説明

目地の劣化診断方法

【課題】不定型シールの状態から寿命を予測して改修時期を決定することを目的とする。
【解決手段】実棟調査により住宅の型式毎の予め定めた不利な目地のシーリング材を採取して、引張り試験等を実施して予め定めた劣化度に分類する。そして、分類した劣化度とクラック目地幅や深さの相関関係を求めて劣化曲線を算出すると共に、分類した劣化度と不定形シールの幅や深さの相関関係を求めて劣化曲線を算出し、劣化度と予測耐久年数の相関関係等から劣化度に対応する予測耐久年数を予め定めることにより、劣化度から改修時期を決定することができる。すなわち、不定形シールの幅や深さから劣化度を求め、劣化度から対応する予測耐久年数を得ることができるので、求めた予測耐久年数から改修時期を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地の劣化診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁パネルと外壁パネルの間に形成された目地には、シリコン系等のシーリング材を充填することにより防水施工される。例えば、不定形シール材(湿式目地材)を目地に充填したり、定型シール材(乾式目地材)を目地に装填したりする。
【0003】
目地構造としては、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、不定形シール材と、不定形シール材を覆う定型シール材とからなる外壁パネル間の目地構造において、不定形シール材に手を加えることなく、定型シール材の一部または全部を除去可能とされ、除去可能な部分を取り外した後の空間に少なくとも1層分の新規不定型シール材を充填可能な空間を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、不定型シールと定型シールを組み合わせた目地構造や改修方法が提案されているが、不定型シールの目地の劣化診断については提案されていない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、不定型シールの状態から寿命を予測して改修時期を決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、不定形シールの深さに応じて目地を改修する時期を変化させて予め定め、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期を決定することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、不定形シールは、深さによって劣化の進行具合が異なる(深くなる程劣化進行が遅い)ので、不定形シールの深さに応じて目地を改修する時期を変化させて予め定め、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期を決定する。これによって、不定形シールの状態から寿命を予測して改修時期を決定することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、不定形シールの深さと不定形シールの劣化度との相関関係に基づいて、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期が変化するように、前記劣化度に対応する不定形シールの予測耐久年数を予め定め、不定形シールの深さに応じた前記予測耐久年数から改修時期を決定することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、不定形シールの深さと不定形シールの劣化度(例えば、不定形シールの引張り伸び率や剥離、亀裂等)との相関関係に基づいて、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期が変化するように、劣化度に対応する予測耐久年数を予め定める。
【0011】
すなわち、不定形シールは、深さによって劣化の進行具合が異なる(深くなる程劣化進行が遅い)ので、不定形シールの深さと劣化度の相関関係を求める。また、劣化度と予測耐久年数の相関関係等を求めることにより、劣化度に対応する予測耐久年数を予め定める。これによって、不定形シールの深さに応じた予測耐久年数から改修時期を決定することができる。従って、不定形シールの状態(深さ)を確認することによって不定形シールの寿命を予測して改修時期を決定することができる。
【0012】
なお、請求項3に記載の発明のように、築年数を更に考慮した相関関係に基づいて、不定形シールの予測耐久年数を予め定め、さらに築年数に応じて改修時期を決定するようにしてもよい。すなわち、築年数によっても劣化度が変化するので、築年数を考慮するようにしてもよい。
【0013】
また、改修時期の決定は、請求項4に記載の発明のように、最も性能上不利な予め定めた目地に対して行うようにしてもよい。すなわち、全ての目地について確認作業を行うことは大変な作業となるので、最も性能上不利な予め定めた目地に対して改修時期の決定を行うようにしてもよい。このとき、最も性能上不利な目地は、請求項5に記載の発明のように、建物型式及び立地条件の少なくとも一方に基づいて決定するようにしてもよい。すなわち、建物型式や立地条件によって性能上不利な目地が異なるので、これを予め調査してデータベース等に登録して利用するようにしてもよい。
【0014】
また、請求項6に記載の発明のように、さらに目地形状(例えば、不定形シールの幅や深さが予め定めた基準通りか否か)に基づいて目地を改修する時期を変化させて予め定め、不定形シールの深さ及び目地形状に応じて改修時期を決定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、不定形シールの状態から寿命を予測して改修時期を決定することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係わる目地の劣化診断方法を適用可能な建物の概略構成を示す。
【図2】住宅の型式毎に不利な目地の一例を示す図である。
【図3】(A)は劣化度とクラック目地幅または深さの相関から求めた劣化曲線の一例を示す図であり、(B)は劣化度と不定形シール幅又は深さの相関から求めた劣化曲線の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる目地の劣化診断方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】目地の劣化診断システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】目地の診断システムにおいて目地の診断を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる目地の劣化診断方法を適用可能な建物の概略構成を示す。
【0018】
図1に示すように、建物10は一階部分12と、一階部分12の上に据え付けられた二階部分14と、二階部分の上に据え付けられた屋根部分16と、を含んで構成されている。
【0019】
建物10の一階部分12と二階部分14の接合部には、化粧部材18が設けられており、一階部分12及び二階部分14の外周部には、所定枚数の外壁パネル20が隣接して配置されている。隣接する外壁パネル20と外壁パネル20間には、それぞれ縦目地22が形成され、当該縦目地22には定型シールが設けられている。なお、ここでは、外壁パネル20が各階の高さ方向で1枚となっているが、外壁パネルが複数枚設けられていてもよい。但し、この場合には上下に配置された外壁パネルと外壁パネル間に横目地が設けられることになり、横目地には不定形シールが形成される。
【0020】
また、建物10の一階部分12には、シャッター装置24、換気扇フード26、及びサッシ28が設けられており、二階部分14には、サッシ28が設けられている。シャッター装置24、換気扇フード26、及びサッシ28の周りには、外壁パネル20間にそれぞれ縦目地22及び横目地30が形成されている。
【0021】
一般的に、目地(縦目地22や横目地30)では、ガスケットなどの定型シール(乾式シール)を用いる場合と、シーリング材等の不定型シール(湿式シール)を用いる場合があり、定型シールは主に縦目地22に使用され、不定型シールは主に横目地30に使用される。
【0022】
ところで、外壁のシーリング目地の摩耗故障よる改修の時期は一般的に10年前後とされており、鉄骨やコンクリートなどの構造材の50〜100年という耐用年数と比較すると著しく短い。
【0023】
外壁などの目地にシーリング材を施した建物の耐久性は、シーリング材を一定期間毎に交換することによって維持することができる。そこで、本実施の形態では、シーリング材の点検時に、改修時期を予測する劣化診断を行う。
【0024】
ここで、上述のように外壁パネル20間の目地に設けられた不定型シールの劣化診断方法について説明する。
【0025】
本実施の形態では、不定形シールの改修時期を予測するために、実棟の調査を予め行って住宅の型式毎に性能上の弱点箇所を把握する。例えば、現地調査や図面から、各住宅形式で最も性能上不利となる目地を特定し、図2に示すように、住宅の型式毎に不利な目地をデータベースとして蓄積する。図2の例では、住宅型式がトヨタA型の場合にはサッシ枠及びスタッキングが不利な目地とされ、トヨタB型の場合にはスタッキング及びバルコニーが不利な目地とされ、トヨタC型の場合にはスタッキング及びサッシ枠が不利な目地とされ、トヨタD型の場合にはバルコニー及びスタッキングが不利な目地とされた例を示す。なお、不利な目地は、各建物の立地条件(例えば、方位等)によっても変化するため、不利な目地を特定する際に、立地条件を考慮して特定する。
【0026】
また、実暴物件の調整を予め行って、目地形状、築年数、及び引張り伸び率の相関関係を求めて、不定形シールの耐久年数を予測する。
【0027】
本実施の形態では、実棟調査により上述の住宅の型式毎の不利な目地のシーリング材を採取して、引張り試験等を実施して予め定めた劣化度に分類する。例えば、伸び率を三段階(劣化度I〜III)に分類する。なお、劣化度は、本実施の形態では、引張り強度で分類するが、これに限るものではなく、例えば、シーリング材の剥離量や破断量で分類するようにしてもよい。
【0028】
そして、分類した劣化度とクラック目地幅や深さの相関関係を求めて劣化曲線を算出すると共に、分類した劣化度と不定形シールの幅や深さの相関関係を求めて劣化曲線を算出する。
【0029】
劣化度とクラック目地幅または深さの相関関係から求めた劣化曲線は、図3(A)に示すように、クラック目地幅又は深さが大きい程、劣化度が大きくなる劣化曲線となる。
【0030】
一方、劣化度と不定形シール幅又は深さの相関関係から求めた劣化曲線は、図3(B)に示すように、劣化度と不定形シールの幅又は深さが小さい程、劣化度が大きくなる劣化曲線となり、築年数によって劣化曲線が異なり、築年数が長い程、劣化度が大きくなるようになっている。
【0031】
また、劣化度と予測耐久年数の相関関係等から劣化度に対応する予測耐久年数を予め定めることにより、劣化度から改修時期を決定することができる。すなわち、不定形シールの幅や深さから劣化度を求め、劣化度から対応する予測耐久年数を得ることができるので、求めた予測耐久年数から改修時期を決定することができる。
【0032】
このとき、さらに目地形状(目地幅や深さ)が予め定めた基準通りか否かに応じて劣化度と予測耐久年数の相関関係等を求めて、予測耐久年数を予め定めることにより、目地形状に応じて改修時期を変更することが可能となる。
【0033】
続いて、上述の目地の劣化診断方法に従って診断を行う際の具体的な診断の流れに説明する。図4は、本発明の実施の形態に係わる目地の劣化診断方法を説明するためのフローチャートである。
【0034】
まず、ステップ100では、建物の目地の診断を行ってステップ102へ移行する。例えば、建物の定期点検時等に建物の全ての目地に対してシーリング材の状況を確認して目地の診断を行う。確認項目としては、例えば、不定形シールの剥離や亀裂の有無の確認を行う。
【0035】
ステップ102では、目地の診断結果からシーリング材の剥離や亀裂等があるか否かを判断する。すなわち、建物の全ての目地に対するシーリング材の状況確認の結果からシーリング材の剥離や亀裂の有無を判断して、シーリング材の剥離や亀裂がない場合にはステップ104へ移行し、剥離や亀裂がある場合には後述するステップ118へ移行する。
【0036】
ステップ104では、不利な目地に注目してステップ106へ移行する。すなわち、上述した住宅の型式毎の不利な目地のデータベースから当該住宅に対応する不利な目地を抽出して注目し、以下の処理を行う。
【0037】
ステップ106では、注目した不利な目地について、目地形状に異常があるか否かを判断する。すなわち、目地に施されたシーリング材が予め定めた基準通りか否かを判断する。例えば、不定形シールの施工状態が予め定めた基準通りの幅や深さがあるか否かを判断し、基準通りに施工されている場合にはステップ108へ移行し、基準通りに施工されていない場合にはステップ114へ移行する。
【0038】
ステップ108では、注目した不利な目地かつ基準通りの目地について、劣化度II以下か否かを判断する。本実施の形態では、図3(A)、(B)に示す劣化曲線から求めた劣化度が劣化度II以下か否か判断し、劣化度II以下の場合にはステップ110へ移行し、劣化度IIIの場合にはステップ112へ移行する。なお、図3(A)、(B)の劣化曲線から求めた劣化度の不利な方を採用する。
【0039】
ステップ110では、経過観察とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数10年超と判断して一連の劣化診断を終了する。
【0040】
また、ステップ112では、部分補修と判断とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5〜10年と判断して一連の劣化診断を終了する。
【0041】
一方、ステップ114においてもステップ108と同様に、劣化度II以下か否かを判断して、劣化度II以下の場合にはステップ116へ移行し、劣化度IIIの場合にはステップ118へ移行する。
【0042】
ステップ116では、部分補修と判断とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5〜10年と判断して一連の劣化診断を終了する。
【0043】
また、ステップ118では、全面補修とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5年未満と判断して一連の劣化診断を終了する。
【0044】
すなわち、クラック目地幅又は深さ、或いは不定形シール幅又は深さに応じて、シーリング材の予測耐久年数が変化するので、クラック目地幅や深さ、或いは不定形シール幅や深さから目地シーリングの改修時期を決定することができる。
【0045】
また、目地形状が基準通りか否かによっても耐久年数が変化するため、目地形状に応じた改修時期を決定することができる。
【0046】
続いて、上述の目地の劣化診断方法を利用した目地の劣化診断システムについて説明する。図5は、目地の劣化診断システムの概略構成を示すブロック図である。
【0047】
目地の診断システム40は、パーソナルコンピュータ50を含んで構成されている。パーソナルコンピュータ50は、CPU52、ROM54、RAM56、及び入出力ポート58を備えており、これらがアドレスバス、データバス、制御バス等のバス60を介して互いに接続されている。
【0048】
入出力ポート58には、各種の入出力機器として、ディスプレイ62、マウス64、キーボード66、ハードディスク(HDD)68、及び各種ディスク72からの情報を読み出すためのディスクドライブ70が各々接続されている。
【0049】
また、入出力ポート58には、ネットワーク74が接続されており、ネットワーク74に接続されたデータベース(DB)76等との情報の授受が可能とされている。
【0050】
DB76には、上述の建物型式や立地条件に応じた不利な目地や、上述した図3(A)、(B)に示す劣化曲線等の情報が記憶されている。なお、これらの情報は、DB76ではなく、パーソナルコンピュータ40のHDD68に記憶するようにしてもよい。
【0051】
また、パーソナルコンピュータ40のHDD68には、目地の劣化診断プログラムがインストールされている。目地の劣化診断プログラムは、上述の目地の劣化診断方法を利用したプログラムであり、不定形シールの幅又は深さに応じた目地の改修時期の決定を行う。
【0052】
なお、目地の劣化診断プログラムはをパーソナルコンピュータ40にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、目地の劣化診断プログラムをセットアッププログラムと共に各種ディスク72に記録しておき、ディスク72をパーソナルコンピュータ40のディスクドライブ70にセットし、CPU52に対してセットアッププログラムの実行を指示すれば、ディスク72から部材選定プログラムが順に読み出され、HDD68に書き込まれることによりインストールが行われる。また、目地の劣化診断プログラムが、公衆電話回線やネットワーク(例えば、LAN、インターネット、及び無線通信ネットワーク等)74を介してパーソナルコンピュータ40と接続される他の情報処理機器の記憶装置に記憶され、パーソナルコンピュータ40が情報処理機器と通信することで、情報処理機器からパーソナルコンピュータ40へ目地の劣化診断プログラムが伝送されてHDD68にインストールされる構成を採用してもよいし、ネットワーク74に接続された情報処理機器に記憶された目地の劣化診断プログラムをパーソナルコンピュータ40で実行可能な構成を採用するようにしてもよい。
【0053】
続いて、目地の劣化診断システム40において、上述の目地の劣化診断方法を利用して目地の劣化診断を行う際の処理の流れについて説明する。図6は、目地の診断システム40において目地の診断を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、ステップ200では、建物の目地の診断の入力を行ってステップ202へ移行する。当該ステップでは、目地の診断結果をマウス64やキーボード66を介して入力する。例えば、目地の診断を行った結果として、建物の全てについて目地の剥離や亀裂の有無があるかを入力すると共に、目地の剥離や亀裂がある場合には、不利な目地の目地形状が基準通りか否かや、クラック目地幅又は深さ、あるいは不定形シールの幅または深さ等を入力する。
【0055】
ステップ202では、入力された診断結果からシーリング材の剥離や亀裂等があるか否かがCPU52によって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ218へ移行し、否定された場合にはステップ204へ移行する。
【0056】
ステップ204では、不利な目地に注目してステップ206へ移行する。すなわち、DB76やHDD68等に記憶された不利目地の診断結果(ステップ200の入力結果)に注目する。
【0057】
ステップ206では、目地形状に異常があるか否かがCPU52によって判定される。該判定は、ステップ200の入力結果から目地形状が基準通りか否かがCPU52によって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ208へ移行し、否定された場合にはステップ214へ移行する。
【0058】
ステップ208では、注目した不利な目地かつ基準通りの目地について、劣化度II以下か否かがCPU52によって判定される。該判定は、ステップ200の入力されたクラック目地幅や深さ、あるいは不定形シールの幅や深さに基づいて、DB76やHDD68に記憶された図3(A)、(B)の劣化曲線から劣化度を求め、求めた劣化度が劣化度II以下か否かがCPU52によって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ210へ移行し、否定された場合にはステップ212へ移行する。
【0059】
ステップ210では、経過観察とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数10年超と判断する。そして、その旨がディスプレイ62に表示されて一連の劣化診断を終了する。
【0060】
また、ステップ212では、部分補修と判断とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5〜10年と判断する。そして、その旨がディスプレイ62に表示されて一連の劣化診断を終了する。
【0061】
一方、ステップ214においてもステップ208と同様に、劣化度II以下か否かがCPU52によって判定され、劣化度II以下の場合にはステップ216へ移行し、劣化度IIIの場合にはステップ218へ移行する。
【0062】
ステップ216では、部分補修と判断とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5〜10年と判断する。そして、その旨がディスプレイ62に表示されて一連の劣化診断を終了する。
【0063】
また、ステップ218では、全面補修とし、実暴物件から求めた相関から予測耐久年数5年未満と判断する。そして、その旨がディスプレイ62に表示されて一連の劣化診断を終了する。
【0064】
すなわち、目地の診断システム40では、診断結果として、クラック目地幅や深さ、或いは不定形シール幅や深さを入力することで、目地シーリングの改修時期を決定することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 建物
20 外壁パネル
30 横目地
40 目地の劣化診断システム
50 パーソナルコンピュータ
68 ハードディスク(HDD)
76 データベース(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定形シールの深さに応じて目地を改修する時期を変化させて予め定め、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期を決定する目地の劣化診断方法。
【請求項2】
不定形シールの深さと不定形シールの劣化度との相関関係に基づいて、不定形シールの深さに応じて目地の改修時期が変化するように、前記劣化度に対応する不定形シールの予測耐久年数を予め定め、
不定形シールの深さに応じた前記予測耐久年数から改修時期を決定する目地の劣化診断方法。
【請求項3】
築年数を更に考慮した前記相関関係に基づいて、不定形シールの予測耐久年数を予め定め、さらに築年数に応じて改修時期を決定する請求項2に記載の目地の劣化診断方法。
【請求項4】
前記改修時期の決定は、最も性能上不利な予め定めた目地に対して行う請求項1〜3の何れか1項に記載の目地の劣化診断方法。
【請求項5】
前記最も性能上不利な目地は、建物の型式及び立地条件の少なくとも一方に基づいて決定する請求項4に記載の目地の劣化診断方法。
【請求項6】
さらに目地形状に基づいて目地を改修する時期を変化させて予め定め、不定形シールの深さ及び目地形状に応じて改修時期を決定する請求項1〜5の何れか1項に記載の目地の劣化診断方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate