説明

目標追跡装置

【課題】追跡精度を向上させることができる目標追跡装置を提供する。
【解決手段】外部から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して目標の航跡を算出するための補正情報であって、該パッシブセンサを中心とする座標系における補正情報を算出する補正情報算出部5aと、パッシブセンサからの測角データと補正情報算出部からの補正情報とに基づいて、該パッシブセンサを中心とする座標系における目標の航跡を算出する追跡処理部2aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標の角度を測定するパッシブセンサを用いて、目標の追跡を行なう目標追跡装置に関し、特に追跡精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の目標追跡装置の構成を示すブロック図である。この目標追跡装置は、パッシブセンサ1、追跡処理部2および制御部3を備えている。パッシブセンサ1は、目標から放射(再放射を含む)される電磁波または音波の角度、換言すれば、目標の角度を測定し、測角データとして追跡処理部2に送る。
【0003】
追跡処理部2は、パッシブセンサ1からの測角データに基づいて目標航跡として平滑値および予測値を算出し、制御部3に送る。追跡処理部2の詳細は後述する。制御部3は、追跡処理部2からの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。
【0004】
次に、上記のように構成される従来の目標追跡装置の動作を説明する。図8は、従来の目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【0005】
目標追跡処理が開始されると、測角データが入力される(ステップST101)。すなわち、パッシブセンサ1は、制御部3からの制御信号に基づいて目標の観測を行い、目標の測角データを算出して追跡処理部2に送る。追跡処理部2は、パッシブセンサ1から送られてくる測角データを入力する。
【0006】
次いで、予測処理が実行される(ステップST102)。すなわち、追跡処理部2は、前回観測時のステップST103において算出された目標の平滑位置とその共分散行列に基づいて、目標の予測位置およびその共分散行列を算出する。
【0007】
次いで、平滑処理が実行される(ステップST103)。すなわち、追跡処理部2は、パッシブセンサ1からの目標の測角データと、ステップST102において算出された目標の予測位置とその共分散行列に基づいて、目標の平滑位置とその共分散行列を算出し、平滑値および予測値とその共分散行列を制御部3に送る。
【0008】
次いで、制御処理が実行される(ステップST104)。すなわち、制御部3は、追跡処理部2からの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。次いで、終了であるかどうかが調べられる(ステップST105)。ステップST105において、終了でないことが判断されると、ステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST105において、終了であることが判断されると、目標追跡処理は終了する。
【0009】
次に、追跡処理部2の処理内容について、詳細に説明する。目標の運動モデルを以下のように定義する。
【数1】

【0010】
ここで、xは、観測時刻tにおける方位角a、高低角eおよびそれらの速度成分からなる状態ベクトル、Fk+1とGk+1は、観測時刻tから観測時刻tk+1への遷移行列と駆動行列、wは、観測時刻tの平均0、共分散行列Qのプロセス雑音ベクトル、σは、観測時刻tにおけるプロセス雑音の標準偏差、rは、観測時刻tにおける目標までの距離である。また、Aは、ベクトルまたは行列Aの転置、Iは、n行n列の単位行列、Oは、n行n列の零行列を示す。
【0011】
パッシブセンサの観測モデルを以下のように定義する。
【数2】

【0012】
ここで、yは、観測時刻tのパッシブセンサ1の観測ベクトル、Hは、観測時刻tのパッシブセンサ1の観測行列、vは、観測時刻tのパッシブセンサ1の平均0、共分散行列Rの観測雑音ベクトル、σとσは、観測時刻tにおける観測雑音の方位角と高低角の標準偏差である。
【0013】
上述したステップST102においては、前回観測時の平滑処理の結果を用いて、以下の式で表される予測処理が実施される。なお、以下において、ハットxは「x(^)」と表記する。
【数3】

【0014】
ここで、x(^)k|k−1は、観測時刻tの予測ベクトル、Pk|k−1は、観測時刻tの予測誤差共分散行列であり、x(^)k−1|k−1は、観測時刻tk−1の平滑ベクトル、Pk−1|k−1は、観測時刻tk−1の平滑誤差共分散行列である。
【0015】
なお、プロセス雑音共分散行列Qk−1の算出は、目標距離の真値rk−1が得られないため、予め設定された目標距離rpresetが用いられる。
【0016】
上述したステップST103においては、パッシブセンサ1からの測角データと予測処理の結果を用いて、以下の式で表される平滑処理が実施される。なお、以下において、ティルデyは「y(〜)」と表記する。
【数4】

【0017】
ここで、y(〜)は、観測時刻tのパッシブセンサ1の残差ベクトル、Sは、観測時刻tのパッシブセンサ1の残差共分散行列、Kは、観測時刻tのパッシブセンサ1のカルマンゲイン行列、x(^)k|kは、観測時刻tの平滑ベクトル、Pk|kは、観測時刻tの平滑誤差共分散行列である。また、A−1は、行列Aの逆行列を示す。
【0018】
以上説明したように、パッシブセンサ1の追跡処理では、目標までの距離情報が得られないため、プロセス雑音共分散行列Qk−1に誤差が発生する。この結果、この値から間接的に算出され、航跡算出に用いられるフィルタゲイン(カルマンゲイン行列)も、最適値が算出されず航跡誤差が大きくなる。
【0019】
また、非特許文献1に示すように、直交座標系で等速直線運動を行なっている目標に対しても、極座標系では、角加速度や角加速度の微分成分が発生するが、観測値からこの成分を推定して、プロセス雑音共分散行列Qk−1に反映させることは難しく、航跡誤差が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平7−128436号公報
【特許文献2】特開2009−38777号公報
【特許文献3】特開2002−181926号公報
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】D. Howard, "Tracking Radar," in Radar Handbook, 2nd ed., ch.18, ed. M. Skolnik, McGraw-Hill, New York, 1990.
【非特許文献2】吉田孝監修,改訂 レーダ技術,pp.264-267,電子情報通信学会, 1996.
【非特許文献3】Y. Bar-Shalom, X. R. Li, T. Kirubarajan, Estimation with Applications to Tracking and Navigation, Wiley-Interscience, 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上述したように、パッシブセンサを用いた目標追跡装置では、一般的には、目標までの距離情報が得られないため、航跡算出に用いられるフィルタゲインも、最適値が算出されず航跡誤差が大きくなる。
【0023】
また、同じ理由により、パッシブセンサを中心とするローカル座標系で目標を追跡することになるが、例えばローカル座標系として極座標系を用いる場合、目標が直交座標系で等速運動を行なっていても、極座標系では角加速度、角加速度の微分成分が発生する。これに対応しようとして、非特許文献2に示すように、フィルタゲインを大きくすると、追跡誤差のランダム成分が大きくなり、追跡誤差のランダム成分を小さくしようとしてフィルタゲインを小さくすると、追跡誤差のバイアス成分が大きくなるため、追跡精度を向上させることが難しいという問題がある。
【0024】
なお、特許文献1には、パッシブセンサとアクティブセンサを組み合わせ、パッシブセンサとアクティブセンサからの情報に基づいて、アクティブセンサを制御する低被探知性センサ装置が開示され、特許文献2には、パッシブセンサとしてカメラを用い、カメラのパン・チルト制御を制御ベクトルとして考慮する自動追尾装置が開示されている。
【0025】
本発明の課題は、追跡精度を向上させることができる目標追跡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、第1の発明は、目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサから前記目標までの距離を算出し、前記追跡処理部は、前記補正情報算出部で算出された前記目標までの距離に基づいて、プロセス雑音共分散行列を算出し、算出したプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出することを特徴とする。
【0027】
また、第2の発明は、目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、前記補正情報算出部は、外部から入力されるプロセス雑音共分散行列を含む前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、前記追跡処理部は、前記補正情報算出部で算出されたプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出することを特徴とする。
【0028】
また、第3の発明は、目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のバイアス誤差を算出して制御入力として出力し、前記追跡処理部は、前記補正情報算出部から出力される制御入力に基づいて、前記目標の予測位置を算出することを特徴とする。
【0029】
また、第4の発明は、目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトル、または、外部から入力されるプロセス雑音共分散行列を含む前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のバイアス誤差を算出して制御入力として出力し、かつ、前記パッシブセンサから前記目標までの距離、または、前記パッシブセンサの位置における前記目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、前記追跡処理部は、前記補正情報算出部から出力される制御入力に基づいて前記目標の予測位置を算出し、かつ、前記補正情報算出部で算出された前記目標までの距離に基づいて算出したプロセス雑音共分散行列、または、前記補正情報算出部で算出されたプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、外部から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサからの測角データを入力して目標の航跡を算出するための補正情報であって、該パッシブセンサを中心とする座標系における補正情報を算出し、パッシブセンサからの測角データと補正情報とに基づいて、該パッシブセンサを中心とする座標系における目標の航跡を算出するので、追跡精度を向上させることができる目標追跡装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1に係る目標追跡装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例3に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すである。
【図5】本発明の実施例4に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すである。
【図6】本発明の実施例1〜実施例4の変形例に係る目標追跡装置の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の目標追跡装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下においては、背景技術の欄で説明した構成部分と同一または相当する部分には、背景技術の欄で使用した符号と同じ符号を用いて説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の実施例1に係る目標追跡装置の構成を示すブロック図である。目標追跡装置は、パッシブセンサ1、追跡処理部2a、制御部3、通信部4および補正情報算出部5aを備えている。
【0034】
パッシブセンサ1は、目標の角度を測定し、測角データとして追跡処理部2に送る。通信部4は、外部装置から入力される目標の状態ベクトルを補正情報算出部5aに送る。補正情報算出部5aは、通信部4から送られてきた目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1を中心とするローカル座標系(極座標系)における補正情報、ここでは目標までの距離を算出し、追跡処理部2aに送る。
【0035】
追跡処理部2aは、パッシブセンサ1からの測角データと補正情報算出部5aからの補正情報(目標距離)とに基づいて目標航跡として平滑値および予測値を算出し、制御部3に送る。制御部3は、追跡処理部2aからの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。
【0036】
次に、上記のように構成される本発明の実施例1に係る目標追跡装置の動作を説明する。図2は、実施例1に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下においては、従来の目標追跡装置の目標追跡処理と同じ処理を行うステップには、従来の目標追跡処理の説明で使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0037】
追跡処理が開始されると、測角データが入力される(ステップST101)。すなわち、パッシブセンサ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、目標の観測を行い、目標の測角データを追跡処理部2に送る。
【0038】
次いで、補正情報算出処理(目標距離)が実行される(ステップST106)。すなわち、補正情報算出部5aは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1からの観測値を入力して目標の航跡を算出するための補正情報として、目標までの距離を算出し、補正情報(目標距離)として追跡処理部2aに送る。
【0039】
次いで、共分散算出処理が実行される(ステップST107)。すなわち、追跡処理部2aは、補正情報算出部5aからの補正情報(目標距離)に基づいて、プロセス雑音共分散行列Qk−1を算出する。
【0040】
次いで、予測処理が実行される(ステップST108)。すなわち、前回観測時のステップST103において算出された目標の平滑位置およびその共分散行列とステップST107において算出されたプロセス雑音共分散行列Qk−1とに基づいて、目標の予測位置およびその共分散行列を算出する。
【0041】
次いで、平滑処理が実行される(ステップST103)。すなわち、追跡処理部2aは、パッシブセンサ1からの目標の測角データとステップST108において算出された目標の予測位置およびその共分散行列とに基づいて、目標の平滑位置およびその共分散行列を算出し、平滑値および予測値とその共分散行列を制御部3に送る。
【0042】
次いで、制御処理が実行される(ステップST104)。すなわち、制御部3は、追跡処理部2aからの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。次いで、終了であるかどうかが調べられる(ステップST105)。ステップST105において、終了でないことが判断されると、ステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST105において、終了であることが判断されると、目標追跡処理は終了する。
【0043】
次に、補正情報算出部5aと追跡処理部2aの処理内容について、詳細に説明する。目標の運動モデルを以下のように定義する。
【数5】

【0044】
ここで、xは、観測時刻tにおける方位角a、高低角eとそれらの速度成分からなる状態ベクトル、Fk+1とGk+1は、観測時刻tから観測時刻tk+1への遷移行列と駆動行列、wは、観測時刻tの平均0、共分散行列Qkのプロセス雑音ベクトル、σは、観測時刻tにおけるプロセス雑音の標準偏差、rは、観測時刻tにおける目標までの距離である。また、Aは、ベクトルまたは行列Aの転置、Iは、n行n列の単位行列、Oは、n行n列の零行列を示す。
【0045】
パッシブセンサ1の観測モデルを以下のように定義する。
【数6】

【0046】
ここで、yは、観測時刻tのパッシブセンサ1の観測ベクトル、Hは、観測時刻tのパッシブセンサ1の観測行列、vは、観測時刻tのパッシブセンサ1の平均0、共分散行列Rの観測雑音ベクトル、σとσは、観測時刻tにおける観測雑音の方位角と高低角の標準偏差である。
【0047】
上述したステップST106では、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報として、目標距離r(^)k−1を算出する。
【数7】

【0048】
ここで、xk−1、yk−1、zk−1は、観測時刻tk−1の目標の状態ベクトル、x、y、zは、パッシブセンサ1の位置である。
【0049】
なお、外部装置としては、アクティブセンサであるレーダ装置等を使用できる。また、パッシブセンサ1と、略同位置に置かれた測距装置を用いて、目標距離を直接測定するように構成することができる。
【0050】
上述したステップST107では、補正情報算出部5aからの補正情報(目標距離r(^)k−1)に基づいて、プロセス雑音共分散行列Qk−1を算出する。
【数8】

【0051】
上述したステップST108では、前回観測時の平滑処理の結果とプロセス雑音共分散行列Qk−1を用いて、以下の式で表される予測処理を実施する。
【数9】

【0052】
ここで、x(^)k|k−1は、観測時刻tの予測ベクトル、Pk|k−1は、観測時刻tの予測誤差共分散行列であり、x(^)k−1|k−1は、観測時刻tk−1の平滑ベクトル、Pk−1|k−1は、観測時刻tk−1の平滑誤差共分散行列である。
【0053】
上述したステップST103では、パッシブセンサ1からの測角データと予測処理の結果を用いて、以下の式で表される平滑処理を実施する。
【数10】

【0054】
ここで、y(〜)は、観測時刻tのパッシブセンサ1の残差ベクトル、Sは、観測時刻tのパッシブセンサ1の残差共分散行列、Kは、観測時刻tのパッシブセンサ1のカルマンゲイン行列、x(^)k|kは、観測時刻tの平滑ベクトル、Pk|kは、観測時刻tの平滑誤差共分散行列である。また、A−1は、行列Aの逆行列を示す。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施例1に係る目標追跡装置によれば、補正情報算出部5aは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報(目標距離)を追跡処理部2aに送り、追跡処理部2aは、補正情報算出部5aからの補正情報(目標距離)に基づいて、プロセス雑音共分散行列Qk−1を算出し、この値から間接的に算出されるフィルタゲイン(カルマンゲイン行列)を、航跡算出に用いるので、航跡誤差(ランダム成分)を小さくすることができる。
【0056】
なお、上記では、追跡処理部2aの目標の状態ベクトルとして、極座標系を用いた例を示したが、特許文献2に示されているように、カメラの画像上の目標の位置(水平、垂直座標とその速度)等を用いるように構成することができる。
【0057】
また、上述した実施例1に係る目標追跡装置では、補正情報算出部5aは補正情報として目標距離を算出し、追跡処理部2aは、この補正情報(目標距離)に基づいてプロセス雑音共分散行列を算出するように構成したが、補正情報算出部5aは補正情報としてプロセス雑音共分散行列を算出し、追跡処理部2aは、この補正情報(プロセス雑音共分散行列)に基づいてフィルタゲインを算出するように構成することができる。
【実施例2】
【0058】
本発明の実施例2に係る目標追跡装置の構成は、図1に示した実施例1に係る目標追跡装置の補正情報算出部5aおよび追跡処理部2aが、補正情報算出部5bおよび追跡処理部2b(いずれも図示は省略)にそれぞれ変更されて構成されている。以下では、実施例1に係る目標追跡装置と異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
補正情報算出部5bは、通信部4から送られてきた目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1を中心とするローカル座標系(極座標系)における補正情報、ここでは目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、追跡処理部2bに送る。
【0060】
追跡処理部2bは、パッシブセンサ1からの測角データと補正情報算出部5bからの補正情報(プロセス雑音共分散行列)とに基づいて目標航跡として平滑値および予測値を算出し、制御部3に送る。
【0061】
次に、上記のように構成される本発明の実施例2に係る目標追跡装置の動作を説明する。図3は、実施例1に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下においては、実施例1に係る目標追跡装置の目標追跡処理と同じ処理を行うステップには、実施例1に係る目標追跡処理の説明で使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0062】
追跡処理が開始されると、測角データが入力される(ステップST101)。すなわち、パッシブセンサ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、目標の観測を行い、目標の測角データを追跡処理部2bに送る。
【0063】
次いで、補正情報算出処理(共分散)が実行される(ステップST109)。すなわち、補正情報算出部5bは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1からの観測値を入力して目標の航跡を算出するための補正情報として、目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、補正情報(プロセス雑音共分散行列)として追跡処理部2bに送る。なお、外部装置としては、目標のプロセス雑音共分散行列を推定できる、例えば特許文献3等に記載のアダプティブカルマンフィルタや非特許文献3等に記載のIMMフィルタを備えたレーダ装置等を使用できる。
【0064】
次いで、予測処理が実行される(ステップST108)。すなわち、追跡処理部2bは、前回観測時のステップST103において算出された目標の平滑位置およびその共分散行列と補正情報算出部5bからの補正情報(プロセス雑音共分散行列)とに基づいて、目標の予測位置およびその共分散行列を算出する。
【0065】
次いで、平滑処理が実行される(ステップST103)。すなわち、追跡処理部2bは、パッシブセンサ1からの目標の測角データとステップST108において算出された目標の予測位置およびその共分散行列とに基づいて、目標の平滑位置およびその共分散行列を算出し、平滑値および予測値とその共分散行列を制御部3に送る。
【0066】
次いで、制御処理が実行される(ステップST104)。すなわち、制御部3は、追跡処理部2bからの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。次いで、終了であるかどうかが調べられる(ステップST105)。ステップST105において、終了でないことが判断されると、ステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST105において、終了であることが判断されると、目標追跡処理は終了する。
【0067】
次に、補正情報算出部5bと追跡処理部2bの処理内容について、詳細に説明する。目標の運動モデルとパッシブセンサ1の観測モデルは、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0068】
上述したステップST109では、外部装置から入力される目標の状態ベクトル(プロセス雑音共分散行列Qk−1を含む)に基づいて、補正情報として、パッシブセンサ1から見たプロセス雑音共分散行列Qk−1を算出する。
【数11】

【0069】
ここで、外部装置から入力されるプロセス雑音共分散行列Qk−1が以下の(35)式で表されるとすると、変換行列Tk−1は、(36)式のようになる。なお、(xk−1、yk−1、zk−1)、(ak−1、ek−1)は、座標変換によって、外部装置から入力される目標の状態ベクトルをパッシブセンサ1から見た目標の位置(直交座標系と極座標系)に変換した値である。
【数12】

【0070】
ステップST108およびステップST103の処理内容は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0071】
なお、定義(設定)した運動モデルが実際の運動モデルと厳密に当てはまらない場合、モデル化の誤差成分を加味して、プロセス雑音共分散行列Qk−1を算出するように構成することができる。
【0072】
以上説明したように、本発明の実施例2に係る目標追跡装置によれば、補正情報算出部5bは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報(プロセス雑音共分散行列)を追跡処理部2bに送り、追跡処理部2bは、補正情報(プロセス雑音共分散行列)から間接的に算出されるフィルタゲイン(カルマンゲイン行列)を、航跡算出に用いるので、航跡誤差(ランダム成分)を小さくすることができる。
【実施例3】
【0073】
本発明の実施例3に係る目標追跡装置の構成は、図1に示した実施例1に係る目標追跡装置の補正情報算出部5aおよび追跡処理部2aが、補正情報算出部5cおよび追跡処理部2c(いずれも図示は省略)にそれぞれ変更されて構成されている。以下では、実施例1に係る目標追跡装置と異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
補正情報算出部5cは、通信部4から送られてきた目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1を中心とするローカル座標系(極座標系)における補正情報、ここでは(17)式で定義(設定)した極座標系の等速運動モデルが直交座標系の等速運動モデルと厳密に当てはまらないことにより発生する目標の角加速度を制御入力ベクトルとみなして算出し、追跡処理部2cに送る。
【0075】
追跡処理部2cは、パッシブセンサ1からの測角データと補正情報算出部5cからの補正情報(制御入力ベクトル)とに基づいて目標航跡として平滑値および予測値を算出し、制御部3に送る。
【0076】
次に、上記のように構成される本発明の実施例3に係る目標追跡装置の動作を説明する。図4は、実施例3に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下においては、実施例1または実施例2に係る目標追跡装置の目標追跡処理と同じ処理を行うステップには、実施例1または実施例2に係る目標追跡処理の説明で使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0077】
追跡処理が開始されると、測角データが入力される(ステップST101)。すなわち、パッシブセンサ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、目標の観測を行い、目標の測角データを追跡処理部2cに送る。
【0078】
次いで、補正情報算出処理(制御入力)が実行される(ステップST110)。すなわち、補正情報算出部5cは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1からの観測値を入力して目標の航跡を算出するための補正情報として、目標の制御入力ベクトルを算出し、補正情報(制御入力ベクトル)として追跡処理部2cに送る。
【0079】
次いで、予測処理が実行される(ステップST111)。すなわち、追跡処理部2cは、前回観測時のステップST103において算出された目標の平滑位置およびその共分散行列と補正情報算出部5cからの補正情報(制御入力ベクトル)とに基づいて、目標の予測位置およびその共分散行列を算出する。
【0080】
次いで、平滑処理が実行される(ステップST103)。すなわち、追跡処理部2cは、パッシブセンサ1からの目標の測角データとST111において算出された目標の予測位置およびその共分散行列とに基づいて、目標の平滑位置およびその共分散行列を算出し、平滑値および予測値とその共分散行列を制御部3に送る。
【0081】
次いで、制御処理が実行される(ステップST104)。すなわち、制御部3は、追跡処理部2cからの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。次いで、終了であるかどうかが調べられる(ステップST105)。ステップST105において、終了でないことが判断されると、ステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST105において、終了であることが判断されると、目標追跡処理は終了する。
【0082】
次に、補正情報算出部5cと追跡処理部2cの処理内容について、詳細に説明する。目標の運動モデルを以下のように定義する。
【数13】

【0083】
ここで、xは、観測時刻tにおける方位角a、高低角eとそれらの速度成分からなる状態ベクトル、uは、観測時刻tにおける方位角a、高低角eの加速度成分からなる制御入力ベクトル、Fk+1とGk+1は、観測時刻tから観測時刻tk+1への遷移行列と駆動行列、wは、観測時刻tの平均0、共分散行列Qのプロセス雑音ベクトル、σは、観測時刻tにおけるプロセス雑音の標準偏差、rは、観測時刻tにおける目標までの距離である。また、Aは、ベクトルまたは行列Aの転置、Iは、n行n列の単位行列、Oは、n行n列の零行列を示す。
【0084】
パッシブセンサ1の観測モデルは、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0085】
上述したステップST110では、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報として、制御入力ベクトル(角加速度)uk−1を算出する。
【数14】

【0086】
なお、制御入力ベクトル(角加速度)uk−1は、以下の式で算出する。
【数15】

【0087】
ここで、(xk−1、yk−1、zk−1)、(x(・)k−1、y(・)k−1、z(・)k−1)、(a(・)k−1、e(・)k−1)は、座標変換によって、外部装置から入力される目標の状態ベクトルをパッシブセンサ1から見た目標の位置、速度および角速度成分に変換した値である。
【0088】
上述したステップST111では、前回観測時の平滑処理の結果と制御入力ベクトルuk−1を用いて、以下の式で表される予測処理を実施する。
【数16】

【0089】
なお、プロセス雑音共分散行列Qk−1の算出は、目標距離の真値rk−1が得られないため、予め設定された目標距離rpresetが用いられる。
【0090】
上述したステップST103の処理内容は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0091】
以上説明したように、本発明の実施例3に係る目標追跡装置によれば、補正情報算出部5cは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報(制御入力ベクトル)を追跡処理部2cに送り、追跡処理部2cは、補正情報算出部5cからの補正情報(制御入力ベクトル)に基づいて、目標の航跡を算出するので、航跡誤差(バイアス成分)を小さくすることができる。
【実施例4】
【0092】
本発明の実施例4に係る目標追跡装置の構成は、図1に示した実施例1に係る目標追跡装置の補正情報算出部5aおよび追跡処理部2aが、補正情報算出部5dおよび追跡処理部2d(いずれも図示は省略)にそれぞれ変更されて構成されている。以下では、実施例1に係る目標追跡装置と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
補正情報算出部5dは、通信部4から送られてくる目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1を中心とするローカル座標系(極座標系)における補正情報、ここでは目標のプロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトルを算出し、追跡処理部2dに送る。
【0094】
追跡処理部2dは、パッシブセンサ1からの測角データと補正情報算出部5dからの補正情報(プロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトル)に基づいて目標航跡として平滑値および予測値を算出し、制御部3に送る。
【0095】
次に、上記のように構成される本発明の実施例4に係る目標追跡装置の動作を説明する。図5は、実施例3に係る目標追跡装置において行われる目標追跡処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下においては、実施例1〜実施例3に係る目標追跡装置の目標追跡処理と同じ処理を行うステップには、実施例1〜実施例3に係る目標追跡処理の説明で使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0096】
追跡処理が開始されると、測角データが入力される(ステップST101)。すなわち、パッシブセンサ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、目標の観測を行い、目標の測角データを追跡処理部2cに送る。
【0097】
次いで、補正情報算出処理(共分散)が実行される(ステップST109)。すなわち、補正情報算出部5dは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1からの観測値を入力して目標の航跡を算出するための補正情報として、目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、補正情報(プロセス雑音共分散行列)として追跡処理部2dに送る。なお、外部装置としては、目標のプロセス雑音共分散行列を推定できるアダプティブカルマンフィルタやIMMフィルタを備えたレーダ装置等を使用できる。
【0098】
次いで、補正情報算出処理(制御入力)が実行される(ステップST110)。すなわち、補正情報算出部5dは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、パッシブセンサ1からの観測値を入力して目標の航跡を算出するための補正情報として、目標の制御入力ベクトルを算出し、補正情報(制御入力ベクトル)として追跡処理部2dに送る。
【0099】
次いで、予測処理が実行される(ステップST112)。すなわち、追跡処理部2dは、前回観測時のステップST103において算出された目標の平滑位置およびその共分散行列と補正情報算出部5dからの補正情報(プロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトル)とに基づいて、目標の予測位置およびその共分散行列を算出する。
【0100】
次いで、平滑処理が実行される(ステップST103)。すなわち、追跡処理部2dは、パッシブセンサ1からの目標の測角データとST112において算出された目標の予測位置およびその共分散行列とに基づいて、目標の平滑位置およびその共分散行列を算出し、平滑値および予測値とその共分散行列を制御部3に送る。
【0101】
次いで、制御処理が実行される(ステップST104)。すなわち、制御部3は、追跡処理部2dからの目標航跡に基づいて、パッシブセンサ1の姿勢等を制御する制御信号を生成し、パッシブセンサ1に送る。次いで、終了であるかどうかが調べられる(ステップST105)。ステップST105において、終了でないことが判断されると、ステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST105において、終了であることが判断されると、目標追跡処理は終了する。
【0102】
次に、補正情報算出部5dと追跡処理部2dの処理内容について、詳細に説明する。目標の運動モデルは、実施例3と同じであるので説明を省略する。また、パッシブセンサ1の観測モデルは、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0103】
上述したステップST109の処理内容は、実施例2と同じであり、ステップST110の処理内容は、実施例3と同じであるので説明を省略する。
【0104】
上述したステップST112では、前回観測時の平滑処理の結果、(34)式のプロセス雑音共分散行列Qk−1および(43)式の制御入力ベクトルuk−1を用いて、以下の式で表される予測処理を実施する。
【数17】

【0105】
上述したステップST103の処理内容は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0106】
以上説明したように、本発明の実施例4に係る目標追跡装置によれば、補正情報算出部5dは、外部装置から入力される目標の状態ベクトルに基づいて、補正情報(プロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトル)を追跡処理部2dに送り、追跡処理部2dは、補正情報算出部5dからの補正情報(プロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトル)に基づいて、目標の航跡を算出するので、航跡誤差(ランダム成分とバイアス成分)を小さくすることができる。
【0107】
なお、上述した実施例では、プロセス雑音共分散行列と制御入力ベクトルとを組み合わせる例を示したが、目標距離と制御入力ベクトルを組み合わせるように構成することができる。
【0108】
また、上述した実施例1〜実施例4に係る目標追跡装置は、図6に示すように変形することができる。図6(a)は、補正情報算出部5a〜5dと追跡処理部2a〜2dとの間に通信部6aおよび通信部6bを設け、補正情報算出部5a〜5dを含むブロックと追跡処理部2a〜2dを含むブロックとを別体に構成したものである。
【0109】
図6(b)は、追跡処理部2a〜2dとパッシブセンサ1との間に通信部6cおよび通信部6dを設け、パッシブセンサ1を含むブロックと追跡処理部2a〜2dを含むブロックとを別体に構成したものである。
【0110】
図6(c)は、補正情報算出部5a〜5dと追跡処理部2a〜2dとの間に通信部6aおよび通信部6bcを設けるとともに、通信部6bcとパッシブセンサ1との間に通信部6dを設け、補正情報算出部5a〜5dを含むブロック、パッシブセンサ1を含むブロックおよび追跡処理部2a〜2dを含むブロックの各々を別体に構成したものである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、パッシブセンサとして、パッシブレーダ、パッシブソナー、可視または赤外線カメラなど用いた目標追跡装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 パッシブセンサ
2、2a〜2d 追跡処理部
3 制御部
4、6a〜6d 通信部
5a〜5d 補正情報算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、
前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサから前記目標までの距離を算出し、
前記追跡処理部は、前記補正情報算出部で算出された前記目標までの距離に基づいて、プロセス雑音共分散行列を算出し、算出したプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出すること
を特徴とする目標追跡装置。
【請求項2】
目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、
前記補正情報算出部は、外部から入力されるプロセス雑音共分散行列を含む前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、
前記追跡処理部は、前記補正情報算出部で算出されたプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出することを特徴とする目標追跡装置。
【請求項3】
目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、
前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のバイアス誤差を算出して制御入力として出力し、
前記追跡処理部は、前記補正情報算出部から出力される制御入力に基づいて、前記目標の予測位置を算出することを特徴とする目標追跡装置。
【請求項4】
目標の角度を測定して測角データとして出力するパッシブセンサからの測角データを入力して前記目標の航跡を算出する追跡処理部と、前記追跡処理部に補正情報を出力する補正情報算出部とを備えた目標追跡装置であって、
前記補正情報算出部は、外部から入力される前記目標の状態ベクトル、または、外部から入力されるプロセス雑音共分散行列を含む前記目標の状態ベクトルに基づいて、前記補正情報として、前記パッシブセンサの位置における前記目標のバイアス誤差を算出して制御入力として出力し、かつ、前記パッシブセンサから前記目標までの距離、または、前記パッシブセンサの位置における前記目標のプロセス雑音共分散行列を算出し、
前記追跡処理部は、前記補正情報算出部から出力される制御入力に基づいて前記目標の予測位置を算出し、かつ、前記補正情報算出部で算出された前記目標までの距離に基づいて算出したプロセス雑音共分散行列、または、前記補正情報算出部で算出されたプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡を算出することを特徴とする目標追跡装置。
【請求項5】
前記追跡処理部は、算出したプロセス雑音共分散行列に基づいて、前記目標の航跡算出に用いるフィルタゲインを算出することを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の目標追跡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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