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセリルモノステアレート、イソオクタン酸グリセリン、グリセリルモノミリステアレート)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノステアレート)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールモノステアレート)及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油)などの界面活性剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、クエン酸及び塩酸などのpH調整剤、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム及びトウモロコシデンプンなどの粉末類等を挙げることができる。
【0024】
他の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール及びベンジルアルコール等のアルコール類、及び水が挙げられる。このような他の溶媒が用いられる場合、その使用量は、ポリアルキレングリコール及びアルキレングリコールの総質量100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは1〜30重量部である。
【0025】
本発明の皮膚外用剤をゲル剤として調製する場合、前記液剤調製時の成分に加えてカルボキシビニルポリマー、グリセリンモノオレエート及びヒドロキシプロピルセルロース等のゲル化剤を用いることによってゲル剤を調製することができる。例えば、前記のようにして調製された液剤の溶液にゲル化剤を添加してゲル化させることによって調製することができる。
【0026】
また、軟膏剤の場合、基剤として、界面活性剤及び水溶性高分子化合物などを配合することができる。具体的には、例えばカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリアクリル酸等の水溶性高分子化合物、及びラノリンアルコール、硬化油、レシチン、プラスチベース、流動パラフィン、ミツロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びシリコン油等を配合することができる。軟膏剤として調製する場合、常法によって製造し得、例えば前記液剤調製時の成分を上記溶剤に順次添加し、適宜時間混練することによって調製することができる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤は、塗布すること等によって皮膚に適用することができる。そして、本発明の皮膚外用剤はそのpHが7以下(好ましくはpH4.5〜6.5)であることから皮膚に対してかゆみや発赤等を生じることなく、消炎鎮痛作用を奏することができる。
【実施例】
【0028】
以下実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
皮膚外用剤の調製
下記の表1及び表2に示す割合で各成分を混合し、4−ビフェニル酢酸を溶解して、液剤(実施例1〜12、比較例1〜9及び参考例1〜3)を調製した。また、表3に示す割合で各成分を混合し、4−ビフェニル酢酸を溶解して、ゲル剤(実施例13〜22)を調製した。
【0029】
4−ビフェニル酢酸は和光純薬工業株式会社製を、エタノールはコニシ株式会社製を、ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400は三洋化成工業株式会社製を、ポリプロピレングリコール400は純正化学株式会社製を、プロピレングリコールは株式会社ADEKA製を、1,3−ブチレングリコールは協和発酵ケミカル株式会社製を、水酸化ナトリウムは旭硝子株式会社製を、グリセリンは阪本薬品工業株式会社製を、ヒドロキシプロピルセルロースは信越化学工業株式会社製を使用した。
【0030】
各例のpHは株式会社堀場製作所製のpHメーターF−52を用いて取扱説明書に従って測定した。
なお、各表中の各成分の数値は質量部である。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
溶解性の評価
各例について、4−ビフェニル酢酸の溶解性について評価した。
評価は、表1〜3に示す割合で各成分を混合し、45℃で4−ビフェニル酢酸を溶解して液剤またはゲル剤を調製した。その後、20℃で12時間及び24時間静置後の各剤の状態を目視で観察することによって行なった。各剤の溶液が透明である場合を○とし、析出物が確認された場合を×として、結果を表1〜3に示した。
【0035】
アルキレングリコール(プロピレングリコールまたは1,3−ブチレングリコール)またはポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール200、400またはポリプロピレングリコール400)の一方のみを用いた比較例1〜9では、pHが3.9〜5.8と酸性であり、そして、12時間後または24時間後に析出物が観察され、安定性に劣るものであった。なお、水酸化ナトリウムでアルカリ性(pH7.5)とした参考例1〜3では、24時間後においても析出物は観察されなかった。
【0036】
これに対し、アルキレングリコールとポリアルキレングリコールとを併用した実施例1〜22では、pHが4.6〜5.7と酸性であるが、参考例(アルカリ性)と同様に24時間後においても析出物は観察されず、安定な製剤であった。
【0037】
また、実施例1において、4−ビフェニル酢酸に代えてインドメタシンまたはジクロフェナクを用いても同様に析出を抑えることができたが、4−ビフェニル酢酸の方が、その効果についてより顕著であった。
【0038】
さらに、4−ビフェニル酢酸を3質量部、ポリエチレングリコール400を12質量部およびプロピレングリコールを38質量部配合した組成物(4−ビフェニル酢酸:ポリエチレングリコール400=100:400、およびポリエチレングリコール400:プロピレングリコール=100:320)、ならびに4−ビフェニル酢酸を3質量部、ポリエチレングリコール400を45質量部およびプロピレングリコールを5質量部配合した組成物(4−ビフェニル酢酸:ポリエチレングリコール400=100:1500、およびポリエチレングリコール400:プロピレングリコール=100:11)を調製したところ、同様に4−ビフェニル酢酸の析出を抑えることができたが、実施例1〜3(4−ビフェニル酢酸:ポリエチレングリコール400=100:833〜1333、およびポリエチレングリコール400:プロピレングリコール=100:25〜100)の方が、その効果についてはより優れていた。
【0039】
使用感の評価
実施例1〜22の液剤及びゲル剤を皮膚に塗布したところ、かゆみや発赤等を生じることはなく、良好な使用感が得られた。
【0040】
実施例1〜9はエタノールを含有していないため、製剤を皮膚に塗布した際の強い冷感(ヒヤッと感)がなく、実施例10〜12に比べて使用感がよかった。
処方例1〜14および19〜34:液剤
処方例1〜14および19〜34に記載の処方例に従い、常法通り調製して液剤を得た。各液剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表4〜7に記載のpHに調整した。
【0041】
処方例15および16:ゲル剤
処方例15および16に従い、常法通り調製してゲル剤を調製した。各ゲル剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
【0042】
処方例17:軟膏剤
処方例17に従い、常法通り調製して軟膏剤を得た。軟膏剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
【0043】
処方例18:エアゾール剤
処方例18に従い、常法通り調製してエアゾール剤を得た。エアゾール剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを含有し、pHが7以下である、皮膚外用剤。
【請求項2】
アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物100質量部に対して、ポリアルキレングリコールが500質量部以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、4−ビフェニル酢酸である、請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
液剤またはゲル剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
塗布用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2010−83819(P2010−83819A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255703(P2008−255703)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】