説明

監視制御方法及び監視制御装置

【課題】ネットワークに接続している装置を監視・制御するシステムにおいて、装置の簡素化を図る。
【解決手段】装置と監視制御装置がネットワークで接続されたシステムにおいて、装置が所定のタイミングで自装置のハードウェアI/O情報を読み出して監視制御装置に送信する。監視制御装置が、各装置から受信したハードウェアI/O情報を管理用記憶領域に装置毎に記憶し、管理用記憶領域に記憶された各装置のハードウェアI/O情報に基づいて各装置の状態を監視制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークで接続された装置の監視制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続している装置を遠隔から監視・制御するシステムがある。このようなシステムにおける装置はSNMP(Simple Network Management Protocol)等のようなプロトコルやユーザインタフェースのためのソフトウェアを実装している。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視制御装置と操作表示装置との間で汎用のデータ伝送方式でデータ通信を行うことにより、システムのメンテナンスを容易とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−108272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ネットワークに接続している装置を遠隔から監視・制御するためには、上述のようなSNMP等のプロトコルやユーザインタフェースのためのソフトウェアが必要とされている。そのため、装置を構成するハードウェアには、このようなプロトコルやユーザインタフェースのためのソフトウェアの処理に相応しい高い性能が必要であった。
【0006】
また、これらのソフトウェアの仕様追加や仕様変更、不具合対策をする際には、全ての装置についてソフトウェアを更新する必要があった。特許文献1のシステムにおいても、装置側でユーザインタフェースのためのソフトウェアを搭載しているため、仕様変更等の際には全ての装置についてソフトウェアの更新をしなければならない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ネットワークに接続している装置を監視・制御するシステムにおいて、装置を簡素化することができる監視制御方法及び監視制御装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、保守性の高い監視制御システムを実現することができる監視制御方法及び監視制御装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置と監視制御装置がネットワークで接続されたシステムにおける監視制御方法であって、前記装置が所定のタイミングで自装置のハードウェアI/O情報を読み出して前記監視制御装置に送信し、前記監視制御装置が、各前記装置から受信したハードウェアI/O情報を管理用記憶領域に装置毎に記憶し、前記管理用記憶領域に記憶された各装置のハードウェアI/O情報に基づいて各装置の状態を監視制御することを特徴とする監視制御方法である。
【0009】
本発明は、ネットワークで接続された各装置から自発的に送信されたハードウェアI/O情報を受信し、受信したハードウェアI/O情報を管理用記憶領域に装置毎に記憶し、前記管理用記憶領域に記憶された各装置のハードウェアI/O情報に基づいて各装置の制御監視処理を行うことを特徴とする監視制御装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークに接続している装置を監視・制御するシステムにおいて、装置の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る監視制御システムの構成図である。
【図2】図2は。ハードウェアI/Oマップを例示する図である。
【図3】図3はハードウェアI/O情報のデータフォーマットを例示する図である。
【図4】図4はメモリ上の仮想I/Oエリアの構造を例示する図である。
【図5】図5はハードウェアI/O情報送信処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6はハードウェアI/O情報受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は第2の実施形態に係る監視制御システムの構成図である。
【図8】図8はハードウェアI/O情報送信処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9はハードウェアI/O情報のデータフォーマットを例示する図である。
【図10】図10はハードウェアI/O情報受信処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視制御システムの構成図である。図示されるように、監視制御システムは、装置10と監視制御サーバ20とを備える。装置10と監視制御サーバ20はTCP/IP等の通信プロトコルによりネットワーク接続されている。
【0014】
装置10は、情報送受信部11を備える。情報送受信部11は、周期タイマのタイムアウトに応答して定期的にメモリの所定領域から当該装置のハードウェアI/Oに関するハードウェアI/O情報を読み出す。ハードウェアI/Oマップの一例を図2に示す。図2のマップでは例えばRead対象のアドレス範囲である0x80000000〜0x8000FFFFと0xFFFF0000〜0xFFFFFFFFからハードウェアI/O情報が読み出される。
【0015】
情報送受信部11は、読み出したハードウェアI/O情報に、管理制御サーバ20のIPアドレスと、当該装置10のIPアドレスと、読み出したハードウェアI/O情報のアドレス範囲を付与し、監視制御サーバ20に送信する。送信されるハードウェアI/O情報のデータフォーマットの一例を図3に示す。
【0016】
監視制御サーバ20は、情報受信部21とユーザインタフェースアプリケーション部22を備える。
【0017】
情報受信部21は、各装置10からハードウェアI/O情報を受信し、ハードウェアI/O情報とそれに付与された送信元IPアドレスをメモリ上に設定する。管理制御サーバ20のメモリは、複数のハードウェアI/O情報等を保存する仮想I/Oエリアを有する。メモリ上の仮想I/Oエリアの構造を図4に例示する。仮想I/Oエリアでは、送信元IPアドレス毎にハードウェアI/O情報が保存・更新される。
【0018】
ユーザインタフェースアプリケーション部22は、定期的に更新される仮想I/Oエリアに格納された情報を仮想的なハードウェアI/O情報とみなして読み出しを行い、読み出した情報に基づいて、ハードウェアI/O情報の変化に基づいた装置状態の表示やアラーム表示等のような各装置10の監視に関する各種処理を行う。
【0019】
次に、本実施形態に係る監視制御システムの動作について説明する。
【0020】
初めに、装置10によるハードウェアI/O情報送信処理について図5を参照して説明する。
【0021】
周期タイマがタイムアウトすると、情報受信部21は、予め定められた対象I/OエリアからハードウェアI/O情報を読み出す(ステップS51)。
【0022】
情報受信部21は、読み出したハードウェアI/O情報に宛先IPアドレス、当該装置10のIPアドレス、読み出したハードウェアI/O情報のアドレス範囲等のデータを付与して、送信用のハードウェアI/O情報を生成し(ステップS52)し、監視制御サーバ20宛てに送信する(ステップS53)。
【0023】
次に、監視制御サーバ20によるハードウェアI/O情報受信処理について図6を参照して説明する。
【0024】
情報受信部21は、ハードウェアI/O情報を受信すると、受信したハードウェアI/O情報に付されている送信元のIPアドレスと一致するIPアドレスが汎用メモリ上の仮想I/Oエリアに存在するかを判別する(ステップS61)。一致するIPアドレスが存在する場合(ステップS61:YES)、該当装置のハードウェアI/O情報を更新する(ステップS62)。また、一致するIPアドレスが存在しない場合(ステップS61:NO)、受信したハードウェアI/O情報とそれに付されている送信元のIPアドレスを仮想I/Oエリアに新規に保存する(ステップS63)。
【0025】
以上のように、本実施の形態によれば、各装置は自装置のハードウェアI/O情報を読み出してサーバ(監視制御サーバ)に送信し、サーバ側にユーザインタフェースのための監視制御アプリケーションを設け、サーバが各装置から送信されたハードウェアI/O情報をもとに各装置の状態を監視する。これにより、装置の構成を簡素化することができる。監視制御アプリケーションはサーバ上のソフトウェアであるため、仕様変更や機能拡張に対して容易に対応することができる。また、装置単位で設定情報等を保持する必要がないため、装置の置き換えが容易になる。また、システムの情報管理や装置設定情報がサーバ側で一元管理できる。また、監視制御対象となる装置とサーバがやりとりする情報をハードウェアI/O情報のみとすることで監視ネットワークのトラフィックを減らすことができる。
【0026】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るシステムでは、監視制御サーバから各装置の制御を行う。
【0027】
図7は、第2の実施形態に係る監視制御システムの構成図である。図示されるように、監視制御システムは、装置10と監視制御サーバ20とを備える。装置10と監視制御サーバ20はTCP/IP等の通信プロトコルによりネットワーク接続されている。
【0028】
監視制御サーバ20が各装置10を制御するためにハードウェアI/O情報を送信する処理について図8を参照して説明する。
【0029】
監視制御サーバ20のユーザインタフェースアプリケーション部22は、当該サーバに入力されたユーザからの制御指示に応答して、制御対象の装置10について、書き込み対象となるハードウェアI/Oエリア(例えば図3のハードウェアI/OエリアE2)のアドレスをアドレス範囲に設定し、装置のハードウェアの仕様として予め定められた制御であって、ユーザからの制御指示に基づく制御に相当するハードウェアI/O情報をメモリに書き込む(ステップS81)。
【0030】
そして、そのアドレス範囲とハードウェアI/O情報に、宛先として制御対象の装置10のIPアドレス、送信元として監視制御サーバ20のIPアドレスを付与した送信用のハードウェアI/O情報を生成する(ステップS82)。ユーザインタフェースアプリケーション部22により生成されるハードウェアI/O情報のデータフォーマットを図9に例示する。
【0031】
ユーザインタフェースアプリケーション部22は、生成したハードウェアI/O情報を、ネットワークを介して送信する(ステップS83)。
【0032】
次に、装置10によるハードウェアI/O情報受信処理について図10を参照して説明する。
【0033】
情報送受信部11は、ハードウェアI/O情報を受信すると、受信データが示すアドレス範囲に対して、受信したハードウェアI/O情報を書き込む(ステップS101)。
【0034】
以上、好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【0035】
例えば、監視制御サーバ20において既に監視対象となっている装置10から一定期間ハードウェアI/O情報を受信できない場合には、監視制御対象から除外するようにしてもよい。具体的には、監視制御サーバ20は、仮想I/Oエリアに格納されている各装置のI/Oデータの受信時間からの経過時間が、所定時間(例えば、装置のハードウェアI/O情報の定期送信時間等)を超えた場合には、該当する装置10の仮想I/Oエリアを削除して監視制御対象から除外してもよく、また、該当する装置10の状態を休止状態や制御不能状態としてユーザインタフェースに出力して表現してもよい。
【0036】
上述した本発明の実施形態に係る装置10と監視制御サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)がメモリに格納された動作プログラム等を読み出して実行することにより実現されてもよく、また、ハードウェアで構成されてもよい。上述した実施の形態の一部の機能のみをコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10 装置
11 情報送受信部
20 管理制御サーバ
21 情報受信部
22 ユーザインタフェースアプリケーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置と監視制御装置がネットワークで接続されたシステムにおける監視制御方法であって、
前記装置が所定のタイミングで自装置のハードウェアI/O情報を読み出して前記監視制御装置に送信し、
前記監視制御装置が、各前記装置から受信したハードウェアI/O情報を管理用記憶領域に装置毎に記憶し、前記管理用記憶領域に記憶された各装置のハードウェアI/O情報に基づいて各装置の状態を監視制御する
ことを特徴とする監視制御方法。
【請求項2】
前記監視制御装置が、ある装置の制御指示を受けた場合、当該制御指示に応じた前記装置のハードウェアI/O情報を前記管理用記憶領域に記憶するとともに前記装置宛てに送信し、
前記装置が、前記制御指示に応じたハードウェアI/O情報を受信した場合、当該ハードウェアI/O情報を所定の記憶領域に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御方法。
【請求項3】
ネットワークで接続された各装置から自発的に送信されたハードウェアI/O情報を受信し、
受信したハードウェアI/O情報を管理用記憶領域に装置毎に記憶し、
前記管理用記憶領域に記憶された各装置のハードウェアI/O情報に基づいて各装置の制御監視処理を行う
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
ある装置の制御指示を受けた場合、当該制御指示に応じた前記装置のハードウェアI/O情報を前記管理用記憶領域に記憶するとともに前記装置宛てに送信する、
ことを特徴とする監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204891(P2012−204891A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65181(P2011−65181)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】