直交フラックスゲートセンサおよびそれを用いた外部磁界の検出方法
【課題】直交フラックスゲートセンサにおいて消費電力を増大することなく、同じタイミングでのピーク検出を可能とする。
【解決手段】外部磁界により磁気特性が変化する感磁体11と、感磁体11に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッド13a,13bと、感磁体11と電極パッド13a,13bとの間を接続する接続配線12a,12bと、感磁体11の周囲または近傍にあって感磁体11の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイル14とを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサ10において、接続配線12a,12bは非磁性の導電体からなり、かつ高周波電流またはパルス電流により検出コイル14に電圧を誘起する電圧誘起部17a,17bを有し、電圧誘起部17a,17bは、検出コイル14のうち電圧誘起部17a,17bとの距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されている。
【解決手段】外部磁界により磁気特性が変化する感磁体11と、感磁体11に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッド13a,13bと、感磁体11と電極パッド13a,13bとの間を接続する接続配線12a,12bと、感磁体11の周囲または近傍にあって感磁体11の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイル14とを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサ10において、接続配線12a,12bは非磁性の導電体からなり、かつ高周波電流またはパルス電流により検出コイル14に電圧を誘起する電圧誘起部17a,17bを有し、電圧誘起部17a,17bは、検出コイル14のうち電圧誘起部17a,17bとの距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交フラックスゲートセンサおよびそれを用いた外部磁界の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小な磁界を高精度に検出するセンサとして直交フラックスゲートセンサが知られている。近年は、モバイル機器に搭載するため、直交フラックスゲートセンサの小型化が進んでおり、例えば感磁体である磁性薄膜と平面コイルとからなる薄型で小型の直交フラックスゲートセンサが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。このセンサは、磁性薄膜からなる感磁体にパルス電流を印加すると、パルスの立ち上がり部と立ち下がり部に伴って平面コイルに電圧が誘起される。この誘起電圧は外部磁界にほぼ比例して増減するので、誘起電圧をセンサ出力として利用し、外部磁界を検出することができる。
【特許文献1】特開2006−201123号公報
【特許文献2】特開2003−004831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
誘起電圧の検波方法には、電圧の最大値を直流に変換するピークホールド回路を用いることが多い。この方法は簡便ではあるが、誘起電圧のピークが磁界の変動によって正負に変動すると、他のピークが最大値となってピーク電圧値の変動を正しく検出することができない。例えば、図1に示すように、入力パルスの立ち上がりと立ち下がりの両方がピークホールド期間に含まれるとき、図11および図12に示すように、しきい値Aを境界として、A<Hであれば立ち上がり時のピークがピークホールド回路に検出されるが、H<Aでは立ち下がり時のピークの符号が逆転し、立ち下がり時のピークがピークホールド回路に検出されてしまう。このように、H<AとA<Hとで異なるタイミングのピークが検出されてしまうことにより、図12に示すように、外部磁界Hと出力電圧Vとの関係がH=Aを挟んでV字状となり、同じ出力電圧(検出値)Vに対してH<AとA<Hを区別することができない。このため、磁界の検出可能な範囲が狭くなってしまう。
【0004】
この問題に対して、図13に示すように、入力パルスの立ち下がりをピークホールド期間の終了後とすることが考えられる。これにより、立ち上がり時のピークのみをピークホールド回路で検出することができるようになるので、立ち下がり時のピークを誤って検出するおそれはない。しかしながら、ピークホールド期間が終了するまで入力パルスの幅を長くすることが必要になるので、消費電力が増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力が増大することなく、同じタイミングでのピーク検出が可能となる直交フラックスゲートセンサおよびそれを用いた外部磁界の検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサにおいて、前記接続配線は、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されていることを特徴とする直交フラックスゲートセンサを提供する。
【0007】
また、本発明は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法において、前記直交フラックスゲートセンサとして、前記接続配線が、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されているものを用い、前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成した出力電圧に基づいて外部磁界を検出することを特徴とする直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法を提供する。
【0008】
上述の外部磁界の検出方法においては、前記外部磁界の検出は、前記高周波電流またはパルス電流の立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における前記出力電圧の最大値または最小値から選ばれる代表値に基づいて行われ、前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成することにより、前記立ち上がりの際の出力電圧のピーク値を前記代表値とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続配線を流れる入力電流により、外部磁界に依存しない誘起電圧を検出コイルに発生させることができるので、出力電圧へのオフセット電圧の付与を簡単な構成にて実現することができる。これにより、ピークホールド回路を検波に用いることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
本形態例で用いられる直交フラックスゲートセンサは、例えば図5に示されるものである。この直交フラックスゲートセンサ10は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体11と、感磁体11に入力として所定の電流を流すための電極パッド13a,13bと、感磁体11と電極パッド13a,13bとの間を接続する接続配線12a,12bと、感磁体11の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイル14と、検出コイル14から出力電圧を取り出すための電極パッド16a,16bと、検出コイル14と電極パッド16a,16bとの間を接続する配線15a,15bと、接続配線12a,12bに入力として流される所定の電流により検出コイル14に電圧を誘起する電圧誘起部17a,17bとを備えて構成されている。接続配線12a,12bは、非磁性の導電体からなり、したがって、電圧誘起部17a,17bも非磁性の導電体からなる。
【0011】
本形態例では、外部磁界の検出は、図1に示すように、入力パルスの立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における出力電圧の最大値に基づいて行われる。
なお、本発明においては、入力パルスの波形は、矩形状に限らず、三角形状、台形状、正弦波状などであっても良い。以下の説明では、パルス電流を入力とする場合を例示するが、パルス電流の代わりに、高周波電流を感磁体11への入力に用いることもできる。
【0012】
そして、本形態例では、感磁体11により検出コイル14に誘起された誘起電圧V1と、電圧誘起部17a,17bにより検出コイル14に誘起された誘起電圧V2とを合成した出力電圧V(すなわちV=V1+V2)に基づいて外部磁界を検出する。
【0013】
軟磁性体など、磁界により磁気特性が変化する材質からなる感磁体11により誘起される誘起電圧V1は、外部磁界の変動に応じて変動する。これに対して、非磁性の導電体からなる電圧誘起部17a,17bにより誘起される誘起電圧V2は、入力パルスが一定であれば、外部磁界の変動によらず、変動しない。このため、電極パッド16a,16bを通じて取り出される検出コイル14の出力電圧は、電圧誘起部17a,17bにより誘起される誘起電圧V2によるオフセットを加えたものとなる。
【0014】
外部磁界Hの検出が出力電圧Vの最大値による場合、入力パルスの立ち上がり時のピーク値が出力電圧の最大値として検出されるようにするためには、オフセットとなる誘起電圧V2が入力パルスの立ち上がり時に正の電圧値を与え、立ち上がり時の出力電圧ピークが他ピークよりも大きな電圧値となるようにすれば良い。すると、図2に示すように、H=0、H>0、H<0のいずれの場合においても立ち上がり時のピークを出力電圧Vの最大値として検出することができる。これにより、図3に示すように、より広いHの範囲で外部磁界Hと出力電圧Vがほぼ直線的に対応する関係となり、磁界の検出可能な範囲を広く取ることができる。ここで、図3の縦軸Vは、V1とV2を合成した出力電圧から得た最大値を示す。
【0015】
出力電圧Vと外部磁界Hの大きさとがほぼ直線的に対応する範囲内では、感度(単位磁界変化に対する誘起電圧の変化量)と、H=0における出力電圧値V0をあらかじめ求めておき、出力電圧VからV0を減じた差を感度で除算すること[(V−V0)÷感度]により、外部磁界の大きさを求めることができる。
【0016】
図4(a)に示すように、入力パルスの立ち上がり時のピーク(左側のピーク)がベースラインよりも電圧値が増大するものであれば、出力電圧Vの最大値によって外部磁界Hを検出することができる。
これに対して、図4(b)に示すように、入力パルスの立ち上がり時のピーク(左側のピーク)がベースラインよりも電圧値が減少するものであれば、出力電圧Vの最小値によって外部磁界Hを検出する。この場合、入力パルスの立ち上がり時のピーク値が出力電圧の最小値として検出されるようにするためには、オフセットとなる誘起電圧V2が入力パルスの立ち上がり時に負の電圧値を与え、立ち上がり時の出力電圧ピークが他ピークよりも小さな電圧値となるようにすれば良い。これにより、H=0、H>0、H<0のいずれの場合においても立ち上がり時のピークを出力電圧Vの最小値として検出することができる。
【0017】
立ち上がり時のピークを増大ピークとするか減少ピークとするかは、パルス入力用電極パッド13a,13bや、電圧出力用電極パッド16a,16bの選択によって変更できる。例えば、パルス入力用電極パッド13a,13bのうちの片方を接地端子(GND)とする場合、いずれを接地端子とするかで、立ち上がり時のピークが増大ピークとなるか減少ピークとなるかが入れ替わることになる。
【0018】
なお、ここでは立ち上がり時のピークを検出する場合を例示したが、他の特徴的なピークを検出することも可能である。例えば立ち上がり時のピークよりも立ち下がり時のピークのほうが検出しやすい場合は、立ち下がり時のピークを検出するようにすることができる。
【0019】
センサ10の感磁体11としては、導電性を有する線状、帯状あるいは棒状の軟磁性体素子を用いることができる。このような軟磁性体としては、例えば帯状やメアンダ形状等の形状を有する薄膜磁性体素子が挙げられる。本形態例では、図5に示すように、複数個の感磁体11,11を導体12cで連結したメアンダ形状とされている。図7に示すように、センサ20が1個の感磁体21を備える構成とすることもできる。
【0020】
検出コイル14は、感磁体11の周囲または近傍に配され、センサ出力を取り出すために用いられる。検出コイルは、特に限定されるものではなく、従来のフラックスゲートセンサに用いられるものと同様のものを用いることができる。図5に示す平面型のスパイラルコイル14a,14bを感磁体の上側または下側の層に(近傍に)配するほか、感磁体の周囲に巻回されたコイルも使用可能である。センサの薄型化の観点からは、平面型のスパイラルコイル14a,14bが望ましい。
【0021】
なお、図5に示す直交フラックスゲートセンサ10においては、2個の感磁体11の一端11aが一方のスパイラルコイル14aの中心部に位置し、感磁体11の他端11bが他方のスパイラルコイル14bの中心部に位置している。連結導体12cは、2個の感磁体11の一端11a同士を連結している。
感磁体11の個数が2個などの偶数個で、パルス入力用電極パッド13a,13bに接続される接続配線12a,12bが、同じスパイラルコイル14bの側(ここでは、他方のスパイラルコイル14b内の感磁体11の他端11bの側)に通じている構成となっている。そして、2箇所の電圧誘起部17a,17bも、同じスパイラルコイル14b(ここでは、他方のスパイラルコイル14b)に近接して設けられている。
【0022】
配線12a,12b,15a,15bおよび電極パッド13a,13b,16a,16bは、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の非磁性金属からなることが好ましい。特に、電圧誘起部17a,17bは、CuやAl等の非磁性金属からなることが必要である。電圧誘起部17a,17bは、パルス電流入力用接続配線12a,12bの一部として形成されているため、磁界検出を行うときには、パルス電流が電圧誘起部17a,17bに流される。電圧誘起部17a,17bに流されるパルス電流により検出コイル14に誘起電圧を生じさせるため、検出コイル14のコイル配線の一部分18a,18b(以下、「近接コイル配線部」という場合がある。)に近接して設けられる。その距離は、例えば数μmから数十μm程度である。
【0023】
また、電圧誘起部17a,17bは、近接コイル配線部18a,18bに沿って配される。電圧誘起部17a,17bが近接コイル配線部18a,18bに平行であることが望ましいが、検出コイル14への電圧誘起が可能であれば略平行でも良い。ここで、近接コイル配線部18a,18bとは、検出コイル14のうち電圧誘起部17a,17bとの距離が最も近いコイル配線部分である。
【0024】
本形態例の直交フラックスゲートセンサ10は、図5(b)に示すように、基板上に形成された薄型のセンサとして構成されている。基板としては、例えば酸化膜10b付きのシリコン(Si)基板10aのほか、ガラス基板、セラミック基板等の非磁性基板を用いることができる。
層間絶縁層10cは、感磁体11と検出コイル14との間、あるいは他の導体との間を絶縁する絶縁体を構成するものであり、材質は1種または2種以上を適宜選択して用いることが可能であるが、例えば、プラズマCVD法によるシリコン酸化膜等の酸化膜や樹脂等の有機絶縁膜などにより構成することが可能である。
また、検出コイル14の上に、封止絶縁層10dを設けても良い。封止絶縁層10dは、層間絶縁層10cと同様の、あるいは異なる絶縁膜から構成することができる。
また、本形態例においては、層間絶縁層10cおよび封止絶縁層10dは、電極パッド13a,13b,16a,16bを露出する開口部19c,19dを有する。
【0025】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0026】
図7に示す直交フラックスゲートセンサ20は、感磁体21の一端21aが一方のスパイラルコイル24aの中心部に位置し、感磁体21の他端21bが他方のスパイラルコイル24bの中心部に位置し、電圧誘起部27a,27bのうち一方の電圧誘起部27aが検出コイル24の一方のスパイラルコイル24a側に設けられ、他方の電圧誘起部27bが他方のスパイラルコイル24b側に設けられている。
このように、感磁体21の個数が1個などの奇数個で、パルス入力用電極パッド23a,23bに接続される接続配線22a,22bが、それぞれ反対側のスパイラルコイル24a,24bの側に通じている構成とすることもできる。
【0027】
なお、電圧誘起部により検出コイルに誘起される電圧が増大ピークとなるか減少ピークとなるかは、そのピークが生じる時点における電圧誘起部における通電方向と、検出コイルの近接コイル配線部における通電方向との関係(同方向か逆方向か)によって異なる。したがって、検出コイルに対して2箇所の電圧誘起部を設ける場合は、それぞれの電圧誘起部によって検出コイルに誘起されるオフセット電圧が同符号となるようにすることが望ましい。
【0028】
例えば、図7に示す直交フラックスゲートセンサ20において、パルス入力用電極パッド23a,23bのうち電極パッド23aをGND端子とし、電極パッド23bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、電圧誘起部27aにおける通電方向と、電圧誘起部27bにおける通電方向とは同じ方向になる。また、電圧出力用電極パッド26a,26bのうち電極パッド26aをGND端子とし、電極パッド26bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、近接コイル配線部28aにおける通電方向と、近接コイル配線部28bにおける通電方向とは同じ方向になる。
したがって、電圧誘起部27aにおける通電方向と近接コイル配線部28aにおける通電方向との関係が順方向であれば、電圧誘起部27bにおける通電方向と近接コイル配線部28bにおける通電方向の関係も順方向になる。あるいは、電圧誘起部27aにおける通電方向と近接コイル配線部28aにおける通電方向との関係が逆方向であれば、電圧誘起部27bにおける通電方向と近接コイル配線部28bにおける通電方向との関係も逆方向になる。
このようにすれば、電圧誘起部27aが近接コイル配線部28aにおいて電圧が増大するピークを誘起するならば、電圧誘起部27bも、近接コイル配線部28bにおいて電圧が増大するピークを誘起することになる。あるいは、電圧誘起部27aが近接コイル配線部28aにおいて電圧が減少するピークを誘起するならば、電圧誘起部27bも、近接コイル配線部28bにおいて電圧が減少するピークを誘起することになる。したがって、電圧誘起部27aによる誘起電圧と電圧誘起部27bによる誘起電圧とは互いに強め合い、合計で所望のオフセット電圧を与えることができる。
【0029】
これに対して、図9に示す直交フラックスゲートセンサ30の場合は、パルス入力用電極パッド33a,33bのうち電極パッド33aをGND端子とし、電極パッド33bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、電圧誘起部37aにおける通電方向と、電圧誘起部37bにおける通電方向とは反対方向になる。電圧出力用電極パッド36a,36bのうち電極パッド36aをGND端子とし、電極パッド36bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、近接コイル配線部38aにおける通電方向と、近接コイル配線部38bにおける通電方向とは同じ方向になる。
したがって、電圧誘起部37aにおける通電方向と近接コイル配線部38aにおける通電方向との関係が順方向であれば、電圧誘起部37bにおける通電方向と近接コイル配線部38bにおける通電方向の関係は逆方向になる。あるいは、電圧誘起部37aにおける通電方向と近接コイル配線部38aにおける通電方向との関係が逆方向であれば、電圧誘起部37bにおける通電方向と近接コイル配線部38bにおける通電方向との関係は順方向になる。
この場合、電圧誘起部37aが近接コイル配線部38aにおいて電圧が増大するピークを誘起するならば、電圧誘起部37bは、近接コイル配線部38bにおいて電圧が減少するピークを誘起することになる。あるいは、電圧誘起部37aが近接コイル配線部38aにおいて電圧が減少するピークを誘起するならば、電圧誘起部37bは、近接コイル配線部38bにおいて電圧が増大するピークを誘起することになる。したがって、電圧誘起部37aによる誘起電圧と電圧誘起部37bによる誘起電圧とは互いに異符号のため相殺してしまい、所望のオフセット電圧を誘起することができない。
したがって、図7のように、それぞれの電圧誘起部によって検出コイルに誘起されるオフセット電圧が同符号となるようにすることが望ましい。
【0030】
図9のようにGND端子とシグナル端子を配置する場合は、電圧誘起部を1箇所のみとすれば、2箇所の電圧誘起部による誘起電圧が相殺されることがないので、所望のオフセット電圧を誘起することができる。
電圧誘起部を1箇所のみ設けるよう図9の構成を改変するには、感磁体31の一端31aと電極パッド33aとの間に電圧誘起部が形成されないように、一方のスパイラルコイル34aのコイル配線に対して垂直に接続配線32aを設ける(例えば感磁体31の一端31aから接続配線32aを左向きに真直ぐ配する)ことで感磁体31の他端31b側のみに電圧誘起部37bを設けるか、感磁体31の他端31bと電極パッド33bとの間に電圧誘起部が形成されないように、他方のスパイラルコイル34bのコイル配線に対して垂直に接続配線32bを設ける(例えば感磁体31の他端31bから接続配線32bを左向きに真直ぐ配する)ことで感磁体31の一端31a側のみに電圧誘起部37aを設ける改変方法が挙げられる。
あるいは、2箇所の電圧誘起部による誘起電圧が相殺されないよう、接続配線32a,32bを複雑な形状にする改変方法も考えられる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
図5に示す直交フラックスゲートセンサ10を製造した。感磁体11は、幅30μm、長さ500μmの素子2個をCoNbZrで作製した。検出コイル14は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド13aをパルス用GND端子とし、電極パッド13bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド16aを出力用GND端子とし、電極パッド16bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板10aはSi基板、絶縁層10bはSiO2膜であり、層間絶縁層10cおよび封止絶縁層10dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド16a,16b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図6に示す。外部磁界と出力電圧の最大値が幅広い磁界範囲でほぼ直線的に対応する関係となった。よって、オシロスコープの代わりにピークホールド回路に接続して出力電圧の最大値を取り出すようにしても、幅広い磁界範囲で外部磁界の検出が可能である。
【0032】
図7に示す直交フラックスゲートセンサ20を製造した。感磁体21は、幅30μm、長さ500μmの素子をCoNbZrで作製した。検出コイル24は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド23aをパルス用GND端子とし、電極パッド23bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド26aを出力用GND端子とし、電極パッド26bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板20aはSi基板、絶縁層20bはSiO2膜であり、層間絶縁層20cおよび封止絶縁層20dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド26a,26b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図8に示す。外部磁界と出力電圧の最大値が幅広い磁界範囲でほぼ直線的に対応する関係となった。よって、オシロスコープの代わりにピークホールド回路に接続して出力電圧の最大値を取り出すようにしても、幅広い磁界範囲で外部磁界の検出が可能である。
【0033】
図9に示す直交フラックスゲートセンサ30を製造した。感磁体31は、幅30μm、長さ500μmの素子をCoNbZrで作製した。検出コイル34は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド33aをパルス用GND端子とし、電極パッド33bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド36aを出力用GND端子とし、電極パッド36bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板30aはSi基板、絶縁層30bはSiO2膜であり、層間絶縁層30cおよび封止絶縁層30dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド36a,36b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図10に示す。外部磁界と出力電圧の最大値は、磁界−0.5Oe程度を境にして、それ以下における感度とそれ以上における感度が異符号になった。これは、2箇所の電圧誘起部37a,37bによる誘起電圧が互いに相殺してオフセット電圧が低くなってしまったため、約−0.5Oe以下と約−0.5Oe以上とで、異なるタイミングのピークを検出してしまっているためである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、直交フラックスゲート方式の磁気センサとして、高感度で小型の各種磁気センサに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)〜(c)は本発明におけるピークホールド期間を説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明における出力電圧波形を説明する図である。
【図3】本発明における外部磁界と出力電圧との関係を例示する模式的グラフである。
【図4】(a)および(b)は電流方向と出力電圧波形との関係を説明する図である。
【図5】本発明の直交フラックスゲートセンサの第1形態例を示す(a)平面図および(b)S1−S1線に沿う断面図である。
【図6】図5に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の直交フラックスゲートセンサの第2形態例を示す(a)平面図および(b)S2−S2線に沿う断面図である。
【図8】図7に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図9】本発明の直交フラックスゲートセンサの第3形態例を示す(a)平面図および(b)S3−S3線に沿う断面図である。
【図10】図9に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図11】(a)〜(e)は従来例における出力電圧波形を説明する図である。
【図12】従来例における外部磁界と出力電圧との関係を例示する模式的グラフである。
【図13】(a)〜(c)は従来の改善案におけるピークホールド期間を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
10,20,30…直交フラックスゲートセンサ、10a,20a,30a…非磁性基板、10b,20b,30b…下地絶縁層、10c,20c,30c…層間絶縁層、10d,20d,30d…封止絶縁層、11,21,31…感磁体、11a,21a,31a…感磁体の一端、11b,21b,31b…感磁体の他端、12a,12b,22a,22b,32a,32b…接続配線(感磁体−パッド間)、12c…連結導体、13a,13b,23a,23b,33a,33b…電極パッド(電流入力用)、14,24,34…検出コイル、14a,14b,24a,24b,34a,34b…スパイラルコイル、15a,15b,25a,25b,35a,35b…接続配線(コイル−パッド間)、16a,16b,26a,26b,36a,36b…電極パッド(電圧出力用)、17a,17b,27a,27b,37a,37b…電圧誘起部、18a,18b,28a,28b,38a,38b…近接コイル配線部、19c,19d,29c,29d,39c,39d…開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交フラックスゲートセンサおよびそれを用いた外部磁界の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小な磁界を高精度に検出するセンサとして直交フラックスゲートセンサが知られている。近年は、モバイル機器に搭載するため、直交フラックスゲートセンサの小型化が進んでおり、例えば感磁体である磁性薄膜と平面コイルとからなる薄型で小型の直交フラックスゲートセンサが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。このセンサは、磁性薄膜からなる感磁体にパルス電流を印加すると、パルスの立ち上がり部と立ち下がり部に伴って平面コイルに電圧が誘起される。この誘起電圧は外部磁界にほぼ比例して増減するので、誘起電圧をセンサ出力として利用し、外部磁界を検出することができる。
【特許文献1】特開2006−201123号公報
【特許文献2】特開2003−004831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
誘起電圧の検波方法には、電圧の最大値を直流に変換するピークホールド回路を用いることが多い。この方法は簡便ではあるが、誘起電圧のピークが磁界の変動によって正負に変動すると、他のピークが最大値となってピーク電圧値の変動を正しく検出することができない。例えば、図1に示すように、入力パルスの立ち上がりと立ち下がりの両方がピークホールド期間に含まれるとき、図11および図12に示すように、しきい値Aを境界として、A<Hであれば立ち上がり時のピークがピークホールド回路に検出されるが、H<Aでは立ち下がり時のピークの符号が逆転し、立ち下がり時のピークがピークホールド回路に検出されてしまう。このように、H<AとA<Hとで異なるタイミングのピークが検出されてしまうことにより、図12に示すように、外部磁界Hと出力電圧Vとの関係がH=Aを挟んでV字状となり、同じ出力電圧(検出値)Vに対してH<AとA<Hを区別することができない。このため、磁界の検出可能な範囲が狭くなってしまう。
【0004】
この問題に対して、図13に示すように、入力パルスの立ち下がりをピークホールド期間の終了後とすることが考えられる。これにより、立ち上がり時のピークのみをピークホールド回路で検出することができるようになるので、立ち下がり時のピークを誤って検出するおそれはない。しかしながら、ピークホールド期間が終了するまで入力パルスの幅を長くすることが必要になるので、消費電力が増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力が増大することなく、同じタイミングでのピーク検出が可能となる直交フラックスゲートセンサおよびそれを用いた外部磁界の検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサにおいて、前記接続配線は、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されていることを特徴とする直交フラックスゲートセンサを提供する。
【0007】
また、本発明は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法において、前記直交フラックスゲートセンサとして、前記接続配線が、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されているものを用い、前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成した出力電圧に基づいて外部磁界を検出することを特徴とする直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法を提供する。
【0008】
上述の外部磁界の検出方法においては、前記外部磁界の検出は、前記高周波電流またはパルス電流の立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における前記出力電圧の最大値または最小値から選ばれる代表値に基づいて行われ、前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成することにより、前記立ち上がりの際の出力電圧のピーク値を前記代表値とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続配線を流れる入力電流により、外部磁界に依存しない誘起電圧を検出コイルに発生させることができるので、出力電圧へのオフセット電圧の付与を簡単な構成にて実現することができる。これにより、ピークホールド回路を検波に用いることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
本形態例で用いられる直交フラックスゲートセンサは、例えば図5に示されるものである。この直交フラックスゲートセンサ10は、外部磁界により磁気特性が変化する感磁体11と、感磁体11に入力として所定の電流を流すための電極パッド13a,13bと、感磁体11と電極パッド13a,13bとの間を接続する接続配線12a,12bと、感磁体11の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイル14と、検出コイル14から出力電圧を取り出すための電極パッド16a,16bと、検出コイル14と電極パッド16a,16bとの間を接続する配線15a,15bと、接続配線12a,12bに入力として流される所定の電流により検出コイル14に電圧を誘起する電圧誘起部17a,17bとを備えて構成されている。接続配線12a,12bは、非磁性の導電体からなり、したがって、電圧誘起部17a,17bも非磁性の導電体からなる。
【0011】
本形態例では、外部磁界の検出は、図1に示すように、入力パルスの立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における出力電圧の最大値に基づいて行われる。
なお、本発明においては、入力パルスの波形は、矩形状に限らず、三角形状、台形状、正弦波状などであっても良い。以下の説明では、パルス電流を入力とする場合を例示するが、パルス電流の代わりに、高周波電流を感磁体11への入力に用いることもできる。
【0012】
そして、本形態例では、感磁体11により検出コイル14に誘起された誘起電圧V1と、電圧誘起部17a,17bにより検出コイル14に誘起された誘起電圧V2とを合成した出力電圧V(すなわちV=V1+V2)に基づいて外部磁界を検出する。
【0013】
軟磁性体など、磁界により磁気特性が変化する材質からなる感磁体11により誘起される誘起電圧V1は、外部磁界の変動に応じて変動する。これに対して、非磁性の導電体からなる電圧誘起部17a,17bにより誘起される誘起電圧V2は、入力パルスが一定であれば、外部磁界の変動によらず、変動しない。このため、電極パッド16a,16bを通じて取り出される検出コイル14の出力電圧は、電圧誘起部17a,17bにより誘起される誘起電圧V2によるオフセットを加えたものとなる。
【0014】
外部磁界Hの検出が出力電圧Vの最大値による場合、入力パルスの立ち上がり時のピーク値が出力電圧の最大値として検出されるようにするためには、オフセットとなる誘起電圧V2が入力パルスの立ち上がり時に正の電圧値を与え、立ち上がり時の出力電圧ピークが他ピークよりも大きな電圧値となるようにすれば良い。すると、図2に示すように、H=0、H>0、H<0のいずれの場合においても立ち上がり時のピークを出力電圧Vの最大値として検出することができる。これにより、図3に示すように、より広いHの範囲で外部磁界Hと出力電圧Vがほぼ直線的に対応する関係となり、磁界の検出可能な範囲を広く取ることができる。ここで、図3の縦軸Vは、V1とV2を合成した出力電圧から得た最大値を示す。
【0015】
出力電圧Vと外部磁界Hの大きさとがほぼ直線的に対応する範囲内では、感度(単位磁界変化に対する誘起電圧の変化量)と、H=0における出力電圧値V0をあらかじめ求めておき、出力電圧VからV0を減じた差を感度で除算すること[(V−V0)÷感度]により、外部磁界の大きさを求めることができる。
【0016】
図4(a)に示すように、入力パルスの立ち上がり時のピーク(左側のピーク)がベースラインよりも電圧値が増大するものであれば、出力電圧Vの最大値によって外部磁界Hを検出することができる。
これに対して、図4(b)に示すように、入力パルスの立ち上がり時のピーク(左側のピーク)がベースラインよりも電圧値が減少するものであれば、出力電圧Vの最小値によって外部磁界Hを検出する。この場合、入力パルスの立ち上がり時のピーク値が出力電圧の最小値として検出されるようにするためには、オフセットとなる誘起電圧V2が入力パルスの立ち上がり時に負の電圧値を与え、立ち上がり時の出力電圧ピークが他ピークよりも小さな電圧値となるようにすれば良い。これにより、H=0、H>0、H<0のいずれの場合においても立ち上がり時のピークを出力電圧Vの最小値として検出することができる。
【0017】
立ち上がり時のピークを増大ピークとするか減少ピークとするかは、パルス入力用電極パッド13a,13bや、電圧出力用電極パッド16a,16bの選択によって変更できる。例えば、パルス入力用電極パッド13a,13bのうちの片方を接地端子(GND)とする場合、いずれを接地端子とするかで、立ち上がり時のピークが増大ピークとなるか減少ピークとなるかが入れ替わることになる。
【0018】
なお、ここでは立ち上がり時のピークを検出する場合を例示したが、他の特徴的なピークを検出することも可能である。例えば立ち上がり時のピークよりも立ち下がり時のピークのほうが検出しやすい場合は、立ち下がり時のピークを検出するようにすることができる。
【0019】
センサ10の感磁体11としては、導電性を有する線状、帯状あるいは棒状の軟磁性体素子を用いることができる。このような軟磁性体としては、例えば帯状やメアンダ形状等の形状を有する薄膜磁性体素子が挙げられる。本形態例では、図5に示すように、複数個の感磁体11,11を導体12cで連結したメアンダ形状とされている。図7に示すように、センサ20が1個の感磁体21を備える構成とすることもできる。
【0020】
検出コイル14は、感磁体11の周囲または近傍に配され、センサ出力を取り出すために用いられる。検出コイルは、特に限定されるものではなく、従来のフラックスゲートセンサに用いられるものと同様のものを用いることができる。図5に示す平面型のスパイラルコイル14a,14bを感磁体の上側または下側の層に(近傍に)配するほか、感磁体の周囲に巻回されたコイルも使用可能である。センサの薄型化の観点からは、平面型のスパイラルコイル14a,14bが望ましい。
【0021】
なお、図5に示す直交フラックスゲートセンサ10においては、2個の感磁体11の一端11aが一方のスパイラルコイル14aの中心部に位置し、感磁体11の他端11bが他方のスパイラルコイル14bの中心部に位置している。連結導体12cは、2個の感磁体11の一端11a同士を連結している。
感磁体11の個数が2個などの偶数個で、パルス入力用電極パッド13a,13bに接続される接続配線12a,12bが、同じスパイラルコイル14bの側(ここでは、他方のスパイラルコイル14b内の感磁体11の他端11bの側)に通じている構成となっている。そして、2箇所の電圧誘起部17a,17bも、同じスパイラルコイル14b(ここでは、他方のスパイラルコイル14b)に近接して設けられている。
【0022】
配線12a,12b,15a,15bおよび電極パッド13a,13b,16a,16bは、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の非磁性金属からなることが好ましい。特に、電圧誘起部17a,17bは、CuやAl等の非磁性金属からなることが必要である。電圧誘起部17a,17bは、パルス電流入力用接続配線12a,12bの一部として形成されているため、磁界検出を行うときには、パルス電流が電圧誘起部17a,17bに流される。電圧誘起部17a,17bに流されるパルス電流により検出コイル14に誘起電圧を生じさせるため、検出コイル14のコイル配線の一部分18a,18b(以下、「近接コイル配線部」という場合がある。)に近接して設けられる。その距離は、例えば数μmから数十μm程度である。
【0023】
また、電圧誘起部17a,17bは、近接コイル配線部18a,18bに沿って配される。電圧誘起部17a,17bが近接コイル配線部18a,18bに平行であることが望ましいが、検出コイル14への電圧誘起が可能であれば略平行でも良い。ここで、近接コイル配線部18a,18bとは、検出コイル14のうち電圧誘起部17a,17bとの距離が最も近いコイル配線部分である。
【0024】
本形態例の直交フラックスゲートセンサ10は、図5(b)に示すように、基板上に形成された薄型のセンサとして構成されている。基板としては、例えば酸化膜10b付きのシリコン(Si)基板10aのほか、ガラス基板、セラミック基板等の非磁性基板を用いることができる。
層間絶縁層10cは、感磁体11と検出コイル14との間、あるいは他の導体との間を絶縁する絶縁体を構成するものであり、材質は1種または2種以上を適宜選択して用いることが可能であるが、例えば、プラズマCVD法によるシリコン酸化膜等の酸化膜や樹脂等の有機絶縁膜などにより構成することが可能である。
また、検出コイル14の上に、封止絶縁層10dを設けても良い。封止絶縁層10dは、層間絶縁層10cと同様の、あるいは異なる絶縁膜から構成することができる。
また、本形態例においては、層間絶縁層10cおよび封止絶縁層10dは、電極パッド13a,13b,16a,16bを露出する開口部19c,19dを有する。
【0025】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0026】
図7に示す直交フラックスゲートセンサ20は、感磁体21の一端21aが一方のスパイラルコイル24aの中心部に位置し、感磁体21の他端21bが他方のスパイラルコイル24bの中心部に位置し、電圧誘起部27a,27bのうち一方の電圧誘起部27aが検出コイル24の一方のスパイラルコイル24a側に設けられ、他方の電圧誘起部27bが他方のスパイラルコイル24b側に設けられている。
このように、感磁体21の個数が1個などの奇数個で、パルス入力用電極パッド23a,23bに接続される接続配線22a,22bが、それぞれ反対側のスパイラルコイル24a,24bの側に通じている構成とすることもできる。
【0027】
なお、電圧誘起部により検出コイルに誘起される電圧が増大ピークとなるか減少ピークとなるかは、そのピークが生じる時点における電圧誘起部における通電方向と、検出コイルの近接コイル配線部における通電方向との関係(同方向か逆方向か)によって異なる。したがって、検出コイルに対して2箇所の電圧誘起部を設ける場合は、それぞれの電圧誘起部によって検出コイルに誘起されるオフセット電圧が同符号となるようにすることが望ましい。
【0028】
例えば、図7に示す直交フラックスゲートセンサ20において、パルス入力用電極パッド23a,23bのうち電極パッド23aをGND端子とし、電極パッド23bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、電圧誘起部27aにおける通電方向と、電圧誘起部27bにおける通電方向とは同じ方向になる。また、電圧出力用電極パッド26a,26bのうち電極パッド26aをGND端子とし、電極パッド26bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、近接コイル配線部28aにおける通電方向と、近接コイル配線部28bにおける通電方向とは同じ方向になる。
したがって、電圧誘起部27aにおける通電方向と近接コイル配線部28aにおける通電方向との関係が順方向であれば、電圧誘起部27bにおける通電方向と近接コイル配線部28bにおける通電方向の関係も順方向になる。あるいは、電圧誘起部27aにおける通電方向と近接コイル配線部28aにおける通電方向との関係が逆方向であれば、電圧誘起部27bにおける通電方向と近接コイル配線部28bにおける通電方向との関係も逆方向になる。
このようにすれば、電圧誘起部27aが近接コイル配線部28aにおいて電圧が増大するピークを誘起するならば、電圧誘起部27bも、近接コイル配線部28bにおいて電圧が増大するピークを誘起することになる。あるいは、電圧誘起部27aが近接コイル配線部28aにおいて電圧が減少するピークを誘起するならば、電圧誘起部27bも、近接コイル配線部28bにおいて電圧が減少するピークを誘起することになる。したがって、電圧誘起部27aによる誘起電圧と電圧誘起部27bによる誘起電圧とは互いに強め合い、合計で所望のオフセット電圧を与えることができる。
【0029】
これに対して、図9に示す直交フラックスゲートセンサ30の場合は、パルス入力用電極パッド33a,33bのうち電極パッド33aをGND端子とし、電極パッド33bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、電圧誘起部37aにおける通電方向と、電圧誘起部37bにおける通電方向とは反対方向になる。電圧出力用電極パッド36a,36bのうち電極パッド36aをGND端子とし、電極パッド36bをシグナル端子とすると、立ち上がりピークが生じる時点において、近接コイル配線部38aにおける通電方向と、近接コイル配線部38bにおける通電方向とは同じ方向になる。
したがって、電圧誘起部37aにおける通電方向と近接コイル配線部38aにおける通電方向との関係が順方向であれば、電圧誘起部37bにおける通電方向と近接コイル配線部38bにおける通電方向の関係は逆方向になる。あるいは、電圧誘起部37aにおける通電方向と近接コイル配線部38aにおける通電方向との関係が逆方向であれば、電圧誘起部37bにおける通電方向と近接コイル配線部38bにおける通電方向との関係は順方向になる。
この場合、電圧誘起部37aが近接コイル配線部38aにおいて電圧が増大するピークを誘起するならば、電圧誘起部37bは、近接コイル配線部38bにおいて電圧が減少するピークを誘起することになる。あるいは、電圧誘起部37aが近接コイル配線部38aにおいて電圧が減少するピークを誘起するならば、電圧誘起部37bは、近接コイル配線部38bにおいて電圧が増大するピークを誘起することになる。したがって、電圧誘起部37aによる誘起電圧と電圧誘起部37bによる誘起電圧とは互いに異符号のため相殺してしまい、所望のオフセット電圧を誘起することができない。
したがって、図7のように、それぞれの電圧誘起部によって検出コイルに誘起されるオフセット電圧が同符号となるようにすることが望ましい。
【0030】
図9のようにGND端子とシグナル端子を配置する場合は、電圧誘起部を1箇所のみとすれば、2箇所の電圧誘起部による誘起電圧が相殺されることがないので、所望のオフセット電圧を誘起することができる。
電圧誘起部を1箇所のみ設けるよう図9の構成を改変するには、感磁体31の一端31aと電極パッド33aとの間に電圧誘起部が形成されないように、一方のスパイラルコイル34aのコイル配線に対して垂直に接続配線32aを設ける(例えば感磁体31の一端31aから接続配線32aを左向きに真直ぐ配する)ことで感磁体31の他端31b側のみに電圧誘起部37bを設けるか、感磁体31の他端31bと電極パッド33bとの間に電圧誘起部が形成されないように、他方のスパイラルコイル34bのコイル配線に対して垂直に接続配線32bを設ける(例えば感磁体31の他端31bから接続配線32bを左向きに真直ぐ配する)ことで感磁体31の一端31a側のみに電圧誘起部37aを設ける改変方法が挙げられる。
あるいは、2箇所の電圧誘起部による誘起電圧が相殺されないよう、接続配線32a,32bを複雑な形状にする改変方法も考えられる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
図5に示す直交フラックスゲートセンサ10を製造した。感磁体11は、幅30μm、長さ500μmの素子2個をCoNbZrで作製した。検出コイル14は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド13aをパルス用GND端子とし、電極パッド13bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド16aを出力用GND端子とし、電極パッド16bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板10aはSi基板、絶縁層10bはSiO2膜であり、層間絶縁層10cおよび封止絶縁層10dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド16a,16b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図6に示す。外部磁界と出力電圧の最大値が幅広い磁界範囲でほぼ直線的に対応する関係となった。よって、オシロスコープの代わりにピークホールド回路に接続して出力電圧の最大値を取り出すようにしても、幅広い磁界範囲で外部磁界の検出が可能である。
【0032】
図7に示す直交フラックスゲートセンサ20を製造した。感磁体21は、幅30μm、長さ500μmの素子をCoNbZrで作製した。検出コイル24は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド23aをパルス用GND端子とし、電極パッド23bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド26aを出力用GND端子とし、電極パッド26bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板20aはSi基板、絶縁層20bはSiO2膜であり、層間絶縁層20cおよび封止絶縁層20dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド26a,26b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図8に示す。外部磁界と出力電圧の最大値が幅広い磁界範囲でほぼ直線的に対応する関係となった。よって、オシロスコープの代わりにピークホールド回路に接続して出力電圧の最大値を取り出すようにしても、幅広い磁界範囲で外部磁界の検出が可能である。
【0033】
図9に示す直交フラックスゲートセンサ30を製造した。感磁体31は、幅30μm、長さ500μmの素子をCoNbZrで作製した。検出コイル34は、配線幅8μmにてCuで作製した。電極パッドは、電極パッド33aをパルス用GND端子とし、電極パッド33bをパルス用シグナル端子としてパルス発生回路に接続し、電極パッド36aを出力用GND端子とし、電極パッド36bを出力用シグナル端子としてオシロスコープに接続した。基板30aはSi基板、絶縁層30bはSiO2膜であり、層間絶縁層30cおよび封止絶縁層30dは、ポリイミド(PI)からなる樹脂膜とした。
電極パッド36a,36b間の出力電圧をオシロスコープで測定し、電圧の最大値を求めた。外部磁界による出力電圧の最大値の変化を図10に示す。外部磁界と出力電圧の最大値は、磁界−0.5Oe程度を境にして、それ以下における感度とそれ以上における感度が異符号になった。これは、2箇所の電圧誘起部37a,37bによる誘起電圧が互いに相殺してオフセット電圧が低くなってしまったため、約−0.5Oe以下と約−0.5Oe以上とで、異なるタイミングのピークを検出してしまっているためである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、直交フラックスゲート方式の磁気センサとして、高感度で小型の各種磁気センサに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)〜(c)は本発明におけるピークホールド期間を説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明における出力電圧波形を説明する図である。
【図3】本発明における外部磁界と出力電圧との関係を例示する模式的グラフである。
【図4】(a)および(b)は電流方向と出力電圧波形との関係を説明する図である。
【図5】本発明の直交フラックスゲートセンサの第1形態例を示す(a)平面図および(b)S1−S1線に沿う断面図である。
【図6】図5に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の直交フラックスゲートセンサの第2形態例を示す(a)平面図および(b)S2−S2線に沿う断面図である。
【図8】図7に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図9】本発明の直交フラックスゲートセンサの第3形態例を示す(a)平面図および(b)S3−S3線に沿う断面図である。
【図10】図9に示す直交フラックスゲートセンサの特性の一例を示すグラフである。
【図11】(a)〜(e)は従来例における出力電圧波形を説明する図である。
【図12】従来例における外部磁界と出力電圧との関係を例示する模式的グラフである。
【図13】(a)〜(c)は従来の改善案におけるピークホールド期間を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
10,20,30…直交フラックスゲートセンサ、10a,20a,30a…非磁性基板、10b,20b,30b…下地絶縁層、10c,20c,30c…層間絶縁層、10d,20d,30d…封止絶縁層、11,21,31…感磁体、11a,21a,31a…感磁体の一端、11b,21b,31b…感磁体の他端、12a,12b,22a,22b,32a,32b…接続配線(感磁体−パッド間)、12c…連結導体、13a,13b,23a,23b,33a,33b…電極パッド(電流入力用)、14,24,34…検出コイル、14a,14b,24a,24b,34a,34b…スパイラルコイル、15a,15b,25a,25b,35a,35b…接続配線(コイル−パッド間)、16a,16b,26a,26b,36a,36b…電極パッド(電圧出力用)、17a,17b,27a,27b,37a,37b…電圧誘起部、18a,18b,28a,28b,38a,38b…近接コイル配線部、19c,19d,29c,29d,39c,39d…開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、
前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、
前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、
前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサにおいて、
前記接続配線は、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されていることを特徴とする直交フラックスゲートセンサ。
【請求項2】
外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、
前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、
前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、
前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法において、
前記直交フラックスゲートセンサとして、前記接続配線が、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されているものを用い、
前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成した出力電圧に基づいて外部磁界を検出することを特徴とする直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法。
【請求項3】
前記外部磁界の検出は、前記高周波電流またはパルス電流の立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における前記出力電圧の最大値または最小値から選ばれる代表値に基づいて行われ、
前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成することにより、前記立ち上がりの際の出力電圧のピーク値を前記代表値とすることを特徴とする請求項2に記載の直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法。
【請求項1】
外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、
前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、
前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、
前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサにおいて、
前記接続配線は、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されていることを特徴とする直交フラックスゲートセンサ。
【請求項2】
外部磁界により磁気特性が変化する感磁体と、
前記感磁体に高周波電流またはパルス電流を流すための電極パッドと、
前記感磁体と前記電極パッドとの間を接続する接続配線と、
前記感磁体の周囲または近傍にあって前記感磁体の磁気特性の変化を電圧の変化として誘起する検出コイルとを少なくとも具備した直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法において、
前記直交フラックスゲートセンサとして、前記接続配線が、非磁性の導電体からなり、かつ前記検出コイルが配された領域において前記接続配線に流される高周波電流またはパルス電流により前記検出コイルに電圧を誘起する電圧誘起部を有し、前記電圧誘起部は、前記検出コイルのうち前記電圧誘起部との距離が最も近いコイル配線部分に沿って配されているものを用い、
前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成した出力電圧に基づいて外部磁界を検出することを特徴とする直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法。
【請求項3】
前記外部磁界の検出は、前記高周波電流またはパルス電流の立ち上がりの前から立ち下がりの後までを含む期間内における前記出力電圧の最大値または最小値から選ばれる代表値に基づいて行われ、
前記感磁体により前記検出コイルに誘起された誘起電圧と、前記電圧誘起部により前記検出コイルに誘起された誘起電圧とを合成することにより、前記立ち上がりの際の出力電圧のピーク値を前記代表値とすることを特徴とする請求項2に記載の直交フラックスゲートセンサを用いた外部磁界の検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−257947(P2009−257947A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107737(P2008−107737)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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