説明

監視制御システムと処理ユニット

【課題】処理ユニットをアップグレードする場合に監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応しない場合であっても、処理ユニットを互換改修することなく簡単に交換することのできる監視制御システム及び処理ユニットを提供する。
【解決手段】監視制御システムにおける処理ユニット10−1は、インタフェース部30−1を備え、インタフェース部30−1には監視制御装置20と接続するうえで考えうるm種類の接続型式に対応したコネクタ31−1〜31−mが設けられている。これより、様々な接続形式の監視制御装置20と物理的に接続することが可能となる。また、インタフェース部30−1には、記憶部32に記憶された変換プログラムに基づいて入力された信号の伝送方式を所定の伝送方式に変換する伝送方式変換部33が設けられ、処理ユニット10−1における伝送方式と監視制御装置20における信号の伝送方式とが一致していなくても、信号の送受信を正常に行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム内の処理ユニットの状態を監視し、その状態に応じて処理ユニットの処理を制御する監視制御システム及び処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システム内で処理を行う複数の処理ユニットを監視制御装置によりそれぞれ監視し、処理ユニットからの処理状況を示す監視信号に基づいてこれら処理ユニットを処理制御する監視制御システムが提供されている。このとき、監視制御システムにおける処理ユニットには、監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応したものが使用される。
【0003】
ところで、処理ユニットのアップグレードを目的として、処理ユニット自体又は部品の交換が行われる場合がある。このような場合、アップグレード後の処理ユニットが監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応しているときは問題ないが、適応していない場合には、その処理ユニットを監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応するように互換改修しなければならず、煩雑な交換作業を余儀なくされる。
【0004】
なお、既存の制御ユニットと同一寸法の収納ケースに新たな制御ユニットと制御ユニットからの電気信号の互換性を提供するインタフェース部とを設けることにより、制御ユニットの更新を容易にする例が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−237106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の監視制御システムでは、処理ユニットをアップグレードする際、監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応しない場合には、処理ユニットの互換改修が必要となっていた。
【0006】
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、処理ユニットをアップグレードする場合に監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応しない場合であっても、処理ユニットを互換改修することなく簡単に交換することのできる監視制御システム及び処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る監視制御システムは、入力情報が複数の処理ユニットにより順次処理されて出力され、前記各処理ユニットは監視制御装置から供給される制御信号により処理制御されると共に処理状況を示す監視信号を監視制御装置に供給する監視制御システムにおいて、予め設定された変換プログラムに基づいて、前記処理ユニットからの監視信号の伝送方式を前記監視制御装置の伝送方式に変換し、前記監視制御装置からの制御信号の伝送方式を前記処理ユニットの伝送方式に変換する伝送方式変換手段を備えるインタフェース手段を前記処理ユニットと監視制御装置との間に具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る処理ユニットは、監視信号を監視制御装置に出力し、当該監視制御装置からの前記監視信号に応じた制御信号により制御される処理ユニットにおいて、前記監視制御装置と接続するものであり、予め設定された変換プログラムに基づいて、前記監視信号の伝送方式を前記監視制御装置の伝送方式に変換し、前記制御信号の伝送方式を予め設定された伝送方式に変換する伝送方式変換手段を備えるインタフェース手段を具備することを特徴とする。
【0009】
上記構成による監視制御システム及び処理ユニットでは、インタフェース手段における伝送方式変換手段により、伝送される信号の伝送方式を所定の方式に変換するため、監視制御装置と処理ユニットとの間の信号の伝送方式が一致していなくても、監視制御装置と処理ユニットとの間で信号の送受信を正常に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理ユニットをアップグレードする場合に監視制御装置のインタフェース及び伝送方式に適応しない場合であっても、処理ユニットを互換改修することなく簡単に交換することのできる監視制御システム及び処理ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係わる第1の実施形態の監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。図1における監視制御システムは、処理ユニット10−1〜10−n(nは自然数)と、監視制御装置20とを具備しており、処理ユニット10−1〜10−nは、インタフェース部30−1〜30−nを備えている。
【0013】
処理ユニット10−1〜10−nは、制御信号に従って一連の信号処理における各処理を担うもので、例えば処理ユニット10−1に入力された信号を、処理ユニット10−1から処理ユニット10−nで順次処理して出力する。また、処理ユニット10−1〜10−nそれぞれは、処理状況を示す監視信号を監視制御装置20に出力する。
【0014】
一方、監視制御装置20は、処理ユニット10−1〜10−nから出力される監視信号を受け取って各処理ユニットの処理状況を把握し、各処理ユニットに個々の処理に対する制御信号を送る。
【0015】
図2は、上記処理ユニット10−1のインタフェース部30−1の機能構成を示すブロック図である。なお、処理ユニット10−2〜10−nにおけるインタフェース部30−2〜30−nもインタフェース部30−1と同様の構成である。処理ユニット10−1は、インタフェース部30−1を介して監視信号の送信及び制御信号の受信を行い、インタフェース部30−1は、複数形式のコネクタ31−1〜31−mと、記憶部32と、伝送方式変換部33と、インストール部34とを備える。
【0016】
コネクタ31−1〜31−m(mは自然数)それぞれは、監視制御装置20と接続するうえで考えうるm種類の接続型式に対応するものであり、インタフェース部30−1に整列して設けられている。コネクタ31−1〜31−mのうちのいずれかは、監視制御装置20の接続型式と対応しており、監視制御装置20と物理的に接続する。ここで、コネクタ31−1〜31−mの接続型式は、接点データの送受信に対応した型式、信号のシリアル転送に対応した型式、イーサネット(登録商標)に対応した型式及び9ピンや25ピン等のD−Sub(Subminiature-D)に対応した型式等である。
【0017】
記憶部32は、予め設定された変換プログラムを記憶している。また、インストール部34によって新たな変換プログラムを追加記憶することができる。
【0018】
インストール部34は、記憶部32に記憶されていない新たな変換プログラムをインストールする。
【0019】
伝送方式変換部33は、記憶部32に記憶された変換プログラムに基づいて、処理ユニット10−1から出力される監視信号の伝送方式を監視制御装置20の伝送方式に変換し、監視制御装置20から出力される制御信号の伝送方式を処理ユニット10−1の伝送方式に変換する。
【0020】
上記構成による監視制御システムでは、インタフェース部30−1〜30−nにおけるコネクタ31−1〜31−mの接続型式が、監視制御装置20について想定し得る接続形式に対応している。そのため、処理ユニット10−1〜10−nは、様々な接続形式の監視制御装置20と物理的に接続することが可能となる。また、インタフェース部30−1〜30−nにおける伝送方式変換部33は、記憶部32に記録されている変換プログラムに基づいて処理ユニット10−1〜10−nの伝送方式を監視制御装置20の伝送方式に適応させるようにしている。そのため、処理ユニット10−1〜10−nにおける伝送方式と監視制御装置20における伝送方式とが一致していなくても、両者間で信号の送受信を正常に行うことが可能となる。
【0021】
これらのことから、処理ユニット10−1〜10−nのうちいずれかをアップデートする場合、アップデート対象の処理ユニットを互換改修することなく、その接続型式及び信号の伝送方式を監視制御システムで用いられているものに適応させることが可能となる。
【0022】
したがって、第1の実施形態に係わる監視制御システム及び処理ユニットは、処理ユニットをアップグレードする場合であっても、アップグレード対象の処理ユニットの互換改修が不要となり、簡単にシステム統合することができる。
【0023】
以下、上記構成の監視制御システムの具体例として、TV送信機を例に挙げてより詳細に説明する。
【0024】
図3は上記TV送信機の構成を示すブロック図である。図3において、TV送信機は、図1に示す処理ユニットとしてデコーダ11、エキサイタ12及びPA(Power Amplifier)13を備える。デコーダ11は、入力信号をクロック信号に同期して復号化し、エキサイタ12に出力する。エキサイタ12は、復号化された信号における信号の歪みをローカル周波数に基づいて補償し、PA13に出力する。PA13は、歪み補償された信号を増幅して後段に出力する。デコーダ11、エキサイタ12及びPA13は、それぞれ図2に示す構成のインタフェース部30−1〜30−3をそれぞれ備えている。
【0025】
一方、監視制御装置20は、デコーダ11から出力される監視信号を参照してそのデコード処理状況を把握し、その処理状況に応じてデコーダ11にクロック信号を制御するクロック制御信号を出力する。また、監視制御装置20は、エキサイタ12から出力される監視信号を参照してその周波数変換処理状況を把握し、その処理状況に応じてエキサイタ12にローカル周波数を制御する制御信号を出力する。また、監視制御装置20は、PA13から出力される監視信号を参照してその増幅処理状況を把握し、その処理状況に応じてPA13に増幅度を制御する制御信号を出力する。
【0026】
上記構成において、インタフェース部30−1〜30−nは、コネクタ31−1〜31−mの接続型式が監視制御装置20について想定し得る接続形式に対応している。そのため、デコーダ11、エキサイタ12及びPA13は、様々な接続形式の監視制御装置20と物理的に接続することが可能となる。
【0027】
例えば、シリアル転送形式による接続形式のデコーダ11をアップグレードする場合に、その対象デコーダ11′がD−Sub形式であったとする。この場合、通常ならば、アップグレード対象のデコーダ11自体をシリアル転送形式に互換改修しなければならず、煩雑な作業が強いられてしまう。そこで、本発明では、上記構成によるインタフェース部30−i(iは1〜nのいずれか)を用い、対象デコーダ11′をインタフェース部30−iにおけるD−Sub形式のコネクタに接続し、伝送方式変換部33において、記憶部32に記録されている変換プログラムに基づいてD−Sub形式をシリアル転送形式に変換するようにしている。
【0028】
したがって、上記構成によるテレビ放送機において、デコーダ11、エキサイタ12及びPA13のいずれかをアップグレードする際に、アップグレード対象がシステムのインタフェース及び伝送方式に適合しない場合であっても、インタフェース部30−iを用いることで、アップグレード対象のデコーダ11、エキサイタ12及びPA13と監視制御装置20との間で信号の送受信を正常に行うことが可能となる。
【0029】
上記具体例の説明からわかるように、処理ユニット10−1〜10−nのうちいずれかをアップデートする場合、アップデート後の処理ユニットは、その接続型式及び信号の伝送方式を監視制御システムで用いられているものに適応させることが可能となる。
【0030】
したがって、第1の実施形態に係わる監視制御システムは、処理ユニットをアップグレードする場合であっても、処理ユニットを互換改修せずにアップグレードさせることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係わる第2の実施形態の監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。図4において図1と同一部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。図4における監視制御システムは、処理ユニット40−1〜40−nと対応するインタフェース部50−1〜50−nとを別々に構成するものである。
【0032】
この第2の実施形態によれば改修等により処理ユニットの取付け空間が狭くなる際に対応することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係わる第1の実施形態の監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1のインタフェース部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1の監視制御システムの一例であるTV送信機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係わる第2の実施形態の監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
10−1〜10−n…処理ユニット
11…デコーダ
12…エキサイタ
13…PA
20…監視制御装置
30−1〜30−n…インタフェース部
31−1〜31−m…コネクタ
32…記憶部
33…伝送方式変換部
34…インストール部
40−1〜40−n…処理ユニット
50−1〜50−n…インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報が複数の処理ユニットにより順次処理されて出力され、前記各処理ユニットは監視制御装置から供給される制御信号により処理制御されると共に処理状況を示す監視信号を監視制御装置に供給する監視制御システムにおいて、
予め設定された変換プログラムに基づいて、前記処理ユニットからの監視信号の伝送方式を前記監視制御装置の伝送方式に変換し、前記監視制御装置からの制御信号の伝送方式を前記処理ユニットの伝送方式に変換する伝送方式変換手段を備えるインタフェース手段を前記処理ユニットと監視制御装置との間に具備することを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
前記インタフェース手段は、前記監視制御装置と前記処理ユニットとを接続するための複数型式の物理的接続手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記インタフェース手段を内部に備えることを特徴とする請求項1記載の監視制御システム。
【請求項4】
前記インタフェース手段は、前記変換プログラムを新たな伝送方式に対応する新変換プログラムに更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の監視制御システム。
【請求項5】
監視信号を監視制御装置に出力し、当該監視制御装置からの前記監視信号に応じた制御信号により制御される処理ユニットにおいて、
前記監視制御装置と接続するものであり、予め設定された変換プログラムに基づいて、前記監視信号の伝送方式を前記監視制御装置の伝送方式に変換し、前記制御信号の伝送方式を予め設定された伝送方式に変換する伝送方式変換手段を備えるインタフェース手段を具備することを特徴とする処理ユニット。
【請求項6】
前記インタフェース手段は、前記監視制御装置と前記処理ユニットとを接続するための複数型式の物理的接続手段を備えることを特徴とする請求項5記載の処理ユニット。
【請求項7】
前記インタフェース手段は、前記変換プログラムを新たな伝送方式に対応する新変換プログラムに更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の処理ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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