説明

直動案内装置の設置構造

【課題】設置対象物の設計を制限することなく、案内レールの変形を抑えて設置することが可能な直動案内装置の設置構造を提供することを課題とする。
【解決手段】直動案内装置の案内レール10を構成するレール部材50の連結部分50aを、側壁12の外側面12c,12c側への変形を抑制するように押さえ手段60が押さえた状態で、直動案内装置を設置対象物70に設置している。これにより、連結部分50aの剛性を高めることができるため、スライダ20が案内レール10を相対移動する際の、連結部分50aの開き量を抑制することができる。したがって、案内レール10の変形が起こりにくい。その結果、スライダ20が連結部分50aを通過する際に位置ズレが生じにくいので、本実施形態の直動案内装置は高精度である。また、案内レール10をはめ込む溝等を設ける必要がなく、設置対象物70の設計を制限しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直動案内装置の一例として、軸方向に延びる帯状の底板と該底板の両側部からそれぞれ同方向に延びる側壁とからなり前記両側壁の内側面にそれぞれ転動体軌道面が軸方向に形成された断面略U字状の案内レールと、該案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記両側壁の間に配されたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面と前記スライダの転動体軌道面との間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体とを備える直動案内装置が知られている。そして、長尺な案内レールが必要な際には、複数のレール部材の端部同士を連結して長尺化したものを案内レールとして使用する場合がある。
【0003】
このような構造の直動案内装置においては、スライダが案内レールを相対移動する際に、各レール部材の両側壁が外側面側へ開くように変形する。この時、各レール部材同士の連結部分は各レール部材の軸方向端部にあたるため、レール部材の中ほどに比べて剛性が弱く外側へ開きやすくなっており、その開き量が大きくなる。連結部分の開き量が大きくなると、スライダの位置ズレが生じるため、その部分において精度が悪化してしまうおそれがある。
【0004】
これに対し、図4に示すように、レール部材同士の連結部分となっていないレール部材の軸方向端部(案内レールの軸方向端部)に側板を取り付けることで、案内レールの軸方向端部の変形を抑制することができる。しかし、連結部分となっているレール部材の軸方向端部には、スライダが通過する必要があるため側板を取り付けることができず、案内レール全体の変形を十分に抑制することができないという問題がある。
このような問題に対し、特許文献1には、案内レールを設置対象物に固定する際に、案内レールの取り付け穴の位置を工夫することによって、案内レールの開き量を抑えた直動案内装置が記載されている。すなわち、底板ではなく、両側壁の上端部分を設置対象物に固定することによって、案内レールの開き量を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平06−30527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の直動案内装置は、案内レールが取り付けられる設置対象物に案内レールをはめ込む溝を設ける必要があり、また、案内レールの全長において上記の対策が必要であるため、設置対象物の設計に制限ができてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、設置対象物の設計を制限することなく、案内レールの変形を抑えて設置することが可能な直動案内装置の設置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様に係る直動案内装置の設置構造は、軸方向に延びる帯状の底板と該底板の両側部からそれぞれ立設された側壁とからなり前記両側壁の内側面にそれぞれ転動体軌道面が軸方向に形成された断面略U字状の案内レールと、該案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記両側壁の間に配されたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面と前記スライダの転動体軌道面との間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記案内レールが、複数のレール部材が軸方向に連結されてなる直動案内装置を、設置対象物に設置し、該設置対象物に固定した押さえ手段で、前記レール部材同士の連結部分の前記側壁の外側面側への変形を抑制するように、前記側壁の外側面を押さえたことを特徴とする。
【0008】
また、上記直動案内装置の設置構造においては、前記押さえ手段は、前記連結部分の前記側壁の外側面を押さえる押さえ部と、前記押さえ部の押さえ力の大きさを調整する押さえ力調整部と、前記押さえ力調整部を支持し且つ前記設置対象物に固定される固定部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の直動案内装置の設置構造は、設置対象物に固定された押さえ手段が、レール部材同士の連結部分の側壁の外側面側への変形を抑制するように、側壁の外側面を押さえている。これにより、レール部材同士の連結部分の剛性を高めることができるため、レール部材の連結部分の開き量を抑制することができる。したがって、設置対象物の設計の制限を受けることなく、案内レールの変形を抑えて、直動案内装置を設置対象物に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る直動案内装置の設置構造の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内装置の設置構造を軸方向から見た断面図である。
【図3】本発明に係る直動案内装置の設置構造の第2実施形態を軸方向から見た断面図である。
【図4】側板が取り付けられた従来の直動案内装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る直動案内装置の設置構造の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る直動案内装置の設置構造の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1の直動案内装置の設置構造を軸方向から見た断面図である。なお、これ以降の各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。
図1の直動案内装置は、軸方向に延びる断面略U字状の案内レール10に、断面略角形のスライダ20が相対移動可能に組み付けられてなり、ねじ止め等の慣用の方法により案内レール10が設置対象物70に固定されている。なお、前記断面とは、軸方向に直交する平面で切断した断面である。
【0012】
案内レール10は、軸方向に延びる帯状の底板11の両側部から側壁12がそれぞれ同方向に延びてなり、底板11と側壁12,12とは直角をなしているため、案内レール10の断面形状は略U字状をなしている。そして、案内レール10の内面は、底板11の内側の面である内側面11aと、側壁12,12の内側の面である内側面12a,12aとからなり、案内レール10の断面形状は、スライダ20の外面の断面形状に沿う形状とされている。また、断面略角形のスライダ20は、側壁12,12の間に配されており、外面として、軸方向両端面と、軸方向に伸びる4面とを有している。
【0013】
案内レール10は、その内面のうち底板11の内側面11aがスライダ20の前記4面のうち1面20aと対向しており、側壁12,12の内側面12a,12aが前記1面20aに隣り合う面20b,20bとそれぞれ対向している。なお、本実施形態においては、底板11の外側面を直動案内装置の下面とし、スライダ20の面20aと平行な面20cを直動案内装置の上面とする。側壁12,12の内側面12a,12aの上下方向の中間位置には、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体軌道面12b,12bが形成されている。
【0014】
また、スライダ20は、スライダ本体21と、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ22,22と、で構成されている。さらに、スライダ20の両端部(各エンドキャップ22の端面)には、案内レール10とスライダ20との間の隙間の開口をシールするサイドシール(図示せず)が装着されている。さらに、案内レール10の側壁12の内側面12a,12aに対向する、スライダ本体21の側面20b,20bには、案内レール10の転動体軌道面12b,12bに対向する、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体軌道面20d,20dが形成されている。
【0015】
そして、案内レール10の転動体軌道面12b,12bとスライダ20の転動体軌道面20d,20dとの間に、断面ほぼ円形の転動体転動路13,13が形成されていて、これらの転動体転動路13は軸方向に延びている。なお、案内レール10及びスライダ20が備える転動体軌道面20d,12bの数は片側一列に限らず、例えば片側二列又は三列以上などであってもよい。また、転動体軌道面20d,12bの断面形状は、前述したように単一の円弧からなる円弧状でもよいが、曲率中心の異なる2つの円弧を組合せてなる略V字状(ゴシックアーク形状溝)でもよい。
【0016】
この転動体転動路13内には、多数の転動体30が転動自在に装填されていて、これらの転動体30の転動を介してスライダ20が案内レール10に沿って軸方向に移動するようになっている。なお、転動体の種類はボールに限定されるものではなく、転動体としてころも使用可能である。また、転動体30の間にスペーサーを介装してもよい。
さらに、スライダ20は、スライダ本体21の内部に、転動体転動路13と平行をなして軸方向に貫通する断面ほぼ円形の貫通孔からなる直線状路(図示せず)を備えている。
【0017】
一方、エンドキャップ22,22は、例えば樹脂材料の射出成形品からなり、断面形状が略角形に形成されている。また、エンドキャップ22,22の裏面(スライダ本体21との当接面)の左右両側には、断面ほぼ円形の半ドーナツ状の湾曲路(図示せず)が形成されている。このエンドキャップ22,22をスライダ本体21に取り付けると、湾曲路によって転動体転動路13と直線状路とが連通される。直線状路と両端の湾曲路とで、転動体30を転動体転動路13の終点から始点へ送る転動体戻し路が構成され、転動体転動路13と前記転動体戻し路とで、略環状の転動体循環路が案内レール10を挟んで左右両側に形成される。
【0018】
案内レール10に取り付けられたスライダ20が案内レール10に沿って軸方向に移動すると、転動体転動路13内に装填されている転動体30は、転動体転動路13内を転動しつつ案内レール10に対してスライダ20と同方向に移動する。そして、転動体30が転動体転動路13の終点に達すると、転動体転動路13からすくい上げられ湾曲路へ送られる。湾曲路に入った転動体30はUターンして直線状路に導入され、直線状路を通って反対側の湾曲路に至る。ここで再びUターンして転動体転動路13の始点に戻り、このような転動体循環路内の循環を無限に繰り返す。
【0019】
案内レール10は、案内レール10と同様の形状を有し、軸方向長さが案内レール10より短い複数のレール部材50を、その軸方向端部同士を連結して形成される。レール部材50の連結方法は、特に限定されるものではないが、ねじ止め,圧入,接着,溶接等の慣用の固着手段を問題なく用いることができる。レール部材50の軸方向端部同士が連結した部分である連結部分50aは、底板11の軸方向端面11b及び側壁12,12の軸方向端面12dが連結した部分である。連結部分50aの側壁12,12の外側面12c,12cは、押さえ手段60により外側から押さえられている。これにより、連結部分50aの側壁12,12の外側面12c,12c側への変形を抑制することができる。
【0020】
押さえ手段60は、連結部分50aの外側面12c,12cを押さえた状態で、直動案内装置を設置する対象物である設置対象物70に固定されている。押さえ手段60は、外側面12c,12cの形状に沿い、且つ、外側面12c,12cを押さえる押さえ部60aと、設置対象物70の外面の形状に沿い、且つ、設置対象物70に固定される固定部60bとからなる。そして、押さえ部60aと固定部60bとは直角を成し、全体として略L字状に形成されている。なお、押さえ手段60は、押さえ部60aと固定部60bとが一体に形成されたものでもよいし、別に作製した押さえ部60aと固定部60bとを後に組み合わせたものでもよい。また、本実施形態においては、押さえ手段60は各レール部材50の軸方向端部毎に設けられ、連結する2つのレール部材50のそれぞれの軸方向端部に押さえ手段60が2つ並べられて設けられているが、連結する2つのレール部材50の連結部分50a全体を覆うように1つの押さえ手段60を設けて、1つの押さえ手段60により連結部分50aを押さえることとしてもよい。
【0021】
押さえ手段60の設置対象物70への固定方法は、特に限定されるものではないが、ねじ止め,圧入,接着,溶接等の慣用の固着手段を問題なく用いることができる。図2においては、押さえ手段60は、ねじ80により設置対象物70に固定されている。また、押さえ手段60の材質は特に限定されるものではないが、例えば、金属,セラミックス,樹脂等があげられる。
【0022】
このような直動案内装置の設置構造によれば、直動案内装置の案内レール10を構成するレール部材50の連結部分50aが、その側壁12,12の外側面12c,12c側への変形が抑制されるように押さえ手段60により押さえられた状態で、直動案内装置が設置対象物70に設置されている。これにより、連結部分50aの剛性を高めることができる。そのため、スライダ20が案内レール10を相対移動する際の、レール部材50の連結部分50aの開き量を抑制することができる。したがって、案内レール10の変形が起こりにくい。その結果、スライダ20が連結部分50aを通過する際に位置ズレが生じにくいので、本実施形態の直動案内装置は高精度である。
また、本実施形態の直動案内装置の設置構造によれば、案内レール10をはめ込む溝等を設置対象物70に設ける必要がなく、直動案内装置を通常通りに平面上に設置することができるので、設置対象物70の設計を制限しない。
【0023】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態の直動案内装置の設置構造を軸方向から見た断面図である。なお、第2実施形態の構成及び作用・効果は、第1実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
押さえ手段60は、連結部分50aの側壁12,12の外側面12c側への変形を抑制するように、側壁12,12の外側面12c,12cを外側から押さえた状態で、直動案内装置を設置する対象物である設置対象物70に固定されている。詳述すると、押さえ手段60は、レール部材50同士の連結部分50aの側壁12の外側面12c側への変形を抑制するように連結部分50aの側壁12の外側面12cを押さえる押さえ部61と、押さえ部61の押さえ力の大きさを調整する押さえ力調整部62と、押さえ力調整部62を支持し且つ設置対象物70に固定される固定部63とからなる。
【0024】
固定部63は、2つの平板部が直角をなして形成されている略L字状の部材であり、壁板部63aが外側面12cから間隔を空けて外側面12cと平行に配されるとともに、底板部63bが設置対象物70に沿って配されている。そして、固定部63は、底板部63bを設置対象物70に固定することにより、設置対象物70に固定される。底板部63bの設置対象物70への固定方法は、特に限定されるものではないが、ねじ止め,圧入,接着,溶接等の慣用の固着手段を問題なく用いることができる。図3においては、底板部63bは、ねじ80により設置対象物70に固定されている。
【0025】
また、固定部63の壁板部63aには、軸方向と直交する方向(図3では左右方向)に形成された貫通孔が設けられており、この貫通孔に押さえ部61であるねじが挿通されている。この貫通孔の内面には雌ねじが形成されていて、押さえ部61の雄ねじと螺合しているため、これら雌ねじと雄ねじからなるねじ機構により、押さえ部61が軸方向と直交する方向に進退可能に固定部63に支持される。
【0026】
このねじ機構によって押さえ力調整部62が構成されている。すなわち、押さえ部61を回転させることによって、軸方向と直交する方向に押さえ部61を進退させ、側壁12の外側面12cを押さえる押さえ部61の先端面61aの位置を微調整することができるので、押さえ部61が側壁12の外側面12cを押さえる押さえ力の大きさを調整することができる。なお、本実施形態においては、押さえ力調整部62を、押さえ部61を進退可能に保持するねじ機構により構成したが、押さえ部61を進退可能に保持することができれば、ねじ機構に限定されるものではない。
【0027】
押さえ部61の先端面61aが、連結部分50aの外側面12c,12cに接する平板状部材であるレール開き抑え90を介して、側壁12の外側面12cを押さえている。レール開き抑え90は、設置対象物70には固定されておらず、連結部分50aの外側面12c,12cに接した状態で、外側面12c,12cと押さえ部61の先端面61aとの間に配されている。レール開き抑え90を介在させることにより、側壁12の外側面12cの広い範囲を押さえることができるので、連結部分50aの側壁12,12の外側面12c側への変形を安定的に抑制することができる。ただし、レール開き抑え90を介在させず、押さえ部61の先端面61aを外側面12c,12cに直接接触させて、連結部分50aの側壁12の外側面12を押さえてもよい。
【0028】
このような直動案内装置の設置構造によれば、直動案内装置の案内レール10を構成するレール部材50の連結部分50aが、押さえ手段60の押さえ部61により押さえられた状態で、直動案内装置が設置対象物70に設置されている。これにより、連結部分50aの剛性を高めることができる。そのため、スライダ20が案内レール10を相対移動する際の、レール部材50の連結部分50aの開き量を抑制することができる。したがって、案内レール10の変形が起こりにくい。その結果、スライダ20が連結部分50aを通過する際に位置ズレが生じにくいので、本実施形態の直動案内装置は高精度である。
【0029】
また、押さえ手段60は、押さえ部61の押さえ力を調整する押さえ力調整部62を備えているため、レール部材50の軸方向端部である連結部分50aを押さえる押さえ力が強すぎて、スライダ20の通過に悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。さらに、押さえ力が弱く、連結部分50aの開き量が大きくなってしまうことを防ぐことができる。
また、本実施形態の直動案内装置の設置構造によれば、案内レール10をはめ込む溝等を設置対象物70に設ける必要がなく、直動案内装置を通常通りに平面上に設置することができるので、設置対象物70の設計を制限しない。
なお、押さえ手段60を構成する材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属,セラミックス,樹脂等があげられる。
【0030】
また、本実施形態においては、押さえ手段60は各レール部材50の軸方向端部毎に設けられ、連結する2つのレール部材50のそれぞれの軸方向端部に押さえ手段60が2つ並べられて設けられているが、連結する2つのレール部材50の連結部分50a全体を覆うように1つの押さえ手段60を設けて、1つの押さえ手段60により連結部分50aを押さえることとしてもよい。
なお、第1及び第2実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は第1及び第2実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1及び第2実施形態の直動案内装置は、表面に段差のある設置対象物70の形状に沿うように設置されているが、表面が平らな設置対象物70に設置することも可能である。
【0031】
また、レール部材50同士の連結部分50aとなっていないレール部材50の軸方向端部(案内レール10の軸方向端部)にも、押さえ手段60を設けてもよい。
さらに、本発明は、図1のような直動案内装置に限らず、ボールねじ一体型の直動案内装置にも適用可能である。ボールねじ一体型の直動案内装置は、ボールねじと直動案内装置とが一体化されたものであり、図1の直動案内装置において、多数のボールを介してスライダと螺合するねじ軸を備えてなるものである。詳述すると、軸方向に貫通する貫通孔がスライダに形成されていて、該貫通孔にねじ軸が挿通されている。貫通孔の内面には、ねじ軸の外面に形成されたねじ溝に対向するねじ溝が形成されていて、両ねじ溝の間には複数のボールが転動自在に配されている。このため、ねじ軸への回転力の入力によりねじ軸が回転すると、両ねじ溝間のボールの転動によりスライダが軸方向に移動するようになっている。
【符号の説明】
【0032】
10 案内レール
11 底板
12 側壁
12a 内側面
12b 転動体軌道面
12c 外側面
13 転動体転動路
20 スライダ
20d 転動体軌道面
30 転動体
50 レール部材
50a 連結部分
60 押さえ手段
60a,61 押さえ部
62 押さえ力調整部
60b,63 固定部
70 設置対象物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる帯状の底板と該底板の両側部からそれぞれ立設された側壁とからなり前記両側壁の内側面にそれぞれ転動体軌道面が軸方向に形成された断面略U字状の案内レールと、該案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記両側壁の間に配されたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面と前記スライダの転動体軌道面との間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記案内レールが、複数のレール部材が軸方向に連結されてなる直動案内装置を、設置対象物に設置し、該設置対象物に固定した押さえ手段で、前記レール部材同士の連結部分の前記側壁の外側面側への変形を抑制するように、前記側壁の外側面を押さえたことを特徴とする直動案内装置の設置構造。
【請求項2】
前記押さえ手段は、前記連結部分の前記側壁の外側面を押さえる押さえ部と、前記押さえ部の押さえ力の大きさを調整する押さえ力調整部と、前記押さえ力調整部を支持し且つ前記設置対象物に固定される固定部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置の設置構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−237394(P2012−237394A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107333(P2011−107333)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】