説明

監視カメラ装置

【課題】本発明の目的は、放射線環境下においてカラーで撮像して安価で小型軽量な監視カメラ装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、撮影像を集光するリレーレンズ6で集光された光を3方向に分割する光の屈折角の異なる3個のプリズム3を設けると共に集光された光が3個のプリズム3の放光面の対向位置に3個のモノクロ光電素子4を配置する。3個のプリズム3の放光面と3個のモノクロ光電素子4との一対の間にそれぞれ赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタFR、FG、FBを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電設備、放射性物質再処理施設等の放射線環境下において撮像して監視するのに用いられる監視カメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子力発電設備、放射性物質再処理施設等の放射線環境下において撮像して監視するのに用いられる監視カラーカメラとしては、撮像管式のアナログカメラが用いられている。また、監視カメラは水中で使用できる防水タイプもあり、原子力発電設備における燃料貯蔵プールや沸騰水型原子炉の炉心点検等に利用されている。
【0003】通常のカラー撮像管式カメラは、被対象物から発せられる光の三原色、すなわち、赤、緑、青の強さを元に、三原色を合成して撮像し、所定の処理によってカラー画像を再生している。
【0004】しかしながら、アナログ式カラーカメラは、真空管で構成されている撮像管を使用するため消費電力が多く、かつ、内部のヒータが温まるまで数分間を要し、その間は画像が安定しない欠点がある。また、使用環境によっては温度の影響で色調が変化し、さらに、その寸法が撮像管の長さに支配されて細長い形状となる。
【0005】被対象物が放射線を発するものを撮像する場合、石英ガラス製の厚いレンズを用いているため、前述した撮像管の長さに加え筒状の長いカメラ本体となり、重量が大になるという欠点がある。
【0006】小型軽量化を目的にして、光電素子であるP−MOSCCD素子(電荷結合素子)を用いた耐放射線性モノクロCCDカメラが実用化されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は、小型軽量化のために耐放射線性のモノクロCCDカメラを使用しているが、監視者からカラーで撮像して監視することが強く要望されている。ところが、カラーCCDカメラは光電素子(CCD素子)が放射線に弱く劣化するため放射線環境下で使用できないという問題点を有している。本発明の目的は、放射線環境下においてカラーで撮像して安価で小型軽量な監視カメラ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするところは、撮影像を集光するレンズ装置で集光された光を3方向に分割する光の屈折角の異なる3個のプリズムを設けると共にレンズ装置で集光された光が3個のプリズムを介して伝播する伝播距離が等しい3個のプリズムの放光面の対向位置に3個のモノクロ光電素子を配置し、3個のプリズムの放光面と3個のモノクロ光電素子との一対の間にそれぞれ赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタを設けたことにある。本発明は3個のモノクロ光電素子に入光する前に光の3原色である赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタを設けているので、放射線環境下において被対象物をカラーで撮像して監視できる安価で小型軽量な監視カメラ装置を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施例を示す。図1において、図示しない被対象物からの光(赤色LR、緑色LG、青色LB)は石英ガラス製の対物レンズ2とリレーレンズ6によって集光されカメラ本体1のプリズム3R、3G、3Bに入射される。プリズム3R、3G、3Bはそれぞれ異なる屈折角を有した石英ガラスに誘電体多層膜を蒸着させて構成され、それぞれ赤色用、緑色用、青色用である。
【0010】光電素子であるCCD素子4R、CCD素子4G、CCD素子4Bは、P−MOSCCD素子(電荷結合素子)で、それぞれ赤色用、緑色用、青色用である。これらのCCD素子4R、CCD素子4G、CCD素子4Bは、撮像用として耐放射線性用として一般に用いられているモノクロタイプのP−MOSCCD素子である。
【0011】3個のモノクロCCD素子4R、4G、4Bは図2に示すように、リレーレンズ6で集光された光が3個のプリズム3R、3G、3Bを介して伝播する伝播距離lが等しい3個のプリズム3R、3G、3Bの放光面の対向位置に設置されている。図2は理解し易くするために、1本の線で示している。
【0012】P−MOSCCD素子は、周知のように低消費電力で駆動でき、かつアナログ式撮像管のような加熱部分がないため作動するまでの時間が短いという利点を有している。また、この素子は厚さ2mm程度であり、アナログ式撮像管の長さ200mmに比べ、非常に軽薄短小で、これによって本願のカラーカメラを小型に構成できる。
【0013】3個のCCD素子4R、CCD素子4G、CCD素子4Bと3個のプリズム3R、3G、3Bとの間には、赤色、緑色、青色それぞれの波長のみを透過するカラーフィルタFR、FG、FBが設置されている。換言すると、カラーフィルタFR、FG、FBはCCD素子4R、CCD素子4G、CCD素子4Bに入光する前に設けられている。
【0014】CCD素子4R、CCD素子4G、CCD素子4Bの出力はビデオ増幅器5で増幅される。ビデオ増幅器5は、それぞれ光の3原色に対応して3個の増幅回路5R、5G、5B及び映像ミキシング回路から構成される。
【0015】プリズム3R、3G、3Bは、それぞれ異なる屈折角を有するプリズムを紫外線硬化樹脂で貼り合わせ、赤色用、緑色用、青色用を構成している。プリズム3R、3G、3Bの放光面には誘電体多層膜を蒸着させ、赤用、青用、緑用に光学的に同軸となるよう各面にCCD素子4R、4G、4Bを配置する。このように3個のプリズム3R、3G、3Bを一体化した構造のため、本体1の軸方向寸法を短くできるという利点がある。
【0016】撮影対象物から発せられる光の3原色LR、LG、LBは、対物レンズ2を介しまたリレーレンズ6で集光され、それぞれ赤色用プリズム3R、緑色用プリズム3G、青色用プリズム3Bを通過し、カラーフィルタFR、FG、FBを通過した後にP−MOSCCD素子のCCD4R、CCD4B、CCD4Gに入光する。
【0017】撮影画像はCCD4R、CCD4B、CCD4Gでデジタル信号化され、それぞれビデオ増幅回路5R、5G、5Bに与えられる。これらのデジタル画像信号は映像ミキシング回路を経て図示しない画像表示装置に送られ可視化カラー画像として表示される。
【0018】このようにして被対象物をカラー撮像して監視するのであるが、3個のモノクロ光電素子に入光する前に光の3原色である赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタを設けているので、安価で小型軽量な監視カメラ装置によって放射線環境下において被対象物をカラーで撮像して監視することができる。
【0019】なお、上述の実施例においてカメラ本体1を防水ケースに収納することにより水中での使用が可能となり、原子力設備における原子炉プール、燃料貯蔵プール等の点検、監視を行うこともできる。
【0020】
【発明の効果】本発明は3個のモノクロ光電素子に入光する前に光の3原色である赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタを設けているので、放射線環境下において被対象物をカラーで撮像して監視できる安価で小型軽量な監視カメラ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】 本発明の光電素子配置の説明図である。
【符号の説明】
1…カメラ本体
2…対物レンズ
3R…赤色用プリズム
3G…緑色用プリズム
3B…青色用プリズム
4R…赤色用CCD素子
4G…緑色用CCD素子
4B…青色用CCD素子
FR…赤色用フィルタ
FG…緑色用フィルタ
FB…青色用フィルタ
5…ビデオ増幅器
6…リレーレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】撮影像を集光するレンズ装置と、前記レンズ装置で集光された光を3方向に分割する光の屈折角の異なる3個のプリズムと、前記レンズ装置で集光された光が前記3個のプリズムを介して伝播する伝播距離が等しい前記3個のプリズムの放光面の対向位置に設置された3個のモノクロ光電素子と、前記3個のプリズムの放光面と前記3個のモノクロ光電素子との一対の間にそれぞれ配置され、それぞれ赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタと、前記3個のモノクロ光電素子の出力を増幅するビデオ増幅装置とを具備することを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】撮影像を集光する対物レンズおよびリレーレンズと、前記リレーレンズで集光された光をそれぞれ通過させる屈折角が異なり光を3方向に分割する誘電体多層膜を蒸着された3個のプリズムと、前記リレーレンズで集光された光が前記3個のプリズムを介して伝播する伝播距離が等しい前記3個のプリズムの放光面の対向位置に設置された3個のモノクロCCD素子と、前記3個のプリズムの放光面と前記3個のモノクロCCD素子との一対の間にそれぞれ配置され、それぞれ赤色、緑色、青色の波長のみ透過させるカラーフィルタと、前記3個のモノクロCCD素子の出力を増幅するビデオ増幅装置とを具備することを特徴とする監視カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−163941(P2003−163941A)
【公開日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−360589(P2001−360589)
【出願日】平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリングサービス (276)
【出願人】(591102903)株式会社アスペクト (1)
【Fターム(参考)】