説明

相互侵入共役高分子網目

モノマーM−Sは、共役ポリマーを製造できる第1の重合性部分(M)、および付加重合を受け易い二重結合がある第2の重合性部分(S)を有する。M部分の重合は、一般に、電解重合または化学酸化で起こる。S部分の重合も、一般に、ラジカル機構により、M重合の前、後またはそれと同時に起こる。適切なモノマーとして、N−(メタクリルアミドエチル)アニリン、N−(アクリルアミドエチル)アニリン、N−(メタクリロイルオキシエチル)アニリンおよびN−(アクリロイルオキシエチル)アニリンが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役鎖を含んだポリマー、該ポリマーを製造する方法、および該ポリマーを製造する際の使用に適したモノマーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気伝導性共役ポリマー(CPs)は、1960年代のポリピロール(PPy)の発見まで遡るが、当時はこのポリマーに関して殆ど理解されておらず、その発見は実質的に遅れた[1]。固有導電性ポリマーが最初に認識されたのは、MacDiarmid、ShirakawaおよびHeegerが、ヨウ素をドープしたポリアセチレンの導電性が1000万倍増加することを報告した、ようやく1977年になってからのことであった[2]。非環状ポリエンであるポリアセチレンは、この分野で最も研究がなされているポリマーの1つであるが、加工の困難性および空気中での不安定性が高いことなどの大きな制約がある。その結果、様々な用途のために芳香族CPsを開発することが、多くの関心を集めてきた。これらのものとしては、ポリピロール(PPy)、ポリチオフェン(PT)、ポリアニリン(PANI)およびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる。1980年代に開発されて以来、これらの材料は、安定性、導電性および合成のし易さが優れたCPsとして出現した[3]。これらの材料は、電池、帯電防止材料、腐食防止、光起電装置、発光ダイオードおよびエレクトロクロミックディスプレイを含めたマイクロエレクトロニクスなどの領域、ならびにセンサー技術において広範な応用を見出してきた[4]。CPsのセンサー用途に望ましい2つの共通の性質は、媒質特性と、ポリマー導電性のpH依存性および酸化還元依存性である。幾つかの研究グループは、CPsの生物学的および物理的改質に専心してきた。それでもなお、短期の酸化還元安定性、疎水性、溶解性不良、生体適合性、CP膜の剥離、非生分解性、低い多孔度[5]および化学的特異性の欠如などの、克服すべき制約が存在している。これらの要求を満足し、これらの問題に対処し、更に高度に特異的な導電系を確実なものにするためには、現在の活動は、依然として不足している。
【0003】
例えば改質したモノマー構造の使用により、意図した用途に適するようにポリマーの構造を化学的に改質することが、望ましい。[US7317047、US7318995、US7195834、WO2008019744、CN101016355]。一例は、細胞接着用のポリマーを製造することを目的とした、カルボキシエチル基によるピロールモノマーのN置換である[6]。しかし、電解重合した膜または化学的に重合した粉末のいずれかとして製造された生成ポリマーの導電性は、同じ方法で製造された非置換PPyよりおよそ4桁低かった[6]。したがって、導電性を実質的に失わずに、またはむしろ導電性を増加させて、CPsを官能化する方法が依然として望まれている。
【0004】
マイクロエレクトロニクスの目的のためには、フォトリソグラフィーにより導電性材料を堆積させる能力が決定的に重要である[US7318995]。本発明は、このプロセスに共役ポリマーを適合させる方法も提供する。特に、本発明の方法は、他の方法[7、8]または他の複雑な処理工程、例えばマイクロコンタクトプリンティング[9、10]で必要とされる、フォトレジスト被覆、画像形成および現像の追加ステップを必要としない。幾つかの実施形態では、導電性ポリマーの前駆体自体が光画像形成材料として作用することができる。更に、全ての処理工程が、環境影響が低減された水性試薬を用いて行うことができる。
【0005】
作り出された導電性ポリマーの安定性も、センサーおよびマイクロエレクトロニクスの用途にとって非常に重要である。これを実現するために、化学的および物理的な架橋が適用されてきた[US7335795、US7321012、US6383415]。本発明は、導電性が高く、機械的、化学的および熱的に耐性のある、共役付加型の重合体からなる相互侵入高分子網目を作り出す能力を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
1. Street G.B., Polypyrrole: from powders to plastics. In: Skotheim T.A., Ed. Handbook of conducting polymers, Vol. I., Marcel Dekker: New York; 1986. p.265-91.
2. Shirakawa H., Louis E.J., MacDiarmid A.G., et al.,J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1977,78-80.
3. Feast W.J., Synthesis of conducting polymers. In: Skotheim T.A., Ed. Handbook of conducting polymers, Vol. I., Marcel Dekker: New York; 1986. 1-43.
4. Gurunathan K., Murugan A.V., Marimuthu R., et al., Mater. Chem. Phys., 1999, 61, 173-9.
5. Guimard N.K., Gomez N., Schmidt C.E., Prog. Polym. Sci., 2007, 32, 876-921.
6. Lee J.W., Serna F., Nickels J., Schmidt C.E., Biomacromolecules, 2006, 7, 1692-1695.
7. Makela T., Pienimma S., Jussila S., Isotalo H., Synth. Met., 1999,101, 705-706.
8. Balocco C., Majewski L.A., Song A.M., Org. Electron., 2006, 7, 500-507
9. Lee K.S., Blanchet G.B., GaoF., Loo Y-L., Appl Phys Lett., 2005, 86, 074102.
10. Collard D.M., Sayre C.N., SynthMetals. 1997, 84, 329-332.
【特許文献】
【0007】
【表1】

【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、(a)Mが重合して共役ポリマー鎖を生成できる部分であり、Sが二重結合を含むことにより付加重合をすることができる部分である、M−S型のモノマーを用意するステップ、(b)任意選択で(optionally)コモノマーと共に、M部分を重合させて共役ポリマー鎖を生成するステップ、(c)任意選択でコモノマーと共に、S部分を重合させるステップを含み、ステップ(b)および(c)がいずれかの順にまたは同時に実施されるポリマーの製造方法を提供する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、Mが重合して共役ポリマー鎖を生成できる部分であり、Sが二重結合を含むことにより付加重合をすることができる部分である、M−S型のモノマーを含んだモノマーから誘導可能なポリマーであって、前記ポリマーが、任意選択でコモノマーと共に、前記M部分を重合することによって誘導される共役ポリマー鎖を有し、前記共役ポリマー鎖が、任意選択でコモノマーと共に、前記S部分を重合することによって誘導される連結部により架橋されているポリマーを提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、最初の2つの態様で使用するためのモノマー、特にN−(メタクリルアミドエチル)アニリン、N−(アクリルアミドエチル)アニリン、N−(メタクリロイルオキシエチル)アニリンおよびN−(アクリロイルオキシエチル)アニリンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の重合プロセスの概略的表示である。
【図2】図2は、電解重合膜に対する光イニファーターを用いた2段階架橋および/またはグラフトの概略的表示である。
【図3】図3は、4種の好ましいモノマーの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、少なくとも1つの二重結合を含有する置換基(S)を保持した、アニリン、アセチレン、ピロールまたはチオフェンなどのモノマー(M)を用いることができ、その結果、該材料は、異なる2つの様式、即ち(i)共役ポリマー鎖を生成するために、M部分を介して(例えば、化学酸化または電解重合により)、および(ii)付加重合体を製造するために、二重結合の付加重合を介して(例えば、遊離ラジカル重合により)、重合することができる。本発明は、これらのモノマーから製造されるポリマーにも関するが、これらのモノマーにおいて、その2種類の重合性基(例えば、アニリンおよび二重結合)の一部または全部がポリマーまたはコポリマーに転化されている。この2種の重合反応は、異なる順に実施できる。即ち、(i)M部分の重合または共重合による共役ポリマーの製造後に、1ステップまたは2ステップのプロセスにおける二重結合の重合または共重合による、付加重合体のポリアニリン材料へのグラフト化および/またはポリアニリン材料の架橋;(ii)二重結合の重合または共重合により、付加重合体主鎖に結合したM側鎖を保持する線状、分岐または架橋型の付加重合体を製造した後に、M部分の重合により共役高分子網目を生成する、順序を逆にした重合;(iii)M部分の化学酸化剤として、および、二重結合の重合用開始剤としても作用できる、開始剤または開始剤混合物を用いた、M部分および二重結合部分の同時重合、である。
【0013】
本発明に使用されるモノマーは、一般に、オルソゴーナルな反応性と2つの重合中心を有する分子であり、したがって多くの種々の潜在的用途がある多用途材料である。該ポリマーの用途には、それだけに限らないが、電気化学センサー、燃料電池およびバッテリーにおける導電層、および/または放射線遮蔽層および帯電防止層;耐食性および生体適合性被覆層;電気回路およびマイクロエレクトロニクスにおける導電性ポリマーのトラックのリソグラフィー法パターン形成;軍事および家庭用途のマイクロ波防護用遮蔽およびフィルター被覆層(ステルスおよびレーダー技術);パーソナル電子機器、帯電防止衣類、放射線遮蔽・ステルス衣類、および静電気感応性電子機器の防護用の導電性布地;商業および家庭用途における静電気散逸用の被覆層;エレクトロルミネセンスディスプレイ装置、即ち有機LED用のディスプレイ装置、およびフラットパネルディスプレイ;スマートウィンドウ技術用のフォトクロミック材料としての使用;光記録および感光性材料としての使用;ならびに新規品および保安用途の「透明インキ」が挙げられる。
【0014】
図1は、本発明に使用される種類のモノマーが、2つのオルソゴーナルな様式で、即ち、共役したポリマーもしくはコポリマーを製造するために「M」部分を介して、または付加重合体を製造するために二重結合を介して、重合できる様子を示している。重合反応が実施される順序により、材料の性質が決定され、適合する用途が決定される。
【0015】
図2は、光イニファーターを用いた電解重合膜への2段階の架橋および/またはグラフトを示している。
【0016】
本発明で使用されるモノマーは、好ましくは、置換基Sが、M部分の重合を妨害しない位置でM部分に結合されているモノマーである。二重結合を含有する化学体は、長さが原子2〜6個のスペーサー基によりM部分に結合できる。スペーサー基は、アルキル、アルコキシ、エーテル、エステル、アミド、ケトン、または当業者に公知の他の類似スペーサー基からなる。好ましくはアルキル基であり、好ましい実施形態は長さが炭素原子2個のアルキル基であり、好ましくはエチレンスペーサーである。M基は、置換または非置換のアニリン基であることが好ましく、4位で置換されていないアニリン基であることがより好ましい。置換基Sはアニリン基の窒素原子に結合していることが好ましい。二重結合体は、遊離ラジカル手段で重合できる任意の二重結合含有単位とすることができる。その例には、ビニルケトン、アリル基、ビニル芳香族基、ビニルエーテル、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、アクリレートエステル、アクリルアミド、メタクリレートエステル、メタクリルアミド、クロロアクリレートエステル、クロロアクリルアミド、イタコン酸エステル、イタコンアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルベンジルエステル、ビニルベンゾエートエステル、ビニルフェノールエステルおよびビニルフェノールエーテルが挙げられる。好ましい実施形態では、この重合性基は、アクリレートもしくはメタクリレートエステル、またはアクリルアミドもしくはメタクリルアミド基である。特に好ましいモノマーは、N−(メタクリルアミドエチル)アニリン、N−(アクリルアミドエチル)アニリン、N−(メタクリロイルオキシエチル)アニリンおよびN−(アクリロイルオキシエチル)アニリンである(図3参照)。
【0017】
本発明の方法の第1分類の実施形態では、先ずM部分を重合または共重合した後、第2工程で二重結合を重合または共重合する。M部分は、非置換体であるかまたは置換基を有する同じ重合性体である他のモノマーと、重合または共重合することができるが、これらの置換基は重合の過程を妨害しないことが前提である。この重合または共重合プロセスは、電極の表面において、当業者に公知の電極材料、pH緩衝剤および/または電解質、参照電極ならびに電子制御装置、例えば、モノマーまたはモノマー混合物の酸性化水溶液中で、金作用電極、白金対電極および銀/塩化銀参照電極を用いて、Autolab電気化学装置およびPC上で動作する制御ソフトウェアを用いて適切に制御されて、電気化学的に実施することができる。あるいは、M部分は、二重結合体に対して影響または実質的な影響を及ぼさずに、M部分を重合または共重合できる酸化剤を用いた溶液から重合または共重合することができる。このステップは、水溶液中でpHを調節しもしくは調節せずに、または、有機溶液中で、実施することができる。重合生成物は、溶媒およびモノマー構造ならびにポリマー組成に応じて可溶性または不溶性になり得る。あるいは、M部分の重合は、懸濁もしくは乳化重合または逆相懸濁もしくは逆相乳化重合法で実施することにより、粒子、可溶性もしくは不溶性ポリマー、またはポリマー粒子のコロイド分散物を生じさせることができ、粒子の寸法は、当業者に公知の方法によれば10nm〜100μmの間にあるのが望ましい[US4959180]。
【0018】
M単位を導入したポリマーまたはコポリマーを調製した後、二重結合単位の一部または全部を重合または共重合して、本発明のポリマーを製造することができる。この第2の重合ステップは、以下のプロセスを伴うことができる。即ち、第1の重合で製造されたポリマーと、開始剤および任意選択で例えば架橋モノマーを含む他のモノマーとを混合し、加熱または照射して第2の重合を開始すること;溶液、または乾燥微粒子材料もしくはコロイド懸濁液、またはスラリーとしての該ポリマーを、開始剤および任意選択で例えば架橋剤を含む追加のモノマーと共に、本発明の材料を被覆すべき表面の上に被覆し、熱または照射により第2の重合を開始すること;開始剤および任意選択で例えば架橋剤を含む追加のモノマーを含有する溶液中に、電解重合膜を浸漬し、加熱または照射により第2の重合を開始すること;光化学活性化または熱活性化イニファーターなどの開始剤の溶液中に電解重合膜を浸漬し、照射または加熱によって電解重合膜を架橋しまたは架橋することなく膜の表面上に露出した二重結合にへイニファーターを結合させ、続いて例えば架橋剤を含む追加のモノマーを含有するフレッシュな溶液中に浸漬し、加熱または照射のいずれかによって追加モノマーと電解重合膜の二重結合との第2の重合を開始させて電解重合膜に対してグラフトすることを含む2ステッププロセスを伴うことができる。このようなグラフト化材料は、分子インプリントポリマー(MIP)のグラフト膜を調製するために、分子もしくは高分子の鋳型(template)、または当業者に公知の他のそのような鋳型の存在下で調製することができる。鋳型の除去後、この材料は、鋳型のサイズ、形状および官能基に相補的な空洞を有する。これは、認識および/または触媒作用のために使用できる。その空洞が、第1の重合で製造された共役ポリマーの近傍に形成されている場合、このようなMIPグラフト化電解重合膜は、分子インプリントセンサーとして有用になり得る。上記のサンプルは例示に過ぎず、当業者であれば、言及されてはいないが、本発明の範囲内に含まれる他の可能性も十分に認識できる。
【0019】
本発明の第2分類の実施形態では、第1の重合ステップが、二重結合部分の重合または共重合であり、それに続く第2の重合ステップでは、最初に製造されたポリマーのM部分の一部または全部が重合または共重合されて本発明のポリマーが製造される。第1の重合ステップは、溶融状態で、または、有機溶液またはpHを調節したもしくは調節しない水溶液を含めた溶液中で;乳化もしくは懸濁重合で;逆相乳化もしくは逆相懸濁重合で;あるいは当業者に公知の任意の他の重合系で実施することができる。このステップは、開始剤、または開始剤と任意選択で1種もしくは複数の架橋剤を含む追加のモノマーの存在下で行うこともできる。これは、加熱または照射で開始し、モノリス型の不溶もしくは可溶ポリマー、繊維、粒子または成形物を製造できる。粒子の場合、粒子のサイズ範囲を直径10nm〜100μmにすることができる。
【0020】
第1の重合は、開始剤、または開始剤と任意選択で少なくとも1種の架橋剤を含む追加のモノマーとを含有する、モノマーの膜もしくは層、またはモノマーの溶液中で、開始することができる。その膜または層は、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングもしくは刷毛塗り、あるいはスクリーン印刷または当業者に公知の任意の他の方法により調製できる。重合は、マスクを介して、または投影により、または干渉縞もしくはホログラムを用いて照射により開始され、最初の生成ポリマーの生成時にリソグラフィー法のパターン形成または空間的変調を起こさせ、それにより、露光後の溶媒(水性、部分的に水性または有機性で、界面活性剤を含むことも含まないこともある)による現像で、ポリマーより優先的にモノマーを選択的に溶解させることができる。こうして、リソグラフィー法のパターンまたは空間的変調が、被覆物品の表面上にポリマー特徴部として保持される。
【0021】
別種の実施形態では、モノマー、および開始剤、または開始剤と任意選択で1種もしくは複数の架橋剤を含む追加のモノマーが、非希釈混合物または溶液として、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングもしくは刷毛塗り、またはスクリーン印刷または当業者に公知の任意の他の方法により、物品の表面上に被覆されることにより、該物品の1つもしくは複数の表面またはその全面に亘って連続膜が形成される。次いで、加熱または照射により、二重結合部分の重合が開始されて、この物品上に最初の生成ポリマーの表面被覆層または膜が形成される。
【0022】
別種の実施形態では、モノマー、および開始剤、または開始剤と任意選択で1種もしくは複数の架橋剤を含む追加のモノマーが、非希釈混合物または溶液として、コンタクトプリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、刷毛塗り、スクリーン印刷、インクジェット印刷、直接転写を含む印刷により、ブラシもしくはペン、または当業者に公知の任意の他の手段により物品に選択的に塗布され、その後、加熱または照射により、重合を開始することによって、この物体に塗布された被覆層は、トラック、グリッド、英数字、バーコードもしくは他の記号、または最終用途で使用される他の特徴部もしくは接続部などの空間変調されたパターンが形成される。
【0023】
別種の実施形態では、溶融状態にある、または溶液もしくは粒子懸濁液もしくはスラリーもしくはコロイド分散液として最初に製造されたポリマーは、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングまたはブラシもしくはスクリーン印刷、あるいは当業者に公知の他の任意の方法により、表面被覆層として物品に塗布されて、溶媒の蒸発または冷却によりこの層が硬化された後、表面被覆層が形成される。その溶融液、溶液、懸濁液またはスラリーは、任意選択でM部分を保有し置換または非置換いずれかの追加のモノマーを1種または複数含有することができるが、但し、置換基がM部分の重合挙動を妨害しないことが前提である。その溶液、懸濁液、スラリーまたはコロイド分散液は、任意選択でM部分を保有し置換または非置換いずれかの追加のモノマーを1種または複数含有するが、但し、置換基がM部分の重合挙動を妨害しないことが前提である。その液は、コンタクトプリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、刷毛塗り、スクリーン印刷、インクジェット印刷、直接転写を含む印刷により、ブラシもしくはペン、または当業者に公知の任意の他の手段により、物品の1つまたは複数の表面に塗布されることによって、トラック、グリッド、英数字、バーコードもしくは他の記号、または最終用途で使用される他の特徴部もしくは接続部などの空間変調されたポリマー特徴部を製造することができる。該溶液、懸濁液、スラリーまたはコロイド分散液は、任意選択でM部分を保有し置換または非置換いずれかの追加のモノマーを1種または複数含有するが、但し置換基がM部分の重合挙動を妨害しないことを前提としている。これらの液は、上記方法のいずれかにより繊維上または織物上に被覆できる。あるいは、第1の重合で調製されたポリマーまたはコポリマーは、溶融紡糸もしくは押出により、または溶液から、任意選択で他のポリマー例えばアクリルポリマーの存在下で、繊維に紡糸し、繊維を製造することができる。次いで、これらの繊維は、マット、フェルトもしくは布地を製造するために使用し、またはそれ自体もしくは天然、合成いずれかの他の繊維と絡み合わせて、ヤーンおよびスレッドを製造することができる。これらの糸は、編み、織り、フェルト化し、結び合わせ、編み組みし、または絡み合わせることにより、布地、撚りひも、ロープ、網、メッシュ、シートまたは衣料品を製造することができる。
【0024】
上記詳述したように、第1の重合で製造されるポリマーを含む物品を調製した後、共役ポリマーの製造は、共役ポリマー鎖の製造を開始するために、M部分の一部もしくは全部において共役ポリマーの製造を開始できる溶液中に該物品を浸漬し、または前記溶液を例えば噴霧もしくは刷毛塗りにより塗布することによって、開始することができる。繊維、編み糸、縫い糸またはロープなどの品目は、上記したように第2の重合を実施した後、織り、フェルト化し、編み組みし、編み、または絡み合わせることにより、マット、フェルト、布地、網、メッシュ、シートまたは衣料品を製造することができる。
【0025】
第1の重合において溶液またはコロイド分散液として製造されるポリマーまたはコポリマーは、単独で、あるいはM部分を有する置換または非置換のいずれかの1種または複数の追加モノマーの存在下で、但し、置換基がM部分の重合挙動を妨害しないことを前提として、電気化学重合により電解質液中、電極で重合する、または電極で共重合することができる。
【0026】
第3分類の実施形態では、二重結合体の重合または共重合は、種々の重合反応の反応性および速度パラメーターに依存して、M部分の重合または共重合とおよそ同時に行われる。2つの独自の機構により両種化学体の重合を開始可能な開始剤を利用することもできる。例えば、アニリンの重合は、水中での過硫酸アンモニウムまたはカリウムなどの過硫酸塩による化学酸化によって行うことができる。この同じ開始剤は、水中での(メタ)アクリルアミドモノマーの重合を開始するためにも使用することができる。この実施形態の更なる態様では、pH調節を伴うまたは伴わない、塩を添加したまたは添加していない、M−Sモノマーの水溶液が、(反応容器内の圧力で溶液の凝固点と沸点の間の)選定された温度において開始剤で処理される。前記溶液は、任意選択で、1種または複数の追加の二重結合含有モノマーを含むことができ、そのうちの1種または複数は架橋剤であってもよい。前記溶液は、任意選択で、M部分を保有し、置換または非置換のいずれかの追加のモノマーも1種または複数含有することができるが、但し、置換基がM部分の重合挙動を妨害しないことが前提である。この実施形態の更なる態様では、上記のモノマー混合物は、開始剤で処理される前に、乳化液もしくは懸濁液または逆相乳化液もしくは逆相懸濁液中に分散されることができる。この実施形態の生成物は、ポリマーの製造に使用される方法に応じて、不溶性の粉末、モノリスもしくは粒子、または粒子のコロイド分散液、または膜となるが、このような方法は当業者に公知である。この実施形態の更なる態様では、重合または共重合プロセスは、溶液または乳化液もしくは懸濁液などの分散相の中で、分子または高分子鋳型の存在下で実施され、分子インプリントポリマー(MIP)を製造することができる。
【0027】
本発明の多様なプロセスで生成されるポリマーは、例えば、材料、物品、被覆層または布地としての多くの用途を有する。該ポリマーは、重合条件に応じて絶縁体または導電体として調製することができる。必要とされる材料の性質および用途に応じて、材料利用の最も重要な領域は、限定されないが、以下の通りである。
1.マイクロエレクトロニクス用の電気伝導性被覆層/接続部。
2.電子装置およびパーソナル電子装置用途向けのフレキシブル回路。
3.スクリーン印刷用の材料。
4.静電気を散逸させるための布地および布地被覆層を含む、電磁気防護用の遮蔽材料および被覆層。
5.軍事および家庭用途のマイクロ波防護用遮蔽およびフィルター被覆層(ステルスおよびレーダー技術、電子レンジの窓)。
6.エレクトロルミネセンスディスプレイ装置、即ち有機LED用のディスプレイ装置、
7.スマートウィンドウ技術用のフォトクロミック材料としての使用。
8.センサーおよびアレイ、例えばガスセンサーおよび光学装置における新規な感知材料。
9.環境に優しいエネルギー源としての固体電池における使用。
10.光記録および感光性材料としての使用。
11.保安マーク、機械可読記号およびバーコード用途。
12.保安マークおよび新規品用途の隠蔽書込み(透明インキ)。
13.化学的な検知および分離技術。
【実施例】
【0028】
<例1> N−(メタクリルアミドエチル)アニリン(NMAEA)の調製
N−フェニルエチレンジアミン(1.0g、0.96ml、7.3ミリモル)をメタノール(20ml)に溶解し、これを氷冷した後、メタクリル酸無水物(1.1g、1.06ml、7.1ミリモル)を添加した。撹拌混合物を0℃で3時間維持した後、室温まで暖めた。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除き、残渣をジエチルエーテル(25ml)中に分散させた。エーテル相を0.1M−NaOH(4×25ml)、次いで水(1×25ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させて、褐色のオイルを得た。これを、冷蔵庫中に放置すると無色の結晶が生成した。
【0029】
収率は99%であった。H−NMR、1.9(s、3H、−CH)、3.3(d、2H、−CH)、3.7(d、2H、−CH)、5.3(s、1H、=CH)、5.7(s、1H、=CH)、6.6(d、2H、オルトH)、6.7(t、1H、パラH)、7.2(m、2H、メタH)。13C−NMR、18.6、39.3、43.9、112.7、117.7、119.9、129.3、139.7、147.9、169.0。IR(KBr円板)3345、3000、2920、1655、1603、1514、1322、750、694cm−1
【0030】
<例2> N−(アクリロイルオキシエチル)アニリンの調製
N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン(5g、36.4ミリモル)を、エタノール非含有クロロホルム(100mL)中にヒドロキノン(2g)、p−トルエンスルホン酸(1g)およびアクリル酸(20ml、(大過剰))と共に溶解した。フラスコに逆ディーン・スターク装置、還流凝縮器および塩化カルシウム保護管をはめ付けた。フラスコを沸騰するまで加熱し、ディーン・スタークトラップの側管中に分離する水を除去することにより、平衡を移動させた。トラップ中に蒸留されたクロロホルムから、もはや水が分離していないと認めたとき、混合物を室温まで冷却させた。クロロホルム層を分液ロートに移し、水(2×25ml)、0.1M−NaOH(4×25ml)および水(2×25ml)で洗浄した。その有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、蒸発させて、生成物をオイルとして得た。
【0031】
<例3> NMAEAの二重結合の遊離ラジカル重合と、それに続く化学酸化による共役ポリマーの製造
NMAEAおよびNMAEAのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)との混合物を、表1に従って開始剤1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を用いた熱遊離ラジカル重合によりDMF中で重合した。モノマー(200mg)および開始剤(2mg、1%)をDMF(400mg)中に溶解した。混合物をアルゴン気流で5分間パージした後、アルゴン雰囲気下で密封し、油浴へ移して80℃、16時間維持した。生成物質を水に入れて沈殿させ(P0)、またはメタノールで洗浄した(架橋ポリマー)。乾燥したポリマーを乳鉢中で磨砕し、メタノール(5×5ml)で更に洗浄し、オーブン中で乾燥した。
【0032】
【表2】

【0033】
ポリマー(P0、P5、P10、P25またはP50)を1M−HCl(25ml)でスラリー化し、撹拌しながら0℃に冷却した後、同容量の水中1M−過硫酸アンモニウムを5分かけて徐々に添加した。1時間後、ポリマー粒子をろ過で除き、水洗し、オーブンで乾燥した。この物質を、ハンドプレスを用いて加圧し、直径ほぼ1cmの円板にした。導電率は、デジタルマルチメーターを用いた2探触子法により測定した(表2)。
【0034】
【表3】

【0035】
<例4> ワンポット反応におけるポリアニリン生成およびビニル付加重合の同時実施によるNMAEAの製造
モノマー(NMAEA)を1M−HCl(25ml)中に溶解し、氷冷した後、同容量の1M−過硫酸アンモニウムを5分かけて徐々に添加した。ポリマーが微細沈殿として分離された。1時間の反応後、ポリマーをろ過で集め、水洗した後、オーブン中で乾燥した。その物質の加圧円板の導電率を上記のようにして測定した(表3)。
【0036】
【表4】

【0037】
<例5> NMAEAのアニリン基の電解重合
全ての電気化学実験に対してAutolab計測装置(オランダ)を使用した。ガラス作用電極上の金(Cr5nmおよびAu45nmの蒸着膜)、白金対電極および銀/塩化銀(Ag/AgCl)参照電極の従来型3電極セルを使用した。金電極は、HClO50mMのNMAEA2.44mM溶液中で、−0.4V〜+1.0V(対Ag/AgCl)の間でスキャン速度50mV/sでサイクル操作した(15サイクル)。メタクリルアミドがペンダント基のポリアニリン電解重合膜を保持する金電極を、水洗し、乾燥した。
【0038】
<例6> NMAEAの電解重合膜の架橋
金電極上のNMAEAの電解重合膜を、ペトリ皿(直径25mm)内に入れたアセトニトリル中のN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ベンジルエステル(イニファーター)溶液の中に浸漬した。アルゴンを10分間パージすることにより、酸素を除いた。ペトリ皿をガラス平板で覆い、その端部をParafilm(登録商標)でシールして、溶液上の不活性雰囲気を維持した。次いで、試料から8cmのところに据え付けたフィリップス社UVランプを用いて、溶液を通してその膜を20分間照射し、イニファーターを活性化し、ベンジルラジカルを生成することにより、ポリマーの二重結合と反応させ、架橋させた。次いで、電極をメタノールで洗浄し、アルゴン気流中で乾燥した。
【0039】
<例7> NMAEAの電解重合膜に対するビニルポリマーのグラフト化
イニファーター修飾電解重合膜(例6)をペトリ皿に入れ、DMF中に溶解したエチレングリコールジメタクリレートおよびメタクリル酸(8:2)を含有する溶液であって、アルゴンで5分間パージすることにより予め脱気した溶液の中に浸漬した。アルゴンでパージした後、ペトリ皿をカバーガラス板で覆い、Parafilm(登録商標)でシールして、不活性雰囲気を維持した。フィリップス社UVランプを用いて、イニファーター修飾電解重合層を30分間照射することにより、電極に結合した共役ポリマー層の表面上に架橋ポリマー層をグラフトした。
【0040】
<例8> 共役ポリマーの薄膜および被覆層の製造
清浄な顕微鏡スライドガラスをメタノール中のP0(例3)の1%溶液中にディップした。過剰の溶液をスライドから流出させ、被覆層を空気流中で乾燥した。アニリンのペンダント側鎖を有する付加重合体の薄層で覆われた乾燥顕微鏡スライドを、HCl(0.5M)および過硫酸アンモニウム(0.5M)の氷冷溶液で処理した。被覆スライドを氷冷溶液と接触したまま5分〜1時間の間放置し、その後、スライドを水ですすぎ洗いし、空気中で乾燥した。被覆層の導電率は、10〜11S・cm−1であることが判明した。
【0041】
<例9> 2段階重合プロセスによる共役ポリマーのリソグラフィー法パターン形成
顕微鏡スライドガラスの各切片を、水、アンモニアおよび過酸化水素の混合物(容量比5:1:1)中に20分間浸漬して清浄化したが、この結果表面ヒドロキシ基が活性化された。処理済みガラスを蒸留水で洗浄し、空気流中で乾燥した。活性化スライドガラスを、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのトルエン溶液(2%)中に終夜浸漬した。次いで、シリル化スライドガラスを、NMAEAおよびエチレングリコールジメタクリレート(9:1)+2%アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(遊離ラジカル開始剤)の溶液でスピンコーティングした。キャスト層をガラスペトリ皿の底面にある黒色紙表面上に置き、不透明マスクで覆ったが、このマスクでは幅2mm、間隔2mmのトラックを露光するために、材料を切り取っておいた。マスクを載せたスライド上の空気の空間をアルゴンでパージした後、ペトリ皿をガラス蓋で覆った。感光性スライドガラスおよびマスクを高出力UVランプ(Honle博士)の下に配置し、紫外線で10分間露光した。露光後、マスクを除き、ガラス表面をメタノールで少なくとも2回、溶媒を取替えて洗浄することにより、画像形成したポリマー領域を現像した。ポリマーの透明トラックが付いたガラスを、ビーカー中で0℃に維持されたHCl(1M)溶液に移した後、同じく0℃の過硫酸アンモニウム(1M)溶液を添加した。UVリソグラフィーで画像形成された位置のポリアニリンの暗色バンドが、現像され、レジスト材料の側鎖の酸化によるポリアニリンの生成に対応することが認められた。乾燥後に導電率を測定したところ、画像形成領域において11S・cm−1の導電率を示した。
【0042】
<例10> 共役ポリマーによる繊維のコーティング
P0(例3)の溶液を0.01M−HCl溶液中に調製した。セルロース繊維膜(ろ紙、ワットマン1番)をP0溶液中に浸漬した。過剰のポリマー溶液をその紙から流出させた。またそのポリマー溶液を、任意選択で、0.1M−NaOH溶液、次いで水で洗浄することにより、固定化し、乾燥した。次いで、前処理されたその紙を、HCl(0.5M)および過硫酸アンモニウム(0.5M)の氷冷溶液中に1時間までの間浸漬し、共役ポリマーを生成させた。
【0043】
<例11> 書込み法または印刷法による共役ポリマーのパターン化表面特徴部の形成
P0のメタノール溶液を、ペンまたはブラシなどの書込み用具を用いてシリル化セルロース繊維膜(Phase sepろ紙、ワットマン社)に塗布した。ポリマー「書込み」を、任意選択で、塩基水溶液および水で洗浄することにより固定化した後、乾燥した。次いで、ポリマー「透明インキ」で処理されたその紙を、酸性化過硫酸アンモニウムの溶液(過硫酸アンモニウムおよびHCl共に0.5M)中に0℃または室温で浸漬することにより、現像した。
【0044】
<例12> 完全に水性の処理工程を用いる2段階重合プロセスによる共役ポリマーのリソグラフィー法パターン形成
ポリマーシートの各切片を、メタノール中に20分間浸漬することにより清浄化した。その処理されたポリマーシートを蒸留水で洗浄し、空気流中で乾燥した。次いで、その清浄化されたシートを、NMAEAおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド(9:1)+2%の水溶性開始剤アゾビスアミジノプロパン塩酸塩の溶液でスピンコートした。そのキャスト層をガラスペトリ皿の底面にある黒色紙表面上に置き、不透明マスクで覆ったが、このマスクでは幅2mm、間隔2mmのトラックを露光するために、予め材料が切り取られていた。マスクを載せたスライド上の空気の空間をアルゴンでパージした後、ペトリ皿をガラス蓋で覆った。感光性スライドガラスおよびマスクを高出力UVランプ(Honle博士)の下に配置し、紫外線で10分間露光した。露光後、マスクを除き、ガラス表面を水で少なくとも2回、溶媒を取替えて洗浄することにより、画像形成したポリマー領域を現像した。ポリマーの透明トラックが付いたガラスを、ビーカー中で0℃に維持されたHCl(1M)溶液に移した後、同じく0℃の過硫酸アンモニウム(1M)溶液を添加した。UVリソグラフィーで画像形成された位置のポリアニリンの暗色バンドが、現像され、レジスト材料の側鎖の酸化によるポリアニリン生成に対応することが認められた。乾燥後に、導電率を測定してところ、画像形成領域において10S・cm−1の導電率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Mが重合して共役ポリマー鎖を生成できる部分であり、Sが二重結合を含むことにより付加重合をすることができる部分である、M−S型のモノマーを用意するステップ、
(b)任意選択でコモノマーと共に、M部分を重合させて共役ポリマー鎖を生成するステップ、
(c)任意選択でコモノマーと共に、S部分を重合させるステップ、
を含み、ステップ(b)および(c)が、いずれかの順にまたは同時に実施される、ポリマーの製造方法。
【請求項2】
M部分が、非置換のもしくは置換されたアニリン、ピロールまたはチオフェン残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
M部分が非置換のもしくは置換されたアニリン基であり、S部分がアニリン窒素原子に結合されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
M部分が4位では置換されていないアニリン基である、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
共役ポリマー鎖が、ポリアニリン、ポリピロールまたはポリチオフェン鎖である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
M部分が請求項2、3または4に規定されたものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
共役ポリマー鎖がポリアニリンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
S部分が、アクリレートエステル基、メタクリレートエステル基、アクリルアミド基またはメタクリルアミド基を含み、好ましくはこれらの基が、長さが原子2〜6個のスペーサー基により、M部分に結合されている、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
モノマーが、N−(メタクリルアミドエチル)アニリン、N−(アクリルアミドエチル)アニリン、N−(メタクリロイルオキシエチル)アニリンおよびN−(アクリロイルオキシエチル)アニリンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)が、化学酸化または電解重合を用いて実施される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)が、遊離ラジカル重合を用いて実施される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)をステップ(c)の前に実施することにより、共役ポリマー鎖を含有し重合性のS部分を含んだ第1のポリマーを含む組成物を製造する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1のポリマーを含有する組成物を使用してある表面を被覆し、その後ステップ(c)を実施して該表面上にポリマー被覆層を生成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のポリマーおよび光化学的または熱的に活性化されたイニファーターを照射または加熱によって反応させて、そのイニファーターをS部分の二重結合に結合させることにより、第2のポリマーを製造し;その第2のポリマーを追加のモノマーを含有する溶液中に浸漬して、そのモノマーを第2のポリマーにグラフトさせる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記グラフト化を鋳型物質の存在下で実施し、その後、鋳型物質を除去して空洞を残し、それによって最終生成物として分子インプリントポリマーを得る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(c)をステップ(b)の前に実施する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
M−S型のモノマーを含む膜または層をある表面上に形成し、前記重合ステップ(c)を実施して、該表面上にポリマー被覆層を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記膜または層をマスクで部分的に覆い、露出部分を照射して重合させ、その後、非露出かつ非照射部分を選択的に除去する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(c)によって製造されたポリマーを物品に塗布して、表面被覆層を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(c)によって製造されたポリマーを繊維に形成し、任意選択でその繊維を使用して該繊維を含む物品を製造する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)の重合を開始可能な溶液を用いてステップ(c)のポリマーを処理することによって、後続の重合ステップ(b)を行うことを含む、請求項16〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
Mが重合して共役ポリマー鎖を生成できる部分であり、Sが二重結合を含むことにより付加重合をすることができる部分である、M−S型のモノマーを含んだモノマーから誘導可能なポリマーであって、前記ポリマーが、任意選択でコモノマーと共に、前記M部分を重合することによって誘導される共役ポリマー鎖を有し、前記共役ポリマー鎖が、任意選択でコモノマーと共に、前記S部分を重合することによって誘導される連結部により架橋されているポリマー。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれかの方法によって製造される請求項22に記載のポリマー。
【請求項24】
N−(メタクリルアミドエチル)アニリン、N−(アクリルアミドエチル)アニリン、N−(メタクリロイルオキシエチル)アニリンおよびN−(アクリロイルオキシエチル)アニリンから選択される、請求項1の方法における使用に適したM−S型のモノマー。
【請求項25】
N−(メタクリルアミドエチル)アニリン。

【図1】
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【図2】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図3c)】
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【図3d)】
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【公表番号】特表2011−518236(P2011−518236A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501289(P2011−501289)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000795
【国際公開番号】WO2009/118525
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504455403)クランフィールド ユニヴァーシティー (5)
【氏名又は名称原語表記】CRANFIELD UNIVERSITY
【Fターム(参考)】