説明

目隠しパネルの固定構造

【課題】目隠しパネルを容易に取付けることができる固定構造を提供する。
【解決手段】本発明の目隠しパネルの固定構造は、四隅に締結孔11を形成し、この締結孔11に、膨頭部5が裏側に位置するように締結部材4を挿し通してある矩形板状の目隠しパネル1と、表側にリップ溝23を形成してある取付ブラケット2とを備え、前記取付ブラケット2を、リップ溝23を横向きにして適宜箇所に配し、前記膨頭部5をリップ溝23内に挿入して固定してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の外壁などを覆う目隠しパネルの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
平板状の金属板に多数の孔を設けたパンチングプレート(パネル)を、ベランダ等に取付けてフェンスとして用いることや外壁面を覆う目隠しパネルとして用いることがある(下記特許文献1参照)。
目隠しパネルとする場合、例えば、パネルの左右両端側に縦方向の柱材を架設し、パンチングパネルの四隅に形成してある孔にボルトなどを挿し通して柱材に締結固定していた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−332757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように目隠しパネルを柱材に固定する場合、例えば、一人が目隠しパネルを支え、他の一人が、ボルトなどを締結して固定しなければならず、一人で取り付けることは困難であった。取り外す場合も、同様に少なくとも二人で行なわなければならず、目隠しパネルの取り付け、取り外しの作業は人手を必要とするものであった。
また、一枚の目隠しパネルに対して、少なくとも二本の柱材が必要となり、柱材の本数が多くなりコストが上がってしまうという問題も生じていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、目隠しパネルを容易に取り付けできる固定構造を提供することにあり、さらには、柱材の本数を低減できる固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目隠しパネルの固定構造は、四隅に締結孔を形成し、この締結孔に、膨頭部が裏側に位置するように締結部材を挿し通してある矩形板状の目隠しパネルと、表側にリップ溝を形成してある取付ブラケットとを備え、前記取付ブラケットを、リップ溝を横向きにして適宜箇所に配し、前記膨頭部をリップ溝内に挿入して固定してあることを特徴とする。
【0007】
このようにすることにより、リップ溝を設けた取付ブラケットを目隠しパネルの四隅付近に配し、目隠しパネルの四隅に設けてある膨頭部を、取付ブラケットのリップ溝に横方向から挿入して締結部材を締結すれば、目隠しパネルを固定することができ、一人でも容易に取付けることができる。
【0008】
上記目隠しパネルの固定構造は、前記取付ブラケットを、上下に配し、この取付ブラケットのリップ溝に目隠しパネルの一端部側の膨頭部をそれぞれ挿入し、さらに、そのリップ溝に、横方向に隣接する目隠しパネルの一端部側の膨頭部をそれぞれ挿入してあり、これら隣接する目隠しパネル間に若干の隙間を設けるのが好ましい。
【0009】
このようにすることにより、目隠しパネルを取り外す際、目隠しパネルの四隅の締結部材を緩め、パネルを一方向(例えば、左方向)にスライドしてパネル右側の締結部材の膨頭部をリップ溝から外し、次に、パネルを他方向(例えば、右方向)にスライドさせれば、パネルを取り外すことができる。
【0010】
上記目隠しパネルの固定構造は、取付ブラケットを、表側にリップ溝を形成した平面部を有し、その平面部に、裏側に突出した突出片を形成した形状とすることが好ましい。
【0011】
このようにすることにより、平面部を前方に向け、突出片を外壁側に固定すれば、平面部のみが表側から見えるものとなり見栄えがよくなる。
【0012】
上記目隠しパネルの固定構造は、前記突出片を、縦方向に伸び、長手端面を表側に向けた矩形平板状のストリンガーに固定するのが好ましい。
【0013】
このようにすることにより、ストリンガーが柱材となるとともに、目隠しパネル全体を真正面から見た場合、ストリンガーは、長手端面しか見えないため、見栄えのよいものとなる。また、目隠しパネルを、取付ブラケットを介してストリンガーに固定するので、ストリンガーは、目隠しパネルの奥方に位置するため、特に斜め方向からは見えにくくなる。
【0014】
上記目隠しパネルの固定構造は、前記突出片の先端に、二股形状の挟み込み部を形成し、この挟み込み部でストリンガーを挟み込み固定することが好ましく、さらに、ストリンガーの表側に幅狭のブラケット取付部を形成し、ブラケット取付部の奥端面と挟み込み部の先端面とを接面させ、ストリンガーの長手端面と挟み込み部の奥内面とを接面させて固定するのが好ましい。
【0015】
このようにすることにより、取付ブラケットをストリンガーに取り付けやすくなり、さらに、取付ブラケットが回転しないように固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態の目隠しパネルの固定構造に用いる目隠しパネルを示し、(A)は正面図、(B)は部分拡大側面図であり、図2は本発明の一実施形態の目隠しパネルの固定構造に用いる取付ブラケット及びストリンガーの分解斜視図、図3,4は取付ブラケットをストリンガーに取付けた状態を示した斜視図及び側面図である。
【0017】
本発明の一実施形態の目隠しパネルの固定構造は、図1〜4に示すように、外壁面を覆う目隠しパネル1、目隠しパネル1を固定する取付ブラケット2、取付ブラケット2を固定するストリンガー3を用いるものである。
【0018】
目隠しパネル1は、図1(A),(B)に示すように、略矩形板状のパネルであり、四隅に締結孔11が形成してあり、この締結孔11には、裏側に膨頭部5が位置するように締結部材4を挿し通して固定してある。また、パネル面上には、円形状の孔12が多数形成してある。
締結部材4は、六角穴付ボルト41とフランジ付六角ナット42を備え、表側からボルト41を挿し込み、裏側からナット42を緩めに締結して、パネル1とナット42の間に若干隙間ができるようにしてあり、ナット42を膨頭部5として形成してある。
本実施形態では、膨頭部5をナット42としてあるが、膨頭部は、後述するリップ溝23内に納まるように膨らました形状としてあればよく、例えば、フランジ付六角ボルトを、裏側から締結孔に挿入し、表側からナットで締結して、このボルトの頭部を膨頭部とすることもできる。
【0019】
なお、上記目隠しパネル1は、円形状の部材を打ち抜いた後の廃材を用いるのがリサイクルの観点から望ましい。また、このような廃材は、比較的厚みがあるため(5mm程度)、円形状の孔を表面に多数設けても、斜め方向から内部が見えにくいという利点もある。なお、従来は2〜3mm程度の厚みの目隠しパネルを使用するのが普通であり、5mmの厚みのものは高価で使用することはほとんどなかった。
【0020】
取付ブラケット2は、図2,3に示すように、目隠しパネル1を固定する平面部20となる平面部材21と、平面部材21を取り付け、ストリンガー3に固定する連結部材22とを備えている。
平面部材21は、表面21aに幅方向に沿ったリップ溝23が2つ並行に形成してあり、裏面21bに高さ方向の中間付近に幅方向に沿ったリップ溝24が形成してある。この溝23,24内には、上下に対向するように突出した凸部23a,24aが形成してあり、この凸部23a間の幅は、膨頭部5となるナット42の頭部の二面幅と略同一に形成してあり、また、凸部24a間の幅は、フランジ付六角ボルト61の頭部の二面幅と略同一に形成してあり、図4に示すように、ナット42又はフランジ付六角ボルト61の頭部を溝部23a,24aに側方から挿入し、これらが回転しないようにしてある。
【0021】
連結部材22は、平面部材21を接面させて固定する固定部25と、固定部25の裏面から略垂直に突出した突出片26とを備えている。
固定部25は、略矩形板状に形成してあり、高さ方向の中間付近に適宜間隔で2つの孔25aが設けてあり、平面部材21のリップ溝24に頭部を納めたフランジ付六角ボルト61の軸部61aを挿し通し、ナット62で締結して、平面部材21と連結部材22を固定できるようにしてある。
【0022】
突出片26は、固定部25の幅方向の中間付近から裏側に略矩形板状に突出し、その先端に、二股に分かれた上面視略コの字状の挟み込み部26aを形成してあり、挟み込み部26aは、後述するストリンガー3のブラケット取付部32を挟み込みできるようにしてある。また、挟み込み部26aの側面には、上下に2つの孔26bが設けてある。
【0023】
ストリンガー3は、図2〜4に示すように、長尺矩形状の板材であり、外壁などの表側に一方の長手端面31側を表側に向け縦方向沿って配してある。ストリンガー3は、一方の長手端面31側を、一段凹ませた幅狭のブラケット取付部32を形成し、この面上の適宜箇所に孔32aを設け、この孔32aと取付ブラケット2の孔26bが合うように前記挟み込み部26aをブラケット取付部32に挟み込み、ボルトナットなどの締結部材63で締結し、図3,4に示すように、取付ブラケット2とストリンガー3を固定できるようにしてある。この際、ブラケット取付部32の奥端面32bと挟み込み部26aの先端面26cとが接面し、長手端面31と挟み込み部26aの奥内面26dとが接面する構成とするのが好ましい。このようにすることにより、取付ブラケット2が、回転することなくストリンガー3に取り付けできる。
なお、ストリンガー3の厚みは、約10mmとするのが好ましく、このようにすることにより、外方から目立たなくなる。
【0024】
ストリンガー3を、図5に示すように、目隠しパネル1よりも若干幅広の間隔で横方向に配し、このストリンガー3に、目隠しパネル1の高さに合わせて適宜間隔で上下方向に取付ブラケット2を取付け、この取付ブラケット2に目隠しパネル1を取付けることができる。
【0025】
以下、隣接する4つの取付ブラケット2a〜2dに、目隠しパネル1を取付ける方法の一例を説明する。
【0026】
図6に示すように、目隠しパネル1を若干長手方向に傾け、横方向(図6のA方向)にスライドさせ、目隠しパネル1の一端部上側の締結部材4aの膨頭部5を、取付ブラケット2aの下側のリップ溝23に挿入していくとともに、一端部下側の締結部材4bの膨頭部5を、取付ブラケット2bの上側のリップ溝23に挿入していく。
締結部材4a,4bの膨頭部5をリップ溝23に納めた状態で、図7に示すように、目隠しパネル1を先程とは逆方向(図7のB方向)にスライドさせて、他端部上側の締結部材4cの膨頭部5を、取付ブラケット2cの下側のリップ溝23に挿入するとともに、他端部下側の締結部材4dの膨頭部5を、取付ブラケット2dの上側のリップ溝23に挿入していき、隣接するストリンガー3の略中央に目隠しパネル1を配する。そして、六角穴付ボルト41を締め回していくことにより、目隠しパネル1を固定することができ、このように、順次、他のパネル1を固定することにより、図8に示すように、外壁などの一面に目隠しパネル1を配することができる。
【0027】
また、目隠しパネル1を固定する際、図8に示すように、横方向に隣接する目隠しパネル間に若干の隙間Cを設けることが好ましい。
このようにすることにより、各締結部材4を緩め、目隠しパネル1を、一端部側にスライドさせて他端部側の締結部材4を取付ブラケット2から外し、次に目隠しパネル1を他端部側にスライドさせて一端部側の締結部材4を取付ブラケット2から外して、目隠しパネル1を取付ブラケット2から取り外すことができる。隙間Cは、約20mmとするのが好ましい。
【0028】
このように、本発明の目隠しパネルの固定構造は、容易に取付けることができ、また、容易に取り外すことができるものである。さらには、1つの取付ブラケットに、隣接する目隠しパネルの端部を取り付けできるため、柱材となるストリンガーの数を減らすことができ、また、ストリンガーを長尺矩形状の板材とすることにより、外方から見えにくいものとすることができ、全体として見栄えのよい目隠しパネルとなる。
【0029】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の目隠しパネルの固定構造に用いる目隠しパネルを示し、(A)は正面図、(B)は部分拡大側面図である。
【図2】本発明の一実施形態の目隠しパネルの固定構造に用いる取付ブラケット及びストリンガーの分解斜視図である。
【図3】取付ブラケットをストリンガーに取付けた状態を示した斜視図である。
【図4】取付ブラケットをストリンガーに取付けた状態を示した側面図である。
【図5】取付ブラケット及びストリンガーの設置状態を示した正面図である。
【図6】目隠しパネルの一端部側を取付ブラケットに取り付ける状態を示した正面図である。
【図7】目隠しパネルの他端部側を取付ブラケットに取り付ける状態を示した正面図である。
【図8】目隠しパネルを一面に取り付けた状態の一部を示した正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1目隠しパネル 2取付ブラケット 20平面部 23リップ溝 26突出片
26a挟み込み部 26c先端面 26d奥内面 3ストリンガー 31長手端面
32b奥端面 4締結部材 5膨頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に締結孔を形成し、この締結孔に、膨頭部が裏側に位置するように締結部材を挿し通してある矩形板状の目隠しパネルと、表側にリップ溝を形成してある取付ブラケットとを備え、前記取付ブラケットを、リップ溝を横向きにして適宜箇所に配し、前記膨頭部をリップ溝内に挿入して固定してある目隠しパネルの固定構造。
【請求項2】
前記取付ブラケットを、上下に配し、この取付ブラケットのリップ溝に目隠しパネルの一端部側の膨頭部をそれぞれ挿入し、さらに、そのリップ溝に、横方向に隣接する目隠しパネルの一端部側の膨頭部をそれぞれ挿入してあり、これら隣接する目隠しパネル間に若干の隙間を設けてある請求項1に記載の目隠しパネルの固定構造。
【請求項3】
取付ブラケットを、表側にリップ溝を形成した平面部を有し、その平面部に、裏側に突出した突出片を形成した形状としてある請求項1又は2に記載の目隠しパネルの固定構造。
【請求項4】
前記突出片を、縦方向に伸び、長手端面を表側に向けた矩形平板状のストリンガーに固定してある請求項3に記載の目隠しパネルの固定構造。
【請求項5】
前記突出片の先端に、二股形状の挟み込み部を形成し、この挟み込み部でストリンガーを挟み込み固定してある請求項4に記載の目隠しパネルの固定構造。
【請求項6】
ストリンガーの表側に幅狭のブラケット取付部を形成し、ブラケット取付部の奥端面と挟み込み部の先端面とを接面させ、ストリンガーの長手端面と挟み込み部の奥内面とを接面させて固定してある請求項5に記載の目隠しパネルの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−280717(P2008−280717A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124915(P2007−124915)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000127639)株式会社エービーシー商会 (28)
【Fターム(参考)】