説明

監視システム、および、混雑率算出方法

【課題】監視システムで、列車の車内などを効果的に監視する。
【解決手段】監視カメラ111〜114によって撮像された映像データ或いは記録装置に記録されている映像データを基に、車両内に存在する人物を検出し、その人物が車両をどれくらい占める割合で検出されたかにより、乗車率Aを判定する。また、監視カメラ111〜114によって撮像された映像データ或いは記録装置に記録されている映像データを基に、乗降車する人数を計測し、最大乗車可能人数に対する現在乗車している人数により、乗車率Bを判定する。そして、これら2通りの方法で算出された乗車率から、平均値を取る等して精度の高い乗車率を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに関し、特に、列車の車内などを効果的に監視することができる監視システム、および、混雑率算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車に代表される、バス、タクシー等の公共交通機関における車内や車外に対し、監視カメラ等で構成される監視システムの運用が行われており、車内の防犯、迷惑行為の未然防止等のために、車内の状況を監視や記録(記憶)することが一般的になってきている。
例えば、列車内への監視システムの導入により、監視カメラによる列車内のリアルタイム監視が可能となり、更に、列車内の様子を映像として記録や蓄積することができるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような監視システムでは、蓄積される映像に付随する情報としては、日付、時刻、周囲の音声などに留まり、例えば、何らかの事故発生時に必要となる情報や、防犯等の目的のための映像解析時に有益な情報などは十分には記録されていないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−028754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したことなど、従来の監視システムでは、更なる開発が要求されていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、列車の車内などを効果的に監視することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る監視システムでは、一構成例として次のような構成とした。
本発明に係る監視システムは、所定の領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された結果に基づいて、第一の混雑率と第二の混雑率を算出する手段と、前記第一の混雑率と前記第二の混雑率とから第三の混雑率を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る監視システムは、前記第一の混雑率は、前記撮像手段により撮像された結果に基づいて前記所定の領域における所定の物により占有される面積を検出し、前記所定の領域における基準の面積に対する前記検出された面積の割合を前記所定の領域における前記所定の物による占有の割合として算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る監視システムは、前記第二の混雑率は、前記撮像手段により撮像された結果に基づいて前記所定の領域における所定の物の移動を検出し、前記移動した所定の物の数をカウントし、予め定められた前記所定の物の許容数に対する前記移動した所定の物の数の割合として算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る混雑率算出方法は、所定の領域を撮像する撮像手段により撮像された結果に基づいて、第一の混雑率と第二の混雑率を算出し、前記第一の混雑率と前記第二の混雑率とから第三の混雑率を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る監視システムによると、列車の車内などを効果的に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係る監視システムの車両内システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る監視システムの駅構内システムの構成例を示す図である。
【図3】車両内システムの他の構成例を示す図である。
【図4】(a)、(b)は車両における監視カメラの設置例を示す図である。
【図5】乗車率を算出する処理の手順の一例を示すフローチャートの図である。
【図6】(a)、(b)は車両における監視カメラの設置例を示す図である。
【図7】(a)、(b)は車両における監視カメラの設置例を示す図である。
【図8】(a)、(b)は車両における監視カメラの設置例を示す図である。
【図9】乗車率の表示例を示す図である。
【図10】運転室の表示装置の画面に表示される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る実施例を、図面を参照して説明する。
本例では、本発明の一実施例に係る監視システムを列車に適用した場合を示す。
図1には、本発明の一実施例に係る監視システムの車両内システムの構成例を示してある。
本例では、列車が4個の車両A1〜A4から構成された例を示してある。各車両A1〜A4の番号として1〜4が設定されている。
【0013】
第1の車両A1には、両側にドア1、2が設けられている。
また、第1の車両A1の車内には、複数(本例では、6個)の監視カメラ11〜16、ネットワークスイッチ(ネットワークSW)21、記録装置22、表示装置23、管理装置24、伝送装置25、伝送アンテナ26が備えられている。
ここで、各監視カメラ11〜16と記録装置22と表示装置23と管理装置24が、ネットワークSW21と接続されている。また、管理装置24と伝送装置25が接続されており、伝送装置25と伝送アンテナ26が接続されている。
なお、接続は、例えば、有線や無線の回線を介して又は直接的に行われる。
【0014】
第2の車両A2〜第4の車両A4のそれぞれには、管理装置24と伝送装置25と伝送アンテナ26を除いて、第1の車両A1と同様なドア1、2や機器11〜16、21〜23が備えられている。なお、第2の車両A2〜第4の車両A4の車内の構成部については、図1で参照符号を省略してある。
また、隣り合う車両のネットワークSWが接続されており、具体的には、第1の車両A1のネットワークSW21と第2の車両A2のネットワークSWとが接続され、第2の車両A2のネットワークSWと第3の車両A3のネットワークSWとが接続され、第3の車両A3のネットワークSWと第4の車両A4のネットワークSWとが接続されている。
【0015】
なお、車内には、使用状況等に応じて、適切な位置や数の監視カメラを設置して撮像(撮影)する。監視カメラの設置数としては、本例では1車両につき6台設置しているが、他の構成例として、それより多くてもよく又はそれより少なくてもよい。その他の機器についても、同様に、設定数は限定されず、種々な数が設置されてもよい。
【0016】
本例の監視システムでは、駅構内や各駅ホームにも機器が設置されている。
図2には、本発明の一実施例に係る監視システムの駅構内システムの構成例を示してある。
図2には、駅構内31や、その中の駅ホーム32(1つのみ例示してある)や管理室33を示してある。
【0017】
駅構内31(ここでは、駅ホーム32や管理室33を除く領域)には、複数(本例では、2個)のネットワークSW41、46が備えられており、各ネットワークSW41、46には機器が接続されて備えられている。具体的には、ネットワークSW41については、3個の監視カメラ42〜44と1個の表示装置45が接続されて備えられており、また、ネットワークSW46については、2個の監視カメラ47、48と1個の表示装置49が接続されて備えられている。
また、複数のネットワークSW41、46は、互いに通信可能なように接続されている。
【0018】
駅ホーム32には、ネットワークSW51が備えられており、3個の監視カメラ52〜54と1個の表示装置55がネットワークSW51に接続されて備えられている。
管理室33には、管理装置61、記録装置62、伝送装置63、伝送アンテナ64が順に接続されて備えられており、また、管理装置61が接続されるネットワーク65が備えられている。
ここで、駅構内31の1個のネットワークSW46が、駅ホーム32のネットワークSW51と、管理室33の管理装置61と接続されている。
なお、接続は、例えば、有線や無線の回線を介して又は直接的に行われる。
【0019】
管理室33のネットワーク65には、例えば駅構内31の外側(駅構外)に存在するパーソナルコンピュータ(PC)71や携帯端末装置72やデジタルサイネージ73などが、有線又は無線の回線で通信可能なように、接続される。
なお、図2に示される構成についても、図1に示される構成と同様に、各機器について、設定数は限定されず、種々な数が設置されてもよい。
【0020】
本例では、列車を構成する車両の数としては、任意であってもよく、例えば、車両は単数であってもよく或いは複数の編成であってもよい。
図3には、車両内システムの他の構成例を示してある。
本例では、図1に示される4個の車両A1〜A4と同様なものに、更に、これと同様な4個の車両A5〜A8を接続して備えている。この接続としては、第4の車両A4のネットワークSWと第5の車両A5のネットワークSWとを回線81を介して接続してある。
このように、車両編成としては、ネットワークSW間で各車両を接続してネットワークSWを経由して通信可能として、ひとつのネットワークを構築することにより、車両を容易に増減することができる。
【0021】
図1や図2に示されるシステムにおける動作の例を示す。
概略的には、車両内システムでは、各車両A1〜A4において、各監視カメラ11〜16が映像(映像)を撮像し、記録装置22が映像等を記録し、表示装置23が映像等を表示し、管理装置24が映像等を管理し、伝送装置25が伝送アンテナ26を介して映像等を無線送信や無線受信する。
また、概略的には、駅構内システムでは、各監視カメラ42〜44、47〜48、52〜54が映像を撮像し、表示装置45、49、55が映像等を表示し、管理装置61が映像等を管理し、記録装置62が映像等を記録し、伝送装置63が伝送アンテナ64を介して映像等を無線受信や無線送信し、PC71や携帯端末装置72やデジタルサイネージ73などが映像等を表示する。
【0022】
動作の具体例を示す。
各監視カメラは、予め設定された対象となる領域の映像を撮像する。各監視カメラで撮像された映像のデータは、そのカメラの本体内部或いは記録装置により適切に記録させられる。なお、映像データは、任意の方法によって、圧縮や加工や補正などされてもよい。
記録された各データは、適切な伝送装置、伝送アンテナ等によって、外部へ伝送される。ここでの伝送では、例えば、既に構築されている通信システムを活用してもよく、或いは、別の通信方法が用いられてもよく、一例として、高い伝送能力を持つ無線LAN(Local Area Network)等により伝送してもよい。
【0023】
車内から伝送された各データは、車両が駅に停車した場合や通過した場合に、駅構内の管理室等に設置された記録装置(例えば、アーカイブ型の記録装置)へ伝送される。記録された各データは、外部に公開するために適切に加工された後、外部ネットワーク或いは駅間のネットワークに接続される。
なお、映像ばかりでなく、既存の車両の運行情報等も同様に記録や伝送などされてもよい。
【0024】
ここで、本例の監視システムでは、全てネットワーク機器を使用した例であるが、必ずしも全てをネットワーク機器でシステム構築する必要はなく、例えば、監視カメラがネットワーク機器ではない場合には、車両ネットワークに接続するために映像信号(監視カメラにより撮像された映像の信号)をアナログからデジタルへ変換してネットワーク配信できるようにするエンコーダ機器を介してシステム構築することによって、本例の監視システムと同等なシステムを実現することができる。
【0025】
以下で、乗車率(混雑の状況を表す値)の検出について、詳しく説明する。
図4(a)、(b)には、車両における監視カメラの設置例を示してある。
図4(a)には車両内を上方から見た様子を示してあり、図4(b)には車両内を横から見た様子を示してある。具体的には、車両の両側のドア101、102及び座席103、104や、車両の天井に設けられた4個の監視カメラ111〜114を示してある。本例では、4個の監視カメラ111〜114は、等間隔に配置されており、それぞれ上方から真下を撮像するように設置されている。
【0026】
このように、監視カメラは、車両の上部等の適切な位置に設置され、また、通常は、監視カメラ1台で車両の全てを監視することは現実的に難しいため、複数の監視カメラを設置して、監視する区分を分担する。
なお、図4(a)、(b)に示される4個の監視カメラ111〜114としては、例えば、図1に示される1つの車両内の4個の監視カメラ11〜14などを用いることができる。
【0027】
本例では、監視カメラ111〜114によって撮像された映像データ或いは記録装置に記録されている映像データを基に、乗車率を検出する。
具体的には、例えば、監視カメラ111〜114によって撮像された映像データ或いは記録装置に記録されている映像データを基に、車両内に存在する人物を検出し、その人物が車両をどれくらい占める割合で検出されたかにより、乗車率Aを判定する。また、監視カメラ111〜114によって撮像された映像データ或いは記録装置に記録されている映像データを基に、乗降車する人数を計測し、最大乗車可能人数に対する現在乗車している人数により、乗車率Bを判定する。そして、これら2通りの方法で算出された乗車率から、平均値を取る等して精度の高い乗車率を判定する。本例では、複数台設置された監視カメラ111〜114が監視領域を分担しているため、最終的には全ての監視カメラ111〜114による結果をまとめる。その後、得られた結果を、車両内のモニタ(表示装置23)や、駅ホーム32などの駅構内31の電光掲示板やデジタルサイネージ等の表示装置45、49、55に表示する。また、PC71や携帯電話等の端末(携帯端末装置72)などのように外部ネットワーク(ネットワーク65)を介した端末にデータを送信して表示させることもできる。
【0028】
図5には、乗車率を算出する処理の手順の一例を示してある。
本例では、図1に示される車両A1内の管理装置24や図2に示される駅構内31の管理装置61又は任意の他の装置により乗車率を算出し、また、図1に示される車両A1〜A4内の各監視カメラ11〜16毎の情報については、当該各監視カメラ11〜16又は任意の他の装置により算出することが可能である。
【0029】
図4(a)、(b)及び図5を参照して説明する。
まず、列車の運行が開始すると(ステップS1)、乗車率をクリア(初期化)する(ステップS2)。
基本的には、車両の乗車率の変動はドア101、102の開閉と同期するため、ドア101、102の開(オープン)をトリガとして(ステップS3)、乗車率算出のための準備(占有人物検出準備)をし(ステップS4)、同時に乗降車する人物の検出を実行し(ステップS5)、検出した乗降車した人物をカウントする(ステップS6)。
【0030】
ドア101、102の閉(クローズ)をトリガとして(ステップS7)、乗車率算出(占有人物検出)を実行する(ステップS8)。そして、各監視カメラ111〜114により撮像された映像データから人物を検出し、その人物が占有している車両内の面積の割合(各監視カメラ111〜114の映像データに基づく占有率)を算出して求め(ステップS9)、それを合計する(例えば、複数の監視カメラ111〜114の映像データに基づく占有率に基づいて、1つの車両内の全体での占有率を求める)ことで各車両の乗車率Aを算出する(ステップS10)。また、同時に、ドア101、102の閉(クローズ)をトリガとして(ステップS7)、ステップS6でカウントした各監視カメラ111〜114の合計を求め(例えば、複数の監視カメラ111〜114の映像データに基づくカウント人数に基づいて、1つの車両内の全体での占有率を求める)、最大乗車可能人数に照らし合わせることで、各車両の乗車率Bを算出する(ステップS12)。
【0031】
そして、占有率から算出した各車両の乗車率Aと、乗降車人数から算出した乗車率Bとの平均値を求めることで、補正した乗車率を算出する(ステップS13)。なお、ここでは、平均値でなくとも、いずれかに重み付けをして算出する様にしても良い。
【0032】
その後、算出した結果(乗車率)のデータを伝送して(ステップS14)、それを表示装置(例えば、図1に示される表示装置23など)に表示する(ステップS15)。
列車の運行が終了していない場合には(ステップS16)、ステップS3の処理へ戻るように移行する。
【0033】
ここで、具体的な占有率による乗車率算出の方法としては、種々なものが用いられてもよく、他には、遠赤外線カメラを用いた熱源検出や、基準映像比較、特定パターンマーク検出による占有率から乗車率を算出しても良い。
【0034】
また、具体的な乗降者人数カウントによる乗車率B算出について以下に説明する。
まず、運行開始時には乗車人数を0人として初期化しておき、その後、乗降車する人物のカウントはドア101および/またはドア102が開いたことをトリガに実行する。
必ずしもドアが開ひらいた際に人数カウントする必要はないが、ある不定期のタイミングで撮影された映像を基に人数カウントした場合、複数の監視カメラがあると、同じ人物を違う監視カメラで認識し、複数回カウントしてしまう場合や、死角の位置にいる人物を認識できない場合などの問題が発生するため、ドアが開いた際に人数カウントすることが望ましい。
【0035】
次に、乗降車する人数をカウントするためには、まず人物を認識する方法が必要になる。そのためには、例えば、人物の顔や頭を、顔検出や輪郭検出を用いて認識する方法等が挙げられる。この分野の映像処理は、様々な方法が検討・開発されており、どの様な方法によって人物を認識しても良い。
【0036】
また次に、検出した人物が乗車するのか降車するのかを判定する方法が必要である。そのためには、例えば、検出した人物の動きベクトルを分析することにより、車内から車外への動きであれば下車と判断でき、車外から車内へ動きであれば乗車と判断できる。また、斜め上方からドア方向の撮像であれば、検出した人物が近づいてくれば乗車、遠のいていけば降車と判断することができる。
【0037】
なお、このときに車内に留まっている人物はカウント対象から外す。これは、直前の乗車している人数から乗降車した人数を加減算することで、乗車中の人数を判断するからで
ある。
【0038】
また、カウント対象の監視カメラは、ドア方向を撮像している監視カメラのみにより人数をカウントするのが望ましい。人物が乗降車するドア方向を撮像していない監視カメラでは、乗降車した人数をカウントすることができないからである。
【0039】
ここで、さらに、電車の場合、車両によっては車両間のドア105を通じて車両間の行き来ができる場合が多い。車両間の人物の移動によっても各車両の乗車人数(乗車率B)は変化する。そのため、車両間ドア105が画角内にある監視カメラによって、随時検出・カウントし、フィードバックすることで、各車両の乗車人数をより正確に求めることができる。なお、検出の仕方としては、ドアが開いた際の乗降者カウントと同じで、検出のタイミングとしては、ドアが開いた際の乗降者カウントと異なり、随時実行する。これは、車両間ドア105の開閉をセンサ等で通知されて検出トリガとする様にしても良いが、車両間ドア105から入ってくる場合は良いが、出ていく場合に検出が遅れてできないこともあるため、車両間ドア105部分を常に検出可能状態に監視カメラ運用するのが望ましい。
そして、直前の乗車中人数からカウントした乗降者数を加減算して現在の乗車人数を算出し、車両の最大乗車可能人数に対する割合を求め、乗車率Bとする。具体的には、乗車率B=(現在の乗車人数/最大乗車可能人数)×100 で算出する。
【0040】
図6〜8(a)、(b)には、車両における監視カメラの設置例を示してある。
図6〜8(a)には車両内を上方から見た様子を示してあり、図6〜8(b)には車両内を横から見た様子を示してある。具体的には、車両の両側のドア101、102及び座席103、104や、車両の天井に設けられた4個〜6個の監視カメラを示してある。
図6では、4個の監視カメラ201〜204は、車両の斜め上の方向の配置で設置されており、それぞれ上方から斜め下を撮像するように設置されている。
図7では、5個の監視カメラ301〜305は、それぞれ天井に設置され、監視カメラ301が車両間ドア105の方向を、監視カメラ302がドア101の方向を、監視カメラ303がドア102の方向を、監視カメラ304および監視カメラ305はそれぞれ上方から真下方向を撮像するように設置されている。
図8では、6個の監視カメラ401〜406は、座席付近の天井に3個、ドア付近の天井に2個設置されており、それぞれ上方から真下方向を撮像するように設置されている。また、この場合、監視カメラ402および監視カメラ403はそれぞれ真下を撮像するように設置されているが、それぞれ反対側のドア102およびドア101を上方から斜め下を撮像するように設置されても良い。
【0041】
なお、これらの監視カメラが旋回式の雲台カメラであれば、ドア開閉時やその他の時で撮像方向を真下や斜め下等自在に変更することが可能であるため、設置・運用の自由度を増すことができる。
【0042】
本例のように、図4(a)、(b)や図6〜8(a)、(b)に示されるような配置或いは他の配置で設置された監視カメラから得られた映像から、車両内の人物等による占有面積を割り出して、乗車率Aへ変換する方法と、乗車および下車した人物をカウントして、最大乗車可能人数から乗車率Bへ変換する方法の2種類の方法を用いて平均することで、より客観性が増した信頼度の高い乗車率を割り出すことができる。
【0043】
なお、任意の乗車率の検出(算出)方法や任意の監視カメラの設置位置を組み合わせて実施されてもよい。また、本例で示した方法以外の乗車率検出(算出)方法や、本例で示した配置以外の監視カメラの配置が用いられてもよい。
また、2個以上の監視カメラで撮像する監視領域に重複部分がある場合には、重複部分については、これら2個以上の監視カメラで撮像された映像に相関があると考えられ、例えば、これら2個以上の監視カメラで撮像された映像の中の1つのみを使用することや、或いは、2個以上の監視カメラで撮像された映像から得られる情報を平均化して使用することなどにより、乗車率等を求めることができる。
【0044】
次に、図1及び図2を参照して、乗車率のデータの処理について説明する。
求められた乗車率(占有率×カウント人数)のデータは、例えば、各車両A1〜A4に設置された監視カメラ11〜16により一時保存され、先頭の車両A1の管理装置24へその情報が伝送される。管理装置24では、各車両A1〜A4の監視カメラ11〜16での乗車率(占有率×カウント人数)を集計し、現在の乗車率(例えば、各車両A1〜A4毎の乗車率)を求める。これにより、同様にして、全ての車両A1〜A4の全体の乗車率も求めることができる。
【0045】
乗車率の結果は、各車両A1〜A4に設置された表示装置23を通じて、乗車者や運転者に通知されるとともに、伝送装置25により、駅ホーム32などの駅構内31等に設置されている記録装置62若しくは管理装置61へ伝送され、適切な管理データベースで管理される。
【0046】
図14には、表示装置23の画面に表示される情報の例として、乗車率の表示例を示してある。
好ましい態様例として、乗車率を分かり易く絵表示する。具体的には、各車両A1〜A4のイメージに百分率により乗車率(例えば、120%など)を文字表示するとともに、乗車率に合わせて車両イメージの背景色を適用する部分の領域を変更する。本例では、乗車率と、車両のイメージに対する背景色の領域の大きさの割合とが一致しており、また、背景色は、例えば、0%〜50%は青、50%〜70%は黄、70%より上は赤、などとすることで、直感的に乗車率を把握し易くすることができる。また、列車(車両)の進行方向を矢印で示してあり、また、各車両の番号を文字表示してあり、また、該当する車両(当該車両)については、分かり易くするために、車両番号にかっこ(例えば、[])を付け、その背景と囲い線を変更する。
【0047】
監視システムによる映像や乗車率等の情報は、運転室でも表示装置により表示され、この表示装置としては例えば運転士が容易に映像や情報を確認することができる表示装置にする。例えば、ドア開閉の異常が発生した車両があった場合には、その車両における当該ドアを確認することができる監視カメラからの映像を見ることにより、どのような状況であるかを運転室に居ながらにしていち早く把握することができる。
また、乗車率の表示と映像とを合わせて確認することができるようにすることで、例えば、混雑している車両への注意喚起を的確に行うことができる。
【0048】
表示装置では、例えば、運転士等により見たい監視カメラの映像を選択することや、車両を選択することなどのように、設定される項目により、表示画面の表示内容を切り替えられるようにする。選択や設定などの各種の操作は、例えば、表示装置がタッチパネル式である場合には、人により画面に触れて操作することができ、また、他の例として、表示装置にマウスやキーボード等の入力装置を接続して人により操作することもできる。
【0049】
図15には、列車の運転室の表示装置の画面に表示される情報の一例を示してある。
本例の表示装置の表示画面301では、表示部311に選択されている車両の番号等が表示され、表示部312に各車両の乗車率等が表示され、表示部313に車両内の監視カメラの位置等が表示され、表示部314に選択されている監視カメラの番号が表示され、表示部315に人により各種の操作をすることが可能な操作部が表示され、表示部316に複数の監視カメラの中で選択されている監視カメラを識別する情報が表示され、表示部317に選択されている監視カメラにより撮像された映像が表示される。
【0050】
また、本例では、駅ホーム32などの駅構内31やエレベーター内等に設置されている電光掲示板やデジタルサイネージ等の汎用的な表示装置45、49、55においても、同様に乗車率の情報などを表示する。また、それに伴って、車両内や駅ホームの映像を同時に表示し、混雑状況を目視で確認できるようにする。これにより、次に乗車する人の手助けとなり、車両や駅の混雑緩和に繋げることができる。また、乗車率等の情報を駅ホームの床に表示して、駅で待つ人にとって見易くすることもできる。
【0051】
また、乗車率等の情報は、外部ネットワーク(例えば、ネットワーク65)を通じて配信して、携帯電話等に代表される携帯端末やPC等(例えば、PC71や携帯端末装置72やデジタルサイネージ73など)を利用することで、駅構内にいることなく、乗車予定の列車の乗車率、混雑状況等の情報を事前に知ることができる。
乗車率の情報は、例えば、映像や音声データ(例えば、映像に伴う音声のデータ)と同様に記録され、また、日時、駅等の情報とともに適切にデータベースで管理されることにより、列車運行の改善活動において有益な情報となる。
【0052】
以上のように、本例では、列車に代表される、バス、タクシー等の公共交通機関などにおける車両の車内や車外に対し、監視カメラ、映像等の記録装置、ネットワークスイッチ、表示装置、管理装置、伝送装置、伝送アンテナ等で構成される監視システムにより車内等の監視を行い、また、監視システムによって得られた映像を基に、列車等の車内の乗車率を導き、乗車率等の各種の情報を(例えば、既存の監視システムによって記録される情報とともに)記録することにより、例えば、何らかの事故発生時や、防犯等の目的のための映像解析時等に、有益な情報として活用することができる。
また、本例では、列車等の車内の乗車率を例えばリアルタイムに求めて、表示や伝達や記録することにより、列車等の運行の手助けとすることができる。
【0053】
このように、本例では、監視システムを活用して、車内の監視カメラにより撮像されて記録される映像とともに、その映像等から各車両の乗車率等の情報も導き、同時に記録、蓄積することにより、例えば、有事の際も、有益な情報を提供することができる。
【0054】
(実施例のまとめ)
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0055】
A1〜A8・・車両、 1、2、101、102・・ドア、 11〜16、42〜44、47、48、52〜54、111〜114、201〜204、301〜305、401〜406・・監視カメラ、 21、41、46、51・・ネットワークスイッチ(ネットワークSW)、 22、62・・記録装置、 23、45、49、55・・表示装置、 24、61・・管理装置、 25、63・・伝送装置、 26、64・・伝送アンテナ、 31・・駅構内、 32・・駅ホーム、 33・・管理室、 65・・ネットワーク、 71・・パーソナルコンピュータ(PC)、 72・・携帯端末装置、 73・・デジタルサイネージ、 103、104・・座席、 105・・車両間ドア、 B1〜B6・・人物、 C1〜C6・・人物が検出されている部分、 301・・表示画面、 311〜317・・表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された結果に基づいて、第一の混雑率と第二の混雑率を算出する手段と、
前記第一の混雑率と前記第二の混雑率とから第三の混雑率を算出する手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1または請求項3に記載される監視システムにおいて、
前記第一の混雑率は、前記撮像手段により撮像された結果に基づいて前記所定の領域における所定の物により占有される面積を検出し、前記所定の領域における基準の面積に対する前記検出された面積の割合を前記所定の領域における前記所定の物による占有の割合として算出する ことを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載される監視システムにおいて、
前記第二の混雑率は、前記撮像手段により撮像された結果に基づいて前記所定の領域における所定の物の移動を検出し、前記移動した所定の物の数をカウントし、予め定められた前記所定の物の許容数に対する前記移動した所定の物の数の割合として算出することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
所定の領域を撮像する撮像手段により撮像された結果に基づいて、第一の混雑率と第二の混雑率を算出し、
前記第一の混雑率と前記第二の混雑率とから第三の混雑率を算出することを特徴とする混雑率算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25523(P2013−25523A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158937(P2011−158937)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】