説明

皮膚用針の製造方法及び装置

【課題】 安価な皮膚用針を製造できる皮膚用針の製造方法および装置を提供する。
【解決手段】 シリンジ45の温度をヒーター46によって制御することによってシリンジ45内に設置された材料80を溶解させる。該溶融した材料80に圧力制御機構60によって圧力を付与することにより、材料80の一部を中空ピン47の先端から射出して当該射出端をベース55に付着させる。その後、ベース55と中空ピンとを離隔させることによりベースに付着した線状材料が延伸され中空ピン側で切断されることにより、皮膚用針81を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療又は化粧等に用いられる皮膚用針を成形する皮膚用針の製造方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚用針の製造方法として、鋳型に材料を射出成形することによって皮膚用針を製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2003−238347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の皮膚用針製造方法においては、鋳型を用い製造しなければならないため、製品コストが高くなると共に大量生産に不向きであるという問題があった。
【0005】
本発明は、安価に製造することができる皮膚用針の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の皮膚用針の製造方法は、皮膚用針の材料を溶解させる溶解工程と、溶解工程によって溶解させられた前記材料を細孔から吐出させてその先端をベースに付着させる吐出付着工程と、ベースと細孔を離隔させながらそれらの間に存在する材料を延伸させ細孔側で材料を切断する延伸切離工程とを備え、前記ベース上に皮膚用針が形成される構成としている。
この構成により、本発明の皮膚用針の製造方法は溶解した皮膚用針の材料を細孔より吐出後延伸させるのみで容易に針を形成することができる。したがって、本発明の皮膚用針の製造方法によれば、皮膚用針を安価に製造することができる。
【0007】
本発明の皮膚用針の製造方法は、延伸切離工程の際に、皮膚用針の先端が細孔に残留している当該材料張力によって尖鋭に形成されるようにしている。この構成により、皮膚用針の先端を鋭い形状に形成することができる。したがって、該皮膚用針を容易に皮膚へ刺すことができるため人体に感じる痛さを少なくすることができる。
【0008】
本発明の皮膚用針の製造方法は、延伸切離工程の際に、皮膚用針の先端および細孔に残留している材料の少なくとも一方の温度を制御するようにしてもよい。この構成により、皮膚用針の先端を用途に応じた尖鋭度のものとすることができる。
【0009】
本発明の皮膚用針の製造装置は、溶融した皮膚用針の材料を収容した容器と、該容器に設けられた少なくとも一つの細孔と、容器内に収容された前記材料に作用する圧力を制御して該材料を前記細孔から吐出させる圧力制御手段と、吐出した材料の先端が付着するベースと、ベースと細孔の距離を可変させる離隔制御手段とを備え、前記圧力制御手段により材料を細孔から吐出させてベースに付着させ、その後、前記離隔制御手段によりベースと細孔を離隔させながらそれらの間に存在する材料を延伸させ細孔側で材料を切断することを特徴としている。
この構成により、本発明の皮膚用針の製造装置は溶解した皮膚用針の材料を細孔より吐出後延伸させるのみで容易に針を形成することができる。したがって、本発明の皮膚用針の製造装置によれば、皮膚用針を安価に製造することができる。
【0010】
本発明の皮膚用針の製造装置は、離隔制御手段によるベースと細孔との離隔の際に少なくとも1回該離隔を実質的に停止し、所定時間後該離隔を再開するようにしてもよい。そうすることにより、皮膚用針の先端を用途に応じた形状とすることができる。
【0011】
本発明の皮膚用針の製造装置は、ベースが設置されるベース設置部材と、該ベース設置部材内に設けられたベース温度制御手段と、前記細孔内部の材料の温度を制御する材料温度制御手段と、前記材料温度制御手段、前記圧力制御手段、前記ベース温度制御手段、前記離隔制御手段の少なくとも一つを制御する制御手段とを備えた構成としてもよい。
この場合、ベース温度制御手段により皮膚用針と該ベースとの付着性を調整することができる。また、材料温度制御手段により細孔より吐出する材料の粘性を調整することができる。さらに、制御手段によりベース上に各種形状パターンで皮膚用針を形成することができる。
【0012】
本発明の皮膚用針の製造装置は、材料温度制御手段が細孔付近に設けられた第一の材料温度制御手段と容器全体を加熱制御する第二の材料温度制御手段とを備えたことを構成としてもよい。この場合、第一の温度制御手段により容器内全体の材料を容易に溶解・温度調整ができ、第二の温度制御手段により細孔より吐出する材料の粘性をより精度よく調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法または装置によれば、皮膚用針を安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に関わる皮膚用針(マイクロパイル)の製造方法及び装置の一実施の形態について、図1〜図9を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係るマイクロパイル製造装置10の構成について説明する。なお、本実施の形態に係るマイクロパイル製造装置10は、マイクロパイル81をベース55上に製造するようになっている。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る材料押出型マイクロパイル製造装置10は、地面90上に設置された室20aを形成する壁部20と、壁部20に設置されて室20a内の湿度を30%から60%まで任意の湿度の±5%の範囲に維持する湿度維持手段として湿度維持装置30と、室20a内に設置されてマイクロパイル81(図2参照)の材料80が設置されるシリンジ(容器)45と、該シリンジ45の温度を変更するヒーター46(第二の材料温度制御手段)と、シリンジ45に設置された材料80の一部を吐出させるための50本の中空ピン47と、中空ピン47の温度を変更する中空ピン温度制御手段としてのヒーター49(第一の材料温度制御手段)と、図1(b)に示すように、シリンジ45内の圧力をチューブ61を介して制御する圧力制御手段としての圧力制御機構60と、シリンジ45の内部の圧力を保持するためのキャップ57と、マイクロパイル81のベース55が設置される基板41の温度を変更するベース温度制御手段としてのヒーター42と、基板41に固定された柱部43と、柱部43に沿って矢印44a、44bで示す方向に移動可能な柱部43に支持された移動部44と、移動部44に固定されたシリンジ45及び中空ピン47と、移動部44を柱部43に沿って移動させるための駆動機構48と、ヒーター42、ヒーター46、ヒーター49、圧力制御機構60及び駆動機構48の動作を制御する制御手段としてのコンピュータ50と、を備えている。
【0017】
ここで、基板45は、50本の中空ピン47が設置される部分の大きさ及び形状が約10mm角の正方形となっている。
【0018】
なお、シリンジ45と中空ピン47は、融解した材料80が中空ピンの孔以外からは漏れない構造とされている。ヒーター46(第二の材料温度制御手段)及びヒーター49(第一の材料温度制御手段)によって、シリンジ45と中空ピン47の温度を同一又は個別に変更できるよう構成されており、これにより材料80の温度が制御される。このようにヒーター46とヒーター49は材料温度制御手段を構成している。
【0019】
また、50本の中空ピン47は、10行5列の格子点状に約500μm間隔でシリンジ45に設置されており、熱伝導性の高い金属等の中空管によって形成されている。なお、図1(a)及び図1(b)において中空ピン47を2本しか描いていないのは、視認性を考慮して簡略化しているためである。
【0020】
また、駆動機構48は、移動部44を柱部43にそって移動させることによって、移動部44に固定されたシリンジ45に設置された中空ピン47を基板41に設置されたベース55に対して移動させるようになっており、ピン移動手段を構成している。
【0021】
また、材料80は、生分解性材料であるマルトースやポリ乳酸などを主成分として含んでいる。ベース55は、マイクロパイル81の用途に応じ、耐熱性及び伸縮性を有した紙やテープ、プラスティック性または金属性シート等が適宜用いられる。
【0022】
次にマイクロパイル製造装置10の動作について、材料80としてマルトースを用いてマイクロパイルを作る場合を例として、説明する。
【0023】
湿度維持装置30は、室20a内の湿度を所定の範囲に常に維持している。
まず、マイクロパイル製造装置10は、容器としてのシリンジ45に材料(マルトース)80が設置される。
【0024】
(材料溶解工程)
そして、マイクロパイル製造装置10の操作者からマイクロパイルの製造がコンピュータ50に指示されると、コンピュータ50は、ヒーター46によってシリンジ45の温度を約110℃に維持するように制御することによって、シリンジ45に設置された材料80を溶解させ、同時にヒーター49によって中空ピン47の温度を約110℃に維持するように制御することによって、シリンジ45と中空ピン47とを同じ約110℃の温度に制御させる。
【0025】
(材料付着工程)
次に、コンピュータ50は、ヒーター42によって基板41の温度を約100℃に維持するように制御することによって、基板41に設置されたベース55を加温させる。次いで、駆動機構48によって移動部44を柱部43に沿って矢印44aで示す方向に移動させることによって、移動部44に固定されたシリンジ45に設置された中空ピン47とベース55との隙間を図3(a)に示すように、約500μmの間隙で保持させる。ここでコンピュータ50は、圧力制御機構60によってシリンジ45にチューブ61を介して矢印60aで示す方向に圧力を掛けることによって、シリンジ45に設置された中空ピン47の先端から材料80の一部を射出させ、図3(b)に示すように射出した材料80がベース55に付着するように材料80を押出制御させる。
ここで、マイクロパイル製造装置10は、シリンジ45に設置された50本の中空ピン47から吐出された材料80が均一にベース55に接着するように、精度良く形成されている。
【0026】
(成形工程)
次いで、コンピュータ50は、ヒーター42によって基板41の温度を約100℃に維持するように制御したまま、ヒーター49によって中空ピン47の温度を約120℃に維持するように制御した後、駆動機構48によって移動部44を柱部43に沿って矢印44bで示す方向に約100μm/secで約500μm移動させることによって、移動部44に固定されたシリンジ45に設置された中空ピン47を図3(c)に示すように、材料80のうちベース55に付着した付着部分80aから中空ピン47に残る残留部分80cの張力によって突起させられた突起部分80bから離隔させ、突起部分80bを引き伸ばして長さ約500μmの略鋳形のマイクロパイル81(図2参照。)として成形する。なお、50本の中空ピン47が、10行5列の格子点状に約500μm間隔でシリンジ45に設置されているので、ベース55上には、50本の突起部分80bが10行5列の格子点状に約500μm間隔で成形される。
【0027】
(切離工程)
最後に、コンピュータ50は、ヒーター49によって中空ピン47の温度を下げて約90℃に維持するように制御した後、駆動機構48によって移動部44を柱部43に沿って矢印44bで示す方向に約2mm/secで移動させることによって、移動部44に固定されたシリンジ45に設置された中空ピン47を、図3(d)に示すように材料80の突起部分80bから離隔させ、中空ピン47に残る残留部分80cをマイクロパイル81として成形された突起部分(延伸部分)80bから切り離す。このとき、シリンジ45に設置された材料80をヒーター46によって110℃に維持し、材料80が硬化しないように制御するようになっている。
【0028】
以上のようにして、マイクロパイル製造装置10は、図2に示すように、糖が主成分であるマイクロパイル81をベース55上に直接製造することができる。なお、中空ピン47に残る残留部分80cは、圧力制御機構60によってシリンジ45にチューブ61を介して矢印60bで示す方向に圧力を減圧することによって、シリンジ45に設置された中空ピン47に残る残留部分80cをシリンジ45へ引き戻すことで次のマイクロパイル製造で使用する材料80として機能する。
【0029】
製造されたマイクロパイル81の利用者は、ベース55をもってマイクロパイル81を自己又は他人の皮膚に押し当てることによって、マイクロパイル81を皮膚に刺すことができる。ここで、マイクロパイル81が十分に微細に製造されていれば、マイクロパイル81が皮膚に刺された人は、痛みを感じることが無い。
【0030】
更に、利用者は、マイクロパイル81を皮膚に刺した状態でベース55に負担を加えることによって、マイクロパイル81をベース55から切断し、マイクロパイル81を皮膚内に残留させることができる。なお、利用者は、マイクロパイル81を皮膚にさした状態でベース55からマイクロパイル81を切断せずに、マイクロパイル81とともにベース55も皮膚に固定しても良いし、ベース55を持ってマイクロパイル81を皮膚から抜き出しても良い。
【0031】
マイクロパイル81が皮膚に挿された人は、マイクロパイル81の成分によって種々の効果を得ることができる。例えば、マイクロパイル81の材料80が食紅等の着色剤を成分として含んでいるとき、マイクロパイル81が皮膚に刺された人は、ベース55から切断されて皮膚内に残留したマイクロパイル81によって、皮膚に化粧等の装飾効果を得ることができる。また、マイクロパイル81の材料80が紫外線吸収剤を成分として含んでいるとき、マイクロパイル81が皮膚に刺された人は、ベース55から切断されて皮膚内に残留したマイクロパイル81によって、皮膚に日焼け止め効果を得ることができる。また、マイクロパイル81の材料80がインシュリン等の薬剤を成分として含んでいるとき、マイクロパイル81が皮膚に刺された人は、皮膚に刺されたマイクロパイル81によって糖尿病等の治療や予防が行われることになる。
【0032】
皮膚内のマイクロパイル81は、皮膚が新陳代謝するまで数日間から数ヶ月間ほど皮膚内に残留する。したがって、上述した着色剤、紫外線吸収剤、薬剤等の効果は、数日間から数ヶ月間ほど持続する場合もある。もちろん、皮膚内のマイクロパイル81は、成分によっては、皮膚が新陳代謝する前に皮膚内で溶けて消滅する場合もある。
【0033】
また、上述した着色剤、紫外線吸収剤、薬剤等の効果の程度は、ベース55上のマイクロパイル81の本数や、マイクロパイル81の体積によって、調整されることが可能である。
【0034】
なお、マイクロパイル製造装置10は、中空ピン47のうち材料80を射出される中空部47aの形状が略円形状であるとき、図4に示すような略円錐状のマイクロパイル81を成形でき、中空部47aの形状が略三角形であるとき、図5に示すような略三角錐状のマイクロパイル81を成形でき、中空部47aの形状が略四角形であるとき、図6に示すような略四角錐状のマイクロパイル81を成形でき、中空部47aの形状が多角形であるとき、図7に示すような略多角錐状のマイクロパイル81を成形できるなど、中空部47aの形状に反映した形状のマイクロパイル81を製造することが容易に推測できる。
【0035】
また、マイクロパイル製造装置10は、成形工程において、材料80の突起部分80bの引き伸ばしを1回以上一時的に停止し、材料80の押出しによる射出を1回以上一時的に射出することによって、部分的に膨らんだマイクロパイル81を安価に製造することができる。例えば、材料押出型マイクロパイル製造装置10は、成形工程において、次のように動作することによって、図9に示すような部分的に膨らんだマイクロパイル81を安価に製造することができる。
まず、コンピュータ50は、ヒーター42によって基板41の温度を約100℃に維持するように制御したまま、ヒーター49によって中空ピン47の温度を約120℃に維持するように制御するとともに、駆動機構48によって移動部44を柱部43に沿って矢印44bで示す方向に約100μm/secで約500μm移動させることによって、移動部44に固定されたシリンジ45に設置された中空ピン47を図8(a)に示すように、材料(マルトース)80の残留部分80cの張力によって突起させられた突起部分80bから離隔させる。次いで、コンピュータ50は、駆動機構48によって移動部44の移動を約15秒停止させると同時に、圧力制御機構60によってシリンジ45にチューブ61を介して矢印60aで示す方向に圧力を掛けることによって、シリンジ45に設置された中空ピン47の先端から材料80を射出させ、図8(b)に示すように、材料80の突起部分bと残留部分80cとの中間部分に材料80の追加によって膨らみ80dを成形する。次いで、コンピューター50は、駆動機構48によって移動部44を柱部43に沿って矢印44bで示す方向に約200μm/secで約300μm移動させることによって、図8(c)に示すように、部分的に膨らんだマイクロパイル81を成形する。
なお、部分的に膨らんだマイクロパイル81の括れた部分の強度が弱いので、括れた部分において容易にベース55から切断されることができる。また部分的に膨らんだマイクロパイル81は、膨らんでいない構成と比較して、体積を増やすことができる。
【0036】
以上に説明したマイクロパイル製造装置10は、押出した材料80の張力を利用してマイクロパイル81を製造するので、従来のような高価な鋳型が不要であり、またマイクロパイル81の支持部が不要になることで、材料80を削減することができ、従来より安価にマイクロパイル81を製造することができる。さらに、中空ピンの孔47aの径や形状を変えたり、中空ピン47とベース55との離隔速度を変えたりすることにより、各種形状のマイクロパイルを生産することができる。
【0037】
また、マイクロパイル製造装置10は、中空ピン47の温度を下げて材料80の突起部分80b及び残留部分80cの間の部分の粘度を下げた後に材料80の突起部分80bから中空ピン47を離隔させることによって材料80の突起部分80bから残留部分80cを切り離すようにしてもよい。なお、マイクロパイル製造装置10は、基板41を介してベース55の温度を下げて材料80の付着部分80aを介して突起部分80b及び残留部分80cの間の部分の粘度を下げた後に材料80の突起部分80bから中空ピン47を離隔させることによって材料80の突起部分80bから残留部分80cを切り離すようになっていても良い。また、マイクロパイル製造装置10は、材料80の突起部分80b及び残留部分80cの間の部分の粘度を下げた後に材料80の突起部分80bから中空ピン47を離隔させることによって材料80の突起部分80bから残留部分80cを切り離すのではなく、材料80の突起部分80bから残留部分80cをカッター等の専用の装置によって積極的に切断するようになっていても良い。
【0038】
また、マイクロパイル製造装置10は、シリンジ45に設置された材料80及びシリンジ45に設置された中空ピン47、基板41の上に設置されたベース55の周辺の湿度をマイクロパイルの製造中に湿度維持装置30によって所定の範囲に維持するので、材料80が水で溶解し易い糖等の材料であっても精度良くマイクロパイル81を製造することができる。
【0039】
なお、マイクロパイル製造装置10は、シリンジ45に、50本の中空ピン47を設置することによって、1度に50本のマイクロパイル81をベース55上に製造するようになっているが、1度に50本以外の本数のマイクロパイル81を製造するようになっていても良い。例えば、マイクロパイル製造装置10は、1度に100本のマイクロパイル81を製造するようになっていても良い。
【0040】
また、マイクロパイル製造装置10は、格子点状に配列された50本のマイクロパイル81を製造するようになっているが、格子点状以外の配列で複数本のマイクロパイル81を製造するようになっていても良い。
【0041】
また、マイクロパイル製造装置10は、マイクロパイル80を成形する際、その各部80a、80b、80dの固化は自然放熱によって実現しているが、材料80を積極的に冷却するための装置を備えていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明に係る皮膚用針製造装置及びその製造方法は、安価に皮膚用針を製造することができるという効果を有し、長さが数百μm以下であるマイクロパイルの製造装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)本発明の一実施の形態に係るマイクロパイル製造装置の側面断面図 (b)図1(a)に示すマイクロパイル製造装置のシリンジ部の側面断面図
【図2】図1に示すマイクロパイル製造装置によって製造されたマイクロパイルの一部の外観斜視図
【図3】(a)図1に示すマイクロパイル製造装置の材料付着工程の動作前における材料の一部の側面断面図 (b)図1に示すマイクロパイル製造装置の材料付着工程の動作後における材料の一部の側面断面図 (c)図1に示すマイクロパイル製造装置の成形工程における材料の一部の側面断面図 (d)図1に示すマイクロパイル製造装置の切離工程における材料の一部の側面断面図
【図4】(a)中空ピンの中空部の形状が略円形である図1に示す材料押出型マイクロパイル製造装置によって成形したマイクロパイルの側面図 (b)図4(a)に示すマイクロパイルの上面図
【図5】(a)中空ピンの中空部の形状が略三角形である図1に示す材料押出型マイクロパイル製造装置によって成形したマイクロパイルの側面図 (b)図5(a)に示すマイクロパイルの上面図
【図6】(a)中空ピンの中空部の形状が略四角形である図1に示す材料押出型マイクロパイル製造装置によって成形したマイクロパイルの側面図 (b)図6(a)に示すマイクロパイルの上面図
【図7】(a)中空ピンの中空部の形状が略四角形である図1に示すマイクロパイル製造装置によって成形したマイクロパイルの側面図 (b)図7(a)に示すマイクロパイルの上面図
【図8】(a)図1に示すマイクロパイル製造装置の図3(c)にしめす成形工程とことなる成形工程の初期における材料の一部の側面図 (b)図8(a)に示す成形工程の中期における材料の一部の側面図 (c)図8(a)に示す成形工程の後期における材料の一部の側面図
【図9】(a)図1に示すマイクロパイル製造装置の図8の成形工程を経て成形した部分的に膨らんだマイクロパイルの側面図 (b)図9(a)に示すマイクロパイルの上面図
【符号の説明】
【0044】
10 マイクロパイル製造装置(皮膚用針製造装置)
30 湿度維持装置(湿度維持手段)
41 基板(ベース設置部材)
42 ヒーター(ベース温度制御手段)
45 シリンジ(容器)
46 ヒーター(第二の材料温度制御手段)
47 中空ピン
47a 中空ピンの孔部(細孔)
48 駆動機構(離隔制御手段)
49 ヒーター(第一の材料温度制御手段)
50 コンピュータ(制御手段)
55 ベース
60 圧力制御手段
80 材料
80a 付着部分
80b 突起部分
80c 残留部分
80d 膨らみ部
81 マイクロパイル(皮膚用針)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚用針の材料を溶解させる溶解工程と、溶解工程によって溶解させられた前記材料を細孔から吐出させてその先端をベースに付着させる吐出付着工程と、ベースと細孔を離隔させながらそれらの間に存在する材料を延伸させ細孔側で材料を切断する延伸切離工程とを備え、
前記ベース上に皮膚用針が形成されることを特徴とする皮膚用針製造方法。
【請求項2】
前記延伸切離工程の際に、前記皮膚用針の先端が前記細孔に残留している当該材料の張力によって尖鋭に形成されることを特徴とする請求項1記載の皮膚用針製造方法。
【請求項3】
前記延伸切離工程の際に、前記皮膚用針の先端および前記細孔に残留している材料の少なくとも一方の温度を制御することを特徴とする請求項2記載の皮膚用針製造方法。
【請求項4】
溶融した皮膚用針の材料を収容した容器と、該容器に設けられた少なくとも一つの細孔と、容器内に収容された前記材料に作用する圧力を制御して該材料を前記細孔から吐出させる圧力制御手段と、吐出した材料の先端が付着するベースと、ベースと細孔の距離を可変させる離隔制御手段とを備え、前記圧力制御手段により材料を細孔から吐出させてベースに付着させ、その後、前記離隔制御手段によりベースと細孔を離隔させながらそれらの間に存在する材料を延伸させ細孔側で材料を切断することを特徴とする皮膚用針製造装置。
【請求項5】
前記離隔の際に、少なくとも1回該離隔を実質的に停止し、所定時間後該離隔を再開することを特徴とする請求項4に記載の皮膚用針製造装置。
【請求項6】
前記ベースが設置されるベース設置部材と、該ベース設置部材内に設けられたベース温度制御手段と、前記細孔内部の材料の温度を制御する材料温度制御手段と、前記材料温度制御手段、前記圧力制御手段、前記ベース温度制御手段、前記離隔制御手段の少なくとも一つを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の皮膚用針製造装置。
【請求項7】
前記材料温度制御手段が、前記細孔付近に設けられた第一の材料温度制御手段と、前記容器全体を加熱制御する第二の材料温度制御手段とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の皮膚用針製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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