説明

直流電源装置

【課題】起動時の動作を安定させることができる直流電源装置を提供すること。
【解決手段】直流電源装置10は、主スイッチ素子12の断続により得られる直流電圧パルスをチョークコイル13に印加させると共に主スイッチ素子12のOFF時にチョークコイル13の電流をダイオード14で環流させるチョッパ回路10Aと、4つの第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4からなるフルブリッジ回路を有し且つチョッパ回路10Aのチョークコイル13から出力される直流電圧パルスを交流電圧に変換して出力するインバータ部20と、インバータ部20から出力される交流電圧を直流電圧に変換してプラズマ発生装置1に印加する電圧変換回路10Bを備えている。しかも、起動時にはインバータ部20を作動させた後にチョッパ回路10Aから出力される直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げるコントローラ40を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばプラズマ発生装置等の負荷に使用される直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スパッタリング装置に使用されるプラズマ発生用電源には、アーク発生時に過大な電流を流さないような特性が要求される。また、アークが発生した場合に高速にアークを消弧する必要がある。
【0003】
このような電源に電圧型電源を使用した場合は、出力に大きなコンデンサが接続されることが多く、出力にアークが発生すると、このコンデンサからの放電電流が流れる。
【0004】
また、アークの発生により出力電圧が低下した場合は、電圧を一定の値に維持しようとし、さらに出力を出すように動作する。このため、アーク発生時に過電流が流れたり、アークが長時間続いたりして負荷に悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
以上の問題点を解消するため、電源として動作し、出力過度時の電流制御のし易いインバータ回路を用いた直流電源装置が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
かかる直流電源装置は、通常、入力平滑回路(入力平滑部)、インバータ回路(インバータ部)、トランス、出力整流平滑回路(出力整流平滑部)を備えている。このインバータ回路は、4つの第1〜第4スイッチング素子からなるフルブリッジ回路を形成するとともに、第1,第4スイッチング素子と第2,第3スイッチング素子とを交互にON・OFFすることにより直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧はトランスで昇圧され、この昇圧された交流電圧は整流回路により整流されて直流電圧として出力される。
【特許文献1】特開2004−40962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した直流電源装置においては、インバータ部のスイッチング素子駆動パルスの幅を可変とすることにより出力を所定の値に制御している。一方、この直流電源装置においては、出力電圧範囲は数Vから数百V(プラズマ起動時には1000V以上)が必要であることから、制御範囲が広く前記駆動パルスの幅を大きく可変する必要があり、負荷状態により出力リプルが大きく変化することになる。
【0008】
また、この直流電源装置は電流型であるために、起動・停止時に低電流用リアクトルに蓄えられた(または蓄えるべき)エネルギーを適切に処理するための特別な動作が必要である。
【0009】
この直流電源装置の負荷をプラズマ発生装置とした場合、負荷でのアークが頻繁に発生することから、上記の起動・停止の動作も頻繁に発生し、高速な起動・停止が困難であったり動作が不安定になったりすることがある。
【0010】
そこで、この発明の目的は、起動時の動作が安定な直流電源装置を提供することにある。
【0011】
また、この発明の他の目的は、負荷の高速な起動・停止を行うことができる直流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、主スイッチ素子の断続により得られる直流電圧パルスをインダクタに印加させると共に前記主スイッチ素子のOFF時にインダクタ電流をダイオードで環流させるチョッパ回路と、4つの第1〜第4スイッチング素子からなるフルブリッジ回路を有し且つ前記チョッパ回路の前記インダクタから出力される直流電圧パルスを交流電圧に変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される交流電圧を直流電圧に変換して負荷に印加する電圧変換回路を備える直流電源装置であって、起動時には前記インバータを作動させた後に前記チョッパ回路から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる制御回路を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明の直流電源装置の前記制御回路は、停止時に前記チョッパ回路の動作を停止させることを特徴とする。
【0014】
更に、請求項3の発明の直流電源装置の前記制御回路は、停止時に前記4つの第1〜第4スイッチング素子の全てをONさせることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明の直流電源装置の前記制御回路は、起動時には前記インバータを作動させた後に前記チョッパ回路から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる一方、停止時に前記チョッパ回路の動作を停止させると共に前記4つの第1〜第4スイッチング素子の全てをONさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、起動時の直流電源装置及び負荷の動作を安定させることができる。また、請求項2〜4の発明によれば、負荷の高速な起動・停止を行うことができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明に係る直流電源装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
[第1実施例]
図1はプラズマ発生装置1に使用される直流電源装置10の構成を示した回路図である。この直流電源装置10は、整流回路11,チョッパ(チョッパ回路)10A,インバータ20,電圧変換回路10Bを有する。この電圧変換回路10Bはトランス15,整流回路30を有する。
【0019】
図1において、整流回路11は、三相交流の交流電圧を全波整流して平滑するようになっている。この整流回路11は6つのダイオードD1〜D6とコンデンサC1とから構成されている。
【0020】
また、チョッパ(チョッパ回路)10Aは、主スイッチ素子12,チョークコイル(インダクタ)13,ダイオード14を備えていて、電流源として機能する電流型降圧チョッパを構成している。
【0021】
そして、スイッチ素子12は、整流回路11の出力電圧(直流電圧)を断続することにより、直流電圧パルスを出力する。チョークコイル13は、主スイッチ素子12からの断続した直流電圧パルスを受けて電流源として動作する。また、ダイオード14は、主スイッチ素子12のOFF時にチョークコイル13へ電流(インダクタ電流)を流すことにより、電流を還流させるようになっている。
【0022】
なお、ここではチョッパ10Aは、電流型降圧チョッパを構成しているが、必ずしもこれに限るものではなく、昇圧チョッパ(昇圧チョッパ回路)や昇降圧チョッパ(昇降圧チョッパ回路)を構成するものでもよい。
【0023】
20は主スイッチ素子12から出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータであり、このインバータ20は4つの第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4からなるフルブリッジ回路を形成している。すなわち、直列接続された第1,第2スイッチング素子Q1,Q2と、直列接続された第3,第4スイッチング素子Q3,Q4とが並列接続されている。
【0024】
15はトランスであり、このトランス15の一次側にはインバータ20から出力される交流電圧が入力される。トランス15の二次側には整流回路30が接続されている。
【0025】
整流回路30は、トランス15の二次側から出力される交流電圧を整流する4つのダイオードD7〜D10と、整流された電圧を平滑する平滑コンデンサ31と、チョークコイル32とから構成されている。
【0026】
40は主スイッチ素子12の断続とインバータ20の第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4のON・OFFを制御するコントローラであり、このコントローラ40は図示しない操作部の入力に応じて主スイッチ素子12および第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4のON・OFFタイミングを制御する。
[動 作]
次に、上記のように構成される直流電源装置10の動作を図2に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
(1)起動時
コントローラ40は、先ず直流電源装置10の起動時にインバータ部20を制御して、スイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3は交互にON・OFF制御する。
【0027】
この後、コントローラ40は、チョッパ10Aの主スイッチ素子12から出力される直流電圧パルスの幅を徐々に広げ、インバータ部20へ大電流が流れないように制御する。
(2)出力電圧が低い場合のコントローラ40による制御動作
また、コントローラ40は、図示しない操作部を操作して例えば出力電圧を「低」に設定すると、図2(A)に示すように主スイッチ素子12をT1周期毎にT2期間だけONさせる。
【0028】
このようにすることで、スイッチ素子12がON・OFFし、このON・OFFによりチョークコイル13へ断続した直流電圧パルスが印加される。また、これに伴い、ダイオード14は、主スイッチ素子12のOFF時にチョークコイル13へ電流(インダクタ電流)を流すことにより、電流を還流させるようになっている。この結果、チョッパ10Aの出力電圧は、図2(A)に示すようにVaとなって、インバータ20に印加される。
【0029】
他方、インバータ20のスイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3はコントローラ40により交互にON・OFFが繰り返されていき、スイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3はコントローラ40によりそれぞれTa周期毎にTb期間だけONされていく。
【0030】
しかも、スイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3とが同時にONしている期間、すなわちオーバラップしている期間Tcに設定されている。このオーバラップしている期間Tcは非常に短く設定されている。
【0031】
なお、降圧チョッパは電流型で動作するので、インバータ20は常に電流経路が形成されるように制御される。
【0032】
また、インバータ20のスイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3とが交互にON・OFFされることにより、インバータ20から周期Tsの交流電圧が出力されてトランス15の一次側に入力される。そして、トランス15の二次側に交流電圧が出力される。
【0033】
ところで、主スイッチ素子12がONしている期間T2が短いことにより、インバータ20に入力される直流電圧は低いものとなる。すなわち、降圧チョッパにより、整流回路11から出力される直流電圧は低い電圧に降圧される。
【0034】
このため、トランス15の一次側に入力される交流電圧は低く、トランス15の二次側に出力される交流電圧は低い。この結果、整流回路30から出力される直流の出力電圧は低いものとなる。
(3)出力電圧が高い場合のコントローラ40による制御動作
コントローラ40は、出力電圧が「高」に設定されると、図2(B)に示すように主スイッチ素子12がT1周期毎にT3(T3>>T2)期間だけONされように制御する。この際も、チョッパ10Aの主スイッチ素子12から出力される直流電圧パルスの幅を徐々に広げて、最終的に主スイッチ素子12がT1周期毎にT3期間だけONされように制御すると良い。
【0035】
このようにすることで、スイッチ素子12がON・OFFし、このON・OFFによりチョークコイル13へ断続した直流電圧パルスが印加される。
【0036】
また、これに伴い、ダイオード14は、主スイッチ素子12のOFF時にチョークコイル13へ電流(インダクタ電流)を流すことにより、電流を還流させるようになっている。この結果、チョッパ10Aの出力電圧は、図2(B)に示すようにVb(Vb>>Va)となって、インバータ20に印加される。
【0037】
そして、図2(B)に示すように、インバータ20のスイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3は、コントローラ40によりそれぞれTa周期毎にTb期間だけONされていく。
【0038】
しかも、スイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3とが同時にONしている期間、すなわちオーバラップしている期間がTcとなるように各スイッチング素子Q1〜Q4のON・OFFがコントローラ40により制御される。
【0039】
そして、このようにインバータ20のスイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3とが交互にON・OFFされることにより、インバータ20から周期Tsの交流電圧が出力されてトランス15の一次側に入力される。そして、トランス15の二次側に交流電圧が出力される。
【0040】
ここで、スイッチング素子Q1〜Q4の制御条件は出力電圧の大小に拘わらず常に一定であると共に、主スイッチ素子12のONしている期間T3は上述した出力電圧が低いの場合の期間T2よりも充分に大きく、チョッパ10Aの出力電圧Vbも出力電圧が低いの場合の出力電圧Vaよりも充分に大きいので、インバータ20からトランス15の一次側に入力される周期Tsの交流電圧も大きくなる。
【0041】
この結果、トランス15の二次側から出力される交流電圧は、図2(A)の場合に比較して大きくなり、整流回路30から出力される直流の出力電圧は図2(A)より高くなる。すなわち、整流回路30の出力電圧は「高」となる。
【0042】
このようにチョッパ10Aのスイッチ素子12から出力される直流電圧パルスの幅を広げるだけで、インバータ部20に大電流を流すことなく、直流電源装置10はスムーズな動作をすることができる。
【0043】
また、インバータ20のスイッチング素子Q1,Q4とスイッチング素子Q2,Q3とが同時にONしているオーバラップ期間を制御して、トランス15の昇圧量を変えるようにしたものであるから、トランス15の巻数比を大きくしなくても、トランス15の二次側の出力電圧を大きくすることができる。このため、トランス15の巻数比を小さく、すなわち最適なものにすることができ、直流電源装置10の低電圧出力時にトランス15の一次側に流れる電流を小さくすることができる。
【0044】
このため、トランス15の一次側に接続されるスイッチング素子Q1〜Q4等の素子の容量は小さくて済み、安価な直流電源装置10を提供することができる。
【0045】
なお、図2(A),(B)でも、オーバラップ期間が発生してインバータ20は昇圧型として動作するが、そのオーバラップ期間が短いことにより、その影響は僅かである。
(4)直流電源装置10の停止操作1
また、コントローラ40は、図示しない操作部の操作でOFFされると、チョッパ10の主スイッチ素子12の直流電圧パルスの出力を停止させる。この場合、インバータ部20は動作したままである。尚、チョークコイル13に蓄積されたエネルギーが放出されるまでは負荷に電力が出力されるが、非常に短いので、動作の安定性には問題が生ぜず、プラズマ発生装置(スパッタリング装置)1の動作を直ちに停止させることができる。
【0046】
この場合、インバータ部20が動作しているので、チョッパ10Aの主スイッチ素子12の直流電圧パルスの出力を開始させれば、迅速にプラズマ発生装置1を動作制御することができる。
(5)直流電源装置10の停止操作2
しかし、直流電源装置10は、アーク発生時に負荷であるプラズマ発生装置1への影響を極力小さくするために急速に停止させる必要がある。これを行うためには、チョッパ10Aが動作した状態で、インバータ部20のトランジスタQ1〜Q4を全てONさせればよい。このときチョッパ(降圧チョッパ)10Aは定電流動作をしているためインバータ部20へ過電流が流れることはない。
【0047】
また、チョッパ10Aが動作しているので、インバータ部20の制御を開始することで、プラズマ発生装置1の再起動も迅速且つ安定した状態で実行できる。
(6)直流電源装置10の停止操作3
このようにチョッパ(降圧チョッパ)10AをOFFにするか、又はインバータ部20のトランジスタQ1〜Q4を全てONにするかによって、プラズマ発生装置1の高速な動作制御が可能となる。
【0048】
しかし、チョッパ(降圧チョッパ)10AをOFFにすると共に、インバータ部20のトランジスタQ1〜Q4を全てONにするようにしても、プラズマ発生装置(スパッタリング装置)1の動作を直ちに停止させることができる。
【0049】
また、インバータ部20の制御を開始させた後、チョッパ10Aを動作制御することで、プラズマ発生装置1の再起動も迅速且つ安定した状態で実行できる。
【0050】
これにより、高速な動作が可能となりプラズマ発生装置(スパッタリング装置)1に使用されるプラズマ発生用電源として最適なものが実現できる。
[変形例1]
以上説明した実施例では、チョッパ10Aを電流型降圧チョッパとした例を示したが、チョッパ10Aを図3に示したような反転チョッパ10A1とすることもできる。
【0051】
この反転チョッパ10A1は、スイッチ素子12と、スイッチ素子12の出力側とダイオード14の入力側との間に介装されたダイオード14Aと、スイッチ素子12の出力側とダイオード14の出力側及びチョークコイル13に接続されたチョークコイル13Aを有する。
【0052】
この構成ではスイッチ素子12の出力に対してインバータ部20の出力が上述した実施例と逆になるのみで、作用は上述した実施例と実質的に同じである。従って、この構成でもコントローラ40は上述した実施例と同様な制御を行うように設定できる。
[変形例2]
また、チョッパ10Aは電流型降圧チョッパを構成しているが、必ずしもこれに限るものではなく、図4に示したような昇圧チョッパ(昇圧チョッパ回路)10A2としても良い。
【0053】
この昇圧チョッパ10A2は、整流回路11の出力側とインバータ部20の入力側との間に直列に接続されたスイッチ素子12,チョークコイル13B,ダイオード14B,チョークコイル13を有すると共に、チョークコイル13Bとダイオード14の入力側の間に接続されたスイッチ素子12Aを有する。
【0054】
この構成でもコントローラ40は上述した実施例と同様な制御を行うように設定できる。
【0055】
以上説明したように、この発明の実施の形態の直流電源装置10は、主スイッチ素子12の断続により得られる直流電圧パルスをインダクタ(チョークコイル13)に印加させると共に前記主スイッチ素子12のOFF時にインダクタ(チョークコイル13)電流をダイオード14で環流させるチョッパ回路(10A,10A1,10A2)と、4つの第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4からなるフルブリッジ回路を有し且つ前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の前記インダクタ(チョークコイル13)から出力される直流電圧パルスを交流電圧に変換して出力するインバータ(インバータ部20)と、前記インバータ(インバータ部20)から出力される交流電圧を直流電圧に変換して負荷(プラズマ発生装置1)に印加する電圧変換回路10Bを備えている。
【0056】
しかも、起動時には前記インバータ(インバータ部20)を作動させた後に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる制御回路(コントローラ40)を設けている。
【0057】
この構成によれば、起動時における直流電源装置10及び負荷の動作を安定させることができる。
【0058】
また、起動時には前記インバータ(インバータ部20)を作動させた後に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる一方、停止時に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の動作を停止させる制御回路(コントローラ40)を設けている。
【0059】
この構成によれば、チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の動作制御により負荷の高速な起動・停止を行うことができると共に、起動時における直流電源装置10及び負荷の動作を安定させることができる。
【0060】
また、この発明の実施の形態の直流電源装置10は、起動時には前記インバータ(インバータ部20)を作動させた後に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる一方、停止時に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の動作を停止させると共に前記4つの第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4の全てをONさせる制御回路(コントローラ40)を設けている。
【0061】
この構成によれば、第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4の制御により負荷の高速な起動・停止を行うことができると共に、起動時における直流電源装置10及び負荷の動作を安定させることができる。
【0062】
更に、この発明の実施の形態の直流電源装置10は、起動時には前記インバータ(インバータ部20)を作動させた後に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる一方、停止時に前記チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の動作を停止させると共に前記4つの第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4の全てをONさせる制御回路(コントローラ40)を設けている。
【0063】
この構成によれば、チョッパ回路(10A,10A1,10A2)の動作制御及び第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4の動作制御により負荷の高速な起動・停止を行うことができると共に、起動時における直流電源装置10及び負荷の動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明に係る直流電源装置の構成を示した回路図である。
【図2】直流電源装置の動作を示したタイムチャートである。
【図3】この発明の直流電源装置の変形例を示した回路図である。
【図4】この発明の直流電源装置の更に他の変形例を示した回路図である。
【符号の説明】
【0065】
1…プラズマ発生装置(負荷)
10…直流電源装置
12…主スイッチ素子
13…チョークコイル(インダクタ)
14…ダイオード
10A…チョッパ回路
10A1…チョッパ回路
10A2…チョッパ回路
Q1〜Q4…スイッチング素子
20…インバータ部(インバータ)
10B…電圧変換回路
40…コントローラ(制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主スイッチ素子の断続により得られる直流電圧パルスをインダクタに印加させると共に前記主スイッチ素子のOFF時にインダクタ電流をダイオードで環流させるチョッパ回路と、4つの第1〜第4スイッチング素子からなるフルブリッジ回路を有し且つ前記チョッパ回路の前記インダクタから出力される直流電圧パルスを交流電圧に変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される交流電圧を直流電圧に変換して負荷に印加する電圧変換回路を備える直流電源装置であって、
起動時には前記インバータを作動させた後に前記チョッパ回路から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる制御回路を設けたことを特徴とする直流電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は停止時に前記チョッパ回路の動作を停止させることを特徴とする直流電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は停止時に前記4つの第1〜第4スイッチング素子の全てをONさせることを特徴とする直流電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は起動時には前記インバータを作動させた後に前記チョッパ回路から出力される前記直流電圧パルスのパルス幅を徐々に広げる一方、停止時に前記チョッパ回路の動作を停止させると共に前記4つの第1〜第4スイッチング素子の全てをONさせることを特徴とする直流電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−6053(P2006−6053A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181245(P2004−181245)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】