説明

直流電動機

【課題】コンパクトで、かつ、信頼性の高い安価な直流電動機を提供する。
【解決手段】
複数の固定子巻線が施された固定子(1)と偶数極に着磁された永久磁石を有する回転子(2)を備えた直流電動機であって、回転軸(6)に固定された回転カム(5)により駆動される複数のカムスイッチ(4)の可動接点板(4c)に上記の各固定子巻線(3)を接続し、直流電源(7)を前記カムスイッチ(4)の固定接点板(4a)及び固定接点板(4b)に接続し、回転子(2)の回転位置角により直流電源(7)の極性を断続反転させ、各固定子巻線(3)に順次給電し回転磁界を発生するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久磁石式回転子と鉄心にコイルを施した固定電機子を有する、ブラシレス直流電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の小型直流電動機は、界磁永久磁石の内側で鉄心にコイルを施した回転する電機子の整流子にブラシを摺接し通電する構造を一般的に採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成の直流電動機においては、ブラシと整流子とを常に圧接させ通電するため磨耗の問題があった。
【0004】
本発明は、従来技術の有するブラシと整流子の摺接による磨耗の問題点を改善し、コンパクトでかつ信頼性の高い安価な直流電動機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の固定子巻線が施された固定子と偶数極に着磁された永久磁石を有する回転子を備えた直流電動機であって、回転子の軸に固定された回転カム(5)により駆動される複数のカムスイッチ(4)の可動接点板(4c)に上記の各固定子巻線(3)を接続し、直流電源(7)を前記カムスイッチ(4)の 固定接点板(4a)及び固定接点板(4b)に接続し、回転子(2)の回転位置角より直流電源の極性を断続反転させ、各固定子巻線に順次給電し回転磁界を発生するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、従来技術の有するブラシと整流子の摺接による磨耗と粉塵の問題点を改善し、シンプルで、かつ、信頼性の高い安価な直流電動機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、第1実施例のインナーローター型直流電動機について図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1及び図2は、第1実施例でインナーローター型直流電動機を示し、ハウジング(8)の内部に、回転磁界を発生する複数の固定子巻線(3)が施された固定子(1)を設け、回転子軸(6)を有し偶数極に着磁された永久磁石式回転子(2)を回転自在に設ける。
【0009】
上記回転子軸(6)に固定された回転カム(5)と、この回転カム(5)により駆動される可動接点板(4c)と2つの固定接点板(4a、4b)を有する複数のカムスイッチ(4)を設ける。
【0010】
上記の各固定子巻線(3)をカムスイッチ(4)の可動接点板(4c)に接続し、DC電源(7)を各々のカムスイッチ(4)の固定接点板(4a)及び固定接点板(4b)に接続する。
【0011】
本発明の直流電動機においては、通常の直流電動機のブラシが各カムスイッチの2つの固定接点板(4a、4b)に相当し、整流子は可動接点板(4c)に相当し、
回転子(2)が回転すると、回転軸(6)に固定された回転カム(5)の回転位置により、カムスイッチ(4)の可動接点(4cc)は2つの固定接点(4ac、4bc)に間欠的かつ交互に接触する
【0012】
各固定子巻線(3)に接続されたカムスイッチ(4)の可動接点(4cc)は回転子の位置角により固定接点(4ac)と固定接点(4bc)とに交互に切り換わり、直流電源は順次固定子巻線に供給され、その結果、固定子に回転磁界を発生させ、固定子と回転子間にトルクが発生し、回転子が回転する。
【0013】
図3及び図4は、第2実施例のアウターローター型直流電動機のを示し、回転磁界を発生させる複数の固定子巻線(3o)が施された固定子(1o)に回転軸受を設け、偶数極に着磁された管状ローターの側面に軸受部を設け回転軸(6)を固定したアウターローター形式の回転子(2o)を形成し、前記固定子(1o)の回転軸受に回転自在に設ける。
【0014】
上記回転子軸(6)に固定された回転カム(5)と、この回転カム(5)により駆動される可動接点板(4c)と2つの固定接点板(4a、4b)を有する複数のカムスイッチ(4)を設けたアウターローター型直流電動機の例である。
【0015】
図5は請求項3の偏心回転カムとカムスイッチ部の分解斜視図であり図6は偏心回転カム(5a)の位置とカムスイッチ(4)の接点動作状態を示し、図6(I)は回転子(2)が回転し、回転軸(6)に固定された偏心回転カム(5a)に圧接する可動接点板(4c)が軸芯に接近し、カムスイッチ(4)の可動接点(4cc)が固定接点(4bc)に接触した状態を示す。
【0016】
図6(II)は偏心回転カム(5a)が回転しカムスイッチ(4)の可動接点(4cc)は固定接点(4ac)から切り離され可動接点(4cc)が断路された状態を示し、図6(III)は偏心回転カムの凸部がカムスイッチの可動接点板(4c)を押し上げて可動接点(4cc)が固定接点(4ac)に接触した状態を示す。
【0017】
図7は請求項3の周側溝形式カムとカムスイッチ部の分解斜視図であり図8は回転軸周側から見たカム位置とカムスイッチの接点動作状態を示し、図8(I)は 周側溝カム(5b)のカム溝(m)に係合する可動接点板(4c)先端が下側に導かれ、カムスイッチ(4)の接点(4cc)が固定接点(4bc)に接触した状態を示す。
【0018】
図8(II)は周側カム(5b)が回転しカムスイッチ(4)の可動接点(4cc)を固定接点(4ac)から切り離され可動接点(4cc)の断路状態を示し、図8(III)は周側溝カム(5b)の係合部がカムスイッチの可動接点板(4c)を駆動し可動接点(4cc)が固定接点(4ac)に接触した状態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に関わる第1実施例のインナーローター型直流電動機の原理図
【図2】第1実施例のインナーローター型直流電動機の分解斜視図
【図3】本発明に関わる第2実施例のアウターローター型直流電動機の原理図
【図4】第2実施例のアウターローター型直流電動機の分解斜視図
【図5】偏心回転カム形式の回転カムとカムスイッチの分解斜視図
【図6】偏心回転カム形式の回転カム位置とカムスイッチの作用を説明する側面図
【図7】周側溝形式の回転カムとカムスイッチの分解斜視図
【図8】周側溝形式の回転カム位置とカムスイッチの作用を説明する平面図
【符号の説明】
【0020】
1、1o 固定子
2、2o 回転子
3、3o 固定子巻線
4 カムスイッチ
4a、4b 固定接点板
4ac、4bc 固定接点
4c 可動接点板
4cc 可動接点
5 回転カム
5a 偏心回転カム
5b 周側溝回転カム
6 回転軸
7 直流電源
8 ハウジング
9 回転軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定子巻線が施された固定子と、偶数極に着磁された永久磁石を有する回転子を備えた直流電動機であって、前記固定子巻線の各々に接続された可動接点と直流電源に接続された2つの固定接点とを有する複数のカムスイッチと、前記回転子の回転軸に固定された回転カムとを設け、前記回転カムによって駆動される前記カムスイッチにより、直流電源を各々の固定子巻線に順次切り替え給電し回転磁界を発生するようにした直流電動機。
【請求項2】
上記カムスイッチを、一端に固定接点が設けられた2つの固定接点板(4a、4b)と一端に可動接点が設けられ常に回転カムに押圧する弾性有する可動接点板(4c)とで形成し、前記可動接点板(4c)の先端部を円筒状の偏心回転カム(5a)の周側に圧接係合させ、可動接点(4cc)を固定接点(4ac)と固定接点(4bc)とに順次交互に接触するようにした請求項1に記載の直流電動機。
【請求項3】
上記カムスイッチを、一端に固定接点が設けられた2つの固定接点板(4a、4b)と、一端に可動接点が設けられた弾性有する可動接点板(4c)とで形成し、前記可動接点板(4c)の先端部を円筒状の周側に傾斜溝を刻設した周側溝回転カム(5b)の溝に係合させ、可動接点(4cc)を固定接点(4ac)と固定接点(4bc)とに順次交互に接触するようにした請求項1に記載の直流電動機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate