説明

監視装置

【課題】本発明は、外観が消波ブロック形状をなす筐体内に監視カメラを内設し、外部の状態を監視することを目的とする。
【解決手段】本発明による監視装置は、消波ブロック形状の筐体1の固定部2に対して輪状ベアリング部13を介して旋回部3を旋回可能に設け、この旋回部3内に固定した監視カメラを、この固定部2内に設けた駆動部で旋回部3を旋回させることにより旋回させる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関し、特に、外観が消波ブロック形状をなす筐体内に監視カメラを内設し、外部の状態を監視するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の監視装置としては、例えば、後述の特許文献1に示されているように、カメラが露出した状態で、建物の軒先、ビルの壁、柱の上部、電柱の上部等に取付けられ、固定又は旋回自在に設置されて使用されているものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−341295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の監視装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述のように、カメラを露出又は簡単なケースに設けて設置した状態では、監視されていることが判りやすく犯罪者に警戒される。特に、海岸部に柱を立ててカメラを設置すると、カメラの存在が目立ってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、存在が気付かれにくく、より有効な監視活動を実施できる監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視装置は、中心部から延出された複数本の支持脚と上部脚とを有する消波ブロック形状をなす筐体と、前記中心部と前記支持脚とから構成された固定部と、前記上部脚から構成された旋回部と、前記固定部と旋回部との間に設けられた輪状ベアリング部と、前記固定部内に設けられた駆動部と、前記駆動部に設けられ前記旋回部に接続された出力軸と、前記旋回部の周壁に形成され透明体で覆われた窓と、前記旋回部の内部に配置された監視カメラとを備え、前記監視カメラにより、前記窓を介して前記筐体外の状態を監視する。
【0007】
また、前記監視カメラは、焦点距離が調整可能なレンズを有している。
また、前記監視カメラは、前記旋回部の底部又は頂部に設けられた空間安定部内に設けられている。
また、前記透明体又は旋回部の内壁が黒色に着色されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の監視装置によれば、外観が消波ブロック形状をなす筐体内に監視カメラを内設しているので、監視活動を海岸部で行う場合でも、存在が気付かれにくく、より有効な監視活動を実施できる。
【0009】
また、監視カメラは、焦点距離が調整可能なレンズを有しているので、広範囲の監視エリアを得ることができるとともに、遠くの状態もアップして鮮明に撮像することができる。
また、監視カメラは、旋回部の底部又は頂部に設けられた空間安定部内に設けられていることにより、外部のあらゆる状態を幅広く監視できる。
また、透明体又は旋回部の内壁が黒色に着色されているので、監視カメラの視認を困難とすることができ、監視カメラの存在が気付かれる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態による監視装置を示す外観図である。
【図2】図1の監視装置の断面図である。
【図3】図2の監視装置に用いる空間安定部を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、外観が消波ブロック形状をなす筐体内に監視カメラを内設し、外部の状態を監視するようにした監視装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明による監視カメラの好適な実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態による監視装置を示す外観図である。図において、符号1で示されるものは、全体形状が消波ブロック形状をなす筐体である。なお、消波ブロック形状とは、周知のテトラポッド(登録商標)の形状である。この筐体1には、中心部10から延出された複数本の支持脚11と上部脚12とが設けられている。
【0013】
中心部10の上部には輪状ベアリング部13が取付けられており、上部脚12は輪状ベアリング部13を介して中心部10に接続されている。すなわち、中心部10及び支持脚11は固定状の固定部2を構成しており、上部脚12は旋回可能な旋回部3を構成している。固定部2は例えばコンクリート等の重量物で形成され、旋回部3は例えばFRP等の軽量物で形成されている。旋回部3及び輪状ベアリング部13の外装は、固定部2と同色に塗装されている。旋回部3の周壁3aには例えばガラスやプラスチック等の透明体4で覆われた窓5が設けられている。透明体4は、所定の透過率を維持しつつ、黒色に着色されている。
【0014】
次に、図2は図1の監視装置の断面図である。図において、旋回部3の底部3b上には、レンズ6aを有する監視カメラ6が設けられており、この監視カメラ6のレンズ6aは、窓5に対応するように配置されている。すなわち、監視カメラ6は、外部の状態を撮像して監視できるように構成されている。レンズ6aは、焦点距離が調整可能なズームレンズとされており、広範囲の監視エリアを得ることができるとともに、遠くの状態もアップして鮮明に撮像することができるように構成されている。
【0015】
前記固定部2内には、モータ、アクチュエータ、減速機付モータ、有限角モータ、有限角アクチュエータ等のうちの何れかからなる駆動部7が設けられ、この駆動部7の出力軸7aは旋回部3の底部3bに接続されている。
【0016】
前述の構成において、筐体1を海岸等の監視すべき場所に設置し、リモートコントロール等によって制御部8を介して駆動部7を駆動することにより、監視カメラ6を左右に回動させ、監視動作を行うことができる。また、制御部8を介して、図示しないアクチュエータを駆動させて、レンズ6aの焦点距離を適宜変更できる。
【0017】
また、前述の構成においては、監視カメラ6を旋回部3の底部3bに固定した場合について述べたが、他の形態として、図3に示す空間安定部30を旋回部3の底部3b又は頂部3cに取付け、この空間安定部30内に監視カメラ6を内設し、監視カメラ6を多軸方向に移動させて、動きのあるターゲットの撮像(目標追尾動作)を可能とするものである。
【0018】
前記空間安定部30の一側を挙げると、図3に示されるとおりである。
図3において、前記旋回部3の頂部3cに設けられた基台部31には、モータ32によりヨー方向Aに回動する保持体33が設けられ、この保持体33の両端間には、アウタピッチ用のモータ34及び第1及び第1支軸35を介してピッチ方向Bに沿って回動する第1枠体36がピッチ方向Bに沿って回動自在に設けられている。
【0019】
前記第1枠体36には、第2支軸37及びインナヨー用のトルカ38Aを介して第2枠体38がヨー方向Aに沿って回動自在に設けられ、この第2枠体38には第3支軸39及びインナピッチ用のトルカ40を介して第3枠体41がピッチ方向Bに沿って回動自在に設けられている。
【0020】
前記第3枠体41の内面には、前記監視カメラ6が設けられ、さらに、用途及び機能を広げるために赤外線カメラ42及びレーザ測距装置43が設けられているが、基本的には監視カメラのみでよい。従って、前述のモータ34、各トルカ38A,40を駆動すると、監視カメラ6自体のロール動作も加えると、5軸動作を行うことができ、外部のターゲット等の状態を安定して監視することができる。
【0021】
なお、実施の形態では、透明体4が黒色に着色されると説明したが、透明体は無色のまま、旋回部の内壁が黒色に着色されてもよい。このように構成することでも、外部からの監視カメラの視認を困難とすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 筐体
2 固定部
3 旋回部
3a 周壁
3b 底部
3c 頂部
4 透明体
5 窓
6 監視カメラ
6a レンズ
7 駆動部
7a 出力軸
10 中心部
11 支持脚
12 上部脚
13 輪状ベアリング部
30 空間安定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部(10)から延出された複数本の支持脚(11)と上部脚(12)とを有する消波ブロック形状をなす筐体(1)と、
前記中心部(10)と前記支持脚(11)とから構成された固定部(2)と、
前記上部脚(12)から構成された旋回部(3)と、
前記固定部(2)と前記旋回部(3)との間に設けられた輪状ベアリング部(13)と、
前記固定部(2)内に設けられた駆動部(7)と、
前記駆動部(7)に設けられ前記旋回部(3)に接続された出力軸(7a)と、
前記旋回部(3)の周壁(3a)に形成され透明体(4)で覆われた窓(5)と、
前記旋回部(3)の内部に配置された監視カメラ(6)と
を備え、
前記監視カメラ(6)により、前記窓(5)を介して前記筐体(1)外の状態を監視することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記監視カメラ(6)は、焦点距離が調整可能なレンズ(6a)を有していることを特徴とする請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記監視カメラ(6)は、前記旋回部(3)の底部(3b)又は頂部(3c)に設けられた空間安定部(30)内に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記透明体(4)又は前記旋回部(3)の内壁が黒色に着色されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−283611(P2010−283611A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135368(P2009−135368)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】