説明

直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造するための方法

本発明は、(a)アニオン性の薬剤学的作用物質を、(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸と共に溶融物中で強力に混合し、該混合物を固化させ、かつ200μm以下の平均粒径を有する作用物質を含有する粉末へと粉砕し、該粉末を薬剤学的に通常の助剤からなる水溶性のマトリックス中に埋め込むことにより、ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤はコポリマーに対して3質量%より多く含有されていてはならない、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造する方法に関する。本発明はさらに、作用物質を含有する粉末およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造するための方法に関する。本発明はさらに、作用物質を含有する粉末およびその使用に関する。
【0002】
従来技術
EP−A0417588は、混合物を湿潤させるために十分な水量の存在下に作用物質と、相補的なイオノゲンの粒子状のポリマーとを反応させることにより、イオノゲン作用物質からなる錯化した薬剤を製造する方法を記載している。作用物質の塩の場合、作用物質の対イオンを中和するための酸または塩基を混合物に添加する必要がある。作用物質の塩、たとえばプロプラノロールHCl、ベラパミルHClまたはメトクロプラミドHClと、アニオン性の(メタ)アクリレートコポリマー、たとえばEUDRAGIT (R) LまたはEUDRAGIT (R) L100−55とを反応させる際に、該混合物にたとえば炭酸ナトリウムを添加する。この場合に、苦味のある作用物質の味のマスキングが達成されうる。さらに、イオノゲン作用物質が酸である場合、相補的なイオノゲン基として側位のアミノ基を有する粒子状のポリマーを使用することができることが言及されている。側位のアミノ基はたとえば2−ジメチルアミノ−エチル−メタクリレートのような重合したモノマーに由来する第三アミノ基であってもよい。
【0003】
WO01/39751は、
a)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−アルキルエステル30〜80質量%および第三アンモニウム基もしくはアミノ基をアルキル基中に有する(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%からなる(メタ)アクリレートコポリマーの溶融、その際、(メタ)アクリレートコポリマーは、1:1〜1:20の比での可塑剤および乾燥剤1〜70質量%を含有する混合物として存在しており、その際、可塑剤は少なくとも1質量%含有されており、ならびに離型剤が0.05〜5質量%含有されており、かつさらに、別の通常の添加剤および助剤および場合により薬剤学的な作用物質を混合物として含有していてもよく、かつ該混合物は溶融前に、120℃で少なくとも1.9バールの蒸気圧を有する低沸点成分の、0.5質量%を上回る含有率を有し、
b)該混合物を熱可塑性の状態で少なくとも120℃の温度でガス抜きし、これにより120℃において少なくとも1.9バールの蒸気圧を有する低沸点成分の含有率は最大で0.5質量%へと低下し、
c)溶融し、かつガス抜きした混合物を射出成形用金型の金型キャビティへ射出し、その際、金型キャビティは、(メタ)アクリレートコポリマーのガラス転移温度を少なくとも10℃下回る温度を有し、溶融混合物を冷却し、かつ得られた成形体を型から取り出す
方法工程を有する射出成形により成形体を製造する方法を記載している。
【0004】
WO02/67906は、実質的に、(a)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルと、官能性の第三アンモニウム基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマー、その際、該コポリマーは1〜40μmの平均粒径を有する粉末の形で存在しており、(b)少なくとも14のHLB価を有する乳化剤を(a)に対して3〜15質量%および(c)C12〜C18−モノカルボン酸またはC12〜C18−ヒドロキシル化合物を(a)に対して5〜50質量%、からなり、その際、成分(a)、(b)および(c)は水を添加するか、または添加しないで、および場合により薬剤学的な作用物質およびその他の通常の添加剤を添加して相互に混合し、かつ該混合物からなる被覆剤およびバインダーを溶融、流し込み、塗布、噴霧または造粒により製造する経口もしくは皮膚用の薬剤形のための被覆剤およびバインダーを製造する方法を記載している。
【0005】
WO02/67906によれば、アセチルサリチル酸、カルベノキソロン、セファロチン、エピネフリン、イミプラミン、ヨウ化カリウム、ケトプロフェン、レボドーパ、ニトラゼパム、ニトロプルシド、オキシテトラサイクリンHCl、プロメタジン、オメプラゾールまたはその他のベンズイミダゾール誘導体またはストレプトマイシンのような、特に湿分に敏感な作用物質を含有していてもよい、特に貯蔵安定性の薬剤形が得られる。
【0006】
しばしば苦味を引き起こすことがあり、かつWO02/67906に記載されている被覆剤およびバインダーにより有利に味をマスキングするように調製することができる作用物質群および物質はたとえば次のものである:
鎮痛薬および抗リウマチ薬:パラセタモール、ジクロフェナック、アセクロフェナック、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルビプロフェン、レバセチルメタドール、オキシコドン、
精神作用薬:プロメタジン、ドネペジル、モダフィニル、ネファゾドン、レボキセチン、セルチンドール、セルトラリン、
抗生物質:エリスロマイシン、ロキシトロマイシン、クラリスロマイシン、グレパフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、ネビラピン、
β−遮断薬:プロパノロール、メトプロロール、ビソプロロール、ネビボロール、
抗糖尿病薬:メトフォルミン、ミグリトール、レパグリニド、
H1抗ヒスタミン薬:ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン、ミゾラスチン、
H2抗ヒスタミン薬:シメチジン、ニザチジン、チクロピジン、セトリジン、ラニチジン、
ビタミン:チアミンニトレート、
ならびにその他の作用物質:キニジン硫酸塩、アミロプリロースHCl、塩酸プソイドエフェドリン、シルデナフィル、トピラメート、グラニセトロン、レバミピド、キニンHCl。
【0007】
課題および解決手段
多くの経口薬剤形における問題は、嚥下がしばしば液体、たとえば一口の水の利用を必要とすることである。これは、必要な場合には飲料が手に入らない場合、またはたとえば薬を服用することができるために、目下の職業的な活動を中断しなくてはならない場合に不利である。多くの患者のためにはさらに、他人が存在する場合にいわば観察され、かつ薬を服用することが注目を集めることが不快であり、このことは、飲料を使用しなくてはならないか、またはこの目的のために飲料を頼まなくてはならない場合には一層人目を引く。
【0008】
従って多くの患者は、特に老人および子供が挙げられるが、容易に、かつ目立たずに実質的に任意の場所で服用することができる経口薬剤形を望んでいる。このことは特に、極めて時間に正確に、または必要な場合には直ちに服用すべき、もしくはしなくてはならない疾患の場合、たとえば鎮痛剤の場合に該当する。
【0009】
さらに、含有されている作用物質、たとえば鎮痛薬を経口摂取の際にすでに口中で放出し、かつこうして迅速に作用することができる薬剤形に対する要求が存在する。公知の適用形はたとえば圧縮錠剤または口内錠、凍結乾燥錠剤、注型錠剤または香錠、サッシェ、チュアブル錠、ドライシロップおよび/または液体が充填されたロゼンジである。
【0010】
しかしこれらの迅速に崩壊する薬剤形の多くは、該薬剤形が口中で砂のような味を生じ、錠剤成分が完全に溶解するまでこれが数分間継続しうるという欠点を有する。この口中での砂のような味は不快に感じられ、かつ咳を生じる刺激となりうる。この場合のもう1つの問題は、苦味のある作用物質の味のマスキングである。口中での作用物質の放出の要求に基づいて、公知の味をマスキングする被覆を使用することができない。
【0011】
これらの問題を解決するために、液体なしで服用することができ、かつ作用物質を直接放出する薬剤形を提供すべきである。その際、口中で砂のような味は生じるべきではない。該薬剤形は多数の作用物質のために適切であるべきであるが、しかし特に抗リウマチ薬の群の鎮痛薬のため、または抗生物質のために適切であるべきである。
【0012】
前記課題は、
(a)アニオン性の薬剤学的作用物質を、
(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに
(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸と共に
溶融物中で強力に混合し、該混合物を固化させ、かつ200μm以下の平均粒径を有する作用物質を含有する粉末へと粉砕し、該粉末を薬剤学的に通常の助剤からなる水溶性のマトリックス中に埋め込むことにより、ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤はコポリマーに対して3質量%より多く含有されていてはならない、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造する方法
により解決される。
【0013】
これまで理解されていなかった方法で本発明の利点はWO02/67906の場合と異なってアニオン性の作用物質の場合にのみ生じる。請求の範囲に記載した成分(a)、(b)および(c)の、WO02/67906からはこの方法で導き出すことができない、熱により誘導される相互作用が生じるのかもしれない。本発明により得られる薬剤形は付加的な液体がなくても良好に服用可能であり、かつ口中で作用物質を放出した後でも砂のような味を生じない。
【0014】
発明の実施
本発明は、
(a)アニオン性の薬剤学的作用物質を、
(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに
(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸と共に
溶融物中で強力に混合し、該混合物を固化させ、かつ200μm以下の平均粒径を有する作用物質を含有する粉末へと粉砕し、該粉末を薬剤学的に通常の助剤からなる水溶性のマトリックス中に埋め込むことにより、ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤はコポリマーに対して3質量%より多く含有されていてはならない、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造する方法に関する。
【0015】
薬剤学的な作用物質(a)
アニオン性の薬剤学的な作用物質は、溶融物中での製造により条件付けられて、「固溶体」の形でコポリマー中に埋め込まれて存在している。「固溶体」の状態はたとえば偏光顕微鏡中で、熱分析(示差走査熱分析(DSC))により、またはX線回折スペクトル中で検出することができる。
【0016】
作用物質対コポリマーの質量%に対する量比は有利には2:1〜1:2である。有利にはコポリマーは同じ量で、または過剰量で存在している。
【0017】
アニオン性作用物質(a)は有利にはアニオン性の鎮痛薬、アニオン性の抗リウマチ薬またはアニオン性の抗生物質である。
【0018】
作用物質を含有する粉末はたとえば次の作用物質を含有していてよい:
アカンプロセート、アセクロフェナック、アセメタシン、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アセチルチロシン、アシピモックス、アシトレチン、アラニン、アレンドロン酸、アメトプテリン、アミノ酸、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アトルバスタチン、アジドシリン、アズトレオナム、バカンピシリン、バクロフェン、ベンアゼプリル、ベンダムスチン、ベンジルペニシリン、ベザフィブレート、ビオチン、ボルナプリン、ブメタニド、カバスチン、カンレノイン酸、カルバモイルフェノキシ酢酸、カルビドーパ、カルビマゾール、カルボシステイン、カリソプロドール、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファゾリン、セフェピム、セフェタメート、セフィキシム、セフォタキシム、セフォチアム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフロキシム、セチリジン、ケノデオキシコール酸、クロラムブシル、シドフォビル、シラスタチン、シラザプリル、シノキサシン、シプロフロキサシン、シサトラクリウムベシレート、クラブラン酸、クロドロン酸、クロラゼペート、クロモグリシン酸、デスメニノール、ジクロフェナック、ジクロキサシリン、エノキサシン、エプロサルタン、エタクリン酸、エチドロン酸、エトフィリン、エトミデート、フェルビナック、フェロジピン、フェノフィブレート、フェキソフェナジン、フラボキセート、フレロキサシン、フルクロキサシリン、フルフェナミン酸、フルマゼニル、フルピルチン、フルルビプロフェン、フルバスタチン、ホスホマイシン、ホシノプリル、フロセミド、フシジン酸、ギャバペンチン、ゲンフィブロジル、イバンドロン酸、イブプロフェン、イロプロスト、イミダプリル、イミペネム、インドメタシン、イリノテカン、イスラジピン、ケトプロフェン、レルカニジピン、レボドーパ、レボフロキサシン、リオチロニン、リポン酸、リシノプリル、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロナゾラック、ロラカルベフ、ロラタジン、ロバスタチン、メフェナム酸、メロペネム、メサラジン、メタミゾール、メトトレキセート、メチルドーパ、メズロシリン、モエキシプリル、モンテルカスト、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナプロキセン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネドクロミル、ニコチン酸、ニフェジピン、ジバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルサラジン、オロト酸、オキサシリン、パミドロン酸、パンガム酸、ペニシラミン、フェノキシメチルペニシリン、ペントサンポリスルフェート、ペリンドプリル、ペチジン、ピペミド酸、ピペラシリン、ピレノキシン、ピレタニド、プロベネシド、プログルミド、プロピシリン、プロスタグランジン、キナプリル、キナプリレート、ラミプリル、レパグリニド、レセルピン、リセドロン酸、サリチル酸、スルファサラジン、スピラプリル、スルバクタム、スルファサラジン、スルタミシリン、タザロテン、タゾバクタム、テルミサルタン、チアガビン、チアプロフェン酸、チリジン、チルドロン酸、トランドラプリル、トラネキサム酸、バルプロ酸、ビガバトリン、ビンカミン、ビンポセチン、ザナミビル、ゾレドロン酸、ゾピクロンおよび/またはこれらの塩、異性体および/または組合せ。
【0019】
コポリマー(b)
コポリマー(a)は、ほぼ、または完全にアクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルと、官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーとからなる。
【0020】
官能性第三アミノ基を有する適切なモノマーはUS4,705.695、第3欄、第64行目から第4欄、第13行目に記載されている。特にジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノベンジルアクリレート、ジメチルアミノベンジルメタクリレート、(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート、ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレート、(3−ジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレートおよびジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレートが挙げられる。特に有利であるのはジメチルアミノエチルメタクリレートである。
【0021】
コポリマー中の、第三アミノ基を有するモノマーの含有率は有利には30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%であってよい。アクリル酸もしくはメタクリル酸のC〜C−エステルの割合は70〜30質量%である。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが挙げられる。
【0022】
成分(b)に相応する、第三アミノ基を有する(メタ)アクリレートコポリマーはたとえばメチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%およびジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%から構成されていてよい。調製物における成分(a)の割合は有利には50〜90質量%である。
【0023】
コポリマー(b)は自体公知の方法でラジカル塊状重合、溶液重合、パール重合またはエマルション重合により得られる。これらは投与の前に適切な粉砕、乾燥もしくは噴霧工程により適切な粒径範囲にすることができる。顆粒および粉末が適切である。適切な市販品はたとえばEUDRAGIT (R) E100(顆粒)またはEUDRAGIT (R) EPO(粉末)である。
【0024】
成分(c)
成分(c):C12〜C22−カルボン酸5〜50質量%、有利には10〜20質量%(コポリマー成分(b)に対する)。成分(c)は加工性のために重要である。有利であるのは非分枝鎖状のC12〜C22−モノカルボン酸である。場合により前記の物質の分枝鎖状の誘導体もまた適切であり得る。
【0025】
12〜C22−モノカルボン酸はたとえば特にラウリン酸およびミリスチン酸である。パルミチン酸およびステアリン酸が有利である。
【0026】
少なくとも14のHLB価を有する乳化剤
少なくとも14のHLB価を有する乳化剤は3質量%未満、有利には2もしくは1質量%未満含有されており、特にはこのような乳化剤は含有されていないほうがよい。その理由は、出発材料の粉末構造中にあり、該材料中にこのような乳化剤の固有の味が特に生じるからである。意外にもWO02/67906の教示とは反対に、特別な本発明による方法を使用して乳化剤の使用を断念することも可能である。
【0027】
乳化剤または界面活性剤は、リオバイポーラ(lyobipolar)特性を有する、つまりその分子中に無極性の親油性中心および極性の親水性中心が存在する界面活性物質である(P.H.List、Arzneiformenlehre、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart、1982年、第6.2.章)。分子構造に応じてイオノゲンおよび非イオノゲンの乳化剤を区別する。
【0028】
HLB価は1950年にGriffinにより導入された、非イオン性界面活性剤の親水性もしくは親油性の尺度である。Marszellによるフェノール滴定法による実験により測定することができる。”Parfuemerie、Kosmetik”、第60巻、1979年、第444〜448頁を参照のこと。その他の文献の示唆はRoempp、Chemie−Lexikon、第8版、1983年、第1750頁を参照のこと。さらにたとえばUS4,795,643を参照されたい(Seth)。
【0029】
HLB価(親水性−親油性−バランス価)は非イオン性乳化剤の場合にのみ正確に測定することができる。アニオン性乳化剤の場合、この値は計算によって算出することができるが、しかし実質的に常に14を超えるか、またははるかに上回る。
【0030】
14を上回るHLB価を有する乳化剤とは、少なくとも14のHLB範囲を有する親水性の非イオン性乳化剤ならびに同様に計算によるHLB価が14を上回る親油性のアニオン性乳化剤およびこれらの塩であると理解される。14を上回るHLB価を有する乳化剤の例はたとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびセチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸サッカロースおよびポリソルベート80である。
【0031】
14より低いHLB価を有する乳化剤、たとえばモノステアリン酸グリセロールはこれに対して3質量%を上回る量で含有されていてもよい。
【0032】
薬剤学的に通例の助剤
粉末は薬剤学的に通例の助剤からなる水溶性のマトリックス中に埋め込まれている。
【0033】
充填剤及びバインダー
水溶性のマトリックスは主として充填剤およびバインダーから形成される。これは有利には水溶性の単糖類、二糖類、オリゴ糖類または多糖類またはこれらの誘導体、さらにペプチド、蛋白質などである。その例はたとえばラクトース、フルクトース、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マンニット、ラムノース、トラガント、デキストリン、ガーゴム、ソルビトール、キシリトール、イソマトース、サッカロース、マルトース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、デンプン加水分解物、ゼラチンである。
【0034】
薬剤被覆またはコーティング中の通例の添加剤の使用量およびその使用は当業者に周知である。通常の添加剤はたとえば離型剤、顔料、安定剤、酸化防止剤、細孔形成剤、浸透促進剤、香料または矯味剤であってよい。これらは加工助剤として役立ち、かつ確実で、再現性のある製造法ならびに良好な貯蔵安定性を保証するべきであるか、または薬剤形において付加的な有利な特性を達成すべきである。
【0035】
離型剤
離型剤は通常、親油性の特性を有し、かつ通常、噴霧懸濁液に添加される。これはフィルム形成の間の核の凝集を防止する。有利にはタルク、ステアリン酸MgもしくはCa、粉砕されたケイ酸、カオリンまたは3〜8のHLB価を有する非イオン性の乳化剤を使用する。本発明による被覆剤およびバインダー中の離型剤の通常の使用量は薬剤形に対して0.1〜10質量%である。
【0036】
顔料
添加は可溶性の着色剤の形で行われることは希である。通常、酸化アルミニウム顔料または酸化鉄顔料を分散させる。本発明による被覆剤およびバインダー中で顔料のための通常の使用量は薬剤形に対して1〜10質量%である。
【0037】
基本的に当然のことながら全ての使用物質は毒物学的に懸念がなく、かつ薬剤中で患者にとって危険なく使用することができなくてはならない。
【0038】
別の添加剤は可塑剤であってもよい。通常の量は0〜50質量%、有利には0〜20質量%、特に0〜10質量%である。しかし特に有利であるのは最大で5質量%であるか、または可塑剤が含有されていないことである。というのも、調製物は成分(c)の存在によりしばしばすでに十分弾性であり、かつ付加的な可塑剤は不所望の粘着性を生じうるからである。
【0039】
可塑剤
可塑剤は種類(親油性であるか、または親水性であるか)および添加される量に応じてポリマー層の官能性に影響を与えることができる。可塑剤はポリマーとの物理的な相互作用によってガラス転移温度の低下をもたらし、かつ添加される量に依存してフィルム形成を促進する。適切な物質は通常、100〜20000の分子量を有し、かつ分子中に1以上の親水基、たとえばヒドロキシル基、エステル基またはアミノ基を有する。
【0040】
適切な可塑剤の例はクエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケートおよびポリエチレングリコール200〜12000である。有利な可塑剤はトリエチルシトレート(TEC)、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)およびジブチルセバケート(DBS)である。さらに、通常、室温で液状のエステル、たとえばクエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステルまたはひまし油が挙げられる。有利にはクエン酸エステルおよびセバシン酸エステルを使用する。可塑剤の混合物を使用することもできる。
【0041】
製造法
本発明による方法は、溶融物中で成分(a)、(b)および(c)を強力に混合することにより、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造することを考慮に入れている。80〜200℃、有利には100〜180℃の範囲の加工温度が適切である。有利には溶融物中での強力な混合の目的のために、二軸スクリュー押出機を使用する。硬化後に、該混合物を粉砕して作用物質を含有する粉末が得られる。粉末の平均粒径は200μm以下、有利には50〜150μmであるべきである。
【0042】
粉末の平均粒径もしくは粒子径は次のとおりに測定することができる:わずかなフラクションへの、粉砕生成物の容易な分離のためにエアージェット分級により。この方法はこの測定範囲において、代替法よりも若干不正確である。しかし質量に対して少なくとも70%、有利には90%が200μm以下、有利には50〜150μmの本発明による粒径範囲にあるべきである。好適な測定法は粒径分布を測定するためのレーザー回折である。市販の装置は空気中(Malvern S3.01 Partikelsizer)か、または有利には液状の媒体(LOT社、Galai CIS 1)中での測定を可能にする。液体中での測定のための前提は、ポリマーがその中で溶解しないか、または粒子がその他の方法で測定中に変化しないことである。適切な媒体はたとえば著しく希釈した(約0.002%の)水性ポリソルベート80溶液である。
【0043】
作用物質を含有する粉末は錠剤、口内錠、凍結乾燥錠剤、注型錠剤または香錠、サッシェ、チュアブル錠、ドライシロップ、ロゼンジおよび/または液体が充填されたロゼンジへ加工することができる。
【0044】
これらの加工は通常、複数の工程で行われる。まず作用物質を含有するコポリマー粉末を薬剤学的な助剤と混合し、かつたとえば直接、錠剤、口内錠またはチュアブル錠へと圧縮成形することができる。混合物は水で練り、型に充填し、かつ凍結乾燥して凍結乾燥錠剤が得られてもよい。注型された錠剤または香錠は、作用物質を含有するコポリマー粉末を、たとえばサッカリド溶液と高めた温度で混合し、たとえば錠剤またはロゼンジ用の型へ注型し、かつ冷却することによって固化させることにより得ることができる。液体が充填されたロゼンジは、作用物質を含有するコポリマー粉末を含有する液状の混合物を、たとえば糖からなる固体の外被中に射出し、かつ外被を引き続き封鎖することによって製造することができる。
【0045】
作用物質を含有する粉末
作用物質を含有する粉末は200μm以下、有利には50〜150μmの平均粒径を有し、かつ
(a)アニオン性の薬剤学的な作用物質、これは固溶体の形で存在し、かつ次のものに埋め込まれている、
(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに
(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸
を含有し、
(d)ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤は含有されていないか、またはコポリマーに対して3質量%未満含有されている。
【0046】
使用
作用物質を含有する粉末はすでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出し、放出後に30秒間、苦味を引き起こさない経口薬剤形を製造するために使用することができる。該薬剤形は圧縮成形された錠剤または口内錠、凍結乾燥錠剤、注型錠剤または香錠、サッシェ、チュアブル錠、ドライシロップ、ロゼンジおよび/または液体が充填されたロゼンジの形で存在していてよい。
【0047】
苦味の値
味のマスキングの試験は味見をすることによってに容易な方法で官能検査により行うことができる。この試験の際に作用物質の放出後は少なくとも30秒間、なお苦味が感じられないか、またはわずかに感じるのみであるべきである。苦味の値の測定はより正確である。苦味がないか、またはわずかであるのは1000以下の苦味の値に相応する。苦味の値はDAB1999、方法2.8.N8(苦味の値の測定)により測定することができる。
【0048】
たとえばイブプロフェンは100000前後の苦味の値を有する一方で、埋め込まれたアニオン性作用物質に関する本発明による値は通常、1000以下、有利には100以下である。1000の苦味の値は薬剤学的な実地において通常は十分である。
【0049】
実施例
実施例で使用されるコポリマー:
EUDRAGIT (R) EPO:25:2550の比でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびジメチルアミノエチルメタクリレートからなり、平均粒径15μmを有するコポリマー粉末。
【0050】
EUDRAGIT (R) E100:25:25:50の比でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびジメチルアミノエチルメタクリレートからなる、顆粒の形のコポリマー。
【0051】
味のマスキングの効果は味見をすることによって官能検査により試験した。その際、口中への摂取および苦味の発生が確認された。
【0052】
例1
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドは、コポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸1モル、イブプロフェン0.66モル、タルク0.18モルを含有する。
【0053】
EUDRAGIT (R) EPO 39.42g、ステアリン酸35.2g、イブプロフェン16.9gおよびタルク8.4gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、2分後に苦い味はしなかった。
【0054】
例2
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.5モル、イブプロフェン0.66モル、タルク0.18モルを含有する。
【0055】
EUDRAGIT (R) EPO 47.85g、ステアリン酸21.85g、イブプロフェン20.5gおよびタルク10.25gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、2分後に苦い味はしないか、またはわずかに苦味を感じるのみであった。
【0056】
例3
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.65モル、イブプロフェン0.65モル:タルク0.18モルを含有する。
【0057】
EUDRAGIT (R) EPO 44.8g、ステアリン酸26.4g、イブプロフェン19.2gおよびタルク9.6gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、2分後に苦い味はしなかった。
【0058】
例4
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.33モル、イブプロフェン0.66モル、タルク0.18モルを含有する。
【0059】
EUDRAGIT (R) EPO 51.6g、ステアリン酸15.23g、イブプロフェン22.1gおよびタルク11gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、1分後にわずかに苦味を感じた。
【0060】
例5
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.34モル、イブプロフェン1モル、タルク0.27モルを含有する。
【0061】
EUDRAGIT (R) EPO 34.73g、ステアリン酸15.52g、イブプロフェン33.1gおよびタルク16.58gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、1分後に苦味を感じる。
【0062】
比較例6:(作用物質カフェイン、本発明によらない)
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.5モル、カフェイン(融点:234〜239℃)1.58モルを含有する。
【0063】
EUDRAGIT (R) EPO 41.47g、ステアリン酸18.53g、カフェイン40gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、10秒後に苦味を感じる。
【0064】
比較例7:(ステアリン酸を含有しない)
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、イブプロフェン0.67モル、タルク0.18モルを含有する。
【0065】
EUDRAGIT (R) EPO 60g、イブプロフェン26.4gおよびタルク13.2gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、10秒後に苦味を感じる。
【0066】
比較例8:(作用物質パラセタモール、本発明によらない)
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.5モル、パラセタモール2.03モル(融点:168〜172℃)を含有する。
【0067】
EUDRAGIT (R) EPO 41.47g、ステアリン酸18.53g、パラセタモール40gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、直ちに苦味を感じる。
【0068】
比較例9:(作用物質パラセタモール、本発明によらない)
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.5モル、パラセタモール1モルを含有する。
【0069】
EUDRAGIT (R) E100 41.5%、ステアリン酸18.53%およびパラセタモール40%を一緒に18mmの二軸スクリュー押出機中、100℃〜172℃の温度範囲で押し出した。172℃が生じる押出機の範囲で、均質な溶融物が得られるように、スクリューは特に強力に混合するように設計されていた。こうして得られたコンパウンドは直ちに苦味を感じる。
【0070】
例10
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.06モル、イブプロフェン0.77モルを含有する。
【0071】
EUDRAGIT (R) EPO 100g、ステアリン酸5gおよびイブプロフェン50gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、30〜60秒後に苦味を感じる。
【0072】
例11
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ステアリン酸0.12モル、イブプロフェン0.77モルを含有する。
【0073】
EUDRAGIT (R) EPO 100g、ステアリン酸10gおよびイブプロフェン50gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、1分後に苦味を感じる。
【0074】
比較例12:(ステアリン酸の代わりにC12−アルコール化合物)
ジメチルアミノエチルメタクリレート単位1モルを含有するコンパウンドはコポリマーEUDRAGIT (R) EPO中に、ドデカノール0.34モル、イブプロフェン0.77モルを含有する。
【0075】
EUDRAGIT (R) EPO 100g、ドデカノール20gおよびイブプロフェン50gを秤量し、かつ一緒に100℃に予熱したIKAメジャリングニーダーに添加し、ここで該混合物を生成物温度100℃で20分間、60回転/分(2の混練羽根)で混練した。該混合物を混練機から取り出し、かつドライアイスで冷却した。このコンパウンド1gを口中に含むと、20秒後に苦味を感じ、かつドデカノールの不快な味を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アニオン性の薬剤学的作用物質を、
(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに
(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸と共に
溶融物中で強力に混合し、該混合物を固化させ、かつ200μm以下の平均粒径を有する作用物質を含有する粉末へと粉砕し、該粉末を薬剤学的に通常の助剤からなる水溶性のマトリックス中に埋め込むことにより、ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤はコポリマーに対して3質量%より多く含有されていてはならない、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造する方法。
【請求項2】
溶融物中での強力な混合の目的のために二軸スクリュー押出機を使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
80〜200℃の範囲の温度で押し出すことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
圧縮成形、流し込み、造粒または凍結乾燥により、粉末を水溶性のマトリックス中に埋め込むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
(a)アニオン性の薬剤学的な作用物質、これは固溶体の形で存在し、かつ次のものに埋め込まれている、
(b)アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合したC〜C−エステルおよび官能性第三アミノ基を有する別の(メタ)アクリレートモノマーからなるコポリマーならびに
(c)(b)に対して5〜50質量%のC12〜C22−カルボン酸
を含有し、
(d)ただしその際、少なくとも14のHLB価を有する乳化剤は含有されていないか、またはコポリマーに対して3質量%未満含有されている
平均粒径200μm以下を有する作用物質を含有する粉末。
【請求項6】
アニオン性作用物質(a)としてアニオン性鎮痛剤もしくはアニオン性抗リウマチ薬またはアニオン性抗生物質が含有されていることを特徴とする、請求項5記載の作用物質を含有する粉末。
【請求項7】
アニオン性作用物質(a)として、アカンプロセート、アセクロフェナック、アセメタシン、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アセチルチロシン、アシピモックス、アシトレチン、アラニン、アレンドロン酸、アメトプテリン、アミノ酸、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アトルバスタチン、アジドシリン、アズトレオナム、バカンピシリン、バクロフェン、ベンアゼプリル、ベンダムスチン、ベンジルペニシリン、ベザフィブレート、ビオチン、ボルナプリン、ブメタニド、カバスチン、カンレノイン酸、カルバモイルフェノキシ酢酸、カルビドーパ、カルビマゾール、カルボシステイン、カリソプロドール、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファゾリン、セフェピム、セフェタメート、セフィキシム、セフォタキシム、セフォチアム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフロキシム、セチリジン、ケノデオキシコール酸、クロラムブシル、シドフォビル、シラスタチン、シラザプリル、シノキサシン、シプロフロキサシン、シサトラクリウムベシレート、クラブラン酸、クロドロン酸、クロラゼペート、クロモグリシン酸、デスメニノール、ジクロフェナック、ジクロキサシリン、エノキサシン、エプロサルタン、エタクリン酸、エチドロン酸、エトフィリン、エトミデート、フェルビナック、フェロジピン、フェノフィブレート、フェキソフェナジン、フラボキセート、フレロキサシン、フルクロキサシリン、フルフェナミン酸、フルマゼニル、フルピルチン、フルルビプロフェン、フルバスタチン、ホスホマイシン、ホシノプリル、フロセミド、フシジン酸、ギャバペンチン、ゲンフィブロジル、イバンドロン酸、イブプロフェン、イロプロスト、イミダプリル、イミペネム、インドメタシン、イリノテカン、イスラジピン、ケトプロフェン、レルカニジピン、レボドーパ、レボフロキサシン、リオチロニン、リポン酸、リシノプリル、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロナゾラック、ロラカルベフ、ロラタジン、ロバスタチン、メフェナム酸、メロペネム、メサラジン、メタミゾール、メトトレキセート、メチルドーパ、メズロシリン、モエキシプリル、モンテルカスト、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナプロキセン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネドクロミル、ニコチン酸、ニフェジピン、ジバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルサラジン、オロト酸、オキサシリン、パミドロン酸、パンガム酸、ペニシラミン、フェノキシメチルペニシリン、ペントサンポリスルフェート、ペリンドプリル、ペチジン、ピペミド酸、ピペラシリン、ピレノキシン、ピレタニド、プロベネシド、プログルミド、プロピシリン、プロスタグランジン、キナプリル、キナプリレート、ラミプリル、レパグリニド、レセルピン、リセドロン酸、サリチル酸、スルファサラジン、スピラプリル、スルバクタム、スルファサラジン、スルタミシリン、タザロテン、タゾバクタム、テルミサルタン、チアガビン、チアプロフェン酸、チリジン、チルドロン酸、トランドラプリル、トラネキサム酸、バルプロ酸、ビガバトリン、ビンカミン、ビンポセチン、ザナミビル、ゾレドロン酸、ゾピクロンおよび/またはこれらの塩、異性体および/または組合せが含有されていることを特徴とする、請求項5または6記載の作用物質を含有する粉末。
【請求項8】
放出後に少なくとも30秒間、苦味を引き起こさないか、またはわずかに引き起こすのみである、すでに口中で直接崩壊し、かつ作用物質を放出する経口薬剤形を製造するための、請求項5から7までのいずれか1項記載の作用物質を含有する粉末の使用。
【請求項9】
圧縮錠剤または口内錠、凍結乾燥錠剤、注型錠剤または香錠、サッシェ、チュアブル錠、ドライシロップ、ロゼンジおよび/または液体が充填されたロゼンジのような薬剤形を製造するための、請求項8記載の作用物質を含有する粉末の使用。

【公表番号】特表2006−514660(P2006−514660A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567296(P2004−567296)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013059
【国際公開番号】WO2004/066976
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミツト ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (293)
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】