説明

目的物中の割れを検出する方法および装置

【課題】目的物を蛍光剤で処理し、目的物に光を照射し、照射された目的物からの蛍光を画像記録部により記録して目的物中の割れを検出すること。
【解決手段】目的物(11)を蛍光剤で処理し、目的物(11)に光を照射し、照射された目的物からの蛍光を画像記録部(13、54)により記録することからなる、目的物中の割れを検出する方法であって、画像記録部(13、54)により得られた目的物(11)の画像を、画像の色内容に関して自動的にデジタル化して目的物中の任意の割れを検出するために分析することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的物を蛍光剤で処理し、目的物に光を照射し、照射された目的物からの蛍光を画像記録部により記録することからなる、目的物中の割れを検出する方法に関し、さらに本発明は、請求項17の前文に記載の目的物中の割れを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目的物中の割れを検出する非破壊試験の一種は、いわゆる浸透剤検査である。このような試験では、浸透剤、好適には液体の浸透剤を、検査すべき目的物上に塗布する。浸透液は、毛管現象により、目的物中の小さな穴や割れの中に入る。余分な浸透液を除去した後、割れの中に残る液体を目的物の表面に取り出すように乾燥および現像させて、分析可能な光線(放射線)を発生させるために目的物に光を照射する。この光線は、用いた浸透剤に対して特有のものである。原理的に異なる2つの方法がある。すなわち、可視光の波長範囲内の白色光で目的物を照射し、目的物自体に由来する反射光線と異なる目的物中の割れの中に残る浸透剤からの反射光線の結果として目的物を分析可能な方法、あるいは、目的物自体ではなく、残存する浸透剤が分析可能な蛍光を発することを意味する光線により目的物を照射する方法である。
【0003】
後者の場合、紫外線を通常用いて目的物を照射し、割れを検出するために、オペレータは目で目的物を検査する。ある場合には、例えば、オペレータが目的物を目で検査することが難しいか不可能である目的物の内部検査の場合、割れの検出を容易にするため、カラービデオカメラを付属のモニターとともに用いる。これにより、オペレータは、モニター上の目的物の画像を検査し、目的物中の蛍光検出を探すことにより、相当する方法で目的物を見ることができる。カメラとモニターがモノクロあるいはカラーであるかに応じて、目的物の画像が、モノクロ、いわゆるグレースケール、あるいはカラーでモニター上に現れる。割れの中に残る浸透剤からの蛍光は、目的物の残りの部分と異なる(高い)強度で現れる。
【0004】
カラービデオカメラとモニターを用いても、この方法は、観察と評価を実質的に手動で行うことを意味する。これにより、調査結果は、兆候を検出し分析するオペレータの能力に依存することを意味する。画像の雑音レベルが高く、かつ画像が比較的高い強度の背景光を含んだり、あるいは画像が迷光、反射、ごみ粒子などによる偽の検出を含んだりすることにより、この作業は非常に難しいものになる。強度に基づくグレースケールを用いると、高い光強度の偽の検出と実際の割れの検出とを区別する可能性が、非常に限定される。
【0005】
ある物理的な構成の場合、照射と画像記録機器用に十分な空間がないために、蛍光浸透剤検査を全く実施できない。そのような製品としては、例えば溶接継ぎ手を確認するために内部検査を行うべき配管コイルがある。このような場合、製品の検査は、X線機器を使用するなど別の方法により行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、本発明の目的は、公知のそのような装置に付随する不都合の少なくともいくつかを大幅に削減する、導入部で定義した種類の方法を提供することである。
【0007】
本目的は、請求項1に記載の方法により達成される。
【0008】
画像中の色内容に関して画像記録部により得られる目的物の画像を自動的にデジタル化して分析することにより、目的物中の割れを検出するために、割れの検出能を大幅に増加させることができる。本発明による方法を用いると、蛍光検出に対する検出能あるいは解像度のレベルは、ほとんどの場合、目により強度に基づいたグレースケールを学習することによる割れを検出するオペレータの平均能力を超え、少なくともある場合には、TVモニター上のカラー画像を学習することのよる割れを検出するオペレータの能力を超えることがわかった。
【0009】
これは、繰返しが可能であり、蛍光浸透剤試験の自動化を可能にする改良された方法を意味する。改良された検出能と、試験をしている目的物中の割れを手動で検出するオペレータに頼る割合を減らす方法の結果として、本方法は浸透剤試験の自動化を可能にする。画像中の実際の色内容に基づいて行われる分析であるため、本分析方法は、画像中の強度あるいは輝度に対する感度が低い。さらに、高い解像度により、例えば見つかった検出が偽か真かを評価するために、検出の寸法および形状が、より正確に測定可能になる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、本発明の目的は、公知のそのような装置に付随する不都合な点の少なくともいくつかを大幅に削減する、導入部で定義した種類の装置を提供することである。
【0011】
本目的は、請求項17に記載の装置により達成される。
【0012】
画像記録部に配置される第1のバンドパスフィルターであって、目的物が蛍光を発する波長範囲内にある波長を含む限定された波長範囲内の光線を通過させるバンドパスフィルターは、蛍光線の波長に比較して、不要な比較的短い波長の光線と比較的長い波長の光線を遮断可能であることを意味する。これは、画像記録部によって得られる画像は、興味のある蛍光波長範囲内の波長の光線が高い割合あることに基づくか、別の方法で表現されることを意味する。すなわち、画像の信号/雑音比(S/N)を増加させることにより、検出方法において高度の自動化が可能になる。また、手動検査も簡単になる。例えば、異なる波長範囲(赤など)の蛍光を発する外部粒子からのある誤った検出を、システムにより遮断することができるので、オペレータはそのような検出を考慮する必要がない。
【0013】
画像記録部が問題の光線に感度のある場合に、直接光線あるいは反射光線である光線が照射源から生じる際に、第1のバンドパスフィルターにより遮断することができるという優位性がある。これは、例えば、CCDカメラと蛍光を発生する紫外線(UV)源とを用いる場合である。CCDカメラが広範囲の紫外線に影響を受ける場合、雑音レベルが増加し、画像がバックグラウンド光線により飽和するので、画像の蛍光検出に関する分析が困難になる。
【0014】
本発明による装置の好適な実施形態よれば、装置は、照射源中に配置される第2のバンドパスフィルターであって、紫外線を含む限定された波長範囲内の光線を通過させるバンドパスフィルターを備える。例えば、第2のバンドパスフィルターは、光の反射が画像記録部に到着するのを防ぎ、かつ画像の背景レベルの原因となることを防ぐために、紫外光源などの照射源からの可視光を遮断するように設計することができる。画像記録部の前の第1のバンドパスフィルターと照射源の前の第2のバンドパスフィルターを利用する装置を用いることにより、実際には画像が蛍光のある領域以外は実質的に完全に黒であることを意味する、S/N値の非常に高い画像を達成可能である。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、本発明の目的は、目的物を照射する照射源と照射された目的物からの蛍光を記録する画像記録部とを備える、目的物中の割れを検出する配置であって、複雑な物理的構成を有する目的物の検査を簡単にする配置を提供することである。
【0016】
本目的は、請求項40に記載の配置により達成される。
【0017】
例えば、目的物中の隠れた表面を照射するために照射源から少なくとも有意量の光線を偏向させる反射器、および/または目的物中の隠れた表面から画像記録部へ発光される少なくとも分析に十分な量の蛍光を偏向する反射器の形式の偏向装置を用いることにより、難しい物理的な構成を有する目的物においても割れを検出する方法を提供する。例えば、スペースの問題で従来の機器を用いる蛍光浸透剤方法による試験では不可能であった、円筒形の目的物中の機械加工された外側あるいは内側の溝などの比較的狭い溝を備える目的物においても割れを検出することができる。例えば、光線の少なくとも一部を、溝内の側壁に向かう方向に偏向可能であり、および/または少なくとも分析に十分な量の蛍光を、溝内の側壁から画像記録部に向かう方向に偏向可能である。さらに、同一の配置を底面と溝中などの側壁面の両方の試験に用いることが可能であるような方法で、配置を設計することが可能である。
【0018】
また、本発明は、蛍光検査に対してオペレータにより使用される眼鏡に関するものである。本発明による眼鏡は、ある波長の光線がオペレータの目に達するのを遮断するように意図されたバンドパスフィルターを備える。バンドパスフィルターは、本発明による装置中の前記第1のバンドパスフィルターに対応する。オペレータがそのような眼鏡を備えることにより、割れの手動検出をより効率的に行うことができる。蛍光量が増加するように、目的物を照射する光線に対する波長範囲を増加させることができる。蛍光を増加させることにより、検出能が向上する。特に、目的物への光の照射は、450nmまでの範囲、例えば320〜450nmの範囲内の光線を用いて行うことができるので、380〜450の範囲内の可視光も蛍光を発生するために利用する。これらの波長は可視光範囲内の光線に対応するので、検査で本発明による眼鏡を使用しない場合、そのような光線による照射は、検査を難しくする。例えば紫外光および約450nmまでの光を含む光線を除外する結果として、好適に設計されたバンドパスフィルター範囲により、オペレータは目的物を照射するために用いる可視光を受光しないので、この光は検査を妨げない。
【0019】
本発明の種々の実施形態におけるその他の有利な特徴および機能は、以下の説明および従属請求項から明らかとなる。
【0020】
また、上記本発明の態様は個々に利用すること、あるいは2つ以上の態様の組合せとして利用することが可能であることを強調すべきである。これは、以下に説明されるすべての実施形態が、必要に応じて互いに組合せることが可能であることも意味する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】二重円錐として例示するHSL色空間の斜視図を示す。
【図2】図2(a)は、図1の二重円錐の縦軸に沿った任意の位置での断面図を示す。図2(b)は、異なる色相に対応する区画に断面を分割するための直線を備える図2(a)の断面図を示す。図2(c)は、異なる彩度で場を分割するための内部円を備える図2(b)の断面図を示す。
【図3】本発明による装置の概略図を示す。
【図4】本発明による配置の概略図を示す。
【図5】図4における配置の変形の概略図を示す。
【図6】本発明による眼鏡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
デジタル化されたカラー画像処理において、色空間RGB(赤、緑、青)あるいはHSL(色相、彩度、輝度)の1つを通常用いる。色空間を用いることにより、個々の色を表すことが可能である。色空間は、各色を点により表す3次元座標系の空間である。
【0023】
RGB色空間は、ベクトルR、G、およびBを有する3次元立方体として可視化可能であり、ベクトルR、G、およびBのすべてが0〜1の値と想定可能である。
【0024】
HSL色空間において、色相、彩度、および明暗度を代わりに用いて1つの色を他と区別することができる。赤、オレンジ、黄色、緑、青、および紫などの色相は、可視光の色スペクトルに含まれるものである。白の色合いを抑えると高い彩度および色純度が得られるという原理に応じて、色相に追加する白の量を、彩度という。例えば、赤色は、赤と白の混合色からなるピンク色よりも彩度が高い。明暗度は、画像の明るさまたは暗さにより決まる。
【0025】
HSL色空間は、円錐の任意の断面の外周上の異なる点により色相が表される円形断面を有する、二重円錐(図1参照)により示すことができる。このように、色相は0〜360°の値として表現することができる。さらに、断面の所定の点における彩度は、円錐の縦軸と問題の点との距離により定義され、点の位置する半径である。彩度は0〜1の値と想定でき、その最高値は円錐の周囲の表面上にある点により表される。さらに、明暗度は、1つの頂点から別の頂点までの二重円錐の縦軸に沿って定義されるので、値は、0(画像が完全に黒であるように光がない)から1(画像が完全に白であるように多量の光)まで変化する。
【0026】
HST色空間の大きな利点は、明暗度成分を色相成分から分離することであり、これは色表現が光強度と無関係であることを意味し、これにより、この分析方法は照射条件のばらつきに対して高い許容度を有することになる。
【0027】
図2(a)、図2(b)、および図2(c)は、画像がHSL色空間においてどのようにデジタル化されて表されるかの例を示す。図2は、異なる色相(異なる陰影部)の色スペクトル2を例示する円板1を示し、円板は、図1の二重円錐の断面に相当する。図2(b)において、円板は、異なる色相を表す区画3に分割される。図2(c)において、内部円4は、区画3を異なる彩度の小領域3a、3bに分割する。このように、各区切り面積あるいは要素3a、3bは、異なる色相および/または彩度を有し、いわゆる 色成分を構成する。図2(c)に示す分割は単に例示であること、また要素をさらに細かく分割することにより解像度を上げることが可能であることを強調すべきである。要素の集合により、画像の色分析に用いることができる色成分配列を形成する。
【0028】
目的物中の割れを検出する本発明による方法によれば、蛍光剤により処理する。目的物に光を照射して、照射した目的物からの蛍光を画像記録部により記録する。画像記録部により得られる目的物の画像は、目的物中の割れを検出するために、画像中の色内容に関して、好適にはHSL形式で自動的にデジタル化され分析される。色内容の分析は、記録された画像の色スペクトル分析の形式で行うことができる。この方法により、所定の色スペクトルにおける色成分の分布を調べることが可能であり、さらに個々の色成分の寸法を相対的あるいは絶対的に調べることも可能である。色成分は、特定の色相と特定の彩度により好適に表され、またHSL色空間中の(HS)により表される。言い換えれば、目的物中の割れを明らかにするために、画像の少なくとも色相(H)に関して、好適にはHSL色空間に表される色相(H)と彩度(S)の両方に関して、画像を解析する。画像中の明暗度(L)は、割れおよび/または目的物中の割れの形状や程度を明らかにするために、分析パラメータとして用いることもできる。画像の分析にHSL色空間を用いることの大きな利点は、色表現を光強度から分離することにより、浸透剤試験を行っている照射条件のばらつきに対して高い許容度を与えることである。
【0029】
ここで自動分析とは、コンピュータおよび必要なソフトウェアあるいは相当する機器を用いることにより画像を評価することである。プロセッサに指示するためのデータコードあるいはソフトウェアコード要素を備える、コンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラムを、プログラムをコンピュータで動作させる際に、分析を行うために用いることができる。当然分析の結果は手動評価用に用いることができ、さらに必要に応じて自動分析を手動検査により捕捉することもできることを指摘すべきである。
【0030】
画像分析の際に、画像を異なる部分に分割すること、好適には画像をいわゆる画素に分割すること可能であり、色成分配列中の所定の要素の範囲内に収まるそのような部分の数は、記録、計算、および/または保存することができる。
【0031】
種々の目的物中の割れを同定する目的をもつ蛍光分析用の現在の応用において、当然、予想される割れの位置や程度に関する事前の情報はない(あるいは少ない予備情報しかない)。しかし、以下の詳細に説明するように、利用される蛍光剤からの蛍光は、固有の分光的特徴を有する。これを、色探索と基準を用いることにより、目的物中の割れを検出するために利用することができる。
【0032】
本発明による方法の有利な実施形態において、方法は、色探索により画像を解析して割れを検出することから成る。色探索は、要素ごとに、例えば画素ごとに、また色情報に関して、分析するべき画像と基準を比較することにより、色探索を行うことができる。分析すべき画像からの色情報を、基準からの色情報と比較する。色探索方法は、2つの主な段階に分割することができる。すなわち、基準を生成する第1の段階と、分析を行う第2の段階である。
【0033】
第1の段階において、画像記録部を用いて、利用される蛍光剤からの蛍光検出を記録することにより、基準を生成する。これは、当該蛍光剤の別のサンプルの照射により、あるいは照射され分析されるように位置された目的物上に蛍光剤が塗布されるときの蛍光剤からの画像を得ることにより、実施可能である。画像記録部により得られる画像から、蛍光剤の分光的特徴を抽出して、次の第2の段階においてそれを用いる。蛍光剤が、目的物に照射する光線に対して公知の明確な蛍光分光的特徴を有する場合、実用試験の代わりに理論的知識に基づいて、生成すべき基準に対して代替手順も可能である。そのような場合、色探索に直接使用可能な基準を生成することができる。
【0034】
分析において、分析すべき画像内の領域に対して色スペクトルを計算し、つぎに、蛍光剤の分光的特徴に基づいてこの色スペクトルを基準と比較する。分析している画像中の各領域に対する値を計算する。この値は、画像中の色内容と蛍光の分光的特徴との一致の程度を表す。例えば、画像中の各画素位置に対して色スペクトルを計算し、次に色スペクトルを、蛍光剤検出から抽出した分光的特徴と比較する。
【0035】
デジタル画像を分析する代替方法は、いわゆる色の閾値設定を用いるものである。色探索方法が画像中の比較的明確な背景特性に依存するのと異なり、この方法は、色信号に対して特定される1つ以上の閾値範囲あるいは閾値を含む。RGB色空間を用いて、R、G、およびBのそれぞれを閾値範囲に割り当てることができ、HSL色空間を用いると、H、S、およびLを閾値範囲に割り当てることができる。Hは色相のスペクトルを表すことに留意すべきであり、また、例えばHが0〜255の範囲で変化するとき100〜160であるような、基準に基づく範囲を定義することにより、基準と一致すると考えられる範囲内の色相を有する色成分のみを生じさせる。しかし、この範囲はいくつかの色相からなり、いくつかの離散的な範囲を定義することも可能である。例えばSが0〜255の範囲で変化するとき0〜75であるような、Sに関する付加的な閾値範囲は、色相閾値範囲に加えて、彩度に関する付加的な必要条件を満たす必要があることを意味する。黒から白までの全強度範囲においてLに対する閾値範囲を定義することにより、分析は強度に依存しなくなり、色相閾値範囲および彩度閾値範囲を満たす全ての色成分が基準と一致すると考えられる。
【0036】
上記のように、色の閾値設定方法の場合、画像中に比較的明確な背景特性が必要であり、これは、画像が実質的に一定で公知の背景レベルを有する場合である。以下に説明する本発明による装置の実施形態では、蛍光がある領域以外は完全な黒である画像を達成することを目的とする。そのような場合、色の閾値設定方法は、色探索方法の代替または補足するものである。
【0037】
色の閾値設定の場合、色成分の値(R、G、あるいはB、あるいは別法としてH、S、およびLに対する枠組み内の色成分)が閾値範囲であるときに、例えば画像中の画素などの所定位置における各色成分に対する2値を1に設定し、そうでない場合には2値を0に設定するような方法で、カラー画像を2値の画像に変換する。次に、2値のモルフォロジーに対する種々の方法により2値表現を自動または手動分析する。さらに、画像の2値表現に基づいて、検出の寸法や境界線などの測定を実施する。色の閾値設定の大きな優位性は、分析および検出範囲を測定する機会を大きくに増加させることであり、また色探索は一般に発見された項目の位置と数の情報を提供する。
【0038】
背景条件が好都合であるときにはRGB色空間を閾値設定に対して用いることができるが、実験によれば一般にHSL色空間においてより良好な結果が得られることがわかっていることを指摘すべきである。これを、自動分析画像からの結果を手動評価および自動評価の両方を行うのに、適用する。さらに、HSL色空間の使用により、画像中の背景レベルのばらつきに対して感度の低い閾値設定がもたらされる。
【0039】
画像の自動分析に対して色探索および色の閾値設定の両方を平行に用いることが可能であるので、これらの異なる利点を同時に利用することができる。上記に説明した全てにおいて、自動分析により、画像の記録と直接関連する、画像の分析を実時間で行うことが可能であり、また発見された割れの兆候について情報を実質的にすぐに得ることが可能である。
【0040】
図3は、目的物11の割れを検出する本発明による装置10の概略図である。装置10は、好適には主として紫外線による、目的物11を照射するための照射源12と、照射された目的物11からの蛍光を記録する画像記録部13とを有する。
【0041】
画像記録部13は、カメラであり、カラービデオカメラが適当であり、好適にはCCDカメラとすることができる。画像記録部13は画像処理部14を備える、あるいは画像記録部は画像処理部に接続される。画像処理部14は、コンピュータおよび関連するソフトウェアを適切に含む。プロセッサに指示するためのデータコードあるいはソフトウェアコード要素を備える、コンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラムを用いて、記録された画像をデジタル化して自動分析できる。自動分析の情報を表示するために、および/または自動で行われた分析を細くするように分析を手動で行えるようにするために、TVモニターなどの表示部15をコンピュータに接続可能である。一方で自動分析を行うために、他方で分析結果を表示するために、異なる色空間を用いことができることを指摘すべきである。例えばTVモニター15上に結果を表示するために、表示された色のRGB表現を通常用いるが、上記のように、HSL色空間において表現した色を用いて、目的物11から記録された画像の実際の分析を好都合に実行する。
【0042】
照射源12は、目的物上の必要な位置に光線の方向を与えかつ光線を分散させる出口16などを備える。図示された例では、照射源12は、水銀蒸気ランプなどの光線源17、光学的導管18、および光学的導管18を経由して光線源17に接続される前記出口16を備える。
【0043】
さらに、画像記録部13および照射源の出口16が、試験すべき目的物中の同じ領域に実質的に指向されるように、これらを組み合わせることができる。また、画像記録部および照射源を、オペレータおよび/またはコンピュータを利用した制御部からの命令により目的物に関して移動可能なように、ある形態の縦走する装置上に配置することも可能である。例示された実施形態において、画像記録部13および照射源の出口16は、共通ホルダ19またはブラケットに配置される。
【0044】
第1のバンドパスフィルター20は、画像記録部13中に配置されて、ある波長の光線を遮断する。第1のバンドパスフィルター20は、画像記録部の前に適切に配置されるか、あるいは画像記録部のフロント部分を構成する。バンドパスフィルター20は、目的物が蛍光を発する波長範囲内にある波長を含む限定された波長範囲において光線を通過させるが、好ましくない波長を遮断する。バンドパスフィルターという用語は、特定の波長(通過帯域)の光線を通過させるとともにその他の波長(通過帯域の外)の光線を遮断する手段として、最も広い意味で解釈されるべきである。このため、「フィルター」という言葉は主に機能のことをいい、バンドパスフィルター20は、特定の波長の光線を遮断するが異なる波長の光線を通過させる多くの異なるやり方で構成可能であることを指摘すべきである。例えば、1つ以上の光学部品によりバンドパスフィルターを作成できる。
【0045】
当然、バンドパスフィルターの波長範囲は、蛍光剤から発生する蛍光と一致すべきである。例えば、液体浸透剤の形式において、紫外線により照射される場合に波長530nmを含む波長範囲内の蛍光を発生する蛍光剤を通常用いる。蛍光線の分光的特徴は、530nm付近にピークがあるものであり、比較的多量の蛍光が530nm付近の領域の波長にある。それよりも長い波長および短い波長については、蛍光線の強度が減少する。そのような場合、530nm付近に実質的な中心のある限定された波長範囲内の光線がバンドパスフィルターを通過して画像記録部に到達するように、バンドパスフィルターの通過帯域が好適に配置される。例えば青−緑領域から黄色−緑領域の範囲に実質的に相当する、バンドパスフィルターのそのような波長範囲を用いることが好都合であることが多いが、異なる照射源および/または異なる波長範囲において蛍光を生じる異なる蛍光剤を用いる場合には、当然、特定の蛍光に適合するバンドパスフィルターを選択することを強調すべきである。
【0046】
好適に第1のバンドパスフィルター20の波長範囲は、目的物が大きな蛍光を発生する全波長範囲に実質的に対応する。そのようなバンドパスフィルターを使用することは、できるだけ多量の関連する光線を画像記録部により記録することができると同時に、その他の光線を遮断することを意味する。これにより、画像記録部により記録される光線に基づき画像生成のために最も重要な情報が得られる。しかし、帯域幅が狭すぎるフィルターは蛍光をよく同定するが、同時に記録される画像の強度が低過ぎる傾向があるように、バンドパスフィルターのどの寸法が最適であるかは、常に難しい選択である。帯域幅が広すぎるフィルターは高い画像強度を可能にするが、背景光および直接的に反射する光線に対して敏感すぎる傾向がある。直接光線あるいは反射光線である照射源に由来する光線を第1のバンドパスフィルターにより遮断して、画像記録部が問題の光線に対して感度があれば、好都合である。例えば、これは、CCDカメラと紫外線源を用いて蛍光を発生させる場合である。紫外線がCCDカメラに到達する前に遮断されないと、雑音レベルが増加し、蛍光検出に関して画像の分析が困難または不可能であるように、画像がバックグラウンド光線により飽和する。
【0047】
多くの場合、第1のバンドパスフィルターの波長範囲に対する上限は、560〜600nmの範囲内であり、好適には560〜580nmである。また、多くの場合、第1のバンドパスフィルターの波長範囲に対する下限は、450〜500nmの範囲内,であり、好適には470〜500nmである。第1のバンドパスフィルターの波長範囲は、好適に490〜570nmである。
【0048】
本発明による装置の好都合な実施形態において、装置は、照射源12中に配置される第2のバンドパスフィルター21を備える。ここでは、第2のバンドパスフィルター21は、照射源12の出口16の前に配置される。図3に示す実施形態において、第2のバンドパスフィルター21は、光線源17からの光線の主方向に関して光学的導管18の後に配置されるが、第2の実施形態において、不要な波長が光学的導管よりも光線源に由来するものである場合、第2のバンドパスフィルターは、例えば光線源17と光学的導管18の間に配置することができる。しかし、光学的導管18の前に第2のバンドパスフィルターを配置することは好都合である。これは、出射する光線の光学的導管18の特性に対する依存性が減ることを意味する。さらに、問題の用途に適合する波長を有する目的物11の照射用の光線を得るために、比較的広帯域の光線源17を用いることができ、また異なる通過帯域のバンドパスフィルターを光学的導管18の前に置くことができる。これは、光線源17からの光線の主方向に関して光学的導管18の後ろに位置する。
【0049】
第2のバンドパスフィルター21は、紫外線を含む限定された波長範囲において光線を通過させる。第2のバンドパスフィルターの主な目的は、必要な蛍光を生じさせるそのような光線のみが目的物に到達すること、および偽の信号の可能性および画像中のバックグラウンドノイズを最小にすることを確実にすることである。
【0050】
これは、必要な蛍光を生じない波長の光線、および直接光線あるいは反射の結果として画像記録部により蛍光として記録される波長の光線が最大限に遮断されることを意味する。言い換えると、第2のバンドパスフィルターの波長範囲は、好適に目的物が蛍光を発生する波長範囲の外にある。
【0051】
蛍光剤の照射に好都合な紫外範囲内の光線を得るために、第2のバンドパスフィルターの波長範囲は、波長365nmを含み、好適には365nm付近に実質的な中心がある。365nm付近の限定された波長範囲内の光線がバンドパスフィルターを通過して目的物に到達するように、第2のバンドパスフィルターの通過帯域を適切に選択する。
【0052】
第2のバンドパスフィルターの波長範囲を、関連する分析法を満足させるように適切に適合させる。
【0053】
目的物を直接調べることによる手動分析を含む分析法は、モニターを調べることによる手動評価を含む分析法と異なり、手動分析を実施するか、あるいは手動評価用に自動分析を表示するかであり、ほぼ自動化された分析である。
【0054】
手動による目的物の直接検査を実施すると(別に、あるいはモニターによる評価と平行して)、多くの場合第2のバンドパスフィルターの波長範囲に対する上限は380〜410nmの範囲内にあり、好適には約400nmである。また、多くの場合第2のバンドパスフィルターの波長範囲に対する下限は300〜350nmの範囲内にあり、好適には310〜330nmである。従って、手動の直接検査の場合、第2のバンドパスフィルターの波長範囲は、好適に320〜400nmである。
【0055】
しかし、多くの場合この波長範囲は十分に機能するが、モニターを経由する分析及び自動分析の場合には、目的物の照射量を増加させてより多くの蛍光を発生させるために、波長範囲を440〜470nmの範囲内、好適には約450nmの上限にまで増加させることが可能である。400〜450nmの範囲内の可視光(手動の直接検査の場合、検査がより困難になる)を利用して蛍光を生成することが可能である。より多くのエネルギーを用いて照射量を増加させると、照射源および/または目的物を移動することなく検出能を保持したままで、より大きな領域を照射することが可能となり、ある場合には、検出能を保持した状態で、かつ目的物および照射源の相対位置を保持したまま、目的物全体を実質的に照射可能である。オペレータが本発明による眼鏡を利用すれば、450nmにまで増加させた波長範囲を直接検査に用いることもできることも指摘すべきである。
【0056】
第2のバンドパスフィルター21を光学的導管18の前に位置させることにより、第2のバンドパスフィルターを異なる分析法に簡単に変更させることができる。例えば、通過帯域320〜400nmのバンドパスフィルターを直接検査および/またはカメラ検査用に用いることが可能であり、通過帯域320〜450nmのバンドパスフィルターをカメラ検査および/または本発明による眼鏡を装備したオペレータによる直接検査用に用いることが可能である。
【0057】
第1のバンドパスフィルターの場合に対応するやり方で、第2のバンドパスフィルターについても、目的物を照射するために十分な量の光線を供給する通過帯域と必要な蛍光を生成することを達成するとともに、同時に不要な光線が画像記録部に到達することを実効的に防ぐために、第2の通過帯域に関しても選択が難しい。
【0058】
上記のように、比較的高い検出能で検出できる、割れの分析結果あるいは少なくとも割れの検出を意味する画像を得るために、実際の信号とバックグラウンドノイズとの比、S/N(信号/雑音)ができる限り大きくなるようにすることが望ましい。これにより、自動化された割れ検出が可能となる。画像記録部の前の第1のバンドパスフィルターと照射源の前の第2のバンドパスフィルターとを利用する装置を用いることにより、非常に高いS/N値が達成可能であり、これは、実際に画像が蛍光のある領域以外は実質的に完全に黒であることを意味する。
【0059】
図4は、目的物51中の割れを検出する本発明による配置50を示す。円筒などの目的物51は、例えば外部または内部の溝を有する。図示された例では、目的物は、2つの側壁面56a、56bと底面58とを有する溝52を備える。
【0060】
配置は、コリメータ機能を有する出口59を備える照射源53と、光線源(図示せず)と、出口と光線源の間に伸びる光学的導管60と、から構成される。例えば紫外線により、目的物51を照射するように照射源53を配置し、照射された目的物51からの蛍光を記録するように画像記録部54を配置する。画像記録部54は、例えばCCD型のカラービデオカメラなどのカメラである。蛍光検出を行うために、目的物51を蛍光浸透剤(前述のような)により処理する。
【0061】
配置は、光線を偏向させる本発明による装置70を備える。この場合、偏向装置70は、照射源53から少なくとも十分な量の光線を偏向させて目的物51中の隠れた表面56を照射するように配置された第1の反射器55を備える。図4に示す例では、第1の反射器は、照射源53からの光線の主方向に関して実質的に90°だけ光線を偏向させるプリズム中に配置されるミラーから構成される。
【0062】
必要な蛍光を発生させて次の画像生成用の蛍光を記録することを可能にするために必要な光線を、十分な量の光線という。好適には光線の少なくとも25%を偏向させ、さらに好適には少なくとも光線の50%を偏向させる。ほとんどの場合、実質的に光線の100%を反射させることが望ましくなるように、より効果的に配置をするほど隠れた表面に向けて光線がより偏向される。しかし、ある場合には、光線の一部を偏向させずに反射器を通過するように、第1の反射器を設計する理由がある。これにより、配置に関して隠れた表面に比較してその他の場所にある他領域の分析が可能となる。
【0063】
目的物および/または分析機器の物理的な構成の結果として、照射源53を用いて必要なやり方で直接光線により照射できない表面56a、あるいは蛍光を発生させる表面を画像記録部54により記録できないことを、隠れた表面という。例示され場合においては、目的物51上の外部の溝52は狭すぎて、分析を実施するために、照射源53および画像記録部54を溝52中に配置できず、また表面56aに直接向けることができない。また、溝52は深すぎて、試験を実施するために目的物51の外側に現行タイプの分析装置を位置付けることができない。隠れた表面56aの分析を実施可能とするために、第1の反射器55は、照射源からの光線を隠れた表面56aに向かう方向に反射する。
【0064】
例示された実施形態において、偏向装置70は、隠れた表面56aから画像記録部54に発生する、少なくとも分析に十分な量の蛍光を偏向させる第2の反射器57も備える。図4に示す例では、隠れた表面56aから発生する蛍光を、蛍光の一部を画像記録部54に向かう方向に偏向させるように、二重プリズム中の2つのプリズムの界面で分割するような方法で、第2の反射器57は、ビームスプリッタとして機能する二重プリズムに形成される。この場合、隠れた表面56aに由来する蛍光の約50%を、画像記録部に向かう方向に実質的に90°だけ偏向させる(残りの部分は溝の底面58に向かう反対方向に偏向される)。当然、異なる量の蛍光が画像記録部に到達できるように蛍光用の反射器を作成する別の方法がある。蛍光の少なくとも25%を好適に偏向させ、より好適には蛍光の少なくとも50%を画像記録部に向かう方向に偏向させる。本発明の第2の実施形態において、照射源により直接照射されかつ画像記録部が隠れた表面から直接光線される蛍光を受光でき場合、そのような第2の反射器を、第1の反射器なしで用いることができる。これにより、図4に示すように、本発明による第1の反射器および本発明による第2の反射器を個々にあるいは互いの組合せで利用することが可能である。
【0065】
上記のように、本発明による配置を、本発明による方法および/または本発明による装置に関して前記されたものと組み合わせることも可能である。例えば、本発明による配置において、前記第1のバンドパスフィルター20を画像記録部54の前に配置することができ、および/または前記第2のバンドパスフィルター21を照射源53の前に配置することができる。
【0066】
図5は、本発明による配置の変形例を示す。この実施形態において、代わりに照射源53を検査すべき隠れた表面56aに最も近接して配置するような方法で、照射源53および画像記録部54を互いに関連して配置する。これは、画像記録部で光線源からの光線が干渉を起こすリスクを減少させることを意味している。図4において、光線は画像記録部54(画像記録部54と底面58の間)を通過して表面56aに向かうが、図5の実施形態では、光線は画像記録部54を通過しないで、表面56に向かって偏向される。さらに、光線の光路が比較的短いとき光学的導管からの光線のある程度の分岐を許容できると、コリメータの必要性が減少することを意味するプリズムに、実質的に非常に近接して図5の光学的導管60は位置する。これにより、より小型の配置を製造することが可能になる。
【0067】
また、本発明は、底面58と少なくとも側壁面56aとを有する溝中の割れを検出する本発明による配置を使用することに関するものであり、割れは底面中または側壁面中に位置する。また、本発明は、底面58と2つの側壁面56a、56bとを有する溝中の割れを検出する本発明による配置を使用することに関するものである。また、本発明は、あるいは底面と2つの側壁面とを有する溝中の割れを検出する本発明による配置を使用することに関するものであり、溝の側壁面は実質的に平行でありかつ底面の面に関して実質的に直角に延びている。
【0068】
本発明による配置は、例えば、以下のように用いることができる。
【0069】
溝の底面の検査
図4に示す位置に関して配置を回転させるので、第1の反射器55から偏向した光線は、底面58に向けられ、画像記録部54と照射源53の出口59は、溝と平行な(図4の紙面に垂直な)「溝52の長手方向をのぞき」、
側壁面56aに最近接する底面58の一部を走査可能なような方法で、配置を位置させて、この場合検査すべき目的物の外側表面を構成する)底面上の蛍光検出を記録するために、画像記録部54を側壁面56aに関して焦点距離に位置させて、
底面を同時に検査して目的物の外周全体を走査しながら、目的物を1回転させ、
底面58の第2の部分を目的物の外周全体について走査できるような方法で目的物を回転させた後、第2の側壁面56bに向かって、配置を1段階(手動または自動)移動させ、
底面58の全体の検査が終了するまで、この最後の要素を繰り返す。
【0070】
目的物の側壁面の検査
底面58に最近接する側壁面56aの一部を走査可能なような方法で、画像記録部を図4に示すように位置させ、さらに側壁面上の蛍光検出を記録するために、画像記録部54を側壁面56aに関して焦点距離に位置させて、
側壁面56aを同時に検査して目的物の外周全体を走査しながら、目的物を1回転させ、
側壁面56aの第2の部分を目的物の外周全体について走査できるような方法で目的物を回転させた後、底面58から遠ざかる半径方向において、配置を1段階(手動または自動)移動させ、
側壁面全体の検査が終了するまで、この最後の要素を繰り返す。
【0071】
第2の側壁面の検査
検査は、第1の側壁面56aについて説明した手順に従って行われるが、代わりに側壁面56bを照射するように配置50が180°回転していることが異なる。
【0072】
図6は本発明による眼鏡80を示す。眼鏡はレンズ81を備えており、レンズは、ある波長の光線を遮断するバンドパスフィルター20bとしての役割を果たすガラス、プラスチック、あるいはその他の材料により製造することができる。眼鏡80は、蛍光検査、特に割れを検出する目的物の目視検査の際にオペレータにより使用されるように意図されている。バンドパスフィルター20bは、波長530nmを含む限定された波長範囲内の光線を通過させる。バンドパスフィルター20bの波長範囲に対する下限は、480〜500nmの範囲内が適当であり、好適には約490nmである。
【0073】
上限に関しては、いくつかの選択肢がある。主な必要条件は下限により遮断すべき紫外光および青色光に対するものであり、上限は種々の方法により変化させることができる。バンドパスフィルター20bの波長範囲に対する上限が、560〜580nmの範囲内, 好適には約570nmであれば、偽の赤信号を遮断することが可能である。第1のバンドパスフィルター20bの波長範囲に対する上限が、代わりに約700nmであれば、赤信号は遮断されないが、他の点ではそのような範囲はオペレータが検査を行うことを容易にすることができ、同時に青色光を遮断するという主要な目的を満たす。
【0074】
本発明は、以上に説明し図面に例示した実施形態に限定されないことを認識すべきである。当該分野の技術者は、添付の特許請求の範囲内において種々の変更および変形が実施可能であることを見つけることが可能であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的物(51)を照射する照射源(53)と、照射した目的物からの蛍光を記録する画像記録部(54)とを備える、目的物中の割れを検出する配置(50)において、
線を偏向させる装置(70)であって、ビームスプリッタとしての役割を果たす二重プリズム中に生成される反射器(57)を備える偏向装置(70)を有することを特徴とする配置
【請求項2】
偏向装置(70)は、目的物(51)中の隠れた表面(56a)を照射する照射源(53)からの少なくとも有意量の光線を偏向させる反射器(55)を備えることを特徴とする請求項1に記載の配置。
【請求項3】
配置は、目的物(51)中の隠れた表面(56a)から画像記録部(54)へ発光する、分析に十分な少なくともある量の蛍光を偏向させる反射器(57)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の配置。
【請求項4】
底面(58)と少なくとも1つの側壁面(56a)とを有する溝中の割れを検出する請求項1ないし3のいずれかに記載の配置を使用すること。
【請求項5】
底面(58)と2つの側壁面(56a、56b)とを有する溝中の割れを検出する請求項1ないし3のいずれかに記載の配置を使用すること。
【請求項6】
底面(58)と2つの側壁面(56a、56b)とを有する溝中の割れを検出する請求項1ないし3のいずれかに記載の配置を用いることであって、側壁面は実質的に平行であり、底面の面に関して実質的に直角に延びる配置を使用すること。
【請求項7】
溝中の前記側壁面(56a、56b)の割れを検出する請求項4ないし6のいずれかに記載の使用すること。
【請求項8】
蛍光剤を用いて処理され、光を照射された目的物中の割れを検出する蛍光検査の際にオペレータにより使用させる割れ検出眼鏡において、
長530nmを含む限定された波長範囲内の光線を通過させるバンドパスフィルター(20b)を備えることを特徴とする眼鏡
【請求項9】
バンドパスフィルター(20b)の波長範囲の上限は、560〜600nmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項10】
第1のバンドパスフィルター(20b)の波長範囲の上限は、約570nmであることを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項11】
第1のバンドパスフィルター(20b)の波長範囲の上限は、約700nmであることを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項12】
第1のバンドパスフィルター(20b)の波長範囲の下限は、470〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項13】
第1のバンドパスフィルター(20b)の波長範囲の下限は、約490nmであることを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項14】
蛍光の検査の際に、青色光を除去するために請求項8ないし13のいずれかに記載の眼鏡を使用すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−13236(P2011−13236A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235800(P2010−235800)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【分割の表示】特願2007−546594(P2007−546594)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(500204267)ボルボ エアロ コーポレイション (26)
【Fターム(参考)】