説明

直列共振コンバータの制御手段

【課題】直列共振コンバータにおける共振外れによるスイッチ素子の破損を防止できる直列共振コンバータの制御手段を提供すること。
【解決手段】直列共振コンバータ1は、トランスTの1次側に設けられてハーフブリッジ回路を形成するスイッチ素子Q1、Q2と、トランスTの2次側に設けられてトランスの2次側に生じる起電力を整流するダイオードD1、D2と、ダイオードD1に流れる電流を検出する第1電流検出部21と、ダイオードD2に流れる電流を検出する第2電流検出部22と、を備える。この直列共振コンバータ1では、ダイオードD1に電流が流れ始めたことを検出すると、スイッチ素子Q2をオフ状態とし、ダイオードD2に電流が流れ始めたことを検出すると、スイッチ素子Q1をオフ状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列共振コンバータの制御手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイッチング電源装置として、直列共振コンバータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14は、従来例に係る直列共振コンバータ100の回路図である。直列共振コンバータ100は、トランスTと、スイッチ素子Q1、Q2と、キャパシタC1、C2、C3と、インダクタL1と、ダイオードD1、D2と、第1の制御部111と、第2の制御部131と、絶縁部141と、を備える。
【0004】
トランスTの1次巻線T1の一端には、インダクタL1の一端が接続される。インダクタL1の他端には、キャパシタC1を介して入力端子IN1が接続されるとともに、キャパシタC2を介して入力端子IN2が接続される。入力端子IN1には、直流電源(図示省略)の正極が接続され、入力端子IN2には、直流電源(図示省略)の負極が接続される。
【0005】
スイッチ素子Q1、Q2は、NチャネルMOSFETで構成され、ゲート−ソース間電圧がVGHになるとオン状態となり、ゲート−ソース間電圧がVGLになるとオフ状態になる。スイッチ素子Q1のドレインには、入力端子IN1が接続され、スイッチ素子Q1のゲートには、第1の制御部111が接続される。スイッチ素子Q2のソースには、入力端子IN2が接続され、スイッチ素子Q2のゲートには、第1の制御部111が接続される。また、スイッチ素子Q1のソースと、スイッチ素子Q2のドレインとには、トランスTの1次巻線T1の他端が接続されており、これらスイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とは、直列接続されてハーフブリッジ回路を形成する。
【0006】
トランスTの第1の2次巻線T2の一端には、ダイオードD1のカソードが接続され、トランスTの第1の2次巻線T2の他端には、出力端子OUT1が接続される。ダイオードD1のアノードには、出力端子OUT2が接続される。
【0007】
トランスTの第2の2次巻線T3の一端には、ダイオードD2のカソードが接続され、トランスTの第2の2次巻線T3の他端には、出力端子OUT1が接続される。ダイオードD2のアノードには、出力端子OUT2が接続される。
【0008】
出力端子OUT1と出力端子OUT2とは、キャパシタC3を介して接続され、これら出力端子OUT1、OUT2には、第2の制御部131が接続される。この第2の制御部131には、絶縁部141を介して第1の制御部111が接続される。
【0009】
以上の直列共振コンバータ100は、以下のように動作する。
【0010】
第2の制御部131は、出力端子OUT1の電位および出力端子OUT2の電位に基づいて駆動信号を出力し、この駆動信号は、絶縁部141を介して第1の制御部111に供給される。第1の制御部111は、この駆動信号に基づいて、すなわち出力端子OUT1の電位および出力端子OUT2の電位に基づいて、スイッチ素子Q1、Q2のゲートに制御信号を供給して、スイッチ素子Q1をオン状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする手順と、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオン状態にする手順と、を交互に行う。
【0011】
スイッチ素子Q1をオン状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする期間では、入力端子IN1から出力された電流が、オン状態のスイッチ素子Q1を介してトランスTの1次巻線T1の他端に供給され、インダクタL1およびキャパシタC2を介して入力端子IN2に流れる。このため、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に電流が流れ、この電流に応じた磁界がトランスTの1次巻線T1の周りに発生する。すると、トランスTの第1の2次巻線T2と、トランスTの第2の2次巻線T3とには、電磁誘導により、トランスTの1次巻線T1の周りに発生した磁界に応じた起電力が生じるが、これら起電力はダイオードD1、D2により整流される。その結果、ダイオードD1およびトランスTの第1の2次巻線T2を介して、出力端子OUT1から出力端子OUT2に向かって電流が流れるように、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に電位差が生じ、これら出力端子OUT1、OUT2から電圧が出力されることとなる。なお、出力端子OUT1、OUT2から出力される電圧は、キャパシタC3により平滑化される。
【0012】
一方、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオン状態にする期間では、入力端子IN1から出力された電流が、キャパシタC1およびインダクタL1を介してトランスTの1次巻線T1の一端に供給され、オン状態のスイッチ素子Q2を介して入力端子IN2に流れる。このため、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に電流が流れ、この電流に応じた磁界がトランスTの1次巻線T1の周りに発生する。すると、トランスTの第1の2次巻線T2と、トランスTの第2の2次巻線T3とには、電磁誘導により、トランスTの1次巻線T1の周りに発生した磁界に応じた起電力が生じるが、これら起電力はダイオードD1、D2により整流される。その結果、ダイオードD2およびトランスTの第2の2次巻線T3を介して、出力端子OUT1から出力端子OUT2に向かって電流が流れるように、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に電位差が生じ、これら出力端子OUT1、OUT2から電圧が出力されることとなる。なお、出力端子OUT1、OUT2から出力される電圧は、キャパシタC3により平滑化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−308243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように、直列共振コンバータ100において、第1の制御部111は、出力端子OUT1の電位および出力端子OUT2の電位に基づいて、スイッチ素子Q1をオン状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする手順と、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオン状態にする手順と、を交互に行う。ここで、直列共振コンバータ100は、これら2つの手順を、トランスTの1次巻線T1とインダクタL1とキャパシタC1またはキャパシタC2とからなる共振回路のインピーダンス特性で定まる周波数範囲内で行う場合には、スイッチ素子Q1のボディダイオード(図示省略)に電流が流れている状態でスイッチ素子Q2がオン状態になったり、スイッチ素子Q2のボディダイオード(図示省略)に電流が流れている状態でスイッチ素子Q1がオン状態になったりするという、共振外れの状態に陥らない。
【0015】
ところが、上述の2つの手順を、上述の周波数範囲の下限周波数を下回る周波数で行うと、共振外れが発生してしまい、スイッチ素子Q1やスイッチ素子Q2に過大な電流が流れ、これらスイッチ素子Q1やスイッチ素子Q2が破損するおそれがあった。
【0016】
上述の課題を鑑み、本発明は、共振外れを防止できる直列共振コンバータの制御手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、トランスと、前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0018】
この発明によれば、直列共振コンバータでは、トランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第1電圧を印加した場合には、第1の整流素子が導通し、トランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第2電圧を印加した場合には、第2の整流素子が導通する。この直列共振コンバータに対して、これら第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段を制御する制御手段に、第1の整流素子に電流が流れたか否かと、第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を設けた。そして、この制御手段により、電流検出部により第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、電圧印加手段による第2電圧の印加を停止し、電流検出部により第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、電圧印加手段による第1電圧の印加を停止することとした。
【0019】
ここで、共振外れが発生する場合には、発生する以前に、第1の整流素子および第2の整流素子のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れ始める。第1の整流素子および第2の整流素子のうち定常動作時には電流が流れないものとは、電圧印加手段により第1電圧を印加している期間では、第2の整流素子のことであり、電圧印加手段により第2電圧を印加している期間では、第1の整流素子のことである。
【0020】
そこで、制御手段により、第1の整流素子に電流が流れると、第2電圧の印加を停止し、第2の整流素子に電流が流れると、第1電圧の印加を停止することとしたので、共振外れを防止できる。
【0021】
また、従来では、共振外れがいつ発生するのか分からないため、第1電圧を印加する期間と、第2電圧を印加する期間と、を早めに切り替えることで、共振外れを防止する場合があった。そして、この場合には、第1電圧を印加する期間や、第2電圧を印加する期間が短くなってしまい、入力電圧が低下すると、所望の電圧を出力できない場合があった。ところが、本発明では、定常動作時には電流が流れない第1の整流素子または第2の整流素子に電流が流れると、共振外れが発生すると判断できる。このため、共振外れを防止しつつ、従来と比べて、第1電圧を印加する期間や、第2電圧を印加する期間を長くすることができる。したがって、従来では所望の電圧を出力できないほど入力電圧が低下しても、所望の電圧を出力できる場合がある。
【0022】
また、従来より、直列共振コンバータに入力電圧を供給する電源と並列に電解コンデンサを接続することで、電源から電力が供給されなくても、電解コンデンサに蓄えられた電力により、ある一定の期間だけ所望の電圧を出力しようとする場合があった。そして、この場合には、共振外れを防止するために、所望の電圧を出力できる入力電圧の下限値よりも高めに停止電圧が設定されるので、電解コンデンサの容量は、大きめに設定されていた。ところが、本発明では、電解コンデンサの容量を考慮することなく共振外れを防止できる。このため、従来と比べて、電解コンデンサの容量を同一にすることで、さらに長時間に亘って所望の電圧を出力できる。または、従来と比べて、電解コンデンサの数量を減少させたり容量を小さくしたりしても、同一の期間だけ所望の電圧を出力できる。あるいは、従来と比べて、トランスの1次巻線の巻数を増加させたり、トランスの2次巻線の巻数を減少させたりしても、同一の期間だけ所望の電圧を出力できるので、直列共振コンバータに設けられた各素子に流れる実効電流値を低下させることができ、高効率化を実現できる。
【0023】
(2)本発明は、トランスと、前記トランスの1次巻線と直列接続されたキャパシタと、前記トランスの2次巻線と直列接続されたインダクタと、前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0024】
この発明によれば、(1)の直列共振コンバータにおいてトランスの1次巻線に直列接続したインダクタを、トランスの2次巻線に直列接続した。これによれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0025】
(3)本発明は、(1)または(2)の直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と、前記第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0026】
この発明によれば、電流検出部に、第1の整流素子の両端の電圧と、第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を設けた。
【0027】
ここで、第1の整流素子に電流が流れる場合には、第1の整流素子の両端の電圧が所定の値となり、第2の整流素子に電流が流れる場合には、第2の整流素子の両端の電圧が所定の値となる。このため、電圧検出部により、第1の整流素子の両端の電圧と、第2の整流素子の両端の電圧と、を検出することで、第1の整流素子に電流が流れたか否かと、第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出できる。
【0028】
(4)本発明は、(1)〜(3)のいずれかの直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0029】
この発明によれば、電流検出部により第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに対する第2電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第1電圧を印加する第1期間を、第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定することとした。また、電流検出部により第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに対する第1電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第2電圧を印加する第2期間を、第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とすることとした。
【0030】
このため、電流検出部による検出結果に基づいて第1電圧や第2電圧の印加を停止した場合でも、第1電圧が印加されている時間と、第2電圧が印加されている時間と、に差異が生じるのを防止できる。したがって、第1電圧が印加されている時間と、第2電圧が印加されている時間と、に差異が生じることにより発生するトランスの偏励磁を防止できる。
【0031】
(5)本発明は、トランスと、前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子と、前記第1の整流素子と並列接続された第1のスイッチ素子と、前記第2の整流素子と並列接続された第2のスイッチ素子と、を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、または、前記第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと前記第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通するとともに、前記第1のスイッチ素子に電流が流れ、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通するとともに、前記第2のスイッチ素子に電流が流れ、前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0032】
この発明によれば、直列共振コンバータでは、トランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第1電圧を印加した場合には、第1の整流素子が導通するとともに第1のスイッチ素子に電流が流れ、トランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第2電圧を印加した場合には、第2の整流素子が導通するとともに第2のスイッチ素子に電流が流れる。この直列共振コンバータに対して、これら第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段を制御する制御手段に、第1の整流素子に電流が流れたか否かと第2の整流素子に電流が流れたか否かと、または、第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を設けた。そして、この制御手段により、電流検出部により第1の整流素子または第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、電圧印加手段による第2電圧の印加を停止し、電流検出部により第2の整流素子または第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、電圧印加手段による第1電圧の印加を停止することとした。これによれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(6)本発明は、トランスと、前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、第1の整流素子を内蔵する第1のスイッチ素子と、第2の整流素子を内蔵する第2のスイッチ素子と、含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、または、前記第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと前記第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通するとともに、前記第1のスイッチ素子に電流が流れ、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通するとともに、前記第2のスイッチ素子に電流が流れ、前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0034】
この発明によれば、(5)の直列共振コンバータに対して、第1の整流素子および第2の整流素子と、第1の整流素子と並列接続された第1のスイッチ素子と、第2の整流素子と並列接続された第2のスイッチ素子と、の代わりに、第1の整流素子を内蔵する第1のスイッチ素子と、第2の整流素子を内蔵する第2のスイッチ素子と、を設けた。これによれば、(5)と同様の効果を奏することができる。
【0035】
(7)本発明は、(5)または(6)の直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と前記第2の整流素子の両端の電圧と、または、前記第1のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と前記第2のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0036】
この発明によれば、電流検出部に、第1の整流素子の両端の電圧と第2の整流素子の両端の電圧と、または、第1スイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と第2のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と、を検出する電圧検出部を設けた。
【0037】
ここで、第1の整流素子や第1のスイッチ素子に電流が流れる場合には、第1の整流素子の両端の電圧や第1のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧が所定の値となる。また、第2の整流素子第2のスイッチ素子に電流が流れる場合には、第2の整流素子の両端の電圧や第2のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧が所定の値となる。このため、電圧検出部により、第1の整流素子の両端の電圧と第2の整流素子の両端の電圧と、または、第1スイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と第2のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と、を検出することで、第1の整流素子や第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、第2の整流素子や第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出できる。
【0038】
(8)本発明は、(5)〜(7)のいずれかの直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0039】
この発明によれば、電流検出部により第1の整流素子または第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに対する第2電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第1電圧を印加する第1期間を、第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定することとした。また、電流検出部により第2の整流素子または第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに対する第1電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線とインダクタとキャパシタとに第2電圧を印加する第2期間を、第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とすることとした。これによれば、(4)と同様の効果を奏することができる。
【0040】
(9)本発明は、(1)〜(8)のいずれかの直列共振コンバータの制御手段について、前記インダクタは、前記トランスの漏れインダクタンスを用いて設けられることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0041】
この発明によれば、インダクタを、トランスの漏れインダクタンスを用いて設けた。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0042】
(10)本発明は、トランスと、前記トランスの1次巻線と直列接続された第1のインダクタおよびキャパシタと、前記トランスの1次巻線と並列接続された第2のインダクタと、前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0043】
この発明によれば、(1)の直列共振コンバータに設けたインダクタを第1のインダクタとし、トランスの1次巻線と並列接続された第2のインダクタを新たに設けた。これによれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0044】
(11)本発明は、(10)の直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と、前記第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0045】
この発明によれば、電流検出部に、第1の整流素子の両端の電圧と、第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を設けた。これによれば、(3)と同様の効果を奏することができる。
【0046】
(12)本発明は、(10)または(11)の直列共振コンバータの制御手段について、前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0047】
この発明によれば、電流検出部により第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線と第1のインダクタと第2のインダクタとキャパシタとに対する第2電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線と第1のインダクタと第2のインダクタとキャパシタとに第1電圧を印加する第1期間を、第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定することとした。また、電流検出部により第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線と第1のインダクタと第2のインダクタとキャパシタとに対する第1電圧の印加を停止した際に、電圧印加手段を制御してトランスの1次巻線と第1のインダクタと第2のインダクタとキャパシタとに第2電圧を印加する第2期間を、第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することとした。これによれば、(4)と同様の効果を奏することができる。
【0048】
(13)本発明は、(10)〜(12)のいずれかの直列共振コンバータの制御手段について、前記第1のインダクタは、前記トランスの漏れインダクタンスを用いて設けられることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0049】
この発明によれば、第1のインダクタを、トランスの漏れインダクタンスを用いて設けた。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0050】
(14)本発明は、(4)、(8)、または(12)のいずれかの直列共振コンバータの制御手段について、前記第1期間を開始してから所定時間が経過するまでと、前記第2期間を開始してから所定時間が経過するまでと、に所定の不感期間を設けることを特徴とする直列共振コンバータの制御手段を提案している。
【0051】
この発明によれば、第1期間を開始してから所定時間が経過するまでと、第2期間を開始してから所定時間が経過するまでと、に所定の不感期間を設けることとした。
【0052】
ここで、共振外れが発生していないにもかかわらず、第1期間を開始してから所定時間が経過するまでの期間や、第2期間を開始してから所定時間が経過するまでの期間において、第1の整流素子および第2の整流素子のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れる場合がある。この場合、共振外れが発生すると誤って判断してしまう。そこで、所定の不感期間を設けたので、第1期間が終了してから所定の不感期間が終了するまでの期間や、第2期間が終了してから所定の不感期間が終了するまでの期間において、第1の整流素子および第2の整流素子のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れても、共振外れが発生すると誤って判断するのを防止できる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、直列共振コンバータにおける共振外れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図2】前記直列共振コンバータのフローチャートである。
【図3】前記直列共振コンバータのフローチャートである。
【図4】定常動作時の前記直列共振コンバータのタイミングチャートである。
【図5】共振外れ保護動作時の前記直列共振コンバータのタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る直列共振コンバータの回路図である。
【図14】従来例に係る直列共振コンバータの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0056】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1の回路図である。直列共振コンバータ1は、図14に示した従来例に係る直列共振コンバータ100とは、ダイオードD1のアノードと出力端子OUT2とを第1電流検出部21を介して接続する点と、ダイオードD2のアノードと出力端子OUT2とを第2電流検出部22を介して接続する点と、が異なる。なお、直列共振コンバータ1において、直列共振コンバータ100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
第1電流検出部21は、出力端子OUT2からダイオードD1のアノードに向かって流れる電流、すなわち、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流を検出する。第2電流検出部22は、出力端子OUT2からダイオードD2のアノードに向かって流れる電流、すなわち、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流を検出する。これら第1電流検出部21および第2電流検出部22による検出結果は、第2の制御部131に送信され、第2の制御部131は、これら送信された検出結果に応じた駆動信号を第1の制御部111に送信する。
【0058】
これら第1電流検出部21および第2電流検出部22を備える直列共振コンバータ1の動作について、図2、3、4、5を用いて説明する。図2および図3は、直列共振コンバータ1のフローチャートである。図4は、定常動作時の直列共振コンバータ1のタイミングチャートであり、図5は、共振外れ保護動作時の直列共振コンバータ1のタイミングチャートである。
【0059】
まず、図2および図3を参照して、直列共振コンバータ1の動作について説明する。
【0060】
ステップS1において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信し、ステップS2に移る。この処理によれば、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1、Q2のゲートに制御信号を供給して、スイッチ素子Q1をオン状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする。
【0061】
ステップS2において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1がオン状態である時間の計測を開始し、ステップS3に移る。
【0062】
ステップS3において、第2の制御部131により、所定の不感期間を終了したか否かを判別する。そして、所定の不感期間を終了したと判別した場合には、ステップS4に移り、所定の不感期間を終了していないと判別した場合には、ステップS3を繰り返す。
【0063】
ステップS4において、第2の制御部131により、第2電流検出部22による検出結果に基づいて、ダイオードD2に電流が流れたか否かを判別する。そして、ダイオードD2のアノードからカソードに電流が流れたと判別した場合には、ステップS6に移り、ダイオードD2のアノードからカソードに電流が流れていないと判別した場合には、ステップS5に移る。
【0064】
ステップS5において、第2の制御部131により、ステップS2において計測を開始したスイッチ素子Q1がオン状態である時間が、スイッチング周期の半分になったか否かを判別する。そして、上述の時間がスイッチング周期の半分になったと判別した場合には、ステップS6に移り、上述の時間がスイッチング周期の半分になっていないと判別した場合には、ステップS4に移る。
【0065】
ステップS6において、第2の制御部131により、ステップS2において開始したスイッチ素子Q1がオン状態である時間の計測を終了し、ステップS7に移る。
【0066】
ステップS7において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信し、ステップS8に移る。この処理によれば、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1、Q2のゲートに制御信号を供給して、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする。
【0067】
ステップS8において、第2の制御部131により、スイッチング周期を、ステップS6において計測を終了したスイッチ素子Q1がオン状態である時間の2倍に設定し、ステップS9に移る。
【0068】
ステップS9において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信し、ステップS10に移る。この処理によれば、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1、Q2のゲートに制御信号を供給して、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオン状態にする。
【0069】
ステップS10において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2がオン状態である時間の計測を開始し、ステップS11に移る。
【0070】
ステップS11において、第2の制御部131により、所定の不感期間を終了したか否かを判別する。そして、所定の不感期間を終了したと判別した場合には、ステップS12に移り、所定の不感期間を終了していないと判別した場合には、ステップS11を繰り返す。
【0071】
ステップS12において、第2の制御部131により、第1電流検出部21による検出結果に基づいて、ダイオードD1に電流が流れたか否かを判別する。そして、ダイオードD1のアノードからカソードに電流が流れたと判別した場合には、ステップS14に移り、ダイオードD1のアノードからカソードに電流が流れていないと判別した場合には、ステップS13に移る。
【0072】
ステップS13において、第2の制御部131により、ステップS10において計測を開始したスイッチ素子Q2がオン状態である時間が、スイッチング周期の半分になったか否かを判別する。そして、上述の時間がスイッチング周期の半分になったと判別した場合には、ステップS14に移り、上述の時間がスイッチング周期の半分になっていないと判別した場合には、ステップS12に移る。
【0073】
ステップS14において、第2の制御部131により、ステップS10において開始したスイッチ素子Q2がオン状態である時間の計測を終了し、ステップS15に移る。
【0074】
ステップS15において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信し、ステップS16に移る。この処理によれば、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1、Q2のゲートに制御信号を供給して、スイッチ素子Q1をオフ状態にするとともにスイッチ素子Q2をオフ状態にする。
【0075】
ステップS16において、上述のステップS8と同様に、第2の制御部131により、スイッチング周期を、ステップS14において計測を終了したスイッチ素子Q1がオン状態である時間の2倍に設定し、ステップS1に移る。
【0076】
次に、図4を参照して、定常動作時の直列共振コンバータ1の動作について説明する。
【0077】
定常動作時には、第2の制御部131は、図2のステップS4においてダイオードD2のアノードからカソードに電流が流れたと判別する以前に、ステップS5においてスイッチ素子Q1がオン状態である時間がスイッチング周期の半分になったと判別するとともに、図3のステップS12においてダイオードD1のアノードからカソードに電流が流れたと判別する以前に、ステップS13においてスイッチ素子Q2がオン状態である時間がスイッチング周期の半分になったと判別する。
【0078】
ここで、IDQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を示し、IDQ2は、スイッチ素子Q2のドレイン電流を示す。ID1は、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流を示し、ID2は、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流を示す。VGQ1は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示し、VGQ2は、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧を示す。
【0079】
また、時刻t1の直前では、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2とは、VGLとし、スイッチ素子Q1、Q2は、オフ状態とする。
【0080】
時刻t1において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGHにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1はオン状態になる。
【0081】
スイッチ素子Q1がオン状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少し、時刻t2ではIとなる。このスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に流れる。一方、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるため、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、「0」のままとなる。
【0082】
また、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に電流が流れると、この電流、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1に応じて、ダイオードD1のアノードからカソードに電流ID1が流れる。このダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少する。一方、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2は、「0」のままとなる。
【0083】
時刻t2において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGLにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1もオフ状態になる。
【0084】
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、「0」となる。一方、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、トランスTの1次巻線T1は、他端から一端に電流を流し続けようとするので、その結果、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ2は、負の値であるIとなった後、時間が経過するに従って「0」に近くなり、時刻t3では「0」となる。これに伴い、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に流れる電流は、時間が経過するに従って減少する。
【0085】
トランスTの1次巻線T1の他端から一端に流れる電流が、時間が経過するに従って減少すると、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1も、時間が経過するに従って減少し、時刻t3では「0」となる。一方、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2は、「0」のままとなる。
【0086】
時刻t2から所定時間が経過した後の時刻t3において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2をVGHにする。このため、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q2はオン状態になる。なお、図4では、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1が「0」となるタイミングと時刻t3とが一致するものとしたが、時刻t3がこのタイミングよりも早まった場合でも、所定の不感期間を設けているために共振外れ動作として誤判定することはない。
【0087】
スイッチ素子Q2がオン状態になると、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少し、時刻t4ではIとなる。このスイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる。一方、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるため、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、「0」のままとなる。
【0088】
また、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に電流が流れると、この電流、すなわちスイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2に応じて、ダイオードD2のアノードからカソードに電流ID2が流れる。このダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少する。一方、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1は、「0」のままとなる。
【0089】
時刻t4において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2をVGLにする。このため、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q2もオフ状態になる。
【0090】
スイッチ素子Q2がオフ状態になると、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、「0」となる。一方、スイッチ素子Q2がオフ状態になると、トランスTの1次巻線T1は、一端から他端に電流を流し続けようとするので、その結果、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、負の値であるIとなった後、時間が経過するに従って「0」に近くなり、時刻t5では「0」となる。これに伴い、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる電流は、時間が経過するに従って減少する。
【0091】
トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる電流が、時間が経過するに従って減少すると、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2も、時間が経過するに従って減少し、時刻t5では「0」となる。一方、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1は、「0」のままとなる。
【0092】
時刻t4から所定時間が経過した後の時刻t5において、上述の時刻t1と同様に、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGHにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1はオン状態になる。なお、図4では、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2が「0」となるタイミングと時刻t5とが一致するものとしたが、時刻t5がこのタイミングよりも早まった場合でも、所定の不感期間を設けているために共振外れ動作として誤判定することはない。
【0093】
時刻t5〜t9、時刻t9〜t13、時刻t13〜t17のそれぞれにおいても、時刻t1〜t5と同様に、第2の制御部131により第1の制御部111に駆動信号を送信して、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2と、を制御する。
【0094】
次に、図5を参照して、共振外れ保護動作時の直列共振コンバータ1の動作について説明する。
【0095】
ここで、共振外れが発生する場合には、発生する以前に、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れ始める。ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないものとは、スイッチ素子Q1がオン状態の期間ではダイオードD2のことであり、スイッチ素子Q2がオン状態の期間ではダイオードD1のことである。そこで、直列共振コンバータ1は、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れ始めると、共振外れが発生しそうであると判断し、共振外れ保護動作を行う。
【0096】
共振外れ保護動作時には、第2の制御部131は、図2のステップS5においてスイッチ素子Q1がオン状態である時間がスイッチング周期の半分になったと判別する以前に、ステップS4においてダイオードD2のアノードからカソードに電流が流れたと判別するとともに、図3のステップS13においてスイッチ素子Q2がオン状態である時間がスイッチング周期の半分になったと判別する以前に、ステップS12においてダイオードD1のアノードからカソードに電流が流れたと判別する。
【0097】
ここで、時刻t21の直前では、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2とは、VGLとし、スイッチ素子Q1、Q2は、オフ状態とする。
【0098】
時刻t21において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGHにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1はオン状態になる。
【0099】
スイッチ素子Q1がオン状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少する。このスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に流れる。一方、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるため、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、「0」のままとなる。
【0100】
また、トランスTの1次巻線T1の他端から一端に電流が流れると、この電流、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1に応じて、ダイオードD1のアノードからカソードに電流ID1が流れる。このダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少し、時刻t22では「0」となる。一方、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2は、「0」のままとなる。
【0101】
時刻t23において、上述のダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないもの、すなわちダイオードD2において、アノードからカソードに電流ID2が流れ始める。すると、第2電流検出部22により、ダイオードD2のアノードからカソードに電流ID2が流れ始めたことを検出し、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。この結果、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGLにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1もオフ状態になる。これによれば、スイッチ素子Q1がオン状態の期間において、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD2に電流が流れ始めると、スイッチ素子Q1がオフ状態になるので、共振外れを防止できる。
【0102】
また、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、「0」となる。一方、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、トランスTの1次巻線T1は、他端から一端に電流を流し続けようとするので、その結果、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、負の値であるI31となった後、時間が経過するに従って「0」に近くなり、時刻t24では「0」となる。
【0103】
時刻t23から所定時間が経過した後の時刻t24において、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2をVGHにする。このため、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q2はオン状態になる。なお、図5では、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1が「0」となるタイミングが時刻t24よりも早いものとしたが、時刻t24がこのタイミングよりも早まった場合でも、所定の不感期間を設けているために共振外れ動作として誤判定することはない。
【0104】
スイッチ素子Q2がオン状態になると、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少する。このスイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2は、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる。一方、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるため、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、「0」のままとなる。
【0105】
また、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に電流が流れると、この電流、すなわちスイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ2に応じて、ダイオードD2のアノードからカソードに電流ID2が流れる。このダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2は、時間が経過するに従って増加してIとなった後、時間が経過するに従って減少し、時刻t25では「0」となる。一方、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1は、「0」のままとなる。
【0106】
時刻t26において、上述のダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないもの、すなわちダイオードD1において、アノードからカソードに電流ID1が流れ始める。すると、第1電流検出部21により、ダイオードD1のアノードからカソードに電流ID1が流れ始めたことを検出し、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。この結果、第1の制御部111は、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2をVGLにする。このため、スイッチ素子Q1はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q2もオフ状態になる。これによれば、スイッチ素子Q2がオン状態の期間において、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD1に電流が流れ始めると、スイッチ素子Q2がオフ状態になるので、共振外れを防止できる。
【0107】
また、スイッチ素子Q2がオフ状態になると、スイッチ素子Q2のドレイン電流IDQ1は、「0」となる。一方、スイッチ素子Q2がオフ状態になると、トランスTの1次巻線T1は、一端から他端に電流を流し続けようとするので、その結果、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、負の値であるI31となった後、時間が経過するに従って「0」に近くなり、時刻t27では「0」となる。
【0108】
時刻t26から所定時間が経過した後の時刻t27において、上述の時刻t21と同様に、第2の制御部131により、スイッチ素子Q1をオン状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信する。すると、第1の制御部111は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1をVGHにする。このため、スイッチ素子Q2はオフ状態のままであるが、スイッチ素子Q1はオン状態になる。なお、図5では、ダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流ID2が「0」となるタイミングが時刻t27よりも早いものとしたが、時刻t27がこのタイミングよりも早まった場合でも、所定の不感期間を設けているために共振外れ動作として誤判定することはない。
【0109】
時刻t27〜t33、時刻t33〜t39のそれぞれにおいても、時刻t21〜t27と同様に、第2の制御部131により第1の制御部111に駆動信号を送信して、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGQ1と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGQ2と、を制御する。
【0110】
以上の直列共振コンバータ1によれば、第1電流検出部21、第2電流検出部22、第1の制御部111、および第2の制御部131により、以下の効果を奏することができる。
【0111】
第1電流検出部21により、ダイオードD1のアノードからカソードに電流ID1が流れ始めたことを検出すると、第2の制御部131により、スイッチ素子Q2をオフ状態とする駆動信号を第1の制御部111に送信し、第1の制御部111により、スイッチ素子Q2をオフ状態にする。すなわち、スイッチ素子Q2がオン状態の期間において、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD1に電流が流れ始めると、スイッチ素子Q2をオフ状態にする。スイッチ素子Q1がオン状態の期間においても同様に、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD2に電流が流れ始めると、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。以上によれば、共振外れを防止できる。
【0112】
また、従来では、共振外れがいつ発生するのか分からないため、スイッチ素子Q1、Q2をオン状態からオフ状態に早めにスイッチングさせ、共振外れを防止する場合があった。そして、この場合には、スイッチ素子Q1が継続的にオン状態である期間や、スイッチ素子Q2が継続的にオン状態である期間が短くなってしまい、低電圧を出力する直流電源を入力端子IN1、IN2に接続すると、所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できない場合があった。ところが、直列共振コンバータ1は、第1電流検出部21および第2電流検出部22により、定常動作時には電流が流れないダイオードD1またはダイオードD2に電流が流れると、共振外れが発生すると判断できる。このため、共振外れを防止しつつ、従来と比べて、スイッチ素子Q1、Q2をオン状態からオフ状態に遅めにスイッチングさせることができる。したがって、従来と比べて、スイッチ素子Q1が継続的にオン状態である期間や、スイッチ素子Q2が継続的にオン状態である期間を長くすることができるので、従来では所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できないほど低い電圧を出力する直流電源を入力端子IN1、IN2に接続しても、所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できる場合がある。
【0113】
また、従来より、入力端子IN1、IN2に接続する直流電源と並列に電解コンデンサを接続することで、直流電源から電力が供給されなくても、電解コンデンサに蓄えられた電力により、ある一定の期間だけ所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力しようとする場合があった。そして、この場合には、電解コンデンサの容量は、共振外れを防止するために高めに停止電圧を設定しても一定の期間だけ所望の電圧を出力できるように、大きめに設定されていた。ところが、直列共振コンバータ1は、第1電流検出部21、第2電流検出部22、第1の制御部111、および第2の制御部131により、共振外れを防止できる。このため、従来と比べて、電解コンデンサの容量を同一にすることで、さらに長時間に亘って所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できる。または、従来と比べて、電解コンデンサの数量を減少させたり容量を小さくしたりしても、同一の期間だけ所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できる。あるいは、従来と比べて、トランスTの1次巻線T1の巻数を増加させたり、トランスTの第1の2次巻線T2や第2の2次巻線T3の巻数を減少させたりしても、同一の期間だけ所望の電圧を出力端子OUT1、OUT2から出力できるので、直列共振コンバータ1に設けられた各素子に流れる実効電流値を低下させることができ、高効率化を実現できる。
【0114】
また、スイッチ素子Q1、Q2がオン状態である時間がスイッチング周期の半分になるように、スイッチ素子Q1、Q2のオンオフを制御する。このため、第1電流検出部21や第2電流検出部22による検出結果に基づいてスイッチ素子Q1やスイッチ素子Q2をオフ状態にして、これらスイッチ素子Q1やスイッチ素子Q2のオン状態である時間が短縮された場合でも、スイッチ素子Q1がオン状態でかつスイッチ素子Q2がオフ状態である期間と、スイッチ素子Q1がオフ状態でかつスイッチ素子Q2がオン状態である期間と、に差異が生じるのを防止できる。したがって、これらの期間に差異が生じることにより発生するトランスTの偏励磁を防止できる。
【0115】
また、共振外れが発生していないにもかかわらず、スイッチ素子Q1をオン状態にした直後の短期間において、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD2に電流が流れたり、スイッチ素子Q2をオン状態にした直後の短期間において、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないダイオードD1に電流が流れたりする場合がある。ところが、スイッチ素子Q1をオン状態にした後と、スイッチ素子Q2をオン状態にした後と、に所定の不感期間が設けられるため、共振外れ状態ではないにもかかわらず、ダイオードD1、D2のうち定常動作時には電流が流れないものに電流が流れても、共振外れが発生すると誤って判断するのを防止できる。これによれば、以下のような効果を奏することもできる。
【0116】
例えば、図4においては、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1が「0」となるタイミングと、スイッチ素子Q2をオン状態にするタイミングと、が一致するものとした(例えば、時刻t3)。ところが、スイッチ素子Q2をオン状態にするタイミングが、ダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1が「0」となるタイミングよりも早くなった場合であっても、スイッチ素子Q2がオン状態になってからダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流ID1が「0」となるまでの期間が、上述の所定の不感期間内にあれば、共振外れが発生すると誤って判断するのを防止できる。
【0117】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る直列共振コンバータ1Aの回路図である。直列共振コンバータ1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、キャパシタC2を備えない点が異なる。なお、直列共振コンバータ1Aにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0118】
以上の直列共振コンバータ1Aによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0119】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る直列共振コンバータ1Bの回路図である。直列共振コンバータ1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、キャパシタC1を備えない点が異なる。なお、直列共振コンバータ1Bにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
以上の直列共振コンバータ1Bによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0121】
<第4実施形態>
図8は、本発明の第4実施形態に係る直列共振コンバータ1Cの回路図である。直列共振コンバータ1Cは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、スイッチ素子Q1A、Q1Bを備える点と、キャパシタC1、C2の代わりにキャパシタC1Aを備える点と、が異なる。なお、直列共振コンバータ1Cにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
トランスTの1次巻線T1の一端には、インダクタL1の一端が接続される。インダクタL1の他端には、キャパシタC1Aを介して、スイッチ素子Q1のソースと、スイッチ素子Q2のドレインと、が接続される。
【0123】
スイッチ素子Q1A、Q2Aは、NチャネルMOSFETで構成され、ゲート−ソース間電圧がVGHになるとオン状態となり、ゲート−ソース間電圧がVGLになるとオフ状態になる。スイッチ素子Q1Aのドレインには、入力端子IN1が接続され、スイッチ素子Q1Aのゲートには、第1の制御部111が接続される。スイッチ素子Q2Aのソースには、入力端子IN2が接続され、スイッチ素子Q2Aのゲートには、第1の制御部111が接続される。また、スイッチ素子Q1Aのソースと、スイッチ素子Q2Aのドレインとには、トランスTの1次巻線T1の他端が接続されている。これらスイッチ素子Q1A、Q2Aは、スイッチ素子Q1、Q2により、フルブリッジ回路を形成する。
【0124】
以上の直列共振コンバータ1Cによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0125】
<第5実施形態>
図9は、本発明の第5実施形態に係る直列共振コンバータ1Dの回路図である。直列共振コンバータ1Dは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、ダイオードD1A、D2Aを備える点と、トランスTの第1の2次巻線T2および第2の2次巻線T3の代わりにトランスTの2次巻線T4を備える点と、が異なる。なお、直列共振コンバータ1Dにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
トランスTの2次巻線T4の一端には、ダイオードD1のアノードと、ダイオードD2のカソードと、が接続され、トランスTの2次巻線T4の他端には、ダイオードD1Aのアノードと、ダイオードD2Aのカソードと、が接続される。ダイオードD1のカソードには、第1電流検出部21を介して、出力端子OUT1と、ダイオードD1Aのカソードと、が接続され、ダイオードD2のアノードには、第2電流検出部22を介して、出力端子OUT2と、ダイオードD2Aのアノードと、が接続される。
【0127】
以上の直列共振コンバータ1Dによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0128】
<第6実施形態>
図10は、本発明の第6実施形態に係る直列共振コンバータ1Eの回路図である。直列共振コンバータ1Eは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、インダクタL1の代わりにインダクタL1A、L1Bを備える点が異なる。なお、直列共振コンバータ1Eにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0129】
トランスTの1次巻線T1の一端には、キャパシタC1を介して入力端子IN1が接続されるとともに、キャパシタC2を介して入力端子IN2が接続される。
【0130】
トランスTの第1の2次巻線T2の一端には、インダクタL1Aを介してダイオードD1のカソードが接続され、トランスTの第2の2次巻線T3の一端には、インダクタL1Bを介してダイオードD2のカソードが接続される。
【0131】
以上の直列共振コンバータ1Eによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0132】
<第7実施形態>
図11は、本発明の第7実施形態に係る直列共振コンバータ1Fの回路図である。直列共振コンバータ1Fは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、インダクタL2を備える点が異なる。なお、直列共振コンバータ1Fにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0133】
トランスTの1次巻線T1の一端には、インダクタL1の一端と、インダクタL2の一端と、が接続される。トランスTの1次巻線T1の他端には、スイッチ素子Q1のソースと、スイッチ素子Q2のドレインと、インダクタL2の他端と、が接続される。
【0134】
以上の直列共振コンバータ1Fによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0135】
<第8実施形態>
図12は、本発明の第8実施形態に係る直列共振コンバータ1Gの回路図である。直列共振コンバータ1Gは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る直列共振コンバータ1とは、スイッチ素子Q3、Q4を備える点と、第1電流検出部および第2電流検出部の動作と、が異なる。なお、直列共振コンバータ1Gにおいて、直列共振コンバータ1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
スイッチ素子Q3、Q4は、NチャネルMOSFETで構成される。スイッチ素子Q3のドレインには、トランスTの第1の2次巻線T2の一端と、ダイオードD1のカソードと、が接続され、スイッチ素子Q3のソースには、出力端子OUT2と、ダイオードD1のアノードと、が接続され、スイッチ素子Q3のゲートには、第1電流検出部21Aが接続される。スイッチ素子Q4のドレインには、トランスTの第2の2次巻線T3の一端と、ダイオードD2のカソードと、が接続され、スイッチ素子Q4のソースには、出力端子OUT2と、ダイオードD2のアノードと、が接続され、スイッチ素子Q4のゲートには、第2電流検出部22Aが接続される。
【0137】
第1電流検出部21Aは、スイッチ素子Q3のドレイン電流を検出するとともに、スイッチ素子Q3のゲートに制御信号を供給する。この第1電流検出部21Aによるスイッチ素子Q3のドレイン電流の検出結果は、第2の制御部131に送信される。
【0138】
第2電流検出部22Aは、スイッチ素子Q4のドレイン電流を検出するとともに、スイッチ素子Q4のゲートに制御信号を供給する。この第2電流検出部22Aによるスイッチ素子Q4のドレイン電流の検出結果は、第2の制御部131に送信される。
【0139】
第2の制御部131は、第1電流検出部21Aおよび第2電流検出部22Aから送信された検出結果に応じた駆動信号を、第1の制御部111に送信する。
【0140】
以上の直列共振コンバータ1Gによれば、上述の直列共振コンバータ1と同様の効果を奏することができる。
【0141】
<第9実施形態>
図13は、本発明の第9実施形態に係る直列共振コンバータ1Hの回路図である。直列共振コンバータ1Hは、図12に示した本発明の第8実施形態に係る直列共振コンバータ1Gとは、スイッチ素子Q3、Q4の向きと、ダイオードD1、D2の向きと、が異なる。なお、直列共振コンバータ1Hにおいて、直列共振コンバータ1Gと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
スイッチ素子Q3のソースには、トランスTの第1の2次巻線T2の一端と、ダイオードD1のアノードと、が接続され、スイッチ素子Q3のドレインには、出力端子OUT2と、ダイオードD1のカソードと、が接続される。スイッチ素子Q4のソースには、トランスTの第2の2次巻線T3の一端と、ダイオードD2のアノードと、が接続され、スイッチ素子Q4のドレインには、出力端子OUT2と、ダイオードD2のカソードと、が接続される。
【0143】
以上の直列共振コンバータ1Hによれば、上述の直列共振コンバータ1Gと同様の効果を奏することができる。
【0144】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0145】
例えば、上述の第8実施形態に係る直列共振コンバータ1Gと、上述の第9実施形態に係る直列共振コンバータ1Hとでは、第1電流検出部21Aによりスイッチ素子Q3のドレイン電流を検出し、第2電流検出部22Aによりスイッチ素子Q4のドレイン電流を検出したが、これに限らない。
【0146】
例えば、スイッチ素子Q3のドレイン電流が流れる場合には、ダイオードD1にも電流が流れ、スイッチ素子Q4のドレイン電流が流れる場合には、ダイオードD2にも電流が流れる。このため、第1電流検出部21AによりダイオードD1のアノードからカソードに流れる電流を検出し、第2電流検出部22AによりダイオードD2のアノードからカソードに流れる電流を検出してもよい。
【0147】
また、スイッチ素子Q3のドレイン電流が流れる場合には、スイッチ素子Q3がオン状態であり、このスイッチ素子Q3のドレインとソースとの電位差は、所定の値となり、スイッチ素子Q4のドレイン電流が流れる場合には、スイッチ素子Q4がオン状態であり、このスイッチ素子Q4のドレインとソースとの電位差は、所定の値となる。このため、第1電流検出部21Aによりスイッチ素子Q3のドレインとソースとの電位差を検出し、第2電流検出部22Aによりスイッチ素子Q4のドレインとソースとの電位差を検出してもよい。
【0148】
また、上述の第8実施形態に係る直列共振コンバータ1Gや、上述の第9実施形態に係る直列共振コンバータ1Hにおいて、スイッチ素子Q3、Q4のそれぞれのボディーダイオードにより、ダイオードD1、D2を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、スイッチング電源装置等に用いられる直列共振コンバータの制御手段に適用できる。
【符号の説明】
【0150】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、100;直列共振コンバータ
21、21A;第1電流検出部
22、22A;第2電流検出部
111;第1の制御部
131;第2の制御部
C1、C2、C3;キャパシタ
D1、D2、D1A、D2A;ダイオード
L1、L1A、L1B、L2;インダクタ
Q1、Q2、Q1A、Q2A、Q3、Q4;スイッチ素子
T;トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、
前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、
交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、
を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、
前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、
前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段。
【請求項2】
トランスと、
前記トランスの1次巻線と直列接続されたキャパシタと、
前記トランスの2次巻線と直列接続されたインダクタと、
前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、
交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、
を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、
前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、
前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段。
【請求項3】
前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と、前記第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項4】
前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項5】
トランスと、
前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、
前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、
交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子と、前記第1の整流素子と並列接続された第1のスイッチ素子と、前記第2の整流素子と並列接続された第2のスイッチ素子と、を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、
を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、
前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、または、前記第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと前記第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通するとともに、前記第1のスイッチ素子に電流が流れ、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通するとともに、前記第2のスイッチ素子に電流が流れ、
前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段。
【請求項6】
トランスと、
前記トランスの1次巻線と直列接続されたインダクタおよびキャパシタと、
前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、
第1の整流素子を内蔵する第1のスイッチ素子と、第2の整流素子を内蔵する第2のスイッチ素子と、含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、
を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、
前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、または、前記第1のスイッチ素子に電流が流れたか否かと前記第2のスイッチ素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通するとともに、前記第1のスイッチ素子に電流が流れ、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通するとともに、前記第2のスイッチ素子に電流が流れ、
前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段。
【請求項7】
前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と前記第2の整流素子の両端の電圧と、または、前記第1のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と前記第2のスイッチ素子の入力端子および出力端子の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項8】
前記電流検出部により前記第1の整流素子または前記第1のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子または前記第2のスイッチ素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記インダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項9】
前記インダクタは、前記トランスの漏れインダクタンスを用いて設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項10】
トランスと、
前記トランスの1次巻線と直列接続された第1のインダクタおよびキャパシタと、
前記トランスの1次巻線と並列接続された第2のインダクタと、
前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに第1電圧または第2電圧を印加する電圧印加手段と、
交互に導通する第1の整流素子および第2の整流素子を含んで構成され、前記トランスの2次巻線の電圧を整流および平滑化する整流平滑手段と、
を備えた直列共振コンバータにおいて、前記電圧印加手段を制御する制御手段であって、
前記第1の整流素子に電流が流れたか否かと、前記第2の整流素子に電流が流れたか否かと、を検出する電流検出部を備え、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加した場合には、前記第1の整流素子が導通し、
前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加した場合には、前記第2の整流素子が導通し、
前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出すると、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止することを特徴とする直列共振コンバータの制御手段。
【請求項11】
前記電流検出部は、前記第1の整流素子の両端の電圧と、前記第2の整流素子の両端の電圧と、を検出する電圧検出部を備えることを特徴とする請求項10に記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項12】
前記電流検出部により前記第1の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第2電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第1電圧を印加する第1期間を、前記第2電圧を印加していた期間と同一となるように設定し、
前記電流検出部により前記第2の整流素子に電流が流れたことを検出し、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに対する前記第1電圧の印加を停止した際に、前記電圧印加手段を制御して前記トランスの1次巻線と前記第1のインダクタと前記第2のインダクタと前記キャパシタとに前記第2電圧を印加する第2期間を、前記第1電圧を印加していた期間と同一となるように設定することを特徴とする請求項10または11に記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項13】
前記第1のインダクタは、前記トランスの漏れインダクタンスを用いて設けられることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段。
【請求項14】
前記第1期間を開始してから所定時間が経過するまでと、前記第2期間を開始してから所定時間が経過するまでと、に所定の不感期間を設けることを特徴とする請求項4、8、または12のいずれかに記載の直列共振コンバータの制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−187478(P2010−187478A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30194(P2009−30194)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】