皮膚科的治療装置
【課題】接触冷却/予熱を許容することにより、コストを削減し且つ安定性を向上させる光学的放射線を利用して、色々な皮膚科的状態を治療する装置を提供する。
【解決手段】脱毛及び他の皮膚科的治療用の光学的放射線のコストを削減しその効果を増すため、連続波(CW)放射線を使用し、治療容積を予熱し、予め冷却し、治療容積の上方の表皮に対し治療中冷却及び治療後冷却を行い、散乱の少ないビーム集束技術やその他の技術の使用を含んだ皮膚科的治療の方法及び装置が提供される。該装置は、皮膚に接触するヘッド24と、操作者が皮膚を横切って方向28にヘッド24を動かすハンドル26とを備える手で皮膚表面を移動するアプリケータ22を備え、該接触で良好な熱及び光学的接触状態を確実にする。
【解決手段】脱毛及び他の皮膚科的治療用の光学的放射線のコストを削減しその効果を増すため、連続波(CW)放射線を使用し、治療容積を予熱し、予め冷却し、治療容積の上方の表皮に対し治療中冷却及び治療後冷却を行い、散乱の少ないビーム集束技術やその他の技術の使用を含んだ皮膚科的治療の方法及び装置が提供される。該装置は、皮膚に接触するヘッド24と、操作者が皮膚を横切って方向28にヘッド24を動かすハンドル26とを備える手で皮膚表面を移動するアプリケータ22を備え、該接触で良好な熱及び光学的接触状態を確実にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その主題を参考として引用し本明細書に含めた、1997年5月15日出願の仮明細書第60/046542号及び1998年3月12日出願の同第60/077726号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、皮膚科的障害を治療するため光学的放射線を使用する装置、より具体的には、連続波(CW)放射線(この語については以下に定義する)を使用することにより、低エネルギ及び/又は低コストの放射線源を必要とし、また、照射及び/又は放射線の利用を向上させる技術を使用する前に、治療領域を加熱することを必要とする、かかる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
特に、光学的波長帯域におけるレーザ、ランプ及びその他の電磁放射線源は、色々な皮膚科的治療に益々、利用されており、特に、不要な毛、クモ状静脈、下肢静脈、患者の皮膚を通じて見ることのできるその他の静脈又は他の血管、外傷、ぶどう酒様血管腫、刺青等を除去するため利用されている。かかる治療を行うとき、その治療コストは所望の結果が得られるように、可能な限り低く保ち、また、患者への損傷の虞れを最小にすることが望ましい。
【0004】
連続波(CW)レーザ及びその他のCW放射線源は、典型的に、コスト上の理由のため、比較可能な波長及びエネルギのパルス源よりも実質的により低廉であるため、かかる皮膚科的治療のため、パルス発生源ではなくてCW源を使用することが好ましい。しかしながら、患者への損傷を防止するため、患者の皮膚の所定の領域に対するエネルギの付与時間を制御しなければならず、その結果、一般に、色々な皮膚科的治療に使用される、より高価なパルス式光源となる。
【0005】
更に、通常、皮膚内にある、治療が望まれる領域に放射線を当てる唯一の方法は、放射線をかかる領域に対し上方の表皮を通じて伝送することであるため、入射する放射線の一部分は、表皮内に吸収されて、表皮に損傷を与える可能性がある。このことは、例えば、色々な脱毛治療の場合のように、皮膚内のメラニンを標的とするとき、格別な問題点となる。それは、皮膚/表皮の(DE)接続部にて表皮の下方部分にメラニンの相当な集中部分があるからである。更に、治療が必要とされる皮膚が深く且つ/又は治療される要素が大きければ大きい程、より多くのエネルギを使用しなければならず、このことは、一般に、より強力なレーザ又は他の放射線源を使用し且つ/又はかかる源をより長時間に亙って使用することを含む。このこのは、表皮の損傷の可能性を更に増すことになる。
【0006】
過去、レーザのようなCW放射線源を治療領域に亙って走査する色々な試みが為されており、これらは、放射線源の動きを容易にし得るように放射線源を皮膚から隔たった状態にして行われている。しかしながら、皮膚を保護するために現在利用される技術は、皮膚を接触冷却させることを含むことが頻繁であり、また、脱毛のような特定の治療のためには、患者の皮膚に圧力を加えた状態で治療を行うことも望ましい。また、皮膚と接触したヘッドを使用して照射することは、患者の皮膚内にエネルギをより効率的に伝送し、これにより、所定の治療エネルギの密度に必要とされる放射線源の寸法を縮小し、このため、かかる放射線源のコストを削減することになる。放射線源が治療中の領域を加熱するために利用される唯一のものでないならば、このコストは、更に削減することが可能である。
【0007】
レーザ皮膚科的治療を行うとき、特に、利用されるアプリケータの光学的開口よりも大きい領域に亙ってかかる治療が行われるときの別の問題点は、所望の治療を実現するため全ての領域部分に十分な放射線が付与されるように、その領域に亙って実質的に均一な照射を実現することである一方、その領域の何れの部分も皮膚に熱的損傷を生じさせるような多くの放射線が付与されないようにすることである。かかる均一な照射は、典型的に、円形の開口を利用するパルス式発生源では極めて困難である。典型的に、採用される方法は、所定のパルスにて1つの箇所を照射し、次に、ヘッドを照射のため隣接する箇所まで再位置決めすることである。その箇所が重なり合わない場合、治療中の領域の部分は放射線を受け取らず、不具合なことに、照射出力が光学的開口の全体に亙って均一ではなく、中央付近でより多く、縁部にてより少なくなることが頻繁である。このため、隣接する箇所の間にて一般に多少の重なり合いが生じる。しかしながら、その結果、治療中の領域の幾つかの部分は少なくとも2倍の放射線照射量を受けることになり、このことは、これら重なり合い領域内で熱的損傷が生じる可能性がある。このため、既存の技術を利用するパルス式放射線源で治療領域を実質的に均一に照射することは実質的に不可能である。
【0008】
利用される放射線源から必要なエネルギを増大させる別の問題点は、既存の装置の場合、所望の治療効果を実現するため標的を加熱することは、放射線源からの放射線によってのみ行われることである。何らかの型式の標的容積の予熱により標的の温度を上昇させることができるならば、その作業を完成するため放射線源から必要なエネルギ量は実質的に削減されることになろう。しかしながら、かかる予熱は、かかる予熱コストが放射線源に課される必要条件を少なくすることにより達成される削減分を上廻らないような仕方にて行わなければならない。
【0009】
このため、パルス式発生源ではなくて、CWを利用可能とすることと、利用される放射線アプリケータの光学的開口よりも大きい治療中の領域を実質的に均一に照射することと、所望の治療を実現するために放射線源から必要とされるエネルギを軽減し得るように治療中の領域を少なくとも部分的に加熱すべく放射線源以外の手段を提供することと、及び/又は放射線源のコストを更に削減するため表皮保護及びエネルギの伝達の双方を向上させるべく接触冷却/予熱を許容することにより、コストを削減し且つ安定性を向上させる技術である、放射線、特に、光学的放射線を利用して、色々な皮膚科的状態を治療する、改良に係る装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点を解決した皮膚科的治療装置を提供することである。
【発明が解決するための手段】
【0011】
上記に従い、本発明は、治療中の領域内にて患者の皮膚と接触するように形成された少なくとも1つの光学的に透明な通路を有するヘッドを配置することを含む、患者の皮膚の領域内にて選択された皮膚科的治療を行う装置を提供するものである。該少なくとも1つの通路は、治療中の領域よりも小さい患者の皮膚の一部分と接触した末端を有している。このヘッドは、患者の皮膚と接触した状態を保ちつつ、実質的に均一である、選択された速度にて治療領域の外側を移動し、選択された皮膚科的治療に適した波長のCW放射線がヘッドがその外側を動くとき、患者の皮膚の少なくとも1つの通路を通じて付与される。
【0012】
好適な実施の形態の場合、患者の皮膚と接触したヘッドの少なくとも部分は、熱伝導性材料から成っており、そのヘッドは、治療前、治療の間及び/又は治療後に、治療領域内の患者の皮膚の温度を制御するために利用される。特に、照射前に治療領域の外側を通るヘッド部分は、治療前に、皮膚への熱的損傷が生じる温度以下の温度まで治療中の領域の一部分を加熱し得るように加熱することができる。これと代替的に、このヘッド部分は、治療すべき部分又はその少なくとも表皮層を冷却し、この層を損傷から保護するように冷却してもよい。本発明の1つの実施の形態において、放射線を照射領域に付与するときに通る少なくとも1つの通路の前方におけるヘッド部分は、第一の部分及び第二の部分に分割され、これら部分は、互いに断熱され、第一の部分は第一の構成要素により加熱され、第二の部分は第二の構成要素に冷却されるようにする。その結果、治療すべき領域又は容積を予熱し、また、治療前にかかる治療領域の上方の表皮を冷却することができる。光学的通路自体又はその周りの領域の何れかは、照射中に患者の表皮を冷却し得るように冷却することができ、また、少なくとも1つの光学的通路に従うヘッド部分は表皮を更に保護し得るように冷却することもできる。
【0013】
該装置は、操作者がヘッドを領域の外側で動かすのに使用するのに適したハンドルであって、ヘッドから突き出すハンドルと、ヘッドの移動速度の表示計とを含むことができる。光学的に透明な通路は、通路を貫通して少なくとも途中まで伸長する導波管又はレンズを有すると共に、ヘッドの低部から突き出す単一の細長い通路とすることができる。本発明の少なくとも1つの実施の形態について、この導波管は治療中に冷却される。これと代替的に、該少なくとも1つの光学的に透明な通路は、第一の角度にて角度を付けられた複数の第一の光導波管要素と、第二の角度にて角度が付けられた複数の第二の光導波管要素とを含むことができ、第一及び第二の角度は、第一及び第二の光導波管要素を貫通する光が選択された深さにて収斂し、その深さが、皮膚科的治療が行われる治療箇所(同様に、標的容積又は標的とも称される場合もある)の深さであることが好ましいように選択される。本発明の幾つかの実施の形態において、患者の皮膚と接触したヘッドの表面に凹所が形成され、該凹所は光導波管要素の末端に位置している。この実施の形態の場合、選択された深さすなわち標的は、凹所内の選択された位置にあることが好ましく、また、凹所がその上を通るとき、皮膚を治療領域内にて動かすための何らかの手段が提供される。例えば、凹所に対し負圧を付与し、又はヘッドの接触面が患者の皮膚と接触した状態でヘッドを領域の外側にて動かすとき、皮膚をその内部に連続的に折り重ね得るように凹所の形状を設定することにより、皮膚を凹所内に動かすことができる。装置が脱毛装置である実施の形態の場合、凹所は移動方向に対して略垂直な線に沿って配置された1つ以上の毛包を保持する患者の皮膚の折り重ね部分を通常受け入れ得るような寸法とすることができる。
【0014】
本発明の更なる実施の形態の場合、透明な通路は、筒形レンズを有し、該筒形レンズは、静止型とし、又はヘッドが領域の外側を動くとき、回転し得るように取り付けることができる。また、該ヘッドは、ヘッドが治療領域の外側にて動くときの速度を測定する機構と、かかる機構に応答して、ヘッドが所定の範囲内の速度にて領域の外側を動いているか否かを決定する制御装置とを有することもできる。この測定機構は、例えば、光学式又は動力学式とすることができる。また、熱、電子及び磁気測定機構を使用してもよい。制御装置は、例えば、所望の範囲外の速度にて動いているとの決定に応答して選択された出力、例えば、聴覚的又は視覚的表示を操作者に提供し、操作者がヘッドの移動速度を所望の範囲内に調節することができるようにすることができる。ヘッドが治療領域の外側にて機械的に駆動されるとき、制御装置からの出力は、駆動機構に対するフィードバック制御として機能する。また、該制御装置は、患者を損傷させる虞れのある速度にてヘッドが動いているか否かを決定すべく測定装置に応答するようにしてもよい。患者の皮膚に対して少なくとも1つの通路を通じて放射線を付与することは、損傷の虞れありとの表示に応答して終了すようにすることができる。
【0015】
ヘッドが治療領域の外側を移動するときの速度は、患者の皮膚の各部分における放射線エネルギの滞在時間を決定する。この速度は、患者の皮膚への熱的損傷を防止するのに十分な速さであるが、治療中の皮膚部分が所望の治療効果を実現するのに十分な放射線を受け取り得るように十分に遅くなければならない。更に、好適な実施の形態の場合、少なくとも1つの透明な通路の末端は、非点収差の形状を有し、ヘッドの移動に対して直角の方向よりもヘッドの移動方向に向けて狭小である。このことは、比較的大きい領域を所定の時点にて治療し、これにより、所定の治療領域を治療するのに必要な時間を短くする一方、所定の部分における滞在時間の妥当な制御/感度を提供する。
【0016】
好適な実施の形態の場合、治療領域内の皮膚の予熱は、CW放射線を使用し且つヘッドを治療領域の外側で動かすことに伴って行われるが、これは本発明を限定するものではなく、治療領域を予熱することは、また、パルス式放射線源を採用するときにも好ましい。かかる適用例において、予熱は治療前、少なくとも治療が望まれる深さまで皮膚を加熱し、任意の深さにて熱的損傷が生じる温度以下の温度とすることにより、治療中の部分と接触した導波管又はヘッドの部分を加熱することにより行われる。また、照射が開始する前に表皮と接触した表面を冷却して、表皮を冷却する。その結果、治療中の領域は、照射が開始されたとき高温であり、このため、照射源から必要とされるエネルギを軽減する。これと代替的に、治療に使用されるものと同一又は異なるものとすることのできる低エネルギの放射線源は、予熱作業を行うために使用してもよい。
【0017】
本発明の上記及びその他の目的、特徴及び有利な点は、添付図面に図示した本発明の好適な実施の形態のより具体的な以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の教示の実施に適した装置の半概略図的な斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による本発明の教示の実施に有用なヘッドの断面図である。
【図3】第2の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの断面図である。
【図4】第3の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの断面図である。
【図5】第4の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの斜視図的な断面図である。
【図6】図6a乃至図6bは、放射線エネルギを供給すべく色々な実施の形態のヘッド内で使用するのに適した非点収差の通路の2つの実施の形態の図である。
【図7】第5の実施の形態による本発明の教示の実施に適した使用中のヘッドの側面図である。
【図8】第6の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの側面断面図である。
【図9】第7の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの平面斜視図である。
【図10】図10a及び図10bは、第8の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドのそれぞれ側面断面図及び正面図である。
【図11】図11a、11b及び11cは、第9の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドを示す、患者の皮膚と接触していないときの側面図、正面図及び患者の皮膚と接触しているときの正面図である。
【図12】図12a及び12bは、非点収差の放射線供給通路を横切って放射線源を走査する色々な技術を示すヘッドの部分の斜視図である。
【図13】第10の実施の形態による本発明の1つの形態を実施するのに適したヘッドの側面断面図である。
【図14】本発明の教示を実施するとき、基部層における温度と走査速度との関係を示すグラフである。
【図15】ヘッドの走査速度と選択された深さに配置された毛球の最高温度との関係を示すチャートである。
【図16】単位長さ当たりの動力と毛球の2つの異なる寸法に対する選択された深さにある毛球の最高温度との関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の教示の実施に適した全体的な装置が図示されている。図1は、選択した皮膚科的治療が行われる患者の皮膚の領域10が図示されている。上述したように、この治療は、不要な毛、刺青、ぶどう酒様血管腫、クモ状血管又はその他の血管の病変等を除去するためのものとすることができる。患者の皮膚は、表皮層12と、皮膚層14と、その間の皮膚−表皮(D/E)接続部とを有している。一部の皮膚科的治療は、例えば、皮膚の表面の交換のような表皮17の加熱を含むが、光学的放射線を使用することを含む殆どの皮膚科的治療は、皮膚層14内の選択された容積内(以下、標的容積又は標的と称する)に存在する状態を治療する。例えば、皮膚科的治療が、脱毛である場合、毛包20の球18を加熱し且つ破壊することが望ましい。表皮12は、例えば0.01cmの深さである一方、球18は、例えば、皮膚内に3.0乃至5.0mmに入ることがある。本発明の教示を利用して、複数の毛包20を同時に加熱し且つ破壊することができる。
【0020】
本発明の装置は、機械的に駆動することができるが、以下の説明の目的のため、手動(すなわち、手で皮膚表面の上を移動させるもの)と想定するアプリケータ22を備えている。アプリケータ22は、治療領域内の患者の皮膚に接触するヘッド24と、例えば、好ましくはヘッド24と患者の皮膚との接触状態を保ちつつ、操作者が患者の皮膚を横切って方向28に向けてヘッド24を動かすべく把持することのできるハンドル26とを備えている。かかる接触は、ヘッドの表面と皮膚の表面との間で十分な圧力下にて行われ、好適な実施の形態に対し、その間の良好な熱及び光学的接触状態を確実にする必要がある。かかる圧力は、ヘッドを皮膚に対して押し付けるか、又は負圧を使用して、皮膚をヘッドに対して押し付け、若しくはその2つを組み合せることにより実現することができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施の形態について、光学的放射線源30が光パイプ32に接続され、該光パイプは、図1の実施の形態に対し、ハンドル26を貫通して伸長する状態で示してあるが、ヘッド24に接続し、ヘッドに対し光学的放射線を選択的に提供し、以下に説明する仕方にて、放射線がヘッドを通じて患者の皮膚に付与されるようにすることができる。放射線源30は、ルビー、アレキサンドライト、又はその他の固体レーザ源、ガス状レーザ源又はダイオードレーザ源のようなコヒーレントな光源とし、又は、閃光灯、蛍光灯、ハロゲン灯又はその他の適当な電灯のような非コヒーレントな光源とすることができる。所望の治療に依存して、放射線源エネルギは、単一波長とし、非コヒーレントな光源をろ過して、所望の波長又は選択した波長帯域を提供することができる。以下の説明において、放射線を選択した波長にて付与すべきことが示されたとき、このことは、単一波長又は波長帯域の何れか妥当な方を意味する。本発明の好適な実施の形態による放射線源30は、また、CW源であり、このCW源は、本発明の目的上、放射線を連続的に発生させる光源又は高反復比/周波数のパルス状源、特に、所定の部分にてヘッドの滞在時間よりも遅いパルス間の遅れを有する光源として定義される。CW放射線は、その何れかの源からの放射線として定義される。
【0022】
図1において、源30はヘッド24の外側に図示されているが、ダイオードレーザ、ダイオードレーザバー又はその他の十分にコンパクトな放射線源を使用することを含む、本発明の幾つかの実施の形態について、該光源は、ヘッド24内に配置し該源を制御し且つ励起する線は、ハンドル26又はその他を通じてヘッドに接続される。また、例えば、患者の皮膚の外側のヘッド24の移動速度又は表皮の温度に関する情報のような特定の情報を線36を介してヘッド24から受け取り、所望に応じて線38を介してヘッドに制御信号を送ることのできる制御装置34が提供される。線36、38は、ハンドル26を通じてヘッド24に接続され又はその他の方法でヘッドに接続することのできるケーブルの一部とすることができる。制御装置34は、また、源30の作動を制御する出力を発生させ、該源から情報を受け取ることができる。制御装置34は、例えば、ブザー、光、振動器又はその他の操作者へのフィートバック制御のような選択された出力装置40とし、又は用途に依存して、当該技術分野にて公知のその他の型式のものとすることができる。
【0023】
ヘッド24の特定の実施の形態について、及びかかる実施の形態に従って、色々な皮膚の状態を治療するために図1の装置1を利用することについて説明する前に、CW放射線源を源30から付与しつつ治療する間に、ヘッド24を患者の皮膚と良好な熱及び光学的接触状態に保つことは、図1に図示するように、源がヘッド24の外側に位置するか、又はヘッド内に位置するかに関係なく、色々な皮膚の治療を行うとき、多数の顕著な利点をもたらすことを理解すべきである。第一に、上述したように、比較可能なエネルギレベルにて作動する同一の放射線源について、CW源は、比較可能なパルス源よりも略常に、著しく経済的である。このため、CW源を使用することが可能である結果、装置のコストが著しく削減される。第二に、ヘッド24を略一定の速度にて患者の皮膚の面を横断するように動かした場合、ヘッド24の移動経路に沿った各箇所にて患者の皮膚に付与された放射線は、略等しく、このことは、上述したように、パルス式放射線源では容易に実現し得ないものである。患者の皮膚と良好に光学的に接触したヘッドは、皮膚内へのエネルギの伝達効率を向上させ、必要とされるエネルギ源の寸法及びコストを更に削減する。更に、患者の皮膚に良好に熱的に接触したヘッド24は、治療を為すべき患者の皮膚内の容積、例えば、脱毛法のため球18の領域を加熱するために、ヘッドを使用することを可能にし、放射線源から必要とされるエネルギ量を少なくし、この容積にて所望の処置法を行い得るようにし、これにより、かかる放射線源のコストを更に削減することができる。また、良好な熱的接触は、照射前、照射中、照射後に、患者の表皮12を冷却するために、ヘッドを使用することをも可能にし、表皮を熱的損傷から保護する。ヘッド24が治療領域10の表面を横断するように動かされるとき、ヘッド24に圧力を付与すると、治療領域内の皮膚を延伸させ、このことは、ヘッドと標的容積との間の物理的距離を短くし、皮膚内への散乱係数を小さくし、付与された放射線の多くが標的容積に到達し、また、脱毛の場合、毛包を平坦にし、放射線に露呈される毛包の面積を増大させることを含む、多数の利点を提供することができる。こうした効果の全ては、源から必要とされる放射線の量を少なくし、これにより、装置のコストを更に削減することを可能にする。引用して本明細書に含めた、1998年3月12日出願の同時係属出願第60/077726号の温度プロファイルの検出技術を含んで、ヘッドと患者の皮膚との良好な熱的接触を測定し/検出するため色々な技術が利用可能である。
【0024】
図2には、本発明の教示の実施に使用するに適したハンドピース24Aの一例としての実施の形態が図示されている。この実施の形態の説明及び以下の説明において、共通の要素に対して同一の参照番号が使用される。実質的に同一であるが、幾つかの特徴の点にて相違する要素については接尾辞を付する。このように、参照番号24A、24B等は、ハンドピース24の色々な実施の形態について使用する。
【0025】
ハンドピース24Aは、図2に導波管として図示した光学通路50と、導波管50の前方にて治療領域10の外側を通る前縁部分52と、導波管50の後方にて治療領域の外側を通る後縁部分54という、3つの部分を有している。光学的放射線は、光ファイバ32(又はファイバ束)又は他の適当な光学的伝送構成要素を通して導波管50に付与され、又は、以下に説明するように、レーザダイオード又はその他の適当な構成要素を導波管50と接触させることができる。また、導波管50は、レンズ又はその他の適当な集束又は非集束型の光学的伝送構成要素(導波管、レンズ又は以下に集合的に、「光学的通路」と称されることがある、その他の適当な集束又は非集束型の光学的伝送構成要素)と交換することもできる。これらの光学的伝送構成要素は、適当な光学的伝送経路を通して利用される放射線源からの放射線を受け取る。また、放射線を光学的通路50に向けるその他の構成も採用可能である。
【0026】
部分52、54の各々は、良好な熱伝導性を有する金属又はその他の材料にて形成されている。部分52、54は、単一材料の単一のブロックにて形成することができ、光学的通路50をブロックに形成し、又は、部分52、54が異なる温度プロファイルを有すべきとき、これらの部分は、以下に説明するように、その間に熱絶縁層が存在する状態にて、共に固着した同一又は異なる材料の2つの別個の部分とすることができる。図2において、熱的構成要素56a、56b、56cは、部分52、導波管50及び部分54とそれぞれ接触した状態で示してある。1つの好適な実施の形態の場合、熱的構成要素56の各々は、ペルチェ効果装置のような熱電気的要素である。しかしながら、所望の温度にて流動する水、流動するガス又は噴霧を含む、当該技術分野にて公知の温度の制御機構は、熱的構成要素56について利用することができる。部分52、54が同一の温度プロファィルを有する適用例において、その双方の部分の温度を制御するため同一の熱的構成要素を使用することができる。しがしながら、特に、熱電気的構成要素が使用されるならば、これら構成要素を多数、利用し、部分52、54の外側に配分し、これら部分内にて実質的に均一な温度分布を実現し得るようにすることが好ましい。
【0027】
図3には、図2にて図示したヘッド24Aと実質的に同一のヘッド24Bが図示されている。その相違点は、ヘッド24Bは、部分52、54に加えて、部分52の前方に部分58を有しており、また、部分52、58の間には、熱絶縁層60が設けられている点である。部分58は、また、良好な熱伝導性を有する金属又はその他の材料で出来ており、また、例えば、1つ以上の熱電気又は熱抵抗要素のような熱的要素56dが、部分58と熱的に接触する状態にて設けられる。簡単に説明するように、部分58は、部分52と異なる温度プロファイルを有することを目的としている。
【0028】
図2の実施の形態の場合、治療領域内の患者の皮膚を予熱し又は予冷却する何れかのために、部分52を利用することができる。方向28に向けて速度Vにて移動するヘッド24の場合、Vは、「走査速度」と称されることがあり、また、移動方向28への部分52の長さがL1に等しい場合、部分52が治療前に患者の皮膚の一部分の外側を移動する時間、従って、予熱又は予冷却時間T1は、概ね、L1に直接比例し且つVに逆比例する。このため、次式のようになる。
【0029】
T1=L1/V (1)
温度波が皮膚内の深さzに貫入するに要する時間は次式の通りである。
T2=z2/4α (2)
ここで、αは皮膚の熱拡散係数(α=1.5・10−3cm2/s)であるため、これら2つの時間(T1、T2)は概ね次式に等しくなる。
【0030】
【数1】
【0031】
また、部分52が皮膚の部分の外側にある時間の間、所望の熱的効果が所望の深さzに達する。このため、照射前に皮膚内の所望の深さにて所望の熱的効果を実現し得るようにL1、Vを選択することができる。以下に簡単に説明するように、Vは、また、所望の治療効果を実現するため照射時間を決定する1つのファクタであり、L1は、所望の熱的効果が得られる深さを決定する主要なファクタとすることができる。予熱の場合、深さzが治療が望まれる容積の深さとなる。例えば、図1を参照すると、zは、治療が脱毛である場合、毛包の球18の深さとなる。予冷却の場合、DE接続部16まで表皮12の全体を冷却することが一般に望まれる。DE接続部よりも著しく下方まで冷却することは、一般に望ましくない。それは、このことは、治療容積又は標的容積に何らかの冷却効果を与えることにより、治療を妨害することになるからである。部分52が果たす機能及び走査速度V2に依存して、L1は、所望の深さzまで所望の熱的効果を実現し得るように選択される。
【0032】
図3は、2つの前温度調整部分52、58が存在する点にて図2と相違する。この配置の場合、部分58は、典型的に、標的容積の深さzまで予熱される。部分52は、冷却され且つその後に表皮を略DE接続部16まで冷却することを目的とする。部分58により行われる加熱は、部分52により行われる冷却よりも深い深さまで及ぶため、L4は、図3のL1よりも長く示してある。部分52、58の組み合せにより、標的を加熱し且つ照射前に加熱されたままに保つ一方、表皮は照射前に冷却することにより熱的損傷から保護される。
【0033】
深さzにおける温度プロファイルは、皮膚の初期温度及びヘッド24Bに対する部分52、58の温度の関数である。また、部分の長さL1及び走査速度Vはまた、深さzにおける最終温度を決定するファクタでもある。深さzにおける皮膚温度の推定は、次のようなトンプソン等式を使用して行うことができる。
【0034】
【数2】
【0035】
ここで、T0は、皮膚の初期温度、T1は、等式の目的のため部分52と仮定する部分の初期温度である。約0.05乃至10cm/秒の範囲の走査速度、約0.125cmの長さLの場合、+40°C乃至+60°Cの範囲の温度までの所望の予熱又は−30°C乃至+20°Cの予冷却が実現可能である。典型的に、表皮は、DE接続部まで−5°C乃至0°Cの温度に冷却される。10cm/秒以内の走査速度が接触走査により実現可能でなければならないが、10cm/秒以上の走査速度を達成することはより困難である。
【0036】
図3の実施の形態は、適正なパラメータの決定を複雑にする。それは、予熱が妥当な寸法のL4にて所望の深さまで実現可能であり、また、DE接続部までの予冷却が妥当な寸法のL1にて達成可能であり、また、所定の作用の放射線源を使用し且つ妥当に実現可能な値L2を使用して、所望の治療効果が得られるように、全ての部分にて等しい走査速度Vを選択しなければならないからである。このことは、次の理由のため、多少、複雑なものとなる、すなわち、皮膚の深い(すなわち、3mm以上の深さの)層を加熱するためには、走査速度は、約0.1乃至0.2cm/秒を以上であってはならない一方、皮膚の表面下層(1mm以下)を走査する場合、走査速度は、2cm/秒までとすることができる。このことは、L4が約5cm以下であると仮定する。
【0037】
導波管又はその他の光学的に透明な構成要素50を透過する放射線は、標的まで予め冷却されることが好ましい、表皮を通して向けられ、この標的は、所望の治療効果を実現し得るように予熱されている。標的を照射する時間を決定する際、患者の皮膚内の散乱のため、標的におけるビーム幅はL2以上となり、皮膚表面における照射幅はΔ値となることを考慮しなければならない。L2+Δの値は、ビームを集束させることにより最小にすることができる。このように、CW放射線に対する標的の露出時間T2は、次式で与えられる。
【0038】
T2=(L2+Δ)/V (5)
標的は、全体として、その寸法及びその形状の関数である熱的弛緩時間を有する。全体として、標的の破壊が所望の治療効果を有すると仮定して、時間T2は、標的の熱的弛緩時間に略等しいことが望ましい。それは、その結果、周囲の組織の加熱が最小の状態にて標的の最大の加熱状態となるからである。毛包を取り囲む小さい組織層への幾らかの損傷は、恒久的、又は少なくともより恒久的な脱毛を容易にすることが分かった、脱毛といった適用例において、時間T2は、標的の熱的弛緩時間よりも僅かに長いことが好ましい。何れの場合でも、寸法又は直径dを有する標的の場合、標的における滞在時間がその熱的弛緩に略等しい臨界速度は、次式で与えられる。
【0039】
Vc={g(L2+Δ)α}/d2 (6)
ここで、gは、形状ファクタである(層状標的、円筒状標的、球状標的それぞれに対してg=8、16、24)。このように、毛包の球18が標的であるとき、gは、約24となろう。最高走査速度が10cm/秒であり、また、深さz=3mm、L2+Δが約3mmであると仮定すると、等式(6)から、この方法は、190μm以上の厚さを有する肥厚な層のような層状標的、直径270μm以上の血管のような円筒状標的、及び直径320μm以上の毛球のような球状標的に対して最も良く機能することが分かる。しかしながら、上述したように、部分52、58に対する予熱及び/又は予冷却を行うために典型的に低速度が採用されるため、実際の装置における色々な形状に対して最小の標的容積を著しくより大きくすることが必要とされる。しかしながら、Vcは、単に一例であるため、また、ある治療においては、標的の熱的弛緩時間よりも短く又は長い時間が適当であるため、治療可能な標的の寸法も相違する。また、標的を予熱する効果は、所望の治療効果を実現するために必要とされる滞在時間を短くすることも可能である。
【0040】
皮膚科的治療のため本発明の教示を採用するときの別の関心事は、標的における温度上昇は、所望の効果を実現するのに十分なことである。行われる治療が、1998年4月7日付けで付与された米国特許第5,735,844号に記載されたものと同様の技術を利用する脱毛である場合、毛球を約65°C乃至75°Cの温度まで加熱することが必要である。放射線を受ける毛球の最高温度は次式で与えられる。
【0041】
【数3】
【0042】
ここで、
zは、皮膚内の毛球18の深さ、
T0は、照射前の毛球の初期温度、
aは、深さzにおける走査方向に沿った皮膚内部の照射領域の寸法(上述したように、a=L2+Δで表示)、
c、ρは、毛球のそれぞれ熱容量及び密度、
k(λ)は、メラニン色素の濃度及び型式により画定された毛球及び軸部の吸収能力であり、波長に依存する値(黒毛の場合大きく、淡色毛の場合、小さい)、
Ψ(z、λ)は、単位長さ当たりの単位パワーの光束に起因する、深さzにおける皮膚内のラジアンス。この値は皮膚内の散乱及び吸収の双方に依存する。
【0043】
Pは、単位長さ当たりのパワー(すなわち、走査方向に対して直角な方向に向けて光ビームの幅当たり皮膚表面に付与された全パワーに等しい値。PはW/cmの単位である)。
【0044】
τ(d)=d2/gαは熱的弛緩時間であり、この場合、dは毛球の直径、gは上述したように、毛球に対し24に等しく、αは毛球周囲の組織の熱拡散係数である。
毛球を破壊するためには、λは600乃至1200nmの範囲にあり、特に、670乃至1100nmの範囲にあることが好ましい。この範囲において、k(λ)は1乃至0.1にて変化し、波長の増加に伴って減少する。この範囲のΨ(z、λ)は、皮膚散乱特性の弱化のため波長に伴って増加し、深さに伴って減少する。その成長期段における毛球が典型的に位置する3乃至5mmの深さにおいて、ラジアンス減衰と称されることがあるこの値は、0.1乃至0.5の範囲にある。この値は、以下に説明する集束技術が使用される場合著しく増大する可能性がある。集束により、皮膚からの光の反射率は20%乃至70%に達する。更に、以下に説明する色々な手段により皮膚から皮膚内部に散乱する光の反射は毛の膨張領域内又は毛球領域内でラジアンスを1.2乃至2.5倍増加させる。このように、本発明の装置は、Ψ(z、λ)を0.5から1に増大させることができる。
【0045】
上述のことから、装置の幾何学的形態が選択されたならば、毛球における温度は、付与された力Pに直接比例し且つより複雑な仕方にて速度Vに逆比例することが分かる。図15には、典型的なパラメータに対し、毛球における最高温度が走査速度Vに依存する状態が示してある。図15の曲線は、a=0.3cm、k=0.5、Ψ=0.5、P=40W/cm2、d=0.03cmであると仮定して計算したものである。図15から、遅い走査速度のとき、Tmは、走査速度に依存せず、次式に等しいことが分かる。
【0046】
【数4】
【0047】
走査速度が次式を越えるとき、
【0048】
【数5】
【0049】
温度Tmは降下し始める。
VがVm以下であるとき、毛球の平均温度は、速度の変化に伴って変化せず、熱的損傷の選択可能性が少なくなる。このように、走査速度を遅くすることにより、毛球の周りの熱的損傷の領域の直径を増大させることが可能となる。最高走査速度は毛球の寸法に依存し、毛包の寸法の増加に伴って遅くなる。図16には、単位長さP当たりのパワーに毛球の温度Tmが依存する程度が示してある。1秒以下の治療時間に亙って、蛋白構造体の変性は65°C以上の温度で観察される。図16から、毛球における最高Tmは、単位長さ当たりのパワーPの関数でもあることが分かる。1秒以内の治療の場合、蛋白構造体の変性は、65°C以上の温度にて生ずることが観察される。また、図16には、毛球にて熱的損傷を生じさせるのに必要なパワーは毛球の大きさに逆比例することも示してある(すなわち、熱的損傷は、小さい毛球よりも大きい毛球のほうがより小さいパワーにて生ずる)。
【0050】
このように、脱毛の場合、また、利用される実施の形態に関係なく、次のパラメータが当てはまる。
1.波長:600乃至1200nm;
2.単位長さ当たりの平均パワー:5乃至150W/cm;
3.走査距離に沿ったビームの幅:0.05乃至5mm;
4.走査速度:0.01乃至10cm/s;
5.冷却温度:−20°C乃至+30°C
好適な実施の形態の場合、光学的に透明な部分50は、また照射中治療領域内にて表皮12の加熱を防止し又は少なくとも制限し得るように熱的要素56bによっても冷却される。この冷却効果は、また、走査速度の関数であり、例えば、特定の脱毛治療のようにメラニンを優先的に標的とする波長が使用される照射の場合、特に臨界的である。DE接続部16にてメラニンは高濃度であるため、速度Vは、DE接続部にて生じた熱を冷却した導波管又は冷却した光学的に透明なその他の要素50を通じて除去し得るように十分に遅いことが望ましい。所定の深さzにおいて冷却効果が顕著となる最高走査速度は、次式で与えられる。
【0051】
Vmax=(4・L2・α)/z2 (10)
冷却すべき表皮12が約100μmの厚さを有し、長さL2が約1mmである場合、Vmax=6cm/sとなる。
【0052】
更に、上述したように、一般に、ヘッド24により、特に、要素50の皮膚接触面により皮膚に加えられる圧力は皮膚を貫通する放射線の光学的伝送を向上させること(すなわち、散乱を減少させること)を含む、多数の有利な点を有する。また、皮膚の領域10の外側で方向28に向けて移動するヘッドは、走査方向に向けて皮膚を延伸させ、その結果、皮膚への伝送を更に増加させ、従って、皮膚内への電磁波の浸透深さが増す。更に、標的が例えば毛包である場合、皮膚が延伸すると、毛包は回転して放射線を毛包のより大きい部分に衝突させ、毛包を皮膚表面により近くまで動かす。
【0053】
部分54は、照射後表皮の冷却を続け、皮膚に対する熱的損傷から更に保護する。かなり臨界的である長さL1、L2、L4と異なり、長さL3は臨界的ではない。この部分の目的は、表皮が加熱されないことを確実にし、また、その前の部分が表皮の温度を低下した状態に保つのに効果的であるならば、部分54は不要である。
【0054】
全体として、要素50が標的の外側にある時間を短くすることが望ましいため、全体として、長さL2は短く保つことが望ましい。しかしながら、より迅速に治療するためには、顕著なビーム開口が望ましい。このことは、移動方向に対して垂直なビームの寸法は、比較的大きくなければならず、その結果、皮膚に対する開口が非点収差の形状であるが、非対称とすることもできる要素50の面に接触する。図6には、かかる2つの形状体、すなわち、楕円形66(図6a)と、図6bに図示するように一連の隣接する光パイプ76a、76bとを備えており、図6bの光パイプについては図4に関してより詳細に説明する。これらの形状体は、光学的開口の非点収差形状の単に一例に過ぎず、その他の多くの非点収差形状が本発明の範囲に属する。
【0055】
更に、放射線を顕著な深さ(すなわち、1mm以上)まで効果的に供給するため、散乱効果を打ち消すべく一般により大きい直径のビームが必要とされる。このため、図6に図示した型式の非点収差ビームの場合、走査方向に対して垂直な方向にビームを集束することが望ましい。このため、これを実現する1つの方法は、小さい曲率半径(例えば、10mm以下)を有する、図9に図示するような筒形レンズ70を使用することである。しかしながら、かかる集束は、図4に図示するよなヘッド24Cを使用することを通じて、多分一層良く実現することができよう。このヘッドは、治療中の領域を予冷却し又は予熱するためヘッド24Aの部分52と同一の方法で機能する部分52を有している。部分52は、熱絶縁材料の層74によりヘッドの部分72から分離されている。また、部分72は、良好な熱電動特性を有する金属又はその他の材料で形成されている。2列のマイクロ光学要素76a、76bが設けられ、これら光学要素は、部分72を貫通して伸長し且つその焦点が標的の深さに配置された共通の線に沿って組み合されるような角度とされている。集束を向上させ得るように要素76の末端にマイクロレンズを含むことができる。この技術はより大きい角度にてビームを皮膚内に照射することを可能にし、また、光学系を使用して実現可能であり、皮膚内への放射線の散乱をより効果的に補償することができる。部分72は、好ましくは、多数の熱電気的要素56bにより冷却し、照射前に表層を予冷却すると共に、照射中表層を冷却し且つ表層を後冷却することの双方が可能である。このように、部分72は、例えば図2の実施の形態の部分50、52、54を冷却する機能を果たすことができる。このように、本発明のこの実施の形態の場合、部分52は、プレヒータとして使用し又は省略することができる。
【0056】
また、図4には、幾つかの更なる特徴が図示されている。第一に、図4には、ヘッド28の走査速度を検出すべく制御装置34内の適当な検出器に接続することのできる光学的通路78が示してある。また、図10に関して説明するその他の技術をこの機能を果たすため使用することもできる。走査速度の検出により、走査速度が所望の範囲外であることが検出されたならば、操作者に注意を促し、その速度を必要に応じて加速し又は遅くすることができるように制御装置35が出力部40を作動させることが可能となる。例えば、その出力は、アプリケータ22又は該アプリケータと関係したコンソールのある部分における赤色灯又は緑色灯とし、又は操作者に注意する音声、ブザー又はその他の聴覚的警報とし、ハンドル26内の振動器とし又は操作者に対する何らかの他の適当な警報とすることができる。患者への損傷の虞れを生じるような遅い速度であると検出された場合(又はまったく動かない)と検出された場合、制御装置34は、患者を保護し得るように源30を不作動にすることも可能であろう。
【0057】
放射線治療に伴う1つの問題点は、皮膚に付与される放射線の相当な割合が皮膚により反射され又は後方に散乱され且つ失われることである。かかる放射線を皮膚内に戻すため従来から色々な方策が提案されており、例えば、ある型式の反射器を部分50内に組み込むことである。部分52、54は、かかる放射線を皮膚内に反射すべくその皮膚接触面に反射性被覆を有することが考えられる。この部分の皮膚接触面80の全体は、高反射性材料で形成することができ、又はその上に高反射性被覆を有することができるから、部分72は、この目的に特に有効である。放射線の大部分を皮膚内に方向変更することにより、皮膚内の放射線の強度を1.2乃至2.5倍増すことができる。
【0058】
図5には、図4に図示したものと異なる本発明の1つの実施の形態のヘッド24Dが図示されており、その唯一の相違点は、部分72の皮膚接触面80に形成された凹状通路84があること、及び光学的通路76a、76bが通路84の反対側に終わり、その焦点が例えば、その実質的中心にて凹所の一点にあることである。ホース86は、通路84の頂部に一端が接続され、その他端が負圧源に接続されている。ヘッド24Dが患者の皮膚を横断して方向28に向けて動くとき、患者の皮膚の折り重ね部分は通路84内に引き込まれる。通路84の寸法は、標的が通路84内に引き込まれた皮膚の折り重ね部分に含まれ且つ光学的通路76に付与された放射線により両側部から照射されるように選択される。例えば、脱毛のためヘッド24Dが使用されるならば、通路84は、幅1乃至6ミリメートルとし且つ深さ1乃至6ミリメートルとし、その寸法の結果、全体として、折り重ね部分は図面に図示した面内にて単一の毛包のみを有するが、多数の毛包はその長さ寸法に沿って通路内に存在するであろう。図5の形態は幾つかの有利な点がある。第一に、該形態は、標的に達する放射線の距離を短くし、標的にて放射線をより効果的に集束させる。第二に、通路が光学的に反射性材料で出来ているならば、通路84の壁は実質的に皮膚から出る全ての放射線を折り重ね部分に戻し、極めて効果的に照射する。
【0059】
図5において、皮膚の折り重ね部分を通路84内に吸引するため、真空又はその他の負圧源に接続された管が利用されると想定しているが、また、皮膚を通路84内に吸引するためベローズ又はその他の適当な機構を利用することもでき、若しくは、図7に図示するように、熱伝導性材料で出来た本体72´に形成された通路84´を有するヘッド24Eを提供することもでき、ヘッド24Eが患者の皮膚の外側で方向28に向けて移動するとき、標的92を有する皮膚90の折り重ね部分が通路84´内に付勢されるような形状の通路とすることが考えられる。患者の皮膚の連続的な折り重ね部分は、ヘッドの移動に伴って通路84´内に押し込まれ、治療領域10内で皮膚を実質的に均一に照射することになる。プレヒータ部分52が含まれない点を除いて、図7の実施の形態は、その他の点にて図5の実施の形態と実質的に同一の方法で作動し、また、実質的に同一の利点をもたらす。
【0060】
図8には、4つの組の光学的通路76、通路76a、76b、76c、76dを有する点にて上述したヘッドと相違するヘッド24Fが図示されており、これらの光学的通路は、この実施の形態について、透明なブロックすなわち空気を通る光路にしかすぎず、その光学的通路の各々は、それぞれ対応する可撓性の導波管32a乃至32dにより供給される。光学的通路76の全ては、標的深さ92にて実質的に焦点決めされ得るような角度とされている。本体72´´は、通路76の配置を容易にし得るように湾曲しており、また、反射性上面93を有している。上述した構成要素に加えて、図8は、また、面80近く又は面80内に取り付けられた熱電対又はその他の適当な温度センサから達する線94も示している。温度センサの線94は、制御装置34に接続し、また、表皮の温度を制御し又はその他の適当な目的のために利用することができる。
【0061】
図9には、放射線源98が取り付けられる透明な窓部96を有する筒形レンズ70を利用する、上述した本発明の更に別の実施の形態が図示されており、該放射線源は、レーザダイオードバー、反射器を有するランプ、又はハンドピース内に取り付けるのに十分な小ささのその他の放射線源とすることができる。散乱光を戻す後方反射機能を果たし得るように反射板100が設けられている。また、図9には、補助的な光学的動作センサ73とし又は該センサに代えて使用可能な力学動作センサ102も示してある。力学動作センサ102は、例えば、筒形レンズ70が皮膚の表面の外側で動くときに回転し、走査速度を表わす信号を制御装置34に提供するホイールとすることができる。温度制御装置56は、レンズ70及び反射板100の双方を冷却し得るようにこれらの双方の要素と接触した状態で示してあり、これにより、治療領域を予冷却し且つ照射中の冷却の双方を行なう。レンズの後側にて板100と接触した筒形レンズ70の反対側部に第二の要素56があることが好ましく、該第二の要素は、レンズを更に冷却すると共に、反射板100及びレンズの後方のその部分を冷却し、後冷却を可能にする作用がある。上述したように、筒形レンズ70は、特に、例えば、20mm以下の比較的小さい直径を有する場合、放射線を標的92にて集束させ、また、皮膚の散乱効果を部分的に補償する機能も果たす。上述した点を除いて、図9の実施の形態は、その前の実施の形態と実質的に等しく機能し、走査したCWによる皮膚の治療を行う。また、図9は、光学的導線32を通じて外部源30から放射線がヘッドに付与される場合と異なり、ヘッド24内に配置された放射線源98を示す唯一の実施の形態である一方、ヘッドに対する外部源30又は内部源98は全ての実施の形態について互換可能であり、先の実施の形態の何れも図示した配置に代えて内部放射線源98を有し、また図9の実施の形態は、透明な窓部96に衝突する光学的導線32を有する外部放射線源を備えることができることを理解すべきである。例えば、図8に図示したような実施の形態の場合、例えば、光学的通路76a乃至76dの各々に対し別個のレーザダイオードバー又は複数のバー98を設けることも可能である。
【0062】
図10A、図10Bには、本発明の教示の実施に適した更に別のハンドピース24Hが図示されている。このハンドピースは、次の点にて上述したものと相違している。すなわち、放射エネルギが光導波管、レンズ又はその他の透明な構成要素に直接付与され、該構成要素を通じて放射エネルギは患者の皮膚に付与されるのではなくて、光学的線32は、良好な熱伝動特性を有する銅又は何らかの他の材料から成る本体108に形成されたキャビティ106にて終わっている点にて相違する。チャンバ106の壁は、高反射性であり且つ好ましくは全反射面を有するように研磨、被覆又はその他の処理が為されている。チャンバ106に関して図10に図示した形態の有利な点は、皮膚内の所望の深さまでレンズ/マイクロ対物レンズにより集束させることのできる多岐に亙る角度にて放射エネルギが筒形レンズ又は非点収差マイクロ対物レンズ70´に入る点であり、この集束動作が、光が単一の角度ではなく多岐に亙る角度にてレンズに入るとき、より効果的である。筒形レンズ70´は、図9の実施の形態の場合のように堅固に本体108内に取り付け、又は本体内で回転可能に取り付けることができる。レンズの回転は、ヘッドが患者の皮膚の外側で動くのを容易にするが、皮膚の所望の延伸を防止する。しかしながら、回転するレンズとすることは本発明の範囲内である。熱的要素56は、本体102を冷却し、表皮を予熱し、冷却し且つ後冷却し、また、筒形レンズ70´を冷却し、このことは、照射中表皮を冷却することになる。本体108は、患者の皮膚からの後方散乱光を後方に反射すべく反射性の皮膚接触面80を有している。図10には、また、力学動作センサ102と、熱電対又はその他の適当な温度センサ94とが示してある。上述した相違点を除いて、図10の実施の形態は、上述した実施の形態と実質的に等しく機能する。
【0063】
図11a乃至図11cには、ヘッドの更に別の実施の形態24Iが示してある。この実施の形態において、例えば、サファイアで出来た筒形レンズ112は、通常、全内反射し得るように処理され、光学的線32を通じてレンズに入る光又はその他の放射線はレンズを通じて反射され且つ光学的線32´を通って出ていく。しかしながら、レンズ112が図11cに示すように患者の皮膚に接触しているとき、皮膚接触面における全内反射は、この面における屈折率の変化のため損なわれ、光エネルギはレンズから患者の皮膚内に放出される。図11の全内反射レンズ112を使用することは、ハンドピース24が治療すべき領域内で患者の皮膚と接触していない限り、放射線が患者又は他の者に付与されないことを補償する安全面の特徴である。この相違点を除いて、図11の実施の形態は、先の実施の形態について説明した方法にて機能し、この実施の形態と共に、予冷却及び後冷却用のハウジング、レンズの冷却装置、動作センサなどのような構成要素を使用することも可能である。
【0064】
上述した本発明の実施の形態に対し、放射線エネルギは照射中ヘッドの長さに沿って平行に付与される一方、図12a、図12bには、光が迅速に走査される、本発明の実施の形態が図示されている。図12aにおいて、線32を介してヘッドに付与された放射エネルギは偏向器120に衝突し、この偏向器は、衝突する放射線が筒形レンズ70´´を横断して先に示した速度にて矢印122で示す方向に走査されるような速度で揺動する。図12bにおいて、衝突する放射線32は、また、揺動する偏向器120に付与され、該偏向器は、ビームを光ファイバ124内に走査する。各光ファイバは、高熱伝導性材料の板128内に取り付けられたマイクロレンズ126にて終わる。また、板128は、高反射性の皮膚接触面80を有することが好ましい。偏向器120の走査速度が十分に速い限り、筒形レンズ70´´又はマイクロレンズ126から出力される放射線は、この語について先に定義したようにCW放射線であり、この装置は、先の実施の形態と実質的に同一に作用する。この場合にも同様に、図面を簡略化する目的のため、熱的要素56、動作センサ78、102及び温度センサ94のような要素は図12a、図12bに図示されていない。
【0065】
図13は、上述のCWの実施の形態により一層容易とされる、治療領域の予熱状態を示すために含めてあり、かかる実施の形態にのみ限定されるものでなく、また、幾つかの従来技術の装置にて使用される型式の標準的なパルス式ヘッドと共に利用することができる。図13において、源30からのパルス式放射線とすることのできる放射線は、光学的線32を通じて、熱的要素56が接触する光導波管50に付与される。集束皮膚接触端部132を有する導波管50は、その一部130を図面に図示した適当なハウジング内に取り付けられる。図示した実施の形態の場合、熱電気的要素であるが、その他の冷却型式とすることのできる熱的要素56は、標的の深さzまで皮膚を加熱するのに十分な時間導波管50を加熱するように作動可能である。次に、同一又は異なる組みの熱電気的要素56を作動させ、表皮12をDE接続部16まで冷却するのに十分な時間、導波管56を冷却するように作動させることができ、この時点にて、源30を励起させ、放射線を導波管50を通じて標的に付与する。この時間の間、導波管50の冷却が続けられ、照射中表皮を所望の温度に保ち、また、照射が停止した後、ある時間、導波管50の冷却を続け、患者の皮膚を更に保護することができる。更に、予熱の後に表皮の冷却を行うとして図示し且つ説明したが、また、明らかに好ましい多数の適用例の場合、その後の冷却を行うことなく予熱を行うことも本発明の範囲に属する。図2、図4、図5(部分52を有し又は有さず、全体として部分52を有しない)、また、図8乃至図12に図示したようなヘッドの設計は、パルスモードにて作動するときに使用することもできる。これらヘッドをパルスモードにて作動させることは、ヘッドの動作は連続的ではなく段階的である点を除いて、CWモードにおける作動と同様である。
【0066】
多数の実施の形態及び変形例を上述したが、これら実施の形態は、単に説明のためのみであり、本発明の教示内容を実施する一方にて、多数のその他の変形例が可能であることが明らかである。例えば、上記の説明において、ヘッド24は治療領域の外側を手で移動させると想定するが、このことは、本発明を限定するものではなく、単独で又は手動の操作と組み合わせて、色々な型式の機械的スキャナを利用することが可能である。更に、光学的及び動力学的動作の測定機構を図示したが、適当な熱、電子及び磁力動作測定機構も採用可能である。制御装置34は、かかるスキャナについて必要とされる走査速度を保つ働きをする。このように、本発明は、好適な実施の形態に関して特に図示し且つ上記に説明したが、添付した請求の範囲によってのみ限定される本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、当業者は形態及び詳細の点で上記及びその他の変更が具体化可能である。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その主題を参考として引用し本明細書に含めた、1997年5月15日出願の仮明細書第60/046542号及び1998年3月12日出願の同第60/077726号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、皮膚科的障害を治療するため光学的放射線を使用する装置、より具体的には、連続波(CW)放射線(この語については以下に定義する)を使用することにより、低エネルギ及び/又は低コストの放射線源を必要とし、また、照射及び/又は放射線の利用を向上させる技術を使用する前に、治療領域を加熱することを必要とする、かかる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
特に、光学的波長帯域におけるレーザ、ランプ及びその他の電磁放射線源は、色々な皮膚科的治療に益々、利用されており、特に、不要な毛、クモ状静脈、下肢静脈、患者の皮膚を通じて見ることのできるその他の静脈又は他の血管、外傷、ぶどう酒様血管腫、刺青等を除去するため利用されている。かかる治療を行うとき、その治療コストは所望の結果が得られるように、可能な限り低く保ち、また、患者への損傷の虞れを最小にすることが望ましい。
【0004】
連続波(CW)レーザ及びその他のCW放射線源は、典型的に、コスト上の理由のため、比較可能な波長及びエネルギのパルス源よりも実質的により低廉であるため、かかる皮膚科的治療のため、パルス発生源ではなくてCW源を使用することが好ましい。しかしながら、患者への損傷を防止するため、患者の皮膚の所定の領域に対するエネルギの付与時間を制御しなければならず、その結果、一般に、色々な皮膚科的治療に使用される、より高価なパルス式光源となる。
【0005】
更に、通常、皮膚内にある、治療が望まれる領域に放射線を当てる唯一の方法は、放射線をかかる領域に対し上方の表皮を通じて伝送することであるため、入射する放射線の一部分は、表皮内に吸収されて、表皮に損傷を与える可能性がある。このことは、例えば、色々な脱毛治療の場合のように、皮膚内のメラニンを標的とするとき、格別な問題点となる。それは、皮膚/表皮の(DE)接続部にて表皮の下方部分にメラニンの相当な集中部分があるからである。更に、治療が必要とされる皮膚が深く且つ/又は治療される要素が大きければ大きい程、より多くのエネルギを使用しなければならず、このことは、一般に、より強力なレーザ又は他の放射線源を使用し且つ/又はかかる源をより長時間に亙って使用することを含む。このこのは、表皮の損傷の可能性を更に増すことになる。
【0006】
過去、レーザのようなCW放射線源を治療領域に亙って走査する色々な試みが為されており、これらは、放射線源の動きを容易にし得るように放射線源を皮膚から隔たった状態にして行われている。しかしながら、皮膚を保護するために現在利用される技術は、皮膚を接触冷却させることを含むことが頻繁であり、また、脱毛のような特定の治療のためには、患者の皮膚に圧力を加えた状態で治療を行うことも望ましい。また、皮膚と接触したヘッドを使用して照射することは、患者の皮膚内にエネルギをより効率的に伝送し、これにより、所定の治療エネルギの密度に必要とされる放射線源の寸法を縮小し、このため、かかる放射線源のコストを削減することになる。放射線源が治療中の領域を加熱するために利用される唯一のものでないならば、このコストは、更に削減することが可能である。
【0007】
レーザ皮膚科的治療を行うとき、特に、利用されるアプリケータの光学的開口よりも大きい領域に亙ってかかる治療が行われるときの別の問題点は、所望の治療を実現するため全ての領域部分に十分な放射線が付与されるように、その領域に亙って実質的に均一な照射を実現することである一方、その領域の何れの部分も皮膚に熱的損傷を生じさせるような多くの放射線が付与されないようにすることである。かかる均一な照射は、典型的に、円形の開口を利用するパルス式発生源では極めて困難である。典型的に、採用される方法は、所定のパルスにて1つの箇所を照射し、次に、ヘッドを照射のため隣接する箇所まで再位置決めすることである。その箇所が重なり合わない場合、治療中の領域の部分は放射線を受け取らず、不具合なことに、照射出力が光学的開口の全体に亙って均一ではなく、中央付近でより多く、縁部にてより少なくなることが頻繁である。このため、隣接する箇所の間にて一般に多少の重なり合いが生じる。しかしながら、その結果、治療中の領域の幾つかの部分は少なくとも2倍の放射線照射量を受けることになり、このことは、これら重なり合い領域内で熱的損傷が生じる可能性がある。このため、既存の技術を利用するパルス式放射線源で治療領域を実質的に均一に照射することは実質的に不可能である。
【0008】
利用される放射線源から必要なエネルギを増大させる別の問題点は、既存の装置の場合、所望の治療効果を実現するため標的を加熱することは、放射線源からの放射線によってのみ行われることである。何らかの型式の標的容積の予熱により標的の温度を上昇させることができるならば、その作業を完成するため放射線源から必要なエネルギ量は実質的に削減されることになろう。しかしながら、かかる予熱は、かかる予熱コストが放射線源に課される必要条件を少なくすることにより達成される削減分を上廻らないような仕方にて行わなければならない。
【0009】
このため、パルス式発生源ではなくて、CWを利用可能とすることと、利用される放射線アプリケータの光学的開口よりも大きい治療中の領域を実質的に均一に照射することと、所望の治療を実現するために放射線源から必要とされるエネルギを軽減し得るように治療中の領域を少なくとも部分的に加熱すべく放射線源以外の手段を提供することと、及び/又は放射線源のコストを更に削減するため表皮保護及びエネルギの伝達の双方を向上させるべく接触冷却/予熱を許容することにより、コストを削減し且つ安定性を向上させる技術である、放射線、特に、光学的放射線を利用して、色々な皮膚科的状態を治療する、改良に係る装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点を解決した皮膚科的治療装置を提供することである。
【発明が解決するための手段】
【0011】
上記に従い、本発明は、治療中の領域内にて患者の皮膚と接触するように形成された少なくとも1つの光学的に透明な通路を有するヘッドを配置することを含む、患者の皮膚の領域内にて選択された皮膚科的治療を行う装置を提供するものである。該少なくとも1つの通路は、治療中の領域よりも小さい患者の皮膚の一部分と接触した末端を有している。このヘッドは、患者の皮膚と接触した状態を保ちつつ、実質的に均一である、選択された速度にて治療領域の外側を移動し、選択された皮膚科的治療に適した波長のCW放射線がヘッドがその外側を動くとき、患者の皮膚の少なくとも1つの通路を通じて付与される。
【0012】
好適な実施の形態の場合、患者の皮膚と接触したヘッドの少なくとも部分は、熱伝導性材料から成っており、そのヘッドは、治療前、治療の間及び/又は治療後に、治療領域内の患者の皮膚の温度を制御するために利用される。特に、照射前に治療領域の外側を通るヘッド部分は、治療前に、皮膚への熱的損傷が生じる温度以下の温度まで治療中の領域の一部分を加熱し得るように加熱することができる。これと代替的に、このヘッド部分は、治療すべき部分又はその少なくとも表皮層を冷却し、この層を損傷から保護するように冷却してもよい。本発明の1つの実施の形態において、放射線を照射領域に付与するときに通る少なくとも1つの通路の前方におけるヘッド部分は、第一の部分及び第二の部分に分割され、これら部分は、互いに断熱され、第一の部分は第一の構成要素により加熱され、第二の部分は第二の構成要素に冷却されるようにする。その結果、治療すべき領域又は容積を予熱し、また、治療前にかかる治療領域の上方の表皮を冷却することができる。光学的通路自体又はその周りの領域の何れかは、照射中に患者の表皮を冷却し得るように冷却することができ、また、少なくとも1つの光学的通路に従うヘッド部分は表皮を更に保護し得るように冷却することもできる。
【0013】
該装置は、操作者がヘッドを領域の外側で動かすのに使用するのに適したハンドルであって、ヘッドから突き出すハンドルと、ヘッドの移動速度の表示計とを含むことができる。光学的に透明な通路は、通路を貫通して少なくとも途中まで伸長する導波管又はレンズを有すると共に、ヘッドの低部から突き出す単一の細長い通路とすることができる。本発明の少なくとも1つの実施の形態について、この導波管は治療中に冷却される。これと代替的に、該少なくとも1つの光学的に透明な通路は、第一の角度にて角度を付けられた複数の第一の光導波管要素と、第二の角度にて角度が付けられた複数の第二の光導波管要素とを含むことができ、第一及び第二の角度は、第一及び第二の光導波管要素を貫通する光が選択された深さにて収斂し、その深さが、皮膚科的治療が行われる治療箇所(同様に、標的容積又は標的とも称される場合もある)の深さであることが好ましいように選択される。本発明の幾つかの実施の形態において、患者の皮膚と接触したヘッドの表面に凹所が形成され、該凹所は光導波管要素の末端に位置している。この実施の形態の場合、選択された深さすなわち標的は、凹所内の選択された位置にあることが好ましく、また、凹所がその上を通るとき、皮膚を治療領域内にて動かすための何らかの手段が提供される。例えば、凹所に対し負圧を付与し、又はヘッドの接触面が患者の皮膚と接触した状態でヘッドを領域の外側にて動かすとき、皮膚をその内部に連続的に折り重ね得るように凹所の形状を設定することにより、皮膚を凹所内に動かすことができる。装置が脱毛装置である実施の形態の場合、凹所は移動方向に対して略垂直な線に沿って配置された1つ以上の毛包を保持する患者の皮膚の折り重ね部分を通常受け入れ得るような寸法とすることができる。
【0014】
本発明の更なる実施の形態の場合、透明な通路は、筒形レンズを有し、該筒形レンズは、静止型とし、又はヘッドが領域の外側を動くとき、回転し得るように取り付けることができる。また、該ヘッドは、ヘッドが治療領域の外側にて動くときの速度を測定する機構と、かかる機構に応答して、ヘッドが所定の範囲内の速度にて領域の外側を動いているか否かを決定する制御装置とを有することもできる。この測定機構は、例えば、光学式又は動力学式とすることができる。また、熱、電子及び磁気測定機構を使用してもよい。制御装置は、例えば、所望の範囲外の速度にて動いているとの決定に応答して選択された出力、例えば、聴覚的又は視覚的表示を操作者に提供し、操作者がヘッドの移動速度を所望の範囲内に調節することができるようにすることができる。ヘッドが治療領域の外側にて機械的に駆動されるとき、制御装置からの出力は、駆動機構に対するフィードバック制御として機能する。また、該制御装置は、患者を損傷させる虞れのある速度にてヘッドが動いているか否かを決定すべく測定装置に応答するようにしてもよい。患者の皮膚に対して少なくとも1つの通路を通じて放射線を付与することは、損傷の虞れありとの表示に応答して終了すようにすることができる。
【0015】
ヘッドが治療領域の外側を移動するときの速度は、患者の皮膚の各部分における放射線エネルギの滞在時間を決定する。この速度は、患者の皮膚への熱的損傷を防止するのに十分な速さであるが、治療中の皮膚部分が所望の治療効果を実現するのに十分な放射線を受け取り得るように十分に遅くなければならない。更に、好適な実施の形態の場合、少なくとも1つの透明な通路の末端は、非点収差の形状を有し、ヘッドの移動に対して直角の方向よりもヘッドの移動方向に向けて狭小である。このことは、比較的大きい領域を所定の時点にて治療し、これにより、所定の治療領域を治療するのに必要な時間を短くする一方、所定の部分における滞在時間の妥当な制御/感度を提供する。
【0016】
好適な実施の形態の場合、治療領域内の皮膚の予熱は、CW放射線を使用し且つヘッドを治療領域の外側で動かすことに伴って行われるが、これは本発明を限定するものではなく、治療領域を予熱することは、また、パルス式放射線源を採用するときにも好ましい。かかる適用例において、予熱は治療前、少なくとも治療が望まれる深さまで皮膚を加熱し、任意の深さにて熱的損傷が生じる温度以下の温度とすることにより、治療中の部分と接触した導波管又はヘッドの部分を加熱することにより行われる。また、照射が開始する前に表皮と接触した表面を冷却して、表皮を冷却する。その結果、治療中の領域は、照射が開始されたとき高温であり、このため、照射源から必要とされるエネルギを軽減する。これと代替的に、治療に使用されるものと同一又は異なるものとすることのできる低エネルギの放射線源は、予熱作業を行うために使用してもよい。
【0017】
本発明の上記及びその他の目的、特徴及び有利な点は、添付図面に図示した本発明の好適な実施の形態のより具体的な以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の教示の実施に適した装置の半概略図的な斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による本発明の教示の実施に有用なヘッドの断面図である。
【図3】第2の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの断面図である。
【図4】第3の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの断面図である。
【図5】第4の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの斜視図的な断面図である。
【図6】図6a乃至図6bは、放射線エネルギを供給すべく色々な実施の形態のヘッド内で使用するのに適した非点収差の通路の2つの実施の形態の図である。
【図7】第5の実施の形態による本発明の教示の実施に適した使用中のヘッドの側面図である。
【図8】第6の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの側面断面図である。
【図9】第7の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドの平面斜視図である。
【図10】図10a及び図10bは、第8の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドのそれぞれ側面断面図及び正面図である。
【図11】図11a、11b及び11cは、第9の実施の形態による本発明の教示の実施に適したヘッドを示す、患者の皮膚と接触していないときの側面図、正面図及び患者の皮膚と接触しているときの正面図である。
【図12】図12a及び12bは、非点収差の放射線供給通路を横切って放射線源を走査する色々な技術を示すヘッドの部分の斜視図である。
【図13】第10の実施の形態による本発明の1つの形態を実施するのに適したヘッドの側面断面図である。
【図14】本発明の教示を実施するとき、基部層における温度と走査速度との関係を示すグラフである。
【図15】ヘッドの走査速度と選択された深さに配置された毛球の最高温度との関係を示すチャートである。
【図16】単位長さ当たりの動力と毛球の2つの異なる寸法に対する選択された深さにある毛球の最高温度との関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の教示の実施に適した全体的な装置が図示されている。図1は、選択した皮膚科的治療が行われる患者の皮膚の領域10が図示されている。上述したように、この治療は、不要な毛、刺青、ぶどう酒様血管腫、クモ状血管又はその他の血管の病変等を除去するためのものとすることができる。患者の皮膚は、表皮層12と、皮膚層14と、その間の皮膚−表皮(D/E)接続部とを有している。一部の皮膚科的治療は、例えば、皮膚の表面の交換のような表皮17の加熱を含むが、光学的放射線を使用することを含む殆どの皮膚科的治療は、皮膚層14内の選択された容積内(以下、標的容積又は標的と称する)に存在する状態を治療する。例えば、皮膚科的治療が、脱毛である場合、毛包20の球18を加熱し且つ破壊することが望ましい。表皮12は、例えば0.01cmの深さである一方、球18は、例えば、皮膚内に3.0乃至5.0mmに入ることがある。本発明の教示を利用して、複数の毛包20を同時に加熱し且つ破壊することができる。
【0020】
本発明の装置は、機械的に駆動することができるが、以下の説明の目的のため、手動(すなわち、手で皮膚表面の上を移動させるもの)と想定するアプリケータ22を備えている。アプリケータ22は、治療領域内の患者の皮膚に接触するヘッド24と、例えば、好ましくはヘッド24と患者の皮膚との接触状態を保ちつつ、操作者が患者の皮膚を横切って方向28に向けてヘッド24を動かすべく把持することのできるハンドル26とを備えている。かかる接触は、ヘッドの表面と皮膚の表面との間で十分な圧力下にて行われ、好適な実施の形態に対し、その間の良好な熱及び光学的接触状態を確実にする必要がある。かかる圧力は、ヘッドを皮膚に対して押し付けるか、又は負圧を使用して、皮膚をヘッドに対して押し付け、若しくはその2つを組み合せることにより実現することができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施の形態について、光学的放射線源30が光パイプ32に接続され、該光パイプは、図1の実施の形態に対し、ハンドル26を貫通して伸長する状態で示してあるが、ヘッド24に接続し、ヘッドに対し光学的放射線を選択的に提供し、以下に説明する仕方にて、放射線がヘッドを通じて患者の皮膚に付与されるようにすることができる。放射線源30は、ルビー、アレキサンドライト、又はその他の固体レーザ源、ガス状レーザ源又はダイオードレーザ源のようなコヒーレントな光源とし、又は、閃光灯、蛍光灯、ハロゲン灯又はその他の適当な電灯のような非コヒーレントな光源とすることができる。所望の治療に依存して、放射線源エネルギは、単一波長とし、非コヒーレントな光源をろ過して、所望の波長又は選択した波長帯域を提供することができる。以下の説明において、放射線を選択した波長にて付与すべきことが示されたとき、このことは、単一波長又は波長帯域の何れか妥当な方を意味する。本発明の好適な実施の形態による放射線源30は、また、CW源であり、このCW源は、本発明の目的上、放射線を連続的に発生させる光源又は高反復比/周波数のパルス状源、特に、所定の部分にてヘッドの滞在時間よりも遅いパルス間の遅れを有する光源として定義される。CW放射線は、その何れかの源からの放射線として定義される。
【0022】
図1において、源30はヘッド24の外側に図示されているが、ダイオードレーザ、ダイオードレーザバー又はその他の十分にコンパクトな放射線源を使用することを含む、本発明の幾つかの実施の形態について、該光源は、ヘッド24内に配置し該源を制御し且つ励起する線は、ハンドル26又はその他を通じてヘッドに接続される。また、例えば、患者の皮膚の外側のヘッド24の移動速度又は表皮の温度に関する情報のような特定の情報を線36を介してヘッド24から受け取り、所望に応じて線38を介してヘッドに制御信号を送ることのできる制御装置34が提供される。線36、38は、ハンドル26を通じてヘッド24に接続され又はその他の方法でヘッドに接続することのできるケーブルの一部とすることができる。制御装置34は、また、源30の作動を制御する出力を発生させ、該源から情報を受け取ることができる。制御装置34は、例えば、ブザー、光、振動器又はその他の操作者へのフィートバック制御のような選択された出力装置40とし、又は用途に依存して、当該技術分野にて公知のその他の型式のものとすることができる。
【0023】
ヘッド24の特定の実施の形態について、及びかかる実施の形態に従って、色々な皮膚の状態を治療するために図1の装置1を利用することについて説明する前に、CW放射線源を源30から付与しつつ治療する間に、ヘッド24を患者の皮膚と良好な熱及び光学的接触状態に保つことは、図1に図示するように、源がヘッド24の外側に位置するか、又はヘッド内に位置するかに関係なく、色々な皮膚の治療を行うとき、多数の顕著な利点をもたらすことを理解すべきである。第一に、上述したように、比較可能なエネルギレベルにて作動する同一の放射線源について、CW源は、比較可能なパルス源よりも略常に、著しく経済的である。このため、CW源を使用することが可能である結果、装置のコストが著しく削減される。第二に、ヘッド24を略一定の速度にて患者の皮膚の面を横断するように動かした場合、ヘッド24の移動経路に沿った各箇所にて患者の皮膚に付与された放射線は、略等しく、このことは、上述したように、パルス式放射線源では容易に実現し得ないものである。患者の皮膚と良好に光学的に接触したヘッドは、皮膚内へのエネルギの伝達効率を向上させ、必要とされるエネルギ源の寸法及びコストを更に削減する。更に、患者の皮膚に良好に熱的に接触したヘッド24は、治療を為すべき患者の皮膚内の容積、例えば、脱毛法のため球18の領域を加熱するために、ヘッドを使用することを可能にし、放射線源から必要とされるエネルギ量を少なくし、この容積にて所望の処置法を行い得るようにし、これにより、かかる放射線源のコストを更に削減することができる。また、良好な熱的接触は、照射前、照射中、照射後に、患者の表皮12を冷却するために、ヘッドを使用することをも可能にし、表皮を熱的損傷から保護する。ヘッド24が治療領域10の表面を横断するように動かされるとき、ヘッド24に圧力を付与すると、治療領域内の皮膚を延伸させ、このことは、ヘッドと標的容積との間の物理的距離を短くし、皮膚内への散乱係数を小さくし、付与された放射線の多くが標的容積に到達し、また、脱毛の場合、毛包を平坦にし、放射線に露呈される毛包の面積を増大させることを含む、多数の利点を提供することができる。こうした効果の全ては、源から必要とされる放射線の量を少なくし、これにより、装置のコストを更に削減することを可能にする。引用して本明細書に含めた、1998年3月12日出願の同時係属出願第60/077726号の温度プロファイルの検出技術を含んで、ヘッドと患者の皮膚との良好な熱的接触を測定し/検出するため色々な技術が利用可能である。
【0024】
図2には、本発明の教示の実施に使用するに適したハンドピース24Aの一例としての実施の形態が図示されている。この実施の形態の説明及び以下の説明において、共通の要素に対して同一の参照番号が使用される。実質的に同一であるが、幾つかの特徴の点にて相違する要素については接尾辞を付する。このように、参照番号24A、24B等は、ハンドピース24の色々な実施の形態について使用する。
【0025】
ハンドピース24Aは、図2に導波管として図示した光学通路50と、導波管50の前方にて治療領域10の外側を通る前縁部分52と、導波管50の後方にて治療領域の外側を通る後縁部分54という、3つの部分を有している。光学的放射線は、光ファイバ32(又はファイバ束)又は他の適当な光学的伝送構成要素を通して導波管50に付与され、又は、以下に説明するように、レーザダイオード又はその他の適当な構成要素を導波管50と接触させることができる。また、導波管50は、レンズ又はその他の適当な集束又は非集束型の光学的伝送構成要素(導波管、レンズ又は以下に集合的に、「光学的通路」と称されることがある、その他の適当な集束又は非集束型の光学的伝送構成要素)と交換することもできる。これらの光学的伝送構成要素は、適当な光学的伝送経路を通して利用される放射線源からの放射線を受け取る。また、放射線を光学的通路50に向けるその他の構成も採用可能である。
【0026】
部分52、54の各々は、良好な熱伝導性を有する金属又はその他の材料にて形成されている。部分52、54は、単一材料の単一のブロックにて形成することができ、光学的通路50をブロックに形成し、又は、部分52、54が異なる温度プロファイルを有すべきとき、これらの部分は、以下に説明するように、その間に熱絶縁層が存在する状態にて、共に固着した同一又は異なる材料の2つの別個の部分とすることができる。図2において、熱的構成要素56a、56b、56cは、部分52、導波管50及び部分54とそれぞれ接触した状態で示してある。1つの好適な実施の形態の場合、熱的構成要素56の各々は、ペルチェ効果装置のような熱電気的要素である。しかしながら、所望の温度にて流動する水、流動するガス又は噴霧を含む、当該技術分野にて公知の温度の制御機構は、熱的構成要素56について利用することができる。部分52、54が同一の温度プロファィルを有する適用例において、その双方の部分の温度を制御するため同一の熱的構成要素を使用することができる。しがしながら、特に、熱電気的構成要素が使用されるならば、これら構成要素を多数、利用し、部分52、54の外側に配分し、これら部分内にて実質的に均一な温度分布を実現し得るようにすることが好ましい。
【0027】
図3には、図2にて図示したヘッド24Aと実質的に同一のヘッド24Bが図示されている。その相違点は、ヘッド24Bは、部分52、54に加えて、部分52の前方に部分58を有しており、また、部分52、58の間には、熱絶縁層60が設けられている点である。部分58は、また、良好な熱伝導性を有する金属又はその他の材料で出来ており、また、例えば、1つ以上の熱電気又は熱抵抗要素のような熱的要素56dが、部分58と熱的に接触する状態にて設けられる。簡単に説明するように、部分58は、部分52と異なる温度プロファイルを有することを目的としている。
【0028】
図2の実施の形態の場合、治療領域内の患者の皮膚を予熱し又は予冷却する何れかのために、部分52を利用することができる。方向28に向けて速度Vにて移動するヘッド24の場合、Vは、「走査速度」と称されることがあり、また、移動方向28への部分52の長さがL1に等しい場合、部分52が治療前に患者の皮膚の一部分の外側を移動する時間、従って、予熱又は予冷却時間T1は、概ね、L1に直接比例し且つVに逆比例する。このため、次式のようになる。
【0029】
T1=L1/V (1)
温度波が皮膚内の深さzに貫入するに要する時間は次式の通りである。
T2=z2/4α (2)
ここで、αは皮膚の熱拡散係数(α=1.5・10−3cm2/s)であるため、これら2つの時間(T1、T2)は概ね次式に等しくなる。
【0030】
【数1】
【0031】
また、部分52が皮膚の部分の外側にある時間の間、所望の熱的効果が所望の深さzに達する。このため、照射前に皮膚内の所望の深さにて所望の熱的効果を実現し得るようにL1、Vを選択することができる。以下に簡単に説明するように、Vは、また、所望の治療効果を実現するため照射時間を決定する1つのファクタであり、L1は、所望の熱的効果が得られる深さを決定する主要なファクタとすることができる。予熱の場合、深さzが治療が望まれる容積の深さとなる。例えば、図1を参照すると、zは、治療が脱毛である場合、毛包の球18の深さとなる。予冷却の場合、DE接続部16まで表皮12の全体を冷却することが一般に望まれる。DE接続部よりも著しく下方まで冷却することは、一般に望ましくない。それは、このことは、治療容積又は標的容積に何らかの冷却効果を与えることにより、治療を妨害することになるからである。部分52が果たす機能及び走査速度V2に依存して、L1は、所望の深さzまで所望の熱的効果を実現し得るように選択される。
【0032】
図3は、2つの前温度調整部分52、58が存在する点にて図2と相違する。この配置の場合、部分58は、典型的に、標的容積の深さzまで予熱される。部分52は、冷却され且つその後に表皮を略DE接続部16まで冷却することを目的とする。部分58により行われる加熱は、部分52により行われる冷却よりも深い深さまで及ぶため、L4は、図3のL1よりも長く示してある。部分52、58の組み合せにより、標的を加熱し且つ照射前に加熱されたままに保つ一方、表皮は照射前に冷却することにより熱的損傷から保護される。
【0033】
深さzにおける温度プロファイルは、皮膚の初期温度及びヘッド24Bに対する部分52、58の温度の関数である。また、部分の長さL1及び走査速度Vはまた、深さzにおける最終温度を決定するファクタでもある。深さzにおける皮膚温度の推定は、次のようなトンプソン等式を使用して行うことができる。
【0034】
【数2】
【0035】
ここで、T0は、皮膚の初期温度、T1は、等式の目的のため部分52と仮定する部分の初期温度である。約0.05乃至10cm/秒の範囲の走査速度、約0.125cmの長さLの場合、+40°C乃至+60°Cの範囲の温度までの所望の予熱又は−30°C乃至+20°Cの予冷却が実現可能である。典型的に、表皮は、DE接続部まで−5°C乃至0°Cの温度に冷却される。10cm/秒以内の走査速度が接触走査により実現可能でなければならないが、10cm/秒以上の走査速度を達成することはより困難である。
【0036】
図3の実施の形態は、適正なパラメータの決定を複雑にする。それは、予熱が妥当な寸法のL4にて所望の深さまで実現可能であり、また、DE接続部までの予冷却が妥当な寸法のL1にて達成可能であり、また、所定の作用の放射線源を使用し且つ妥当に実現可能な値L2を使用して、所望の治療効果が得られるように、全ての部分にて等しい走査速度Vを選択しなければならないからである。このことは、次の理由のため、多少、複雑なものとなる、すなわち、皮膚の深い(すなわち、3mm以上の深さの)層を加熱するためには、走査速度は、約0.1乃至0.2cm/秒を以上であってはならない一方、皮膚の表面下層(1mm以下)を走査する場合、走査速度は、2cm/秒までとすることができる。このことは、L4が約5cm以下であると仮定する。
【0037】
導波管又はその他の光学的に透明な構成要素50を透過する放射線は、標的まで予め冷却されることが好ましい、表皮を通して向けられ、この標的は、所望の治療効果を実現し得るように予熱されている。標的を照射する時間を決定する際、患者の皮膚内の散乱のため、標的におけるビーム幅はL2以上となり、皮膚表面における照射幅はΔ値となることを考慮しなければならない。L2+Δの値は、ビームを集束させることにより最小にすることができる。このように、CW放射線に対する標的の露出時間T2は、次式で与えられる。
【0038】
T2=(L2+Δ)/V (5)
標的は、全体として、その寸法及びその形状の関数である熱的弛緩時間を有する。全体として、標的の破壊が所望の治療効果を有すると仮定して、時間T2は、標的の熱的弛緩時間に略等しいことが望ましい。それは、その結果、周囲の組織の加熱が最小の状態にて標的の最大の加熱状態となるからである。毛包を取り囲む小さい組織層への幾らかの損傷は、恒久的、又は少なくともより恒久的な脱毛を容易にすることが分かった、脱毛といった適用例において、時間T2は、標的の熱的弛緩時間よりも僅かに長いことが好ましい。何れの場合でも、寸法又は直径dを有する標的の場合、標的における滞在時間がその熱的弛緩に略等しい臨界速度は、次式で与えられる。
【0039】
Vc={g(L2+Δ)α}/d2 (6)
ここで、gは、形状ファクタである(層状標的、円筒状標的、球状標的それぞれに対してg=8、16、24)。このように、毛包の球18が標的であるとき、gは、約24となろう。最高走査速度が10cm/秒であり、また、深さz=3mm、L2+Δが約3mmであると仮定すると、等式(6)から、この方法は、190μm以上の厚さを有する肥厚な層のような層状標的、直径270μm以上の血管のような円筒状標的、及び直径320μm以上の毛球のような球状標的に対して最も良く機能することが分かる。しかしながら、上述したように、部分52、58に対する予熱及び/又は予冷却を行うために典型的に低速度が採用されるため、実際の装置における色々な形状に対して最小の標的容積を著しくより大きくすることが必要とされる。しかしながら、Vcは、単に一例であるため、また、ある治療においては、標的の熱的弛緩時間よりも短く又は長い時間が適当であるため、治療可能な標的の寸法も相違する。また、標的を予熱する効果は、所望の治療効果を実現するために必要とされる滞在時間を短くすることも可能である。
【0040】
皮膚科的治療のため本発明の教示を採用するときの別の関心事は、標的における温度上昇は、所望の効果を実現するのに十分なことである。行われる治療が、1998年4月7日付けで付与された米国特許第5,735,844号に記載されたものと同様の技術を利用する脱毛である場合、毛球を約65°C乃至75°Cの温度まで加熱することが必要である。放射線を受ける毛球の最高温度は次式で与えられる。
【0041】
【数3】
【0042】
ここで、
zは、皮膚内の毛球18の深さ、
T0は、照射前の毛球の初期温度、
aは、深さzにおける走査方向に沿った皮膚内部の照射領域の寸法(上述したように、a=L2+Δで表示)、
c、ρは、毛球のそれぞれ熱容量及び密度、
k(λ)は、メラニン色素の濃度及び型式により画定された毛球及び軸部の吸収能力であり、波長に依存する値(黒毛の場合大きく、淡色毛の場合、小さい)、
Ψ(z、λ)は、単位長さ当たりの単位パワーの光束に起因する、深さzにおける皮膚内のラジアンス。この値は皮膚内の散乱及び吸収の双方に依存する。
【0043】
Pは、単位長さ当たりのパワー(すなわち、走査方向に対して直角な方向に向けて光ビームの幅当たり皮膚表面に付与された全パワーに等しい値。PはW/cmの単位である)。
【0044】
τ(d)=d2/gαは熱的弛緩時間であり、この場合、dは毛球の直径、gは上述したように、毛球に対し24に等しく、αは毛球周囲の組織の熱拡散係数である。
毛球を破壊するためには、λは600乃至1200nmの範囲にあり、特に、670乃至1100nmの範囲にあることが好ましい。この範囲において、k(λ)は1乃至0.1にて変化し、波長の増加に伴って減少する。この範囲のΨ(z、λ)は、皮膚散乱特性の弱化のため波長に伴って増加し、深さに伴って減少する。その成長期段における毛球が典型的に位置する3乃至5mmの深さにおいて、ラジアンス減衰と称されることがあるこの値は、0.1乃至0.5の範囲にある。この値は、以下に説明する集束技術が使用される場合著しく増大する可能性がある。集束により、皮膚からの光の反射率は20%乃至70%に達する。更に、以下に説明する色々な手段により皮膚から皮膚内部に散乱する光の反射は毛の膨張領域内又は毛球領域内でラジアンスを1.2乃至2.5倍増加させる。このように、本発明の装置は、Ψ(z、λ)を0.5から1に増大させることができる。
【0045】
上述のことから、装置の幾何学的形態が選択されたならば、毛球における温度は、付与された力Pに直接比例し且つより複雑な仕方にて速度Vに逆比例することが分かる。図15には、典型的なパラメータに対し、毛球における最高温度が走査速度Vに依存する状態が示してある。図15の曲線は、a=0.3cm、k=0.5、Ψ=0.5、P=40W/cm2、d=0.03cmであると仮定して計算したものである。図15から、遅い走査速度のとき、Tmは、走査速度に依存せず、次式に等しいことが分かる。
【0046】
【数4】
【0047】
走査速度が次式を越えるとき、
【0048】
【数5】
【0049】
温度Tmは降下し始める。
VがVm以下であるとき、毛球の平均温度は、速度の変化に伴って変化せず、熱的損傷の選択可能性が少なくなる。このように、走査速度を遅くすることにより、毛球の周りの熱的損傷の領域の直径を増大させることが可能となる。最高走査速度は毛球の寸法に依存し、毛包の寸法の増加に伴って遅くなる。図16には、単位長さP当たりのパワーに毛球の温度Tmが依存する程度が示してある。1秒以下の治療時間に亙って、蛋白構造体の変性は65°C以上の温度で観察される。図16から、毛球における最高Tmは、単位長さ当たりのパワーPの関数でもあることが分かる。1秒以内の治療の場合、蛋白構造体の変性は、65°C以上の温度にて生ずることが観察される。また、図16には、毛球にて熱的損傷を生じさせるのに必要なパワーは毛球の大きさに逆比例することも示してある(すなわち、熱的損傷は、小さい毛球よりも大きい毛球のほうがより小さいパワーにて生ずる)。
【0050】
このように、脱毛の場合、また、利用される実施の形態に関係なく、次のパラメータが当てはまる。
1.波長:600乃至1200nm;
2.単位長さ当たりの平均パワー:5乃至150W/cm;
3.走査距離に沿ったビームの幅:0.05乃至5mm;
4.走査速度:0.01乃至10cm/s;
5.冷却温度:−20°C乃至+30°C
好適な実施の形態の場合、光学的に透明な部分50は、また照射中治療領域内にて表皮12の加熱を防止し又は少なくとも制限し得るように熱的要素56bによっても冷却される。この冷却効果は、また、走査速度の関数であり、例えば、特定の脱毛治療のようにメラニンを優先的に標的とする波長が使用される照射の場合、特に臨界的である。DE接続部16にてメラニンは高濃度であるため、速度Vは、DE接続部にて生じた熱を冷却した導波管又は冷却した光学的に透明なその他の要素50を通じて除去し得るように十分に遅いことが望ましい。所定の深さzにおいて冷却効果が顕著となる最高走査速度は、次式で与えられる。
【0051】
Vmax=(4・L2・α)/z2 (10)
冷却すべき表皮12が約100μmの厚さを有し、長さL2が約1mmである場合、Vmax=6cm/sとなる。
【0052】
更に、上述したように、一般に、ヘッド24により、特に、要素50の皮膚接触面により皮膚に加えられる圧力は皮膚を貫通する放射線の光学的伝送を向上させること(すなわち、散乱を減少させること)を含む、多数の有利な点を有する。また、皮膚の領域10の外側で方向28に向けて移動するヘッドは、走査方向に向けて皮膚を延伸させ、その結果、皮膚への伝送を更に増加させ、従って、皮膚内への電磁波の浸透深さが増す。更に、標的が例えば毛包である場合、皮膚が延伸すると、毛包は回転して放射線を毛包のより大きい部分に衝突させ、毛包を皮膚表面により近くまで動かす。
【0053】
部分54は、照射後表皮の冷却を続け、皮膚に対する熱的損傷から更に保護する。かなり臨界的である長さL1、L2、L4と異なり、長さL3は臨界的ではない。この部分の目的は、表皮が加熱されないことを確実にし、また、その前の部分が表皮の温度を低下した状態に保つのに効果的であるならば、部分54は不要である。
【0054】
全体として、要素50が標的の外側にある時間を短くすることが望ましいため、全体として、長さL2は短く保つことが望ましい。しかしながら、より迅速に治療するためには、顕著なビーム開口が望ましい。このことは、移動方向に対して垂直なビームの寸法は、比較的大きくなければならず、その結果、皮膚に対する開口が非点収差の形状であるが、非対称とすることもできる要素50の面に接触する。図6には、かかる2つの形状体、すなわち、楕円形66(図6a)と、図6bに図示するように一連の隣接する光パイプ76a、76bとを備えており、図6bの光パイプについては図4に関してより詳細に説明する。これらの形状体は、光学的開口の非点収差形状の単に一例に過ぎず、その他の多くの非点収差形状が本発明の範囲に属する。
【0055】
更に、放射線を顕著な深さ(すなわち、1mm以上)まで効果的に供給するため、散乱効果を打ち消すべく一般により大きい直径のビームが必要とされる。このため、図6に図示した型式の非点収差ビームの場合、走査方向に対して垂直な方向にビームを集束することが望ましい。このため、これを実現する1つの方法は、小さい曲率半径(例えば、10mm以下)を有する、図9に図示するような筒形レンズ70を使用することである。しかしながら、かかる集束は、図4に図示するよなヘッド24Cを使用することを通じて、多分一層良く実現することができよう。このヘッドは、治療中の領域を予冷却し又は予熱するためヘッド24Aの部分52と同一の方法で機能する部分52を有している。部分52は、熱絶縁材料の層74によりヘッドの部分72から分離されている。また、部分72は、良好な熱電動特性を有する金属又はその他の材料で形成されている。2列のマイクロ光学要素76a、76bが設けられ、これら光学要素は、部分72を貫通して伸長し且つその焦点が標的の深さに配置された共通の線に沿って組み合されるような角度とされている。集束を向上させ得るように要素76の末端にマイクロレンズを含むことができる。この技術はより大きい角度にてビームを皮膚内に照射することを可能にし、また、光学系を使用して実現可能であり、皮膚内への放射線の散乱をより効果的に補償することができる。部分72は、好ましくは、多数の熱電気的要素56bにより冷却し、照射前に表層を予冷却すると共に、照射中表層を冷却し且つ表層を後冷却することの双方が可能である。このように、部分72は、例えば図2の実施の形態の部分50、52、54を冷却する機能を果たすことができる。このように、本発明のこの実施の形態の場合、部分52は、プレヒータとして使用し又は省略することができる。
【0056】
また、図4には、幾つかの更なる特徴が図示されている。第一に、図4には、ヘッド28の走査速度を検出すべく制御装置34内の適当な検出器に接続することのできる光学的通路78が示してある。また、図10に関して説明するその他の技術をこの機能を果たすため使用することもできる。走査速度の検出により、走査速度が所望の範囲外であることが検出されたならば、操作者に注意を促し、その速度を必要に応じて加速し又は遅くすることができるように制御装置35が出力部40を作動させることが可能となる。例えば、その出力は、アプリケータ22又は該アプリケータと関係したコンソールのある部分における赤色灯又は緑色灯とし、又は操作者に注意する音声、ブザー又はその他の聴覚的警報とし、ハンドル26内の振動器とし又は操作者に対する何らかの他の適当な警報とすることができる。患者への損傷の虞れを生じるような遅い速度であると検出された場合(又はまったく動かない)と検出された場合、制御装置34は、患者を保護し得るように源30を不作動にすることも可能であろう。
【0057】
放射線治療に伴う1つの問題点は、皮膚に付与される放射線の相当な割合が皮膚により反射され又は後方に散乱され且つ失われることである。かかる放射線を皮膚内に戻すため従来から色々な方策が提案されており、例えば、ある型式の反射器を部分50内に組み込むことである。部分52、54は、かかる放射線を皮膚内に反射すべくその皮膚接触面に反射性被覆を有することが考えられる。この部分の皮膚接触面80の全体は、高反射性材料で形成することができ、又はその上に高反射性被覆を有することができるから、部分72は、この目的に特に有効である。放射線の大部分を皮膚内に方向変更することにより、皮膚内の放射線の強度を1.2乃至2.5倍増すことができる。
【0058】
図5には、図4に図示したものと異なる本発明の1つの実施の形態のヘッド24Dが図示されており、その唯一の相違点は、部分72の皮膚接触面80に形成された凹状通路84があること、及び光学的通路76a、76bが通路84の反対側に終わり、その焦点が例えば、その実質的中心にて凹所の一点にあることである。ホース86は、通路84の頂部に一端が接続され、その他端が負圧源に接続されている。ヘッド24Dが患者の皮膚を横断して方向28に向けて動くとき、患者の皮膚の折り重ね部分は通路84内に引き込まれる。通路84の寸法は、標的が通路84内に引き込まれた皮膚の折り重ね部分に含まれ且つ光学的通路76に付与された放射線により両側部から照射されるように選択される。例えば、脱毛のためヘッド24Dが使用されるならば、通路84は、幅1乃至6ミリメートルとし且つ深さ1乃至6ミリメートルとし、その寸法の結果、全体として、折り重ね部分は図面に図示した面内にて単一の毛包のみを有するが、多数の毛包はその長さ寸法に沿って通路内に存在するであろう。図5の形態は幾つかの有利な点がある。第一に、該形態は、標的に達する放射線の距離を短くし、標的にて放射線をより効果的に集束させる。第二に、通路が光学的に反射性材料で出来ているならば、通路84の壁は実質的に皮膚から出る全ての放射線を折り重ね部分に戻し、極めて効果的に照射する。
【0059】
図5において、皮膚の折り重ね部分を通路84内に吸引するため、真空又はその他の負圧源に接続された管が利用されると想定しているが、また、皮膚を通路84内に吸引するためベローズ又はその他の適当な機構を利用することもでき、若しくは、図7に図示するように、熱伝導性材料で出来た本体72´に形成された通路84´を有するヘッド24Eを提供することもでき、ヘッド24Eが患者の皮膚の外側で方向28に向けて移動するとき、標的92を有する皮膚90の折り重ね部分が通路84´内に付勢されるような形状の通路とすることが考えられる。患者の皮膚の連続的な折り重ね部分は、ヘッドの移動に伴って通路84´内に押し込まれ、治療領域10内で皮膚を実質的に均一に照射することになる。プレヒータ部分52が含まれない点を除いて、図7の実施の形態は、その他の点にて図5の実施の形態と実質的に同一の方法で作動し、また、実質的に同一の利点をもたらす。
【0060】
図8には、4つの組の光学的通路76、通路76a、76b、76c、76dを有する点にて上述したヘッドと相違するヘッド24Fが図示されており、これらの光学的通路は、この実施の形態について、透明なブロックすなわち空気を通る光路にしかすぎず、その光学的通路の各々は、それぞれ対応する可撓性の導波管32a乃至32dにより供給される。光学的通路76の全ては、標的深さ92にて実質的に焦点決めされ得るような角度とされている。本体72´´は、通路76の配置を容易にし得るように湾曲しており、また、反射性上面93を有している。上述した構成要素に加えて、図8は、また、面80近く又は面80内に取り付けられた熱電対又はその他の適当な温度センサから達する線94も示している。温度センサの線94は、制御装置34に接続し、また、表皮の温度を制御し又はその他の適当な目的のために利用することができる。
【0061】
図9には、放射線源98が取り付けられる透明な窓部96を有する筒形レンズ70を利用する、上述した本発明の更に別の実施の形態が図示されており、該放射線源は、レーザダイオードバー、反射器を有するランプ、又はハンドピース内に取り付けるのに十分な小ささのその他の放射線源とすることができる。散乱光を戻す後方反射機能を果たし得るように反射板100が設けられている。また、図9には、補助的な光学的動作センサ73とし又は該センサに代えて使用可能な力学動作センサ102も示してある。力学動作センサ102は、例えば、筒形レンズ70が皮膚の表面の外側で動くときに回転し、走査速度を表わす信号を制御装置34に提供するホイールとすることができる。温度制御装置56は、レンズ70及び反射板100の双方を冷却し得るようにこれらの双方の要素と接触した状態で示してあり、これにより、治療領域を予冷却し且つ照射中の冷却の双方を行なう。レンズの後側にて板100と接触した筒形レンズ70の反対側部に第二の要素56があることが好ましく、該第二の要素は、レンズを更に冷却すると共に、反射板100及びレンズの後方のその部分を冷却し、後冷却を可能にする作用がある。上述したように、筒形レンズ70は、特に、例えば、20mm以下の比較的小さい直径を有する場合、放射線を標的92にて集束させ、また、皮膚の散乱効果を部分的に補償する機能も果たす。上述した点を除いて、図9の実施の形態は、その前の実施の形態と実質的に等しく機能し、走査したCWによる皮膚の治療を行う。また、図9は、光学的導線32を通じて外部源30から放射線がヘッドに付与される場合と異なり、ヘッド24内に配置された放射線源98を示す唯一の実施の形態である一方、ヘッドに対する外部源30又は内部源98は全ての実施の形態について互換可能であり、先の実施の形態の何れも図示した配置に代えて内部放射線源98を有し、また図9の実施の形態は、透明な窓部96に衝突する光学的導線32を有する外部放射線源を備えることができることを理解すべきである。例えば、図8に図示したような実施の形態の場合、例えば、光学的通路76a乃至76dの各々に対し別個のレーザダイオードバー又は複数のバー98を設けることも可能である。
【0062】
図10A、図10Bには、本発明の教示の実施に適した更に別のハンドピース24Hが図示されている。このハンドピースは、次の点にて上述したものと相違している。すなわち、放射エネルギが光導波管、レンズ又はその他の透明な構成要素に直接付与され、該構成要素を通じて放射エネルギは患者の皮膚に付与されるのではなくて、光学的線32は、良好な熱伝動特性を有する銅又は何らかの他の材料から成る本体108に形成されたキャビティ106にて終わっている点にて相違する。チャンバ106の壁は、高反射性であり且つ好ましくは全反射面を有するように研磨、被覆又はその他の処理が為されている。チャンバ106に関して図10に図示した形態の有利な点は、皮膚内の所望の深さまでレンズ/マイクロ対物レンズにより集束させることのできる多岐に亙る角度にて放射エネルギが筒形レンズ又は非点収差マイクロ対物レンズ70´に入る点であり、この集束動作が、光が単一の角度ではなく多岐に亙る角度にてレンズに入るとき、より効果的である。筒形レンズ70´は、図9の実施の形態の場合のように堅固に本体108内に取り付け、又は本体内で回転可能に取り付けることができる。レンズの回転は、ヘッドが患者の皮膚の外側で動くのを容易にするが、皮膚の所望の延伸を防止する。しかしながら、回転するレンズとすることは本発明の範囲内である。熱的要素56は、本体102を冷却し、表皮を予熱し、冷却し且つ後冷却し、また、筒形レンズ70´を冷却し、このことは、照射中表皮を冷却することになる。本体108は、患者の皮膚からの後方散乱光を後方に反射すべく反射性の皮膚接触面80を有している。図10には、また、力学動作センサ102と、熱電対又はその他の適当な温度センサ94とが示してある。上述した相違点を除いて、図10の実施の形態は、上述した実施の形態と実質的に等しく機能する。
【0063】
図11a乃至図11cには、ヘッドの更に別の実施の形態24Iが示してある。この実施の形態において、例えば、サファイアで出来た筒形レンズ112は、通常、全内反射し得るように処理され、光学的線32を通じてレンズに入る光又はその他の放射線はレンズを通じて反射され且つ光学的線32´を通って出ていく。しかしながら、レンズ112が図11cに示すように患者の皮膚に接触しているとき、皮膚接触面における全内反射は、この面における屈折率の変化のため損なわれ、光エネルギはレンズから患者の皮膚内に放出される。図11の全内反射レンズ112を使用することは、ハンドピース24が治療すべき領域内で患者の皮膚と接触していない限り、放射線が患者又は他の者に付与されないことを補償する安全面の特徴である。この相違点を除いて、図11の実施の形態は、先の実施の形態について説明した方法にて機能し、この実施の形態と共に、予冷却及び後冷却用のハウジング、レンズの冷却装置、動作センサなどのような構成要素を使用することも可能である。
【0064】
上述した本発明の実施の形態に対し、放射線エネルギは照射中ヘッドの長さに沿って平行に付与される一方、図12a、図12bには、光が迅速に走査される、本発明の実施の形態が図示されている。図12aにおいて、線32を介してヘッドに付与された放射エネルギは偏向器120に衝突し、この偏向器は、衝突する放射線が筒形レンズ70´´を横断して先に示した速度にて矢印122で示す方向に走査されるような速度で揺動する。図12bにおいて、衝突する放射線32は、また、揺動する偏向器120に付与され、該偏向器は、ビームを光ファイバ124内に走査する。各光ファイバは、高熱伝導性材料の板128内に取り付けられたマイクロレンズ126にて終わる。また、板128は、高反射性の皮膚接触面80を有することが好ましい。偏向器120の走査速度が十分に速い限り、筒形レンズ70´´又はマイクロレンズ126から出力される放射線は、この語について先に定義したようにCW放射線であり、この装置は、先の実施の形態と実質的に同一に作用する。この場合にも同様に、図面を簡略化する目的のため、熱的要素56、動作センサ78、102及び温度センサ94のような要素は図12a、図12bに図示されていない。
【0065】
図13は、上述のCWの実施の形態により一層容易とされる、治療領域の予熱状態を示すために含めてあり、かかる実施の形態にのみ限定されるものでなく、また、幾つかの従来技術の装置にて使用される型式の標準的なパルス式ヘッドと共に利用することができる。図13において、源30からのパルス式放射線とすることのできる放射線は、光学的線32を通じて、熱的要素56が接触する光導波管50に付与される。集束皮膚接触端部132を有する導波管50は、その一部130を図面に図示した適当なハウジング内に取り付けられる。図示した実施の形態の場合、熱電気的要素であるが、その他の冷却型式とすることのできる熱的要素56は、標的の深さzまで皮膚を加熱するのに十分な時間導波管50を加熱するように作動可能である。次に、同一又は異なる組みの熱電気的要素56を作動させ、表皮12をDE接続部16まで冷却するのに十分な時間、導波管56を冷却するように作動させることができ、この時点にて、源30を励起させ、放射線を導波管50を通じて標的に付与する。この時間の間、導波管50の冷却が続けられ、照射中表皮を所望の温度に保ち、また、照射が停止した後、ある時間、導波管50の冷却を続け、患者の皮膚を更に保護することができる。更に、予熱の後に表皮の冷却を行うとして図示し且つ説明したが、また、明らかに好ましい多数の適用例の場合、その後の冷却を行うことなく予熱を行うことも本発明の範囲に属する。図2、図4、図5(部分52を有し又は有さず、全体として部分52を有しない)、また、図8乃至図12に図示したようなヘッドの設計は、パルスモードにて作動するときに使用することもできる。これらヘッドをパルスモードにて作動させることは、ヘッドの動作は連続的ではなく段階的である点を除いて、CWモードにおける作動と同様である。
【0066】
多数の実施の形態及び変形例を上述したが、これら実施の形態は、単に説明のためのみであり、本発明の教示内容を実施する一方にて、多数のその他の変形例が可能であることが明らかである。例えば、上記の説明において、ヘッド24は治療領域の外側を手で移動させると想定するが、このことは、本発明を限定するものではなく、単独で又は手動の操作と組み合わせて、色々な型式の機械的スキャナを利用することが可能である。更に、光学的及び動力学的動作の測定機構を図示したが、適当な熱、電子及び磁力動作測定機構も採用可能である。制御装置34は、かかるスキャナについて必要とされる走査速度を保つ働きをする。このように、本発明は、好適な実施の形態に関して特に図示し且つ上記に説明したが、添付した請求の範囲によってのみ限定される本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、当業者は形態及び詳細の点で上記及びその他の変更が具体化可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚科的治療装置において、
皮膚へ放射線を照射するヘッド(24、24A−24H)と、
前記ヘッド(24、24A−24H)に連結された動作センサ(73、102)であって、該動作センサ(73、102)が皮膚の外側を移動するときに前記ヘッド(24、24A−24H)の移動速度を示す1つ又はそれ以上の信号を発生する前記動作センサ(73、102)と、
前記ヘッド(24、24A−24H)に連結された制御装置(34)であって、前記1つ又はそれ以上の信号を受け取り、該1つ又はそれ以上の信号に応答して前記装置の出力を制御する前記制御装置(34)と、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記装置は更に、前記ヘッド(24、24A〜24H)が皮膚の外側を移動する速度について、作業者へ警報を与える警報機構を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記警報機構は更に、もし前記移動速度が所望の速度範囲外になったときに前記装置の作業者に対して警報を与える、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記警報機構が、音響出力装置、可視出力装置及び振動触覚出力装置の少なくとも1つを備える、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記移動センサ(73、102)は更に、前記ヘッド(24、24A〜24H)が皮膚の外側を移動する速度を測定する機構を備える、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記速度測定機構は更に、もし前記ヘッドが所望速度範囲内の速度で移動するときにその速度を測定すると共に、前記移動速度の測定に基づいて前記制御装置へ更なる信号を提供する、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記制御装置は、もし前記速度が所望の速度範囲外の速度であるときに、前記装置の出力を調節する、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記制御装置は、もし前記速度が所望の速度範囲外の速度であるときに、前記放射線の照射を終了する、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記移動センサは力学動作センサ(102)である、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記ヘッドが更に、該ヘッドが皮膚の外側を移動しながら放射線でスキャンするスキャナを備える、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記スキャナは、該ヘッドに付与される放射線を所定方向へ偏向させる偏向器(120)である、装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、前記スキャナは、該ヘッドが皮膚の外側を移動する際に該ヘッドの移動方向に対して垂直の方向に放射線でスキャンする、装置。
【請求項1】
皮膚科的治療装置において、
皮膚へ放射線を照射するヘッド(24、24A−24H)と、
前記ヘッド(24、24A−24H)に連結された動作センサ(73、102)であって、該動作センサ(73、102)が皮膚の外側を移動するときに前記ヘッド(24、24A−24H)の移動速度を示す1つ又はそれ以上の信号を発生する前記動作センサ(73、102)と、
前記ヘッド(24、24A−24H)に連結された制御装置(34)であって、前記1つ又はそれ以上の信号を受け取り、該1つ又はそれ以上の信号に応答して前記装置の出力を制御する前記制御装置(34)と、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記装置は更に、前記ヘッド(24、24A〜24H)が皮膚の外側を移動する速度について、作業者へ警報を与える警報機構を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記警報機構は更に、もし前記移動速度が所望の速度範囲外になったときに前記装置の作業者に対して警報を与える、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記警報機構が、音響出力装置、可視出力装置及び振動触覚出力装置の少なくとも1つを備える、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記移動センサ(73、102)は更に、前記ヘッド(24、24A〜24H)が皮膚の外側を移動する速度を測定する機構を備える、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記速度測定機構は更に、もし前記ヘッドが所望速度範囲内の速度で移動するときにその速度を測定すると共に、前記移動速度の測定に基づいて前記制御装置へ更なる信号を提供する、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記制御装置は、もし前記速度が所望の速度範囲外の速度であるときに、前記装置の出力を調節する、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記制御装置は、もし前記速度が所望の速度範囲外の速度であるときに、前記放射線の照射を終了する、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記移動センサは力学動作センサ(102)である、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記ヘッドが更に、該ヘッドが皮膚の外側を移動しながら放射線でスキャンするスキャナを備える、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記スキャナは、該ヘッドに付与される放射線を所定方向へ偏向させる偏向器(120)である、装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、前記スキャナは、該ヘッドが皮膚の外側を移動する際に該ヘッドの移動方向に対して垂直の方向に放射線でスキャンする、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−104387(P2011−104387A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4608(P2011−4608)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【分割の表示】特願2007−236503(P2007−236503)の分割
【原出願日】平成10年5月13日(1998.5.13)
【出願人】(502097942)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (10)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【分割の表示】特願2007−236503(P2007−236503)の分割
【原出願日】平成10年5月13日(1998.5.13)
【出願人】(502097942)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (10)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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