説明

直接膨化押出適用において難消化性デンプン総食物繊維(TDF)保持を改良するための加工助剤としてのヒドロキシプロピル化デンプン

約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールとを含んでなる組成物。上記のような組成物と約15%総重量〜約25%総重量の水を室温〜約200℃の温度で押し出して、約5%総重量未満の水を含んでなる押出組成物を得ることを含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本開示は、比較的高い総食物繊維(TDF)含量を有する食品の、押出によるなどの製造方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
一つの実施態様において、本発明は、約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールとを含んでなる組成物に関する。
【0003】
一つの実施態様において、本発明は、約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールと、約15%総重量〜約25%総重量の水とを含んでなる組成物を、室温〜約200℃の温度で押し出して約5%総重量未満の水を含んでなる押出組成物を得ることを含んでなる方法に関する。
【発明の具体的説明】
【0004】
一つの実施態様において、本発明は、約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールとを含んでなる組成物に関する。
【0005】
第一デンプンは、とりわけ、デントコーン、高アミロースae遺伝子トウモロコシ(aeは、トウモロコシ育種家に一般に知られている遺伝子突然変異の名称であり、「アミロースエクステンダー(amylose extender)」の短縮形である)、ワキシーコーン(実質的にアミロースを含まず、実質的にアミロペクチンからなるデンプン)、ジャガイモ、タピオカ、イネ、エンドウおよびコムギ品種から得られるデンプン、ならびにこれらのデンプン由来の精製アミロースまたはアミロペクチンを含む、様々な供給源に由来し得る。第一デンプンは2種類以上の上記デンプンの組合せであってもよい。
【0006】
一つの実施態様において、第一デンプンは、小麦澱粉、デントコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0007】
一つの実施態様において、該組成物は約5%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプンを含んでなる。例えば、該組成物は約5%d.s.b.〜約20%d.s.b.の第一デンプンを含んでなる。
【0008】
ヒドロキシプロピル基はエーテル結合により単糖単位と結合されている。ヒドロキシプロピル化は当技術分野で公知の技術によって行うことができる。特定の理論に縛られるものではないが、本発明者らは、デンプンモル鎖にヒドロキシプロピル単位を付加して、内部可塑剤として働かせ、かつ/または高い水結合能を持たせることを期待するものである。
【0009】
本明細書に述べられているDS値は次のように算出される:
DS=162重量%/(100M−(M−1)重量%)
[式中、DSは置換度(無水グルコース1モル当たりの置換基のモル数)であり、162は単糖単位の分子量(Da)であり、重量%は置換デンプン中の置換基の重量パーセンテージであり、Mは置換基の分子量(ヒドロキシプロピル基の場合には56Daである]。
【0010】
一つの実施態様において、第一デンプンのヒドロキシプロピル基によるDSは約0.2〜約0.5である。
【0011】
第一デンプンはまたヒドロキシプロピル化以外の方法で化学修飾することもできる。例えば、第一デンプンはアジピン酸デンプン、アセチル化デンプン、またはリン酸化デンプンであり得る。好適な化学修飾デンプンとしてはまた、限定されるものではないが、酸処理(acid-thinned)デンプン、架橋デンプン、アセチル化および有機エステル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、リン酸化および無機エステル化デンプン、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性および両性イオン性デンプン、ならびにデンプンのコハク酸および置換コハク酸誘導体が挙げられる。このような修飾は、例えばModified Starches: Properties and Uses, Ed. Wurzburg, CRC Press, Inc., Florida (1986)など、当技術分野で公知である。
【0012】
他の好適な修飾および方法は、引用することにより本明細書の一部とされる米国特許第4,626,288号、同第2,613,206号および同第2,661,349号に開示されている。一つの実施態様において、第一デンプンは、ヒドロキシプロピル化の前または後のいずれかに架橋されている。
【0013】
第二デンプンは、とりわけ、第一デンプンとして用いるのに適当であるとして上述されているデンプンを含む、様々な供給源に由来し得る。
【0014】
一つの実施態様において、第二デンプンは難消化性デンプンである。「難消化性デンプン」は、本明細書においてヒトまたは他の哺乳類の消化系により比較的消化を受けにくいデンプンを表すために用いられる。炭水化物消化の速度および程度を評価するために、in vitroおよびin vivo双方の試験を行うことができる。例えば、「エングリストアッセイ(Englyst Assay)」は、迅速消化性、緩消化性または難消化性である炭水化物成分の量を評価するのに使用することができるin vitro酵素試験である(European Journal of Clinical Nutrition (1992) Volume 46 (Suppl. 2), pages S33-S50)。一つの実施態様において、「難消化性デンプン」は、エングリストアッセイによって緩消化性としてまたは難消化性として分類されるパーセンテージの合計が少なくとも約50%となるものである。別の例として、AOAC991.43は総食物繊維(TDF)を測定するための標準法である。一つの実施態様において、「難消化性デンプン」は、AOAC991.43によって測定されるTDF値が少なくとも約30%d.s.b.であるものである。それより高いTDF値もあり得、例えば、第二デンプンは、AOAC991.43によって測定した場合、少なくとも約58%d.s.b.のTDF値を持ち得る。第二デンプンは、AOAC991.43によって測定した場合、58%d.s.b.より高いTDF値も持ち得る。
【0015】
当技術分野において公知のように、難消化性デンプンは、4つの異なるタイプのうちの1つに属するものとして特徴付けることができる。I型難消化性デンプンは消化酵素に物理的に接近できず、その例は種子、莢、および未処理の全粒に見られる。II型難消化性デンプンは、未調理のジャガイモ、グリーンバナナ粉および高アミローストウモロコシなどのその天然顆粒形態に存在する。III型難消化性デンプンは、パン、多くの朝食用シリアル、調理済み冷凍ポテトおよび老化高アミローストウモロコシなど、デンプン含有食品が調理および冷凍されている場合に形成される。IV型難消化性デンプンは、消化に耐えるように化学修飾されている。
【0016】
一つの実施態様において、第二デンプンは、I型難消化性デンプン、II型難消化性デンプン、III型難消化性デンプン、IV型難消化性デンプンおよびこれらの2以上からなる群から選択される。
【0017】
一つの実施態様において、該組成物は約15%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンを含んでなる。例えば、該組成物は約15%d.s.b.〜約25%d.s.b.の第二デンプンを含んでなり得る。
【0018】
該組成物はまた穀粉またはミールも含んでなる。穀粉およびミールは当技術分野で公知である。一つの実施態様において、穀粉またはミールは、トウモロコシミール、トウモロコシ粉、小麦粉、米粉、大麦粉、エンバク粉、ジャガイモ粉、アマランス粉およびこれらの2以上からなる群から選択される。
【0019】
該組成物は、第一デンプンと第二デンプンと穀粉またはミールとを含んでなることをすでに記載した。一つの実施態様において、該組成物は1以上の他の材料をさらに含んでなる。
【0020】
特定の実施態様では、該組成物は、香味剤、食用色素、ビタミン、無機物、酸化防止剤、脂肪酸、脂質、塩、糖およびこれらの2以上からなる群から選択される1以上の材料をさらに含んでなる。
【0021】
別の実施態様では、該組成物は繊維材料をさらに含んでなる。例えば、特定の実施態様では、該組成物は、約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、エンバクふすま、エンバク繊維、トウモロコシふすま、セルロース繊維およびこれらの2以上からなる群から選択される繊維材料をさらに含んでなる。
【0022】
さらに別の実施態様では、該組成物は、約50重量%を超えるオリゴもしくはポリペプチドまたはその双方を含有する材料を意味するタンパク質材料をさらに含んでなる。例えば、特定の実施態様では、該組成物は、約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、カゼイン、乳清、コムギタンパク質およびこれらの2以上からなる群から選択されるタンパク質材料をさらに含んでなる。
【0023】
該組成物は、いくつかの形態のいずれか1つであり得る。一つの実施態様において、該組成物は、上述の成分と約14%総重量〜約25%総重量の水を含有する組成物を意味する生地の形態である。この水の量は、生地を混捏、押出および類似の加工工程を受けやすくする。
【0024】
別の実施態様では、該組成物、0%総重量〜約25%総重量の水、例えば約5%総重量未満の水を有する可食製品の形態である。可食製品は、所望の形状の可食製品を形成するように生地に熱、高圧またはその双方を作用させた後に風乾または炉での乾燥を行って所望の水分レベルとすることによって製造することができる。
【0025】
ある特定の実施態様では、該組成物は、可食製品へと形成される場合には組成物に空気を組み込むことにより膨化(expanded)(別の言い方では「膨化(puffed))される。一つの実施態様において、該組成物は膨化スナック品または膨化シリアル品の形態である。膨化食品品目を製造するための押出工程を以下に詳細に述べる。
【0026】
一つの実施態様において、本発明は、約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールと、約14%総重量〜約25%総重量の水とを含んでなる組成物を室温〜約200℃の温度で押し出して約5%総重量未満の水を含んでなる押出組成物を得ることを含んでなる方法に関する。
【0027】
第一デンプン、第二デンプンおよび穀粉またはミールは上記されている。第二デンプンは難消化性デンプンであり得る。一つの実施態様において、水の総重量はおよそ約12%〜約25%、例えば約14%〜約22%、またはさらなる例としては約16%〜約22%である。
【0028】
押出工程は当技術分野で公知である。一般に、押出装置は生地などの高粘度、高固形分組成物に由来する食料品の製造を取り扱うのに十分適している。押出装置の具体例としては、単軸式および二軸式押出機を含む。このような押出装置は市販されている。一つの実施態様において、押出機のスクリュー回転速度は約250rpm〜約500rpmまで様々であり得る。押出機の種々のゾーンで室温〜約200℃、例えば約40℃〜約150℃の温度が使用可能であるが、組成物は押出工程の1以上の部分でより高い温度に一時的に出くわしてもよい。
【0029】
生地は予め製造されてから押出機に供給されてもよいし、あるいはそれは1以上の乾燥成分を他の乾燥成分もしくは水のいずれかまたはその双方と組み合わせることによって押出機内で形成されてもよい。
【0030】
一つの実施態様において、押出組成物は膨化(expanded)または膨化(puffed)される。膨化(puffed)された押出物の一片は本明細書で「パフ(puff)」と呼ばれる場合がある。特定の実施態様では、膨化は金型面において高圧が生じるように押出工程を行い、大気中に放出される(金型を通り抜けている)際にマトリックスの膨化を生じる膨化力(puffing force)を作り出すことによって影響を受け得る。
【0031】
押出後、押出物はとりわけ焼き、乾燥、ペレット化またはそうでなければ成型または包装によってさらに加工してもよい。例えば、押出物は100℃の炉で10分間乾燥させてもよい。押出物は直接消費を意図することもできるし、または食料品を成型するための別の工程に供給してもよく、例えば、押出物は可食コーティングでコーティングしてもよいし、またはそれ自体で、もしくは他の可食材料で包埋してスナックバーを形成してもよいし、またはミックススナック(trail mix)中で他の可食材料と組み合わせてもよいし、またはそうでなければ食料品へと加工してもよい。特定の食料品を得るために望まれる押出物のさらなる加工はいずれも、当業者に慣例のものとして行うことができる。
【0032】
一つの実施態様において、押出組成物は膨化スナック品または膨化シリアル品の形態である。
【0033】
多くの場合、本発明者らの研究の前の技術状態による難消化性デンプンを含有する組成物を押し出す際には、押出工程中に難消化性デンプンの物理的変化をもたらす高剪断性と熱のために、押出により繊維含量(TDF分析により観測される)にかなりの減少が見られる。TDF保持率は、スクリュー回転速度、生地の水分およびスクリュー形状などの押出工程により有意に影響を受ける。
【0034】
押出中に水を添加するなどの工程の改変が難消化性デンプンの保持率を高めるために当業者により試みられてきたが、これらの方法から得られる製品は、他の膨化食料品の中でも膨化スナック品または膨化シリアル品に求められる程度までのパフではない場合が多い。この不十分な膨化はかさ密度の高い許容されない食品をもたらす。
【0035】
押出中に難消化性デンプンを保持するための他のアプローチとしては、スクリュー形状の変更による剪断の軽減またはスクリュー回転速度の低下が挙げられるが、それはまた生産性も低下させる。
【0036】
特定の理論に縛られるものではないが、本発明者の所見は、当該組成物中のヒドロキシプロピル化された第一デンプンが可塑剤として働くか、または押出中の処理フロー特性を改良し、高いTDFを有する膨化食料品が高い処理能力で得られるということを示唆する。
【0037】
さらに、この場合も特定の理論に縛られるものではないが、ヒドロキシプロピル化された第一デンプンの高い水結合能は押出処理中の第二デンプンのガラス転移温度を高める。第二デンプンのガラス転移温度特性が高いほど、食品押出処理に導入される高剪断応力に対してより良い耐性が得られ、従って、高いTDFを有する高膨化食品が得られる。
【0038】
「保持総食物繊維」または「保持TDF」は、本明細書において、押出前のそのTDFに対して押出組成物が持っているTDFのパーセンテージを表すために用いられる。押出前のTDFは100%と定義される。
【0039】
一つの実施態様において、押出組成物の、AOAC法991.43により測定される保持総食物繊維(保持TDF)値は、押出前にAOAC法991.43のより測定されたそのTDF値の約50%〜100%である。
【0040】
本発明の組成物の保持TDF値は一般に、ヒドロキシプロピル化デンプンを欠いた組成物の場合よりも高い。
【0041】
一つの実施態様において、本発明の押出組成物と同様にして押し出され、かつ、押出前に、第一デンプンのヒドロキシプロピル基のDSが0であること以外が該押出組成物と同一である第二組成物は、該押出組成物の保持TDF値よりも小さい保持TDF値を有する。
【0042】
一般に、押出組成物のヒドロキシプロピル化デンプン含量が高いほど、保持TDF値が高い。一つの実施態様において、該押出組成物と同様にして押し出され、かつ、押出前に、ヒドロキシプロピル基を含む第三組成物の第一デンプンの単糖単が該押出組成物の第一デンプンよりも少ないこと以外は該押出組成物と同一である第三組成物は、該押出組成物の保持TDF値よりも小さい保持TDF値を有する。
【0043】
本発明の押出組成物のかさ密度は一般に低い。一つの実施態様において、該押出組成物のかさ密度は約120kg/m未満、例えば約100kg/m未満である。明らかなように、かさ密度は0kg/mより大きい。押出製品のかさ密度が十分低ければ、押出中に水を追加することができる。本発明者は、水の追加が膨化(puffed)可食製品に求められる低いかさ密度を維持しつつTDF保持率を改善すると考えている。
【0044】
本発明の押出組成物のかさ密度は一般に、ヒドロキシプロピル化デンプンを欠いた組成物のかさ密度よりも低い。一つの実施態様において、本発明の押出組成物のかさ密度は第二組成物(該第二組成物は同様に押し出され、かつ、第二組成物は押出前に、第二組成物の第一デンプンの、ヒドロキシプロピル基を含む単糖単位が0mol%であること以外は該押出組成物と同一である)のかさ密度よりも約15%〜約30%低い。この本発明の押出組成物に関する低減されたかさ密度はまた、押出組成物と第二組成物が同様に膨化される場合にも当てはまる。
【0045】
以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を説明するために含められる。当然のことながら、以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分機能することが本発明者によって見出された技術を表し、従って、その実施の好ましい様式を構成すると考えることができる。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている具体的な実施態様において多くの変更を行うことができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができると考えるべきである。
【実施例】
【0046】
本発明者らは、HPデンプンが押出中により難消化性のデンプンTDFの保持をもたらして膨化(puffed)スナックまたはシリアル製品を形成し得ることが示唆された予備結果に従い、加工助剤としてのヒドロキシプロピル化デンプン製品を試験した。
【0047】
デンプン加工助剤−Tate & Lyle, Decatur, ILによって製造された食品デンプン製品を可能性のある押出加工助剤として試験した。これらのデンプン製品を以下に挙げる。
【0048】
【表1】

【0049】
実験押出−Buhler Inc., Uzweil, Switzerlandにより製造された同方向回転かみ合い型二軸モデルBCTL 42押出機を用い、TDF58%(d.s.b.)のトウモロコシミール、PROMITOR(商標)難消化性デンプン60(Tg=150℃)と加工助剤の混合物の直接膨化押出のための種々のデンプン加工助剤を評価した。15%または7.5%いずれかのデンプン加工助剤、30%難消化性デンプンおよび全100%とするのに十分なトウモロコシミールを用い、乾燥混合物を作製した。乾燥混合物を以下に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
およそ19%の生地水分含量を維持するための試みで水をおよそ2.9Kg/時間でポンピングした。以下に概略を示すように6バレルの熱区域を維持した。
【0052】
【表3】

【0053】
押出中のスクリュー回転速度は350rpmで維持し、供給速度は30kg/時であった。押出後、押出製品を理化学用対流式オーブンでおよそ3%〜4%の水分含量まで乾燥させた。総食物繊維(TDF)分析は、Megazymeテストキット(Bray, County Wicklow, Ireland)を用いるAOAC法991.43を用いて測定した。これらの試験の実際の押出条件を以下に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
実施例2
TDF66%(d.b.s)の難消化性デンプン(Tg=120℃)を、種々の生地水分を用い、0%、15%および25%デンプン2(HP含量=9.5重量%)で試験した。乾燥混合物を以下に示す。
【0056】
【表5】

【0057】
試験の実際の押出条件と各実施例のTDFを以下に示す。
【表6】

【0058】
種々のデンプン加工助剤の使用からのTDF保持の結果を上に示す。
【0059】
加工助剤デンプンの%HP含量が増えるにつれ、加工助剤を用いなかった対照に比べて、難消化性デンプンのTDF保持が増えたことが見て取れる。さらに、かさ密度値は対照に対して小さくなった。2つの理由で極めて低いかさ密度値が望ましい。第一には、良好な製品構造と食味をもたらす最大値が存在することである。第二には、かさ密度が十分小さければ、押出中に水を追加することができる。押出中の水分が高いほど、良好な品質の膨化(puffed)製品に必要とされる低いかさ密度をなお維持しつつTDF保持が改善される。
【0060】
本明細書で開示および特許請求される組成物および方法は総て、過度な実験を行わずとも本開示に照らして作製および実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施態様に関して記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される組成物および方法、ならびにこれらの方法の工程または一連の工程に改変が適用され得ることが当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的および物理的の双方で関連のある特定の薬剤は、同じまたは類似の結果が達成される限り本明細書に記載の薬剤と置き換えることができることが明らかである。当業者に明らかなこのような類似の置換および改変は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念、精神および範囲内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、
約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、
約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールと
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
約5%d.s.b.〜約20%d.s.b.の第一デンプンを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第一デンプンが、小麦澱粉、デントコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
第一デンプンのヒドロキシプロピル基によるDSが約0.2〜約0.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
約15%d.s.b.〜約25%d.s.b.の第二デンプンを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
AOAC991.43により測定される第二デンプンの総食物繊維(TDF)値が、少なくとも約40%d.s.b.である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
AOAC991.43により測定される第二デンプンのTDF値が、少なくとも約58%d.s.b.である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
第二デンプンが、I型難消化性デンプン、II型難消化性デンプン、III型難消化性デンプン、IV型難消化性デンプンおよびこれらの2以上からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
穀粉またはミールが、トウモロコシミール、トウモロコシ粉、小麦粉、米粉、大麦粉、エンバク粉、ジャガイモ粉、アマランス粉およびこれらの2以上からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
香味剤、食用色素、ビタミン、無機物、酸化防止剤、脂肪酸、脂質、塩、糖およびこれらの2以上からなる群から選択される1以上の材料をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、エンバクふすま、エンバク繊維、トウモロコシふすま、セルロース繊維およびこれらの2以上からなる群から選択される繊維材料をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、カゼイン、乳清、コムギタンパク質およびこれらの2以上からなる群から選択されるタンパク質材料をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
膨化スナック品または膨化シリアル品の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
0%総重量〜約25%総重量の水を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
約14%総重量〜約25%総重量の水を含んでなる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
約3%d.s.b.〜約35%d.s.b.の第一デンプン(該第一デンプンのヒドロキシプロピル基による置換度(DS)は約0.1〜約0.6である)と、約10%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンと、約15%d.s.b.〜約87%d.s.b.の穀粉またはミールと、約12%総重量〜約25%総重量の水とを含んでなる組成物を、室温〜約200℃の温度で押し出して、約5%総重量未満の水を含んでなる押出組成物を得ることを含んでなる、方法。
【請求項17】
約5%d.s.b.〜約20%d.s.b.の第一デンプンを含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第一デンプンが、小麦澱粉、デントコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第一デンプンのヒドロキシプロピル基によるDSが約0.2〜約0.5である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
約15%d.s.b.〜約50%d.s.b.の第二デンプンを含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
AOAC991.43により測定される第二デンプンの総食物繊維(TDF)値が、少なくとも約30%d.s.b.である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
AOAC991.43により測定される第二デンプンのTDF値が、少なくとも約58%d.s.b.である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第二デンプンが、I型難消化性デンプン、II型難消化性デンプン、III型難消化性デンプン、IV型難消化性デンプンおよびこれらの2以上からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
穀粉またはミールが、トウモロコシミール、トウモロコシ粉、小麦粉、米粉、大麦粉、エンバク粉、ジャガイモ粉、アマランス粉およびこれらの2以上からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、香味剤、食用色素、ビタミン、無機物、酸化防止剤、脂肪酸、脂質、塩、糖およびこれらの2以上からなる群から選択される1以上の材料をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、エンバクふすま、エンバク繊維、トウモロコシふすま、セルロース繊維およびこれらの2以上からなる群から選択される繊維材料をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、約1%d.s.b.〜約30%d.s.b.の、カゼイン、乳清、コムギタンパク質およびこれらの2以上からなる群から選択されるタンパク質材料をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
押出組成物の膨化をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記押出組成物が膨化スナック品または膨化シリアル品の形態である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
AOAC法991.43により測定される保持総食物繊維(保持TDF)が、押出前にAOAC法991.43により測定されたそのTDF値の約50%〜100%である、請求項16に記載の方法によって製造された押出組成物。
【請求項31】
前記押出組成物と同様に押し出され、かつ、押出前に、第一デンプンのヒドロキシプロピル基のDSが0であること以外は前記押出組成物と同一である第二組成物が、前記押出組成物の保持TDF値よりも小さい保持TDF値を有する、請求項30に記載の押出組成物。
【請求項32】
約120kg/m未満のかさ密度を有する、請求項30に記載の押出組成物。
【請求項33】
第二組成物のかさ密度よりも約15%〜約30%小さいかさ密度を有し、ここで、この第二組成物は同様に押し出されたものであり、かつ、該第二組成物は押出前に、第二組成物の第一デンプンのヒドロキシプロピル基のDSが0であること以外は前記押出組成物と同一である、請求項32に記載の押出組成物。
【請求項34】
押出組成物と第二組成物が同様に膨化される、請求項33に記載の押出組成物。

【公表番号】特表2012−515555(P2012−515555A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548129(P2011−548129)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021782
【国際公開番号】WO2010/085630
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(593063172)テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】TATE & LYLE INGREDIENTS AMERICAS LLC
【Fターム(参考)】