説明

目の画像品質の改良

本発明は、ヒトの目の画像品質の改良のための組成物の製造における、ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の使用に関する

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、目の画像品質の改良に関する。ここで用いられている「画像品質」という用語は、網膜上に形成された画像のことを言う。この画像は、高次の収差、例えば球面収差、コマおよび不正乱視によって劣化されることがある。
【0002】
低次の収差は、どれだけ多く見ることができるかを制限するが、高次の収差は、どれほどよく見ることができるかを決定する。高次の収差は、近視、遠視、および乱視以上で、かつそれを超えた、目の光学的構成部分(optics)の収差である。高次の収差は、眼鏡もしくはコンタクトレンズで容易に補正することができない。高次の波面収差とは、理想表面からの波面表面の小さい偏差を説明し、これらの偏差の再生は、多数の要素を必要とする。2つの普通の潜在的に破壊的な高次の収差は、「球面収差」および「コマ」である(リアン(Liang)J.ウイリアムズ(Williams)DR:正常なヒトの目の収差および網膜画像品質(Aberrations and retinal image quality of the normal human eye);J.Opt.Soc.Am.A.1997年;14(11):2873−83参照)。目の高次の収差の補正の視覚的利点についても、ウイリアムズら、「目の高次の収差の補正の視覚的利点(Visual Benefit of Correcting Higher Order Aberrations of the Eye)」、J.Refract.Surg.2001年、16(2000年9月/10月)S554−S559を参照されたい。
【0003】
本発明によれば、ルテインおよび/またはゼアキサンチンの投与は、目の高次の波面収差の減少につながることが発見された。このようにして、一態様において、本発明は、ヒトの目の高次の波面収差の減少のための組成物の製造における、ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の使用に関する。別の態様において、本発明は、ヒトの目の高次の波面収差の減少方法であって、ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の有効量を、かかる治療を必要としているヒトへ投与することを含む方法に関する。
【0004】
ここで用いられている「目の高次の波面収差」という用語は、近視、遠視、および軸乱視とは異なるが、それにもかかわらず、網膜上に形成された画像の品質に影響を与える目の光学系の収差を示す。これらは、商業的に入手可能な装置によって測定され、波面関数として表示され、これは、瞳孔のすべての位置を通過する光に対する目のすべての屈折部分の総効果を完全に説明している。
【0005】
波面収差関数は、網膜画像品質の劣化を引起こす、目の光学的構成部分の不完全さを定量化する方法である。「理想」波面は、網膜上の1つの「点」が、目の光学的構成部分を通して、目のすぐ外側の平面および平らな表面として画像化された時に発生する。このことは、目から出て来るすべての光線が、平行な束を形成し、この平面に対して垂直であることを意味する。「本物」の波面表面は、完全な二次元平面ではなく、光学系中に存在する収差を反映している。これは通常、ゼルニケ(Zernike)の多項式として知られている一連の項によって数学的に表わされる。ゼルニケの多項式の係数の知識は、波面表面の完全な説明を与える。画像化系(この場合はヒトの目)の品質を説明する1つの単一数を得るために、ルート平均平方(rms)誤差は、理想平面からの実際の偏差の平方の平均のルートを算定することによって計算される。rms値は、標準偏差と同等であるが、比較されたこれら2つの関数は、2D表面(すなわち理想波面および実際の波面)である。波面収差は、波面分析器で測定される(例えば、J.Refract.Surg.2001年:17(5)、S608−S612参照)。rms波面収差は、瞳孔の直径とともに有意に増加し、大きい被験者間の可変性(intersubject variability)を示しうる。小さい波面収差値は、網膜上のより良好な画像品質を意味し、これは、改良された視覚性能(例えばより小さいか、または非常にぼんやりした物体を見る能力、より鮮明かつ明瞭な画像)に至る。
【0006】
ルテインおよび/またはゼアキサンチン投与時のヒトの目における高次の波面収差の減少は、図1から分かる。
【0007】
図1において、カッコ内の数字は、20mg/日のゼアキサンチン(Z)、20mg/日のルテイン(L)、一日につき10mgルテイン+10mgゼアキサンチン(C、P−C)、またはプラシーボ(P)で6ヶ月間処理された被験者数である。
【0008】
ここで用いられている「組成物」という用語は、人体への投与に適したあらゆる組成物、例えば投薬単位形態、もしくは食品、もしくは飲料における製薬調製物、または栄養補助食品を示す。
【0009】
本発明による製薬調製物または栄養補助食品は、経口投与のために従来からあるあらゆる形態、例えば固体形態、例えば発泡性タブレット、またはソフトもしくはハードシェルカプセルを包含するタブレット、または液体形態、例えば溶液もしくは懸濁液、好ましくは油性懸濁液であってもよい。活性成分のほかに、これらの調製物は、従来のキャリヤー材料、添加剤、およびアジュバントを含有してもよく、これらは、水、ゼラチン、植物性ガム、糖、植物油、ポリアルキレングリコール、香味料、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝剤などを包含する。これらの薬剤は、制御された(遅延化された)放出配合物の形態にあってもよい。本発明の目的のためには、着色料ならびに前に上で規定されている任意成分が、食品または飲料、例えばパン品目、例えばケーキおよびクッキー、レモネードおよびフルーツジュース中に組み込まれてもよい。本発明による組成物はさらに、健康、特に目の健康を促進するために従来から用いられている生理学的に活性な成分、例えばビタミン、例えばビタミンA、C、およびE、およびミネラル、例えばセレンもしくは亜鉛を含有してもよい。
【0010】
本発明の目的のためのルテインおよび/またはゼアキサンチンの適切な一日投薬量は、体重1kgあたり0.001mg〜体重1kgあたり約20mgの範囲内にあってもよい。より好ましいのは、体重1kgあたり約0.01〜約10mg、特に好ましいのは、体重1kgあたり一日につき約0.1〜1.0mgである。
【0011】
1つの好ましい態様において、本発明は、ルテインとゼアキサンチンとの組み合わせの使用に関する。このような組み合わせにおいて、これらの化合物は好ましくは、0.1〜1.0:1.0〜0.1重量部の比で用いられる。
【0012】
固体投薬単位調製物において、ルテインおよび/またはゼアキサンチンは適切には、1投薬単位あたり約0.1mg〜約500mg、好ましくは約1mg〜約100mgの量で存在する。液体配合物において、前記成分は適切には、この組成物の総重量を基準にして約0.1〜約5重量パーセントの量で存在する。
【0013】
好ましい固体投薬単位調製物は、1投薬単位あたり、約6mg〜約12mgのルテインおよび/またはゼアキサンチンを含む。
【0014】
本発明は、下に示された実施例によってさらに例示される。
【0015】
実施例1
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 10mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0016】
実施例2
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 10mg
ゼアキサンチン 10mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0017】
実施例3
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 6mg
ゼアキサンチン 6mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0018】
実施例4
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 12mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0019】
実施例5
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ゼアキサンチン 12mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0020】
実施例6
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 6mg
ゼアキサンチン 6mg
β−カロテン 6mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
亜鉛(オロテートとして) 7.5mg
レシチン 50mg
大豆油 200
【0021】
実施例7
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 6mg
ゼアキサンチン 6mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
ビタミンA 1000国際単位
亜鉛(オロテートとして) 7.5mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【0022】
実施例8
次の成分を含んでいるソフトゼラチンカプセルを調製することができる:
成分 1カプセルあたりの量
ルテイン 6mg
ゼアキサンチン 6mg
β−カロテン 6mg
ビタミンE(α−d,l−トコフェロール) 200mg
ビタミンC 500mg
ビタミンA 1000国際単位
亜鉛(オロテートとして) 7.5mg
レシチン 50mg
大豆油 200mg
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ルテインおよび/またはゼアキサンチン投与時のヒトの目における高次の波面収差の減少は、図1から分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの目の画像品質の改良のための組成物の製造における、ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の使用。
【請求項2】
画像品質の改良が、ヒトの目のより高次の波面収差を減少させることによって達成される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
請求項1または2に記載のルテインの使用。
【請求項4】
請求項1または2に記載のゼアキサンチンの使用。
【請求項5】
前記組成物が、投薬単位形態における製薬組成物または栄養補助食品である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物が経口用途のためのものであり、1投薬単位あたり約0.1mg〜約500mgのルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物を含有する、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物が食品または飲料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
ヒトの目の画像品質の改良方法であって、ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の有効量を、かかる治療を必要としているヒトへ投与することを含む方法。
【請求項9】
前記改良は、高次の波面収差を減少させることによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
ルテインが投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ゼアキサンチンが投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
ルテインもしくはゼアキサンチン、またはこれらの混合物の一日投薬量は、体重1kgあたり0.001mg〜体重1kgあたり約20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.01〜約10mg、最も好ましくは体重1kgあたり一日につき約0.1〜1.0mgの範囲内にある、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−505137(P2008−505137A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519638(P2007−519638)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006168
【国際公開番号】WO2006/002735
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】