監視システム及び監視方法
【課題】自動的に収集したメータの計測値から監視用情報を自動的に作成し、各種のメータを自動的に監視できる監視システムを提供することにある。
【解決手段】メータ20をカメラ10により読取り、画像処理で認識したメータ20の計測値の変動を監視する監視システム1である。画像処理装置11は、カメラ10により撮像された映像情報から監視対象のメータ20を抽出し、メータ20の表示面に示す計測値を認識する。管理装置12は、ネットワーク13を介して画像処理装置11により認識された計測値を収集し、時系列情報を作成してメータ20の変動を監視する。
【解決手段】メータ20をカメラ10により読取り、画像処理で認識したメータ20の計測値の変動を監視する監視システム1である。画像処理装置11は、カメラ10により撮像された映像情報から監視対象のメータ20を抽出し、メータ20の表示面に示す計測値を認識する。管理装置12は、ネットワーク13を介して画像処理装置11により認識された計測値を収集し、時系列情報を作成してメータ20の変動を監視する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にカメラを使用して計測器の計測値を監視する監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工場やビルなどの施設では、空調機器等の各種の機器を監視するための各種の計測器(以下、メータと表記する場合がある)が取り付けられた盤と称する設備が配置されている。具体的には、制御盤や配電盤などであり、電力量計や温度計などの各種メータが組み込まれている。
【0003】
近年、省エネルギー対策などの推進のために、各種メータの計測値(電力量、温度値、電圧値、電流値など)を収集して集計し、省エネルギー効果を測定することなどが要求されている。このため、できるだけ人手を要することなく、効率的に各種メータの計測値を収集できる方法が望ましい。
【0004】
各種メータの計測値を自動的に収集できる機器を盤に取り付けることは可能であるが、既存の盤を改造することになり、コスト面などの理由から容易に実現することは困難である。そこで、盤の改造を要することなく、自動的にメータの計測値を収集する方法として、カメラを利用して既存のメータの値を読み取るメータ認識システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−277608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のメータ認識システムを使用することにより、盤の改造を要することなく、自動的にメータの計測値を収集する方法を実現することができる。しかしながら、単にメータの計測値を収集するだけでは、例えば省エネルギー効果を監視するための情報を取得することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、自動的に収集したメータの計測値から監視用情報を自動的に作成し、各種のメータを自動的に監視できる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点は、例えば工場の配電盤などに取り付けられた各種メータをカメラにより読取り、画像処理で認識したメータの計測値の変動を監視する監視システムである。
【0009】
本発明の観点に従った監視システムは、計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラと、前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成し、前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する管理手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動的に収集したメータの計測値から、例えばサーバにより監視用情報を自動的に作成し、各種のメータを自動的に監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に関する監視システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関する画像処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態に関する図2に示す画像処理の手順に対応する概念図。
【図4】本実施形態に関する画像処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図5】本実施形態に関する図4に示す画像処理の手順に対応する概念図。
【図6】本実施形態の変形例に関する画角ずれ補正を説明するための図である。
【図7】本実施形態の変形例に関する照明制御との連携を説明するための図である。
【図8】本実施形態の変形例に関し、針の角度と計測値との相関を学習する機能を説明するための図。
【図9】本実施形態の変形例に関し、カメラからの映像情報からメータを探索する機能を説明するための図。
【図10】本実施形態の変形例に関し、メータの種類を識別する機能を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に関する監視システムの要部を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の監視システム1は、カメラ10、画像処理装置11、管理装置12、及びネットワーク13により構成されている。カメラ10は、例えば広角レンズを有する広角カメラや、PTZ(パン・チルト・ズーム)方式のPTZカメラなどの監視用カメラである。PTZカメラは、首振り機能、ズーム機能、画角制御機能を有する。本実施形態では、カメラ10は、例えば工場やビルの機械室や設備管理室に配置されており、配電盤や分電盤などの盤設備2の盤面やメータ20を撮像できる位置に取り付けられている。
【0015】
メータ20は、例えば電力量を計測する電力量計や、水量を計測する水量計などの各種の計測器である。メータ20は、図1に示すような計測値を針で示すアナログ式メータや、計測値を数字で示すデジタル式メータなどの各種の表示方式がある。
【0016】
画像処理装置11は、例えば工場やビルの管理センタなどに設置されているコンピュータ(ハードウェア及びソフトウェア)から構成されており、後述するように、カメラ10に撮像された映像情報からメータ20の計測値を認識するための画像処理を実行する。
【0017】
管理装置12は例えば監視用サーバであり、監視対象である盤設備2の場所から遠隔地に設置されている。管理装置12は、インターネットやLANなどのネットワーク13を介して画像処理装置11に接続し、画像処理装置11により認識されたメータ20毎の計測値を収集する。なお、本実施形態では便宜的に、ネットワーク13は、画像処理装置11から出力される認識結果(計測値)である情報を管理装置12に伝送するための通信装置を含む構成であるとする。管理装置12は、ネットワーク13を介して受信したメータ20毎の計測値から時系列情報を作成し、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視する。
【0018】
[システムの監視動作]
図2は、本実施形態のシステム1において、画像処理装置11による画像処理(デジタル画像処理)の手順を説明するためのフローチャートである。図3は、各画像処理手順に対応する概念図である。
【0019】
まず、システム1は、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、複数のメータ20を同時に撮像する。また、システム1は、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合にはメータ20毎に撮像し、各メータ20を巡回して撮像する。画像処理装置11は、いずれのカメラの場合でも、カメラ10により撮像された映像情報を画像処理し、各メータ20に表示される計測値を認識する。
【0020】
ここでは、図3(A)に示すように、計測値を文字(数字)で表示する各メータ20をカメラ10により撮像する場合を想定する。画像処理装置11は、図3(A)に示すように、画像処理のフィルタ処理に含まれる輝度伸張処理(濃度処理)を実行する(ステップS1)。図3(A)において、マスク領域は、メータの映像が本来存在しない領域であり、カメラ10の画角ずれの発生を判定するための領域である。さらに、画像処理装置11は、図3(B)に示すように、メータの輪郭を抽出するためのエッジ抽出処理を実行する(ステップS2)。
【0021】
次に、画像処理装置11は、図3(C)に示すように、エッジ抽出された画像に対する2値化処理を実行する(ステップS3)。この2値化処理された画像に対して、画像処理装置11は、図3(D)に示すように、各メータの図形成分を認識するためのラベリング処理を実行する(ステップS4)。この後、画像処理装置11は、図3(E)に示す矩形処理及び同図(F)に示す文字領域抽出処理を含むメータ抽出処理を実行する(ステップS5)。
【0022】
以上のようなメータ抽出処理により、画像処理装置11は、図3(G)に示すように、各メータ20の表示面を撮像して得られた文字領域から計測値である文字列を認識する文字認識処理を実行する(ステップS6)。画像処理装置11により認識された各メータ20の計測値(文字列情報)は、ネットワーク13を介して管理装置12に伝送される。管理装置12は、メータ20毎の計測値から時系列情報を作成し、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視する。
【0023】
図4は、本実施形態のシステム1において、図1に示すように、計測値を針で表示するメータ20をカメラ10により撮像する場合を想定した画像処理手順を説明するためのフローチャートである。図5は、図4に示す各画像処理手順に対応する概念図である。
【0024】
この場合でも、画像処理装置11は、前述と同様に、輝度伸張処理、エッジ抽出処理、2値化処理、ラベリング処理、メータ抽出処理のそれぞれを順次実行する(ステップS11〜S15)。即ち、画像処理装置11は輝度伸張処理後に、メータの輪郭を抽出するためのエッジ抽出処理を実行する(ステップS12)。次に、画像処理装置11は、図5(A)に示すように、エッジ抽出された画像に対する2値化処理を実行し、この2値化処理された画像に対するラベリング処理を実行する(ステップS13,S14)。この後、画像処理装置11は、図5(B)に示すように、針の画像以外を除去するメータ抽出処理を実行する(ステップS15)。
【0025】
次に、画像処理装置11は、図5(C)に示すように、メータ20の針の図形を抽出するための針抽出処理(直線抽出処理)を実行する(ステップS16)。画像処理装置11は、抽出した針の角度を算出し、当該角度に基づいて計測値を算出する(ステップS17)。このとき、カメラ10の画角ずれによる補正処理を実行する(ステップS18)。そして、画像処理装置11は、メータ20の針の角度に基づいた計測値を読み取り値として出力する(ステップS19)。画像処理装置11により読み取り値として出力されたメータ20の計測値(針の角度での表示情報)は、ネットワーク13を介して管理装置12に伝送される。
【0026】
以上のようにして本実施形態のシステムは、広角カメラやPTZカメラなどの監視用カメラ10により、各メータ20の表示面を撮像し、撮像された映像情報を画像処理することで各メータ20に文字列や針の角度などで表示される計測値を認識する。管理装置12は、メータ20毎に認識された計測値を収集し、各計測値から時系列情報を作成することで、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視することができる。
【0027】
なお、前述したように、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、複数のメータ20を同時に撮像することができる。また、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合には、一定間隔で各メータ20を巡回して撮像することができる。即ち、各メータ20から計測値を読み込むタイミングを、カメラ10の種類に応じて設定することが可能である。
【0028】
(第1の変形例)
本実施形態の変形例として、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合に、固定のタイミングや巡回間隔で監視するだけでなく、各メータの変動幅を学習し、自動で最適な巡回間隔での監視を行う監視システム1である。
【0029】
具体的には、例えばメータ1を空調関係の計測器とし、メータ2を照明関係の計測器とし、メータ3を設備関係の計測器とする。監視システム1は、例えば夏の昼の巡回では、一番激しく電力を消費するメータ1を細かく監視し、次に設備関係のメータ3を細かく監視する。具体例としては、監視システム1は、メータ1からメータ2、メータ3と巡回し、さらにメータ1からメータ1、メータ3、メータ1、メータ1と巡回し、メータ2からメータ3へと巡回する。
【0030】
また、監視システム1は、例えば秋の夜間の巡回では、一番激しく電力を消費するメータ2を細かく監視し、次に設備関係のメータ3を細かく監視する。具体例としては、監視システム1は、メータ1からメータ2、メータ3、メータ2と巡回し、さらにメータ2からメータ3、メータ2、メータ1、メータ2、メータ3へと巡回する。
【0031】
以上要するに本変形例の方法によるシステム1は、オフィス、工場、デパートなどの場所毎に異なる消費電力特性などを学習するとともに、季節や時間帯毎の特性も学習する。このような学習結果に基づいて、システム1は、最適な時間間隔と巡回の順番で、PTZカメラを使用したカメラ10を巡回させることにより、各メータの監視動作の多様化を図ることが可能となる。
【0032】
(第2の変形例)
図6(A)〜(D)は、本実施形態の変形例で、カメラ10の画角ずれ補正を説明するための図である。
【0033】
本変形例は、図6(A)に示すような針の角度に応じた計測値を示すアナログ式メータを想定し、カメラ10の撮像方向に応じて発生する画角ずれの補正処理に関する。即ち、図6(C)に示すように、カメラ10によりメータ20の表示面を真正面から撮像した場合と比較して、斜め方向から撮像した場合にはメータ20の表示面に示す針の角度が異なる。なお、図6(B)は、カメラ10によりメータの表示面を左斜め方向から撮像した場合である。また、図6(D)は、カメラ10によりメータの表示面を下斜め方向から撮像した場合である。
【0034】
このような場合、画像処理装置11は、カメラ10の画角ずれを検知し、この画角ずれ量に基づいて針の角度に応じた読み取り値(計測値)を補正する。これにより、カメラ10によりメータ20の表示面を斜め方向から撮像した場合には、カメラ10の画角ずれに応じた誤差が発生する読み取り値を補正するため、カメラ10の撮像方向により異なるメータ20からの読み取り値(計測値)の変動を補償することができる。
【0035】
(第3の変形例)
図7は、本実施形態の変形例で、照明制御との連携機能を説明するための図である。
【0036】
本変形例は、複数種のメータ20a,20bを監視する場合に、監視動作と連携してメータ20a,20bの表示面の照明を制御する照明制御を行うシステムである。なお、メータ20a,20bはそれぞれ、例えば空調関係のメータ1及び照明関係のメータ2である。
【0037】
画像処理装置11は、カメラ10によりメータ20aの表示面から計測値を読み取る場合に、照明制御装置14を介して、監視対象であるメータ20aの表示面を照らす照明機器15を点灯させる。このとき、画像処理装置11は、メータ20bを監視していない場合には、照明制御装置14を介してメータ20bの表示面を照らす照明機器15を消灯させる。
【0038】
一方、画像処理装置11は、カメラ10によりメータ20bの表示面から計測値を読み取る場合に、照明制御装置14を介して、監視対象であるメータ20bの表示面を照らす照明機器15を点灯させる。このとき、画像処理装置11は、メータ20aを監視していない場合には、照明制御装置14を介してメータ20aの表示面を照らす照明機器15を消灯させる。
【0039】
以上のように本変形例によれば、メータ20a,20bの監視動作と連携してメータ20a,20bの表示面の照明を制御する照明制御を連携させることにより、監視対象のメータに対するカメラ10の確実な撮像動作を実現できる。なお、メータ20a,20bのいずれも監視していないときには、画像処理装置11は、それぞれに対応する照明機器15を消灯させる。これにより、照明に要する無駄な消費電力を節約することができる。さらに、監視対象のメータに対する読み取りを終了すると、対応する照明機器を消灯する。これにより、無駄な消費電力の節約と共に、別のメータに対する読み取りを開始するときに、照明の反射を防止する効果もある。
【0040】
(第4の変形例)
本変形例の監視システム1では、管理装置12は、過去のメータの計測値変動を学習し、将来のメータの計測値を予測する機能を有する構成である。具体的には、例えば電力量計などのメータ20は、計測値が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の順番で増加し、例えば「56418」という計測値に対して、次の計測値が「56419」となることは確定している。また、管理装置12は、親メータの計測値を読み取ったときに、親メータに属する子メータの計測値を按配により推定する機能を有する。
【0041】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、管理装置12は、計測値の予測又は推定する機能を利用して、画像処理装置11により読み取られる計測値のエラーを修正することが可能となる。従って、カメラ10の撮像動作や画像処理装置11の画像処理に変動が発生した場合でも、管理装置12は、計測値の予測又は推定する機能を利用して、当該変動を補償することが可能となる。
【0042】
(第5の変形例)
図8(A),(B)は、本実施形態の変形例で、特にメータの針の角度と計測値との相関を学習する機能を説明するための図である。
【0043】
本変形例のシステム1は、メータ20の読み取り値(計測値)と、カメラからの映像情報であるメータ20の状態との相関を学習し、この学習情報を保存する画像処理装置11を有する構成である。画像処理装置11は、次のメータの読み取り動作時に、当該保存した学習情報を使用して、メータ20の読み取り値(計測値)を認識する。
【0044】
具体的には、図8(A),(B)に示すように、目盛り板(計測値の表示面)は、メータ毎に異なる。そこで、画像処理装置11は、メータの針の角度と目盛りの値(計測値)との相関を示す学習情報をテーブル情報として保存し、カメラからの映像情報を画像処理するときに当該テーブル情報を参照する。即ち、画像処理装置11は、メータ20の状態であるメータの針の角度と計測値との相関から、メータ20が示す計測値を読み取る。
【0045】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、メータの針の角度と計測値との相関を示す学習情報(テーブル情報)を参照することにより、メータ毎に異なる目盛り板から読み取る計測値を確実に認識することが可能となる。
【0046】
(第6の変形例)
図9(A),(B)は、本実施形態の変形例で、カメラからの映像情報からメータを探索する機能を説明するための図である。
【0047】
本変形例のシステム1は、図9(A)に示すように、カメラ10からの映像情報内でメータを指定することで、メータを特定するための学習情報を保存する画像処理装置11を有する構成である。画像処理装置11は、図9(B)に示すように、学習情報からメータとは黒縁で上3/4は白い目盛り板を有し、下1/4は黒い板という特徴(テンプレート、識別情報)を取得する。次に、画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報を入力すると、当該学習情報から得られる特徴を使用して、映像情報内から自動的にメータを特定する。
【0048】
なお、画像処理装置11は、メータを特定するための学習情報として、特徴(テンプレート、識別情報)ではなく、メータが配置されている場所を示す情報を保存してもよい。この場合には、画像処理装置11は、カメラ10からの場所に対応する映像情報を入力すると、当該学習情報から得られる場所を示す情報を使用して、映像情報内から自動的にメータを特定する。
【0049】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、メータを特定するための学習情報を参照することにより、カメラ10からの映像情報内でメータを確実に特定して抽出するメータ抽出処理を確実に実行することが可能となる。
【0050】
(第7の変形例)
図10(A),(B)は、本実施形態の変形例で、監視対象のメータの種類を特定する機能を説明するための図である。
【0051】
本変形例のシステム1は、図10(A)に示すように、メータの配置図に基づいて、監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する画像処理装置11を有する構成である。また、本変形例のシステム1は、図10(B)に示すように、メータに付加されているラベル又はメータの形状に基づいて、監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する画像処理装置11を有する構成である。
【0052】
画像処理装置11は、予めメータの配置図、メータの形状、ラベルを示す情報と、メータの種類(メータの測定対象)とを対応付けしたテーブル情報(識別情報)を記憶している。画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報から配置図、メータの形状、ラベルを示す情報を抽出すると、当該テーブル情報を参照して監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する。
【0053】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報から監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定できるため、メータの計測値を認識するときに当該計測値の読み取り精度を向上することが可能となる。
【0054】
(第8の変形例)
本実施形態の変形例として、システム1は、常時メータ20を監視するのではなく、メータ20を監視する必要のない時間帯には、セキュリティ用監視動作を行う構成である。即ち、本変形例のシステム1は、セキュリティ機能を併用する構成である。具体的には、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、メータだけでなく、例えば機械室の特定領域や廊下なども撮像できる画角にカメラ10を設置する。また、PTZカメラを使用する場合には、プリセットの一つとして機械室の特定領域や廊下なども撮像できる画角を設定する。
【0055】
以上のようなセキュリティ機能を併用するシステム1であれば、例えば、オフィスの空調システムのメータ20を監視する場合に、昼間は電力消費が激しいため、メータ20を巡回して集中的に計測値を読み取る。一方、夜間は電力消費が少ないため、システム1は、セキュリティ機能を併用し、メータ20の監視については時間間隔を荒くした巡回で計測値を読み取るような多様な処理が可能となる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…監視システム、2…盤設備、10…カメラ、11…画像処理装置、
12…管理装置、13…ネットワーク、20…メータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にカメラを使用して計測器の計測値を監視する監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工場やビルなどの施設では、空調機器等の各種の機器を監視するための各種の計測器(以下、メータと表記する場合がある)が取り付けられた盤と称する設備が配置されている。具体的には、制御盤や配電盤などであり、電力量計や温度計などの各種メータが組み込まれている。
【0003】
近年、省エネルギー対策などの推進のために、各種メータの計測値(電力量、温度値、電圧値、電流値など)を収集して集計し、省エネルギー効果を測定することなどが要求されている。このため、できるだけ人手を要することなく、効率的に各種メータの計測値を収集できる方法が望ましい。
【0004】
各種メータの計測値を自動的に収集できる機器を盤に取り付けることは可能であるが、既存の盤を改造することになり、コスト面などの理由から容易に実現することは困難である。そこで、盤の改造を要することなく、自動的にメータの計測値を収集する方法として、カメラを利用して既存のメータの値を読み取るメータ認識システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−277608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のメータ認識システムを使用することにより、盤の改造を要することなく、自動的にメータの計測値を収集する方法を実現することができる。しかしながら、単にメータの計測値を収集するだけでは、例えば省エネルギー効果を監視するための情報を取得することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、自動的に収集したメータの計測値から監視用情報を自動的に作成し、各種のメータを自動的に監視できる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点は、例えば工場の配電盤などに取り付けられた各種メータをカメラにより読取り、画像処理で認識したメータの計測値の変動を監視する監視システムである。
【0009】
本発明の観点に従った監視システムは、計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラと、前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成し、前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する管理手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動的に収集したメータの計測値から、例えばサーバにより監視用情報を自動的に作成し、各種のメータを自動的に監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に関する監視システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関する画像処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態に関する図2に示す画像処理の手順に対応する概念図。
【図4】本実施形態に関する画像処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図5】本実施形態に関する図4に示す画像処理の手順に対応する概念図。
【図6】本実施形態の変形例に関する画角ずれ補正を説明するための図である。
【図7】本実施形態の変形例に関する照明制御との連携を説明するための図である。
【図8】本実施形態の変形例に関し、針の角度と計測値との相関を学習する機能を説明するための図。
【図9】本実施形態の変形例に関し、カメラからの映像情報からメータを探索する機能を説明するための図。
【図10】本実施形態の変形例に関し、メータの種類を識別する機能を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に関する監視システムの要部を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の監視システム1は、カメラ10、画像処理装置11、管理装置12、及びネットワーク13により構成されている。カメラ10は、例えば広角レンズを有する広角カメラや、PTZ(パン・チルト・ズーム)方式のPTZカメラなどの監視用カメラである。PTZカメラは、首振り機能、ズーム機能、画角制御機能を有する。本実施形態では、カメラ10は、例えば工場やビルの機械室や設備管理室に配置されており、配電盤や分電盤などの盤設備2の盤面やメータ20を撮像できる位置に取り付けられている。
【0015】
メータ20は、例えば電力量を計測する電力量計や、水量を計測する水量計などの各種の計測器である。メータ20は、図1に示すような計測値を針で示すアナログ式メータや、計測値を数字で示すデジタル式メータなどの各種の表示方式がある。
【0016】
画像処理装置11は、例えば工場やビルの管理センタなどに設置されているコンピュータ(ハードウェア及びソフトウェア)から構成されており、後述するように、カメラ10に撮像された映像情報からメータ20の計測値を認識するための画像処理を実行する。
【0017】
管理装置12は例えば監視用サーバであり、監視対象である盤設備2の場所から遠隔地に設置されている。管理装置12は、インターネットやLANなどのネットワーク13を介して画像処理装置11に接続し、画像処理装置11により認識されたメータ20毎の計測値を収集する。なお、本実施形態では便宜的に、ネットワーク13は、画像処理装置11から出力される認識結果(計測値)である情報を管理装置12に伝送するための通信装置を含む構成であるとする。管理装置12は、ネットワーク13を介して受信したメータ20毎の計測値から時系列情報を作成し、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視する。
【0018】
[システムの監視動作]
図2は、本実施形態のシステム1において、画像処理装置11による画像処理(デジタル画像処理)の手順を説明するためのフローチャートである。図3は、各画像処理手順に対応する概念図である。
【0019】
まず、システム1は、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、複数のメータ20を同時に撮像する。また、システム1は、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合にはメータ20毎に撮像し、各メータ20を巡回して撮像する。画像処理装置11は、いずれのカメラの場合でも、カメラ10により撮像された映像情報を画像処理し、各メータ20に表示される計測値を認識する。
【0020】
ここでは、図3(A)に示すように、計測値を文字(数字)で表示する各メータ20をカメラ10により撮像する場合を想定する。画像処理装置11は、図3(A)に示すように、画像処理のフィルタ処理に含まれる輝度伸張処理(濃度処理)を実行する(ステップS1)。図3(A)において、マスク領域は、メータの映像が本来存在しない領域であり、カメラ10の画角ずれの発生を判定するための領域である。さらに、画像処理装置11は、図3(B)に示すように、メータの輪郭を抽出するためのエッジ抽出処理を実行する(ステップS2)。
【0021】
次に、画像処理装置11は、図3(C)に示すように、エッジ抽出された画像に対する2値化処理を実行する(ステップS3)。この2値化処理された画像に対して、画像処理装置11は、図3(D)に示すように、各メータの図形成分を認識するためのラベリング処理を実行する(ステップS4)。この後、画像処理装置11は、図3(E)に示す矩形処理及び同図(F)に示す文字領域抽出処理を含むメータ抽出処理を実行する(ステップS5)。
【0022】
以上のようなメータ抽出処理により、画像処理装置11は、図3(G)に示すように、各メータ20の表示面を撮像して得られた文字領域から計測値である文字列を認識する文字認識処理を実行する(ステップS6)。画像処理装置11により認識された各メータ20の計測値(文字列情報)は、ネットワーク13を介して管理装置12に伝送される。管理装置12は、メータ20毎の計測値から時系列情報を作成し、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視する。
【0023】
図4は、本実施形態のシステム1において、図1に示すように、計測値を針で表示するメータ20をカメラ10により撮像する場合を想定した画像処理手順を説明するためのフローチャートである。図5は、図4に示す各画像処理手順に対応する概念図である。
【0024】
この場合でも、画像処理装置11は、前述と同様に、輝度伸張処理、エッジ抽出処理、2値化処理、ラベリング処理、メータ抽出処理のそれぞれを順次実行する(ステップS11〜S15)。即ち、画像処理装置11は輝度伸張処理後に、メータの輪郭を抽出するためのエッジ抽出処理を実行する(ステップS12)。次に、画像処理装置11は、図5(A)に示すように、エッジ抽出された画像に対する2値化処理を実行し、この2値化処理された画像に対するラベリング処理を実行する(ステップS13,S14)。この後、画像処理装置11は、図5(B)に示すように、針の画像以外を除去するメータ抽出処理を実行する(ステップS15)。
【0025】
次に、画像処理装置11は、図5(C)に示すように、メータ20の針の図形を抽出するための針抽出処理(直線抽出処理)を実行する(ステップS16)。画像処理装置11は、抽出した針の角度を算出し、当該角度に基づいて計測値を算出する(ステップS17)。このとき、カメラ10の画角ずれによる補正処理を実行する(ステップS18)。そして、画像処理装置11は、メータ20の針の角度に基づいた計測値を読み取り値として出力する(ステップS19)。画像処理装置11により読み取り値として出力されたメータ20の計測値(針の角度での表示情報)は、ネットワーク13を介して管理装置12に伝送される。
【0026】
以上のようにして本実施形態のシステムは、広角カメラやPTZカメラなどの監視用カメラ10により、各メータ20の表示面を撮像し、撮像された映像情報を画像処理することで各メータ20に文字列や針の角度などで表示される計測値を認識する。管理装置12は、メータ20毎に認識された計測値を収集し、各計測値から時系列情報を作成することで、計測対象(例えば消費電力量など)の変動状態を監視することができる。
【0027】
なお、前述したように、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、複数のメータ20を同時に撮像することができる。また、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合には、一定間隔で各メータ20を巡回して撮像することができる。即ち、各メータ20から計測値を読み込むタイミングを、カメラ10の種類に応じて設定することが可能である。
【0028】
(第1の変形例)
本実施形態の変形例として、カメラ10としてPTZカメラを使用する場合に、固定のタイミングや巡回間隔で監視するだけでなく、各メータの変動幅を学習し、自動で最適な巡回間隔での監視を行う監視システム1である。
【0029】
具体的には、例えばメータ1を空調関係の計測器とし、メータ2を照明関係の計測器とし、メータ3を設備関係の計測器とする。監視システム1は、例えば夏の昼の巡回では、一番激しく電力を消費するメータ1を細かく監視し、次に設備関係のメータ3を細かく監視する。具体例としては、監視システム1は、メータ1からメータ2、メータ3と巡回し、さらにメータ1からメータ1、メータ3、メータ1、メータ1と巡回し、メータ2からメータ3へと巡回する。
【0030】
また、監視システム1は、例えば秋の夜間の巡回では、一番激しく電力を消費するメータ2を細かく監視し、次に設備関係のメータ3を細かく監視する。具体例としては、監視システム1は、メータ1からメータ2、メータ3、メータ2と巡回し、さらにメータ2からメータ3、メータ2、メータ1、メータ2、メータ3へと巡回する。
【0031】
以上要するに本変形例の方法によるシステム1は、オフィス、工場、デパートなどの場所毎に異なる消費電力特性などを学習するとともに、季節や時間帯毎の特性も学習する。このような学習結果に基づいて、システム1は、最適な時間間隔と巡回の順番で、PTZカメラを使用したカメラ10を巡回させることにより、各メータの監視動作の多様化を図ることが可能となる。
【0032】
(第2の変形例)
図6(A)〜(D)は、本実施形態の変形例で、カメラ10の画角ずれ補正を説明するための図である。
【0033】
本変形例は、図6(A)に示すような針の角度に応じた計測値を示すアナログ式メータを想定し、カメラ10の撮像方向に応じて発生する画角ずれの補正処理に関する。即ち、図6(C)に示すように、カメラ10によりメータ20の表示面を真正面から撮像した場合と比較して、斜め方向から撮像した場合にはメータ20の表示面に示す針の角度が異なる。なお、図6(B)は、カメラ10によりメータの表示面を左斜め方向から撮像した場合である。また、図6(D)は、カメラ10によりメータの表示面を下斜め方向から撮像した場合である。
【0034】
このような場合、画像処理装置11は、カメラ10の画角ずれを検知し、この画角ずれ量に基づいて針の角度に応じた読み取り値(計測値)を補正する。これにより、カメラ10によりメータ20の表示面を斜め方向から撮像した場合には、カメラ10の画角ずれに応じた誤差が発生する読み取り値を補正するため、カメラ10の撮像方向により異なるメータ20からの読み取り値(計測値)の変動を補償することができる。
【0035】
(第3の変形例)
図7は、本実施形態の変形例で、照明制御との連携機能を説明するための図である。
【0036】
本変形例は、複数種のメータ20a,20bを監視する場合に、監視動作と連携してメータ20a,20bの表示面の照明を制御する照明制御を行うシステムである。なお、メータ20a,20bはそれぞれ、例えば空調関係のメータ1及び照明関係のメータ2である。
【0037】
画像処理装置11は、カメラ10によりメータ20aの表示面から計測値を読み取る場合に、照明制御装置14を介して、監視対象であるメータ20aの表示面を照らす照明機器15を点灯させる。このとき、画像処理装置11は、メータ20bを監視していない場合には、照明制御装置14を介してメータ20bの表示面を照らす照明機器15を消灯させる。
【0038】
一方、画像処理装置11は、カメラ10によりメータ20bの表示面から計測値を読み取る場合に、照明制御装置14を介して、監視対象であるメータ20bの表示面を照らす照明機器15を点灯させる。このとき、画像処理装置11は、メータ20aを監視していない場合には、照明制御装置14を介してメータ20aの表示面を照らす照明機器15を消灯させる。
【0039】
以上のように本変形例によれば、メータ20a,20bの監視動作と連携してメータ20a,20bの表示面の照明を制御する照明制御を連携させることにより、監視対象のメータに対するカメラ10の確実な撮像動作を実現できる。なお、メータ20a,20bのいずれも監視していないときには、画像処理装置11は、それぞれに対応する照明機器15を消灯させる。これにより、照明に要する無駄な消費電力を節約することができる。さらに、監視対象のメータに対する読み取りを終了すると、対応する照明機器を消灯する。これにより、無駄な消費電力の節約と共に、別のメータに対する読み取りを開始するときに、照明の反射を防止する効果もある。
【0040】
(第4の変形例)
本変形例の監視システム1では、管理装置12は、過去のメータの計測値変動を学習し、将来のメータの計測値を予測する機能を有する構成である。具体的には、例えば電力量計などのメータ20は、計測値が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の順番で増加し、例えば「56418」という計測値に対して、次の計測値が「56419」となることは確定している。また、管理装置12は、親メータの計測値を読み取ったときに、親メータに属する子メータの計測値を按配により推定する機能を有する。
【0041】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、管理装置12は、計測値の予測又は推定する機能を利用して、画像処理装置11により読み取られる計測値のエラーを修正することが可能となる。従って、カメラ10の撮像動作や画像処理装置11の画像処理に変動が発生した場合でも、管理装置12は、計測値の予測又は推定する機能を利用して、当該変動を補償することが可能となる。
【0042】
(第5の変形例)
図8(A),(B)は、本実施形態の変形例で、特にメータの針の角度と計測値との相関を学習する機能を説明するための図である。
【0043】
本変形例のシステム1は、メータ20の読み取り値(計測値)と、カメラからの映像情報であるメータ20の状態との相関を学習し、この学習情報を保存する画像処理装置11を有する構成である。画像処理装置11は、次のメータの読み取り動作時に、当該保存した学習情報を使用して、メータ20の読み取り値(計測値)を認識する。
【0044】
具体的には、図8(A),(B)に示すように、目盛り板(計測値の表示面)は、メータ毎に異なる。そこで、画像処理装置11は、メータの針の角度と目盛りの値(計測値)との相関を示す学習情報をテーブル情報として保存し、カメラからの映像情報を画像処理するときに当該テーブル情報を参照する。即ち、画像処理装置11は、メータ20の状態であるメータの針の角度と計測値との相関から、メータ20が示す計測値を読み取る。
【0045】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、メータの針の角度と計測値との相関を示す学習情報(テーブル情報)を参照することにより、メータ毎に異なる目盛り板から読み取る計測値を確実に認識することが可能となる。
【0046】
(第6の変形例)
図9(A),(B)は、本実施形態の変形例で、カメラからの映像情報からメータを探索する機能を説明するための図である。
【0047】
本変形例のシステム1は、図9(A)に示すように、カメラ10からの映像情報内でメータを指定することで、メータを特定するための学習情報を保存する画像処理装置11を有する構成である。画像処理装置11は、図9(B)に示すように、学習情報からメータとは黒縁で上3/4は白い目盛り板を有し、下1/4は黒い板という特徴(テンプレート、識別情報)を取得する。次に、画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報を入力すると、当該学習情報から得られる特徴を使用して、映像情報内から自動的にメータを特定する。
【0048】
なお、画像処理装置11は、メータを特定するための学習情報として、特徴(テンプレート、識別情報)ではなく、メータが配置されている場所を示す情報を保存してもよい。この場合には、画像処理装置11は、カメラ10からの場所に対応する映像情報を入力すると、当該学習情報から得られる場所を示す情報を使用して、映像情報内から自動的にメータを特定する。
【0049】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、メータを特定するための学習情報を参照することにより、カメラ10からの映像情報内でメータを確実に特定して抽出するメータ抽出処理を確実に実行することが可能となる。
【0050】
(第7の変形例)
図10(A),(B)は、本実施形態の変形例で、監視対象のメータの種類を特定する機能を説明するための図である。
【0051】
本変形例のシステム1は、図10(A)に示すように、メータの配置図に基づいて、監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する画像処理装置11を有する構成である。また、本変形例のシステム1は、図10(B)に示すように、メータに付加されているラベル又はメータの形状に基づいて、監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する画像処理装置11を有する構成である。
【0052】
画像処理装置11は、予めメータの配置図、メータの形状、ラベルを示す情報と、メータの種類(メータの測定対象)とを対応付けしたテーブル情報(識別情報)を記憶している。画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報から配置図、メータの形状、ラベルを示す情報を抽出すると、当該テーブル情報を参照して監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定する。
【0053】
以上要するに、本変形例のシステム1であれば、画像処理装置11は、カメラ10からの映像情報から監視対象のメータの種類(メータの測定対象)を特定できるため、メータの計測値を認識するときに当該計測値の読み取り精度を向上することが可能となる。
【0054】
(第8の変形例)
本実施形態の変形例として、システム1は、常時メータ20を監視するのではなく、メータ20を監視する必要のない時間帯には、セキュリティ用監視動作を行う構成である。即ち、本変形例のシステム1は、セキュリティ機能を併用する構成である。具体的には、カメラ10として広角カメラを使用する場合には、メータだけでなく、例えば機械室の特定領域や廊下なども撮像できる画角にカメラ10を設置する。また、PTZカメラを使用する場合には、プリセットの一つとして機械室の特定領域や廊下なども撮像できる画角を設定する。
【0055】
以上のようなセキュリティ機能を併用するシステム1であれば、例えば、オフィスの空調システムのメータ20を監視する場合に、昼間は電力消費が激しいため、メータ20を巡回して集中的に計測値を読み取る。一方、夜間は電力消費が少ないため、システム1は、セキュリティ機能を併用し、メータ20の監視については時間間隔を荒くした巡回で計測値を読み取るような多様な処理が可能となる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…監視システム、2…盤設備、10…カメラ、11…画像処理装置、
12…管理装置、13…ネットワーク、20…メータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラと、
前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成し、前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する管理手段と
を具備したことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
計測器または時間帯により異なる時間間隔で、前記計測値を認識することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
計測器の計測値変動幅に基づいて、
前記計測値変動幅が大きい計測器に対しては相対的に短時間の時間間隔で前記計測値を認識し、前記計測値変動幅が小さい計測器に対しては相対的に長時間の時間間隔で前記計測値を認識することを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記計測器はアナログ式メータ又はデジタル式メータであり、
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報から、前記アナログ式メータのアナログ計測値を認識する画像処理または前記デジタル式メータのデジタル計測値を認識する画像処理のいずれかを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像処理手段は、
前記カメラの画角ずれを検知する手段と、
前記画角ずれに応じた前記計測値の誤差を補正する手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記計測器の表示面を含む領域を照明対象領域とする照明機器と、
前記カメラによる前記表示面の撮像動作に連携して前記照明機器を点灯・消灯を制御する照明制御手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記管理手段は、
前記時系列情報に基づいた計測器毎の計測値変動に関する情報を記憶手段に保存する手段と、
前記保存している情報を使用して、将来の計測値を予測する予測手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報と計測値との相関を学習して得られる学習情報を記憶し、
前記学習情報を使用して前記計測値を認識する画像処理を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報に含まれる計測器の識別情報に基づいて、前記計測器を特定する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項10】
計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラを使用する監視システムに適用する監視方法であって、
前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理と、
前記画像処理により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成する処理と、
前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する処理と
を実行することを特徴とする監視方法。
【請求項1】
計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラと、
前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成し、前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する管理手段と
を具備したことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
計測器または時間帯により異なる時間間隔で、前記計測値を認識することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
計測器の計測値変動幅に基づいて、
前記計測値変動幅が大きい計測器に対しては相対的に短時間の時間間隔で前記計測値を認識し、前記計測値変動幅が小さい計測器に対しては相対的に長時間の時間間隔で前記計測値を認識することを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記計測器はアナログ式メータ又はデジタル式メータであり、
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報から、前記アナログ式メータのアナログ計測値を認識する画像処理または前記デジタル式メータのデジタル計測値を認識する画像処理のいずれかを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像処理手段は、
前記カメラの画角ずれを検知する手段と、
前記画角ずれに応じた前記計測値の誤差を補正する手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記計測器の表示面を含む領域を照明対象領域とする照明機器と、
前記カメラによる前記表示面の撮像動作に連携して前記照明機器を点灯・消灯を制御する照明制御手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記管理手段は、
前記時系列情報に基づいた計測器毎の計測値変動に関する情報を記憶手段に保存する手段と、
前記保存している情報を使用して、将来の計測値を予測する予測手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報と計測値との相関を学習して得られる学習情報を記憶し、
前記学習情報を使用して前記計測値を認識する画像処理を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記画像処理手段は、
前記カメラからの映像情報に含まれる計測器の識別情報に基づいて、前記計測器を特定する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項10】
計測器の計測値を示す表示面を撮影するカメラを使用する監視システムに適用する監視方法であって、
前記カメラからの映像情報から前記計測値を認識するための画像処理と、
前記画像処理により認識された計測値に基づいて計測対象を監視するための時系列情報を生成する処理と、
前記時系列情報に基づいて計測器の計測値変動を監視する処理と
を実行することを特徴とする監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−81715(P2011−81715A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235298(P2009−235298)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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