説明

直鎖状αオレフィンを製造する方法

(a)Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとした金属塩、
(b)ピリジンビス−イミン配位子、および
(c)水と、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒であって、前記1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物が、(i)式(I):Al(CH−CR−CH−CRのβδ−分岐化合物、(ii)式(II):Al(CH−CR−CRのβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される前記共触媒とを含み、前記金属塩および前記ビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶である混合物の存在下で、エチレンをオリゴマー化条件下で反応させることを含む、αオレフィンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンのオリゴマー化による直鎖状αオレフィンを製造する方法および前記方法における使用のための触媒系に関する。
【背景技術】
【0002】
高級直鎖状αオレフィンの製造のためには様々な方法が知られている(例えば、D.Vogt、Oligomerisation of ethylene to higher α−olefins in Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds Ed.B.Cornils、W.A.Herrmann、2nd Edition、Vol.1、Ch.2.3.1.3、240〜253頁、Wiley−VCH 2002)。これらの工業的方法は、ポアソンまたはシュルツ−フローリーオリゴマー生成物分布を与える。
【0003】
ポアソン分布を得るためには、オリゴマー化の間に連鎖停止が起こってはならない。しかしながら反対に、シュルツ−フローリー方法においては、連鎖停止は起こり、鎖長には無関係である。シェル・ハイヤー・オレフィンズ・プロセス(Shell Higher Olefins Process)(SHOP)のNi−触媒によるエチレンオリゴマー化工程は、シュルツ−フローリー方法の代表例である。
【0004】
シュルツ−フローリー方法においては、広範囲のオリゴマーが一般的に作られ、各オレフィンの画分は、いわゆるKファクターを基準として計算により決定することができる。生成物オレフィンの組成比を表示するKファクターは、log[C mol%]対n(nは、特定の生成物オレフィンにおける炭素原子の数である)のグラフの勾配から計算される[Cn+2]/[C]のモル比である。Kファクターは、定義によれば、それぞれのnに対して同じである。配位子の変化および反応パタメーターの調整により、Kファクターは、より高い値またはより低い値に調整することができる。このやり方で、方法は、最適化された経済的利点をもつ製品スレートを製造するために操作することができる。
【0005】
〜C18画分は、C>20画分よりも更に多くの需要があるので、方法は、低い炭素数のオレフィンを製造するために合わされる。しかしながら、高い炭素数のオレフィンの形成は避けられず、更なる処理なしでは、これらの生成物の形成はこの方法の収益性にとって悪影響をもたらす。高い炭素数のオレフィンおよび低価値のC画分の悪影響を低減するために、シェル高級オレフィン方法において実施されているように、これらのストリームを再処理して、更に価値ある化学品、例えば、内部C〜C18オレフィン等に転換するための更なる技術が開発されている。
【0006】
しかしながら、この技術は、投資および操作面の両方から見て高価であり、したがって、更なるコスト高を招く。したがって、絶対最小値、即ち、シュルツ−フローリーのKファクターに本質的に関わるだけの程度に炭素数が多いオレフィンの生成を抑えるために、相当な努力が払われている。
【0007】
これに関して、多くの公開特許出願は、1−オレフィン、特に、エチレンの重合またはオリゴマー化のための、窒素含有遷移金属化合物を含む触媒系を記載している。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる次の特許出願を参照のこと。:WO92/12162、WO96/27439、WO99/12981、WO00/50470、WO98/27124、WO99/02472、WO99/50273、WO99/51550、EP−A−1127987、WO02/12151、WO02/06192、WO99/12981、WO00/24788、WO00/08034、WO00/15646、WO00/20427およびWO01/58874ならびにWO03/000628。
【0008】
特に、最近公開されたシェル社の出願WO01/58874、WO02/00339、WO02/28805およびWO03/11876(すべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、オレフィン、特にエチレンのオリゴマー化において高い活性があり、シュルツ−フローリー分布をもち、高純度であるC〜C30の範囲における直鎖状αオレフィンを生成する、ビス−イミンピリジン鉄二塩化物錯体をベースとした新規な触媒のクラスを開示している。
【0009】
オレフィンのオリゴマー化触媒を活性化するためにアルキルアルミニウムまたはアルミノキサン(水とアルキルアルミニウムとの反応生成物)等の共触媒を使用することは知られている。その様な共触媒の1つは、MAO、即ち、メチルアルミノキサンである。その他のその様な共触媒は、MMAO、即ち、イソブチル基で変性されたメチルアルミノキサンである。
【0010】
しかしながら、ビス−アリールイミンピリジン鉄二塩化物錯体および共触媒としてMMAOを使用する、パラフィン溶媒におけるエチレンのオリゴマー化実験中に、触媒寿命は、不活性ガスキャプの適用にもかかわらず、時間の経過と共に沈殿の付随的形成を伴って相対的に短くなることが分かった。その様な触媒の減衰は、これらの触媒「溶液」またはむしろ「絶え間なく変わり続ける懸濁液またはスラリー」の正確な投与が困難な作業となるので、エチレンのオリゴマー化プラントの連続操業中は特に不都合なものである。
【0011】
この問題に対する1つの解決策は、MMAO溶液およびビス−アリールイミンピリジン鉄二塩化物を別々に投与して、これらのストリームをエチレンのオリゴマー化反応器において混合することである。しかしながら、この選択は、残念ながら、ビス−アリールイミンピリジン鉄二塩化物の、芳香族、特に、脂肪族溶媒における低い溶解度により妨げられる。
【0012】
不正確な触媒投与の問題に対するその他の解決策は、in−situで、即ち、エチレンのオリゴマー化反応器内において、触媒系の成分が、オリゴマー化反応において使用される脂肪族または芳香族炭化水素溶媒において澄んだ安定な溶液を形成するような方法において触媒系を調製することである。
【0013】
Chemtech、1999年7月、24〜28頁、「Novel、highly active iron and cobalt catalysts for olefin polymerization」by Alison Bennettは、Co(acac)、ピリジンビス−イミン配位子およびメチルアルミノキサンの混合物が、プレ触媒錯体およびメチルアルミノキサンから形成されるものと類似のポリエチレン生成物を形成するために高収率においてエチレンを重合することを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
イソオクタンまたはヘプタン等の脂肪族溶媒にやや溶けにくい、Fe(III)(2,4−ペンタンジオネート)(以後、Fe(acac)と表示する)は、適当なビス−アリールイミンピリジン配位子のほぼ等モル量の添加によって澄んだ安定な溶液に変換されることが本発明者によって観察された。これは、オリゴマー化反応器において、Fe(III)ビス−アリールイミンピリジン錯体のin−situでの調製を可能にする。
【0015】
上述の、in−situでの調製における触媒活性剤としてのMMAOの使用は、触媒の高い初期活性を与えるが、触媒寿命は比較的短く、特に、脂肪族溶媒において高温において短い。これは、反応器における高分子量(>C20)αオレフィンの目詰まりを避けるために温度が、理想的には、70℃より上、好ましくは80〜120℃であり、脂肪族溶媒において高αオレフィン濃度で操業する時の連続エチレンオリゴマー化プラントにおいて特に問題である。
【0016】
したがって、触媒寿命を改善するために、Feベースの触媒系のin−situでの調製における代替の共触媒を同定することの必要性が存在する。重要なことは、触媒寿命の延長が、αオレフィンの収率および純度を犠牲にするものであってはならない。
【0017】
ところで、驚くべきことに、ビス−イミンピリジンFeおよびCo錯体のin−situでの調製において選ばれたβγ−およびβδ−分枝状アルキルアルミニウムまたはアルミノキサン共触媒の使用が、長い触媒寿命および高い触媒活性をもつ触媒系を与えることが分かった。同時に、最終生成物のαオレフィン純度およびαオレフィン収率は、MMAOで得られたものと同等である。
【0018】
米国特許第6395668号明細書は、(a)第8〜11族の遷移金属の1つまたは複数の化合物および(b)水と、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物とを接触させることによって得られる生成物を含む、オレフィンの重合用触媒系を開示している。そこに開示されているエチレン重合の実施例の全ては、ビス−イミンピリジン鉄プレ触媒錯体を使用する。この文献においては、ビス−イミンピリジン鉄錯体がin−situで調製された触媒系を使用する直鎖状αオレフィンの調製については開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、
(a)Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとした金属塩、
(b)ビス−アリールイミンピリジン配位子、
および(c)水と、(i)式(I):
Al(CH−CR−CH−CR
(式中、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリールまたはC〜C20のアルキルアリール基であり、Rは、水素あるいは直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはアリールアルキル基であり、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはC〜C20のアリールアルキル基であり、xは、1〜3の整数であり、zは、0または1であり、yは、3−x−zであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβδ−分岐化合物、
(ii)式(II):
Al(CH−CR−CR
(式中、R、R、R、R、R、R、x、yおよびzは、式(I)に関して上記定義の通りである)のβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒
とを含み、前記金属塩および前記ビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶である混合物の存在下で、エチレンをオリゴマー化条件下で反応させることを含む、αオレフィンの調製方法を提供する。
【0020】
本発明の更なる態様においては、
(a)Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとした金属塩、
(b)ビス−アリールイミンピリジン配位子、および
(c)水と、
(i)式(I):Al(CH−CR−CH−CR(式中、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリールまたはC〜C20のアルキルアリール基であり、Rは、水素あるいは直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはアリールアルキル基であり、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはC〜C20のアリールアルキル基であり、xは、1〜3の整数であり、zは、0または1であり、yは、3−x−zであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβδ−分岐化合物、
(ii)式(II):Al(CH−CR−CR(式中、R、R、R、R、R、R、x、yおよびzは、式(I)に関して上記定義の通りである)のβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒
とをin−situで混合することにより得られる触媒系であって、前記金属塩および前記ビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶である前記触媒系が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書における触媒系の第一の必須成分は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとした金属塩である。
【0022】
金属塩およびビス−アリールイミンピリジン配位子は、本明細書においては、それらが一緒に混合される場合は、それらは、脂肪族または芳香族溶媒に可溶である様に選択される。エチレンのオリゴマー化反応は、一般的に、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒において行われる。
【0023】
本明細書において使用される「金属塩およびビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族溶媒に可溶である」という用語は、金属塩が、ビス−アリールイミンピリジン配位子と、1:1.2のモル比で一緒に混合される時に、ヘプタンにおいて25℃で、2ppb〜200ppm、好ましくは2ppm〜200ppm、更に好ましくは20ppm〜200ppm(溶液における金属を基準にした重量/重量)の範囲における溶解度を有することを意味する。1例として、以下の実施例において調製された、37mgのFe(acac)および57.5mgのビス−アリールイミンピリジン配位子Aの混合物(即ち、1:1.2のモル比における金属塩とビス−アリールイミンピリジン配位子との混合物)は、ヘプタン溶液において、25℃で、169gの純粋ヘプタンにおいて実質的に澄んだ溶液を形成する(Fe(金属)の35ppm(重量/重量)に相当する)。
【0024】
その様な混合物が、ヘプタンにおいて実質的に澄んだ溶液を形成するのであれば、エチレンのオリゴマー化反応において一般的に使用されるその他の脂肪族または芳香族炭化水素溶媒においても実質的に澄んだ溶液を形成するはずである。
【0025】
本明細書において使用される「実質的に澄んだ溶液」という用語は、室温において、時間の経過と共に沈降を生じない見た目に透明な溶液を意味する。本明細書において使用される「実質的に澄んだ溶液」という用語は、真の溶液(顕微鏡または限外顕微鏡方法で検出できず、かつ限外ろ過または透析によって分離できない、0.1〜1nmの平均粒子直径をもつ溶解した粒子を含む)およびコロイド溶液(室温において時間の経過と共に沈降を示さない、0.1〜0.001μm(=1nm)の平均粒子サイズをもつ粒子を有する)の両方を包含することを意味する。
【0026】
本発明の範囲内では、それ自身では、脂肪族または芳香族溶媒に不溶かわずかに溶けるだけであるが、適当なビス−アリールイミンピリジン配位子と混合されると、混合物は脂肪族または芳香族溶媒に可溶となる金属塩を使用することが可能である点に注目されるべきである。
【0027】
適当な金属塩の非限定的な例としては、カルボキシレート、カルバメート、アルコキシド、チオレート、カテコレート、オキサレート、チオカルボキシレート、トロポレート、ホスフィネート、アセチルアセトネート、イミノアセチルアセトネート、ビスーイミノアセチルアセトネートが挙げられ、当業者によく知られている通り、これらの溶解度は、置換基の適当な選択により合わせることができる。
【0028】
本明細書において使用するのに好ましい金属塩は、場合によって置換されたアセチルアセトネート、またはx,(x+2)−アルカンジオネートとも表示される、2,4−アルカンジオネートおよび3,5−アルカンジオネート等である。アセチルアセトネートが置換される時の好ましい置換基は、C〜Cのアルキル基、特に、メチルである。適当なアセチルアセトネートの例としては、2,4−ペンタンジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、1−フェニル−1,3−ブタンジオネートおよび1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネートが挙げられる。本明細書において使用するのに好ましいアセチルアセトネートは、2,4−ペンタンジオネートである。
【0029】
Fe(III)をベースとした金属塩は、本明細書において使用するのに特に好ましい。
【0030】
本明細書において使用するのに特に好ましい金属塩は、Fe(III)(2,4−ペンタンジオネート)であって、本明細書においてはFe(acac)と表示される。それ自身では、Fe(acac)は、脂肪族炭化水素溶媒にわずかに溶けるだけであるが、適当なビス−アリールイミンピリジン配位子が添加されると、実質的に澄んだ溶液が脂肪族炭化水素溶媒において形成される点が注目されるべきである。
【0031】
本明細書における触媒系の第二の必須成分は、ビス−アリールイミンピリジン配位子である。
【0032】
金属塩に関して上記で検討した通り、配位子は、金属塩およびビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合されると、それらは、上記定義の通り、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒において可溶となる様に選択される。
【0033】
本明細書において使用するのに特に適当なビスアリールイミンピリジン配位子としては、以下の式(III)を有するものが挙げられる:
【0034】
【化2】

(式中、Xは、炭素または窒素であり、nは、0または1であり、mは、0または1であり、Zは、π−配位金属フラグメントであり、R〜R11、R13〜R15およびR18〜R20は、それぞれ独立に、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいは互いに隣接するR〜R、R13〜R15およびR18〜R20の任意の2つが一緒になって環を形成してもよく、R12は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR13またはR10と一緒になって環を形成し、R16は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR15またはR10と一緒になって環を形成し、R17は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR11またはR18と一緒になって環を形成し、R21は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR11またはR20と一緒になって環を形成する)。
【0035】
上記の式(III)に関するいくつかの用語は次の通りに使用される:
Z基に関する「π−配位金属フラグメント」という用語は、Z基が、X原子を含む環と一緒になって、場合によって置換することのできるメタロセン部分あるいはサンドイッチまたは金属−アレーン錯体を表すことを意味する。Z基は、X原子を含む芳香族環にπ−配位される金属原子を含む。また、Z基は、Z基が、金属フラグメントFe(CO)を形成する様に、金属原子に配位される1つまたは複数の配位子、例えば、(CO)配位子等を含むことができる。しかしながら、好ましくは、Z基は、金属にπ−配位される、場合によって置換された芳香族環を含む。前記の、場合によって置換された芳香族環は、N、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を場合によって含む5〜10個の環原子を有する任意の適当な単環式または多環式、芳香族または複素環式芳香族環であることができる。好ましくは、芳香族環は、5〜6個の炭素原子を含む単環式芳香族環、例えば、フェニルおよびシクロペンタジエニルである。X原子を含む芳香族炭化水素環およびπ−配位金属フラグメントの組み合わせの非限定的例としては、フェロセン、コバルトセン、ニッケロセン、クロモセン、チタノセン、バナドセン、ビス−ベンゼンクロム、ビス−ベンゼンチタンおよび類似のヘテロアレーン金属錯体、モノ−カチオンアレーンマンガントリスカルボニル、アレーンルテニウム二塩化物が挙げられる。
【0036】
上記の式(III)のR〜R21基に関する「ヒドロカルビル基」という用語は、炭素および水素原子のみを含む基を意味する。特に言及しない限り、炭素原子の数は、好ましくは、1〜30、特に1〜6の範囲である。ヒドロカルビル基は、飽和または不飽和、脂肪族、環状脂肪族または環状芳香族であることができるが、好ましくは脂肪族である。適当なヒドロカルビル基には、例えば、以下に記載される第一級、第二級および第三級炭素原子基が含まれる。
【0037】
上記の式(III)のR〜R21基に関する「場合によって置換されたヒドロカルビル」という用語は、1つまたは複数の「不活性」ヘテロ原子含有官能基を場合によって含むヒドロカルビル基を記述するために使用される。「不活性」とは、官能基が、オリゴマー化方法に、なんら実質的な程度で干渉しないことを意味する。その様な不活性基の非限定的例は、フッ化物、塩化物、シラン、スタンナン、エーテル、アルコキシドおよび適当な立体遮蔽を伴うアミンであり、全て当業者によく知られたものである。その様な基のいくつかの例としては、メトキシおよびトリメチリシロキサンが挙げられる。前記の、場合によって置換されたヒドロカルビルは、以下に記載される性質の第一級、第二級および第三級炭素原子基を含むことができる。
【0038】
上記の式(III)のR〜R21基に関する「不活性官能基」という用語は、本明細書におけるオリゴマー化方法の条件下で不活性である、場合によって置換されたヒドロカルビル以外の基を意味する。「不活性」とは、官能基が、オリゴマー化方法に、なんら実質的な程度で干渉しないことを意味する。本明細書において使用するのに適当な不活性官能基の例としては、ハロゲン化物、エーテルおよび第三級アミン等のアミン、特にフッ素および塩素が挙げられる。
【0039】
本明細書において使用される「第一級炭素原子基」という用語は、−CH−R基(式中、Rは、水素、場合によって置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基から選択される)を意味する。適当な第一級炭素原子基の例としては、−CH、−C、−CHCl、−CHOCH、−CHN(Cおよび−CHPhが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書において使用される好ましい第一級炭素原子基は、Rが、水素またはC〜Cの非置換ヒドロカルビルから選択されるもの、好ましくはRは、水素またはC〜Cのアルキルである。
【0040】
本明細書において使用される「第二級炭素原子基」という用語は、−CH(R)基(式中、Rは、場合によって置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基から選択される)を意味する。あるいはまた、2つのR基は、二重結合部分、例えば、=CH、またはシクロアルキル基を一緒に表してもよい。第二級炭素原子基の例としては、−CH(CH、−CHCl、−CHPh、−CH=CHおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用される好ましい第二級炭素原子基は、Rが、C〜Cの非置換ヒドロカルビル、好ましくはC〜Cのアルキルであるものである。
【0041】
本明細書において使用される「第三級炭素原子基」という用語は、−C(R)基(式中、それぞれのRは、場合によって置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基から独立に選択される)を意味する。あるいはまた、3つのR基は、三重結合部分、例えば、−C≡CPh、またはアダマンチル誘導体等の第三級炭素原子を含む環系を一緒に表してもよい。第三級炭素原子基の例としては、−C(CH、−CCl、−C≡CPh、1−アダマンチルおよび−C(CH(OCH)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用するのに好ましい第三級炭素原子基は、それぞれのRが、C〜Cの非置換ヒドロカルビル基、好ましくは、それぞれのRがC〜Cのアルキル基、好ましくはそれぞれのRがメチルであるものである。それぞれのRがメチルである場合においては、第三級炭素原子基はt−ブチルである。
【0042】
先に記載された境界条件内で、R〜R21の置換基は、触媒系の機能およびその経済的適用を最適化するために簡単に選択することができることは、当業者に理解されるであろう。
【0043】
本明細書において使用するのに好ましいビスアリールイミンピリジン配位子は、式(III)(式中、XはCであり、mは1であり、nは0であり、X原子を含む環は6員環芳香族基である)の配位子である。
【0044】
本明細書において使用するためのその他の好ましいビスアリールイミンピリジン配位子は、式(III)(式中、XはCであり、mは0であり、nは1であり、Z基と一緒にXを含む環はメタロセン基である)の配位子である。
【0045】
本明細書において使用するためのなおその他の好ましいビスアリールイミンピリジン配位子は、式(III)(式中、XはNであり、mは0であり、nは0であり、X原子を含む環が1−ピロリル基である)の配位子である。
【0046】
生成物をオリゴマーに限定するためには、R12、R16、R17およびR21の1つ以下が第三級炭素原子基であることが好ましい。また、R12、R16、R17およびR21の2つ以下が第二級炭素原子基であることが好ましい。
【0047】
本明細書において使用するのに好ましい配位子としては、次のオルト置換基をもつ式(III)のものが挙げられる。
(i)R12、R16、R17およびR21が、それぞれ独立に、FまたはClである。
(ii)R12およびR16が、第一級炭素原子基であり、R17が、HまたはFであり、R21が、H、Fまたは第一級炭素原子基である。
(iii)R12およびR16が、それぞれ独立に、HまたはFであり、R17およびR21が、それぞれ独立に、F、Clまたは第一級炭素原子基である。
(iv)R12が、HまたはFであり、R16が、H、Fまたは第一級炭素原子基であり、R17およびR21が、第一級炭素原子基である。
(v)R12が、第一級または第二級炭素原子基であり、R16が水素であり、R17およびR21が、H、F、Cl、第一級または第二級炭素原子基である。
(vi)R12が、第三級炭素原子基であり、R16が水素であり、R17が、H、F、Cl、第一級炭素原子基であり、R21が、HまたはFである。
(vii)R12が、第三級炭素原子基であり、R16が第一級炭素原子基であり、R17およびR21が、HまたはFである。
(viii)R12およびR16が、H、F、Cl、第一級炭素原子基、第二級炭素原子基であり、R17が、第一級または第二級炭素原子基であり、R21がHである。
(ix)R12が、H、F、Clであり、R16が、H、F、Clまたは第一級炭素原子基であり、R17が第三級炭素原子基であり、R21がHである。
(x)R12およびR16が、H、FまたはClであり、R17が第三級炭素原子基であり、R21が第一級炭素原子基である。
【0048】
本明細書において使用するのに特に好ましい配位子としては、式(III)(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11は、メチル、H、ベンジルまたはフェニルであり、好ましくはメチルである)の配位子が挙げられる。
【0049】
本明細書において使用するのに特に好ましい配位子としては、
式(III)の配位子(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11はメチルであり、R12およびR16はメチルであり、R14はメチルまたは水素であり、R13およびR15は水素であり、R17およびR21は水素であり、R18、R19およびR20は、独立に、水素、メチルまたはt−ブチルであり、XはCであり、mは1であり、nは0である);
式(III)の配位子(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11はメチルであり、R12、R14およびR16はメチルであり、R13およびR15は水素であり、R17はフッ素であり、R18〜R21は水素であり、XはCであり、mは1であり、nは0である);
式(III)の配位子(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11はメチルであり、R13〜R15およびR18〜R20は水素であり、R12、R16、R17およびR21はフッ素であり、XはCであり、mは1であり、nは0である);
式(III)の配位子(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11はメチルであり、R12、R14およびR16はメチルであり、RおよびR15は水素であり、mは1であり、nは0であり、XはCであり、R17、R18、R20およびR21は水素であり、R19はメトキシまたはトリメチルシロキシである);
式(III)の配位子(式中、R〜Rは水素であり、R10およびR11はメチルであり、R12およびR16はメチルであり、R14はメチルまたは水素であり、R13およびR15は水素であり、R17およびR21は水素であり、R18、R19およびR20は、独立に、水素、メチルまたはフッ素であり、XはCであり、mは1であり、nは0である)が挙げられる。
【0050】
本明細書において使用するためのビス−アリールイミンピリジン配位子は例えば、WO01/58874、WO02/00339、WO02/28805、WO03/011876、WO92/12162、WO96/27439、WO99/12981、WO00/50470、WO98/27124、WO99/02472、WO99/50273、WO99/51550、EP−A−1127987、WO02/12151、WO02/06192、WO99/12981、WO00/24788、WO00/08034、WO00/15646、WO00/20427およびWO03/000628に記載されている、当業者によく知られた方法を使用して調製することができる。
【0051】
本明細書における触媒系の第三の必須成分は、水と、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒化合物であり、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物は、
(i)式(I):
Al(CH−CR−CH−CR
(式中、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリールまたはC〜C20のアルキルアリール基であり、Rは、水素または直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはアリールアルキル基であり、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはC〜C20のアリールアルキル基であり、xは、1〜3の整数であり、zは、0または1であり、yは、3−x−zであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβδ−分岐化合物、
(ii)式(II):
Al(CH−CR−CR
(式中、R、R、R、R、R、R、x、yおよびzは、式(I)に関して上記定義の通りであり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成する)のβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される。
【0052】
式(I)および(II)の共触媒化合物は、式(I)または(II)を有するもの以外の有機金属アルミニウム化合物等の当該技術分野において知られているその他の共触媒との組み合わせで使用することができる。
【0053】
本明細書において使用するための好ましい共触媒は、上記式(I)または(II)の化合物から調製されるものである(式中、Rは、C〜Cのアルキル基、好ましくはC〜Cのアルキル、特にメチルまたはエチルであり、Rは、水素またはC〜Cのアルキル基、好ましくは水素であり、Rは、C〜Cのアルキル基である)。
【0054】
また、上記式(I)または(II)(式中、R、RおよびRは、水素またはC〜Cのアルキル基から独立に選ばれ、好ましくは水素またはC〜Cのアルキルから独立に選択される)の化合物から調製されるものが本明細書において使用するために好ましい。
【0055】
本明細書において使用するために特に好ましい共触媒は、上記式(I)または(II)(xは3であり、zは0である)の化合物から調製されるものである。
【0056】
式(I)を有する適当な有機金属化合物としては、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニム、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム水素化物、イソブチル−ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム、ジイソブチル−(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,4−ジメチルヘプチル)アルミニウムおよびビス(2,4−ジメチルヘプチル)アルミニウム水素化物が挙げられる。
【0057】
式(II)を有する適当な有機金属化合物としては、トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−プロピル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジエチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−プロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−イソブチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−トリメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2−トリメチルシリル−プロピル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(1−メンテン−9−イル)アルミニウム、およびヒドロカルビル基の1つが水素で置き換えられているその相当する化合物ならびにヒドロカルビル基の1つまたは複数がイソブチル基で置き換えられているその相当する化合物が挙げられる。
【0058】
本明細書において使用するために特に好ましい共触媒は、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム(以後、「TIOAO」として表示される)およびトリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニム(以後、「TDMBAO」として表示される)である。
【0059】
共触媒化合物は、相当するアルキルアルミニウム化合物に適当量の水を添加することにより調製される。アルキルアルミニウム化合物は、当該技術分野において知られている方法ならびにWO96/02580およびWO99/21899において記載されている方法により調製することができる。
【0060】
アルミノキサンの調製における水対アルミニウム化合物のモル比は、好ましくは、0.01:1〜2.0:1、更に好ましくは0.02:1〜1.2:1、なお更に好ましくは0.4:1〜1:1、特に0.5:1の範囲である。
【0061】
本明細書における触媒系のin−situでの調製においては、共触媒および金属塩の水準は、Al/FeまたはAl/Coの原子比が0.1〜10、好ましくは10〜10、更に好ましくは10〜10の範囲であるように使用されることが好ましい。また、ビス−アリールイミンピリジン配位子/Feまたはビス−アリールイミンピリジン配位子/Coのモル比は、10−4〜10、好ましくは10−1〜10、更に好ましくは0.5〜2、特に1.2の範囲であることが好ましい。
【0062】
本明細書における触媒系に更に任意の成分、例えば、ルイス酸およびWO02/28805に開示されている塩基を添加することが可能である。
【0063】
オリゴマー化反応
触媒成分の量は、通常、反応するエチレンの1モル当り、10−4〜10−9グラム原子の金属原子、特にFe(II)またはFe(III)を含まれるようにオリゴマー化反応混合物において使用される。
【0064】
オリゴマー化反応は、−100℃〜+300℃の温度範囲にわたって、好ましくは、0℃〜200℃の範囲において、更に好ましくは50℃〜150℃の範囲において最も都合よく行うことができる。
【0065】
オリゴマー化反応は、0.01〜15mPa(0.1〜150バール(a))、更に好ましくは1〜10mPa(10〜100バール(a))、最も好ましくは1.5〜5mPa(15〜50バール(a))の圧力で都合よく行うことができる。
【0066】
オリゴマーの収率を最大にしかつ二量化および重合等の競合反応を最小にするために、特定の触媒系に対して使用される温度および圧力の最適条件は、当業者により簡単に設定することができる。
【0067】
温度および圧力の条件は、好ましくは、0.40〜0.90の範囲内、最も好ましくは0.60〜0.80の範囲におけるKファクターをもつ製品スレートを生成するために選択される。本発明においては、製品スレートが0.9を越えるKファクターを有する時に重合が生起したものとみなされる。
【0068】
オリゴマー化反応は、供給原料および生成物オレフィンの揮発性によって、気相または液相あるいは気液混合相において行うことができる。
【0069】
オリゴマー化反応は、触媒成分および/または供給原料オレフィンに対する担体であってもよい不活性炭化水素溶媒の存在下で行われる。適当な溶媒としては、アルカン、アルケン、シクロアルカンおよび芳香族炭化水素が挙げられる。例えば、本発明により適当に使用されてもよい溶媒としては、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが挙げられる。
【0070】
触媒の活性によって、0.1〜10時間の反応時間が適当であることが分かった。反応は、好ましくは、空気または水分なしで行われる。
【0071】
オリゴマー化反応は、従来形式において行われてもよい。それは、オレフィンおよび触媒成分が、攪拌タンクに連続的に添加され、反応体、生成物、触媒および使用されなかった反応体が、分離された生成物と一緒に攪拌タンクから除去され、使用されなかった反応体および場合によって触媒が、攪拌タンクに戻すために再循環される、攪拌タンク反応器において行われてもよい。
【0072】
あるいはまた、反応は、触媒前駆体および反応体オレフィンがオートクレーブに供給され、適当な時間反応が行われた後、生成物が通常手段、例えば蒸留で反応混合物から分離されるバッチ反応器において行われてもよい。
【0073】
適当な反応時間の後、オリゴマー化反応は、触媒系を不活性化するためにエチレンを急速排気することによって終了させることができる。
【0074】
本発明方法は、連続方法で行われるのが好ましい。
【0075】
得られるαオレフィンは、4〜100個の炭素原子、好ましくは4〜30個の炭素原子、最も好ましくは4〜20個の炭素原子の鎖長を有する。
【0076】
生成物オレフィンは、蒸留により適当に回収することができ、更に、オレフィンの意図される最終用途によって蒸留方法により所望通りに分離することができる。
【0077】
本発明は、以下の実施例および図によって例示されるが、これらは、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきものではない。
【0078】
【実施例】
【0079】
(実験)
一般的手順および特徴
触媒系を伴う全ての操作は、窒素雰囲気化で行われた。使用された全ての溶媒は標準手順を使用して乾燥した。
【0080】
イソオクタン(2,4,4−トリメチルペンタン、純度99.8%)は、長期間の窒素パージ、続いて、4Åのモレキュラーシーブに通して乾燥した(約1ppmの最終水分含有量)。
【0081】
無水ヘプタン(純度99.8%、アルドリッチ社製)は、4Åのモレキュラーシーブに通して乾燥した(約1ppmの最終水分含有量)。
【0082】
無水トルエン(純度99.8%、アルドリッチ社製)は、4Åのモレキュラーシーブに通して乾燥した(約3ppmの最終水分含有量)。
【0083】
エチレン(純度99.5%)は、4ÅのモレキュラーシーブおよびBTS触媒(BASF社製)を含むカラムに通して精製し、水および酸素含有量を<1ppmに減少させた。
【0084】
得られたオリゴマーは、HP 5890系II装置および以下のクロマトグラフ条件を使用したガスクロマトグラフィー(GC)で分析して、オリゴマー分布を評価した。
【0085】
カラム:HP−1(架橋メチルシロキサン)、フィルム厚=0.25μm、内径=0.25mm、長さ60m(ヒューレットパッカード社製);注入温度:325℃;検出温度:325℃;初期温度:10分間40℃;温度プログラム速度:10.0℃/分;最終温度:41.5分間325℃;内部標準:n−ヘキシルベンゼン。
【0086】
n−ヘキシルベンゼン(内部標準)に対する、均等な直鎖状αオレフィン、内部へキセン(シス−およびトランス−2−ヘキセンならびにシス−およびトランス−3−ヘキセン)および分枝状ヘキセン(3−メチル−1−ペンテンおよび2−エチル−1−ブテン)の応答ファクターは、標準調整混合物を使用して決定された。分岐した内部ドデカンの応答ファクターは、相当する直鎖状オレフィンと等しいものとみなした。
【0087】
〜C30のオレフィンの収率は、GC分析から得られ、それからKファクターおよびC〜C100のオレフィンの理論収率、即ち、全オリゴマー化生成物(総生成物)が、C〜C28のデータを使用して回帰分析により決定された。殆ど理想的なシュルツ−フローリー分布の場合において(回帰分析により決定されたKファクターの標準誤差、<0.03)およびポリエチレン形成なしにおいて、上述の総生成物の量は、エチレンの消費量に等しいとみなされる。
【0088】
GC分析から分かった全ヘキセン異性体の中の直鎖状1−ヘキセンの相対量、全ドデセン異性体の中の1−ドデセンの相対量および全オクタデセン異性体の中の1−オクタデセンの相対量は、直鎖状αオレフィン形成に対する触媒の選択率の測定値として使用される。αオレフィン生成物について表1において与えられる重量%データは、この基準で定められる。
【0089】
ターンオーバー頻度(TOF)とは、鉄化合物の1モル当り1時間当りのオリゴマー化エチレンのモル数を意味する。
【0090】
NMRデータは、バリアン(Varian)300MHzまたは400MHz装置で、室温で得られた。
【0091】
触媒のin−situでの調製のために使用された金属塩は、アルドリッチ社から市販されている、Fe(III)(2,4−ペンタンジオネート)である。
【0092】
実施例1〜17において、触媒のin−situでの調製のために使用されたピリジンビス−イミン配位子は、以下の方法により調製され、式:
【0093】
【化3】

を有する2−[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン(以後、「配位子A」)である。
【0094】
2−[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジンの調製
WO02/28805に記載された方法により調製された2−[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]−6−アセチルピリジン(1.3g、4.64mmol)および3,5−ジ−t−ブチルアニリン(1g、4.87mmol)を、100mlのトルエンに溶解した。この溶液に、4Åモレキュラーシーブを添加した。2日間放置後、混合物をろ過した。溶媒は真空で除去した。残渣をメタノールで洗浄し、エタノールから結晶化した。収量1.1g(51%)の2−[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン。H−NMR(CDCl)δ8.43(d、1H、Py−H)、8.37(d、1H、Py−H)、7.87(t、1H、Py−H)、7.16(t、1H、ArH)、6.89(s、2H、ArH)、6.69(d、2H、ArH)、2.42(s、3H、Me)、2.29(s、3H、Me)、2.22(s、3H、Me)、2.01(s、6H、Me)、1.33(s、18H、Bu)。
【0095】
実施例18〜21において、触媒のin−situでの調製のために使用されたピリジンビス−イミン配位子は、WO02/00339に開示された方法により調製され、以下の式:
【0096】
【化4】

を有する2,6−ビス−[1−(2,6−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン(以後、「配位子B」)である。
【0097】
あるいはまた、WO02/28805、WO02/00339,WO01/58874またはWO03/11876において開示された任意の配位子が、以下のオリゴマー化実験において使用できる。
【0098】
以下の実験において使用された共触媒は、0℃で、トルエン中で、0.5モルの水を、1モルの相当するアルキルアルミニウムに添加することにより調製された(イソオクタンは、実施例11〜19において溶媒として使用される点に注意)。以下の実験において使用された相当するアルキルアルミニウムは、US6395668B1またはWO99/21899において記載された方法により調製されるか、以下に示される市販元から購入することができる。
【0099】
以下の実験において使用された共触媒は次の通りである:
比較例12および19において使用されたTFPPAOは、0.5モルの水を1モルのトリス−[2−(4−フルオロフェニル)−プロピル]アルミニウムに添加して調製され、後者の化合物は、US6395668B1において開示された方法により調製された。
【0100】
比較例15において使用されたTPPAOは、0.5モルの水を1モルのトリス−(2−フェニルプロピル)アルミニウムに添加して調製され、後者の化合物は、US特許第6395668B1において開示された方法により調製された。
【0101】
比較例17において使用されたTIBAOは、0.5モルの水を1モルのトリス−(2−メチルプロピル)アルミニウム(または、トリ−イソブチルアルミニウム)に添加して調製された。後者の化合物は、アルドリッチ社から市販されている。
【0102】
比較例4、8および9において使用されたTNOAOは、0.5モルの水を1モルのトリ−n−オクチルアルミニウムに添加して調製された。後者の化合物は、アルドリッチ社から市販されている(ヘキサン中の25重量%のトリ−n−オクチルアルミニウム溶液)。
【0103】
実施例2、5および20において使用されたTDMBAOは、0.5モルの水を1モルのトリス−(2,3−ジメチルブチル)アルミニウムに添加して調製され、後者の化合物は、WO99/21899に開示された方法により調製された。
【0104】
実施例3、6および13において使用されたTIOAOは、0.5モルの水を1モルのトリス−(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム(あるいはトリ−イソオクチルアルミニウム)に添加して調製された。後者の化合物は、クロンプトン社(Crompton、GmbH、Ernst−Schering−Str.14、D−59192 Bergkamen、Germany)から市販されている。
【0105】
比較例16において使用されたTEAは、トリエチルアルミニウムであり、その非加水分解形態で使用され、アルドリッチ社から市販されている。
【0106】
比較例1、7、10、11、14、18および21において使用されたMMAOは、変性メチルアルミノキサン(MAO)であり、約25%のメチル基がイソブチル基で置き換えられている。これは、アクゾー社(AKZO−NOBEL Chemicals B.V.、Amersfoort、The Netherlands)から、ヘプタン中のMMAO−3A([Al]=6.42重量%)として購入された。
【0107】
オリゴマー化実験
(実施例1〜10)
オリゴマー化実験の1〜10は、0.5リットルのステンレススチール反応器において行った。反応器は、70℃で、0.15gのMMAOおよび125mlの無水ヘプタンを使用して、不活性雰囲気下で、少なくとも30分間浄化する。内容物を排出した後、125mlの無水ヘプタンおよび指定された共触媒を反応器に添加し、次いで、エチレンで、40℃で16バール(a)に加圧後、指定の配位子(配位子A)およびFe(2,4−ペンタンジオネート)の混合物を添加する(別段の指示以外は、添加されたFe=0.25μmol;配位子/Feモル比=1.2+/−0.1;Al/Feモル比=700+/−50)。注入系による反応器へのそれぞれの添加(トルエン中4ml)に続いて、2x4mlのトルエンで系をすすぐ。触媒成分の2回添加後の反応器の総溶媒含有量=約150mlのヘプタン/トルエン=8/2(重量/重量)。初期発熱後、温度、圧力およびエチレンの取り込みを監視しながら、反応器をできるだけ迅速に70℃にした。所望のエチレン消費量が達成されたら、またはその取り込みが0.2Nリットル/分より下になったら、急速排気し、次いで生成物を排出して反応を終了させる。
【0108】
(実施例11〜19)
実施例11〜19は、反応器溶媒、触媒成分溶媒、洗浄剤およびアルミノキサンを調製するために使用される溶媒としてイソオクタンを使用して、1リットル反応器において行う。Fe(2,4−ペンタンジオネート)および溶媒の量は、上記実施例1〜10において行われた実験の上述のものの2倍である。したがって、添加されたFe=0.5μmol;触媒成分の2回添加後の反応器の総溶媒含有量=約310mlのイソオクタン。配位子/Feモル比は、実施例1〜10と同じである。Al/Feモル比は、別段の指示以外は700+/−50である。実施例14においては、共触媒および配位子/Fe(2,4−ペンタンジオネート)の添加の順序が逆転する。
【0109】
(実施例20〜21)
実施例20〜21は、反応器溶媒としてヘプタンならびに触媒溶媒および洗浄剤としてトルエンを使用して、1リットルの反応器において行い、Fe(2,4−ペンタンジオネート)および溶媒の量は、上記実施例1〜10において使用されたものの2倍である。アルミノキサン共触媒は、2回に分けて、即ち、1回目は、配位子およびFe(2,4−ペンタンジオネート)の混合物の添加前、2回目は添加後に添加する。したがって、添加したFe=0.5μmol;触媒成分の3回添加後の反応器の総溶媒含有量=約340mlのヘプタン/トルエン=7/3(重量/重量)。配位子/Feモル比は、実施例1〜10と同じである。実施例20および21におけるAl/Feモル比は、表1において示される通り、それぞれ1700および1800である。
【0110】
オレフィンの量および純度は、ガスクロマトグラフィーで測定した。データは以下の表1で報告する。
【0111】
表1において与えられる実験データから、1500のAl/Feモル比を使用するヘプタン/トルエン8/2(重量/重量)中の2−[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン配位子(配位子A)では、ターンオーバー頻度(TOF)、KファクターならびにMMAO、TDMBAOおよびTIOAO間のαオレフィン含有量における差は小さいことが分かる。TNOAOだけが低いTOFを与えるが、生成物分布および生成物純度は同じである(実施例1、2、3、4を参照)。しかしながら、700モル/モルのAl/Fe比においては、所定のαオレフィン製造に対するTOFおよび図1により示される通り、様々な共触媒から生まれる触媒活性間に明確な差が存在する。TDMBAOおよびTIOAO(本発明の範囲内にあり、それぞれにβγ−およびβδ−分枝状共触媒)は、MMAOおよびTNOAO(本発明の範囲外にある共触媒)よりも良好な共触媒である(高いTOFおよび低い減衰)(実施例5、6、7および8を参照)。Kファクターおよびその標準誤差(後者は、シュルツ−フローリー分布依拠に関する指標である)ならびにαオレフィン純度は、同様の最終AO濃度においてMMAOで得られたものと同じである。
【0112】
比較例12から、TFPPAO、即ち、β−アルキル−β−アリール−分枝状アルミノキサン(即ち、本発明の範囲外にあるββ−分枝状共触媒)は、700のAl/Feモル比において高いTOFおよび極めて少ない減衰を示す共触媒である、即ち、およそ100規定リットル(Nl)のエチレン消費後に、反応は、なお、4Nlエチレン/分の安定な取り込みを行ったことが分かる。しかしながら、αオレフィンの製造に対しては、TFPPAOは、αオレフィンの純度が、比較し得るAl/Feモル比での本発明の範囲内のその他の共触媒に対するものよりも低いのでそれほど良好な共触媒ではない(実施例12および13ならびに実施例5および6を参照)。TFPPAOの親化合物、即ちTPPAO(また、本発明の範囲外にあるββ−分枝状共触媒)は、全くなんらのオリゴマー化活性を示さない(実施例15を参照)。同様のことが、ββ−分枝状アルミノキサン、TIBAOおよび非加水分解トリエチルアルミニム(TEA)にもあてはまる(それぞれ、実施例17および16を参照)(両方とも、本発明の範囲外にある共触媒である)。
【0113】
表1から、700のAl/Feモル比においてTFPPAO(本発明の範囲外にある共触媒)と、イソオクタン中の2,6−ビス−[1−(2,6−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン配位子(配位子B)の触媒系では、αオレフィンの純度を犠牲にするけれども、高い活性および極めて少ない減衰を示すことが分かる(比較例19を参照)。配位子BとTDMBAO(本発明の範囲内にあるβγ−分枝状共触媒)の使用は、MMAOに比較し得るTOFと、幾分高いαオレフィン純度を与える(実施例20および21のオクタデセン画分のαオレフィン含有量比較)。
【0114】
要約すると、実施例1〜21の結果は、低Al/Fe比(700)において、βγ−分枝状アルミノキサン、TDMBAOおよびβδ−分枝状アルミノキサン、TIOAOは、Fe(2,4−ペンタンジオネート)錯体および適当な配位子、特に配位子AとからのFe(II)触媒系のin−situでの調製における良好な共触媒であることを示す。特に、それらは、MMAO、TPPAO、TFPPAO、TIBAO、TNOAOおよびTEA(これらは、βγ−またはβδ−分枝状ではない)よりも良好な触媒であるとみられる。TDMBAOおよびTIOAOの使用は、殆ど理想的なシュルツ−フローリー分布および低い触媒減衰(高いターンオーバー)において高い純度のαオレフィンの製造を提供する。更に、これらの共触媒は、パラフィン溶媒において高い溶解度および安定性を有する。
【0115】
以下の表1において、a〜jの文字は次の意味を有する:
a 反応は、60〜65℃に加熱後に、3℃未満の発熱を伴い開始。
【0116】
b TOF=ターンオーバー頻度。別段の指示以外は、総生成物(C〜C28のGCデータを使用して、回帰分析により決定されたC〜C100のオレフィン)から算出されたエチレン消費量。
【0117】
c 質量流量計(Bronkhorst High−Tech B.V.、Nijverheidsstraatla、7261 AK Ruurlo、The Netherlands、Type:F−201C−FA−00−Z)により決定されたエチレンの取り込みを使用。
【0118】
d C〜C28のGC−データの回帰分析により決定されたシュルツ−フローリーのKファクター。
【0119】
e C〜C16のGCデータの回帰分析により決定されたシュルツ−フローリーのKファクター。
【0120】
f 微量のヘキサンの存在による低水準(TNOAO共触媒から)。
【0121】
g それぞれに、分枝状ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.5、2.6および5.0重量%;内部ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.1、0.2および0.2重量%。
【0122】
h それぞれに、分枝状ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=1.0、5.7および10.9重量%;内部ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.1、0.2および0.2重量%。
【0123】
i それぞれに、分枝状ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.5、3.2および6.5重量%;内部ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.1、0.1および0.1重量%。
【0124】
j それぞれに、分枝状ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.7、3.6および6.7重量%;内部ヘキセン、ドデセンおよびオクタデセン=0.1、0.2および0.2重量%。
【0125】
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】700のAl/Feモル比に対する時間の経過に伴うエチレン消費量についての、実施例5および10のそれぞれにおけるTDMBAOおよびMMAOの比較効果をグラフ形式で示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(b)Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとした金属塩、
(d)ピリジンビス−イミン配位子、および
(e)水と、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒であって、前記1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物が、
(i)式(I):
Al(CH−CR−CH−CR
(式中、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリールまたはC〜C20のアルキルアリール基であり、Rは、水素あるいは直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはアリールアルキル基であり、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはC〜C20のアリールアルキル基であり、xは、1〜3の整数であり、zは、0または1であり、yは、3−x−zであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβδ−分岐化合物、
(ii)式(II):
Al(CH−CR−CR
(式中、R、R、R、R、R、R、x、yおよびzは、式(I)に関して上記定義の通りであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される前記共触媒
とを含み、前記金属塩および前記ビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶である混合物の存在下で、エチレンをオリゴマー化条件下で反応させることを含む、αオレフィンの製造方法。
【請求項2】
金属塩が、Fe(III)塩である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)および(II)の有機金属アルミニウム化合物において、Rが、C〜Cのアルキル基であり、Rが、水素またはC〜Cのアルキル基であり、Rが、C〜Cのアルキル基である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有機金属アルミニウム化合物が、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウムである請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
有機金属アルミニウム化合物が、トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウムである請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ビスアリールイミンピリジン配位子が、以下の式(I):
【化1】

(式中、Xは、炭素または窒素であり、
nは、0または1であり、
mは、0または1であり、
Zは、π−配位金属フラグメントであり、
〜R11、R13〜R15およびR18〜R20は、それぞれ独立に、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいは互いに隣接するR〜R、R13〜R15およびR18〜R20の任意の2つが一緒になって環を形成してもよく、R12は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR13またはR10と一緒になって環を形成し、R16は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR15またはR10と一緒になって環を形成し、R17は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR11またはR18と一緒になって環を形成し、R21は、水素、場合によって置換されたヒドロカルビル、不活性官能基であり、あるいはR11またはR20と一緒になって環を形成する)
を有する配位子から選択される請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
〜Rが水素であり、R10およびR11がメチルであり、R12およびR16がメチルであり、R14がメチルまたは水素であり、R13およびR15が水素であり、R17およびR21が水素であり、R18、R19およびR20が、独立に、水素、メチルまたはt−ブチルであり、XはCであり、mは1であり、nは0である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
金属塩が、アセチルアセトネートである請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
金属塩が、Fe(2,4−ペンタンジオネート)である請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
(a)Fe(II)、Fe(III)、Co(II)またはCo(III)をベースとし、脂肪族または芳香族溶媒に可溶性の金属塩、
(b)ピリジンビス−イミン配位子、および
(c)水と、1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物との反応生成物である共触媒であって、前記1つまたは複数の有機金属アルミニウム化合物が、
(i)式(I):
Al(CH−CR−CH−CR
(式中、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリールまたはC〜C20のアルキルアリール基であり、Rは、水素あるいは直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはアリールアルキル基であり、Rは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアルキルアリールまたはC〜C20のアリールアルキル基であり、xは、1〜3の整数であり、zは、0または1であり、yは、3−x−zであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβδ−分岐化合物、
(ii)式(II):
Al(CH−CR−CR
(式中、R、R、R、R、R、R、x、yおよびzは、式(I)に関して上記定義の通りであり、RおよびRは、互いに同じか異なる、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアリール、C〜C20のアリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、置換基RおよびRまたはRおよびRは、3〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つの環を場合によって形成し、Rは、水素であり、またはRおよびRと同じ意味を有する)のβγ−分岐化合物およびそれらの混合物から選択される前記共触媒
とをin−situで混合することにより得られ、前記金属塩および前記ビス−アリールイミンピリジン配位子が一緒に混合される場合は、それらは脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶である触媒系。

【図1】
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【公表番号】特表2009−513538(P2009−513538A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518217(P2006−518217)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051365
【国際公開番号】WO2005/005354
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】