監視装置
【課題】複数の事業者を跨ったパスにて発生した警報受信時に、障害原因が自事業者にあるのか、他事業者にあるのかの判断を迅速に実施可能とする。
【解決手段】ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段とを備える。
【解決手段】ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる事業者(通信事業者)の回線が接続されてサービスが提供される環境における障害監視の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、異なる事業者間で回線の接続を行い、複数の異なる事業者を跨ったパス(サービス)をユーザに提供するケースが増えてきている。
【0003】
しかしながら、障害に対する監視網はそれぞれの事業者において構築されており、当然ながら監視装置(OPS:Operation System)も各事業者それぞれに設置されていて、事業者間での警報情報の自動的な連携も行っていない。自動的な連携を行っていない背景としては、自事業者のパス情報は機密保持の観点から他事業者に公開できないという事情がある。
【0004】
事業者を跨るパスに関連する障害が発生し、パス上に存在する通信装置(NE:Network Element)から監視装置が警報情報を受信した場合、障害が発生した事業者は関連する他の事業者に対して障害の連絡を行い、対応を速やかに実施する必要が生じる。
【0005】
この時、各事業者は、先ず自事業者内で障害が発生したことによる警報情報を受信したのか、他事業者で障害が発生したことによる警報情報(影響警報情報)を受信したのかを切り分ける必要がある。そのため、何か問題が発生したかを関連する事業者間で確認し合った上で、原因究明およびその復旧対応を行っている。
【0006】
図1は複数の事業者を跨ったパスの例を示す図であり、事業者Xには通信装置NE#1〜NE#3と監視装置OPS#1とが設けられ、事業者Yには通信装置NE#4〜NE#6と監視装置OPS#2とが設けられている。また、通信装置NE#1、NE#2間でセクションA、通信装置NE#2、NE#3間でセクションB、通信装置NE#3、NE#4間でセクションC、通信装置NE#4、NE#5間でセクションDをそれぞれ構成し、セクションA〜Dでパス#1を構成している。パス#1は事業者X、Yを跨ったものとなる。通信装置NE#5、NE#6間のセクションEはパス#2を構成するが、パス#2は事業者Yに閉じたものとなっている。
【0007】
以下、図1のパス#1の経路上の事業者X内のセクションBにおいて障害が発生したものとして、障害対応の処理について説明する。
【0008】
図2は従来における障害対応の手順を示すフローチャートである。
【0009】
事業者XのセクションBにおいて障害が発生すると、障害による警報情報を事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2がそれぞれ受信する(ステップS1)。図3(a)は監視装置OPS#1、OPS#2がそれぞれ受信する警報情報の例を示しており、事業者Xの監視装置OPS#1は、発生箇所:パス#1、発生装置(警報情報を発生した装置):NE#1、物理位置:1−1−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2、物理位置:2−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3、物理位置:1−1、警報種別:LOSとを受信する。また、事業者Yの監視装置OPS#2は、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5、物理位置:1−1−1、警報種別:AISを受信する。ここで、警報種別のAIS(Alarm Indication Signal)は、上流で故障が検出され警報が出されたことを下流の終端点と接続点に伝達するためにAIS信号を送出したことを示す警報である。また、LOS(Loss of Signal)は、着信信号で連続するゼロが検出されることで信号消失があったことを示す警報である。
【0010】
図2に戻り、事業者X、Yでは各事業者内において、それぞれの監視装置(OPS#1、OPS#2)が受信した警報情報を元に障害原因の解析を行う(ステップS2)。すなわち、事業者Xでは、監視装置OPS#1が受信した警報情報から、
・パス#1で異常が発生している。
【0011】
・パス#1の上位階層であるセクションBにて異常が発生している。
【0012】
・セクションBの通信装置NE#3の異常が障害の原因と推測される。
という認識を持つが、
・本当にセクションBの通信装置NE#3の異常が障害の原因なのか?
・パスが跨っている他事業者で障害原因の警報が発生しているのではないか?
・パスが跨っている他事業者にも影響が及んでいるのか?
・影響が及んでいる他事業者ではどの程度の影響が発生しているのか?
ということは把握不可能である。
【0013】
また、事業者Yでは、監視装置OPS#2が受信した警報情報から、
・パス#1で異常が発生している。
【0014】
・パス#1の異常以外の情報が入手できないことから、自事業者が障害の原因ではないと推測される。
という認識を持つが、
・本当に自事業者は障害の原因ではないのか?
・障害の原因が発生している事業者はどこなのか?
・障害原因の内容は何なのか?
・パスが跨っている他事業者にも影響が及んでいるのか?
・影響が及んでいる他事業者ではどの程度の影響が発生しているのか?
ということは把握不可能である。
【0015】
そこで、自事業者内の警報情報だけでは判断できないため、他事業者と直接に情報の相互確認を行う(ステップS3)。すなわち、担当者同士による電話連絡等により、図3(a)に示した警報情報を相互に交換する。なお、発生装置や物理位置はそれぞれの事業者で管理される情報であるため、交換する情報に含めたとしても、さほどの意味は持たない。
【0016】
図2に戻り、事業者X、Yでは各事業者内において、確認し合った情報を元に障害の原因究明を行う(ステップS4)。図3(b)は情報交換により統合された警報情報を示しており、事業者Xでは、
・自事業者内のセクションBの通信装置NE#3が障害の原因だった。
【0017】
・パスが跨っている事業者Yに対しても影響が及んでいた。
と判断され、事業者Yでは、
・自事業者は障害の原因ではなかった。
【0018】
・事業者Xで発生している障害の影響を受けて警報が発生していた。
と判断される。
【0019】
図2に戻り、事業者X、Yでは、特定された障害原因に対して復旧行動を開始する(ステップS5)。
【0020】
一方、特許文献1には、ネットワークにおけるラベルスイッチパスの設定状況を適切に把握できるネットワーク監視ツールが開示されている。また、特許文献2には、複数のネットワークにまたがって構成された複雑なシステムにおいても、人的作業を必要とせずに障害の集中管理および遠隔での管理が可能な障害管理方法が開示されている。しかしながら、上述したような複数の異なる事業者を跨ったパスが形成されている場合の障害対応については考慮されていない。
【特許文献1】特開2005−286818号公報
【特許文献2】特開平8−328979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したように、複数の事業者を跨ったパスにて障害が発生し警報情報を受信した場合、各事業者は自事業者が障害の原因なのか、他事業者が障害の原因なのかを判断する必要があるが、自事業者が保持している警報情報のみでは早急な判断ができないケースが多々ある。そのため、何か問題が発生したかを関連する事業者間で確認し合うことが必要になり、原因究明およびその復旧対応には時間がかからざるを得ないという問題を生じていた。
【0022】
また、たとえ各事業者の監視装置にて警報情報の自動的な連携を行い、発生した警報情報を他事業者の監視装置に自動的に通知するようにしても、自事業者のパス情報は他事業者に公開できず、同様に他事業者のパス情報を自事業者は取得することができないため、それぞれ他事業者のネットワーク構成がわからず、警報情報がどこに影響するのかを判断することができない。
【0023】
上記の従来の問題点に鑑み、複数の事業者を跨ったパスにて発生した警報受信時に、障害原因が自事業者にあるのか、他事業者にあるのかの判断を迅速に実施可能とする監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この監視装置の一実施態様では、ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段とを備える。
【0025】
好ましくは、前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する。
【0026】
好ましくは、他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段とを備える。
【0027】
好ましくは、前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する。
【0028】
好ましくは、前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する。
【発明の効果】
【0029】
開示の監視装置にあっては、複数の事業者を跨るパスにおいて警報が発生した場合、他事業者から関連する警報情報が通知されるため、障害原因が自事業者にあるのか他事業者にあるのかの判断を迅速に実施することができ、事業者間での障害発生に関する情報確認が不要となる。これにより、障害復旧に対する初動が早くなるとともに確実な対応が可能となり、その結果、障害発生から復旧までの時間短縮が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0031】
図4は本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【0032】
図4においては、事業者Xの監視装置OPS#1の内部構成を示しているが、他の事業者Y、Z、・・の監視装置OPS#2、OPS#3、・・についても同様の構成となる。
【0033】
監視装置OPS#1は、処理に必要なデータを保持するデータベースとして、警報情報データベース111とネットワーク構成情報データベース112と他事業者情報データベース113とを備えている。これらのデータベースは、監視装置OPS#1内のHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体上にデータを体系的に保持するものである。
【0034】
警報情報データベース111は、自事業者内の通信装置NE#1、NE#2、・・および他の事業者Y、Z、・・から受信した警報情報を保持するものである。データ構造としては、警報情報に含まれる項目(発生箇所、発生装置、物理位置、警報種別等)に対応するフィールドと、判定結果(障害の主原因であるか否か等の判定結果)を格納するフィールドとが含まれる。
【0035】
ネットワーク構成情報データベース112は、自事業者内のネットワーク構成情報を保持するものであり、セクション情報とパス情報とを含んでいる。パス情報には、該当するパスが他事業者に跨るものである場合、パス毎にユニークな他事業者パスIDが付される。すなわち、予め各事業者(X、Y、Z、・・)の監視装置(OPS#1、OPS#2、OPS#3、・・)において、どのパスが事業者間を跨っているパスなのか、また跨っている事業者はどこなのかを把握するために、パス情報に一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する。この他事業者パスIDは関連する他の事業者間において同一のIDを規定する。
【0036】
他事業者情報データベース113は、上記の他事業者パスID毎に、関係する他事業者の情報(警報情報の送信先等)を保持するものである。
【0037】
一方、監視装置OPS#1は、所定の処理を行う機能部として、警報監視部101と主原因警報判定部102と影響有無確認部103と影響警報送信部104とWebサーバ105とを備えている。これらの機能部は、監視装置OPS#1を構成するコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。なお、各機能部は、単一のコンピュータ上に配置される必要はなく、必要に応じて分散される形態であってもよい。
【0038】
警報監視部101は、自事業者内の通信装置NE#1、NE#2、・・および他の事業者Y、Z、・・から警報情報を受信し、警報情報データベース111に格納する機能を有している。
【0039】
主原因警報判定部102は、障害の主原因となる警報情報を選別する手段および関連事業者全てにおける障害原因警報を特定する手段を兼ねるものである。すなわち、主原因警報判定部102は、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベース112を参照することで、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定し、判定結果を警報情報データベース111に格納する機能を有している。また、主原因警報判定部102は、他事業者からも警報情報を受信した際に、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベースを参照することで、自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定し、判定結果を警報情報データベース111に格納する機能を有している。
【0040】
影響有無確認部103は、他事業者に対する影響の有無を確認する手段であり、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベース112を参照することで、主原因警報判定部102により選別した主原因警報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認する機能を有している。
【0041】
影響警報送信部104は、影響のある警報情報のみに限定した監視装置間での情報連携を行う手段であり、影響有無確認部103により他事業者に対して影響があると判断された場合、該当する他事業者の監視装置に対して、他事業者情報データベース113を参照することで、主原因警報情報に加え、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する機能を有している。
【0042】
Webサーバ105は、事業者X内の担当者の操作するクライアント端末Tに警報情報データベース111の格納情報を提供する機能を有している。
【0043】
図5は監視装置(OPS#1、OPS#2)の処理例を示すフローチャートである。なお、以下では事業者X、Yが図1に示した接続を行っている場合を例にしている。また、障害発生の例としては、パス#1の経路上の事業者X内のセクションBにおいて障害が発生したものとしている。
【0044】
図5において、各事業者X、Yでは、事前の登録情報管理として、パス情報に一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する(ステップS11)。
【0045】
図6(a)はネットワーク構成情報データベース112の例を示している。事業者Xネットワーク構成情報データベース112では、セクション情報として、セクションA、B、C等につき、「ID(セクションID)」「セクション名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」等が設定され、パス情報として、パス#1につき、「ID(パスID)」「パス名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」「セクションID」「CH(チャネル)」・・「セクションID」「CH」「他事業者パスID」等が設定されている。セクションCについては、終端装置は他事業者に存在するため「NE#他」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0046】
また、事業者Yのネットワーク構成情報データベース112では、セクション情報として、セクションD、C、E等につき、「ID(セクションID)」「セクション名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」等が設定され、パス情報として、パス#1、パス#2につき、「ID(パスID)」「パス名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」「セクションID」「CH」・・「セクションID」「CH」「他事業者パスID」等が設定されている。セクションCについては、終端装置は他事業者に存在するため「NE#他」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0047】
パス#1は事業者X、Yを跨るパスであるため、事業者X、Yのパス情報は、パス#1に同一の他事業者パスID「001」が付与されている。また、事業者Yのパス#2は事業者間を跨っていないため、パス#2には他事業者パスIDは付与されていない。
【0048】
一方、他事業者情報データベース113には、図6(b)に示す他事業者情報が設定されている。すなわち、事業者Xの他事業者情報データベース113では「他事業者パスID:001」に対応して「他事業者1:事業者Y」「送信先:xx.xx.xx.xx」等が設定され、事業者Yの他事業者情報データベース113では「他事業者パスID:001」に対応して「他事業者1:事業者X」「送信先:xx.xx.xx.xx」等が設定されている。
【0049】
図5に戻り、障害が発生すると、障害による警報情報を事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2が受信する(ステップS12)。警報情報の受信は警報監視部101により行われ、警報監視部101は受信した警報情報を警報情報データベース111に格納する。
【0050】
図7は障害発生時に受信する警報情報の例を示す図である。事業者Xの監視装置OPS#1は、(a)に示すように、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#1、物理位置:1−1−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2、物理位置:2−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3、物理位置:1−1、警報種別:LOSとを受信する。また、事業者Yの監視装置OPS#2は、(b)に示すように、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5、物理位置:1−1−1、警報種別:AISを受信する。なお、受信した警報情報はそれぞれ自事業者の管理領域内にて発生した警報であるため、この時点では他事業者の警報発生状況や障害の主原因を判定することはできない。
【0051】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、主原因警報判定部102により、受信した警報情報を対象に主原因警報の判定を行う(ステップS13)。すなわち、受信している警報情報の中でどの警報が主原因警報かを判定する。
【0052】
図8は主原因警報判定の処理例を示す図である。事業者Xにおける監視装置OPS#1の主原因警報判定部102は、(a)に示すように、先ず、受信した警報情報において、最も上位階層にて発生している警報を選別する(ステップS131X)。想定している障害の例では、事業者Xの場合、パス#1はセクションBよりも下層に位置するため、パス#1から発生している警報は主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0053】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の主原因警報判定部102は、同じ階層の警報であっても警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報を選別する(ステップS132X)。想定している障害の例では、セクションBにつきAISとLOSの警報情報を受信しており、LOSの方が重要度が高いため、AISの方を主原因警報ではないと判断し(図中では「×」と表示)、LOSの方を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0054】
同様に、事業者Yにおける監視装置OPS#2の主原因警報判定部102は、(b)に示すように、先ず、受信した警報情報において、最も上位階層にて発生している警報を選別し(ステップS131Y)、同じ階層の警報であっても警報の重要度(障害レベル)が高い警報を選別するが(ステップS132Y)、想定している障害の例では、事業者Yの場合、パス#1についての警報情報のみであるため、その警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0055】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、影響有無確認部103により、選別した主原因警報情報とネットワーク構成情報データベース112の管理情報から、他事業者への影響の有無をチェックする(ステップS14)。すなわち、それぞれの事業者にて、選別した主原因警報が他事業者に対して影響を持つかどうかを、主原因警報の発生箇所と、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているどうかと、更に、主原因警報が影響を及ぼす箇所に他事業者パスIDが付与されているかどうかとによってチェックする。
【0056】
図9は影響有無確認の処理例を示す図である。事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、(a)に示すように、先ず、主原因警報の発生箇所から警報の発生箇所を特定する(ステップS141X)。想定している障害の例では、主原因警報の発生箇所はセクションBであると特定する。
【0057】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS142X)。想定している障害の例では、セクション情報のセクションBの情報を参照することで、セクション情報には他事業者パスIDが付与されていないため、主原因警報が直接に他事業者に影響あるわけではないことがわかる。
【0058】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、発生箇所が影響を及ぼす箇所、すなわち主原因警報の発生箇所の影響階層に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS143X)。想定している障害の例では、パス情報からセクションBのセクションID「2」を含むパス#1が影響を及ぼす箇所であると判断し、そのパス情報に他事業者パスID「001」が付与されていることから、他事業者に影響があることがわかる。
【0059】
同様に、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、(b)に示すように、先ず、主原因警報の発生箇所から警報の発生箇所を特定する(ステップS141Y)。想定している障害の例では、主原因警報の発生箇所はパス#1と特定する。
【0060】
次いで、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS142Y)。想定している障害の例では、パス情報のパス#1の情報を参照することで、パス情報に他事業者パスID「001」が付与されていることから、他事業者に影響があることがわかる。
【0061】
次いで、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、発生箇所が影響を及ぼす箇所、すなわち主原因警報の発生箇所の影響階層に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS143Y)。想定している障害の例では、パス#1よりも下位の階層は存在せず、下位階層から上位階層に対して影響が及ぶことはないため、確認対象外となる。
【0062】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、影響警報送信部104により、発生箇所、もしくは発生箇所が影響を及ぼす箇所に他事業者パスIDが付与されていた場合、警報情報を影響先の事業者の監視装置に送信する(ステップS15)。すなわち、それぞれの事業者において、他事業者に影響のある主原因警報情報に加えて、他事業者パスID、主原因警報の発生階層を影響のある他事業者に送信する。事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、相手方から送信される警報情報を警報監視部101により受信し、警報情報データベース111に格納する。
【0063】
図10(a)は事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2から送信される警報情報の例を示しており、事業者Xの監視装置OPS#1からは発生階層:セクション、警報種別:LOS、他事業者パスID:001が送信され、事業者Yの監視装置OPS#2からは発生階層:パス、警報種別:AIS、他事業者パスID:001が送信されている。
【0064】
図10(b)は、自事業者内の通信装置から受信した警報情報と、関係する他事業者から受信した警報情報とを統合した警報情報の例を示している。なお、他事業者から受信した警報情報の発生装置は他事業者内に存在するため「他装置」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0065】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、主原因警報判定部102により、新たに受信した警報情報(影響警報情報)も含めて、再度、主原因警報の判定を行う(ステップS16)。
【0066】
図11は主原因警報判定(再判定)の処理例を示す図であるが、処理手順は図8に示した最初の判定処理と同一である。ただし、対象となる警報情報に新たな情報が加わっているため、判定結果は異なってくる可能性がある。
【0067】
事業者Xの主原因警報判定部102は、(a)に示すように、最も上位階層にて発生している警報の選別(ステップS133X)において、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#1の警報情報と、発生箇所:パス、発生装置:他装置の警報情報を主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0068】
次いで、事業者Xの主原因警報判定部102は、警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報の選別(ステップS134X)において、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2の警報情報を主原因警報ではないと判断し(図中では「×」と表示)、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3の警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0069】
また、事業者Yの主原因警報判定部102は、(b)に示すように、最も上位階層にて発生している警報の選別(ステップS133Y)において、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5の警報情報を主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0070】
次いで、事業者Yの主原因警報判定部102は、警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報の選別(ステップS134Y)において、発生箇所:セクション、発生装置:他装置の警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0071】
この例では、結果として、事業者Xでは主原因警報は変わらないが、事業者Yでは他事業者のセクション(セクションB)にて発生したLOS警報が主原因警報として判定される。
【0072】
図5に戻り、事業者X、Yの担当者は、それぞれに判定された主原因警報から障害の原因を確認する(ステップS17)。すなわち、再判定の結果である主原因警報から、障害の原因がどこにあるのかを確認する。
【0073】
図12は障害原因確認の処理例を示す図である。事業者Xでは、(a)に示すように、障害の原因が自事業者内のセクションBの通信装置NE#3であることを確認することができる。また、事業者Yでは、(b)に示すように、障害の原因が他事業者のセクション階層での障害であることを確認することができる。
【0074】
図5に戻り、事業者X、Yの担当者は、障害原因に対して復旧行動を開始する(ステップS18)。
【0075】
以上説明した実施形態によれば、次のような利点がある。
(1)異なる事業者間で警報情報の自動的な連携が行われるため、担当者同士による電話連絡等による障害状況の確認は必要なくなり、電話連絡等に費やす労力をなくし、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
(2)それぞれの担当者が把握している警報情報の全てではなく、主原因警報と判定された警報情報のみが自動に通知されるため、障害原因を把握しやすくなり、障害原因の把握のための労力を軽減し、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
(3)他事業者から自動的に通知された警報情報に基づいて改めて主原因警報の判定を行うため、障害原因を把握しやすくなり、障害原因の把握のための労力を軽減し、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
(付記1) ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする監視装置。
(付記2) 前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする付記1に記載の監視装置。
(付記3) 他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段と
を備えたことを特徴とする付記1または2のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記4) 前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記5) 前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記6) 前記送信手段は、他事業者の送信先情報に基づき、該当する他事業者に対して警報情報を送信する
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記7) ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理工程と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信工程と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別工程と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認工程と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信工程と
を備えたことを特徴とする監視制御方法。
(付記8) 前記管理工程は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする付記7に記載の監視制御方法。
(付記9) 他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する工程と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する工程と
を備えたことを特徴とする付記7または8のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記10) 前記選別工程は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする付記7乃至9のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記11) 前記確認工程は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする付記7乃至10のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記12) 前記送信工程は、他事業者の送信先情報に基づき、該当する他事業者に対して警報情報を送信する
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれか一項に記載の監視制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】複数の事業者を跨ったパスの例を示す図である。
【図2】従来における障害対応の手順を示すフローチャートである。
【図3】警報情報の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【図5】監視装置の処理例を示すフローチャートである。
【図6】ネットワーク構成情報データベースおよび他事業者情報データベースの構造例を示す図である。
【図7】障害発生時に受信する警報情報の例を示す図である。
【図8】主原因警報判定の処理例を示す図である。
【図9】影響有無確認の処理例を示す図である。
【図10】影響警報送信の例を示す図である。
【図11】主原因警報判定(再判定)の処理例を示す図である。
【図12】障害原因確認の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
NE#1〜NE#6 通信装置
OPS#1〜OPS#3 監視装置
101 警報監視部
102 主原因警報判定部
103 影響有無確認部
104 影響警報送信部
105 Webサーバ
111 警報情報データベース
112 ネットワーク構成情報データベース
113 他事業者情報データベース
T クライアント端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる事業者(通信事業者)の回線が接続されてサービスが提供される環境における障害監視の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、異なる事業者間で回線の接続を行い、複数の異なる事業者を跨ったパス(サービス)をユーザに提供するケースが増えてきている。
【0003】
しかしながら、障害に対する監視網はそれぞれの事業者において構築されており、当然ながら監視装置(OPS:Operation System)も各事業者それぞれに設置されていて、事業者間での警報情報の自動的な連携も行っていない。自動的な連携を行っていない背景としては、自事業者のパス情報は機密保持の観点から他事業者に公開できないという事情がある。
【0004】
事業者を跨るパスに関連する障害が発生し、パス上に存在する通信装置(NE:Network Element)から監視装置が警報情報を受信した場合、障害が発生した事業者は関連する他の事業者に対して障害の連絡を行い、対応を速やかに実施する必要が生じる。
【0005】
この時、各事業者は、先ず自事業者内で障害が発生したことによる警報情報を受信したのか、他事業者で障害が発生したことによる警報情報(影響警報情報)を受信したのかを切り分ける必要がある。そのため、何か問題が発生したかを関連する事業者間で確認し合った上で、原因究明およびその復旧対応を行っている。
【0006】
図1は複数の事業者を跨ったパスの例を示す図であり、事業者Xには通信装置NE#1〜NE#3と監視装置OPS#1とが設けられ、事業者Yには通信装置NE#4〜NE#6と監視装置OPS#2とが設けられている。また、通信装置NE#1、NE#2間でセクションA、通信装置NE#2、NE#3間でセクションB、通信装置NE#3、NE#4間でセクションC、通信装置NE#4、NE#5間でセクションDをそれぞれ構成し、セクションA〜Dでパス#1を構成している。パス#1は事業者X、Yを跨ったものとなる。通信装置NE#5、NE#6間のセクションEはパス#2を構成するが、パス#2は事業者Yに閉じたものとなっている。
【0007】
以下、図1のパス#1の経路上の事業者X内のセクションBにおいて障害が発生したものとして、障害対応の処理について説明する。
【0008】
図2は従来における障害対応の手順を示すフローチャートである。
【0009】
事業者XのセクションBにおいて障害が発生すると、障害による警報情報を事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2がそれぞれ受信する(ステップS1)。図3(a)は監視装置OPS#1、OPS#2がそれぞれ受信する警報情報の例を示しており、事業者Xの監視装置OPS#1は、発生箇所:パス#1、発生装置(警報情報を発生した装置):NE#1、物理位置:1−1−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2、物理位置:2−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3、物理位置:1−1、警報種別:LOSとを受信する。また、事業者Yの監視装置OPS#2は、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5、物理位置:1−1−1、警報種別:AISを受信する。ここで、警報種別のAIS(Alarm Indication Signal)は、上流で故障が検出され警報が出されたことを下流の終端点と接続点に伝達するためにAIS信号を送出したことを示す警報である。また、LOS(Loss of Signal)は、着信信号で連続するゼロが検出されることで信号消失があったことを示す警報である。
【0010】
図2に戻り、事業者X、Yでは各事業者内において、それぞれの監視装置(OPS#1、OPS#2)が受信した警報情報を元に障害原因の解析を行う(ステップS2)。すなわち、事業者Xでは、監視装置OPS#1が受信した警報情報から、
・パス#1で異常が発生している。
【0011】
・パス#1の上位階層であるセクションBにて異常が発生している。
【0012】
・セクションBの通信装置NE#3の異常が障害の原因と推測される。
という認識を持つが、
・本当にセクションBの通信装置NE#3の異常が障害の原因なのか?
・パスが跨っている他事業者で障害原因の警報が発生しているのではないか?
・パスが跨っている他事業者にも影響が及んでいるのか?
・影響が及んでいる他事業者ではどの程度の影響が発生しているのか?
ということは把握不可能である。
【0013】
また、事業者Yでは、監視装置OPS#2が受信した警報情報から、
・パス#1で異常が発生している。
【0014】
・パス#1の異常以外の情報が入手できないことから、自事業者が障害の原因ではないと推測される。
という認識を持つが、
・本当に自事業者は障害の原因ではないのか?
・障害の原因が発生している事業者はどこなのか?
・障害原因の内容は何なのか?
・パスが跨っている他事業者にも影響が及んでいるのか?
・影響が及んでいる他事業者ではどの程度の影響が発生しているのか?
ということは把握不可能である。
【0015】
そこで、自事業者内の警報情報だけでは判断できないため、他事業者と直接に情報の相互確認を行う(ステップS3)。すなわち、担当者同士による電話連絡等により、図3(a)に示した警報情報を相互に交換する。なお、発生装置や物理位置はそれぞれの事業者で管理される情報であるため、交換する情報に含めたとしても、さほどの意味は持たない。
【0016】
図2に戻り、事業者X、Yでは各事業者内において、確認し合った情報を元に障害の原因究明を行う(ステップS4)。図3(b)は情報交換により統合された警報情報を示しており、事業者Xでは、
・自事業者内のセクションBの通信装置NE#3が障害の原因だった。
【0017】
・パスが跨っている事業者Yに対しても影響が及んでいた。
と判断され、事業者Yでは、
・自事業者は障害の原因ではなかった。
【0018】
・事業者Xで発生している障害の影響を受けて警報が発生していた。
と判断される。
【0019】
図2に戻り、事業者X、Yでは、特定された障害原因に対して復旧行動を開始する(ステップS5)。
【0020】
一方、特許文献1には、ネットワークにおけるラベルスイッチパスの設定状況を適切に把握できるネットワーク監視ツールが開示されている。また、特許文献2には、複数のネットワークにまたがって構成された複雑なシステムにおいても、人的作業を必要とせずに障害の集中管理および遠隔での管理が可能な障害管理方法が開示されている。しかしながら、上述したような複数の異なる事業者を跨ったパスが形成されている場合の障害対応については考慮されていない。
【特許文献1】特開2005−286818号公報
【特許文献2】特開平8−328979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したように、複数の事業者を跨ったパスにて障害が発生し警報情報を受信した場合、各事業者は自事業者が障害の原因なのか、他事業者が障害の原因なのかを判断する必要があるが、自事業者が保持している警報情報のみでは早急な判断ができないケースが多々ある。そのため、何か問題が発生したかを関連する事業者間で確認し合うことが必要になり、原因究明およびその復旧対応には時間がかからざるを得ないという問題を生じていた。
【0022】
また、たとえ各事業者の監視装置にて警報情報の自動的な連携を行い、発生した警報情報を他事業者の監視装置に自動的に通知するようにしても、自事業者のパス情報は他事業者に公開できず、同様に他事業者のパス情報を自事業者は取得することができないため、それぞれ他事業者のネットワーク構成がわからず、警報情報がどこに影響するのかを判断することができない。
【0023】
上記の従来の問題点に鑑み、複数の事業者を跨ったパスにて発生した警報受信時に、障害原因が自事業者にあるのか、他事業者にあるのかの判断を迅速に実施可能とする監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この監視装置の一実施態様では、ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段とを備える。
【0025】
好ましくは、前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する。
【0026】
好ましくは、他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段とを備える。
【0027】
好ましくは、前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する。
【0028】
好ましくは、前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する。
【発明の効果】
【0029】
開示の監視装置にあっては、複数の事業者を跨るパスにおいて警報が発生した場合、他事業者から関連する警報情報が通知されるため、障害原因が自事業者にあるのか他事業者にあるのかの判断を迅速に実施することができ、事業者間での障害発生に関する情報確認が不要となる。これにより、障害復旧に対する初動が早くなるとともに確実な対応が可能となり、その結果、障害発生から復旧までの時間短縮が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0031】
図4は本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【0032】
図4においては、事業者Xの監視装置OPS#1の内部構成を示しているが、他の事業者Y、Z、・・の監視装置OPS#2、OPS#3、・・についても同様の構成となる。
【0033】
監視装置OPS#1は、処理に必要なデータを保持するデータベースとして、警報情報データベース111とネットワーク構成情報データベース112と他事業者情報データベース113とを備えている。これらのデータベースは、監視装置OPS#1内のHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体上にデータを体系的に保持するものである。
【0034】
警報情報データベース111は、自事業者内の通信装置NE#1、NE#2、・・および他の事業者Y、Z、・・から受信した警報情報を保持するものである。データ構造としては、警報情報に含まれる項目(発生箇所、発生装置、物理位置、警報種別等)に対応するフィールドと、判定結果(障害の主原因であるか否か等の判定結果)を格納するフィールドとが含まれる。
【0035】
ネットワーク構成情報データベース112は、自事業者内のネットワーク構成情報を保持するものであり、セクション情報とパス情報とを含んでいる。パス情報には、該当するパスが他事業者に跨るものである場合、パス毎にユニークな他事業者パスIDが付される。すなわち、予め各事業者(X、Y、Z、・・)の監視装置(OPS#1、OPS#2、OPS#3、・・)において、どのパスが事業者間を跨っているパスなのか、また跨っている事業者はどこなのかを把握するために、パス情報に一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する。この他事業者パスIDは関連する他の事業者間において同一のIDを規定する。
【0036】
他事業者情報データベース113は、上記の他事業者パスID毎に、関係する他事業者の情報(警報情報の送信先等)を保持するものである。
【0037】
一方、監視装置OPS#1は、所定の処理を行う機能部として、警報監視部101と主原因警報判定部102と影響有無確認部103と影響警報送信部104とWebサーバ105とを備えている。これらの機能部は、監視装置OPS#1を構成するコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。なお、各機能部は、単一のコンピュータ上に配置される必要はなく、必要に応じて分散される形態であってもよい。
【0038】
警報監視部101は、自事業者内の通信装置NE#1、NE#2、・・および他の事業者Y、Z、・・から警報情報を受信し、警報情報データベース111に格納する機能を有している。
【0039】
主原因警報判定部102は、障害の主原因となる警報情報を選別する手段および関連事業者全てにおける障害原因警報を特定する手段を兼ねるものである。すなわち、主原因警報判定部102は、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベース112を参照することで、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定し、判定結果を警報情報データベース111に格納する機能を有している。また、主原因警報判定部102は、他事業者からも警報情報を受信した際に、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベースを参照することで、自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定し、判定結果を警報情報データベース111に格納する機能を有している。
【0040】
影響有無確認部103は、他事業者に対する影響の有無を確認する手段であり、警報情報データベース111およびネットワーク構成情報データベース112を参照することで、主原因警報判定部102により選別した主原因警報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認する機能を有している。
【0041】
影響警報送信部104は、影響のある警報情報のみに限定した監視装置間での情報連携を行う手段であり、影響有無確認部103により他事業者に対して影響があると判断された場合、該当する他事業者の監視装置に対して、他事業者情報データベース113を参照することで、主原因警報情報に加え、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する機能を有している。
【0042】
Webサーバ105は、事業者X内の担当者の操作するクライアント端末Tに警報情報データベース111の格納情報を提供する機能を有している。
【0043】
図5は監視装置(OPS#1、OPS#2)の処理例を示すフローチャートである。なお、以下では事業者X、Yが図1に示した接続を行っている場合を例にしている。また、障害発生の例としては、パス#1の経路上の事業者X内のセクションBにおいて障害が発生したものとしている。
【0044】
図5において、各事業者X、Yでは、事前の登録情報管理として、パス情報に一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する(ステップS11)。
【0045】
図6(a)はネットワーク構成情報データベース112の例を示している。事業者Xネットワーク構成情報データベース112では、セクション情報として、セクションA、B、C等につき、「ID(セクションID)」「セクション名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」等が設定され、パス情報として、パス#1につき、「ID(パスID)」「パス名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」「セクションID」「CH(チャネル)」・・「セクションID」「CH」「他事業者パスID」等が設定されている。セクションCについては、終端装置は他事業者に存在するため「NE#他」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0046】
また、事業者Yのネットワーク構成情報データベース112では、セクション情報として、セクションD、C、E等につき、「ID(セクションID)」「セクション名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」等が設定され、パス情報として、パス#1、パス#2につき、「ID(パスID)」「パス名」「終端装置1」「物理位置1」「終端装置2」「物理位置2」「セクションID」「CH」・・「セクションID」「CH」「他事業者パスID」等が設定されている。セクションCについては、終端装置は他事業者に存在するため「NE#他」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0047】
パス#1は事業者X、Yを跨るパスであるため、事業者X、Yのパス情報は、パス#1に同一の他事業者パスID「001」が付与されている。また、事業者Yのパス#2は事業者間を跨っていないため、パス#2には他事業者パスIDは付与されていない。
【0048】
一方、他事業者情報データベース113には、図6(b)に示す他事業者情報が設定されている。すなわち、事業者Xの他事業者情報データベース113では「他事業者パスID:001」に対応して「他事業者1:事業者Y」「送信先:xx.xx.xx.xx」等が設定され、事業者Yの他事業者情報データベース113では「他事業者パスID:001」に対応して「他事業者1:事業者X」「送信先:xx.xx.xx.xx」等が設定されている。
【0049】
図5に戻り、障害が発生すると、障害による警報情報を事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2が受信する(ステップS12)。警報情報の受信は警報監視部101により行われ、警報監視部101は受信した警報情報を警報情報データベース111に格納する。
【0050】
図7は障害発生時に受信する警報情報の例を示す図である。事業者Xの監視装置OPS#1は、(a)に示すように、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#1、物理位置:1−1−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2、物理位置:2−1、警報種別:AISと、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3、物理位置:1−1、警報種別:LOSとを受信する。また、事業者Yの監視装置OPS#2は、(b)に示すように、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5、物理位置:1−1−1、警報種別:AISを受信する。なお、受信した警報情報はそれぞれ自事業者の管理領域内にて発生した警報であるため、この時点では他事業者の警報発生状況や障害の主原因を判定することはできない。
【0051】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、主原因警報判定部102により、受信した警報情報を対象に主原因警報の判定を行う(ステップS13)。すなわち、受信している警報情報の中でどの警報が主原因警報かを判定する。
【0052】
図8は主原因警報判定の処理例を示す図である。事業者Xにおける監視装置OPS#1の主原因警報判定部102は、(a)に示すように、先ず、受信した警報情報において、最も上位階層にて発生している警報を選別する(ステップS131X)。想定している障害の例では、事業者Xの場合、パス#1はセクションBよりも下層に位置するため、パス#1から発生している警報は主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0053】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の主原因警報判定部102は、同じ階層の警報であっても警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報を選別する(ステップS132X)。想定している障害の例では、セクションBにつきAISとLOSの警報情報を受信しており、LOSの方が重要度が高いため、AISの方を主原因警報ではないと判断し(図中では「×」と表示)、LOSの方を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0054】
同様に、事業者Yにおける監視装置OPS#2の主原因警報判定部102は、(b)に示すように、先ず、受信した警報情報において、最も上位階層にて発生している警報を選別し(ステップS131Y)、同じ階層の警報であっても警報の重要度(障害レベル)が高い警報を選別するが(ステップS132Y)、想定している障害の例では、事業者Yの場合、パス#1についての警報情報のみであるため、その警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0055】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、影響有無確認部103により、選別した主原因警報情報とネットワーク構成情報データベース112の管理情報から、他事業者への影響の有無をチェックする(ステップS14)。すなわち、それぞれの事業者にて、選別した主原因警報が他事業者に対して影響を持つかどうかを、主原因警報の発生箇所と、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているどうかと、更に、主原因警報が影響を及ぼす箇所に他事業者パスIDが付与されているかどうかとによってチェックする。
【0056】
図9は影響有無確認の処理例を示す図である。事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、(a)に示すように、先ず、主原因警報の発生箇所から警報の発生箇所を特定する(ステップS141X)。想定している障害の例では、主原因警報の発生箇所はセクションBであると特定する。
【0057】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS142X)。想定している障害の例では、セクション情報のセクションBの情報を参照することで、セクション情報には他事業者パスIDが付与されていないため、主原因警報が直接に他事業者に影響あるわけではないことがわかる。
【0058】
次いで、事業者Xにおける監視装置OPS#1の影響有無確認部103は、発生箇所が影響を及ぼす箇所、すなわち主原因警報の発生箇所の影響階層に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS143X)。想定している障害の例では、パス情報からセクションBのセクションID「2」を含むパス#1が影響を及ぼす箇所であると判断し、そのパス情報に他事業者パスID「001」が付与されていることから、他事業者に影響があることがわかる。
【0059】
同様に、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、(b)に示すように、先ず、主原因警報の発生箇所から警報の発生箇所を特定する(ステップS141Y)。想定している障害の例では、主原因警報の発生箇所はパス#1と特定する。
【0060】
次いで、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、発生箇所に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS142Y)。想定している障害の例では、パス情報のパス#1の情報を参照することで、パス情報に他事業者パスID「001」が付与されていることから、他事業者に影響があることがわかる。
【0061】
次いで、事業者Yにおける監視装置OPS#2の影響有無確認部103は、発生箇所が影響を及ぼす箇所、すなわち主原因警報の発生箇所の影響階層に他事業者パスIDが付与されているか否か確認する(ステップS143Y)。想定している障害の例では、パス#1よりも下位の階層は存在せず、下位階層から上位階層に対して影響が及ぶことはないため、確認対象外となる。
【0062】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、影響警報送信部104により、発生箇所、もしくは発生箇所が影響を及ぼす箇所に他事業者パスIDが付与されていた場合、警報情報を影響先の事業者の監視装置に送信する(ステップS15)。すなわち、それぞれの事業者において、他事業者に影響のある主原因警報情報に加えて、他事業者パスID、主原因警報の発生階層を影響のある他事業者に送信する。事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、相手方から送信される警報情報を警報監視部101により受信し、警報情報データベース111に格納する。
【0063】
図10(a)は事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2から送信される警報情報の例を示しており、事業者Xの監視装置OPS#1からは発生階層:セクション、警報種別:LOS、他事業者パスID:001が送信され、事業者Yの監視装置OPS#2からは発生階層:パス、警報種別:AIS、他事業者パスID:001が送信されている。
【0064】
図10(b)は、自事業者内の通信装置から受信した警報情報と、関係する他事業者から受信した警報情報とを統合した警報情報の例を示している。なお、他事業者から受信した警報情報の発生装置は他事業者内に存在するため「他装置」となっており、物理位置はブランクとなっている。
【0065】
図5に戻り、事業者X、Yの監視装置OPS#1、OPS#2は、主原因警報判定部102により、新たに受信した警報情報(影響警報情報)も含めて、再度、主原因警報の判定を行う(ステップS16)。
【0066】
図11は主原因警報判定(再判定)の処理例を示す図であるが、処理手順は図8に示した最初の判定処理と同一である。ただし、対象となる警報情報に新たな情報が加わっているため、判定結果は異なってくる可能性がある。
【0067】
事業者Xの主原因警報判定部102は、(a)に示すように、最も上位階層にて発生している警報の選別(ステップS133X)において、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#1の警報情報と、発生箇所:パス、発生装置:他装置の警報情報を主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0068】
次いで、事業者Xの主原因警報判定部102は、警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報の選別(ステップS134X)において、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#2の警報情報を主原因警報ではないと判断し(図中では「×」と表示)、発生箇所:セクションB、発生装置:NE#3の警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0069】
また、事業者Yの主原因警報判定部102は、(b)に示すように、最も上位階層にて発生している警報の選別(ステップS133Y)において、発生箇所:パス#1、発生装置:NE#5の警報情報を主原因警報ではないと判断する(図中では「×」と表示)。
【0070】
次いで、事業者Yの主原因警報判定部102は、警報の重要度(障害レベル)が高い警報情報の選別(ステップS134Y)において、発生箇所:セクション、発生装置:他装置の警報情報を主原因警報であると判断する(図中では「○」と表示)。
【0071】
この例では、結果として、事業者Xでは主原因警報は変わらないが、事業者Yでは他事業者のセクション(セクションB)にて発生したLOS警報が主原因警報として判定される。
【0072】
図5に戻り、事業者X、Yの担当者は、それぞれに判定された主原因警報から障害の原因を確認する(ステップS17)。すなわち、再判定の結果である主原因警報から、障害の原因がどこにあるのかを確認する。
【0073】
図12は障害原因確認の処理例を示す図である。事業者Xでは、(a)に示すように、障害の原因が自事業者内のセクションBの通信装置NE#3であることを確認することができる。また、事業者Yでは、(b)に示すように、障害の原因が他事業者のセクション階層での障害であることを確認することができる。
【0074】
図5に戻り、事業者X、Yの担当者は、障害原因に対して復旧行動を開始する(ステップS18)。
【0075】
以上説明した実施形態によれば、次のような利点がある。
(1)異なる事業者間で警報情報の自動的な連携が行われるため、担当者同士による電話連絡等による障害状況の確認は必要なくなり、電話連絡等に費やす労力をなくし、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
(2)それぞれの担当者が把握している警報情報の全てではなく、主原因警報と判定された警報情報のみが自動に通知されるため、障害原因を把握しやすくなり、障害原因の把握のための労力を軽減し、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
(3)他事業者から自動的に通知された警報情報に基づいて改めて主原因警報の判定を行うため、障害原因を把握しやすくなり、障害原因の把握のための労力を軽減し、復旧行動を開始するまでの時間が短縮される。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
(付記1) ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする監視装置。
(付記2) 前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする付記1に記載の監視装置。
(付記3) 他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段と
を備えたことを特徴とする付記1または2のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記4) 前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記5) 前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記6) 前記送信手段は、他事業者の送信先情報に基づき、該当する他事業者に対して警報情報を送信する
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の監視装置。
(付記7) ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理工程と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信工程と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別工程と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認工程と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信工程と
を備えたことを特徴とする監視制御方法。
(付記8) 前記管理工程は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする付記7に記載の監視制御方法。
(付記9) 他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する工程と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する工程と
を備えたことを特徴とする付記7または8のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記10) 前記選別工程は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする付記7乃至9のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記11) 前記確認工程は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする付記7乃至10のいずれか一項に記載の監視制御方法。
(付記12) 前記送信工程は、他事業者の送信先情報に基づき、該当する他事業者に対して警報情報を送信する
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれか一項に記載の監視制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】複数の事業者を跨ったパスの例を示す図である。
【図2】従来における障害対応の手順を示すフローチャートである。
【図3】警報情報の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【図5】監視装置の処理例を示すフローチャートである。
【図6】ネットワーク構成情報データベースおよび他事業者情報データベースの構造例を示す図である。
【図7】障害発生時に受信する警報情報の例を示す図である。
【図8】主原因警報判定の処理例を示す図である。
【図9】影響有無確認の処理例を示す図である。
【図10】影響警報送信の例を示す図である。
【図11】主原因警報判定(再判定)の処理例を示す図である。
【図12】障害原因確認の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
NE#1〜NE#6 通信装置
OPS#1〜OPS#3 監視装置
101 警報監視部
102 主原因警報判定部
103 影響有無確認部
104 影響警報送信部
105 Webサーバ
111 警報情報データベース
112 ネットワーク構成情報データベース
113 他事業者情報データベース
T クライアント端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段と
を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項4】
前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理工程と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信工程と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別工程と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認工程と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信工程と
を備えたことを特徴とする監視制御方法。
【請求項1】
ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理手段と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信手段と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別手段と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認手段と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記管理手段は、パスを構成するセクションの情報を管理するセクション情報と、パスの情報を管理するパス情報とをネットワーク構成情報として保持管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
他事業者の監視装置から送信された警報情報を受信する手段と、
自事業者内から受信した警報情報と他事業者から受信した警報情報とを統合した全警報情報に基づき、再度、障害の主原因となる警報情報を選別する手段と
を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項4】
前記選別手段は、障害発生時に受信した複数の警報情報の中から、警報の発生部位および警報の重要度を比較判定することで、障害の主原因となる警報情報を選別する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記確認手段は、選別された主警報情報の発生部位、もしくは警報が発生したことにより影響を受ける部位に、他事業者パスIDが付与されているか確認することで、他事業者に対する影響の有無を確認する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
ネットワーク構成情報に他事業者に跨るパスを一意に識別可能な他事業者パスIDを付与して管理する管理工程と、
自事業者内の通信装置から警報情報を受信する受信工程と、
受信した警報情報から障害の主原因となる警報情報を選別する選別工程と、
選別された警報情報につき、該当する前記ネットワーク構成情報に他事業者パスIDが付与されているか否か判断することにより、他事業者に対する影響の有無を確認する確認工程と、
他事業者に対して影響があると確認された警報情報につき、該当する他事業者に対して、他事業者パスIDと発生部位を含む警報情報を送信する送信工程と
を備えたことを特徴とする監視制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−296531(P2009−296531A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150741(P2008−150741)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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