説明

目標検出装置、目標検出方法、目標検出プログラム

【課題】処理に負担がかからず、目標を確実に検出できるようにした目標検出装置を提供する。
【解決手段】LADARセンサ101は、画素毎に距離情報を取得する。LADARセンサ101から取得された隣接画素の距離差を演算し、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定する。この判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行う。目標形状テンプレートは実寸の情報であり、LADARセンサ101からの距離情報を基に、目標形状テンプレートの実寸の情報を画素数の情報に換算し、判定された物体の画素数と、換算された目標形状テンプレートの画素数とを比較して目標物体の検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機から地上の目標物体を検出するのに用いて好適な目標検出装置、目標検出方法、目標検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海難救助の現場で、救命ボードなど、海上に浮かぶ浮遊物を早急に発見するために、ヘリコプターや航空機から海上を撮影し、この撮影画像から、目標物体を発見するような、目標検出追跡装置が提案されている(特許文献1)。このような目標検出では、特許文献1に示されているように、赤外線カメラが用いられている。また、この特許文献1では、撮像画像とテンプレート画像との相関を検出して、目標検出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−205611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目標検出に赤外線カメラを用いた場合には、目標物体が自然放射する赤外線を検知して目標物体を検出する。赤外線カメラを用いた場合には、例えば、周囲が草地に囲まれているような場所の中に目標物体となる車両があるような状況下でも、車両の温度と草地の温度とに温度差があれば、赤外線画像に現れる輝度レベルに差が生じることになり、適正な輝度しきい値を設定することで、草地の中の車両を目標物体として検出することが可能である。
【0005】
しかしながら、赤外線カメラの場合には、周囲に対して温度差が少ない物体を目標物体として検出することが難しい。例えば、車両が道路上にあり、周囲を遮蔽するものがないような環境下にも係わらず、車両と道路とが殆ど同じ温度であるような場合には、車両を目標物体として検出することが難しくなる。
【0006】
これに対して、目標検出に可視カメラを使用した場合には、周囲に対して温度差が少ない物体であっても、目標物体を検出できる。
【0007】
しかし、可視カメラの場合には、周囲に対して色調や輝度が等しい物体を検出することが難しい。例えば、周囲が草地に囲まれているような場所の中に目標物体となる車両があるような状況下では、草地と同じような色の車両を目標物体として検出することは難しい。
【0008】
また、特許文献1では、撮像画像とテンプレート画像との相関を検出して、目標検出を行っている。ところが、撮像画像とテンプレート画像との相関を検出して、目標検出を行う場合に、検出対象と似た形状の物体を目標物体と誤検出することがある。特に、大きさは異なるが、形状が似ているような物体の場合、ヘリコプターや航空機からは、同じ物体として認識される可能性が高い。細かな地形データを用いれば、目標の検出精度は向上するが、処理の負担が大きくなる。
【0009】
そこで、特許文献1では、所定の基準を満たす目標候補を選択し、それぞれの目標候補の追跡を行い、追跡が開始された以降も安定して追跡が可能で、目標候補として検出される候補を目標として特定し、一時的に出現する検出対象と似た形状を有する物体を目標候補から排除することで、特定の目標物体を確実に検出できるようにしている。しかしながら、このような処理を実行するためには、処理が複雑になる。
【0010】
上述の課題を鑑み、本発明は、処理に負担がかからず、目標物体を確実に検出できるようにした目標検出装置、目標検出方法、目標検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る目標検出装置は、測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサと、センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、隣接画素の距離差から、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定する物体判定部と、物体判定部で判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行う目標決定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る目標検出方法は、測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサを用いて目標物体の検出を行う目標検出方法であって、センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、隣接画素の距離差から、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定し、判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る目標検出プログラムは、測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサを用いて目標物体の検出を行う目標検出プログラムであって、センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、隣接画素の距離差から、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定するステップと、判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行うステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサからの画素毎の方位情報と距離情報をもつ3次元データを用いることで、隣り合う画素間の距離が急激に変化している部分を検出することで、突出する物体を判定しており、簡単な処理で確実に目標物体を検出できる。また、本発明によれば、目標形状テンプレートを実寸で登録しておき、画素が持つ距離情報により、実寸の目標テンプレートの情報を画素数に換算し、画素数を比較して、目標決定を行っている。これにより、細かな地形データを不要とし、また、目標物体と形状の似ている物体でも、その大きさにより目標物体かどうかを区別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の概要の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置を用いた目標物体検出の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置における物体検出の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置における画素の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の概要の説明図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置は、LADAR(Laser Detection and Ranging:レーザーレーダー)センサ101と、演算部102と、プラットフォーム情報生成部103と、記憶部105と、表示部106と、操作部107とから構成される。
【0018】
LADARセンサ101は、レーザー照射部と2次元アレイセンサにて構成されており、撮像エリア方向に指向したレーザービームを照射し、その反射光を2次元状に配置されたアレイセンサのそれぞれの画素で受光すると共に、レーザー光の往復時間を計測し、この往復時間を基に、画素毎に、距離情報を取得する。LADARセンサ101からは、各画素に対応する横方向方位角α、縦方向方位角β、距離dの3次元データが出力される。
【0019】
演算部102は、LADARセンサ101から取得された画素毎の3次元データと、プラットフォーム情報生成部103からのデータを基に、目標形状テンプレートを用いて目標物体の検出を行う。演算部102は、パーソナルコンピュータ又はオンボードコンピュータに処理ソフトウェアを搭載して実現することができる。
【0020】
プラットフォーム情報生成部103は、機体の姿勢角、機体に対するLADARセンサ101の取付け角、機体の高度等、プラットフォーム情報を生成するもので、角度センサの情報や、高度計等の計測値を含んでいる。
【0021】
記憶部105は、HDD(Hard Disk Drive)等からなり、記憶部105には、目標形状テンプレートが記憶されている。表示部106は、液晶ディスプレイ等からなり、目標値の判定結果を表示する。操作部107は、キーボードやポインティングデバイスからなり、各種の操作入力を行う。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置を用いた目標物体検出の説明図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の機能ブロック図である。
【0023】
図2に示すように、LADARセンサ101は、プラットフォーム110に搭載されている。ここでは、プラットフォーム110は、航空機に設けられたプラットフォームである。プラットフォーム110は、機体の姿勢角、機体に対するLADARセンサ101の取付け角、機体の高度等、プラットフォーム情報を保持している。目標物体111は、目標対象となる物体である。
【0024】
図3に示すように、目標検出装置は、隣接画素間距離差検出部201と、物体判定部202と、テンプレート記憶部203と、目標決定部204と、画素変換演算部205とからなる機能ブロックで表現できる。
【0025】
隣接画素間距離差検出部201は、LADARセンサ101から出力される隣接する画素の距離値を減算して、隣接する画素の距離値の差分を求める。
【0026】
物体判定部202は、隣接画素間距離差検出部201の出力から、隣接する画素間の距離が急激に変化している部分を検出することで、物体判定を行う。
【0027】
つまり、図4(A)に示すように、地形より突出する物体300が検出されたとすると、その始端で、図4(B)に示すように、隣接する画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が接近距離変化しきい値nearよりも小さくなり、その終端で、隣接する画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値farより大きくなる。したがって、隣接する画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が接近距離変化しきい値nearよりも小さくなったことが検出されたら、画素登録を開始し、隣接する画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値farより大きくなったら、画素登録を終了し、この画素登録結果に対してラベリング処理を行えば、物体300の部分を判定することができる。
【0028】
ここで、接近距離変化しきい値near及び離隔距離変化しきい値farは、撮像時の俯角θと、瞬時視野IFOVと、高度Hとから求められる。
【0029】
例として、1画素誤差相当以上を測定誤差として設定する場合には、接近距離変化しきい値nearは、以下のように設定する。
【0030】
【数1】

【0031】
また、例として、1画素誤差相当以上を測定誤差として設定する場合には、離隔距離変化しきい値farは、以下のように設定する。
【数2】

【0032】
ここで、俯角θは、プラットフォーム情報生成部103からの機体の姿勢角、機体に対するLADARセンサ101の取付け角、LADAR画像上の位置(横方向方位角α、縦方向方位角β)により決定できる。例えば、LADARセンサ101をジンバルなどの視軸可変機構に搭載する場合は、俯角θを検出するのに、この視軸可変機構に付属される角度検出器の読取り値も使用できる。
【0033】
また、高度Hは、機体に搭載された高度計等の計測値を使用して求めることができる。
【0034】
画像上では、俯角は画素毎に異なる。各画素の俯角は、機体姿勢角、機体に対するLADAR取付け角などから画像中央の俯角を求め、さらに各画素の画像中央から差分画素数を勘案することで、求めることができる。
【0035】
例えば、機体が水平飛行している場合は、俯角は以下のように表現できる。
(i,j)画素の俯角=θ(中央)+(β(i,j)−β(中央))
θ(中央):機体姿勢と機体に対するLADARセンサ101の取付け角により決まる
β(i,j):画像上の(i,j)画素の縦方向方位角
β(中央):画像上の中央画素の縦方向方位角
【0036】
LADARセンサ101は2次元アレイセンサであり、瞬時視野IFOV(Instantaneous Field of View)は1画素が見ている角度を指しており、LADARセンサ101の仕様で決まる値である。厳密には、横方向の計算では横方向のIFOVの値を用い、縦方向の計算では縦方向のIFOVの値を用いるが、通常、横方向のIFOVの値と縦方向のIFOVの値は同じである。
【0037】
テンプレート記憶部203は、目標物体の形状に対応する目標形状テンプレートを記憶している。目標形状テンプレートとしては、例えば、2.5m(幅),1.7m(奥行),1.3m(高さ)のような、実寸の3次元情報のものが用いられる。なお、突起形状などの要否は、LADARセンサ101からの画像の分解能に応じて決定する。また、目標物体の形状は、視点により変化する。そこで、テンプレート記憶部203には、1つの目標物体に対して、例えば水平方向回転(例えば10度刻み)した視点のものが複数用意される。
【0038】
画素変換演算部205は、テンプレート記憶部203に記憶されている実寸の目標テンプレートの情報を、LADARセンサ101からの距離情報を使って、画素数の情報に変換する。
【0039】
つまり、例えば、目標形状テンプレートの実寸の情報が、幅2.5m、高さ1.7mであり、目標までの距離がd(m)であった場合、幅方向画素数は、以下のように表すことができる。
【0040】
【数3】

【0041】
また、高さ方向画素数は、以下のように表すことができる。
【0042】
【数4】

【0043】
目標決定部204は、物体判定部202で検出された物体の画素数と、距離情報に応じて画素数換算を行った目標形状テンプレートの画素数とを比較して、目標物体111の決定を行う。この検出結果が表示部106に表示される。
【0044】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図5のフローチャートにおいて、演算部102は、図6に示す(m×n)の画像の左上画素(i=0,j=0)から処理をスタートし(ステップS101)、高度H、俯角θ、横方向方位角αから、接近距離変化しきい値nearと離隔距離変化しきい値farを設定する(ステップS102)。
【0046】
接近距離変化しきい値nearは、i番目とi−1番目の画素の距離値を比較し、i番目の位置に目標物体がある場合に急激に距離値が接近している状況を見分ける指標であり、d(i,j)−d(i-1,j)が測定誤差以上の負の値として設定する。接近距離変化しきい値nearの一例は、式(1)に示した通りである。
【0047】
離隔距離変化しきい値farは、i番目とi−1番目の画素の距離値を比較し、i−1番目の位置に目標物体がある場合に急激に距離値が離隔する状況を見分ける指標であり、d(i,j)−d(i-1,j)が測定誤差以上の正の値として設定する。離隔距離変化しきい値farの一例は、式(2)に示した通りである。
【0048】
次に、演算部102は、水平方向の画素iをインクリメントして画素を右に進め(ステップS103)、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)を算出し、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が最小距離差しきい値nearよりも小さいかどうかを判定する(ステップS104)。
【0049】
ここで、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が最小距離差しきい値nearよりも小さい場合には(ステップS104 Yes)、演算部102は、突出した物体の始端が検出されたとして、画素登録を開始する(ステップS105)。
【0050】
そして、演算部102は、水平方向の画素iが右端の画素mに達したかどうかを判定することにより(i≠m)、対象データが横方向の画像の右端に到達するかどうかを判定し(ステップS106)、右端に到達していなければ(ステップS106 Yes)、さらに、水平方向の画素iをインクリメントして右隣りの画素に進み(ステップS107)、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値far未満かどうかを判定する(ステップS108)。横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値far未満であれば(ステップS108 Yes)、演算部102は、突出した物体の終端に到達していないと判定し、ステップS105にリターンし、画素登録を繰り返す。
【0051】
ステップS105からステップS108の処理を繰り返すことで、突出した物体の始端から、終端までの画素が登録されていく。
【0052】
ステップS108で、隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値far以上になったと判定された場合には(ステップS108 No)、突出した物体の終端が検出されたとして、ステップS109の処理に進む。
【0053】
また、ステップS106で、対象データが横方向の画像の右端に到達したと判定された場合には(ステップS106 No)、ステップS109の処理に進む。
【0054】
ステップS109で、演算部102は、画素登録を行った画素の距離値と、目標形状テンプレートを基に、実寸の目標形状テンプレートの情報を画像上で表示されるべき横方向画素数に換算する。そして、演算部102は、横方向の登録画素数が最小しきい値Xa_min及び最大しきい値Xa_maxの間にあるかどうかを判定する(ステップS110)。
【0055】
登録画素数の最小しきい値Xa_minは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの横方向の画素数を基に、調整係数ADJを差し引いた値とする。
【0056】
【数5】

【0057】
また、登録画素数の最大しきい値Xa_maxは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの横方向の画素数を基に、調整係数ADJを加えた値とする。
【0058】
【数6】

【0059】
ここで、調整係数ADJは、LADARセンサ101の計測誤差、テンプレートの誤差、計算誤差等を勘案し、目標として識別するためのマージンである。
【0060】
ステップS110で、ステップS105で登録された登録画素数と、登録画素数の最小しきい値Xa_min及び最大しきい値Xa_maxとを比較して、登録画素数が最小しきい値Xa_min及び最大しきい値Xa_maxの範囲内であれば(ステップS110 Yes)、検出された物体の横方向の長さは目標形状テンプレートの横方向の長さに一致しているものとして、登録画素を保持し(ステップS111)、範囲外であれば、検出された物体の横方向の長さは目標形状テンプレートの横方向の長さに一致しないものとして、登録解除して(ステップS112)、ステップS122へ進む。
【0061】
ステップS104に戻り、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が、最小距離差しきい値nearよりも大きい場合には(ステップS104 No)、ステップS113に進み、演算部102は、横方向の隣接画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)と離隔距離変化しきい値farとの比較を行い、横方向の隣接画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値farより大きいかどうかを判定する(ステップS113)。
【0062】
横方向の隣接画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が離隔距離変化しきい値farより大きければ(ステップS113 Yes)、演算部102は、画素登録を開始する(ステップS114)。
【0063】
そして、演算部102は、水平方向の画素iが右端の画素mに達したかどうかを判定することにより(i≠m)、対象データが横方向の画像の右端に到達するかどうかを判定し(ステップS115)、右端に到達していなければ(ステップS115 Yes)、さらに、水平方向の画素iをインクリメントして右隣りの画素に進み(ステップS116)、横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が接近距離差しきい値near以上かどうかを判定する(ステップS117)。横方向の隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が接近距離しきい値near以上であれば(ステップS117 Yes)、演算部102は、ステップS114にリターンし、画素登録を繰り返す。
【0064】
ステップS114からステップS117の処理を繰り返すことで、物体の始端から、終端までの画素が登録されていく。
【0065】
ステップS117で、隣同士の画素の距離差d(i,j)−d(i-1,j)が接近距離差しきい値near以下になったと判定された場合には(ステップS117 No)、物体の終端が検出されたとして、ステップS118の処理に進む。
【0066】
また、ステップS115で、対象データが横方向の画像の右端に到達したと判定された場合には(ステップS115 No)、ステップS118の処理に進む。
【0067】
ステップS118で、演算部102は、画素登録を行った画素の距離値と、目標形状テンプレートを基に、実寸の目標形状テンプレートの情報を画像上で表示されるべき横方向画素数に換算する。そして、演算部102は、横方向登録画素数の最小しきい値Xb_min及び最大しきい値Xb_maxの間にあるかどうかを判定する(ステップS119)。
【0068】
登録画素数の最小しきい値Xb_minは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの横方向の画素数を基に、調整係数ADJを差し引いた値とする。
【0069】
【数7】

【0070】
また、登録画素数の最大しきい値Xb_maxは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの横方向の画素数の計算結果を基に、調整係数ADJを加えた値とする。
【0071】
【数8】

【0072】
ステップS119で、ステップS114で登録された登録画素数と、登録画素数の最小しきい値Xb_min及び最大しきい値Xb_maxとを比較して、登録画素数が最小しきい値Xb_min及び最大しきい値Xb_maxの範囲内であれば(ステップS119 Yes)、検出された物体の横方向の長さは目標形状テンプレートの横方向の長さに一致しているものとして、登録画素を保持し(ステップS120)、範囲外であれば(ステップS119 No)、検出された物体の横方向の長さは目標形状テンプレートの横方向の長さに一致しないとして、登録解除して(ステップS121)、ステップS122へ進む。
【0073】
ステップS122で、演算部102は、画素iが横方向の画素数mに到達したかどうかを判定し、画素iが横方向の画素数mに到達していなければ(ステップS122 No)、処理をステップS103にリターンする。
【0074】
ステップS122で、画素iが横方向の画素数mに到達したと判定されたら(ステップS122 Yes)、ラインjが縦方向の画素数nに到達したかどうかを判定し(ステップS123)、ラインjが縦方向の画素数nに到達していなければ(ステップS123 No)、画素iを0にし、ラインjをインクリメントして処理を次のラインに移して(ステップS124)、ステップS102にリターンする。
【0075】
ステップS123で、ラインjが縦方向の画素数nに到達したと判定されると(ステップS123 Yes)、1フレームの評価が終了し、物体の部分の画素が登録されることになる。
【0076】
1フレームの評価が終了した後、演算部102は、ラベリング処理を行い(ステップS125)、ステップS111及びステップS120にて各ラインで登録した画素について、縦方向に連結を行う。これにより、目標候補となる物体のエリアが認識できる。
【0077】
次に、演算部102は、目標エリア画素の距離値と、目標形状テンプレートを基に、画像上で表示されるべき縦方向の画素数を算出する(ステップS126)。
【0078】
ラベリング後の縦方向画素最小値Y_minは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの縦方向の画素数に調整係数ADJを差し引いた値とする。
【0079】
【数9】

【0080】
また、ラベリング後の縦方向画素最小値Y_maxは、以下のように、換算した目標形状テンプレートの縦方向の画素数に調整係数ADJを加えた値とする。
【0081】
【数10】

【0082】
ステップS127で、ラベリング処理での目標エリア縦方向画素数と、ラベリング後の縦方向画素数の最大しきい値Y_max及び最小しきい値Y_minとを比較して(ステップS127)、その範囲内であれば(ステップS127 Yes)、検出された物体の縦方向の長さは目標形状テンプレートの縦方向の長さに一致しているものとして、目標の検出であると決定し(ステップS128)、範囲外であれば(ステップS127 No)、検出された物体の縦方向の長さは目標形状テンプレートの縦方向の長さに一致していないものとして、目標の不検出とする(ステップS129)。以後、次のフレームに進み、次の画面の画像の処理を同様に実施する。
【0083】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、LADARセンサ101からの方位情報と距離情報をもつ3次元データを用いることで、隣り合う画素間の距離が急激に変化している部分を検出することで、通常のイメージセンサでは検出できないような目標物体も、確実に検出できる。また、本発明の第1の実施形態では、目標形状テンプレートを実寸で登録しておき、画素が持つ距離情報により、実寸の目標テンプレートの情報を画素数に換算し、物体と比較して、目標決定を行っている。このため、細かな地形データを不要とし、また、目標物体と形状の似ている物体でも、その大きさにより目標物体かどうかを区別することができる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0085】
101:LADARセンサ
102:演算部
103:プラットフォーム情報生成部
105:記憶部
106:表示部
107:操作部
110:プラットフォーム
111:目標物体
201:隣接画素間距離差検出部
202:物体判定部
203:テンプレート記憶部
204:目標決定部
205:画素変換演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサと、
前記センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、前記隣接画素の距離差から、前記隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定する物体判定部と、
前記物体判定部で判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行う目標決定部と
を備えることを特徴とする目標検出装置。
【請求項2】
前記センサは、レーザー照射部と2次元アレイセンサにより構成されるレーザーレーダーであることを特徴とする請求項1に記載の目標検出装置。
【請求項3】
前記センサは、各画素に対応する横方向方位角と、縦方向方位角と、距離の3次元データを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検出装置。
【請求項4】
前記目標形状テンプレートは実寸の情報であり、
前記目標決定部は、前記センサからの距離情報を基に、前記目標形状テンプレートの実寸の情報を画素数の情報に換算し、
前記判定された物体の画素数と、前記換算された目標形状テンプレートの画素数とを比較して目標物体の検出を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の目標検出装置。
【請求項5】
測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサを用いて目標物体の検出を行う目標検出方法であって、
前記センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、前記隣接画素の距離差から、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定し、
前記判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行う
ことを特徴とする目標検出方法。
【請求項6】
測定対象の領域の測定を行い、当該領域を複数の画素に対応させ当該画素毎に距離情報を取得するセンサを用いて目標物体の検出を行う目標検出プログラムであって、
前記センサから取得された隣接画素の距離差を演算し、前記隣接画素の距離差から、隣接画素間の距離が急激に変化している部分を検出して物体を判定するステップと、
前記判定された物体と、目標形状テンプレートとを比較して、目標物体の検出を行うステップと
を含むことを特徴とするコンピュータにより実行可能な目標検出プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−237565(P2012−237565A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104895(P2011−104895)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】