説明

相乗的組成物類

アミノスルホン類および少なくとも1つの他の殺菌・殺カビ剤を含む、殺菌・殺カビ剤として有用な相乗的組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌・殺カビ性化合物類を含む相乗的組成物類に関する。
【背景技術】
【0002】
私たちの歴史は、広く人間の苦痛を引き起こしてきた菌類病の発生にさいなまれている。菌類病の影響を知るには、1845年から1860年に発生し、推定1,000,000人が死亡し、推定1,500,000の人が移住した、アイルランドのジャガイモ飢饉以上のものはない。
【0003】
殺菌・殺カビ剤は、自然物または合成物由来の化合物であり、植物を菌・カビ類による損傷から保護する機能を持つ。従来の農業の方法は、殺菌・殺カビ剤の使用に依存するところが大きい。実際に、一部の作物は殺菌・殺カビ剤を用いなければ有効に育成できない。殺菌・殺カビ剤の使用は、栽培者に作物の収量と品質の向上をもたらし、その結果作物の価値の増加をもたらす。ほとんどの場合、作物の価値の増加は、殺菌・殺カビ剤使用の費用の少なくとも3倍に値する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、全ての状況に有用な殺菌・殺カビ剤は存在せず、1種類の殺菌・殺カビ剤を繰り返し使用すると、多くの場合はその殺菌・殺カビ剤および関連の殺菌・殺カビ剤に対して、耐性を形成する。したがって、より安全で、より性能が良好で、要する適用量がより低く、より容易に使用でき、そして費用が安い殺菌・殺カビ剤および殺菌・殺カビ剤の組合せを製造する研究が行われてきた。
【0005】
相乗効果は、2つ以上の化合物の活性が、単体で使用した場合の化合物の活性より高い場合に発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、殺菌・殺カビ活性化合物を含む、相乗的組成物類を提供することにある。
【0007】
本発明の目的はさらに、これらの相乗的組成物類を用いる方法を提供することにある。
本発明の相乗的組成物類は、卵菌綱の菌・カビ類によって生じる疾病防止もしくは治療、またはその両方の能力を有する。さらに、相乗的組成物類は、ブドウ類および他の作物のべと病、および/またはトマト類およびジャガイモ類の疫病を含む卵菌綱病原体類に対する有効性が改良されている。本発明によって、相乗的組成物類はその使用方法と共に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の相乗的組成物類は、下記式で表すことができる第1の組成物i)、
【化4】

および、以下に記載の組成物a)、b)、c)、d)、およびe)から選択される第2の組成物ii)を含む。
【0009】
1つの実施態様においては、第2の組成物ii)はa)を含み、ここでa)は下記式の組成物である。
【化5】

式IIの組成物は、1つのキラル中心を有し、立体異性体類の混合物として存在する。それはゾキサミド(zoxamide)として、Dow AgroSciences LLCから市販されている。
【0010】
他の実施態様において、第2の組成物ii)は、b)クロロタロニル、水酸化銅、オキシ塩化銅、ホルペット、キャプタン、フルアジナム、シアゾファミド、エタボキサム、シモキサニル、ジメトモルフ、イプロバリカルブ、ベンチバリカルブ(benthiavalicarb)、ホセチル−Al/ホスホン酸、プロパモカルブ、本明細書に参照により引用される、2002年9月10日に公開の米国特許第6,448,228B1号に引用されているジペプチド殺菌・殺カビ剤のエピ異性体およびジアステレオ異性体(メチル(±)RS−[3−(N−イソプロポキシカルボニル−S−バリニル)アミノ]−3−(4−クロロフェニル)プロパノアート)(本明細書中の実施例の化合物1)およびメチル(±)R−[3−(N−イソプロポキシカルボニル−s−バリニル)アミノ]−3−(4−クロロフェニル)プロパノアートに代表される)、および、
【化6】

(式中、R1は4−Cl−C6H5であり、R2はCH3である)で表される、N−スルホニルバリンアミド類(2002年3月21日公開のWO02/21918の化合物番号1.14(本明細書の実施例の化合物2))より選択される化合物、または、これらの組合せである。これらの化合物類は市販されているか、公知かのどちらかであり、それらの製造方法もまた同様である。
【0011】
他の実施態様において、第2の組成物ii)はc)ミトコンドリアQo部位阻害剤である。Qo部位阻害剤は、ストロビルリン、ジヒドロイミダゾロン、および、オキサゾリジンジオン殺菌・殺カビ剤類を含む。このような阻害剤類の詳細な例は、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、フルオキサストロビン、エネストロブリン、フェナミドンおよびファモキサドン、またはこれらの組み合わせであり、これらは全て市販されている。
【0012】
他の実施態様においては、第2の組成物ii)は、フララキシル、メタラキシル、メフェノキサム(メタラキシル−Mとしても知られている)、ベナラキシル、オフレース、およびオキサジキシルのようなd)アシルアラニンであり、これらは全て市販されている。
【0013】
さらに他の特定の実施態様においては、第2の組成物は、マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ナバム、プロピネブ、およびジネブのような、e)アルキレンビス(ジチオカルバマート)であり、これらは全て市販されている。
【0014】
式Iの組成物は、2つのキラル中心を有し、立体異性体の混合物として存在する。特に関連するのは、式IIIで表される組成物であり、これは式IIIaとIIIbの立体異性体の混合物である。
【化7】

【0015】
式IIIの組成物はまた、4−フルオロフェニル(1S)−1−({[(1R,S)−(4−シアノフェニル)エチル]スルホニル}メチル)−プロピルカルバマートとしても知られている。
【化8】

【0016】
式IIIaの組成物はまた、4−フルオロフェニル(1S)−1−({[(1S)−(4−シアノフェニル)エチル]スルホニル}メチル)プロピルカルバマートとしても知られている。
【0017】
相乗的組成物における、式IIIで表される化合物、または式IIIaで表される化合物の第1の組成物i)の第2の組成物ii)に対する重量比は、約0.1から約10であり、好適には約0.2から約5である。
【0018】
本発明の1つの特定の実施態様においては、相乗的組成物は、
i)式Iで表される組成物、
ii)式IIで表すことができる組成物、および
iii)市販されているマンコゼブ、シモキサニル、ジメトモルフ、オキシ塩化銅(copper oxychloride)、ホセチル−Al、ホルペット、またはメフェノキサムで例示される、市販の殺菌・殺カビ剤化合物類または組成物類から選択される第3の成分を含む。
【化9】

【0019】
各成分の重量比率は、以下の表に例示される。
【表1】

【0020】
本発明の組成物類は、好適には、組成物i)、ii)および場合によりiii)と、植物学的に許容されうる担体を含む配合物の形態で適用される。
【0021】
濃縮配合物を水または他の液体中に分散し適用可能であり、または配合物はさらなる処理なしで適用可能な微粉状または顆粒状でもよい。配合物は農芸化学の技術分野において通常の方法に従い製造されるが、それは本発明の相乗的組成物がその中に存在するため新規であり、重要である。
【0022】
最も頻繁に適用される配合物は、水性懸濁物または乳化物である。水溶性、水懸濁性、または乳化性配合物のいずれかは、水和剤として通常知られている固体、または、乳化性濃縮剤、水性懸濁液または懸濁濃縮液として通常知られている液体である。本発明は、本発明の相乗的組成物を配送および殺菌・殺カビ用途向けに配合可能な、全てのビヒクルについて検討する。
【0023】
容易にわかる通り、これら相乗的組成物の殺菌・殺カビ剤としての活性を著しく妨げることなく、所望の効用が得られる限り、これらの相乗的組成物を添加可能な任意の物質を用いてもよい。
【0024】
水和剤は、圧縮して水分散可能顆粒剤を形成可能であり、相乗的組成物、担体および農業的に許容可能な界面活性剤の緊密な混合物を含む。水和剤中の相乗的組成物の濃度は通常、配合物の全重量を基準として約10重量%から約90重量%、より好ましくは約25重量%から約75重量%である。水和剤配合物の製造においては、相乗的組成物を微粉砕固体、例えばプロフィライト、タルク、チョーク、石膏、フラー土、ベントナイト、アタパルジャイト、澱粉、カゼイン、グルテン、モントモリロナイト、クレー、ケイソウ土、精製シリケートなどのいずれかと配合可能である。そのような操作においては、微粉砕担体を揮発性有機溶媒中で相乗的組成物と一緒に粉砕もしくは混合する。有効な界面活性剤は水和剤の約0.5重量%から約10重量%を構成し、例えばスルホン化リグニン類、ナフタレンスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルサルフェート類およびアルキルフェノール類のエチレンオキシド付加物のような非イオン性界面活性剤を含む。
【0025】
本発明の相乗的組成物の乳化性濃縮剤は、都合のいい濃度、例えばかかる乳剤配合物の総重量を基準として約10重量%から約50重量%で、適切な液体中に含まれる。相乗的組成物の成分は、一緒にまたは単独で担体中に溶解され、前記担体は、水混和性溶媒か、または水非混和性有機溶媒類と乳化剤との混合物のどちらかである。水および油で濃縮液を希釈し、水中油型エマルションの状態のスプレー混合物を作ってもよい。有用な有機溶媒としては、芳香族化合物、特に石油の高沸点ナフタレン性部分およびオレフィン性部分、例えば重質芳香族ナフサを挙げることができる。他の有機溶媒を用いてもよく、例えばそのような有機溶媒には、ロジン誘導体を含むテルペン性溶媒類、シクロヘキサノンのような脂肪族ケトン類、および、2−エトキシエタノールのような複合アルコール類が挙げられる。
【0026】
本発明において有利に用いることが可能な乳化剤は当業者により容易に決定可能で、種々の非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性乳化剤、または2つ以上の乳化剤のブレンドを含む。乳化性濃縮剤の製造に有用な非イオン性乳化剤の例としては、ポリアルキレングリコールエーテル類、ならびに、アルキルおよびアリールフェノール類、脂肪族アルコール類、脂肪族アミン類もしくは脂肪酸類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド類との縮合生成物、例えばポリオールまたはポリオキシアルキレンに可溶化されたエトキシル化アルキルフェノール類およびカルボン酸エステル類が挙げられる。カチオン性乳化剤類としては、第4級アンモニウム化合物類および脂肪族アミン塩類が挙げられる。アニオン性乳化剤としては、アルキルアリールスルホン酸の油溶性塩類(例えばカルシウム)、硫酸化ポリグリコールエーテル類の油溶性塩類、およびリン酸化されたポリグリコールエーテルの適当な塩類を挙げることができる。
【0027】
本発明の乳化性濃縮剤の製造に使用可能な代表的な有機液体は、キシレン、プロピルベンゼン留分のような芳香族液体;または混合ナフタレン留分類、鉱物油類、フタル酸ジオクチルのような置換芳香族有機液体類;ケロシン;各種の脂肪酸類のジアルキルアミド類、特に脂肪性グリコール類のジメチルアミド類、ならびに、ジエチレングリコールのn−ブチルエーテル、エチルエーテルもしくはメチルエーテル、および、トリエチレングリコールのメチルエーテルのようなグリコール誘導体類である。前記乳化性濃縮剤の製造において、多くの場合、2つ以上の有機液体類の混合物も適切に使用される。好適な有機液体は、キシレン、およびプロピルベンゼン留分であり、キシレンが最も好適である。液体配合物において表面活性分散剤類が一般的に使用され、その量は分散剤と相乗的組成物の合計重量の0.1から20重量パーセントである。配合物は、他の相溶性添加剤類、例えば、農業で用いられる植物成長抑制剤類および他の生物活性化合物類を含有していてもよい。
【0028】
水性懸濁液は、水性懸濁配合物の総重量を基準として約5重量%から約50重量%の範囲内の濃度で水性ビヒクル中に分散された、1つ以上の水不溶性化合物の懸濁液を含む。懸濁液は、相乗的組合せの成分を一緒にまたは単独で微細に粉砕し、および粉砕した物質を、水と上記と同種のものから選択された界面活性剤を含むビヒクル中に激しく混合することにより製造される。無機塩類および合成または天然ゴム類のような他の成分を加えて、水性ビヒクルの密度および粘度を向上させてもよい。サンドミル、ボールミルまたはピストン型ホモジナイザーのような器具中で、水性混合物を製造しそれを均質化することによって、粉砕および混合を同時に行うことが、多くの場合は最も有効である。
【0029】
相乗的組成物を顆粒状配合物として適用することもでき、それは土壌へ適用する場合、特に有用である。顆粒状配合物は通常、全体または大部分が粗く粉砕されたアタパルジャイト、ベントナイト、ケイソウ土、クレーまたは類似の安価な物質で構成される担体中に分散される化合物を、顆粒状配合物の総重量を基準として約0.5重量%から約10重量%含有する。通常そのような配合物は、相乗的組成物を適当な溶媒に溶解し、約0.5から約3mmの範囲の適切な粒度に予備成形された顆粒状担体に適用することによって製造する。そのような配合物はまた、担体および相乗的組成物のドウもしくはペーストを作り、粉砕および乾燥して所望の顆粒状粒子を得ることによって製造してもよい。
【0030】
相乗的組成物を含有する微粉剤は、単に粉末形態の相乗的組成物を適当な微粉状農業用担体、例えばカオリンクレー、粉砕された火山岩などとよく混合することによって製造する。微粉剤は、相乗的組成物/単体の組合せを約1重量%から約10重量%、適当に含む。
【0031】
配合物は、農業的に許容可能な補助界面活性剤を含有し、相乗的組成物の標的作物および生体への付着、湿潤および浸透を促進してもよい。これらの補助界面活性剤は、場合によって配合物の成分として、またはタンク混合物(tank mix)として用いることができる。補助界面活性剤の量は、水のスプレー−体積に基づいて、0.01パーセントから1.0パーセントv/v、好ましくは0.05から0.5パーセントで変更される。適当な補助界面活性剤としては、エトキシル化ノニルフェノール類、エトキシル化合成または天然アルコール類、エステル類またはスルホスクシン酸類の塩類、エトキシル化オルガノシリコーン類、エトキシル化脂肪族アミン類、および鉱物油または植物油と界面活性剤とのブレンドを挙げることができる。
【0032】
配合物は、1つ以上の相乗的組成物を最低でも1%と、他の有害生物防除性化合物とを含むことが可能な組合せを、場合により含んでいてもよい。そのような追加の有害生物防除性化合物は、本発明の相乗的組成物と、適用のため選択された媒体中での相溶性があり、かつ本化合物の活性に拮抗しない、殺菌・殺カビ剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺節足動物剤、殺バクテリア剤、またはそれらの組合せでもよい。したがってそのような実施態様においては、同じまたは異なる有害生物防除的用途のため、他の有害生物防除性化合物を補助的有毒物として用いる。有害生物防除性化合物と相乗的組成物を、一般に1:100から100:1の重量比率で一緒に混合する。
【0033】
本発明は、菌・カビ攻撃の抑制または予防方法を、その範囲内に含む。これらの方法は菌・カビの場所、または蔓延を予防したい場所(例えばイモまたはブドウの木への適用)に、相乗的組成物を殺菌・殺カビに有効な量散布することを含む。相乗的組成物は殺菌・殺カビレベルでの種々の植物の処理に適しているが、低い植物毒性を示す。相乗的組成物は保護剤もしくは根絶剤として有用である。相乗的組成物は、相乗的組成物として、または、相乗的組成物を含む配合物として、任意の様々な既知の方法で適用される。例として、植物の商品価値を損うことなく、種々の菌・カビを抑制するため、相乗的組成物を植物の根、種子または葉に適用することができる。相乗的組成物は一般的に用いられる任意の配合物の形態の種類、例えば溶液類、微粉剤類、水和剤類、流動性濃縮剤類または乳化性濃縮剤類として適用される。これらの材料は種々の既知のやり方で、都合よく適用される。
【0034】
相乗的組成物は、特に農業用途向けに著しい殺菌・殺カビ効果を有することが発見された。相乗的組成物を農業作物類および園芸植物類に、または木材、塗料、皮革もしくはカーペット裏地に使用すると特に効果的である。
【0035】
特に相乗的組成物は、有用植物作物類に感染する多様な望ましくない菌・カビ類の抑制に効果的である。相乗的組成物は、例えば以下の代表的菌・カビの種を含む多様な卵菌綱(Oomycete)菌・カビ類に対して使用可能である:ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)−PLASVI)およびウリ科のべと病(シュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)−PSEUCU)、トマトおよびジャガイモの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)−PHYTIN)。当業者は、本発明の相乗的組成物の1つ以上の前記菌・カビに関する有効性によって、その相乗的組成物の殺菌・殺カビ剤としての一般的有用性が確立されることを理解するであろう。
【0036】
相乗的組成物は、殺菌・殺カビ剤として広範囲にわたる有効性を有する。相乗的組成物を適用する正確な量は、成分の相対量だけではなく、望ましい特定の作用、抑制されるべき菌・カビの種、およびそれらの生育の段階、ならびに、化合物と接触させられるべき植物または他の産物の部分によっても異なる。よって、相乗的組成物を含有する配合物は、同じような濃度であっても、または、同一の菌・カビの種に対しても、等しく有効ではない場合がある。
【0037】
病気を抑制し、かつ植物学的に許容される量で、相乗的組成物を植物へ使用すると有効である。「病気を抑制し、かつ植物学的に許容される量」という語は、抑制を所望する植物の病気を除去しまたは抑制するが、植物に著しく有毒でない相乗的組成物の量をさす。この量は一般的に約1から約1000ppmであり、約2から約500ppmが好適である。相乗的組成物の必要とされる正確な濃度は、抑制されるべき菌・カビ性の病気、用いられる配合物のタイプ、適用法、個々の植物の種、気候条件などによって異なる。相乗的組成物の適切な適用量は、一般的には約0.10から約4ポンド/エーカー(約0.1から0.45グラム/平方メートル、g/m)に相当する。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は本発明をさらに説明するために提供される。それらは本発明を限定するように解釈されることを意図するものではない。
【0039】
組成物IIIおよび化合物IIIaの調製
i)全実施例の式IIIの組成物は、2001年5月23日公開のWO02/40431A2にしたがって調製した。化合物IIIaは、式IIIの組成物から、公知の分離技術を用いて分離した。
【0040】
実施例I i)およびii)a)の相乗的混合物
i)実施例Iは、式IIIの組成物および式IIIaの化合物を両方用い、試験用の相乗的(sumergistic)組成物を製造する。
ii)Dow AgroSciences LLCから工業用形態で、または懸濁濃厚液として市販されているゾキサミド(式II)の市販物を用い、試験用の相乗的組成物を調製した。
【0041】
生物学試験
相乗的組成物を、10体積%のアセトンと、90体積%のトリトンX水(脱イオン水99.99重量%+0.01重量%トリトンX100)の中に配合した。相乗的組成物を、4日間の保護剤試験(4-day protectant test、4DP)において、全植物レベルにて、植物の病気を抑制する能力について試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、約1000L/ヘクタールの噴霧体積を吐出した。植物に相乗的組成物を適用した4日後に菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0042】
以下の実験を研究室内で行い、式IIIの組成物または式IIIaの化合物と組み合わせたゾキサミドの相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定した。
【0043】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール(Outdoor Girl)種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物(Metromix)中で、種子から苗が1〜2葉になるまで育てた(BBCH 12)。これらの植物に、表1および2にppmで表示される割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。96時間後、試験植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室内で終夜培養した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0044】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表3および4にppmで表示される割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。96時間後、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を高湿度で終夜維持した。次いで植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0045】
以下の表は、ゾキサミド、式IIIの組成物および式IIIaの化合物、ならびにこれらのゾキサミドとの組合せが提供する抑制のレベルを表す。各組合せで、相乗効果係数(synergy factor)を計算し提供した。1より大きい相乗効果係数(SF)は、相乗効果をあらわす。試験した各組合せは、相乗効果を示した。「相乗効果係数」の語は、S.R.Colbyによって、雑誌Weeds,1967,15, p. 20-22で発表された「Calculation of the synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations」と題された論文にて最初に規定された概念に基づく。Colbyに従って、相乗効果は、観察された混合物の実験効果と、各殺菌・殺カビ組成物または化合物を単体で適用した際の能力から算出した期待効果との比率によって評価する。この比率はまた、相乗効果係数(SF)とよばれる。
混合物の期待効果を、パーセント病気抑制として予想する式は以下の通りである。
Exp.=A+B−(A×B/100)
(式中、Exp.は期待有効性、AおよびBは所定の割合で各殺菌・殺カビ剤が達成したそれぞれの有効性(パーセント抑制として)である。)。たとえば、化合物AのXppmでの有効性が40%であり、BのYppmでの有効性が50%の場合、Xppmの化合物AとYppmの化合物Bを含む混合物の期待有効性は70%であり、「40+50−(40×50/100)」として計算される。観察有効性が期待有効性より大きい場合、比率またはSFは1より大きく、2つの化合物間の相乗効果を示す。観察有効性が期待有効性と等しい場合、SFは1であり、2つの化合物間の加法的関係を示す。観察有効性が期待有効性より小さい場合、すなわちSFが1より小さい場合は、2つの化合物間の拮抗作用を示す。
【0046】
相乗効果は、i)式IIIの組成物、または、IIIaの化合物、およびii)ゾキサミドの組合せで示され得る。ゾキサミドと式IIIの組成物、または式IIIaの化合物の特定の比率は、より高いSFによって証明されるような、表1〜4で与えられるデータによって示されるものよりもさらに大きい相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0047】
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0048】
実施例II i)およびiib)の相乗的混合物
フルアジナム、シアゾファミドの市販のSC配合物、ならびに、水酸化銅、オキシ塩化銅、および、ホセチル−AlのWP配合物を用い、試験用の相乗的組成物を調製した。b)の下にある他の全ての化合物は、SCとして配合したベンチバリカルブ(benthiavalicarb)を除き、一般的なECとして配合された原体(technical materials)として試験した。組成物i)を、相乗的組成物に用いる市販製品に特有の配合タイプにしたがって、SC、WPまたはECのどれかとして配合した。
【0049】
生物学試験
原体(technical materials)から調製された相乗的組成物を、ベンチバリカルブ(benthiavalicarb)を除き、10体積%のアセトンと、90体積%のトリトンX100水(脱イオン水99.99重量%+0.01重量%トリトンX100)の中に配合した。水和剤(WP)または懸濁濃厚液(SC)から調製した相乗的組成物は(ベンチバリカルブ(benthiavalicarb)を含む)、適用前に水中に分散した。相乗的組成物の植物の病気を抑制する能力を、1、2、3、4または7日の保護剤試験(1DP、2DP、3DP、4DPおよび7DP)、および1日の治療剤試験(1DC)として、全植物レベルにて試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、1000L/ヘクタールの噴霧量を吐出した。植物への相乗的組成物適用の1日前、または、1、2、3、4もしくは7日後に菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0050】
相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定するため、研究室内で以下の実験を行った。
【0051】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物中で、種子から苗が1〜2葉段階になるまで育てた。これらの植物に、表5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、33、34、35、37および39にppmで表示される割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて適用の1日前または1、2、3もしくは4日後のいずれかで、処理済みの植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室中で終夜培養した。つづいて植物を未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0052】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、31、32、36、38、および40にppmで表示される割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて適用の1日前または1、2、3もしくは7日後のいずれかに、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を終夜高湿度に維持した。続いて植物を未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0053】
以下の表は、得られた抑制のレベルを表す。各組合せで、相乗効果係数を計算し提供した。
【0054】
相乗効果は、i)式IIIの組成物、および、ii)b)からの化合物の組合せで示されうる。特定の比率では、表1〜40で得られたデータが示すよりも、より高いSFによって証明されるような、より大きな相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0055】
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【0056】
実施例III i)およびii)c)の相乗的混合物
ストロビルリン類の市販のSCまたはWP配合物およびECとして配合された工業用ファモキサドンを用い、試験用の相乗的組成物を調製した。組成物i)を、相乗的組成物に用いる市販製品に特有の配合タイプにしたがって、SC、WPまたはECのいずれかとして配合した。
【0057】
生物学試験
原体(technical materials)から調製された相乗的組成物を、10体積%のアセトンと、90体積%のトリトンX100水(脱イオン水99.99重量%+0.01重量%トリトンX100)の中に配合した。乳化性濃縮剤(EC)または懸濁濃厚液(SC)から調製した相乗的組成物を、適用前に水中に分散した。相乗的組成物を、2から3日間の保護剤試験(2DPおよび3DP)において、全植物レベルにて、植物の病気を抑制する能力について試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、1000L/ヘクタールの噴霧量を吐出した。植物に相乗的組成物を適用した2または3日後のどちらかに菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0058】
相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定するため、研究室内で以下の実験を行った。
【0059】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物(Metromix)中で、種子から苗が1〜2葉段階になるまで育てた。これらの植物に、表41、43、45、47および49にppmで表示される割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の2または3日後のいずれかで、処理済みの植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室中で終夜培養した。続いて植物を未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0060】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表42、44、46、48および50にppmで表示される割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の2または3日後のいずれかに、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を終夜高湿度に維持した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0061】
以下の表は、得られた抑制のレベルを表す。各組合せで、相乗効果係数を計算し提供した。
【0062】
c)のQo部位阻害剤と、式IIIの組成物の組合せで、相乗効果が示されうる。特定の比率では、表41〜50で得られたデータが示すよりも、より高いSFによって証明されるように、より大きな相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0063】
【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【表47】

【表48】

【表49】

【表50】

【表51】

【0064】
実施例IV i)およびii)d)の相乗的混合物
市販のアシルアラニン類を工業用形態で、またはEC配合物として、ii)として用い、試験用の相乗的組成物を調製した。
【0065】
生物学試験
原体(technical materials)から調製された相乗的組成物を、10体積%のアセトンと、90体積%のトリトンX100水(脱イオン水99.99重量%+0.01重量%トリトンX100)の中に配合した。乳化性濃縮剤(EC)から調製した相乗的組成物を、適用前に水中に分散した。相乗的組成物を、1日間の治療剤試験(1DC)および1から3日間の保護剤試験(1DPおよび3DP)において、全植物レベルにて、植物の病気を抑制する能力について試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、1000L/ヘクタールの噴霧量を吐出した。植物に相乗的組成物適用の1日前(1DC)、または、1から3日後に菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0066】
相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定するため、研究室内で以下の実験を行った。
【0067】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物(Metromix)中で、種子から苗が1〜2葉段階になるまで育てた。これらの植物に、表51、53、55、57、59、61および62にppmで表示の割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の1日前または1から3日後のいずれかで、処理済みの植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室中で終夜培養した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0068】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表52、54、56、58、60および63にppmで表示の割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の1日前または1から3日後のいずれかに、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を終夜高湿度に維持した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0069】
以下の表は、アシルアラニン類、式Iの組成物、および、それらのアシルアラニン類との組合せによって得られる抑制のレベルを示す。各組合せで、相乗効果係数を計算し提供した。
【0070】
相乗効果は、アシルアラニン類と式IIIの組成物との組合せで示されうる。アシルアラニン類と式IIIの組成物、または式IIIaの化合物の特定の比率では、より高いSFによって証明されるように、表51〜63で与えられるデータによって示されるものよりもさらに大きい相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0071】
【表52】

【表53】

【表54】

【表55】

【表56】

【表57】

【表58】

【表59】

【表60】

【表61】

【表62】

【表63】

【表64】

【0072】
実施例V i)およびii)e)の相乗的混合物
市販のアルキレンビス(ジチオカルバマート)類を工業用形態で、または水和剤として用いて、試験用の相乗的組成物を調製した。
【0073】
生物学試験
原体(technical materials)から調製された相乗的組成物を、10体積%のアセトンと、90体積%のトリトンX100水(脱イオン水99.99重量%+0.01重量%トリトンX100)の中に配合した。水和剤から調製した相乗的組成物を、適用前に水中に分散した。相乗的組成物を、1から4日間の保護剤試験(1DP、2DP、3DPおよび4DP)において、全植物レベルにて、植物の病気を抑制する能力について試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、1000L/ヘクタールの噴霧量を吐出した。植物に相乗的組成物を適用した1から4日後に菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0074】
相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定するため、研究室内で以下の実験を行った。
【0075】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物(Metromix)中で、種子から苗が1〜2葉段階になるまで育てた。これらの植物に、表64、65、68、70および72にppmで表示の割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、1から4日後に、処理済みの植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室中で終夜培養した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0076】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表66、67、69、71および73にppmで表示の割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、1から4日後に、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を終夜高湿度に維持した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0077】
以下の表は、アルキレンビス(ジチオカルバマート)類、式IIIの組成物および式IIIaの化合物、ならびにこれらのアルキレンビス(ジチオカルバマート)類との組合せが提供する抑制のレベルを表す。各組合せで、相乗効果係数を計算し提供した。
【0078】
相乗効果は、アルキレンビス(ジチオカルバマート)類と式IIIの組成物または式IIIaの化合物との組合せで示されうる。アルキレンビス(ジチオカルバマート)類と式IIIの組成物、または式IIIaの化合物の特定の比率は、より高いSFによって証明されるように、表64〜73で与えられるデータによって示されるものよりもさらに大きい相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0079】
【表65】

【表66】

【表67】

【表68】

【表69】

【表70】

【表71】

【表72】

【表73】

【表74】

【0080】
実施例V i)およびii)a)およびiii)の相乗的混合物
工業用形態で、またはそのWP、WGまたはEC配合物として化合物を、および、式IIIの組成物および式IIIaの化合物のECまたはWP配合物(相乗的組成物に用いる市販製品の特定の配合の種類に従い)を用い、試験用の相乗的組成物を調製した。
【0081】
生物学試験
相乗的組成物を、2から6日間の保護剤試験(2DP、3DPまたは6DP)において、全植物レベルにて、植物の病気を抑制する能力について試験した。化学物を、2つの対抗する空気噴霧化ノズルを装着したターンテーブル噴霧器により噴霧し、1000L/ヘクタールの噴霧量を吐出した。植物に相乗的組成物を適用した2から6日後に菌・カビの胞子を接種し、続いて病気の進行しやすい環境で培養した。病気の重症度を、病気の進行速度に合わせて、4から7日後に評価した。
【0082】
相乗的殺菌・殺カビ有効性を決定するため、研究室内で以下の実験を行った。
【0083】
トマトの疫病(フィトフトラ・インフェスタンス−PHYTIN)
トマト(アウトドア・ガール種)を無土壌のピートを基礎とする鉢植え用混合物(Metromix)中で、種子から苗が1〜2葉段階になるまで育てた。これらの植物に、表74、76、78、80、82、84および86にppmで表示の割合で、配合組成物の懸濁液を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の2、3または6日語に、処理済みの植物にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種し、生育室中で終夜培養した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0084】
ブドウの木のべと病(プラスモパラ・ビチコラ−PLASVI)
ブドウ植物(「カリニヤン」品種)を、無土壌の鉢植え用混合物で、種子から苗が2〜3葉段階になるまで、温室中で6週間育てた。これらの植物に、表75、77、79、81、83、85および87にppmで表示の割合で、配合組成物を流れ落ちるまで噴霧した。試験に応じて、適用の2、3または6日後に、葉の裏側にプラスモパラ・ビチコラの水性胞子懸濁液を接種し、植物を終夜高湿度に維持した。続いて植物を、未処理の標準植物上に病気が進行するまで温室に移した。
【0085】
以下の表は、得られた抑制のレベルを表す。各組合せで、相乗効果係数を計算し提供した。
【0086】
相乗効果を以下に示す。混合物の3つの化合物の特定の比率では、表74〜87で得られたデータが示すよりも、より高いSFによって証明されるように、より大きな相乗的殺菌・殺カビ活性を示す事が期待される。かかるさらに促進された殺菌・殺カビ活性を決定することは、本明細書に開示の方法を用いれば、当業者にとってその能力の範囲内である。
【0087】
【表75】

【表76】

【表77】

【表78】

【表79】

【表80】

【表81】

【表82】

【表83】

【表84】

【表85】

【表86】

【表87】

【表88】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIまたはIIIa
【化1】

【化2】

で表される第1の組成物と、
a)、b)、c)、d)またはe)より選択される第2の組成物ii)を含む相乗的組成物であり、
ここで、a)は
【化3】

であり、
b)はクロロタロニル、水酸化銅、オキシ塩化銅、ホルペット、キャプタン、フルアジナム、シアゾファミド、エタボキサム、シモキサニル、ジメトモルフ、イプロバリカルブ、ベンチバリカルブ(benthiavalicarb)、ホセチル−Al/ホスホン酸、プロパモカルブ、ジペプチド殺菌・殺カビ剤のエピ異性体またはジアステレオ異性体形態、もしくは、N−スルホニルバリンアミド、または、これらの組合せであり、
c)はミトコンドリアQo部位阻害剤であり、
d)はアシルアラニンであり、ならびに、
e)はアルキレンビス(ジチオカルバマート)である、組成物。
【請求項2】
c)がストロビルリン、ジヒドロイミダゾロン、または、オキサゾリジンジオン殺菌・殺カビ剤である、請求項1の組成物。
【請求項3】
c)が、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、フルオキサストロビン、エネストロブリン、フェナミドン、およびファモキサドン、またはこれらの組合せである、請求項1の組成物。
【請求項4】
d)がフララキシル、メタラキシル、メフェノキサム(メタラキシル−Mとしても知られる)、ベナラキシル、オフレース、またはオキサジキシルである、請求項1の組成物。
【請求項5】
e)が、マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ナバム、プロピネブ、またはジネブである、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記第2の組成物ii)がa)であり、前記相乗的組成物が追加的に、マンコゼブ、シモキサニル、ジメトモルフ、オキシ塩化銅、ホセチル−Al、ホルペット、または、メフェノキサムを含む、請求項1の組成物。
【請求項7】
病気を阻害し植物学的に許容可能な量の、請求項1または請求項6に基づく相乗的組成物と、殺菌・殺カビ剤類、殺虫剤類、殺線虫剤類、殺ダニ剤類、殺節足動物剤類、および、殺バクテリア剤類からなる群より選択される、少なくとも1つの追加の農薬化合物とを含む、相乗的組成物。
【請求項8】
殺菌・殺カビ量の請求項1または請求項6に基づく相乗的組成物を場所に適用することを含む、菌・カビの攻撃を抑制または防止する方法。

【公表番号】特表2006−525954(P2006−525954A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508507(P2005−508507)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/039036
【国際公開番号】WO2004/052102
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】