説明

監視システム

【課題】 例えば、家人が外出時に、機器の消し忘れを一括確認でき、機器の消し忘れを未然に防ぐことができる監視システムを提供すること。
【解決手段】 セキュリティコントローラの作動状態に変更をもたらす設定入力情報である場合に、設定入力情報及び被制御機器の動作状態に従って、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を許容するか否かの判定を行う判定手段を備え、判定手段が、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に、セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、動作状態にある前記被制御機器が無い場合に、作動状態の変更を許容する構成を採用し、コントローラの作動状態の変更の可否を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、動作状態でユーティリティを消費する被制御機器と、設定入力情報に従って、警戒状態又は非警戒状態との間で作動状態を変更して働くセキュリティコントローラを備えた監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、家庭内にある機器をインターネット等の公衆ネットワークを介して外出先から動作させようとするシステムが提案され、順次稼動状態に入りつつある。この種の遠隔制御により動作制御可能な被制御機器としては、電力の供給を受けて動作する電力機器、ガスの供給を受けて動作するガス機器、さらに、上水の供給を受けて動作する給湯器等がある(特許文献1)。
これらの機器は、ユーティリティである電力、ガス及び上水等の供給を受けて、その動作状態にあって、それらを消費する。
【0003】
一方、各家庭に、セキュリティ管理を受け持つセキュリティコントローラを備え、各家庭のセキュリティが確保される傾向にある。この種のセキュリティコントローラは、これに隷属する、赤外線検知センサ、磁気式近接センサ等のセキュリティセンサを備え、管理先である、顧客のセキュリティを、前記セキュリティセンサからの設定入力情報に従って確保する(特許文献2)。
【0004】
セキュリティ確保の例としては、複数の家庭を対象として、これら複数の家庭のセキュリティを統括的に管理する監視センタが設けられており、セキュリティコントローラがセキュリティセンサからの情報により異常が発生している可能性があると判断した場合に、監視センタ側へ報知するとともに、その緊急度に従って監視センタ側から、問題の発生している家庭へ警備員を派遣することもある。
【0005】
この種のセキュリティコントローラは、家人の外出時に「警戒」状態とされ、家人が在宅しており、活動している時には「非警戒」状態とされる。「警戒」状態においては、例えば、不審者の家内への侵入の監視を行う。一方、「非警戒」状態においては、セキュリティセンサは、家人の動きに連動して動作するため、実質上、これらセンサの検知情報に意味を持たせる場合は少ない。
【0006】
以上のような機能を果す目的から、セキュリティコントローラには、その作動状態である「警戒」状態、「非警戒」状態を、家人が設定するための状態設定スイッチが設けられており、このスイッチが例えば玄関付近に設けられて、家人が外出する時に、セキュリティコントローラの作動状態を「非警戒」状態から「警戒」状態に設定可能に構成されている。逆に、家人が帰宅した時に、「警戒」状態から「非警戒」状態に設定可能に構成されている。
【0007】
一方、ユーティリティ消費機器である被制御機器には、経済上の理由或は安全上の理由から、所謂、消し忘れ防止機能が備えられており、使用者が消し忘れて、機器が継続的に運転されている場合には、機器自体が継続運転状態の可否を判断して、自動停止する(特許文献3)。特許文献3に記載の技術では、継続的な運転時間が判定の要素とされるとともに、その機器の運転によって影響を受ける室温等も、その判定の要素とされる。
【0008】
【特許文献1】特開平10−239082号公報
【特許文献2】特開2005−56261号公報
【特許文献3】特開2003−28512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の消し忘れ防止機能付の被制御機器にあっては、その消し忘れ防止機能の判定要件が満足されない限り、機器が停止されることはない。
この状況を家人が外出する場合を例に取って説明すると、家人が外出して、さらに、機器側で、消し忘れ防止判定の判定要件を満足する状況となって初めて、機器の停止が行われる。
【0010】
このような状況は、本来、外出時には、被制御機器の全て、あるいは一部が停止していることが好ましいとする状況からすると充分に満足できるものとはいい難く、経済的、安全上の理由から改良の余地があった。
【0011】
本発明の目的は、家人が外出時に機器の消し忘れを一括確認でき、機器の消し忘れを未然に防ぐことができる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る、
動作状態でユーティリティを消費する被制御機器と、設定入力情報に従って、警戒状態又は非警戒状態との間で作動状態を変更して働くセキュリティコントローラとを備えた監視システムの特徴構成は、
前記設定入力情報が、前記セキュリティコントローラの作動状態に変更をもたらす入力情報である場合に、前記設定入力情報及び前記被制御機器の動作状態に従って、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を許容するか否かの判定を行う判定手段を備えたことにある。
この監視システムにあっては、被制御機器の動作制御に関して、セキュリティコントローラに入力される設定入力情報が利用される。即ち、セキュリティコントローラには、先に示したように、その作動状態を変更するような情報(例えば、家人の外出時に、作動状態を「非警戒」状態から「警戒」状態に変更するような情報)が入力されるのであるが、この情報は、被制御機器の動作に関しては、家人の外出時に、消し忘れている機器がある場合は、これが好ましくないことを示す情報ともなる。
そこで、本システムでは判定手段を設け、この判定手段により、設定入力情報と被制御機器の動作状態との関係に基づいて、セキュリティコントロール側における作動状態の変更を行ってよいかどうかの判定を行う。
【0013】
例えば、前記判定手段が、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、動作状態にある前記被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容するようにしたり、
前記判定手段が、前記被制御機器の内、特定の被制御機器に関して、前記動作状態にある被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、前記動作状態にある被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容するようにするのである。
【0014】
ここで、セキュリティコントローラの作動状態の変更の許容は、家人に対して、その設定入力情報を入力した状況における家人の行動をそのまま認めることとでき、その禁止は、逆に、そのような行動を行うには、問題があるとの状況を明らかとすることとできる。
そこで、判定手段による判定を、セキュリティコントローラへの設定入力情報と、被制御機器の動作状態に関する情報とに基づいて行うことで、例えば、外出時の被制御機器の消し忘れを防止する動作を促す等の動作が可能となる。
【0015】
ここで、前記判定手段が、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、動作状態にある前記被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容するようにすると、全ての被制御機器の動作停止状態を予定した判定を行うことができる。
【0016】
一方、前記判定手段が、前記被制御機器の内、特定の被制御機器に関して、前記動作状態にある被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、前記動作状態にある被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容するようにすると、問題となりやすい特定の被制御機器の被制御機器の動作停止状態を予定した判定を行うことができる。
【0017】
さて、以上の構成に加えて、前記警戒状態として、高度のセキュリティ動作を要求される本警戒状態と、前記本警戒状態より低いセキュリティ動作を要求される部分警戒状態とを有し、
前記判定手段が、前記本警戒状態と前記部分警戒状態との間における状態変更についても、動作状態にある前記被制御機器の存否に基づいて、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更の可否を判定するように構成することが好ましい。
このように、本警戒状態と部分警戒状態とを備えることで、程度の異なる警戒状態に対応できる。
【0018】
このような、部分警戒状態と本警戒状態との区分けとしては、具体的には、前記顧客が在宅・就眠時に前記セキュリティコントローラが前記部分警戒状態に設定可能に構成されるとともに、前記顧客が外出時に前記セキュリティコントローラが前記本警戒状態に設定可能に構成されていることが好ましい。
このようにすることで、在宅・就眠時と外出時との警戒状態と適切なものとすることができる。
【0019】
また、前記被制御機器を動作制御するホームオートメーションコントローラを備え、前記被制御機器に対する動作制御が、前記ホームオートメーションコントローラを介して行われることが好ましい。
このようにしておくと、近来、設置の方向にあるホームオートメーションコントローラを利用して、被制御機器の動作制御を簡便に実現することができる。
【0020】
さて、以上説明した構成において、前記判定手段が、前記作動状態の変更を禁止した場合に、当該禁止状態を報知する禁止状態報知手段を備えることが好ましい。
禁止状態報知手段を備えることで、セキュリティコントローラの作動状態変更が出来ない状況が、家人等、入力者に報知される。結果、家人等に、何らかの障害があることを報知でき、適切な以降の処理を促すことがとなる。
【0021】
また、さらには、前記判定手段が、前記作動状態の変更を禁止した場合に、動作状態にある被制御機器を報知する被制御機器報知手段を備えておくと、動作状態にある被制御機器を報知することで、この被制御機器の停止を促したり、その連続運転状態の可否の判断を促す等、外出等に対して適切な、以降の処理を採ることが可能となる。
【0022】
以上、説明してきた構成にあっては、監視システム自体が被制御機器の動作に関与することに関しては何も述べなかったが、外出時には、直接的に被制御機器を停止することとすることも可能である。この場合、監視システムは、以下のように構築できる。
即ち、動作状態でユーティリティを消費する被制御機器と、設定入力情報に従って、警戒状態又は非警戒状態との間で作動状態を変更して働くセキュリティコントローラとを備えた監視システムを構築するに、
前記設定入力情報が、前記セキュリティコントローラの作動状態を非警戒状態から警戒状態への変更をもたらす設定入力情報である場合に、
前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を許容するとともに、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に当該被制御機器の動作を停止する停止制御手段を備えたものとするのである。
【0023】
このようにすることで、セキュリティコントローラへの「警戒」状態への変更動作に連動して、その変更に係る設定入力情報を利用して、当該被制御機器の停止を自動的に行うことができる。結果的に、好ましい状況を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、以下、図面に基づいて説明する。
本願に係る監視システム1は、少なくとも、顧客先(一般家庭の場合は家庭宅、製造業者等の場合は工場)におけるセキュリティ管理の用を果すセキュリティコントローラSC、その動作状態において、電力・ガス・上水等のユーティリティを消費するユーティリティ消費機器である被制御機器2を備えて構成されるシステムである。後述するように、前記セキュリティコントローラSCでは、各被制御機器2の動作状態の確認が可能な構成が採用されている。
【0025】
図1に示す例には、セキュリティコントローラSCのセキュリティ管理先が各家庭宅であり、エアコン、給湯器等の各被制御機器2が、ホームオートメーションコントローラ(以降、HAコントローラと称する)HACを介して、顧客が移動先で使用する携帯電話、PC端末、固定電話等である顧客端末3からの制御指令により動作制御可能に構成されている例が示されている。
【0026】
図1に示す例では、顧客端末3に入力する制御指令が、複数の家庭を一括統括する監視センタCにインターネット等の公衆ネットワークNWを介して送られ、この監視センタCから各家庭に送られる当該制御指令により、被制御機器2が動作する。
【0027】
図示するように、各家庭にはHAコントローラHACが備えられており、前記監視センタCより公衆ネットワークNWを介して送られてくる前記制御指令を一旦HAコントローラHACが受信し、その動作対象の被制御機器2に指令を送ることで、各被制御機器2の動作(始動・停止等)が起こるように構成されている。
【0028】
以下、先ず、消し忘れ防止機能以外の一般的構成に関して先ず説明する。
セキュリティコントローラSC
セキュリティコントローラSCは、これに隷属する機器として複数のセキュリティセンサSsを備え、公衆ネットワークNWを介して、先に説明した監視センタC、顧客端末3と接続されている。
ここで、セキュリティセンサSsは、具体的には、家庭各所に適宜配設されている赤外線センサSs1、近接センサSs2である。この構成において、赤外線センサSs1により宅内に人がいた場合に、これを検出することが可能であり、近接センサSs2により扉4、窓5等の開閉が行われた場合に、例えば、窓枠5aとガラスパネルフレーム5b間の近接、離間を検出することで、窓5等の開閉を検出することができる。
これらセキュリティセンサSsは、家庭の各部屋6及び廊下7等に設けられており、当然、一階及び二階にも備えられている。
【0029】
さらに、図2に示すように、このセキュリティコントローラSCには、その付属機器としての入出力装置SWが備えられている。この入出力装置SWは、所定の出力及び表示を行うための出力表示部SW1と、所定の入力を受け付けるための入力部SW2とが備えられている。
出力表示部SW1には、後述するように家人等への報知出力を表示するための表示装置Dが備えられるとともに、警報出力用のブザーSbが備えられている。
一方、入力部SW2には、セキュリティコントローラSCの作動状態を設定するための状態設定スイッチSwが設けられている。
【0030】
セキュリティコントローラSCは、この状態設定スイッチSwの設定に従って、その作動状態を「本警戒」「部分警戒」「非警戒」の3状態間で変更可能に構成されている。本願にあっては、「本警戒」及び「部分警戒」を「警戒」状態の一種とし、この「警戒」状態に対して「非警戒」状態があるものとする。
本願に係る消し忘れ防止機能は、この状態設定スイッチSwによる設定をセキュリティコントローラSC側で、受け入れ可能か否かの判定を伴うものである。
【0031】
前記「本警戒」は、例えば家人が外出する場合に設定する状態であり、設備されている全てのセキュリティセンサSsからの情報に基づいて、高度のセキュリティ監視を行う状態である。例えば、いずれかの赤外線センサSs1が人を検出した場合に、侵入者ありと判断することとなる。
【0032】
前記「部分警戒」は、例えば家人が在宅しており、就眠している場合に設定する状態であり、顧客の寝室が二階にある場合は、一階に設備されているセキュリティセンサSsからの情報に基づいて、低度のセキュリティ監視を行う状態である。例えば、一階に設備されている、いずれかの赤外線センサSs1が人を検出した場合、侵入者ありと判断することとなる。
【0033】
前記「非警戒」は、例えば家人が在宅しており、活動している場合に設定する状態であり、セキュリティセンサSsからの情報は実質上使用されることは無い。
【0034】
前記入出力装置SWは、玄関8付近及び居間9に夫々設けられており、玄関8側の状態設定スイッチSwを使用して、家人は外出時に「非警戒」から「本警戒」に、帰宅時にその逆の設定変更できる。さらに、居間9側の状態設定スイッチSwを使用して、家人が就眠しようとする時に「非警戒」から「部分警戒」に、起床時にその逆の設定変更できる。
【0035】
図2に示されるように、セキュリティコントローラSCのメモリー部Mに備えられる作動状態認識領域m1には、このコントローラSCの作動状態(「本警戒」「部分警戒」「非警戒」状態の別)が認識・記憶されるとともに、この作動状態を考慮して、セキュリティセンサSsからの検出信号に依存して、警報を発報する必要の有無を判断するセキュリティ判断部Saが設けられている。
その警報動作にあっては、セキュリティセンサSsからの検出情報と現在の作動状態とに基づいて、警報の要否を判断し、自らブザーSbを鳴らす、さらには、監視センタC側への報知を行う等の動作を行うように構成されている。
【0036】
例えば、作動状態が「警戒」状態で、不審者が宅内に侵入し、この侵入が赤外線センサSs1等により検出された場合は、ブザーSb音により警報を発するとともに、必要な場合は監視センタCから警備員を派遣等する。
【0037】
HAコントローラHAC及び被制御機器
HAコントローラHACは、先にも示したように、被制御機器2の動作を統括的に制御するために家庭単位で設けられているものであり、監視センタCとの間で被制御機器2の制御指令の遣り取りが可能に構成されている。
被制御機器2としては、電力を消費する機器2aとして、照明設備、エアコン(図1に図示)等があり、ガスを消費する機器2bとして、給湯装置(図1に図示)、ファンヒータ、床暖房装置等があり、給水を消費する機器2cとして、給湯装置(図1に図示)等がある。
これらの機器2a,2b,2cは、先に説明したように、顧客端末3−監視センタC−HAコントローラHACを介して動作制御可能である。
【0038】
監視システムの特徴構成
以上が、本願に係る監視システム1の基本構成の概略であるが、以下、本願に係る監視システム1の特徴構成に関して説明する。
本願に係る監視システム1の特徴は、セキュリティコントローラSCで設定・認識されている「本警戒」「部分警戒」「非警戒」の各状態間で、それらの変更をもたらす設定入力情報があった場合に、その設定入力情報及び被制御機器2の動作状態に従って、その状態変更を許容するか否かの判定を行い、必要な場合は、適切な処理を取ることが可能とされていることにある。
【0039】
本願構成にあっては、状態設定スイッチSwの入力される設定入力情報に従って、家人の活動状況である外出(「本警戒」)、在宅・就眠(「部分警戒」)、在宅・活動(「非警戒」)の変化を認識し、その状態変化に基づいて、被制御機器2に対して必要となる処理を行おうとする。
【0040】
例えば、セキュリティコントローラSC側の作動状態を、「非警戒」から「本警戒」に変更する設定入力がなされた場合に、被制御機器2に動作している機器があるか否かを調べ、そのような動作状態にある機器が存在する場合は、セキュリティコントローラSCの作動状態の切替えを禁止したり、家人に、動作状態にある被制御機器2を特定して報知し、その停止を促す。
【0041】
以下の説明に際しては、図2に示すセキュリティコントローラSCの機能ブロック図、図3に示すHAコントローラHACの機能ブロック図及び、消し忘れ防止機能の動作フローを示す図4を逐次参照しながら説明する。
【0042】
図2に示すように、セキュリティコントローラSCには、先に説明した本来のセキュリティ機能を果すべくセキュリティ判断部Saが備えられており、このセキュリティ判断部Saの判断結果に従った出力が、入出力処理部SCbに備えられる警報出力処理部SCb1を介して入出力装置SWに伝達され、ブザーSbを雷動させる等の警報動作を実行可能に構成されている。
【0043】
一方、本願独特の消し忘れ機能を発揮すべく、セキュリティコントローラSCには、消し忘れ判定部SCaが設けられるとともに、この消し忘れ判定部SCaの機能をサポートすべく、メモリー部Mに所定の領域m2が設けられ、入出力処理部SCbに複数の処理部SCb2〜5が設けられている。この消し忘れ判定部SCaが判定手段となっている。
【0044】
先に説明したように、メモリ部Mには、セキュリティコントローラSCの作動状態を記憶している作動状態認識領域m1が設けられるとともに、消し忘れ判定の対象とする特定の被制御機器2が登録・記憶された特定被制御機器登録領域m2が設けられている。
この特定の被制御機器2とは、例えば、床暖房、浴室暖房・浴室乾燥機、ガスストーブ、燃料電池、コージェネレーションシステム等であり、不要な継続運転状態が続くと好ましくない機器である。この監視システム1では、家人が自由に特定の被制御機器2を予め登録できる。
【0045】
前記消し忘れ判定部SCaには、作動状態変更判定部SCa1、被制御機器確認制御判定部SCa2及び判定処理部SCa3を備えて構成されている。
前記作動状態判定部SCa1は、設定入力情報が、作動状態の変更を促す設定入力情報であるか否かを判定する(図4:ステップ#1)。例えば、現在、コントローラが「非警戒」状態にあり、外出時等に状態設定スイッチSwが操作され、「本警戒」状態への変更が要求されているか否かの判定を行うのである。
このように、作動状態の変更要求が入力されている場合(図4:ステップ#1 yes)は、被制御機器確認制御判定部SCa2を起動させる。一方、変更要求ではない場合(図4:ステップ#1 no)は、被制御機器確認制御判定部SCa2の起動を行なうことなく、現状のコントローラSCの動作状態を維持する。
【0046】
前記被制御機器確認制御判定部SCa2が起動されると、この判定部SCa2は、特定の被制御機器2が動作状態にあるか否かの判定動作に移行する。即ち、入出力処理部SCbに備えられる被制御機器確認処理部SCb5を起動させて、HAコントローラHACとの通信により、現在動作中の被制御機器2の一覧情報を吸い上げてくる(図4:ステップ#2)。
前記被制御機器確認制御判定部SCa2は、このようにして吸い上げられてきた被制御機器一覧の中に、メモリ部Mの特定被制御機器登録領域m2に記憶する被制御機器2が含まれているか否かを判定する(図4:ステップ#3)。
そして、含まれている場合は、判定処理部SCa3を起動する(図4:ステップ#3 yes)。この時、含まれている機器に関する情報(機器名等)も判定処理部SCa3に受け渡す。含まれていない場合(図4:ステップ#3 no)は、作動状態の変更を、設定入力情報のまま受け入れても問題がない状態にあるため、セキュリティコントローラSCの作動状態を、設定入力情報に従って変更する(図4:ステップ#3−1)。
【0047】
前記判定処理部SCa3においては、消し忘れ防止の実際の機能を実行することとなる。
ここでいう実際の機能は、その系統が2系統に分かれる構成が採用されている。
その一の系統は、予め登録されている特定の被制御機器2に、動作中の機器がある場合に、その事実を家人に報知し、適切な処理を促す処理系統である(この処理系統を、以下、報知処理系統と呼ぶ)。この場合、セキュリティコントローラSCとしては、現状の作動状態は変更されることなく現状の作動状態が維持され、適切な処理が家人等により行われた後に、設定入力情報に従った作動状態の変更が行われる。
【0048】
一方、他の系統は、セキュリティコントローラSC自体が、動作中の機器を強制的に停止する処理系統であり、この場合、セキュリティコントローラSCとしては、動作中の機器を強制的に停止し、その後、作動状態が設定入力情報が指定する作動状態に変更される(この処理系統を、以下、強制停止系統と呼ぶ)。
【0049】
セキュリティコントローラSCにおける処理において、前記報知処理系統を取るか、前記強制停止系統を取るかは、コントローラSC始動時の初期設定選択により決まるように構成されているに行われる。
図4に示すフローにあっては、報知処理系統をステップ#4−1〜4−5に示し、強制停止系統をステップ#5−1、5−2に示した。
【0050】
何れの処理系統を選択するにせよ、判定処理部SCa3が起動された状態にあっては、セキュリティコントローラSCの作動状態の変更要求があり、且つ、特定の被制御機器2に動作中のものがあることとなる。
【0051】
報知処理系統における処理
前記報知処理系統が選択されていると、作動状態の変更が禁止され、その状態が報知されるとともに適切な処理が行われた後に、設定入力情報に従った作動状態の変更を行う。
例えば、「非警戒」状態から「本警戒」状態への変更を促す入力が状態設定スイッチSwになされた状況では、家人が、在宅・活動状態から外出しようとする状況にあり、消し忘れの被制御機器2がある状態であるため、注意を促し、適切な処理を待つのである。
一方、「非警戒」状態から「部分警戒」状態への変更を促す入力が状態設定スイッチSwになされた状況では、家人が在宅・活動状態から就眠しようとしている状況にあり、例えば、寝室が2階である場合には、一階の消し忘れの被制御機器2に関して、注意を促し、適切な処理を待つのである。
【0052】
以上の処理を実行すべく、判定処理部SCa3の動作制御に従って、入出力処理部SCbに備えられる禁止状態報知処理部SCb2,被制御機器報知処理部SCb3が働く。
【0053】
禁止状態報知処理部SCb2
この処理部SCb2は、入出力装置SWに設けられている表示装置Dを使用して、作動状態の変更が禁止される状態にあることを報知する処理部である。
判定処理部SCa3にまで処理が到達する状態にあっては、特定の被制御機器2中に動作している機器が存在し消し忘れ状態となっていることとなり、セキュリティコントローラSCとしては、作動状態の変更を受け付けることができない。
そこで、作動状態を現状の状態に保持したままで、このような変更禁止状態が発生していることを報知すべく、この禁止状態報知処理部SCb2が働き、表示装置Dに、消し忘れ機器があることを表示する(図4 ステップ#4−1)。

【0054】
被制御機器報知処理部SCb3
この処理部SCb3は、入出力部SWに設けられている表示装置Dを使用して、動作状態にある機器2を特定して報知する処理部である。
先にも示したように、判定処理部SCa3にまで処理が到達する状態にあっては、特定の被制御機器2中に動作している機器が存在し、所謂、消し忘れ状態となっている。そこで、この被制御機器報知処理部SCb3が働き、表示装置Dに、消し忘れ機器を表示することにより、消し忘れ機器の停止を、家人が行うように促す(図4 ステップ#4−2)。
【0055】
以上説明した禁止状態報知処理(図4 ステップ#4−1)と、動作中の被制御機器の報知処理(図4 ステップ#4−2)とは、判定処理部SCa3における処理として、セキュリティコントローラSCの作動状態の変更禁止処理(図4 ステップ#4−3)と同時進行状態で実行される。
【0056】
そして、家人による特定の被制御機器2の停止が行われたことが確認された後(図4 ステップ#4−4)、この消し忘れ機能の処理を終える。セキュリティコントローラSCの作動状態は、状態設定スイッチSwから設定入力情報の設定に従ったものとされる(図4 ステップ#4−5)。
以上のようにして、この系統での処理を良好に終えることができる。
【0057】
強制停止系統
強制停止系統が選択されている状況にあっては、動作中にある被制御機器2の強制的な停止が実行される。
即ち、この処理を実行する目的から、入出力処理部SCbに備えられる被制御機器停止処理部SCb4が働く。被制御機器停止処理部SCb4が動作すると、セキュリティコントローラSCが強制的に動作中にある被制御機器2を停止すべく作動する(図4 ステップ#5−1)。
即ち、セキュリティコントローラSCからHAコントローラHACへ、動作中にある被制御機器2の停止制御指令を生成して送ることで、HAコントローラHACを介して、問題となる機器を強制的に停止することができる。
【0058】
この場合、セキュリティコントローラSCの作動状態は、状態設定スイッチSwから設定入力情報の設定に従ったものとされる(図4 ステップ#5−2)。
以上の構成を、セキュリティコントローラSCに備えることにより、セキュリティコントローラSCへ入力される状態設定情報である設定入力情報を利用して、消し忘れた被制御機器2がある場合に、良好に対処できる。
【0059】
一方、HAコントローラHAC側の機能ブロック構成は、図3のようになる。
このコントローラHACもまた、独自の入出力装置swを備え、HAコントローラHACで必要となる入出力情報を独自に処理可能とされている。
一方、本来のHAコントローラHACの機能である監視センタCあるいは顧客端末3からの制御情報に従って、被制御機器2の動作開始、停止を制御すべく機器内に公衆通信制御処理部HACaを備え、さらに、その制御情報に従って被制御機器2を動作制御する被制御機器通信制御処理部HACbを備えている。
また、セキュリティコントローラSCとの通信も必要となるため、セキュリティコントローラ通信制御処理部HACcを備えて構成されている。そして、その被制御機器通信制御処理部HACbに備えられている被制御機器動作状態認識領域HACm(具体的には、各被制御機器2に割り当てられ、その被制御機器2の動作状態を記憶するメモリである)には、現状における各被制御機器2の動作状態が認識・記憶されている。
従って、先に説明した前述のセキュリティコントローラSC側に備えられる被制御機器確認処理部SCb5からの要請により、現状の各被制御機器2の動作状態をセキュリティコントローラSC側に送ることにより、先に詳細に説明した、消し忘れ防止機能を良好に実現することができる。
【0060】
〔別実施の形態〕
a これまで説明してきた実施の形態にあっては、家庭に備えられる特定の機器2a(床暖房、浴室暖房・浴室乾燥機、ガスストーブ、燃料電池、コージェネレーションシステム等)を対象として、消し忘れ防止機能を果すようにシステムを構築するものとしたが、当然に、被制御機器全ての機器に関して、外出時に動作している機器がある場合は、それら機器に対して消し忘れ防止を行えるようにしてもよい。
【0061】
b これまで説明してきた監視システムにあっては、セキュリティコントローラ、HAコントローラが別個の構造体として設けられるように説明したが、これら機器の働きを別個に果す機能部のいずれか2種以上を同一の筐体内に収納する構成を採用してもよい。
【0062】
c 上記の実施の形態にあっては、セキュリティコントローラ内に消し忘れ防止機能を果す機能部を設けたが、HAコントローラが、セキュリティコントローラから、その作動状態の変更を促すような設定入力情報があったか否かの情報を吸い上げ、被制御機器が動作中であった場合に、セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止したり、強制的に動作中の機器を停止するように働く構成としてもよい。
d 上記の監視システムにあっては、セキュリティコントローラの作動状態として(「本警戒」「部分警戒」「非警戒」)の3種の作動状態が存在するものとしたが、作動状態として、単に、外出あるいは就眠等に対応する「警戒」状態に対して、在宅・活動に対応する「非警戒」状態があるものとしてもよい。
e 上記の実施の形態にあっては、「非警戒」状態から「本警戒」状態への変更を促す入力がなされた状況、及び「非警戒」状態から「部分警戒」状態への変更を促す入力がなされた状況での例を示したが、「部分警戒」から「本警戒」状態への変更を促す入力が状態設定スイッチSwになされた状況でも本願は適用できる。例えば、家人が就眠状態(「部分警戒」状態)から直に外出(「本警戒」状態)しようとする状況で、消し忘れの被制御機器2がある場合に、「非警戒」状態から「本警戒」状態への移行と同様に、注意を促し適切な処理を待つ、あるいは、それら機器を全て停止する等の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
例えば、利用者(家人)が外出時に、機器の消し忘れを一括確認でき、機器の消し忘れを未然に防ぐことができる監視システムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本願に係る監視システムの構成を示す図
【図2】図1に示す監視システムで採用されるセキュリティコントローラの機能ブロック図
【図3】図1に示す監視システムで採用されるHCコントローラの機能ブロック図
【図4】消し忘れ防止機能の処理フローを示す図
【符号の説明】
【0065】
1 :監視システム
2 :被制御機器
3 :顧客端末
C :監視センタ
HAC:HAコントローラ
NW :公衆ネットワーク
SC :セキュリティコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作状態でユーティリティを消費する被制御機器と、設定入力情報に従って、警戒状態と非警戒状態との間で作動状態を変更して働くセキュリティコントローラとを備えた監視システムであって、
前記設定入力情報が、前記セキュリティコントローラの作動状態に変更をもたらす入力情報である場合に、前記設定入力情報及び前記被制御機器の動作状態に従って、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を許容するか否かの判定を行う判定手段を備えた監視システム。
【請求項2】
前記判定手段が、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、動作状態にある前記被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容する請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記判定手段が、前記被制御機器の内、特定の被制御機器に関して、前記動作状態にある被制御機器が存在する場合に、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を禁止し、前記動作状態にある被制御機器が無い場合に、前記作動状態の変更を許容する請求項1記載の監視システム。
【請求項4】
前記警戒状態として、高度のセキュリティ動作を要求される本警戒状態と、前記本警戒状態より低いセキュリティ動作を要求される部分警戒状態とを有し、
前記判定手段が、前記本警戒状態と前記部分警戒状態との間における状態変更についても、動作状態にある前記被制御機器の存否に基づいて、前記セキュリティコントローラの作動状態の変更の可否を判定する請求項1〜3のいずれか一項記載の監視システム。
【請求項5】
前記顧客が在宅・就眠時に前記セキュリティコントローラが前記部分警戒状態に設定可能に構成されるとともに、
前記顧客が外出時に前記セキュリティコントローラが前記本警戒状態に設定可能に構成されている請求項4記載の監視システム。
【請求項6】
前記被制御機器を動作制御するホームオートメーションコントローラを備え、前記被制御機器に対する動作制御が、前記ホームオートメーションコントローラを介して行われる請求項1〜5のいずれか一項記載の監視システム。
【請求項7】
前記判定手段が、前記作動状態の変更を禁止した場合に、当該禁止状態を報知する禁止状態報知手段を備えた請求項1〜6のいずれか一項記載の監視システム。
【請求項8】
前記判定手段が、前記作動状態の変更を禁止した場合に、動作状態にある被制御機器を報知する被制御機器報知手段を備えた請求項1〜7のいずれか一項記載の監視システム。
【請求項9】
動作状態でユーティリティを消費する被制御機器と、設定入力情報に従って、警戒状態又は非警戒状態との間で作動状態を変更して働くセキュリティコントローラとを備えた監視システムであって、
前記設定入力情報が、前記セキュリティコントローラの作動状態を非警戒状態から警戒状態への変更をもたらす設定入力情報である場合に、
前記セキュリティコントローラの作動状態の変更を許容するとともに、動作状態にある前記被制御機器が存在する場合に当該被制御機器の動作を停止する停止制御手段を備えた監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−350786(P2006−350786A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177717(P2005−177717)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】