説明

直接通信方法およびそれを用いた直接通信装置およびコーディネータ装置

【課題】電力効率とネットワーク接続を改善する直接通信方法、直接通信装置、およびの方法を用いたコーディネータ装置を提供する。
【解決手段】直接通信方法は、複数の優先度/電力上限/範囲を有する装置間の直接通信に適合される。異なる電力上限または優先度を有する複数の競合/送信スロットを設定として使用して、直接通信を行うリソースを割り当てる。関連する設定の獲得も提案する。直接通信方法は、競合/送信スロットの出現の相対優先度を採用してもよく、この相対優先度を適応して変化させてもよい。直接通信方法は、スペクトル規則に関連するモニタ機構を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接通信方法、その方法を用いた直接通信装置、およびその方法を用いたコーディネータ装置(coordinator device)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直接通信とセルラ通信は根本的に異なり、セルラ通信は、ネットワークに接続した全ての通信装置に対して電力制御をかける。全ての通信装置が基地局(base station, BS)に接続された時、基地局は、通常、電力制御メカニズムを用いて各通信装置の送信電力(transmission power)を調整する。つまり、全ての通信装置は、公平に取り扱われる。しかしながら、直接通信の送信電力は中央で調整されないため、直接通信のネットワーク接続(network attachment)またはネットワーク組織(network association)または送信の成功率を増やすには、最大電力を送信することが最も良い手段である。特に、ランダムアクセスプロシージャに対し、通信装置は、宛先デバイス(destination device)の事前知識を持っていないため、最初に最大電力を送信して送信の最大成功率を獲得するが、全ての通信装置が同時に最大電力で送信した時、全ての通信装置が互いに衝突し、その結果、送信の失敗や関連する周波数リソースの失敗といった状況が生じる可能性がある。一般的に、送信電力が大きくなればなるほどより多くの通信装置に影響を与えるため、スペクトル効率(spectrum efficiency)が減少する。
【0003】
一方、直接通信の送信範囲は、デバイス(victim device)の受信特性や直接通信システム全体の容量に影響を与える可能性がある。送信範囲が大きくなればなるほど、同一の時間および周波数領域を同時に使用できる直接通信装置は少なくなる。
【0004】
直接通信は、通常、ランダムアクセスフェーズと送信フェーズの2つのフェーズ(phase)を含む。一般の直接通信プロセスにおいて、ランダムアクセスフェーズの目的は、通信装置とアクセスポイント(例えば、WiFi)間でリンクを作ることである。
【0005】
ランダムアクセスフェーズの間、通信装置は、アクセスポイントに信号を送信して、リソースを求めて他の通信装置と競合する。アクセスポイントは、アクセスポイントに接続された通信装置に受取通知(acknowledge)を行うことができる。アクセスポイントは、さらに、通信装置に対して関連するリソースを送信して、従うべきメッセージを送信する。一般の直接通信プロセスにおいて、送信フェーズの目的は、通信装置とアクセスポイント間でメッセージを交換することである。通信装置は、アクセスポイントにデータを送信する。アクセスポイントは、受信する通信装置データを送信することによって、通信装置に受取通知を行うことができる。
【0006】
ランダムアクセスフェーズの間、全ての通信装置は類似する送信電力を求めて競合し、優先度を持たない。複数の通信装置は、同時に、周波数および時間リソースを求めて競合することができる。通信装置が低い送信電力を適用した場合、通信装置の送信の成功率が減少するため、競合できない通信装置がいくつか存在する。そのため、予め決められたプロトコルがなくても、全ての通信装置は、平等な送信の成功率を達するために最大電力で送信する。最大電力で送信するということは、周波数ドメインにおける周波数の再利用が少ないことを意味し、さらに、スペクトラム利用(spectrum usage)が不十分であることを意味する。よって、従来の方法は、非常に少数の通信装置(例えば、1つのWiFiネットワークにおいて10個の通信装置)に対してしか効果がない。しかしながら、直接通信において関与する通信装置がこのように少数である場合、1km圏内のように、比較的長い範囲において直接通信をサポートするには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電力効率とネットワーク接続を改善する直接通信方法、直接通信装置、およびの方法を用いたコーディネータ装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直接通信方法の1つの例示的な実施形態を提供する。本実施形態において、直接通信方法は、ランダムアクセスを行う少なくとも1つの通信装置に適合され、第1通信装置が、第1送信電力上限を有する第1競合スロット(contention slot)および第2送信電力上限を有する第2競合スロットを含む競合スロットにおいてランダムアクセスを行うことと、第1競合スロットの第1送信電力上限または第2競合スロットの第2送信電力上限よりも小さい送信電力で無線信号を送信することとを含み、この第1通信装置は、競合に関与する。
【0009】
本発明は、直接通信方法の1つの例示的な実施形態を提供する。本実施形態において、直接通信方法は、データ送信を行う少なくとも1つの通信装置に適合され、第1通信装置が、第1送信電力上限を有する第1送信スロットおよび第2送信電力上限を有する第2送信スロットを含む送信スロットにおいてデータ送信を行うことと、第1送信スロットの第1送信電力上限または第2送信スロットの第2送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信することとを含み、この第1通信装置は、データ送信に関与する。
【0010】
本発明は、直接通信装置の1つの例示的な実施形態を提供する。本実施形態において、直接通信装置は、送受信ユニットと、通信プロトコルユニットとを含む。送受信ユニットは、無線信号を送信および受信するよう構成される。通信プロトコルユニットは、送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する第2競合スロットを含む競合スロットにおいてランダムアクセスを行うよう構成される。
【0011】
本発明は、直接通信装置の1つの例示的な実施形態を提供する。本実施形態において、直接通信装置は、送受信ユニットと、通信プロトコルユニットとを含む。送受信ユニットは、無線信号を送信および受信するよう構成される。通信プロトコルユニットは、送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する第1送信スロットおよび第2送信電力上限を有する第2送信スロットを含む送信スロットにおいてデータ送信を行うとともに、第1送信スロットの第1送信電力上限または第2送信スロットの第2送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信するよう構成され、この通信プロトコルユニットは、データ送信に関与する。
【0012】
本発明は、コーディネータ装置の1つの例示的な実施形態を提供する。本実施形態において、コーディネータ装置は、送受信ユニットと、通信プロトコルユニットとを含む。送受信ユニットは、無線信号を送信および受信するよう構成される。通信プロトコルユニットは、送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する少なくとも1つの第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する少なくとも1つの第2競合スロットを含む1つの競合スロットを設定するよう構成される。
【0013】
図面と併せたいくつかの実施形態を以下に説明し、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法および装置は、これらの直接通信装置の電力効率およびネットワーク接続を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】1つの例示的な実施形態に係る直接通信に適合された異なる送信電力上限を有する複数の時間スロットを示す概略図である。
【図2A】1つの例示的な実施形態に係る直接通信装置の機能ブロック図である。
【図2B】1つの例示的な実施形態に係るコーディネータ装置の機能ブロック図である。
【図3】1つの例示的な実施形態に係る競合スロットの概略図である。
【図4】1つの例示的な実施形態に係るインターレース方法で配列された競合スロットの概略図である。
【図5】1つの例示的な実施形態に係る送信スロットの概略図である。
【図6】1つの例示的な実施形態に係るタイミング基準獲得の概略図を示したものである。
【図7】1つの例示的な実施形態に係る送信電力レベル/優先度レベルに基づく競合スロットの異なる周期性を示す概略図である。
【図8】1つの例示的な実施形態に係る競合スロットの周期性の調整を示す概略図である。
【図9】1つの例示的な実施形態に係る送信電力の監視方法のフローチャートである。
【図10】1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。
【図11】1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。
【図12】1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、例示的な実施形態について、当業者に容易に理解されるように、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。発明の概念は様々な形式で実施可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。明確にするため、周知の構成要素の説明は省略し、類似する構成要素には類似する参照符号を使用する。
【0017】
本発明は、直接通信方法、その方法を用いた直接通信装置、およびその方法を用いたコーディネータ装置を提供する。直接通信に関し、より大きな送信範囲は、通常、より高い優先度を示す。本発明の直接通信方法では、空間ドメイン(spatial domain)の周波数再利用を増やすため、送信電力を制限または上限することができる。送信電力または送信範囲に比例して、新しい充電システムを実装してもよい。直接通信のユーザーは、送信範囲に対して料金を支払う。
【0018】
図1は、1つの例示的な実施形態に係る直接通信に適合された異なる送信電力上限を有する複数の時間スロット(time slot)を示す概略図である。本実施形態において、直接通信方法は、直接通信を行うための時分割多重(time-division-multiplexed, TDM)ベースの干渉制御機構とみなすことができ、様々な送信電力設定/優先度レベル設定で構成された直接通信装置に対してTDMベースの競合スロットを利用することができる。TDMベースの干渉制御機構は、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter, ADC)からの量子化誤差(quantization error)による信号抑圧を防止することができる。
【0019】
図1を参照すると、説明を容易にするため、スロット1、スロット2、スロット3の3つのスロットをそれぞれ第1上限UB1、第2上限UB2、第3上限UB3の異なる送信電力上限で設定(configure)/分類(rank)した。本実施形態の直接通信方法の操作環境において、3つ以上の直接通信装置が存在し、それぞれブロードキャスト(broadcasting)/通知(advertising)/送信(transmitting)メッセージの実行を試みる可能性がある。説明を容易にするため、直接通信装置1、直接通信装置2、直接通信装置3の3つの直接通信装置のみを用いて説明する。
【0020】
図1の例示的な説明図において、直接通信装置1は、最高優先度レベル/最大送信電力設定で予め設定(pre-configured)/設定(configured)され、直接通信装置2は、中間優先度レベル/中間送信電力設定で予め設定/設定され、直接通信装置3は、最低優先度レベル/最小送信電力設定で予め設定/設定される。この直接通信方法において、直接通信装置1は、ランダムアクセス/データ送信用の第1上限UB1で設定されたスロット1を求めて競合し、直接通信装置2は、ランダムアクセス/データ送信用の第2上限UB2で設定されたスロット2を求めて競合し、直接通信装置3は、ランダムアクセス/データ送信用の第3上限UB3で設定されたスロット3を求めて競合する。
【0021】
直接通信装置1がランダムアクセス/データ送信用のスロット1を求めて競合した時、直接通信装置1は、送信電力レベルTP1および送信電力レベルTP2等の第1上限UB1よりも小さい電力で、その無線信号を送信することができる。直接通信の利用者が変化すると、それに従って直接通信装置1と現利用者間の距離が変化するため、直接通信装置1は、全ての予め割り当てられた(pre-allocated)スロット(例えば、スロット1)において固定された送信電力で送信を行わない。そのため、直接通信装置1は、送信電力が第1上限UB1以下である限り、比較的低い送信電力を選択してランダムアクセス/データ送信を行う。それによって、直接通信装置1に隣接する直接通信装置に生じた干渉が減少し、それに応じて、直接通信装置1の電力効率を向上させることができる。同様に、直接通信装置2がランダムアクセス/データ送信用のスロット2を求めて競合した時、直接通信装置2は、送信電力レベルTP3および送信電力レベルTP4等の第2上限UB2よりも小さい電力で、その無線信号を送信することができる。また、直接通信装置3がランダムアクセス/データ送信用のスロット3を求めて競合した時、直接通信装置3は、送信電力レベルTP5および送信電力レベルTP6等の第3上限UB3よりも小さい電力で、その無線信号を送信することができる。
【0022】
本発明が提案する直接通信方法の方法は、図1に示すように、異なる送信電力/優先度レベルを有するフレーム構造に適用することができる。同じ周波数には、少なくとも2種類の競合スロットが存在する。これらの競合スロットは、さらに、周波数ドメインにおいて複数のチャネルに分割され、ランダムアクセスの成功率を向上させることができる。また、各競合スロットに対し、符号分割多重(code division multiplexed)をさらに適用することができる。
【0023】
これらの競合スロットは、異なる送信電力レベルまたは優先度レベルにさらに分類される。送信電力レベルは、これらの競合スロットに対する送信電力上限であってもよい。例えば、電力レベルは、少なくとも5dBで減少できる。例えば、送信スロット1において、最大送信電力(すなわち、第1上限UB1)は23dBmであり、送信スロット2において、最大送信電力(すなわち、第2上限UB2)は13dBmである。異なるスロットにおける電力制限によって、競合範囲は異なる。
【0024】
装置の観点からみると、装置は、その認証された(authorized)優先度または許可された(allowed)送信電力に基づいて競合する。例えば、競合スロット1において、送信電力レベルは最大であるため、送信範囲も最大である。別の例では、競合スロット3において、送信電力レベルは最小であるため、その空間ドメイン隔離が達成可能になり、スペクトル効率を向上させることができる。
【0025】
高送信電力レベル/優先度レベルにおいて、直接通信装置がこのような高送信電力または優先度レベルで送信することが許可されていない場合、この状況には2つの方法が存在する。第1の方法は、送信電力を直接通信装置が認証された時の許可レベルに制限することであり、第2の方法は、このスロットで無線信号を送信しないよう通信装置を規制することである。
【0026】
図2Aに示すように、本発明が提案する直接通信方法は、直接通信装置20に適合される。また、いくつかの実施形態において、この直接通信方法をアシストするコーディネータ装置25を構成してもよく、このコーディネータ装置の簡単な機能ブロック図を図2Bに示す。図2Aは、1つの例示的な実施形態に係る直接通信装置の機能ブロック図である。図2Aを参照すると、直接通信装置20は、送受信ユニット201と、通信プロトコルユニット202と、メモリ203とを含む。送受信ユニット201およびメモリ203は、いずれも通信プロトコルユニット202に接続される。
【0027】
送受信ユニット201は、他の直接通信装置に無線信号を送信し、他の直接通信装置から無線通信を受信するよう構成される。送受信ユニット201は、アナログデジタル信号変換(ADC)、デジタルアナログ信号変換(DAC)、変調、復調、信号増幅、低域フィルタリング、バンドパスフィルタリングを行うことができる。送受信ユニット201は、(他の直接通信装置または無線通信ネットワークから受信した無線信号から変換された)受信したRF信号の情報を通信プロトコルユニット202に提供し、通信プロトコルユニット202から受信したデータを変調された無線信号に変調し、変調された無線信号を無線通信ネットワークまたは他の直接通信装置に送信するよう構成される。
【0028】
通信プロトコルユニット202は、送受信ユニット201に接続される。通信プロトコルユニット202は、直接通信装置または基地局から無線信号を受信し、無線信号においてコマンドを処理する(または無線信号のパラメータに基づいて対応する操作を実行する)よう構成される。通信プロトコルユニット202は、プロセッサと、組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアプログラムを含む。組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアプログラムは、通信プロトコルスタックのプログラムコードを含む。通信プロトコルユニット202のプロセッサが、通信プロトコルスタックのプログラムコードを実行した時、通信プロトコルユニット202は、本発明が提案する直接通信方法(図3〜図11に示す実施形態で後ほど説明する)の各手順を実行する。例えば、通信プロトコルユニット202は、送受信ユニット201を介して他の直接通信装置または直接通信装置とは別の任意の他の通信装置から受信したビーコン信号(beacon signal)を解読することができる。通信プロトコルユニット202は、さらに、解読されたビーコン信号からタイミング基準(timing reference)、送信電力設定または優先度設定を獲得することができる。さらに、通信プロトコルユニット202は、競合スロット/送信スロットにおいて競合し、送受信ユニット201を介してランダムアクセス/データ送信を行うことができる。
【0029】
通信プロトコルユニット202は、さらに、決定ユニット(図2Aに図示せず)を含んでもよい。決定ユニットは、受信した信号電力レベルが予め設定された電力レベルを超過するかどうかを決定するために、値の比較を行うよう構成される。メモリ203は、パラメータ、送信電力設定、タイミング設定または優先度レベル設定を一次的に保存するよう構成される。いくつかの実施形態において、メモリ203は、パラメータ、デフォルトの送信電力設定、タイミング設定またはデフォルトの優先度レベル設定を一時的に保存するよう構成される。
【0030】
また、直接通信装置20は、プロセッサおよびアンテナモジュール等の他の構成要素(図示せず)をさらに含んで、送受信ユニット201、通信プロトコルユニット202およびメモリ203の上述した機能を達成してもよい。
【0031】
図2Bは、1つの例示的な実施形態に係るコーディネータ装置の機能ブロック図である。図2Bを参照すると、コーディネータ装置25は、送受信ユニット251と、通信プロトコルユニット252と、メモリ253とを含むことができる。送受信ユニット251およびメモリ253は、いずれも通信プロトコルユニット252に接続される。
【0032】
送受信ユニット251は、他の直接通信装置に無線信号を送信し、他の直接通信信号から無線信号を受信するよう構成される。送受信ユニット251は、アナログデジタル信号変換(ADC)、デジタルアナログ信号変換(DAC)、変調、復調、信号増幅、低域フィルタリング、バンドパスフィルタリングを行うことができる。送受信ユニット251は、(他の直接通信装置または無線通信ネットワークから受信した無線信号から変換された)受信したRF信号の情報を通信プロトコルユニット252に提供し、通信プロトコルユニット252から受信したデータを変調された無線信号に変調し、変調された無線信号を無線通信ネットワークまたは他の直接通信装置に送信するよう構成される。
【0033】
通信プロトコルユニット252は、送受信ユニット251に接続される。通信プロトコルユニット252は、直接通信装置または基地局から無線信号を受信し、無線信号でコマンドを処理する(または無線信号のパラメータに基づいて対応する操作を実行する)よう構成される。通信プロトコルユニット252は、プロセッサと、組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアプログラムを含む。組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアプログラムは、通信プロトコルスタックのプログラムコードを含む。通信プロトコルユニット252のプロセッサが、通信プロトコルスタックのプログラムコードを実行した時、通信プロトコルユニット252は、本発明が提供する直接通信方法(図3〜図8および図12に示した実施形態で後ほど説明する)の各手順を実行する。例えば、通信プロトコルユニット252は、送受信ユニット251を介してビーコン信号を一斉送信(broadcast)するか、または、送受信ユニット251を介して他の直接通信装置から受信した設定要求メッセージに応答して、設定メッセージ/再設定メッセージを返信する。
【0034】
通信プロトコルユニット252は、さらに、決定ユニット(図2Bに図示せず)を含んでもよい。決定ユニットは、受信した信号電力レベルが予め設定された電力レベルを超過するかどうかを決定するために、値の比較を行うよう構成される。メモリ253は、パラメータ、送信電力設定、タイミング設定または優先度レベル設定を一次的に保存するよう構成される。
【0035】
また、コーディネータ装置25は、プロセッサおよびアンテナモジュール等の他の構成要素(図示せず)をさらに含んで、送受信ユニット251、通信プロトコルユニット252およびメモリ253の上述した機能を達成してもよい。
【0036】
図3は、1つの例示的な実施形態に係る競合スロットの概略図である。図3を参照すると、例えば、競合スロット1、2および3が図3に示されている。競合スロット1は、例えば、その無線信号を別の直接通信装置32に送信する直接通信装置31またはその無線信号を別の直接通信装置34に送信する直接通信装置33に対して、高送信電力レベル/高優先度レベルを割り当てる(allocate)/分類する(rank)ことができる。競合スロット1と比較して、競合スロット2は、直接通信装置31、33よりも小さい送信範囲内で、例えば、その無線信号を別の直接通信装置に送信する別の直接通信装置に対して、中送信電力レベル/中優先度レベルを割り当てる/分類することができる。また、競合スロット1および競合スロット2と比較して、競合スロット3は、直接通信装置31、33、35よりも小さい送信範囲内で、例えば、別の直接通信装置36にその無線信号を送信する直接通信装置35または別の直接通信装置38にその無線信号を送信する直接通信装置37に対して、低送信電力レベル/低優先度レベルを割り当てる/分類することができる。
【0037】
本発明が提案する直接通信方法に適合される競合スロットは、図4に示すインターレース方法(interlaced manner)で構成することができる。例えば、競合スロット1のような前サブスロットは、直接通信装置31によりランダムアクセス競合41を行うために使用することができる。別の競合スロット1のような後サブスロットは、ランダムアクセス競合41の受取通知を行うよう構成されたランダムアクセス受取通知(random access acknowledgement)42を送信する直接通信装置によって使用することができる。本実施形態において、リソース割り当て情報は、ランダムアクセス受取通知42においても同様に伝達することができ、リソース割り当て情報は、直接通信装置の中のコーディネータ装置によって指定される。実際の実施例では、例えば、直接通信装置20は、その通信プロトコルユニット202を使用して、送受信ユニット201を介して、第1競合スロットにおいてランダムアクセス競合を受信してから、第2競合スロットにおいてランダムアクセス競合の受取通知を行う。
【0038】
図5は、1つの例示的な実施形態に係る送信スロットの概略図である。フレーム構造は、図5に示した異なる送信電力レベル/優先度レベルを有する送信スロットから成る。同じ周波数キャリアには、少なくとも2種類の送信スロットが存在する。これらの送信スロットの中で、送信スロットは、さらに、異なる送信電力レベルまたは優先度レベルに分類することができる。送信電力レベルは、これらの送信スロットに対する送信電力上限であってもよい。送信電力レベルは、少なくとも5dBで減少できる。例えば、送信スロット1において、最大送信電力レベルは23dBmであり、送信スロット2において、最大送信電力レベルは13dBmである。異なるスロットにおける送信電力上限によって、送信スロット1、2および3の競合範囲は互いに異なる。
【0039】
図5は、3種類の競合スロットの例を示したものである。送信スロット1において、送信電力は最大であるため、送信範囲も最大である。送信スロット3において、送信電力は最小であるため、空間ドメイン分離が達成可能となり、スペクトル効率を向上させることができる。
【0040】
送信スロットは、データ信号をページングまたはブロードキャスティングするよう構成される。ページングに対し、直接通信装置は、内容、キーインデックス、場所、カテゴリー、装置識別名(device identifier, ID)、詳細情報のリソース等の情報をブロードキャストすることができる。ページングが送信スロットで使用された場合、送信フェーズの受取通知を省略することができる。別の実施形態において、直接通信方法に関する送信フェーズより前のランダムアクセスフェーズは、いずれも必要ない。
【0041】
送信の観点からみると、直接通信装置は、その認証された優先度レベルまたは許可された送信電力レベルに基づいて、その無線信号/メッセージを送信する。高電力/優先度レベルにおいて、直接通信装置がこのような高電力または優先度で送信することが許可されていない場合、この状況には2つの方法が存在する。第1の方法は、送信電力を直接通信装置が認証された時の許可レベルに制限することであり、第2の方法は、このスロットで無線信号を送信しないよう通信装置を規制することである。
【0042】
例えば、送信スロット1は、例えば、その無線信号を別の直接通信装置32に送信する直接通信装置31またはその無線信号を別の直接通信装置34に送信する直接通信装置33に対して、高送信電力レベル/高優先度レベルを割り当てることができる。競合スロット1と比較して、競合スロット2は、直接通信装置31、33よりも小さい送信範囲内で、例えば、その無線信号を別の直接通信装置に送信する別の直接通信装置に対して、中間送信電力レベル/中間優先度レベルを割り当てることができる。また、競合スロット1および競合スロット2と比較して、競合スロット3は、直接通信装置31、33、35よりも小さい送信範囲内で、例えば、その無線信号を別の直接通信装置36に送信する直接通信装置35またはその無線信号を別の直接通信装置38に送信する直接通信装置37に対して、低送信電力レベル/低優先度レベルを割り当てることができる。
【0043】
本発明の実施形態において、フレーム構造は、タイミング同期であってもよい。タイミング同期を達成するために、各直接通信装置はタイミング基準を獲得する必要があり、タイミング基準を獲得するには2つの方法が存在する。第1の方法は、3GPP LTE(long term evolution)システム、GSM(global system for mobile communication)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、第3世代移動体通信システム(third generation mobile communication system, 3G)、広帯域符号分割多重アクセス(wideband code division multiple access, WCDMA)、WiFiネットワーク、符号分割多重接続2000(code division multiple access 2000, CDMA2000)、GPS(global positioning system)等のセルラ通信システム、無線アクセスネットワークまたは無線対応ポジショニングシステムに接続される直接通信装置を必要とする。したがって、直接通信装置は、セルラ通信システム、無線アクセスネットワークまたは無線対応ポジショニングシステムからの基準タイミングに従うことができる。例えば、図6は、1つの例示的な実施形態に係るタイミング基準獲得の概略図を示したものである。図6を参照すると、通信装置651は、タイミング基準信号をその無線サービスカバレッジ65内で直接通信装置にブロードキャストするよう構成された基地局(またはアクセスポイント等)である。
【0044】
本発明の別の実施形態において、直接通信装置は、タイミング基準としてビーコン信号をブロードキャストすることができる。例えば、直接通信装置601は、タイミング基準としてビーコン信号をブロードキャストするよう構成されたものであり、直接通信装置601の送信範囲60内にある直接通信装置602等の他の直接通信装置は、ビーコン信号のタイミング基準を受信および解読して、従うことができる。
【0045】
本発明の実施形態において、干渉を制御するため、本発明が提案する通信方法は、さらに、いくつかのTDMベースの干渉制御メカニズムを含んでもよい。TDMベースの干渉制御メカニズムの第1カテゴリーは、優先度設定獲得と関連する。送信電力レベル設定/優先度設定は、全ての直接通信装置に通知されなければならない。送信電力レベル設定/優先度設定を獲得するため、いくつかの方法が存在する。
【0046】
第1の方法は、ビーコン(beacon)ベースの方法である。ビーコンベースの方法において、全ての直接通信装置は、デフォルトの設定を有する。各直接通信装置は、ビーコン信号を介して関連するタイミング基準を受信し、例えば、直接通信装置602は、直接通信装置601から関連するタイミング基準を受信する。直接通信装置は、解読したビーコン信号に基づいて、デフォルトの設定に従って基準タイミングを獲得することができる。
【0047】
第2の方法は、改良されたビーコンベースの方法である。改良されたビーコンベースの方法において、全ての直接通信装置は、デフォルトの設定を有する。各直接通信装置は、ビーコン信号を介して関連するタイミング基準を受信し、例えば、直接通信装置602は、直接通信装置601から関連するタイミング基準を受信する。ビーコン信号は、関連する送信電力レベル設定/優先度設定を伝達し、直接通信装置は、関連する送信電力レベル設定/優先度設定に従って基準タイミングを獲得することができる。
【0048】
第3の方法は、インフラストラクチャベース(infrastructure-based)の方法である。インフラストラクチャベースの方法において、直接通信装置は、アクセスポイントまたは基地局にアクセスして、スペクトルアクセスの許可を要求することができ、例えば、基地局651の無線サービスカバレッジ65内にある直接通信装置は、基地局651にスペクトルアクセスの許可を要求することができる。アクセスポイント装置または基地局は、前の要求に応じて、要求している直接通信装置に、関連する優先度レベル/送信電力レベルの設定を送信することができる。
【0049】
第4の方法は、デバイスベースの方法である。デバイスベースの方法において、直接通信装置601等の直接通信装置は、ビーコン信号を送信することができる。直接通信装置602等の新たに参入した装置は、その通知プロトコルユニット202を使用してビーコン信号を検出し、送受信ユニット201を介してビーコン信号からタイミング基準を獲得することができる。ビーコン信号は、関連する送信電力レベル設定/優先度設定を伝達することができる。別の実施形態において、新たに参入した装置は、関連する送信電力レベル設定/優先度設定を別の直接通信装置に要求することができる。この要求に応じて、要求された直接通信装置は、関連する送信電力レベル設定/優先度設定を返信する。
【0050】
図1および図3〜図5は、例示的な実施形態に係るTDMベースの競合スロット/送信スロットのフレーム構造を示したものである。本発明が提案する直接通信方法は、競合スロット割当(contention slot assignment)/送信スロット割当(transmission slot assignment)の周期性を調整することができる。図7は、1つの例示的な実施形態に係る送信電力レベル/優先度レベルに基づく競合スロットの異なる周期性を示す概略図である。
【0051】
図7を参照すると、所定のサイクル(predetermined cycle)/予め設定されたサイクル(pre-configured cycle)において、競合スロット1、2、3の出現(occurrence)は、送信電力レベルまたは優先度レベルによって変化する。本実施形態において、より大きな送信電力レベルまたはより高い優先度レベルで割り当てられた競合スロット1は、より小さな送信電力レベルまたはより低い優先度レベルで割り当てられた競合スロット2の出現よりも少ないか、あるいは等しい。この方法により、大部分の出現現象(occurrence event)に対する送信率を増やすことができる。
【0052】
例えば、図7に示すように、所定のサイクルには8個の競合スロット70が存在する。競合スロット1は、8個の競合スロット毎に1度出現し、競合スロット2は、8個の競合スロット毎に2度出現し、競合スロット3は、8個の競合スロット毎に5度出現している。
【0053】
しかしながら、本発明は、上述した競合スロットの周期性に限定されない。緊急の場合、高い優先度の競合スロットの数は、同時にランダムアクセス/データ送信を求めて競合している多数の直接通信装置をサポートするには不十分である可能性がある(例えば、1秒以内に1000個の装置が競合しようとした時)。そのため、本発明が提案する直接通信方法は、緊急事態の場合に競合スロットの周期性を変える調整手順を含んでもよい。
【0054】
図8は、1つの例示的な実施形態に係る競合スロットの周期性の調整を示す概略図である。高い優先度または送信電力の競合スロットの数を増やすことにより、送信の成功率を上げることができる。例えば、直接通信装置601等の直接通信装置が、その通信プロトコルユニット252を使用して、その送受信ユニット251を介して緊急事態を検出した時、直接通信装置は、緊急コマンド80を送信/ブロードキャストして、緊急設定を起動することができる。緊急コマンド80は、他の直接通信装置に流れてもよい。複数ラウンドの直接通信装置間で緊急コマンドがあふれるのを防ぐため、緊急コマンドは、緊急の状況を非活性化するタイマーを伝達し、直接通信装置は、緊急コマンドを受信した時にタイマーを起動することができる。
【0055】
図8を参照すると、送信電力レベル/優先度レベルに基づいた緊急事態の場合に競合スロットの周期性を調整するために、コーディネータ装置としての直接通信装置601は、同一の送信電力レベル/優先度レベルを有する全ての競合スロットを高送信電力/優先度に切り替えることができる。直接通信装置601は、また、所定の期間内で同一の送信電力レベル/優先度レベルを有する競合スロット/送信スロットの出現のビットマップを使用して、どの競合スロットが高送信電力/優先度に変わるのかを表示することもできる。
【0056】
本発明が提案する直接通信方法は、異なる直接通信装置の送信電力の監視に関してスペクトル監視の手順を含む。本発明が提案する直接通信方法は、システム監視をサポートすることができる。監視システムまたは直接通信装置の中の予め設定された直接通信装置は、残りの直接通信装置のスペクトラム使用を監視することができる、本実施形態において、予め設定された直接通信装置は、コーディネータ装置であってもよい。直接通信装置がメッセージをブロードキャストした時、直接通信装置は、ブロードキャスト信号とともに関連するパワータグ(power Tag)およびそのIDを伝達することができる。予め設定された直接通信装置、基地局または無線アクセスポイントは、パワータグおよび関連するIDを監視して、現在送信中の直接通信装置が設定の送信電力限界を破るかどうかを識別することができる。現在送信中の直接通信装置が電力限界を超えてその無線信号を送信している場合、予め設定された直接通信装置、基地局または無線アクセスポイントは、直接通信装置と通信して、直接通信装置を再設定することができる。図9は、1つの例示的な実施形態に係る送信電力の監視方法のフローチャートである。
【0057】
図9を参照すると、送信電力の監視方法は、ステップS91から始まり、直接通信装置20は、その送信電力設定/優先度設定に基づく競合スロットを介して、メッセージ(または、その無線信号)をブロードキャスト/通知し、メッセージまたは無線信号は、直接通信装置20のパワータグおよびIDを伝達する。
【0058】
ステップS92において、コーディネータ装置25は、ブロードキャスト/通知されたメッセージ(または無線信号)を検出する。ステップS93において、コーディネータ装置25は、受信した送信電力またはパワータグの値が現在送信中の直接通信装置20の送信電力レベル設定/優先度レベルに基づく所定の送信電力限界よりも大きいか(または超えるか)どうかを判断する。受信した送信電力またはパワータグの値が所定の送信電力限界よりも大きい(または超える)場合、ステップS93の後にステップS94が実行される。そうでなければ、ステップS93の後にステップS92が再度実行される。
【0059】
ステップS94において、コーディネータ装置25は、直接通信装置20と通信して、直接通信装置20の再設定を試みることができる。例えば、コーディネータ装置25は、直接通信装置20にメッセージを送信し、所定の送信電力限界を破っていることを直接通信装置20に通知することができる。また、コーディネータ装置25は、直接通信装置20にメッセージ(または再設定メッセージ)を送信してから、より低い送信電力レベル/より低い優先度レベルで直接通信装置20を再設定することができる。それから、直接通信装置20は、再設定メッセージに基づいて、その送信電力を調整することができる。
【0060】
本発明において、直接通信装置は、いくつかの方法で優先度設定を獲得することができる。例えば、第1の方法は、その優先度設定を直接通信装置に組み込む方法である。直接通信装置は、メモリ203等のメモリに優先度を保存することができる。第2の方法は、直接通信装置が、別の直接通信装置にアクセスして優先度設定を獲得する方法である。第3の方法は、直接通信装置が、優先度認証を取り扱うコーディネータ装置25等のネットワークコーディネータにアクセスする方法である。第4の方法は、直接通信装置が、WiMAX、LTE、ユニバーサル地上無線アクセス(universal terrestrial radio access, UTRA)、GSM、GPRS等の他の無線アクセス技術による無線アクセスネットワークを介してアクセスし、その優先度設定を獲得する方法である。
【0061】
図10は、1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。図10を参照すると、直接通信方法は、直接通信装置に適合される。説明を容易にするため、手順の説明において、直接通信装置の中の1つの直接通信装置を主題とみなす。本発明が提案する直接通信方法は、ステップS101から始まり、少なくとも1つの通信装置内にある直接通信装置は、残りの通信装置とリソース割り当てを求めて競合し、その送信電力設定に基づいて、同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいてランダムアクセスを行う。実際の実施例では、例えば、直接通信装置20は、その通信プロトコルユニット202を使用して残りの通信装置とリソース割り当てを求めて競合し、その送信電力設定に基づいて、送受信ユニット201を介して同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいてランダムアクセスを行う。通信プロトコルユニット202は、前もって送信電力設定を獲得しておき、その送信電力設定を記録する。
【0062】
ステップS102において、直接通信装置は、そのそれぞれの識別子および関連するパワータグを有する無線信号を送信する。実際の実施例では、例えば、直接通信装置20は、その通信プロトコルユニット202を使用して、送受信ユニット201を介してそのそれぞれの識別子および関連するパワータグを有する無線信号を送信する。通信プロトコルユニット202は、関連するパワータグおよびその識別子をメモリ203に記録することができる。
【0063】
図11は、1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。図11を参照すると、直接通信方法は、直接通信装置に適合される。説明を容易にするため、手順の説明において、直接通信装置の中の1つの直接通信装置を主題とみなす。本発明が提案する直接通信方法は、ステップS111から始まり、少なくとも1つの通信装置内にある直接通信装置は、残りの通信装置とリソース割り当てを求めて競合し、その優先度設定に基づいて、同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいてランダムアクセスを行う。実際の実施例では、例えば、直接通信装置20は、その通信プロトコルユニット202を使用して残りの通信装置とリソース割り当てを求めて競合し、その優先度設定に基づいて、送受信ユニット201を介して同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいてランダムアクセスを行う。通信プロトコルユニット202は、前もって送信電力設定を獲得しておき、その送信電力設定を記録する。
【0064】
ステップS112において、直接通信装置は、そのそれぞれの識別子および関連するパワータグを有する無線信号を送信する。実際の実施例では、例えば、直接通信装置20は、その通信プロトコルユニット202を使用して、送受信ユニット201を介してそのそれぞれの識別子および関連するパワータグを有する無線信号を送信する。通信プロトコルユニット202は、関連するパワータグおよびその識別子をメモリ203に記録することができる。
【0065】
図12は、1つの例示的な実施形態に係る直接通信方法のフローチャートである。図12を参照すると、直接通信方法は、直接通信装置の1つであるコーディネータ装置に適合される。説明を容易にするため、手順の説明において、コーディネータ装置を主題とみなす。本発明が提案する直接通信方法は、ステップS121から始まり、コーディネータ装置は、同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいて、少なくとも1つの直接通信装置の中の別の直接通信装置から少なくとも1つのランダムアクセス競合メッセージを受信する。実際の実施例では、例えば、コーディネータ装置25は、その通信プロトコルユニット252を使用し、送受信ユニット251を介して、同じ周波数キャリア上の少なくとも1つの競合スロットにおいて少なくとも1つの直接通信装置の中の別の直接通信装置から少なくとも1つのランダムアクセス競合メッセージを受信する。
【0066】
ステップS122において、少なくとも1つのランダムアクセス競合メッセージに応じて、コーディネータ装置は、ランダムアクセス競合メッセージに対応する少なくとも1つのランダムアクセス受取通知を返信し、パワータグが対応する競合スロットの送信電力上限を超える送信電力を示している場合に、直接通信装置の送信電力を再設定する。実際の実施例では、例えば、コーディネータ装置25の通信プロトコルユニット252は、少なくとも1つの競合スロットにおける少なくとも1つのランダムアクセス競合メッセージに対応する少なくとも1つのランダムアクセス受取通知を返信することができる。
【0067】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、直接通信装置および通信コーディネータ装置に関わる通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
UB1 第1送信電力上限
UB2 第2送信電力上限
UB3 第3送信電力上限
TP1 第1送信電力レベル
TP2 第2送信電力レベル
TP3 第3送信電力レベル
TP4 第4送信電力レベル
TP5 第5送信電力レベル
TP6 第6送信電力レベル
20 直接通信装置
201 送受信ユニット
202 通信プロトコルユニット
203 メモリ
25 コーディネータ装置
251 送受信ユニット
252 通信プロトコルユニット
253 メモリ
31〜38 直接通信装置
41 ランダムアクセス競合
42 ランダムアクセス受取通知
601 直接通信装置
602 直接通信装置
60 直接通信装置601の送信範囲
651 直接通信装置
65 直接通信装置651の無線カバレッジ
70 競合スロットの周期性
80 緊急コマンド
S91〜S94 方法ステップ
S101〜S102 方法ステップ
S111〜S112 方法ステップ
S121〜S122 方法ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセスを行う通信装置に適合される直接通信方法であって、
第1通信装置が、第1送信電力上限を有する第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する第2競合スロットを含む競合スロットにおいてランダムアクセスを行うステップと、
前記第1競合スロットの前記第1送信電力上限または前記第2競合スロットの前記第2送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信するステップと
を含み、前記第1通信装置が、競合に関与する方法。
【請求項2】
前記第1競合スロットにおいて前記ランダムアクセスを行った後、前記第1通信装置が、ランダムアクセス受取通知を受信するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2競合スロットにおいて前記ランダムアクセスを行った後、前記第1通信装置が、前記第1競合スロットに対応するランダムアクセス受取通知を受信するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1競合スロットに対応する前記ランダムアクセス受取通知を受信した後、第2通信装置が、前記第2競合スロットに対応するランダムアクセス受取通知を受信するステップ
をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1通信装置が、セルラ通信システムでそのタイミングを調整するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1通信装置が、第2通信装置のビーコン信号に従って、前記第2通信装置でそのタイミングを調整するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1通信装置が、セルラ通信システムからのビーコン信号またはメッセージに従って、その送信設定を獲得するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記セルラ通信システムからの前記ビーコン信号または前記メッセージに従って、その送信設定を獲得する前記ステップが、
前記ビーコン信号を受信および解読するステップと、
前記解読したビーコン信号において関連するタイミングを受信するステップと、
前記関連するタイミングに基づくデフォルトの送信設定に従って、その送信設定を獲得するステップと
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記セルラ通信システムからの前記ビーコン信号または前記メッセージに従って、その送信設定を獲得する前記ステップが、
前記ビーコン信号を受信および解読するステップと、
前記解読したビーコン信号において関連するタイミングを受信するステップと、
前記関連するタイミングに従って、その送信設定を獲得するステップと
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記セルラ通信システムからの前記ビーコン信号または前記メッセージに従う前記ステップが、
前記第1通信装置が、コーディネータ装置にスペクトルアクセス許可を要求するステップと、
前記第1通信装置が、前記コーディネータ装置から送信電力設定を受信するステップと
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1通信装置が、前記第2通信装置の前記ビーコン信号に従って、前記第2通信装置でそのタイミングを調整する前記ステップが、
前記第1通信装置が直接通信ネットワークに新たに参入した時、前記第1通信装置が、前記第2通信装置から前記ビーコン信号を検出して、デフォルトのタイミングを獲得するステップと、
前記第1通信装置が、前記ビーコン信号から関連する送信電力設定を獲得するか、あるいは、前記第1通信装置が、前記第2通信装置に前記関連する送信電力設定を要求するステップと
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項12】
緊急コマンドを受信するステップと、
前記緊急コマンドに基づいて、所定のサイクル内で前記競合スロットの出現を適合させるステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2通信装置から再設定メッセージを受信するステップと、
前記再設定メッセージに基づいて、その送信電力を調整するステップと
をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記2つの競合スロットが、時分割多重である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記無線信号が、前記第1通信装置の識別子およびパワータグを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1送信電力上限および前記第2送信電力上限が、少なくとも5dBの差を有する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
データ送信を行う通信装置に適合される直接通信方法であって、
第1通信装置が、第1送信電力上限を有する第1送信スロットおよび第2送信電力上限を有する第2送信スロットを含む送信スロットにおいて前記データ送信を行うことと、
前記第1送信スロットの前記第1送信電力上限または前記第2送信スロットの前記第2送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信することと
を含み、前記第1通信装置が、前記データ送信に関与する方法。
【請求項18】
前記第1送信電力上限を有する前記第1送信スロットおよび前記第2送信電力上限を有する前記第2送信スロットを含む前記送信スロットにおいて前記データ送信を行う前記ステップが、
前記第1送信電力上限に基づいて、第1競合スロットにおいてランダムアクセスを行うステップ
をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ランダムアクセス受取通知を受信するステップ
をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1送信電力上限および前記第2送信電力上限が、少なくとも5dBの差を有する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
通信装置で無線信号を送信および受信するよう構成された送受信ユニットと、
前記送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する第2競合スロットを含む競合スロットにおいてランダムアクセスを行うよう構成された通信プロトコルユニットと
を含む直接通信装置。
【請求項22】
前記第1競合スロットにおいて前記ランダムアクセスを行った後、前記通信プロトコルユニットが、さらに、ランダムアクセス受取通知を受信するよう構成された請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第2競合スロットにおいて前記ランダムアクセスを行った後、前記通信プロトコルユニットが、さらに、前記第1競合スロットに対応するランダムアクセス受取通知を受信するよう構成された請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記第1競合スロットにおいて前記ランダムアクセスを受信した後、前記通信プロトコルユニットが、さらに、前記第2競合スロットに対応する第2ランダムアクセス受取通知を受信するよう構成された請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、前記第1送信スロットの前記第1送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信するよう構成され、前記第1通信装置が、競合に関与する請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、第2通信装置のビーコン信号に従って、前記第2通信装置で、そのタイミングを調整するよう構成された請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、セルラ通信システムからのビーコン信号またはメッセージに従って、その送信設定を獲得するよう構成された請求項21に記載の装置。
【請求項28】
前記セルラ通信システムからの前記ビーコン信号または前記メッセージに従って、その送信設定を獲得するようさらに構成された前記通信プロトコルユニットが、
前記ビーコン信号を受信および解読することと、
前記解読したビーコン信号において関連するタイミングを受信することと、
前記関連するタイミングに基づくデフォルトの送信設定に従って、その送信設定を獲得することと
を含む請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記セルラ通信システムからの前記ビーコン信号または前記メッセージに従って、その送信設定を獲得するようさらに構成された前記通信プロトコルユニットが、
コーディネータ装置にスペクトルアクセス許可を要求することと、
前記コーディネータ装置から送信電力設定を受信することと
を含む請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記第2通信装置の前記ビーコン信号に従って、前記第2通信装置でそのタイミングを調整するようさらに構成された前記通信プロトコルユニットが、
第1通信装置が直接通信ネットワークに新たに参入した時、前記第1通信装置が、前記第2通信装置から前記ビーコン信号を検出して、デフォルトのタイミングを獲得することと、
前記第1通信装置が、前記ビーコン信号から関連する送信電力設定を獲得するか、あるいは、前記第1通信装置が、前記第2通信装置に前記関連する送信電力設定を要求することと
を含む請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、
緊急コマンドを受信するとともに、
前記緊急コマンドに基づいて、所定のサイクル内で前記競合スロットの出現を適合させる
よう構成された請求項21に記載の装置。
【請求項32】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、
前記第2通信装置から再設定メッセージを受信するとともに、
前記再設定メッセージに基づいて、その送信電力を調整する
よう構成された請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記第1送信電力上限および前記第2送信電力上限が、少なくとも5dBの差を有する請求項21に記載の装置。
【請求項34】
通信装置で無線信号を送信および受信するよう構成された送受信ユニットと、
前記送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する第1送信スロットおよび第2送信電力上限を有する第2送信スロットを含む送信スロットにおいてデータ送信を行うとともに、前記第1送信スロットの前記第1送信電力上限または前記第2送信スロットの前記第2送信電力上限よりも小さい送信電力で、その無線信号を送信するよう構成された通信プロトコルユニットと
を含み、前記通信プロトコルユニットが、前記データ送信に関与する直接通信装置。
【請求項35】
前記通信プロトコルユニットが、前記第1送信電力上限に基づいて前記第1送信スロットにおいて前記データ送信を行う前に、前記通信プロトコルユニットが、さらに、
前記第1送信電力上限に基づいて、第1競合スロットにおいてランダムアクセスを行うよう構成された請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、
ランダムアクセス受取通知を受信するよう構成された請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記2つの送信スロットが、異なる送信電力上限で分類された請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記第1送信電力上限および前記第2送信電力上限が、少なくとも5dBの差を有する請求項34に記載の装置。
【請求項39】
少なくとも2つの直接通信装置の中のコーディネータ装置に適合され、
第1送信電力上限を有する少なくとも1つの第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する少なくとも1つの第2競合スロットを含む1つの競合スロットを設定すること
を含む直接通信方法。
【請求項40】
前記直接通信装置が、許可された送信電力設定または優先度レベルで構成された請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項41】
前記直接通信装置の中の前記別の直接通信装置にタイミング基準ビーコン信号を送信すること
をさらに含む請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項42】
前記タイミング基準ビーコン信号において前記直接通信装置に対応する送信電力設定または優先度設定を送信すること
をさらに含む請求項41に記載の直接通信方法。
【請求項43】
新たに参入した直接通信装置から、前記新たに参入した直接通信装置の送信電力設定または優先度設定を要求する要求メッセージを受信することと、
前記要求メッセージに応答して、前記送信電力設定または前記優先度設定を前記新たに参入した直接通信装置に送信することと
をさらに含む請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項44】
緊急事態に応答して、前記コーディネータ装置が、所定のサイクル内で前記少なくとも2つの競合スロットの出現を調整するよう構成された緊急コマンドをブロードキャストすることをさらに含む請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項45】
緊急事態に応答して、前記コーディネータ装置が、送信スロットの出現を調整するよう構成された緊急コマンドをブロードキャストすることをさらに含み、前記コーディネータ装置が、所定のサイクル内でデータ送信を求めて競合する請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項46】
前記コーディネータ装置が、前記直接通信装置の無線信号を検出することと、
前記コーディネータ装置が、前記直接通信装置にそれぞれ対応するパワータグおよび関連する識別子を識別することと
をさらに含む請求項39に記載の直接通信方法。
【請求項47】
前記コーディネータ装置が、前記パワータグの前記関連する識別子および前記直接通信装置の送信電力設定に基づいて、前記パワータグの電力値が送信電力制限を超過しているかどうかを判断すること
をさらに含む請求項46に記載の直接通信方法。
【請求項48】
前記コーディネータ装置によって、1つのパワータグが送信中の直接通信装置の送信電力設定の前記送信電力限界を超過していると判断された時、前記コーディネータ装置が、前記送信中の直接通信装置に再設定メッセージを送信して、前記送信中の直接通信装置の前記パワータグの前記電力値を下げること
をさらに含む請求項47に記載の直接通信方法。
【請求項49】
無線信号を送信および受信するよう構成された送受信ユニットと、
前記送受信ユニットに接続され、第1送信電力上限を有する少なくとも1つの第1競合スロットおよび第2送信電力上限を有する少なくとも1つの第2競合スロットを含む1つの競合スロットを設定するよう構成された通信プロトコルユニットと
を含むコーディネータ装置。
【請求項50】
前記通信プロトコルユニットが、さらに、前記送受信ユニットを介して、タイミング基準ビーコン信号を前記直接通信装置の中の前記別の直接通信装置に送信するよう構成された請求項49に記載のコーディネータ装置。
【請求項51】
緊急事態に応答して、前記通信プロトコルユニットが、さらに、前記送受信ユニットを介して緊急コマンドをブロードキャストするよう構成され、前記緊急コマンドが、所定のサイクル内で前記競合スロットの出現を調整するよう構成された請求項49に記載のコーディネータ装置。
【請求項52】
前記通信プロトコルユニットによって、パワータグの電力値が前記パワータグと関連する送信中の直接通信装置の送信電力設定の送信電力限界を超過していると判断された時、前記通信プロトコルユニットが、さらに、再設定メッセージを送信して、前記送信中の直接通信装置の前記パワータグの前記電力値を下げるよう構成された請求項49に記載のコーディネータ装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98990(P2013−98990A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−240448(P2012−240448)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】