説明

直交場成分に基づいて金属障害を検出するシステム及び方法

【課題】医学的手技中に金属障害を検出するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】この装置及び方法は、挿入管、接続部、及び挿入管の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサを有するプローブを含む。接続部センサは、磁気変換器である第1及び第2のサブアセンブリを有する。プロセッサは、接続部センサを用いて力を測定するために用いられ、内部には閾値の場の値が保たれている。プロセッサは、感知された場の値を閾値の場の値と比較し、感知された場の値が閾値の場の値よりも大きいとき、金属が存在すると識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の身体に適用されるカテーテル等のプローブにおける接続部の変位を感知することができる侵襲性医療機器、より具体的には、カテーテルの近傍のどこかに位置する金属物体の存在を検出することができるこのようなカテーテル等を用いるシステム及び方法、並びにこのような金属物体の存在を明らかにし及び/又は補正するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の診断及び治療技術では、カテーテルを心臓の内腔に挿入し、内心臓壁に接触させる。このような手技では、確実に良好に接触させるのに十分な圧力で、カテーテルの遠位先端が心内膜に係合することが一般に重要である。しかしながら、過剰な圧力は、心臓組織に望ましくない損傷、及び更には心臓壁の穿孔を生じさせる場合さえある。
【0003】
例えば、心内高周波(RF)焼灼法では、その遠位先端に電極を有するカテーテルが、患者の血管系を通して心臓の内腔に挿入される。電極を心内膜上の部位(又は複数の部位)に接触させ、その部位で心臓組織を焼灼するために、RFエネルギーをカテーテルを通して電極に印加する。焼灼中に電極と心内膜とが適切に接触することは、組織に過剰な損傷を与えることなく、所望の治療効果を達成するために必要である。
【0004】
多数の特許公報に、組織接触を感知する一体型圧力センサを備えるカテーテルが記載されている。一例として、その開示が本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願公開第2007/0100332号には、組織焼灼のための電極−組織接触を評価するシステム及び方法が記載されている。カテーテルシャフト内の電気機械的センサは、カテーテルシャフトの遠位部内における、電極の移動の量に対応する電気信号を発生させる。出力装置は、電極と組織との間の接触レベルを評価するための電気信号を受容する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日まで、患者の体内で用いられる医療機器の正確な位置情報を決定し及び力測定を行うことができると同時に、力の読み取り/測定及び/又は位置情報を明らかにし、補正する能力を有する装置の近傍に位置する金属物体による金属干渉によって引き起こされる場のひずみを検出することができるシステム及び方法は、先行技術に存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、挿入管の遠位末端に配置され、かつ身体の組織と接触するように構成される遠位先端とを備えるプローブを備える、医学的手技中に金属障害を検出するための装置を目的とする。遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部は、挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサと併用される。接続部センサは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える第1及び第2のサブアセンブリを含む。
【0007】
装置はまた、接続部センサを用いて力測定値を測定し、内部に閾値の場の値が保たれているプロセッサを備え、プロセッサは、第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるよう連結される。プロセッサは、挿入管の遠位末端に対する遠位端の位置変化を検出するように、少なくとも1つの磁場に応答して第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結され、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定する。
【0008】
プロセッサは、感知された場の値を閾値の場の値と比較し、感知された場の値が閾値の場の値よりも小さいとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する。多くの場合、感知された場の値は、軸方向の場に基づく。
【0009】
本発明はまた、長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、挿入管の遠位末端に配置され、かつ身体の組織と接触するように構成される遠位先端と、遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部と、挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサとを備えるプローブを提供する工程を含む、患者の身体で実施される医学的手技中に金属障害を検出する方法を目的とする。接続部センサは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える第1及び第2のサブアセンブリを含む。
【0010】
プロセッサは、接続部センサを用いて力測定値を測定するために用いられ、内部に閾値の場の値を有する。第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させ、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方において少なくとも1つの磁場を受信し、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方によって1つ又は2つ以上の信号が少なくとも1つの磁場に応答して出力され、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定する。
【0011】
挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置変化が検出され、プロセッサは、感知された場の値を閾値の場の値と比較し、感知された場の値が閾値の場の値よりも小さいとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する。多くの場合、感知された場の値は、軸方向の場に基づく。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、挿入管の遠位末端に配置され、かつ身体の組織と接触するように構成される遠位先端とを含むプローブを備える、医学的手技中に金属障害を検出するための装置を目的とする。プローブはまた、遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部、及び挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサを有する。接続部センサは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える第1及び第2のサブアセンブリを含む。
【0013】
プロセッサは、接続部センサを用いて力測定値を測定するために用いられ、内部に予め定められたベースライン値が保たれており、第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるよう連結される。
【0014】
プロセッサは、挿入管の遠位末端に対する遠位端の位置変化を検出するように、少なくとも1つの磁場に応答して第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結される。
【0015】
磁気変換器は、コイルを含み、第1のサブアセンブリは、挿入管の長手方向の軸に対して平行な第1のコイル軸を有する第1のコイルを含み、第2のサブアセンブリは、第1のサブアセンブリから軸方向に離間しているプローブのセクション内において、異なるそれぞれの半径方向位置にある2つ又は3つ以上の他のコイルを含む。
【0016】
プロセッサは、第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの1つのコイルに電流を印加し、第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りにより出力される信号を測定する。第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りにより出力される信号は、ピックアップ値を規定し、プロセッサは、ピックアップ値と予め定められたベースライン値とを比較し、ピックアップ値が予め定められたベースライン値の範囲外であるとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する。多くの場合、ピックアップ値は、第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りから測定された相互インダクタンスに基づく。
【0017】
本発明はまた、長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、挿入管の遠位末端に配置され、かつ身体の組織と接触するように構成される遠位先端と、遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部と、挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサとを備えるプローブを提供する工程を含む、患者の身体で実施される医学的手技中に金属障害を検出する方法を目的とする。
【0018】
接続部センサは、第1及び第2のサブアセンブリを含み、これらは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備え、プロセッサは、接続部センサを用いて力測定値を測定する。プロセッサは、内部に予め定められたベースライン値が保たれており、第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるように連結され、また挿入管の遠位末端に対する遠位端の位置変化を検出できるように、少なくとも1つの磁場に応答して、第1及び第2のサブアセンブリのうち他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結される。
【0019】
磁気変換器は、コイルを含み、第1のサブアセンブリは、挿入管の長手方向の軸に対して平行な第1のコイル軸を有する第1のコイルを含み、第2のサブアセンブリは、第1のサブアセンブリから軸方向に離間しているプローブのセクション内において、異なるそれぞれの半径方向位置にある2つ又は3つ以上の他のコイルを含む。
【0020】
次いで、第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの1つのコイルに電流を印加し、第2のサブアセンブリのうちの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りによって信号を測定し、第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りにより出力される信号が、ピックアップ値を規定する。次いで、ピックアップ値を予定められたベースライン値と比較し、ピックアップ値が予め定められたベースライン値の範囲外であるとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在することが識別される。多くの場合、ピックアップ値を測定するための第2のサブアセンブリの2つ又は3つ以上の他のコイルのうちの残りから相互インダクタンスが測定される。
【0021】
本発明による更に別の実施形態では、本発明は、長手方向軸を有しかつ遠位末端及び遠位先端を有する挿入管を含み、挿入管の遠位末端に配置され、身体の組織と接触するように構成されるプローブを含む医学的手技中の金属障害を検出するための装置を目的とする。また、プローブは、遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部、及び挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサを含む。接続部センサは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える第1及び第2のサブアセンブリを含む。
【0022】
プロセッサは、接続部センサを用いて力測定値を測定するために用いられ、その内部に閾値の場の値を有する。プロセッサは、第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるように連結され、また挿入管の遠位末端に対する遠位端の位置変化を検出できるように、少なくとも1つの磁場に応答して、第1及び第2のサブアセンブリのうち他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結され、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号が感知された場の値を規定する。プロセッサは、感知された場の値を閾値の場の値と比較し、感知された場の値が閾値の場の値よりも大きいとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する。多くの場合、感知された場の値は、半径方向又は直交方向の場に基づく。
【0023】
本発明はまた、長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、挿入管の遠位末端に配置され、かつ身体の組織と接触するように構成される遠位先端と、遠位先端を挿入管の遠位末端に連結する接続部と、挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサとを備えるプローブを提供する工程を含む、患者の身体で実施される医学的手技中に金属障害を検出する方法を目的とする。
【0024】
接続部センサは、接続部の対向するそれぞれの側においてプローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える第1及び第2のサブアセンブリを含む。プロセッサは、接続部センサを用いて力測定値を測定するために用いられ、内部に閾値の場の値を有する。
【0025】
ここで、第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、サブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させる少なくとも1つの磁場は、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方で受信され、少なくとも1つの磁場に応答して第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号が出力され、第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定する。
【0026】
挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置変化が検出され、感知された場の値が閾値の場の値と比較され、感知された場の値が閾値の場の値よりも大きいとき、プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別される。多くの場合、感知された場の値は、半径方向又は直交方向の場に基づく。
【0027】
本発明は、以下の実施形態の詳細な説明を、それら図面と総合すれば、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態によるカテーテル系医療システムの概略図。
【図2】本発明の実施形態による心内膜組織と接触したカテーテル遠位先端の概略詳細図を示す。
【図3】本発明の実施形態によるカテーテル遠位末端の概略断面図を示す。
【図4】金属物体の存在下で、本発明の別の実施形態によるカテーテルの遠位末端の詳細を示す概略断面図。
【図5】本発明の実施形態による図1のカテーテル系医療システム、並びに図2、3及び4のカテーテルを用いて、図4の金属物体の存在を検出する方法の概略フローチャート。
【図6】本発明の代替実施形態による図1のカテーテル系医療システム、並びに図2、3及び4のカテーテルを用いて、図4の金属物体の存在を検出する方法の代替実施形態の概略フローチャート。
【図7】本発明の別の代替実施形態による図1のカテーテル系医療システム、並びに図2、3、及び4のカテーテルを用いて、図4の金属物体の存在を検出する方法の別の代替実施形態の概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願は、本特許出願の出願人に譲渡され、また両方の参照文献の開示が参照することにより本明細書に組み込まれる同一出願人による係属中の米国特許出願第11/868,733号(2007年10月8日出願)、及び米国特許出願第12/327,226号(2008年12月3日出願)の技術開示を用いる。したがって、類似又は同様の機構は米国特許出願第12/327,226号と同じ符番を用いて識別される。
【0030】
上述の米国特許出願第11/868,733号は、バネ仕掛けの接続部によって遠位先端がカテーテル挿入管の遠位末端に連結されたカテーテルを開示しており、バネ仕掛けの接続部は、遠位末端が組織に係合したときに加えられる圧力に応答して変形する。接続部の両側にコイルを含む、プローブ内の磁気位置感知アセンブリは、挿入管の遠位末端に対する遠位先端の位置を感知する。この相対位置の変化は、バネの変形の指標となり、ひいては圧力の指標となる。
【0031】
以下の本明細書に記載される本発明の実施形態は、先端の動きのより正確な測定を促進し、最終的にカテーテルの近傍の金属物体の検出を促進する、米国特許出願第12/327,226号の感知アセンブリの新規設計を利用する。この設計におけるコイルの構成によって、カテーテル先端と挿入管とを連結する接続部の非常に小さな偏向、及び圧縮を正確に感知することが可能になる。したがって、高精度で先端に加えられる圧力を測定することができるので、比較的剛性のバネをカテーテル内で使用することが可能になり、それがカテーテルの信頼性を高め、体内での操縦をより容易にする。更に、カテーテルにおけるこれらコイルの動作によって、カテーテル近傍のいずれに位置する金属物体も検出することが可能になる。
【0032】
この開示の後半に更に詳細に記載されている本発明による好ましい実施形態は、カテーテル近傍のいずれに位置する金属物体の存在も検出でき、かつこのような金属物体の存在を明らかにし及び/又は補正することができるシステム及びこのようなカテーテルを使用する方法を目的とする。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による心臓カテーテル法のためのシステム20の概略図である。システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)により生産されたCARTO(商標)システムを基にしたものであってよい。このシステムは、カテーテル28の形態の侵襲性プローブ及び制御コンソール34を含む。以後記載する実施形態では、カテーテル28は、当該技術分野において公知であるように、心内膜組織の焼灼に用いられるものとみなす。あるいは、このカテーテルは、必要な変更を加えて、心臓又は体内の他の臓器の治療的及び/又は診断的目的で使用してよい。
【0034】
心臓専門医などの操作者26は、カテーテルの遠位末端30が患者の心臓22の心腔内に入るように患者24の血管系を通してカテーテル28を挿入する。操作者は、カテーテルの遠位先端が所望の位置又は複数位置にて心内膜組織と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル28は、典型的に、その近位末端において適切なコネクタによってコンソール34に接続される。コンソールは、高周波(RF)発生器を備えていてよく、この高周波発生器は、遠位末端に係合する位置において、カテーテルを介して心臓内の組織を焼灼するための高周波電気エネルギーを供給する。あるいは又は加えて、カテーテル及びシステムは、当技術分野で周知である他の治療的及び診断的手技を実行するように構成されてよい。
【0035】
コンソール34は、磁気位置検知を使用して、心臓22の内側のカテーテル28の遠位末端30の位置座標を決定する。この目的のために、コンソール34内の駆動回路38は、場発生器32を駆動して、患者24の身体付近に磁場を発生させる。典型的に、場発生器は、コイルを備え、コイルは患者の体外の既知の位置において患者胴体下方に設置される。これらコイルは、心臓22を含む所定の可動範囲で体内に磁場を発生させる。カテーテル28の遠位末端30内の磁場センサ(図3に示す)が、これらの磁場に応答して電気信号を発生させる。信号プロセッサ36は、典型的に、ロケーション及び姿勢座標の両方を含む遠位末端の位置座標を決定するために、これら信号を処理する。この位置感知方法は、上述のCARTOシステムで実行され、その開示がすべて参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際特許公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されている。
【0036】
プロセッサ36は、典型的に、カテーテル28から信号を受信し、コンソール34の他のコンポーネントを制御するための好適なフロントエンド回路及びインターフェイス回路を備える汎用コンピュータを含む。プロセッサは、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムすることができる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形態でコンソール34にダウンロードされてもよく、又は光学、磁気若しくは電子記憶媒体等の有形媒体で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ36の機能の一部又はすべては、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェアコンポーネントにより実行してよい。カテーテル及びシステム20の他のコンポーネントから受信した信号に基づき、プロセッサ36は、患者の体内での遠位末端30の位置及びカテーテルの遠位末端の変位に関する視覚的フィードバック、並びに進行中の手技に関する状況情報及びガイダンスを操作者26に与えるために、ディスプレイ42を駆動する。
【0037】
あるいは又は加えて、システム20は、患者24の体内でカテーテル28を操縦及び操作するための自動化機構を備えてよい。このような機構は、典型的に、カテーテルの遠位末端の長手方向の動き(前進/後退)、及び横方向の動き(偏向/操舵)の双方を制御することが可能である。この種の機構のいくつかは、例えば、この目的のためにDC磁場を使用する。このような実施形態では、プロセッサ36は、カテーテル内の磁場センサにより提供される信号に基づいて、カテーテルの動きを制御するための制御入力を作成する。これらの信号は、カテーテルの遠位末端の位置及び以下で更に記述される遠位末端に加えられる力の両方の指標となる。
【0038】
図2は、心臓22の内腔の概略断面図であり、本発明の実施形態による心臓内のカテーテル28の遠位末端30を示す。このカテーテルは、典型的に大静脈又は大動脈等の血管を通して経皮的に心臓に挿入される挿入管50を備える。このカテーテルの遠位先端52の電極56が、心内膜組織58に係合する。心内膜に接触している遠位先端により加えられる圧力が心内膜組織を局所的に変形させ、その結果電極56は、比較的大きな面積にわたって組織と接触する。図示した例では、電極は、真正面ではなく、角度をなして心内膜と係合している。したがって、遠位先端52は、カテーテルの挿入管50の遠位末端に対して弾性接続部54の部分で屈曲する。この屈曲は、電極と心内膜組織との間の最適な接触を促進する。
【0039】
接続部54の弾力的な性質のため、接続部の屈曲角度及び軸方向変位は、組織58によって遠位先端52に対して加えられる圧力(又は遠位先端によって組織に対して加えられる圧力と同等である)に比例する。このように、屈曲角度及び軸方向変位の測定値は圧力の指標となる。この圧力の指標は、確実に、所望の治療的又は診断的結果を得るのに十分な程度堅固であるが、望ましくない組織損傷を引き起こすほどは強くなく、遠位先端が心内膜を押圧するためにカテーテル20の操作者により使われることができる。
【0040】
図3は、本発明の実施形態によるカテーテルの構造の詳細を示すカテーテル28の遠位末端30の概略断面図である。上述したように、挿入管50は接続部54により遠位先端52に接続される。挿入管は、例えば、Celcon(登録商標)、Teflon(登録商標)又は耐熱性ポリウレタンなどの可撓性絶縁物質62で被覆される。接続部54の領域も同様に可撓性絶縁物質で被覆され、可撓性絶縁物質は、可撓性絶縁物質62と同じであってもよく、又は接続部のスムーズな屈曲と圧縮を可能にするために特別に構成されてもよい(カテーテルの内部構造を露出させるために、図3ではこの物質は切り取られている)。遠位先端52は、典型的に白金/イリジウム合金のような導電性物質により作製される電極56によって少なくとも部分的に被覆されてよい。あるいは、当業者に明らかであるような他の適切な物質を使用してよい。更にもう1つの方法として、一部の用途では、電極で被覆されていない遠位先端を作製する場合もある。遠位先端は、典型的に、可撓性挿入管と比べて比較的剛性である。
【0041】
接続部54は、弾性連結部材60を含む。この実施形態では、連結用部材は、その長さの一部に沿って螺旋形の切込みを有する弾性材の管状部品の形態を有する。例えば、連結用部材は、ニッケル・チタニウム(ニチノール)等の超弾性合金を含んでよい。螺旋形の切込みは、遠位先端52に加えられる力に応答して、管状部品をバネのように挙動させる。この種の連結用部材の更なる製作及び特徴に関する更なる詳細は、本特許出願の出願人に譲渡され、その開示が参照することにより本明細書に組み込まれる、2008年6月6日に出願された米国特許出願第12/134,592号に示される。あるいは、連結用部材は、所望の可撓性及び強度特性を持つコイルバネ又は任意の他の好適な種類の弾性コンポーネントを含んでよい。
【0042】
連結用部材60の剛性は、遠位先端に加えられる力に応答して先端52と挿入管50との間の相対的な動きの範囲を決定する。焼灼手技中に遠位先端が心内膜に対して押し付けられるとき、このような力が引き起こされる。焼灼中、遠位先端と心内膜と間を良好に電気的接触させるために望ましい圧力は、約20〜30グラムである。この連結用部材は、軸方向変位(即ち、カテーテル28の軸に沿った側方運動)及び先端への圧力に比例する遠位先端の角偏向を可能にするように構成される。プロセッサ36による変位及び偏向の測定は、圧力の指標を与え、ひいては焼灼中に確実に正確な圧力を印加するのに役立つ。
【0043】
カテーテル28内のコイル64、66、68及び70を含む接続部感知アセンブリは、軸方向変位及び角偏向を含む、挿入管50の遠位末端に対する遠位先端52の位置の正確な読み取りを提供する。これらコイルは、本発明の実施形態で用いることができる磁気変換器の一種である。本願及び特許請求の範囲の状況で「磁気変換器」は、印加された電流に応答して磁場を発生させる装置、及び/又は印加された磁場に応答して電気信号を出力する装置を意味する。本明細書に記載される実施形態ではコイルを磁気変換器として使用するが、別の実施形態では、当業者にとっては自明であるように、他の種類の磁気変換器を用いてもよい。
【0044】
カテーテル28内のコイルは、接続部54の両側に存在する2つのサブアセンブリに分けられ、1つのサブアセンブリは、ケーブル74を介してコンソール34からの電流により駆動されて磁場を発生させるコイル64を含む。この磁場は、コイル64から軸方向に離間するカテーテルのセクションに位置するコイル66、68及び70を含む第2のサブアセンブリに受信される。(本願及び特許請求の範囲の状況で用いられる「軸方向」という用語は、カテーテル28の遠位末端30の長手方向軸の方向を指し、図3におけるZ−方向と同一である。)軸平面とは、この長手方向の軸に対して垂直な平面であり、軸方向セクションとは、2つの軸平面間に含まれるカテーテルの一部分である。コイル66、68及び70は、コイル64が発生させる磁場に応答して電気信号を発する。これらの信号は、ケーブル74によってプロセッサ36に伝達され、プロセッサ36は、接続部54の軸変位及び角偏向を測定するために信号を処理する。
【0045】
コイル66、68及び70は、カテーテル28内の異なる半径方向位置に固定されている(「半径方向」という用語は、カテーテルの軸に対する座標、即ち、図3のX−Y平面中の座標を意味する)。具体的には、この実施形態では、コイル66、68及び70のすべてが、カテーテルの軸に関して異なる方位角で同一の軸平面中に位置する。例えば、これら3つのコイルは軸から同一の半径方向距離だけ離れて、方位角的に120度の間隔をあけて配置されることができる。
【0046】
コイル64、66、68及び70の軸は、カテーテルの軸に対して平行である(そして、接続部54が偏向していない限り互いに平行である)。したがって、コイル66、68及び70は、コイル64が発生させた場に応答して強力な信号を出力し、この信号は、コイル66、68及び70のコイル64からの距離に強く依存して変化する。(あるいは、実質的な信号を与えるためにコイル軸が十分な平行成分を有している限り、コイル64及び/又はコイル66、68及び70の軸はカテーテル軸に対して角度をなしていてもよい)。先端52の角偏向は、偏向の方向及び強度に依存して、コイル66、68及び70による信号に微分変化を生じさせる。その理由は、これらのコイルのうち1つ又は2つ以上が、コイル64に対して相対的に接近するためである。先端の圧縮変位は、コイル66、68及び70のすべてからの信号を増加させる。
【0047】
プロセッサ36は、接続部54の偏向及び変位を測定するために、コイル66、68及び70による信号を解析する。信号の変化の合計から圧縮の測定値が得られ、一方、変化の差から偏向が得られる。差のベクトルの方向が、屈曲方向の指標を与える。接続部の偏向及び変位に対する信号の正確な依存度を測定するために、適切な較正手順を用いてよい。
【0048】
上述され、図示された構成に加えて、感知サブアセンブリにおいて、他の様々なコイル構成を用いてもよい。例えば、磁場発生器コイルが接続部54の近位側に位置し、センサコイルが遠位先端に位置するように、サブアセンブリの位置を逆にしてよい。別の代替法として、コイル64がセンサとして機能しながら、コイル66、68及び70を磁場発生器として駆動させてよい(場を区別するために時分割多重化及び/又は周波数分割多重化を用いて)。図3のコイルの大きさ及び数はほんの一例であり、接続部の偏向の示差測定を可能にするために、サブアセンブリの1つが異なる半径方向位置に少なくとも2つのコイルを備える限り、種々の異なる位置に、より多数の又はより少数のコイルを同様に用いてもよい。
【0049】
先端52に対する圧力と接続部54の動きとの関係の事前較正は、コイル信号の圧力換算においてプロセッサ36を用いることができる。変位及び偏向を組み合わせて感知するので、電極が心内膜と真正面から係合しているか角度をなして係合しているかに関わらず、この圧力感知システムは圧力を正確に読み取る。例えば、圧電性センサとは異なり、圧力の読み取りは、温度変化に反応せず、またドリフトがない。図3に示されるコイル64、66、68及び70の配置により提供される接続部の動きに対する感度が高いので、プロセッサ36は、小さな変位及び偏向を高精度で測定することができる。したがって、連結部材60は、比較的剛性に作製してよく、プロセッサ36は、更に、先端52における圧力を正確に感知し、測定することができる。連結部材が剛性であることによって、操作者がカテーテルを操縦及び制御することがより容易になる。
【0050】
コイル64、66、68及び70のうちの1つ又は2つ以上はまた、磁場発生器32が発生させる磁場に応答して信号を出力するために使用することもでき、したがって位置感知コイルとしても機能する。プロセッサ36は、磁場発生器により規定される外部基準系で遠位末端30の座標(位置及び姿勢)を測定するためにこれら信号を処理する。加えて又はあるいは、図4に最もよく示されているように、1つ又は2つ以上の更なるコイル72及び73(又は他の磁気センサ)をこの目的のためにカテーテルの遠位末端に配置してもよい。カテーテル28の遠位末端30の位置感知コイルは、先端52の圧力に加えて、コンソール34が体内のカテーテルの位置及び姿勢並びに先端52の変位及び偏向を出力することを可能にする。
【0051】
磁気位置感知アセンブリの操作及びその圧力感知における使用は、カテーテルに基づく焼灼の状況で上述されたが、本発明の原理は、接続部の動きの正確な感知が要求される他の用途、特に体内の心臓及び他の臓器の両方で侵襲的プローブを用いる治療的及び診断的な用途にも同様に応用されることができる。一例として、システム20において実行される位置及び圧力感知のための装置及び技術は、必要な変更を施して、カテーテル挿入シース使用の誘導と制御に応用することができる。もしシースの位置が適切に制御されずに、その挿入において過剰な力が用いられると、シースが心臓壁又は血管組織を穿孔する可能性がある。この不測の事態は、シースの遠位先端の位置及びそこにかかる圧力を感知することにより防止できる。これに関して、本明細書において使用される「遠位先端」という用語は、プローブ本体に対して屈曲及び/又は変位することができる、プローブの遠位末端における任意の種類の構造を含むことを理解すべきである。
【0052】
上記技術の1つの問題点は、図4に最もよく示されているように、カテーテル28の遠位末端、及びコイル64、66、68、70、72に近接して位置する強磁性物質(金属物質)80の存在である。このような物質は、磁場にひずみを生じさせて、力の読み取りを変化させる恐れがある。このひずみは、力の生データのみを見ても識別することができない。その理由は、このデータが有効であり、正当な力の読み取りとして作用する、即ち(ひずんでいても)接続部54における接触力センサ(コイル)からの任意の3つの読み取り値が、関連する力に直接マッピングされるためである。図4に示すように、別の金属含有装置80が遠位先端52及び接続部54にごく近接してきたとき、干渉が顕著である。
【0053】
この現象は、シャフト近接干渉(SPI)と呼ばれる。本発明は、正当な力の読み取りとSPIによって引き起こされる力の読み取りとを区別することを可能にする機構を提供する新規装置及び方法に関する。
【0054】
図4に最もよく示されているように、カテーテル先端52におけるコイル64、66、68、70、72及び73の配置によって、カテーテルの屈曲角及びカテーテル先端52が経験する接触力の高感度測定が可能になる。この配置は、挿入管50の遠位末端に対する遠位先端52の位置/ロケーション(X、Y、及びZ軸方向、並びにヨー、ピッチ及びロール姿勢における位置及び姿勢座標情報の形態で)の正確な読み取りを提供する、コイル64、66、68、70、72及び73を含む接続部感知アセンブリとして機能する。伝達コイル64は、ケーブル74を介してコンソール34からの電流によって駆動されて、軸方向(図3及び4のZ軸)に磁場を発生させる。この場は、コイル64が発生させる磁場に応答してこれらコイルが電気信号を発するように、異なる半径方向位置に固定されたコイル66、68及び70に受信される。信号は、ケーブル74によってプロセッサ36(図1)に伝えられ、プロセッサ36は、信号を用いて接続部54の軸方向変位及び角偏向を測定する。
【0055】
上記コイルのうちの1つ又は2つ以上、並びにX及びY方向に配向された更なるコイル(コイル72及び73等)は、典型的に、外部の場発生器が発生させる磁場に応答して信号を出力するために用いられ、カテーテル先端の位置感知コイルとしても機能する。
【0056】
この種の磁場の位置及び力測定システム20では、最終的に力情報又はSPIの誤った測定/読み取りを導く不正確な信号をコイル66、68、70、72及び73が出力するのを避けるために、特にカテーテル30の遠位末端近傍の磁場内に位置する金属物体によって引き起こされる場のひずみを検出することが重要である。SPIのこの問題は、本開示全体に詳述される本発明の実施形態のすべて、例えば、図4、図5、図6及び図7の実施形態により解決される。
【0057】
したがって、金属物体80が遠位先端52に近接するとき、金属物体80は、伝達コイル64が発生させる磁場をひずませ、結果として、変位及び偏向の測定にエラーを引き起こす恐れがある。金属物体80(この実施例では、別のカテーテル80)が先端52に近接しているこのSPIの状況を図4に示す。力の不正確な読み取りの出力を避けるために、場のひずみを検出することが重要である。
【0058】
先端52近傍の金属物体80の寄生効果は、コイル66、68及び70によって感知される軸方向の場を急激に減少させる。この減少は、先端からの金属物体の距離に非常に強く依存する。金属物体が先端に非常に近接しているとき、コイル66、68及び70から受信される信号は、「負の力」の指標となる。即ち、先端52が挿入管50から離れる方向に引っ張られているかのように、接続部54の静止位置のコイルから受信される信号よりも低い。この状況に実際に遭遇する可能性は低い。ひいては、カテーテル30の先端52近傍の金属物体80の存在の正確な予測を構成する。
【0059】
したがって、図5に概略的に示されているように、本発明による方法は、既に記載されているようにコイル66、68及び70による強い信号に基づいて、カテーテル30が(遠位末端52及び接続部54における軸方向変位又は角偏向のない)静止位置にある間に、システム20(図1)のための閾値の場の値を定めるものである。閾値の場の値又は強度は、工程100として設定される。この閾値の場の値の工程100は、システム20の較正の一部として行われ、即ち患者24でカテーテル30を使用する前に、閾値の場の値100は、システム20のプロセッサ36のソフトウェアに保存される。
【0060】
一旦閾値の場の値が100で設定されると、システム20の使用準備が整い、工程105において、上記のように、磁場発生器コイル64(図3及び4)が磁場を発生させる。この発生した磁場105は、それぞれのコイルがコイル64からの磁場の強度に基づいて工程110で信号を提供するコイル66、68及び70によって感知される。
【0061】
工程115では、プロセッサ36(図1)は、コイル66、68及び70によって感知された磁場105を閾値の場の値100と比較する(コイル66、68及び70による信号に基づいて)。プロセッサ36のソフトウェアにおけるロジックプログラムは、感知された磁場の値100を閾値の場の値100と比較する。閾値の場の値100に対して、感知された磁場の値110が閾値の場の値100以上である場合、システム20は、通常の動作条件下で動作し続けて、周期的に繰り返されるすべての工程105、110、115を用いて磁場発生器コイル64において磁場105を連続的に発生させることを含む通常の動作サイクルを続ける。
【0062】
しかし、本発明によれば、工程115では、コイル66、68及び70が予め定められた閾値の場の値100よりも小さい信号を提供することが原因で、感知された磁場の値110が閾値の場の値100よりも小さい場合、プロセッサ36はSPI、即ち工程120で金属80(図4)の存在によって影響を受けている力測定値を識別する。
【0063】
次いで、プロセッサ36は、工程125で、実際にSPIが存在し、かつ(発生器コイル64からの磁場の障害が原因で)力測定値の読み取りが無効であると判定する。SPIが原因でこの種の場の障害が検出されるとき、プロセッサ36は、ディスプレイ42上に位置座標情報が疑わしいと表示する。工程125は、所望により、例えば、ディスプレイ42上の電気解剖学的マップにリアルタイムで表示される可視表示若しくはしるし、並びに可聴警告若しくはアラーム、及び/又は操作者26に異なる触知性フィードバックを含み、工程105、110、115は周期的に繰り返される。
【0064】
上述の通り、この閾値の場の値は、典型的に、カテーテル先端52に対するゼロの力に一致するように選択され(較正及び/又は開始手順の一部として工程100で定められる)、その結果、工程115における閾値下の読み取り値が負の力に一致し、先端52近傍の金属80の存在が原因である金属干渉として自動的に識別される。
【0065】
更に、コイル64は、通常、近傍の場においては(Z軸に沿った)軸方向の場の成分のみを発生させるが、遠位末端及び/又は先端52近傍の金属物体80(図4)の寄生効果は、典型的に、コイル64の駆動周波数において半径方向(X及び/又はY軸)成分を発生させる。これら寄生直交場成分(この例におけるX軸及びY軸成分)の振幅は、カテーテル30の遠位末端からの金属物体80の距離に強く依存する。したがって、金属物体が遠位末端に近接しているとき、コイル64の駆動周波数においてコイル72、73から受信される信号が増加し、その結果SPIが生じる。
【0066】
したがって、金属物体80がカテーテル30の遠位末端近傍に存在するとき、図6に最もよく示されているように、本発明の別の代替実施形態を用いて金属物体80の存在を検出し、SPIを明らかにし、SPIが原因で歪む又は誤る恐れのある力の読み取り及び測定値を補正する。
【0067】
本発明の更なる実施形態によれば、図4及び図6に最もよく示されているように、真の力測定値とSPIが原因でひずんだ測定値とを区別するために、本発明は、X及びYコイル(図4では、それぞれコイル72及び73)を利用する。X及びYコイル(72及び73)は、磁気位置/ロケーション情報測定のために用いられるが、コイル66、68及び70(以下のアルゴリズム及び計算の目的でコイルS1、S2及びS3と呼ばれる場合もある)よりも低感度ではあるが力の信号も受信する。
【0068】
すべての5つの測定(コイルS1−S2−S3及びX−Yから)は、力ベクトルに対して直線的な関係を有する。したがって、コイル66−68−70及びコイル72−73からのS1−S2−S3読み取りとX−Y読み取りとの間には、それぞれ直線関係が存在する。X−Yコイル(72、73)とS1−S2−S3コイル(66、68、70)との姿勢関係が異なるため、強磁性物質80によって引き起こされる磁場のひずみは、S1−S2−S3コイル(66、68、70)とは対照的にX−Yコイル(72、73)において異なるひずみを引き起こすので、S1−S2−S3信号読み取りとX−Y信号読み取りとの間の関係は、測定可能な法則で変化する。この効果は、本発明が、有効な力測定値とひずんだ力測定値とを区別することを可能にする。
【0069】
有効な力に関係するS1−S2−S3読み取り(コイル66、68、70)とX−Y読み取り(72、73)との規則的な相関は、以下の直線関係によって表すことができる:
【数1】

【0070】
SPI−力ひずみ測定パラメータは、予測されるX−Y測定値と本発明のアルゴリズムに従って測定されたX−Yとの差に基づく。
【数2】

【0071】
図6に最もよく示されているように、本発明のこの代替実施形態による方法は、SPIを解決するために、既に上に記載されているように、コイル66、68及び70による強い信号(並びにコイル72、73からのベースライン信号)に基づいて、カテーテルが(先端52及び接続部54を含む)遠位末端において(軸方向変位又は角偏向のない)静止位置にある間に、システム20の閾値の場の値100を定めるためのものである。閾値の場の値又は強度は、システム200では工程100aで設定される。この閾値の場の値の工程100aは、システム20の較正の一部として行われ、即ち患者24でカテーテル30を使用する前に、閾値の場の値100aは、システム20のプロセッサ36のソフトウェアに保存される。
【0072】
一旦閾値の場の値が100aで設定されると、システム20の使用準備が整い、工程105において、上記のように、磁場発生器コイル64(図3及び4)が磁場を発生させる。この発生した磁場105は、それぞれのコイルが伝達コイル64からの磁場の強度に基づいて工程110で信号を提供するコイル66、68及び70並びにコイル72、73によって感知される。
【0073】
工程115aでは、プロセッサ36(図1)は、コイル66、68及び70によって感知される磁場105を、閾値の場の値100aと比較する(コイル66、68及び70による信号に基づいて)。プロセッサ36のソフトウェアにおけるロジックプログラムは、既に記載されたアルゴリズムアドレスを用いて、感知された磁場の値110を閾値の場の値100aと比較する。感知された磁場の値110が閾値の場の値100aよりも小さい場合、システム20は、通常の動作条件下で動作し続けて、周期的に繰り返されるすべての工程105、110、115を用いて磁場発生器コイル64において磁場105を連続的に発生させることを含む通常の動作サイクルを続ける。
【0074】
しかし、工程115aでは、コイル72又はコイル73、即ち対応するY方向コイル及び/又はX方向コイルが、コイル64の駆動周波数において所定の閾値100a超である、即ち100aよりも大きい出力を提供するとき、プロセッサ36は、カテーテル30の遠位末端近傍に位置する装置80(図4)等の金属成分を有する別の装置によって引き起こされている恐れがある磁気干渉が存在することを測定し、識別する。
【0075】
コイル64は、通常、近傍の場においてZ軸に沿った軸方向の場の成分のみを発生させるので、カテーテル30の遠位末端近傍の金属物体80の寄生効果は、典型的に、コイル64の駆動周波数においてX及び/又はY軸に沿った半径方向場の成分を発生させる。これら寄生直交又は半径方向場の成分の振幅は、カテーテル30の遠位末端からの金属物体80の距離に強く依存する。したがって、金属物体80がカテーテル30に近接しているとき、伝達コイル64の駆動周波数において、X軸コイル及びY軸コイル(例えばこの例において位置感知コイルと命名されるコイル68及び70並びにコイル72)、並びにコイル72及び73から受信される信号は、(較正プロセスから受信される予測される変化に対して)非継続的に増加する。
【0076】
したがって、本発明によれば、工程115aにおいて、コイル66、68、70及び72、73が予め定められた閾値の場の値100aより大きい信号を提供することが原因で、感知される磁場の値110が閾値の場の値100aよりも大きい場合、工程120において、プロセッサ36は、金属80が存在し、かつ工程125において金属80(図4)の存在によって影響を受ける位置座標であるので、この例ではコイル72等の磁気位置センサと呼ばれるコイルから受信される位置信号に基づいて決定される6次元位置及び姿勢座標情報を自動的に識別する。
【0077】
この状況では、プロセッサ36は、工程125において、(発生器コイル64からの磁場の障害が原因で)この力の読み取りが無効であると判定する。この種の場の障害を検出したとき、プロセッサ36は、所望により、位置座標の読み取り/情報を無効にする(又はディスプレイ42上に位置座標情報が疑わしいと少なくとも表示する)。工程125は、所望により、例えば、ディスプレイ42上の電気解剖学的マップにリアルタイムで表示される可視指標若しくはしるし、並びに可聴警告若しくはアラーム、及び/又は操作者26に異なる触知性フィードバックを含み、工程105、110、115aは、金属物体が磁場から除かれるか、又は力測定値の読み取りに対する調整計算を用いて金属物体が明らかになるまで周期的に繰り返される。
【0078】
上述の通り、この閾値の場の値100aは、典型的に、カテーテル先端52においてゼロの力に一致するように選択され(較正及び/又は開始手順の一部として工程100aで定められる)、その結果、工程115aにおいて、X軸方向及びY軸方向の軸方向成分の信号からの閾値上の読み取りが、カテーテル30の遠位末端近傍の金属80の存在が原因である金属干渉として自動的に識別される。
【0079】
あるいは又は加えて、金属80の存在による干渉がそれほど大きくない場合、即ち信号が閾値100aよりも僅かに大きい場合、プロセッサ36は、金属干渉(SPI)を補償するために力の読み取りを補正しようとすることができる。
【0080】
SPIを解決するための本発明の更に別の代替実施形態による別の方法では、先端52近傍等の、カテーテル30の遠位末端近傍の金属物体80の寄生効果が、磁場発生位置追跡システム20(図1〜4)におけるコイル66、68及び70間の相互インダクタンスを変化させる。この相互インダクタンスの変化は、カテーテル30の遠位末端からの金属物体80の距離に強く依存する。
【0081】
したがって、本発明のこの別の実施形態では、図7に最もよく示されているように、システム20(図1)は、カテーテル30のコイル66、68及び70間で検出される相互インダクタンスの初期ベースライン値が、製造時点又は患者24において使用される直前に予め決定されるか又は予め定められ、プロセッサ36のロジックに保たれる方法を提供する。この相互インダクタンスベースライン値は、コイルのうちの1つが、カテーテル30近傍に任意の金属が存在することなくコイルに直接印加された電流を有する、コイル66、68及び70で測定されたインダクタンスの予測される範囲(許容可能な偏差因子+/−を含む)である。したがって、これは、任意の金属物体が存在しない場合の、コイル66、68及び70の相互インダクタンスベースライン値を決定するための較正工程200である。
【0082】
相互インダクタンスコイル66、68及び70は、例えば、これらコイルのうちの1つ、例えばコイル66を通して特定の既知の周波数で電流を印加又は注入し、結果として、他の残りのコイル、例えば隣接するコイル68及び70に含まれる信号を測定することによって測定される。通常の状況下では、即ち較正工程200では、これらピックアップ信号は、不変であるべきである。これらピックアップ信号の変化は、恐らくカテーテル30の遠位末端近傍に位置する金属物体80が原因で、相互インダクタンスが変化したことを示す。
【0083】
したがって、本発明のこの実施形態では、予め決定された周波数における電流は、工程205でコイル66、68及び70のうちの1つ又は2つ以上に周期的に印加又は注入され、他の残りのコイル、即ち非注入コイルにおいて生じるピックアップ信号は、210で測定される。上述のように、ベースラインピックアップ値は、工程200で金属干渉が存在しない条件下で測定され、工程215においてプロセッサ36がピックアップ値(非注入コイルからの測定されたピックアップ信号に基づいて)とベースライン値範囲(金属が存在しない環境において予測される許容可能な偏差因子を含む)とを比較することができるようにプロセッサに予め保たれ、後にピックアップ信号値が許容量(許容可能な範囲)を超えることによってベースライン値から逸脱した場合、プロセッサ36は工程220において判定を行い、SPIを識別する、即ち磁場は、近傍の金属物体80によって妨害されていると判定する。
【0084】
この種の場の障害が検出されたとき、プロセッサ36は、工程225において、典型的に、コイル66、68及び70によって行われた力の測定を無効にする(又は少なくとも疑わしいと表示する)。次いで、ユーザ26は、金属物体の干渉の原因を探して取り除く、及び/又はこのような金属物体80の存在を明らかにするために回避測定を行うという選択肢を有する。
【0085】
この状況では、プロセッサ36は、工程225において、(境界外である、即ちベースライン値200の外側である相互インダクタンス測定値が原因で)この力測定値の読み取りが無効であると判定し、この種の場の障害が検出されたとき、プロセッサ36は、力の読み取り/情報を無効にする。工程225は、所望により、例えば、ディスプレイ42上の電気解剖学的マップにリアルタイムで表示される可視指標若しくはしるし、並びに可聴警告若しくはアラーム、及び/又は操作者26に異なる触知性フィードバックを含み、工程205、210、215は、金属物体が磁場から除かれるか、又は力測定値の読み取りに対する調整計算を用いて金属物体を明らかにするまで周期的に繰り返される。
【0086】
工程215では、ピックアップ信号値が予め定められたベースライン値200内である場合、プロセスを周期的に継続する、即ち工程205、210及び215を周期的に繰り返し、磁場位置検知システムは、カテーテル30の正確な力測定能とともに正確な6次元位置及び姿勢座標情報を提供するこの方法で動作し続けて、SPIによる作用を排除する。
【0087】
したがって、上述の実施形態は一例として引用したものであり、また本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことは認識されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変更及び改変が含まれるものである。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) 医学的手技中に金属障害を検出する装置であって、
長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、前記挿入管の前記遠位末端に配置され、身体の組織と接触するように構成された遠位先端と、前記遠位先端を前記挿入管の前記遠位末端に連結する接続部と、前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサであって、第1及び第2のサブアセンブリを備え、前記第1及び第2のサブアセンブリが、前記接続部の対向するそれぞれの側において前記プローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える、接続部センサと、を含む、プローブと、
前記接続部センサを用いて力測定値を測定するための、内部に閾値の場の値が保たれているプロセッサであって、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるように連結され、かつ前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置変化を検出するように、前記少なくとも1つの磁場に応答して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結され、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される前記1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定し、前記プロセッサが、前記感知された場の値を前記閾値の場の値と比較し、前記感知された場の値が前記閾値の場の値よりも大きいとき、前記プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する、プロセッサと、を含む装置。
(2) 前記感知された場の値が、半径方向又は直交方向の場に基づく、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記身体付近に更なる磁場を発生させるための磁場発生器と、前記更なる磁場に応答して位置信号を発生させるための前記プローブ内の位置センサとを含み、前記プロセッサが、前記プローブから分離された座標系に対する前記プローブの位置座標を計算するために、前記位置信号を受信し、処理するように連結されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記位置センサが、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方における前記磁気変換器のうちの少なくとも1つを含む、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする、実施態様4に記載の装置。
(6) ディスプレイを更に含み、前記プロセッサが、前記ディスプレイ上に提供されるしるしを通して前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別する、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを鳴らす、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを鳴らす、実施態様5に記載の装置。
(9) 前記磁気変換器が、コイルを含み、前記第1のサブアセンブリが、前記挿入管の前記長手方向軸に対して平行な第1のコイル軸を有する第1のコイルを含み、前記第2のサブアセンブリが、前記第1のサブアセンブリから軸方向に離間している前記プローブのセクション内において、異なるそれぞれの半径方向位置にある2つ又は3つ以上の第2のコイルを含む、実施態様4に記載の装置。
(10) 前記プロセッサによって検出される前記遠位先端の位置変化が、前記遠位先端の軸方向変位、及び前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の偏向を含む、実施態様1に記載の装置。
【0089】
(11) 前記接続部が、前記遠位先端に加えられる圧力に応答して変形するように構成された弾性部材を備える、実施態様1に記載の装置。
(12) 患者の身体で実施される医学的手技中に金属障害を検出する方法であって、
長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、前記挿入管の前記遠位末端に配置され、前記身体の組織と接触するように構成された遠位先端と、前記遠位先端を前記挿入管の前記遠位末端に連結する接続部と、前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサであって、第1及び第2のサブアセンブリを含み、前記第1及び第2のサブアセンブリが、前記接続部の対向するそれぞれの側において前記プローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える、接続部センサと、を含む、プローブと、前記接続部センサを用いて力測定値を測定するための、内部に閾値の場の値が保たれているプロセッサと、を提供する工程と、
前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させる工程と、
前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方において前記少なくとも1つの磁場を受信し、前記少なくとも1つの磁場に応答して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方によって1つ又は2つ以上の信号を出力する工程であって、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される前記1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定する、工程と、
前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置変化を検出する工程と、
前記感知された場の値を前記閾値の場の値と比較する工程と、
前記感知された場の値が前記閾値の場の値よりも大きいとき、前記プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する工程と、を含む方法。
(13) 半径又は直交方向の場に基づいて、前記感知された場の値を規定する工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする工程を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、ディスプレイ上にしるしを表示する工程を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを開始する工程を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを開始する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 位置座標に基づいて前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を決定する工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記遠位先端の位置変化を検出する工程が、前記遠位先端の軸方向変位、及び前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の偏向を含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記接続部が、弾性部材を備え、前記遠位先端に加えられる圧力に応答して変形するように構成される、実施態様17に記載の方法。
【0090】
(21) 前記位置座標が、X、Y、及びZ方向、並びにピッチ、ヨー及びロール姿勢を含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする工程を更に含む、実施態様19に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的手技中に金属障害を検出する装置であって、
長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、前記挿入管の前記遠位末端に配置され、身体の組織と接触するように構成された遠位先端と、前記遠位先端を前記挿入管の前記遠位末端に連結する接続部と、前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサであって、第1及び第2のサブアセンブリを備え、前記第1及び第2のサブアセンブリが、前記接続部の対向するそれぞれの側において前記プローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える、接続部センサと、を含む、プローブと、
前記接続部センサを用いて力測定値を測定するための、内部に閾値の場の値が保たれているプロセッサであって、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させるように連結され、かつ前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置変化を検出するように、前記少なくとも1つの磁場に応答して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される1つ又は2つ以上の信号を受信し処理するように連結され、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される前記1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定し、前記プロセッサが、前記感知された場の値を前記閾値の場の値と比較し、前記感知された場の値が前記閾値の場の値よりも大きいとき、前記プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する、プロセッサと、を含む装置。
【請求項2】
前記感知された場の値が、半径方向又は直交方向の場に基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記身体付近に更なる磁場を発生させるための磁場発生器と、前記更なる磁場に応答して位置信号を発生させるための前記プローブ内の位置センサとを含み、前記プロセッサが、前記プローブから分離された座標系に対する前記プローブの位置座標を計算するために、前記位置信号を受信し、処理するように連結されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記位置センサが、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方における前記磁気変換器のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ディスプレイを更に含み、前記プロセッサが、前記ディスプレイ上に提供されるしるしを通して前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを鳴らす、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを鳴らす、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記磁気変換器が、コイルを含み、前記第1のサブアセンブリが、前記挿入管の前記長手方向軸に対して平行な第1のコイル軸を有する第1のコイルを含み、前記第2のサブアセンブリが、前記第1のサブアセンブリから軸方向に離間している前記プローブのセクション内において、異なるそれぞれの半径方向位置にある2つ又は3つ以上の第2のコイルを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサによって検出される前記遠位先端の位置変化が、前記遠位先端の軸方向変位、及び前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の偏向を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記接続部が、前記遠位先端に加えられる圧力に応答して変形するように構成された弾性部材を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
患者の身体で実施される医学的手技中に金属障害を検出する方法であって、
長手方向軸及び遠位末端を有する挿入管と、前記挿入管の前記遠位末端に配置され、前記身体の組織と接触するように構成された遠位先端と、前記遠位先端を前記挿入管の前記遠位末端に連結する接続部と、前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を感知するためにプローブ内に収容されている接続部センサであって、第1及び第2のサブアセンブリを含み、前記第1及び第2のサブアセンブリが、前記接続部の対向するそれぞれの側において前記プローブ内に配置され、それぞれが1つ又は2つ以上の磁気変換器を備える、接続部センサと、を含む、プローブと、前記接続部センサを用いて力測定値を測定するための、内部に閾値の場の値が保たれているプロセッサと、を提供する工程と、
前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に電流を印加して、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの一方に少なくとも1つの磁場を発生させる工程と、
前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方において前記少なくとも1つの磁場を受信し、前記少なくとも1つの磁場に応答して前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方によって1つ又は2つ以上の信号を出力する工程であって、前記第1及び第2のサブアセンブリのうちの他方により出力される前記1つ又は2つ以上の信号が、感知された場の値を規定する、工程と、
前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置変化を検出する工程と、
前記感知された場の値を前記閾値の場の値と比較する工程と、
前記感知された場の値が前記閾値の場の値よりも大きいとき、前記プローブの遠位末端の近傍に金属物体が存在すると識別する工程と、を含む方法。
【請求項13】
半径又は直交方向の場に基づいて、前記感知された場の値を規定する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、ディスプレイ上にしるしを表示する工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを開始する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、可聴アラームを開始する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
位置座標に基づいて前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の位置を決定する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記遠位先端の位置変化を検出する工程が、前記遠位先端の軸方向変位、及び前記挿入管の前記遠位末端に対する前記遠位先端の偏向を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記接続部が、弾性部材を備え、前記遠位先端に加えられる圧力に応答して変形するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記位置座標が、X、Y、及びZ方向、並びにピッチ、ヨー及びロール姿勢を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記プローブの遠位末端の近傍の金属物体の存在を識別したとき、前記プローブの力測定値を無効にする工程を更に含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125571(P2012−125571A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−269978(P2011−269978)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】